20◼︎◼︎年 ◼︎月 ◼︎◼︎日 ◼︎時◼︎分
京都内某所
………私は往生した。
妻と四姉妹と十一人の孫に見守られながら立派なお屋敷の布団の上で私は息を引き取った______
____はずだったのだが。
死後行くところを間違えてしまったのか、見知らぬ神社に辿り着き、『楽園の守護者』を名乗る巫女によって私の魂は返された。
そうして返された場所も神社だったので、一瞬また同じ神社に辿り着いてしまったと思った。よく見れば記憶の彼方に沈んでいた記憶の中で、最も愛着ある神社だったので、懐かしさがこみ上げてくる。
セントラルパーク内某所に建立されたオイナリサマ神社。今際の際、また懐かしいところに訪れたものだと、神社を含め周りを見渡す。
遥か遠くに鳥型の火柱が上がった。
………そこではたと気付く。神社以外にも建てられていたはずの建物の殆どが錆、朽ち果て、崩落している様子に。はて?少なくとも私がパークにいた時分ではこんなことになった覚えはないのだが?
走馬灯に何を言っても無駄か。取り敢えずの散策とそれに伴って人生の、主にパークで過ごした日々を振り返ることにした。
さてパークとは………それは
そこには最初、多種多様な動植物と純粋な、名前も無い化石達とが展示されていて、国立図書館にも引けを取らない蔵書数の図書館もあり………そうかと思えばロボット・AI研究所があったりもした。
そして、いつのことだっただろうか、空から凶星がジャパリパークに墜ちてきたのは。その星はロッシュ限界を超え、片割れ現象を起こし、その身の半分をジャパリパークにばら撒いた。
………眩いばかりの虹色の軌跡と極光を空に残して。それから暫くの間は空から謎のキラキラとした虹色の煌めきが絶え間なくジャパリパークに降り注ぎ、それは嘗て人類が観測したことのない摩訶不思議な、奇跡のような現象を引き起こすことになる。
その現象のはじめては………動物園エリアへの搬入を待っていたサーバルの一個体。空から降り注ぐ謎のキラキラとした虹色の煌めきがサーバルに触れたかと思った瞬間、それはサーバルを〝女神〟へと変えた。
それからというものジャパリパーク各地で動物や不可思議な存在が人形化するという現象が観測され始めた。当初、煌めきをキラキラ、その人形化現象に女神化という呼称を提案した私であったが、後に空から降り注ぐ未知の虹色の煌めきを〝サンドスター〟、それによって低確率で引き起こされる動物等の人形化現象を〝フレンズ化〟と呼称することに決定。
この現象…動物であった時の記憶も引き継ぐのだから、ペットなどが人形化したときなどはそれはもうパークの職員達は狂喜乱舞の嵐だったような記憶がある。
それと共にあまり時間を置かずして、阿鼻叫喚、地獄絵図といった様子もパークの各地で見られるようになるのだが…主に黒い、暗いスライム状の〝ナニカ〟によって。
それらは直ちに手当たり次第人形を襲い始め、厄介な〝進化〟をして行くことになるのだが、アレらは総じて『余白』を埋める為の保存行為を繰り返しているだけと、最終的に優秀な研究員達は突き止めるに至る。
それが分かるまでには何十年もの時間を消費する必要があったが…、それまでにスライム…後にセルリアンと呼ばれる存在によって起きた被害は実に甚大なものだった。
元々ジャパリパークを開設するにあたって幾つかの自衛隊基地を内包することになっていたのだが、その全ては件のセルリアンによって破壊されてしまい、米軍の遣わせた兵器群もなんのその。
建物は蹂躙され、フレンズも取り込まれれば元の動物に戻ってしまい、フレンズ時に得た『個』(記憶、性格)を失っていった。
…そこでセルリアンを倒す救世主となったのは意外にも、人形を獲得し、意思疎通が容易となった元動物達…フレンズ達と【核兵器】であった。
勿論私は核の使用は最後まで反対させてもらったが、最終的にこのパークから我々が去る事になる重大インシデント発生時は躊躇わずにドカドカ撃たせた。それほど危急的対応を求められるような状態だったから…。
その間フレンズらは全員サンドスターをどうやってか閉じ込めたボトルを持たせてパーク外に避難してもらったりした。フレンズ達の輸送コストが天文学的数字になったが、人間の都合(お金、経済といったシステム)でフレンズのみんなを見捨てる選択肢は最初からなかった。
…と、考え事をしていれば、モノレール乗り場まで来ていたようで、音声をはっきりと聞き取れないラッキービーストの案内によって乗車する。
行き先は………キョウシュウエリアだ。
ぷよ「…」
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そして辿り着いたのはサバンナだった。そこに草原から飛び出してくる影…。
サーバル「わーい!」
私にとってはフレンズの〝原点〟とも言うべきサーバルの女神様が姿をお現しになられた。
サーバル「さいきんキラキラがかざんからでなくなって、あたらしいこがうまれてこないからひまだったんだー!あそぼー?!」
「うん、あそぼう」
………ここに来てサーバルの発言によってはたと気付いたことがある。この走馬灯世界に来てからサンドスターが発する輝きを全くと言っていいほど見れていなかったのである。
空から幾ばくかの欠片を余すことなく降り注がせた光はいつしか無くなり、サンドスターの枯渇が心配されていた頃、今度は地下(火山や地割れ)から大量に吹き出してきたのがサンドスターロウとよばれるサンドスターが劣化?したもので、それからはセルリアンが生み出された。
それを四神などと協力し、恐らくは性質の『反転』をさせて、サンドスターと同等の現象を引き起こすものにした。
サーバル「じゃあいくよー?かりごっこ!」
「た、たべないでくれー!?」
それらは半永久的に枯渇する心配はないとされていたものの筈だ。現状この地上にサンドスターが確認されていないだけで、地下に元となるものがある可能性はあるが、サーバルと遊ぶ中チラと見た付近のサンドスター濃度計は地下にサンドスターロウがある可能性を支持してくれなかった…。
つまりは、今後このサーバルの内包するサンドスターが消費されきった場合、完全にフレンズがこのジャパリパークからいなくなるという事態が予測される。
………それはぜったいにいやだなぁ。そんなこどもじみたことばがあたまにうかんでくる。あるいはこのすがたにせいしんがひっぱられているかも?
そんなことはどうでもいい、とにかく、そと、そととれんらくを…。
サーバル「はー、たのしかったねー!かりごっこ!」
「うん、たのしかった」
ちかくのラッキービーストをつかまえて、ちいさなほんたいのきんきゅうれんらくボタンをおす。
………かえってきたのはざーというざつおんだけ。………いや、ノイズにまじって3152ねんとかきこえたけど、まさかせいれきじゃないよね?
そこにすずのおと。
「?」
サーバル「あー、コトノハ!きてたんだ」
どうやらぼくにはみえないコトノハっていうこがきたみたい?ぼくはすずのおとだけでそのそんざいをかんじとる。
コトノハ「言霊世界への救援ありがとう」
サーバル「えーっと?それってなんだっけ?…そう、コトダマン!!」
コトノハ「あー、他の方はもういらっしゃらない…いえ、別の時間軸を捉えればまた逢えます…よね」
サーバル「あれ、もういっちゃうの?ばいばーい!またねー!」
ぼくにもきこえた、コトノハのことば。かのじょ?はかいざいしゃってやつなのかもしれない、それがどういういみだったのかどわすれしちゃったけど、たぶんあってるとおもう。
とりあえず、このみじかいあいだにいっぱいあせをかいたから、しおうりばにでもいって、しおをなめないと、みずものまないと…。
サーバル「どこいくのー?ついてっていい?」
「うん!いいよー!」
サーバル「わーい!」
とにかく、さーばるのもってるサンドスターがへらないことをいのりつつ、このそうまとうのせかいをさまようことがいまぼくにかみさまがプレゼントしてくれたことみたい???
なにか、なにかをとりもどさないといけないきがするんだけど、きっときのせいだよね?
あれからどれくらいサーバルとすごしたかなんて、もうわからない。
「サーバル、…あいしてる」
サーバル「わ、わたしもー♡」
たしかなのは、どこかでとりもどさないといけないとおもっていたことをひとつとりもどしたきがすることだけだ。
あとはねがい、そう、あのきらきら、サンド、スターだっけ、それをうむねがいたちさえこのちにとどけば……………そう、きっとサンドスターはだれかの、だれかたちのねがいだから……………。
たぶん、それでだいたいもとどおり……………。
以上終末的けものフレンズ世界でした。