美少女Vtuber(男)はじめました!スキル「世界一可愛い声」で借金2億男子高校生、V界を駆け上がります! 作:流石ユユシタ
屋上から教室に戻ると、いつものように藤木沼光一がディスり始めた。
「幸木、お前は3年も冒険者やってるんだから才能ないって気づけよ。馬鹿だよなぁ」
「また、藤木沼か。前も聞いた」
「いや、お前まだ冒険者やってるんだろ? 意味ないってやめろって。アホらしくて馬鹿過ぎだろ」
また、バカにし始めたよ。まぁ、いつものように適当に流しておけばそのうちに飽きるだろうさ。
変にごちゃごちゃ言って大事になると面倒……
「──おい! お前、今、女神を笑ったな」
「え!?」
適当に流そうと思っていたら、気付いたら天龍寺が藤木沼の胸ぐらを掴んでいた。
お、おいおい、大事にすると面倒……
「お前、バカにしたな? 3年も必死に冒険者をやっていた努力を笑ったな……?」
「い、いやしてないって!!」
なんか、天龍寺が俺のことを庇ってくれた。な、なんか嬉しい!
Bランク冒険者が俺のことを庇ってくれるなんて! い、今まで頑張ってきてよかった!!
で、でもそろそろ止めたないと
「あ、ありがとう。天龍寺くん。でも、俺のことを庇ってくれなくても」
「あ? お前じゃねぇよ」
「え?」
「女神をバカにしたら怒ってるんだよ。お前はどうでもいい」
……あ、俺じゃないんだ……。い、いや、女神って誰……? そう言えば妹が2人、弟が2人いるとか聞いたことがある。
もしかして、妹のことを女神とか言うあだ名をつけているとか? 俺も永遠は可愛いとは思ってるし。大袈裟に女神と言ってる可能性もなきにしもあらずか?
「と、取り敢えず、落ち着いて」
「おい、馬鹿にしたのか」
「だ、だからしてないって!」
ごちゃごちゃとしていると、そのタイミングで教室に姫乃光も入ってきた。おお、Sランク冒険者! 止めに入ってくれ!!!
「……どうしたの?」
「こいつが女神を馬鹿にしやがった」
「い、いやしてない……で、でも不快にさせたのならごめん……」
天龍寺左門、藤木沼光一、両者共にBランク冒険者であるがそれでも格の差がある。天龍寺はAランクに近いと言われてるし、藤木沼は逆にCに近い実力と評価されている。
それに加えて、単純に天龍寺は怖いからこう言う上下関係になるのだろう。そこにスッと入れるのがSランク冒険者である姫乃光だ。
「……女神が誰なのか知らないけど、したの?」
「い、いや、だからオレはしてないって……馬鹿にしたのは幸木のことを……」
「あ、んだよ、女神じゃねぇのか……」
だが、急に怒っていた雰囲気から一変、天龍寺は胸ぐらを離して帰って行った。最後も言っていたが女神とは結局誰なのだろうか?
まさか……俺じゃないよね? ヴィクトルナ……そんなはずないか。チャンネル登録者50人くらいだし。これ以上知り合いが登録してるのは確率的には0に近いだろう。
まぁ、これ以上考える必要もない。事態は片付いたのでほっと一息、ようやく教室内も落ち着いた。落ち着いた後、姫乃光が藤木沼の方を向いた。そして、無表情で言い放つ。
「それはそれとして、幸木君を馬鹿にするのは良くないと思う」
こ、今度は姫乃光が騒ぎの火種を起こしそうな予感がする。も、もういいからさ。いや、嬉しいと思う、もっと言ってくれ!! 藤木沼はもうちょっと痛い目を見た方がいいよ!!
「あ、あぁ、ちょっと言いすぎたかもな……」
「藤木沼くん、だっけ? そう言うのほどほどにしておいた方がいいよ」
「あ、うん」
姫乃光は少しだけ釘を刺すように言うと、いつものように俺の隣の席に座った。そして、そう言われた藤木沼は苦虫を噛み締めたような顔をしながらこの席から離れていった。
「姫乃さん、ありがと」
「……まぁ、同じヴィクたんのファンだから」
「い、いや、ファンじゃないって」
「まだファンじゃないんだ……ワタシも気は長くないよ」
どう言う脅し!? そんな良くわからない脅迫が俺に届く。もう、何も聞こえないふりをしようと思い前を向いた。
まぁ、面倒な昼休みだったけど藤木沼がびびってるのを見るのは少しスッキリしたな。
学校が終わり、放課後になった。いつものように難易度が低い、Eランクダンジョンに向かっていると、道中の店にチラシが貼ってあった。
だけど、ただのチラシではない。
【モンスター屋台フェス!! 開催のお知らせ!!】
・スペシャルゲスト。Sランク冒険者【
えええー!!! 天道天狐って言ったら株式会社ハードコアに在籍するSランク冒険者。その9人のうちの1人だろ。
おおー、このイベントは参加するかぁ。去年もあったな、モンスター型の食べ物とかが売られるんだよなぁ。
それに加えて、高ランク冒険者の対談イベントとかもあったりする。そうか、今年は天道天狐と姫乃光かぁ。
随分と豪華なゲストだなぁ。
まぁ、詳しくは後ほど調べるとしよう。去年の対談も面白かったしなぁ!
だけど、はじまりの洞窟に行くのが先決だな。その後も、配信もある。
次から次へと予定が来るから、だからこそ止まっている時間はないな。
──ダンジョンで魔石を稼ぎ、家に帰って配信の準備をする。
最近これがルーティーンとなっている。ヘッドフォンをして、パソコンをつけて、配信を開始する。
「あなたの夜に、ひとすじの光を! どーもー、勝利と月の女神ヴィクトルナでーす!」
この挨拶も最近ようやく慣れてきた。最初は恥ずかしすぎて、どうにかなってしまいそうだったけど、慣れとは怖いものだ。
【ライトセイバー(男):今日もお疲れ様ー!】
【謎の存在:好き! 結婚して!】
【パフェパフェ:可愛いわぁ】
【妖怪腕時計:今日もお疲れ様!!】
【ドラゴン神社:お疲れ様】
「皆さん今日も来てくれて、ありがとうございます! 1日お疲れ様です!」
この声は俺には自分だが、他の人には美少女声として聞こえているらしい。その事実には未だ納得ができていない部分もあるが、理解は流石にした。
「今日はダンジョンリアルゲームをしていきますね! これはちょっと前に発売されて、ブームになったダンジョンにリアルに潜れるゲームになります!」
──ダンジョンリアルゲーム
国がダンジョンに対する理解や親密生を上げるために発売したゲームと言われている。
RPG風に作られており、キャラメイクをしてからダンジョンに挑みレベルを上げると言うのがメインだ。
「では、名前は……ヴィクトルナにしておきます! こっから冒険者として再スタートします!」
【ライトセイバー(男):おお! 頑張れ!】
【謎の存在:好き!】
【パフェパフェ:現実よりも甘いよね、ゲームだもん】
【妖怪腕時計:これやったことあるけど、結構面白かった】
【ドラゴン神社:初めて見たゲーム】
コメントが流れながら、それを見つつゲームを続ける。どうやら、キャラメイクが終わるとはじまりの洞窟に挑むようだ。
「最初ははじまりの洞窟に挑むんですね。ここは私でも知ってます。と言うか、ここしか潜れない実力でした!」
【ライトセイバー(男):自虐しなくていいよ!】
【謎の存在:ありのままの貴方が好き! 自虐しないで!】
「あ、フォローありがとうございます」
コメントが俺をフォローしてくれるのはありがたい。あまりトーク力がないので自虐とかで笑いとかを取ろうと思ったが、どうやら逆にフォローされてしまった。
「えっと、はじまりの洞窟にはスライムがいるので狩っていきます。まぁ、これはゲームですので、結構あっさりレベルが上がるんですけど、現実はそんなに簡単には上がりません」
そう、簡単にはレベルは上がらないです。スライムを10体ほど、倒すだけでレベルはすぐに一個上がった。おいおい、もうレベル2である!
「えっと、もうレベル2になりましたね。これならレベル10まですぐですねー。スキル因子が出るレベル10まで基本的に半年かかるのがリアルなんですけど」
【ライトセイバー(男):やはりゲームか】
【謎の存在:レベルガンガン上がらない人も素敵】
【パフェパフェ:現実よりも甘いよね、ゲームだもん】
【妖怪腕時計:これやったことあるけど、結構面白かった】
【ドラゴン神社:初めて見たゲーム】
「早い人だと2ヶ月とか3ヶ月の人もいるとか言いますもんね。あ、このままダンジョン進んでいきますね」
【ライトセイバー(男):人それぞれだよね】
【謎の存在:レベルガンガン上がらない人も素敵】
「あ、フォローありがとうございます!」
視聴者にフォローされながらゲームを進めていく。このゲームは簡単にレベルが上がるから、まだダンジョンに行ったことがない子供に人気のゲームだった。
子供にダンジョンに挑んで欲しいと言う国の思惑があったのだろうけど、割と大人にも人気のゲームだった。
リアルを知っている人でも、サクサク進むので爽快感があったりするのである。
そう、爽快感がある……まぁ、俺からすると少し冒険者としての格の差をゲームキャラに感じてしまうので悲しくなってしまう時もあるのだけど。
その後、しばしゲームを続ける。色んなイベントとかが出てくるので割と作り込まれているんだ。子供騙しと馬鹿にはできない
「あ、モンスター屋台フェスのイベントもあるんですね。そういえば今度、リアルの方でも行われますよね! 私も去年行って楽しかったのでまた行こうと思っててー」
【ライトセイバー(男):え! ヴィクたんも行くの!?】
【謎の存在:一緒に行きたい】
【パフェパフェ:あ、屋台フェスもうそろそろかぁ】
【聖騎士マン:あれ、人気だよね】
【身勝手の初級:屋台のモンスター型がご飯が美味しい。ドラゴン肉バーガーとか】
「私も行きたいですね! 今回はSランク冒険者姫乃光さん、天道天狐さんがゲストらしくて対談とか見れる感じが面白いですよねー! あ、身勝手の初級さん、ドラゴン肉バーガー私も食べましたよ! 美味しいですよね! 一緒の意見で気が合いますね!」
【ライトセイバー(男):ドラゴン肉バーガー、ワタシも好きです】
【謎の存在:ドラゴン肉バーガーしか勝たん】
【パフェパフェ:ドラゴン肉バーガーは本当に美味しいとおもっった】
【聖騎士マン:あれ、人気だよね】
【身勝手の初級:実際はドラゴンの肉ではなくて牛肉だけど、ジューシーさがすごい】
へぇ、コメント欄を見てると皆んなドラゴン肉バーガーが好きなんだなぁ。
まぁ、永遠も一緒に食べた記憶あるけど美味しいって言ってたし。
「あ、すいません。そろそろお時間のようですので、今日はこの辺で! それでは失礼しまーす」
あんまり長くやりすぎると明日に響くからね。大事なのは継続をしていくことだと思うし、だから、毎日11時ごろでは終了している。
「お兄ちゃーん、お疲れ様ー」
「おーう」
終わったタイミングで妹の永遠が部屋の中に入ってきた。すでにお風呂入り終わっているようでパジャマ姿だ。
「お兄ちゃん、モンスター屋台フェス行くんだね」
「おう、一緒に行くか?」
「勿論! お兄ちゃん、こう言うの妹と行かなかったら誰と行くの?」
「あ、そこまでなんだ」
どうやら、相当一緒に行く気満々だったらしい。まぁ、俺としても一緒に行っても良いんだけどね。現在は7月上旬、だいたい、同月中旬に屋台フェスあるからね。
「それじゃ、一緒に行くか」
「うん!!」
◾️◾️
終わってる
オレの人生は……終わってる。43歳、無職で自宅に引きこもり。
何もする気など起きず、ただ意味もなくネットを見ているだけの毎日。
両親もそんなオレに何も言うこともなく、ただご飯を運ぶだけ。
ただ、腐っていくだけのような日々が続いていく。もう、これ位以上、下がりようがない人生がこれからも……
カチカチ、とネットのマウスが響くだけの暗い自室。ゴミも散乱している部屋でネットをいじるだけで今日も終わりそうだった。
『あなたの夜に、ひとすじの光を! どーもー、勝利と月の女神ヴィクトルナでーす!』
──後にオレは【Vチューバーの配信見たら、人生変わったんやがww】と言うスレを立て、それが少しだけ注目されることなど……今は知る由もない
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