美少女Vtuber(男)はじめました!スキル「世界一可愛い声」で借金2億男子高校生、V界を駆け上がります!   作:流石ユユシタ

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第14話 福沢さん

 いやー、姫乃光と天道天狐の対談面白かったなぁ。やっぱりSランク冒険者の話す言葉には説得力があるし、貴重な対談だったなぁ。

 

 

 対談会場にもとんでもない数の人が来てたからね。冒険者の人気っぷりがわかる対談だったな。

 

 

「お兄ちゃん、すごい人が多かったね」

「うん。二人とも株式会社ハードコア所属だからなぁ」

「ハードコア? なんだっけ?」

 

 

 

 お、おいおい我が妹ながら驚いてしまったぜ。この時代に株式会社ハードコアを知らない者が居るなんて……

 

 

 

「株式会社ハードコア、国から委託されてダンジョンを攻略したり、モンスターをつ討伐する大企業だな」

「Dチューバーとかの会社とは違うの?」

「ダンジョンで配信活動をするDチューバーとはちょっと違う。ハードコアはガチで攻略とかするから、あんまり配信とかはしないんだ。危険な任務とかが多いからな。配信とかしてて万が一死人とか出たら大騒ぎだろ?」

「なるほどね。Dチューバーとかはバラエティよりだもんね。ハードコアはダンジョン攻略ガチ勢会社ってことか」

 

 

 

 その認識で間違いはない。ハードコアは高ランクダンジョンとかも平気で潜るからね。だから、あんまり表には出てこないんだよ。

 

 そりゃテレビとかは偶に出るけど、Dチューバーとは違って配信で常に見れたりするわけでもない。だからこそ、今回の対談は楽しみだったりするのである。

 

 

 

 

「いやー、来年も来たいなぁ」

「来年も来ようぜ! お兄ちゃん!」

「そうだなぁ」

「それとお兄ちゃん! 登録者のことだけど! あ、やっぱり家帰ったらね」

 

 

 

 おっと、ここでチャンネル登録者のことか。確かにそれは家に帰ってからでいいだろう。いきなり1000人超えという大きな数字になったから、落ち着かないの無理はない。

 

 

 

 

「──あ、幸木くん」

 

 

 

 

 そんな俺達の元にマスクをして、サングラスをしている女性が……俺達の目の前にたち、片腕を上げて挨拶をしてきた。

 

 えっと、この人は誰だろうか。サングラスとマスクで何も見えないのだけど……

 

 

 でも……この声はどっかで聞き覚えがあるんだけど

 

 

 

 

「ワタシ……姫乃」

「あ、姫乃さん。お疲れ様、対談見てたよ。凄かった」

「ん、ありがと。それより、ヴィクトルナ見なかった?」

「え?」

「前に配信でこのフェスに参加するって言ってた。だから、探し回ってるんだけど……なかなか見つからない。ワタシの耳なら少しでも声がしたら分かるはず……なのに女神はなかなか姿を見せてくれない」

 

 

 

 ……あ、そういえばこの間の配信でフェスに行く予定があるって言った気がする。だから、探していたのかよ。

 

 

 

 俺はアンタの対談を見にきたっていうのに……俺は姫乃を見に来ると言って、それを聞いて姫乃が俺を探すってなんかもうややこしいわぁ。

 

 

 

 

「取り敢えず、見つけたらすぐに連絡して欲しい」

「れ、連絡……そうはいっても俺は見つけられないよ?」

 

 

 

 だって、ヴィクトルナは俺だしね……いや、絶対に言うわけはないけども。だから、探しても無意味なんだよ。

 

 見つからないものを探させているようで申し訳なさがある気もする。

 

 

 

 

「諦めるは良くない。同じヴィクたんファンとして何としても探そう。ワタシはここから北と東と西を担当するから、南を探して」

「勝手にファンにしないで!? そんな面倒なことしないって」

「ええ!? ま、まだファンじゃないんだ……そろそろ逆張りもきついよ。素直になったほうがいい」

「逆張りも何もないよ!?」

 

 

 

 

 このままだと埒があかないなぁと思いつつ、取り敢えず適当に流すことに決めた。すると今度は姫乃光は永遠の方に向き直った

 

 

 

「妹さんはヴィクトルナのファンって言ってたね。一緒に探そう」

「え!? わ、私もファンなんですけど……ちょっと今日は予定ありまして……いやー、さっきまで探してたのですけども」

「そっか。予定あるなら仕方ないね」

 

 

 

 あ、そういえば前に永遠はヴィクトルナの最初のチャンネル登録者である。そんなマウントを姫乃光に取ったと聞いた。

 

 

 ほう、だからファンだから一緒に探そうとか言ってるんだろうなぁ。しかし、我が妹も相手からの誘いを断るのがうまいな。

 

 

 

「それじゃ、また二人とも……あ、そうだ。幸木くん、連絡先交換しておこう」

「え!? なんで」

「万が一、幸木くんがヴィクトルナ見つけたらさ。教えて欲しい」

「いや、見つからないと思うけど……」

「はい、QRコード出したから読み取って」

 

 

 

 あれ、この子話を聞かない子だな。俺は交換するつもりはないと言っているのだけども……でも、Sランク冒険者の連絡先ってめっちゃ凄いのでは……?

 

 

 いやでも、面倒なことになりそう……

 

 

 

「また冒険教えてあげるから」

「すぐ読み取る。スタンプ送った」

「うん、確認できた。それじゃ、またね」

 

 

 

 

 連絡先だけ交換すると、すぐさま姫乃光はまた歩き出してしまった。本当にヴィクトルナを探しているんだろう。いやー、本当に申し訳ない。

 

 

 

「お兄ちゃん! 妹とのデート中に他の女と連絡先を交換とはね……やってくれる」

「いやぁ、つい」

「ついじゃないよ。冒険者の情報でほいほい乗せられてさ!! もう嫉妬しちゃうじゃん! こっちはデート気分なのに!」

「あ、ごめん」

「もう! もうもう!! もーう! しょうがないなぁ! 今回は許すぜ!」

 

 

 

 ほっと一息、どうやら許されたようだ。帰りに一緒にクレープとかを食べながら帰路についた。

 

 

 そして、一日楽しんだ俺たちは家に到着した。いつもと同じように家が見える。だが、少しだけ違う景色も見えた。

 

 

 家の前の前に大きな黒い車が止まっていたのだ。それは普通の車ではない、高級車しかも、自動運転機能付きの超高性能車である。

 

 

 

 

「お兄ちゃん、誰かが来てるのかな?」

「……あんな高級車で、しかも俺達の家に止める人なんて1人しか居ないんだろうな」

 

 

 

 

 

──俺達の帰りを待っていたように車の扉が開いた。そして、中からスーツを着た女性が現れた。

 

 

黒い髪が腰ほどまで長く、その瞳も同じように黒く鋭い。顔立ちは美人なのだが、鋭い瞳によってちょっと怖い印象がある。

 

 

「あ、福沢さん!?」

「久しぶりだな。永遠」

「ど、どうも……お、おお、お世話になってます!!!」

 

 

 

 おおっと、我が妹が直立90度のお辞儀をするなんてあんまり見れる現象ではないな。これは記念に写真を一枚……とか考えてる人ではない。

 

 

 

──俺が借金2億以上している人だからな。俺も頭を下げなくては……

 

 

 

「勝利、お前も久しぶりだ。どうだ? 2億は返せる算段はついたか?」

「あ、えと、まぁ、ぼちぼちです。もしかしたら返せるかも」

「そうか、期待しておくとしよう」

「あの福沢さんはなんで俺達の家に?」

「ふむ……気が向いたからとでも言っておこうか。偶にお前達の顔が見たくなる」

 

 

 

 

 福沢さんって俺のお父さんと知り合いだったらしいんだよね。詳しい関係性は知らないけども……

 

 でも、お父さんこの人に2億の借金したんだよね。あと、この人もよく2億なんて額を貸せたよな……

 

 

 前々から気になってたけど、この人って仕事とか何してるんだろ。さっきも高級車乗ってたし、大きなことをしてるような気がするけど。

 

 

 

 

「ふ、福沢さん! お、お茶でもどうですか!? わ、私淹れますから!」

「そうか、それなら頂こう。あぁ、そうだ……実は今、付き人が居たのを忘れていた。やはり、今日は帰るとしよう」

 

 

 

 

 そう言って、福沢さんは自身の車を見た。おそらくだけど、あの車の中に同車している誰かが居るんだろう。

 

 それと妹がビビりまくっているのがなんか可愛い。

 

 

 

「あ、そうでしたか……それではまた今度来てください! わ、私美味しいお茶淹れますから!」

「それは期待しておこう。それではな……あぁ、勝利、2億は期待してない。無理はするなよ」

「……いえ、頑張って返します。借りたのは返せと言われて育ったので」

「ふっ、ではそれも期待だけはしておこう。それではな」

 

 

 

 そう言って、彼女は車に乗るとすぐさま出発して去っていった。本当に気まぐれできたんだろうな。

 

 

 

「お兄ちゃん、借金絶対に返そうね!!!」

「おう」

「そろそろエロいASMRも視野に入れよう」

「入れないって。それと、永遠。お前いつも福沢さんにビビってるよな、怖いのか?」

「怖いとかじゃないよ。単純に借金をしてるから頭下げてるだけ……と言いたいところなんだけどね。実は違うんだ」

 

 

 

 ほうほう? 怖いわけでもなく、借金をしているからでもない。それなのにどうしてビビっているのだろうか

 

 

 

「あのね、あの福沢さんって前から思っていたんだけど……天城レルカに声がそっくりなの」

「あ、天城? 誰」

「5年前に引退し、超人気V配信者。すっごい人気だったんだから、私がVオタクになったのもその人のせい。それでね、すっごい似てるの、声が!! 流石に本人じゃないとは思うけどね」

「へぇー」

 

 

 

 天城レルカねぇ……あんまりピンとこないかな。誰だか知らないし。しかし、その人と声が似てるから、緊張をしていたって言うのがオチか。

 

 

 

「冒険者で言うと姫乃さんと同じくらい凄い人だよ」

「めっちゃ凄いじゃん、天城レルカ」

「そうだよ!! でもでもね、お兄ちゃんは天城レルカを超える才能があるよ!!」

「そうかな?」

「そうだよ!! よっしゃ、さっさと天城レルカ超えたら借金返そうぜ!!」

 

 

 

 おお、気合い十分って感じだな。俺も見習わなければ……

 

 

 

 

 

◾️◾️

 

 

 

 

「すまん。待たせたな」

「いいえ、社長。大して待っていませんよ」

 

 

 

 

 

 福沢瑠夏は幸木勝利、永遠と別れた後すぐさま車に乗り込んだ。その車には1人の少女が乗車している。

 

 

 銀髪に青い瞳を持っている美しい少女だった。その銀髪は綺麗な透明感を持ち、ボブカットにされている。それによって少女の美しい顔立ちも際立った。

 

 

 

 そして、その少女は福沢に問いかける。

 

 

 

「しかし、社長なぜあんな家に?」

「あぁ……昔、縁があった。それと私に借金をしている兄妹の家でもあってな。少しばかり顔を見たかった」

「そうですか……社長ってお金貸すんですね」

「普段は貸さん。だが、あの家の……特に勝利という男の父親に世話になってな。それで困っていたからその父親に……2億貸した」

 

 

 

 

 そう聞いて、少女は驚くように目を見開いた。まさかの2億円という大金を貸したことに驚いたのだ。

 

 

 何より、そんな大金を貸せたという事実にも驚いたのだ。

 

 

 

「まさか、社長……2億? 正気ですか?」

「私が正気であったことなどあるまい」

「……そ、そうですけど……2億って普通返せなくないですか? しかも今はその子供が借金してるんですよね?」

「無論、返せないと思っているさ。ただ、もしかしたら大きくなって、返ってくるかもしれんだろ?」

「いや、無理だと思いますけど」

「だろうな。ただ……発破(はっぱ)をかけてみたいと思えるんだよ」

 

 

 

 まさか、2億とも言える大金をあっさりかしてしまえるほどの胆力を当然のように持ち合わせていることに対して、福沢のよ家に座る少女は戦慄をする。

 

 

 

「……流石は夢咲プロダクション社長。そして……()6()2()3()()()()()()()()()()()と言ったところでしょうか?」

「……ふっ、昔の話さ。今はただのVチューバー事務所の社長だ」

 

 

 

 

 そう言って福沢は微笑みながらタブレットの電源をつける。そして、それを隣に座っている少女に見せた。

 

 

 

「──お前の……日凪ステラ(ひなぎすてら)新衣装だ」

「あら、嬉しいです。社長」

「書いたのは私ではない。イラストレーターに後で礼を言っておけ」

 

 

 

 

 そう言って、福沢は今度はパソコンを取り出し作業を始めた。その様子を見て……日凪ステラと呼ばれた少女は再び疑問を投げた。

 

 

 

 

 

「前から聞きたかったのですが……なぜ社長は引退されたのですか?」

「……それ今聞くか?」

「答えたくないのであれば無視で構いませんが」

「……ふむ、そうだな。お前は夜空に月が浮かぶのを見てどう思う」

「別に月だなと思うだけですが……」

「ふっ、まだまだだな。私は……月になりたいと思ったぞ。暗い夜空を照らす月のように輝きたいとな」

 

 

 

 

 え? この人何っているだろう? 一瞬だけそういう顔をした日凪ステラ、だが、すぐさまに顔を戻す。

 

 

 

「月ですか。照らすなら太陽の方がいいのでは? そっちの方が明るいじゃないですか」

「そうかもな。だが、私は……真っ暗な夜を照らす月がよかったんだ……だが、私では月になれないらしい。どんだけ人気でも限界を感じた……そして、そう悟った。だから……Vチューバーの事務所を立ち上げ、私よりも輝ける存在を探した」

「は、はぁ?」

「だから、私は夜を照らせるような輝きを探している。そうだな、それが理由だ」

「……つまり、自分よりも輝けるスターを作りたかったと?」

 

 

 

 

 そう言われると彼女はふっと笑った。

 

 

 

「そうだな。私は……目立ちたがり屋だったのかもな。誰よりも輝いてる、美しく見える月になりたい。でも、自分では無理だからせめて1番近くで見たいと思っている……これが答えだ。だから、期待してるぞ」

「えぇ、当然ですよ。私は太陽です。世界で1番美しい少女ですから。社長の願いも叶えます」

 

 

 

 

 

 

 

 最後にそれだけの会話を交わすと2人はそれ以上は大きく語らなかった。太陽と表される、日凪ステラは夢咲プロダクションと言われる女性Vチューバーしかいない事務所の看板配信者である。

 

 

 ──現在登録者は291万人。

 

 

 

 圧倒的な知名度と人気を獲得している輝かしい存在。

 

 

 

 そんな輝かしい彼女の裏で、月の女神が少しずつ当確を表していることを2人はまだ知らない。

 




ここまでで書き溜めと第一部終了です。続きはまた需要があれば!
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