インフィニット・ストラトス 平和を求める者   作:ディニクティス提督(旧紅椿の芽)

11 / 14
010.対抗戦

クラス対抗戦当日。

俺は電、一夏、マドカ、響のメンツで観客席に座り、試合を観戦していた。まぁ、ほかの専用機持ちは試合に出るか、何故か管制室の方に行ったしな。それに、俺はああいうところは好きじゃないし。

 

「なぁ悠助、この視線なんとかならないのか?」

「…………知るか。物珍しさじゃ最高レベルだし」

「だよな…………」

 

はぁ、とため息をつく一夏。まぁ、仕方ないだろうな。観客席といっても、周りは女子のオンパレード。いくら時間がたっても好奇の目が衰えることは無い。こんなものばっか食らってたら、胃が弱くなってしまいそうだ。

 

「そういえば一回戦って、一組と二組の対決だったよね、兄さん?」

「ああ、そうだぞ。それがどうかしたのか?」

「この対抗戦の優勝クラスにはデザートフリーパスが貰えるんだ。だから、あいつに頑張ってもらいたいなってさ」

 

マドカ…………お前、どれだけ甘い物が食いたいんだよ。俺はそういうのいらないんだが。あ、でも女子は喜ぶか、普通に考えて。特にマドカはやばい。パフェとか普通に二つ食いするし。それでいてちーちゃんのようなボディを維持しているからな…………織斑家の奴らは人としてブッとんだ奴らが多いのか?

 

「…………悠助、違うからな。俺は千冬姉ほど人をやめた覚えは無いぞ」

「そうか。だが、これ以上人の概念を破壊しないでくれ…………」

「それは私達艦娘にも言ってることなのかい…………?」

「いや、お前らは年相応の能力があるから問題ねえ。問題は、こいつらのカロリー消費が早いことなんだよ」

「「お前にだけは言われたくねえ!」」

「あ、あはは…………息ぴったり、なのです」

 

とまぁ、安定のグダグダっぷりだ。本当にグダグダだ。何をやっても適当に終わるし、織斑兄妹の相手をするだけで疲れは出るし、響電は愛でてやりたいし、俺は殺伐とした環境からこっちの平和な方にシフトしたし…………あれ? これ襲撃されたらまずくね? まともな戦闘ができないんじゃないのか? ま、どのみちそうなったら電と響は避難させて、俺と織斑兄妹で対処すりゃいいか。駆逐・特Ⅲ型に積まれている武装はかなりの破壊力(というか、そのまま武装を電達が使えるくらいまで小型化されただけだし、本物と同じ威力を持っている)だが、響はどうか知らないが、電は戦いに出したくねえし、出しても戦力にはならないだろうな…………助けることに全力になるだろうし。

 

「にしても、彼奴らが一回戦か…………何か起きるかもしれねえな」

「やめるのです、フラグの建造は指示されてないのです」

「もう手遅れだと思うが…………」

「響、ポッチー食べる?」

「スパスィーバ、一本貰うよ」

 

一夏が何やらフラグの建造をしようとし、それを電が阻止しようとした。しかし、すでに阻止限界点突破されてしまっていたのだった。流石、第一級フラグ建築士、侮れねえスキル所持者だぜ。まぁ、願わくはそのフラグがへし折れる事を祈る。ちなみにマドカは響に餌付けしていた。

 

『さて、クラス対抗戦、そのスタートを飾る一回戦のコールをします!』

「お、始まるっぽいぞ」

「ですね」

 

やっと、一回戦始まるのかよ…………長え、ここに至るまでが長えよ、おい。なんで開始予定時刻よりも15分遅れるんだよ。

 

『どうやら、そこのアマが駄々こねたらしいよ。男の出る試合を見たくないとか』

 

じゃ、来るなよ。

あと博士、心読むな。それと、回線に通知コール無しで繋ぐんじゃない。

 

『Aピットより現れしは一組代表、現代に蘇った白騎士! その手に握るは姉の誇り! 織斑春介!』

「「「ワアァァァァァァァァァッ‼」」」

 

まず出てきたのは春介のほうだった。どうせ、いつものような人を見下す笑みでも浮かべてんだろうなっと思って見てみると、どうも何か違う。こう、いい意味で緊張している、とでも言ったらいいんだろうか? とにかく、俺とやった時とは違う感じはする。少なくとも、人は見下していねえな。

 

『Bピットより発進するのは二組代表、中国の生みし新たな龍! 本人の快活さはまるで猫⁉ 凰鈴音!』

「「「ワアァァァァァァァァァッ‼」」」

「鈴が猫か…………強ち間違ってはいないわ、これ」

 

…………紹介あれだな、悲惨すぎるわ。あ、ちーちゃんが放送室のほうに向かって行った。あれは、粛正の断頭アイテム[出席簿]を持っていったパターンの奴だな。

しばらくした後、この蒼天に響き渡るようないい音が放送室から出たのは言うまでもない。

 

 

『ひょ、ひょれでは、ひ、ひっかいへんほ…………はひへはふ…………』

「「「…………」」」

 

会場無言。もはや、何を言ったらいいのかわからねえ。ついでに通訳しておこう『それでは、一回戦を始めます』と言った模様。というか、叩かれるような事を最初からしてんなよ。ほら見ろ、アリーナの中にいる彼奴らも戸惑ってしまっているじゃねえか。

 

「なんだろうな…………俺、既視感があるぜ…………」

「それ、お前の過去の中だけだろ」

『両者、試合開始‼』

 

その合図と共に、互いの得物をぶつけ合う二人。片方は刀、もう片方は青龍刀。手数でこそ春介のほうが優っているが、一撃の強さを見ただけでは鈴に歩がある。

 

「鈴ちゃんすごいのです…………」

「あんなに大きな青龍刀を片手で、それも二刀流…………ハラショー」

 

中国の第三世代機・甲龍は近接パワー型。あれくらいの芸当は当然できるだろう。というか、あの国も好きだよなー、青龍刀とか偏月刀とかさ。どうしてトップヘビー型の近接武器を積もうとしたのか。まぁ、破壊力は折紙つきだけど。

斬り合いが続いていたその時、突然春介がアリーナの壁にまで飛ばされていた。

 

「な、何が起きたんだ…………?」

「…………衝撃砲か、面倒な」

「衝撃砲?」

「ああ、空間に圧力をかけて生じた衝撃波を打ち出す、空間圧作用兵器。弾は目視できないな」

「殆ど最強の武器じゃねえか…………」

「射程の短さを除けばな」

「CIWSみたいな扱いか」

 

…………相変わらず中国の変態たちには驚かされる。この衝撃砲もそうだが、俺らのほうでは肉弾戦特化のATを作ったり、全身に外部爆発反応装甲のようなリアクティブ・アーマーをつけたりとか格闘戦に偏ってる傾向がある。なぜ爆発かというと『中国は爆発が命アルネ』とか、似非中国人風に言われた。アホじゃねえの…………芝本レベルでイカれてるわ。

 

「それにしても、激しい戦いなのです!」

「こんな近接格闘戦は始めて見たよ」

「私にとってあれくらいは余裕だな」

「お前は銃剣で大剣を余裕で受け止めているだろうが」

「お、柄を繋げてブーメランのようにしたぞ」

 

試合の熱は最高潮に達した。多分、この試合が一番になりそうな勢いの熱狂ぶりだ。そして、春介が鈴の生んでしまった僅かな隙にブーストで強襲を仕掛けようとした、その時だった。

 

[未確認機確認、直上より高エネルギー体接近]

 

突然ナーガから展開されたディスプレイにそう表示された。その背景には警告を示す『WARNING‼』の文字が。これはヤバイ、俺の直感がそう訴えている。

 

「お前ら! 頭を伏せろッ!」

 

俺がそう叫ぶのと同時に、禍々しい閃光がアリーナの中で炸裂した。それに遅れてやってくる衝撃波。

 

「きゃっ!」

「危ねえ!」

 

それに対応できなかった電を、俺は引っ張り寄せる。幸いにも怪我のある奴らはいないようだ。

 

「な、何が起きたのですか…………?」

「ああ、全くだ。突然光が見えたと思ったら、このザマだぜ」

「それに加えて周囲はパニック状態だな」

「厄介な自体になったね…………」

「…………おそらくだが、乱入してきたのはIS。数は二機、何の目的かはわからない」

 

俺の言葉に四人は驚く。だほうな、まさか襲撃者がISなどと考えたくはねえだろうさ。俺だって御免だ、あの機動性と特殊装甲には手を焼く。もっとも、リミッターを外せば大破させる事は可能だが。まぁ、外すのは簡単だけど。パスワード入れればいいだけだしさ。

それよりもこの状況を何とかしないといけないな。

 

「よし、俺らで独立して行動するぞ」

「おい、マジかよ…………」

「電と響は観客の避難誘導を頼む。俺と一夏、マドカでアリーナ内の敵を撃滅する。問題ないな?」

「了解、行動を開始するよ」

「了解なのです!」

「頼むぞ」

 

電と響は人混みをかき分けて扉の方へむかう。おそらくロックがかかっているのだろう。開くそぶりを見せず、より混乱に陥れている。しばらくして、砲撃音が鳴る…………って、あーあ、扉を連装砲で吹き飛ばしたよ、あの子達。ま、避難出来たようだし、一応緊急時だから仕方ない。

 

「一夏、バリアを斬れるか?」

「はぁ…………やるしかないのか」

「なんだ、ため息なんかついて」

「いや、めんどくせえなって」

「おいコラ」

「じ、冗談だって。早いとこ敵を片付けるとしようぜ」

 

一夏が蒼龍を展開するとともに、俺もナーガを、マドカもヒュドラを展開する。ヒュドラの外装は藍色、ダークブルーに近い色を基本とし、その特徴的なデュアルアイはメタリックブルーの輝きをしている。こうしてならんでいるのを見ると、対を成す存在である事がよくわかるな。

 

「IP濃度最大…………ぶった斬るぜぇぇぇぇっ‼」

 

一夏はブレードライフルの刀身にインサニティ粒子を纏わせる。元々IPクリスタルより作られた刀身だ。それにIPCを施すと、想像を絶する破壊力を生む。具体的には、厚さ50cmのオリハルコニウム合金を斬れる、歪みなく。

つまり、こんなアリーナのバリアなど容易に裂く事ができるというわけだ。

 

「よし、修復される前に突入する! 全機、戦闘開始(コンバット・オープン)!」

 

俺はホライゾナルスラスターを点火し、一気にアリーナ内へと突入する。そこには、何やら見覚えのある奴と、異形のISが春介と鈴に襲いかかっていた。

異形のISは、その細いボディに反し、腕が異様に大きく、先端に砲口らしきものがある。頭は胴と一体化、単眼レンズが禍々しくひかっている。

そして見覚えのある奴だが、全体的に丸みを帯びたフォルム、頭部のラインアイ、背中のスラスター…………どれを見ても、俺にはあれしか思い浮かばなかった。

 

(ロシア製第二世代陸戦型、ラマーチ…………何故ここに?)

 

俺の敵であったユーラシア連合残党軍が主に使用していた陸戦型歩兵搭乗型戦機だ。腰裏に対装甲ナイフを装備、右腕に12.7mm対人機関砲が内臓されている。装備としてはそれくらいしかわからない。あとは何を積むにも自由だから。

 

「一夏! マドカ! お前らは向こうのへんなのを頼む! 俺はこいつをやる!」

「おう! 任せろ!」

「終わったら援護に向かう!」

 

俺は最近殆どいじったことのないスロットを視線操作する。背部拡張ユニットだ。と言っても、背部だけじゃなく、肩や腰などのハードポイントにも装備されるが。今あるユニットは、B型、G型の他にセミアサルト、セミガンナーがある。L型がG型に統一され、セミタイプが博士の手によって作られた。とりあえず、G型を使う場面ではなさそうだから、セミガンナーでいこう。

 

(拡張ユニット、セミガンナー選択。左、アサルトライフル選択)

 

スロットが合わさり、装備が召喚される。左手には馴れ親しんだアサルトライフル、両肩にはL型の時にも世話になった三連装ミサイルポッド、そして背部には折りたたまれた155mm単装砲がサブアームで懸架されている。これが新しい中・遠距離砲撃戦ユニット、セミガンナー。

 

「鈴! 加勢するぞ!」

「その声って、悠助⁉ アンタ、なんでこんなとこにいるのよ⁉」

「俺だって一応専用機持ちだからな!」

 

ラマーチに向かってアサルトライフルと単装砲を放つ。だが、奴も一撃がヤバイ単装砲を避け、その手に持つショットガンを撃ってくる。俺はそれを攻撃範囲外に出るのと同時に両肩からそれぞれ一発ずつミサイルを放つ。弾頭はHEAAT(対AT成形炸薬弾)。あたりどころがよければ、第二世代までなら撃破可能な代物だ。

しかし、奴も考えやがった。ミサイルに向かってショットガンを撃ちやがった。ミサイルは撃墜され、代わりに対人機関砲が俺たちに放たれてきた。まずい、実戦からしばらく離れていたから、腕がなまっているぞ、こりゃ…………。

 

「鈴、お前、エネルギー残量どのくらい?」

「もうカツカツよ! なにあのショットガン⁉ 一撃で三割持っていかれたわ‼」

 

こいつは下げた方がいいな。博士によればATはISを破壊することも容易にできるらしいし。

 

「撤退しろ。下手すると死ぬぞ」

「…………なんか釈然としないけど、わかったわ。アンタも死ぬんじゃないわよ」

「わかってる」

 

鈴を下げ、再びラマーチと対峙する。あれを潰すにはやっぱりアレを使うしかないか。

 

(弾頭変更、チャフ、スモーク)

 

先程放ったミサイルの空いた部分にチャフとスモークのミサイルを装填させ、放った。俺はホライゾナルスラスターを点火し、出来るだけ動き続ける。そして奴は先程と同じようにミサイルを撃ち落とす。が、中からは金属片とスモークが出てくるだけ。だが、ロシア製にはこれが効く。ロシアの機体は電子系が脆い、とにかく脆い。チャフで各センサーは死ぬし、そこでスモーク焚かれたらもうお手上げだ。それにこちらからはモロ見え。

 

「さっさとくたばれ、このテロリストが‼」

 

単装砲を放ち、一気に黙らせる。弾頭は多段階アーマーピアーシング弾、ATにこれ程効果的な弾はない。まぁ、高価なんだがな。

カカカカッ、と連続して炸薬が弾け、その度に装甲に食い込んでいく。スモークが晴れた頃には、かなりグロテスクなものが見えるだろうが致し方ないか…………だが、何故断末魔も悲鳴も聞こえなかったのだろうか。まぁいい、とりあえず向こうに加勢するか。終わっていそうな気もするがな。

 

 

 

 

 

「さて、マドカ、殺るか!」

「そうだね、殺るよ!」

 

悠助と別れた(一夏)たちは、もう最初から容赦するつもりもなかった。何でかって? そりゃ、死にたくねえからだろう。前にドイツ軍に遊びに行って、そこの隊長さんと訓練してきたから、そのへんの重みはわかる。げんきにしてるだろうか、あのちびウサギは。

 

「ブレードビット、展開!」

「ガンビット、シールドビット、フルオープン!」

 

俺たちはお得意のビット兵器を全て出して吶喊する。ビットとは、脳波制御(Brain control)インターフェイス(Interface)テクノロジー(Technology)の頭文字を取って名付けられた兵器だ。俺たちにはその適性があるらしい。だがマドカは異常じゃないか? 同時に三十五基をランダムに操作するって。

 

「兄さん、さっさと春介を下げさせよう」

「そうだな、エネルギーも心もとねえだろうし」

「援護は任せて」

「了解」

 

俺は斬りかかろうとして避けられている春介の元へいく。あの雪片は展開しているだけでエネルギーを食らう。大飯食らいにも程があるだろうって。

ブレードビットを乱入者に向かって飛ばし、撹乱させている隙に春介へと近づく。

 

「春介、無事か?」

「に、兄さーーんんっ、愚兄、何のようだ?」

「お前は下がれ。あとは俺たちでやる」

「フン、こんなやつ僕がこれから倒すーー」

「いいから下がれ。エネルギー、殆どないんだろ? お前が死ぬと俺も千冬姉が悲しむんだよ」

「…………わかったよ」

 

よし、とりあえず春介を下げることが出来たな。ちなみにこの間も流れ弾を避けるので必死だ。てか悠助の方から砲弾が流れてくるんだが…………なんか、目の前のやつのビームより怖いぜ。

 

「よし、それじゃ行くぜ!」

 

俺は左腕にトンファーブレードを展開、アームカノンと共に、マドカのビットからもビームが放たれる。それを目の前の奴はギリギリで回避するが、装甲の表面は少し融けている。

俺は一気に接敵してトンファーブレードを振り抜くが、奴の装甲を浅く切る程度だった。その切り口にマドカは射撃を集中させる。だが、奴も危機を感じてきたのか、最も装甲が厚いであろう腕の部分で防ぐようになってきた。そして、俺から一気に離れた直後に砲門の一斉射撃。

 

「くっ、こいつは面倒くさそうだな」

「狙撃もこれはきついな…………兄さんのブレードライフルで貫くしかない」

「というか、あれって人乗ってる?」

「乗ってないんじゃないのか?」

「やっぱり?」

 

なるほど、やっぱり無人機か。殺気を感じないからそうかとは思っていたけどマジか…………なら、本気でやっても問題ねえな。

 

「この一斉射撃が終わったら、仕掛けるぞ」

「シールドビットはカノンモードにする?」

「できれば頼みたいな」

「わかった」

「よしそうと決まったらーー」

『春介ェェェェェッ‼』

 

突然鳴り響くハウリング。この声って

 

「げ、掃除用具⁉」

「モップがなんでそこに⁉」

『男なら、そのくらいの敵を倒せなくてなんとするッ‼』

「好き勝手言いやがって…………」

『敵を前にして背を向けるな‼ それでも男か⁉』

「頭の中花畑…………」

 

掃除用具にぐちぐち言うが、もうどうしょうもない。春介は今頃隅っこの方で待機させておいてある。まぁ、万が一に備えてだが。

というか、あの無人機の砲門、放送室の方向いてね? あれはまずいのか?

 

「に、兄さん、放送室の方にモップ以外にもう一人、気絶しているんだけど…………」

「はぁ⁉ やばいだろって‼ 掃除用具はどうでもいいけど、その人はやばいだろって‼」

「ダメだ‼ ビットが間に合わない‼」

 

放送室の方に向かっていくビームが酷く遅く見える。あ、ああ…………無関係な人まで命を落とすなんて…………何のために手にした力なんだよ…………守るためだろうが、争いと無関係な人を…………。

 

(貸してくれ蒼龍…………俺に、あの力を…………‼)

 

ーー搭乗者の感情変化を確認

ーーパターン、青

ーー各リミッター解除

ーーCODE:OVER DRIVE

 

その時

 

 

 

 

俺の相棒の龍は

 

 

 

 

確かに応えてくれた。

 

「ふんっ‼」

 

俺はスラスターを全開にしてビームより先に回る。限界負荷起動中ならこのくらいできるぜ。そして、ブレードライフルを振るってビームを打ち消す。これくらいビームの雨の中をくぐり抜けるよりは簡単だ。

 

「おらぁッ‼」

 

そしてブースターを点火、一気にクロスレンジまで接敵する。ブレードライフルを横薙ぎに振るって、奴の左腕を切り落とす。ちっ、胴薙ぎはできなかったか…………。

俺はその振るった勢いを利用してトンファーブレードを振るう。今度は右肩か…………なんか嫌な予感するな。

そう思っていたら、切り飛ばした左腕の跡からワイヤーが射出され、俺に絡みついた。まさか…………

 

「自爆⁉」

 

その証拠に単眼レンズが点滅していやがる…………あー、俺、終わったな。

 

「ふ、私の前で兄さんに手を出すとは…………いい度胸してるな?」

 

だが、無人機の頭がマドカの狙撃によって飛ばされ、ワイヤーもブレードビットで切り、離脱した。その直後、無人機は盛大な爆発を引き起こし、破片をあたり一帯に散らした。

 

「ふぅ、死ぬかと思った。シールドビット、サンキュ」

「礼には及ばない。なんせ、私の前で兄さんに手を出したんだからな」

 

そう言ってダークな笑をするマドカ。相変わらずだがブラコン怖ぇ…………なんで俺の周りにはシスコンブラコンロリコンしかいないんだろうか…………あ、ロリコンは悠助な。どう見ても電とかロリでしょ?

 

「…………一夏、俺はロリコンじゃねえぞ」

「わかった、わかったから。だから、そのキャノン砲下げて。てかマドカはこれになにも言わないんだ」

「今のは兄さんが悪いからな」

 

要するに自業自得ってことね…………俺ってなんでこんなに自分で死亡フラグ立ててしまうんだろうか。もしかして、そのうち後ろから刺されたりするのか⁉

そんなどうでもいい不安を抱きながら、俺たちはピットゲートに戻ったのだった。

 

 

 

 

 

「とりあえずは何とかなったな」

「避難の方はなんとか順調にいけたので問題なかったのです」

「12.7cm連装砲撃って扉をぶっ壊したけどね」

「順調じゃねえじゃんか…………とりあえず、始末書書いとけ」

 

ひとまず解散となった俺らは自室にて一時待機の命令が出された。あと、クラス対抗戦は中止となった。まぁ、妥当な判断だろうな。とりあえず、扉をぶっ壊した罰として電と響は始末書を書かされている。たしか、一夏もだったような気もするな、バリアをぶった斬ったから。

 

「まぁ、書き慣れているからいいのです」

「特に電はしょっちゅう書いてたからね」

「何をしたんだ、何を…………」

「演習中に衝突、定刻に遅刻、出撃中に渦潮で弾薬落とす、あとは…………」

「は、恥ずかしいから言わないで欲しいのですッ‼」

 

電の恥ずかしい過去をペラペラと喋る響の口を電は顔を真っ赤にして塞ぐ。それにしても、衝突って…………なんでそんな事になるんだよ。普通にあり得ねえ。

 

「もがっ。何をするんだいきなり」

「これ以上しゃべらせたら何を言い出すのかわからないのです‼」

「別にそこまでの事じゃないよ。ほら、夜にホラー映画見ておねしょしたり、暁達に無理やり黒タイツ履かせさせられたり、トイレの前で漏らしたりとか…………」

「十〜〜〜〜〜分っ! 恥ずかしいことなのですッ‼ というか、黒タイツの件は響ちゃんも関わっているのですよね⁉ あれ以来、黒タイツが本当にトラウマなのですよ⁉」

「そうだっけかな?」←視線そらす

 

…………やっぱり、今日も平和だわ。うん、こういう風に馬鹿騒ぎできるってのはいいのかもな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。