この告白のあと、俺はレッドに、研究室だけでなく、俺の自室に来てもいいし手を繋いでもいいと伝えた。レッドは俺が了承した全てをやり始めた。手は繋ぎにくいからといつの間にか俺の腕を掴むという形にはなったが俺には大差なかったから気にしていない。
ただ、レッドが俺の自室に来た時はさすがに俺も動揺した。レッドはあまりにも無防備だ。レッドは強いだろうが、俺が襲っても受け入れるだろうという恐れがあったからな。
それでドクター。ここからは俺の相談なのだが、俺とレッドではどうやら好きという感情にすれ違いが生じている。俺は確実にレッドが恋愛的に好きなのだが、レッドは誰に対しても好きというように、俺にも同じく好きと言って告白を受け入れたように見える。レッドはやたらキスを求めてくるし頭も撫でて欲しいと要求するが、それは俺以外にも頼んでいることなのかもしれない。そう思うと本当の意味で、俺とレッドは恋仲とは言い切れないかもしれない。だが俺は、レッドを手放す気にもなれない。感情というのはそう簡単に断ち切れないもののはずだ。それはお前も知っているだろう、ドクター。
そこで、もし俺がレッドと恋仲だという証明が欲しいのなら、レッドが本当に俺を恋人と思っているのか、その証拠や証言が必要となるだろう。それは俺以外の口から語った方が確実なものとなるはずだ。
だからドクターは、レッドや周りの者たちに俺のことを本当に心から想っているのか確かめてもらいたい。もちろんこれは強制ではない。お前が必要だと思うのならそれをしていいというだけだ。俺はレッドがそばにいる事実だけは信じているからな。
以上、俺とレッドが恋仲になった経緯の話はここで終わりだ。ついでに周りで騒ぐ奴らの口止めになるといいが。
「はぁ……」
ようやくソーンズの長い文体を読み終えた頃にはすっかり夜となっていた。執務室の明かりをつけ、ソーンズが書いた書類を鍵付きの引き出しにしまう。
これを読んでますます信じる要素しかなくなった。やはりソーンズとレッドは付き合っているのだ。やたらキスを求めてくるし頭も撫でて欲しいと要求する? それはもうレッドも好きってことでいいだろ。私はまさかロドスで色恋沙汰が騒ぎになるとは思わずガックリと肩を落とす。
いや、色恋沙汰で賑やかになるのはいいのだ。ただ、ソーンズとレッド、という組み合わせが意外過ぎるだけなのだ。ああ、どこで間違ったのだろう。やはり私が、ソーンズとレッドを同じ戦隊に編成した時から……?
思い返せば、確かにソーンズは実験で爆発を起こす度にレッドを、まさしくお姫様抱っこしていたことはよくあった。なぜだろうとは思っていたが、そんな理由があったとは。レッドからはそういう話は聞かなかったし、ソーンズは自ら語ることはなかっただろう。それとも私には秘密にしていたか。
私は報告書へ目を通した。ソーンズとレッドがいる作戦はいつだって高評価の作戦報告をしている。それはいつだって高評価だったが、一緒にいた他の戦隊メンバーからも話は聞いていた。
「今日はソーンズさんのおかげで上手く行きました……」
「ソーンズが助けに来てくれたんです!」
「ソーンズさんが代わりに出てくれて……」
という話はいつも以上に増えていた気もする。それは、レッドのことを目で追っていたから、より周りも観察するようになったこそのソーンズの良さだったのだろう。
「だとしてもなぜ私に……」
恋愛事を私に相談されても困る。というか最後の文章はほとんどが、ソーンズが語る「恋人が本当に自分のことを思ってくれているのか不安だ」の気持ちじゃないか。それは他所でやってくれ。せめて私の見えないところで……。
ドガン!!
直後、部屋が大きく揺れた。敵襲か?! と私は立ち上がったが、次の聞こえてきた騒動で全てが分かることとなる。
「またあのソーンズが爆発させたぞ!」
「なんでこんな夜に!」
「今夜も甲板にぶら下げよう!」
ロドスは今日も、平和だ。
つづく?