美少女Vtuber(男)はじめました!スキル「世界一可愛い声」で借金2億男子高校生、V界を駆け上がります!   作:流石ユユシタ

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小話 妹と休日

「お兄ちゃん、デート行こ」

 

 

 

 唐突に自身の兄をデートに誘ってみた。現在は7月1日、徐々に夏の暑さが出てくる季節である。

 

 だからこそ、デートに誘いたい。熱い夏は出歩くとかはできないからね。電気代を浮かせるために2人で図書館とかで涼むことになるのは目に見えている。

 

 

 

 

「ふ、お兄ちゃんと行きたいのか?」

「ふふ、お兄ちゃんこそ妹とデートに行きたかったでしょ?」

「本来なら質問を質問で返すとは何事だ! と怒るところだが、許してやろう。可愛いのでな」

「お兄ちゃん可愛い妹に甘いねー」

 

 

 

 ふふふ、お兄ちゃんはちょろいぜ!! こんなにちょろいだなんて可愛い所もあるじゃないか。お兄ちゃんよ!!

 

 

 

「俺は良いけど、逆に良いのか? ほら、彼氏とか」

「居ないよー」

「そっか……なんかごめん」

「謝る必要ないと思うけど、なんで謝るの?」

「ほら、前に結婚したいとか言ってたらから本当は好きな人と行きたいのかなって」

「ああ……」

 

 

 

 ……結婚とかしたいと前に言ったことはあるね。えっとね……このクソ鈍感!! と言ってあげたいところだけどもそんな度胸は私にはないのだ。

 

 

 それに、分からなくてもしょうがないとも思うしね。流石に妹がね。想ってるとはね……

 

 私だってお兄ちゃんが好きだと想ってたらなんて……分からないわけだし。まぁ、微かな希望だけども。

 

 

 

「私、好きな人いるけど。まぁ、焦るタイプじゃないから」

「お、そうか。もし、お前が結婚相手を連れてきたら殴りそう」

「やめてー」

 

 

 

 自分を殴ることになるぞと言えない自分の弱さ……まぁ、そんなネガティブなことを考えている暇はない。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、今日はお金ないのでピクニックに行こう」

「お金は毎日ないがね」

「ほほう? お兄ちゃんそれ言っちゃう? 真実に触れちゃう? ちょー、寂しいこと言っちゃう?」

「時は金なり……お前と一緒の時間はもうお金の価値を超えてるのさ」

「きゃー、お兄ちゃんかっこいいー! このシャレ者めがー!!」

 

 

 

 

 

 なんて、適当に言葉を交わしながら家の外に出た。外は晴れていて、凄くピクニックに適した天気だった。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、この間のライトセイバーさんへの頑張れがまた再生されてる」

「ふーん」

「まだ伸びてないけどアーカイブは頻繁に再生されてるみたいだけど」

「そっかー。あ、俺結構ダンジョンについての雑談もしてるけどそっちはどう!?」

「そっちは普通かな。やっぱ頑張れって言ってるところが人気だね。やっぱエロい声だよ」

 

 

 

 

 うん、エロい声出したら絶対もっと伸びると思うんだよね。本人的にはそれは禁忌らしい。

 

 

 まぁ、まだ使わなくてもいいけどね。

 

 

 ただ、アーカイブの再生とか分析すると登録した人ほぼ全員が何度も見てるんだよねぇ。

 

 

 

 才能の片鱗はすごく感じる。ただ、もうちょっと……もっと評価されるはずなんだよね。ただ、他のVチューバーとか見てるけど、声の可愛さとかならお兄ちゃんがダントツなんだよね。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、公園着いたよー。あそこでお昼食べよ」

 

 

 

 

 それなりに大きな公園、その端っこには結構な確率で空いてるベンチが置いてある。私達はここでいつも休日を過ごしているのだ。

 

 

 

「ふふふ、お兄ちゃん今日のお昼はスペシャルだぜ」

「ほほう?」

「おにぎりだ! 具はウインナー!」

「俺が1番好きなやつー」

 

 

 

 まぁ、大体のお昼はおにぎりなんだけどね。だがしかし、お兄ちゃんはいつも美味しそうにおにぎりを食べている。

 

 

 

「お兄ちゃんって、おにぎりでも美味しそうに食べるよね」

「美味しいからな。それに永遠と一緒に食べれるのが嬉しい」

「あ、そ、そう? ふーん」

「もぐもぐ……すごく美味しい! グッジョブ、最高!」

「……ふーん、まぁね!」

 

 

 

 おっといけない。本気で照れてると悟られると恥ずかしい年頃の娘なのですよっと。こっちは意外とそういうストレートな褒めに弱いんですよっと。

 

 

 それを悟らせないぜ!!

 

 

 

 

「お兄ちゃん。褒めてくれるのは嬉しい」

「そっか。褒めるとかいうより普通に美味しいからさ」

「あ、ありがと」

 

 

 

 

 ふ、我が兄ながらなかなかやるじゃないか。この幸木永遠(さちきとわ)がここまで心をかき乱されるなんてね……

 

 

 

 

「お兄ちゃん、食べ終わったら作戦会議しよう」

「作戦会議ね」

「この間のブレイブクエスト、今度最終回でしょ。それが終わったら次どうするかって話」

「……そうだな。あー、ダンジョンをモチーフにしたゲームがあるからそれやりたいかな」

「ダンジョンモチーフのゲーム。あー、実際のダンジョンと似たような感じのを攻略していくやつね。確かに人気ゲームだしいいと思う」

 

 

 

 お兄ちゃんは本当にダンジョンが大好きだねぇ。まぁ、そのリアルダンジョンゲームは確かに人気だったね。少し前に発売されたゲームだけど、未だにRTA攻略とかも人気だったはず

 

 

 

 なるほど、もしかしたら良い結果になるかもしれないね。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、良いじゃん! それやってこ!」

「おう……」

 

 

 

 

 お兄ちゃんは頑張ろうとはしてるみたいだけど、すごく期待をしているわけではないらしい。でも、私はお兄ちゃんよりずっと期待しているんだけど。

 

 

 

 ──私のお兄ちゃんは世界一のはずなんだ

 

 

 

 

 

「……あ」

 

 

 

 

 

 急にお兄ちゃんが素っ頓狂な声をあげた。お兄ちゃんの視線は私ではなく、どこか違う先を見ていた。

 

 

 

 

「幸木くん」

「姫乃さん……なぜここに」

 

 

 

 

 Sランク冒険者、姫乃光。確かお兄ちゃんがよく冒険者としてのアドバイスを求めていた人だ。

 

 

 私はこの人のこと詳しく知らなかったけど、この間ファミレスで会ってから調べた。するととんでもない人であるということが判明した。

 

 

 僅か16歳でSランク冒険者となった逸材、【冥剣】とすら評されるほどだった。

 

 圧倒的な実力、圧巻の実績、次元が違うと私は思った。きっと、兄はこういう人に成りたかったのだなと感じた。

 

 

 

 

「偶々見かけたから」

「あ、そうなんだ。姫乃さん、これからダンジョン?」

「もう行ってきた」

「おお! それはどこに!?」

「……相変わらずダンジョンに目がないんだね」

 

 

 

 

 あの兄が目をキラキラさせながら姫乃光と話している。それを見て、非常に不愉快となった。いや、私では兄の欲求を満たせないとは知っているけど。

 

 

 

 2人はダンジョンについての話に花を咲かせていた。だが、急に姫乃光が話を変える。

 

 

 

「そう言えばヴィクトルナのことだけど」

「え?」

「いい加減、ファンになった? 私としてはヴィクトルナ、ヴィクたんのファンになったかどうかが大事」

「……あ、うん。ファンになった」

「嘘つき。ダンジョンの時とテンションが違う」

 

 

 

 ……え? どういうこと!? この人、なんでヴィクトルナのことを知っている!? もしかしてリスナーだったの!?

 

 

 でも、兄に話してる内容からして……お兄ちゃんが正体であることは気づいてないようだけど。

 

 

 

「なぜ、あの良さが分からないの? 一度聞けば分かるはず。あれから何度も聞いてるはず、なぜファンにならない」

「……い、いや、好きだけどね」

「嘘つき……なぜこうも分かりやすい……」

 

 

 

 姫乃光って、どの写真とかでも無表情の感じだったけど。あれ、意外と表情豊かなんだ。写真写りが悪いタイプなのかな。いや、無表情でも写真は美人だけど。

 

 

 

「あ、妹ちゃん。ごめんね」

「いえ、別に……」

「妹ちゃんはヴィクトルナ知ってる?」

「知ってます。チャンネル登録者1人目は私ですから」

「……あ、そ、そうなんだ……わ、ワタシより上……」

 

 

 

 ガーンと何やらショックを受けている姫乃光。なんだか不思議と優越感に浸れた。

 

 

 

 

「わ、ワタシより先にヴィクたんの良さに気づいていた人が居たなんて……でも、それならなぜ幸木くんはハマらないの? 兄と妹でセットでハマるくらい素敵な人」

「……いや、俺は別に」

「なぜ? ワタシは悔しい。美味しいと思っていたお店が評価されないのと一緒。自分の舌が間違っていると言われている気分になる」

「あ、そうなんだ」

 

 

 

 

 あぁ、なるほどね。お兄ちゃんには確かヴィクトルナが自分の声として聞こえてしまってるんだっけ。

 

 

 そりゃ、お兄ちゃんには魅力が分からないはずだよね。周りは可愛い声と言うけど、自分には自分の声なんだから。

 

 

 

「妹ちゃんはヴィクトルナちゃんの声はどう思う?」

「とんでもなく可愛い声だと思います」

「だよね。世界で1番だよね」

「うーん。ちょっと違います。世界で1番……可愛い声ですね」

「え、何が違うの?」

 

 

 

 世界で1番可愛い声はヴィクトルナだと思う。でも、世界で1番の声は……ワタシは、主観がたっぷり入ってるけど。

 

 

 世界で1番ならお兄ちゃんの声が好き。

 

 

 そんでもって、お兄ちゃんは世界で1番可愛い声も持ってるんだ。だから、世界で1番のお兄ちゃんなのだ。

 

 

 この事実に気づいているのは私だけと言う優越感。うん、たまらないね!!

 

 

 

 

「まぁ、世界で1番可愛いのはヴィクトルナです。それは間違いないです」

「流石妹ちゃん。分かっている。幸木くん、また聞くからね」

「……ええー。もう勘弁してー」

「ダメ。自分の舌を、いや耳を否定された気分……ちょっと上手いこと言った」

「あ、そう。別にそう言うのはどうでもいいけど」

「……また言うから」

 

 

 

 

 あ、ちょっと怒らせてるじゃん。お兄ちゃん……あと、なんとなくだけどあの人、思ったより怖くないな。

 

 

 最初見た時はすごく怖いと言うか、畏怖感があったけどお兄ちゃんもいるし、何よりヴィクトルナチャンネル登録者だったなんてね。

 

 まだ4人しか居ないのに……世界は狭いなぁ。確かライトセイバーって人もBランク以上の冒険者で男性。姫乃さんはSランク冒険者か。

 

 お兄ちゃん強い冒険者に愛されてるなぁー。すごいじゃん

 

 

 

「また聞く」

「もうええて」

「次は家に呼ぶ、ワタシの家のとんでもない大画面で見せてあげる、音声も凄くよく聞こえるやつ」

「そんな高性能のがあるのか……」

「ついでにダンジョンで昔使ってた武器もある」

「そんなのもあるの!!」

 

 

 

 あんま学校での2人は知らないけど、こんな感じでいちゃいちゃされると腹立つな。

 

 学校でもしてない? 私は中学生だからその辺り見れないんだよね。

 

 

 ってか、義理の妹の前で兄を家に誘うなよ……私の方が可愛いよね? 絶対尽くすのは私の方だし。

 

 

 

 

 ある程度話し込んで、姫乃光は去っていった。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、距離感は気をつけてね」

「そうだな。あんま踏み込まれると面倒そうだし」

「でもお兄ちゃん冒険者のことを餌にされるとホイホイついていくでしょ」

「そんなことないよ」

「そうだと良いね。因みにだけど家誘われたら私も一緒に行くからね!!」

 

 

 

 

 行かないと言う兄だが、一応なので釘を打っておいた。

 




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