アリアが舞う   作:mera

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宴の前の日常

結局、二人とも酔いつぶれ、オーガも私が運ばせる羽目に。ですので、コロに下腹部の突起を噛み千切るように命じておきました。けれど、あの子は優しいですからせいぜい腿に噛みつくくらいでしょう。

「さて、タツミ。人生初の二日酔いの気分はいかがですか。」

「あー。頭痛い。ガンガンする。ってなんで人生初だって分かるんだよ。」

「辺境の村に酒を嗜む余裕があるのはそれこそ千年前の始皇帝か四百年前の臣具帝の時代くらいなものですよ。」

水差しから水を注いで渡す。

「ありがとう。アリアって色々知ってるよな。帝国貴族はそんなのが普通なのか。」

「いえ、誰しも、商売と趣味の範囲は詳しいものですよ。私の場合、両親の趣味の範囲もくわしいですけど。俗に言う英才教育でしょうか。趣味ではないので使うことはあまりありませんが。」

「必要なら使うのか。」

また、苦い顔をして本当に優しいですね。

「自分の命が懸かっている時には。私は殺す(踊る)方が好きです。少し機嫌を損ねたようですね。でしたら。ちょっとした大道芸をして許してもらう事としましょう。」

そう言いつつ、手元に置いてある果実とタツミの服についてる長めの糸くずを手にする。

えい。と掛け声一つ。上手にいきました。

「ウサギさんです。と糸を用いた人殺しの技術の応用です。才能がなかったみたいで射程は一メートルあるかないかですから。実戦では使えない大道芸ですね。」

「うわ!!すげえ!!えーと。」

「私が目の前で独り占めするように見えますか。殺し殺されるのは好きですが食べ物の恨みで。というのはさすがに少し無粋です。」

「よっしゃ。」

「まぁ、いきなりがっつくよりよほど好感が持てますよ。そうですね。……結ばれても良いかもしれませんね。」

勿論、私を十分にリード出来るようになった時の話です。

幸い、寝ている間に隈なく調べたところ才はありそうですから。

「えっと、アリアさん。それはどういう意味デショウカ」

「おや、女性に何もかも言わせるおつもりで。実力と名声を稼ぎさえすればこれほど良い殿方はいませんから。それにタツミは家名が手に入りますし、故郷の税を軽くするのも縁故採用の窓口にもなれますよ。私にもタツミにも利がある素敵な関係です。」

「えっと、冗談デスヨネ。アリアさん。……それに俺はあんな事は出来ません。」

「闇は知らない振りを。巻き込まれた時は助けて差し上げます。殿方を支えるのは淑女の嗜みですから。それと、断る時は曖昧な笑みを浮かべるように。それで私は察します。そこまで困った顔をされると傷つきますから。」

「分かったよ。それとさっきの話の返事だけど」

「それは、タツミが実力と名声を得た後に。急いで答えなくともよろしいですし、急いで答えるべきものでもありませんから。簡単に決めれる事は簡単に変わるものですし。さて、屋敷を案内した後、早速狩りに行きますよ。故郷の為に入用なのでしょう。」

正義馬鹿がもう屋敷前で待っているでしょうから早くしないと。……別段いいですか。集合時間に一時間も早く来るセリューが悪いのですし。

使用人を呼び止めコロとおまけを持て成すように言っておく。

 

 

屋敷全体を案内し終えた後大事な事を言っておく

「家から離れた倉庫と地下室には立ち入らないように。地下室にはカイザーフロッグがいますから。」

「たしか何でも溶かす溶解液を持った特級危険種だったよな。何のために。」

「何でもではありませんが大概のものは溶かしますから。例えば死体とか」

本当は溶解液を利用してとある拷問に使うのですが態々タツミの怒りを買うこともありません。許してくださいね。

「それも帝都の闇ってことか。倉庫は。」

「立ち入らないでください。理由を気にすることも禁じます。」

「分かった。そこまで言うってことは。」

「察しの良い殿方は好きですが、そんな些事に関わっている暇はないのでしょう。さて、友人を待たせているので行きますよ。集合時間五分前ですから。」

 

 

「おっそいです。いつまで待たせるんですか。アリア。あ、私は帝都警備隊所属セリュー・ユキビタスです。よろしく初めまして!!」

「タツミです!!」

声の大きさを初対面で競っているのですか。貴方たちは。なんだかムカつくのでからかう事としましょう。

「こちら私の友人の帝具コロと飼い主のセリューです。はい、ジャーキーです。コロ。おいしいですか。」

「きゅるきゅる。」

「いや、友人は私でしょう。え、そうでしたか。という顔しないで下さい。泣きますよ!!」

「といったようにからかいがいのあるいい友人ですよ。正義を信じる。信じすぎるのが美徳で欠点ですが。セリュ-、悪とは。」

「悪は即斬。正義は常に勝つのです!!勝たねばならないのです!!」

「でも、警備隊ってことは。」

「あの試験の事ですか。セリューは免除されましたから。」

「帝具を持っていたから。」

その様なまともな理由なわけがないでしょう。彼女は私の友人ですよ。と返したいところですが私との付き合いの浅いのでは通じませんので説明するしかありませんか。

「いえ、同じ事をした場合。罪人を殺し、濡れ衣を着せた者を殺し、居ない犯罪者を探して帝都が血に染まりますから。」

「いや、まさかそんな。さすがにそこまで過激じゃないですよね。」

タツミがすごい顔をしています。セリューも悪人を殺す時は似たような顔していますが面白いです。

「それが、前例がありまして。ねぇ、セリュー。」

「えっと、どれの話ですか。頑張りすぎて怒られた経験は山ほど有って。」

「というわけです。有名ですよ。警備隊のセリューと言えば。タツミも悪い事をする時は証拠を残さず、セリューに見つからないよう気を付けてくださいね。」

「そもそも、悪い事したらダメですからね!!タツミ君。アリア。」

「セリューは現行犯でさえなければ、法に基づいて悪かどうか判断します。だから、裁判にさえなれば無罪を買って差し上げます。」

「アリアを見るたびに法の冷たさを思い知ります。それでも法の正義のため私は闘うのです!!」

「えっと、それならどうしてアリアと仲がいいんですか。」

当然の疑問です。ただ、セリューの考え方を他人が理解できるでしょうか。

「変な事を聞きますね。タツミ君は。確かにアリアは殺人が好きです。アリアが行ったとされる事件は私が調べた限り星の数ほどあります。」

全部非公開裁判や非公開文書でオーガでも閲覧が難しいのですがどうやって一般の警備隊員が知ったのでしょう。貴族の犯罪関係は厳重に秘匿されるのですが。

「でも、アリアは全てにおいて無罪とされました。法が悪ではないと言った以上アリアは悪じゃないです。悪じゃないなら善です。善人と仲良くするのに何かおかしいですか。」

「それでいいんですか。賄賂で無罪になる悪人だっているはずなのに!!」

「だからこそ私は偉くなります。無罪を買う悪を法で裁けるよう司法権を手に入れるまで!!」

タツミがよく分かってませんか。普通に生きている限り聞くことのない言葉ですから。

「えっと、分かり易く説明するとですね。今までセリューは証拠を集め、それを上司に渡す。もしくは、裁判所に直接届けて判決をもらってから殺していました。司法権を手に入れると悪即斬が成り立つわけです。」

「勝手に罪人を殺すのはいいのか。」

「セリューは罪人を処刑する権利をすでに持っていますから。」

「えー!!名前が伸びて書類記入が大変にされた。みたいな嫌がらせしかされてない。」

断絶させた由緒ある処刑人の家名を嫌がらせ扱いですか。高かったのですが。

「といった具合に今の帝都で買えない物はあまりありませんよ。頑張って騎士にでもなってみますか。タツミ。」

「いや、遠慮しておく。なんだか体よく利用される未来しか見えない。」

自らの分を知るですね。私が見つけなくてもタツミは案外生き抜いていたのではないでしょうか。

「きゅいきゅいきゅい!!!」

「コロ。お腹が空きましたよね。行きましょう!!アリア。」

「そうですね。そろそろ楽しい殺し合いに赴くとしましょうか。準備は万全ですか。タツミ、セリュー。」

「「勿論!!」」

息ピッタリですね。貴方達。ああ、なぜかムカつきます。

 

 

 

 

帝都近辺の森に来ました。タツミとセリューには悪いですが少々用事があるので単独行動させてもらいます。

「さて、今日の狩ですがセリュー。タツミの子守を任せます。才能ある子なのでそんな手間ではないと思います。」

「え、アリア。……猛毒の森に行って何を取ってくるつもりですか。返答次第で。」

あの森には芥子が自生していますから。取ってきたら殺されますね。採取する気なんて全くありませんが。いえ、春先にあの綺麗な花が見られるなら植えるのも悪くないかもしれません。紅、白、青と品種によって色もありますから。花が咲く前にセリューが焼き払いますね。残念です。

「子守って俺はそんなに弱くはないです!!」

一斉に喋られても。耳は二つですが口は一つなのですよ。

「指弾と吹き矢の弾を採取しに行きます。禁制の物は取ってきませんからご安心を。タツミは弱いです。今は。いじられてないセリューくらいの強さはあっという間になれますよ。」

そう思わせるだけの才がありますから。

「いじる。セリューさん。何のこと。」

「それはですね。タツミ君。才能無い分、私たちは色々してるのです!!例えば、アリアの場合は胸が邪魔だからそぎ落として、あとは、痛い!!その鞘、鉄、鉄だから!!腰は生身だから。砕ける!!」

「殿方の前でする話ではないでしょう。そもそもなぜ私を例にしたのですか。自分の義足義手を教えればいい話でしょう。」

「奥の手は秘すモノだといつもアリアは言うから。アリアは見た目ですぐ分かるから良いかと思って。」

「胸以外をばらしかけたから殴ったのですよ。前みたいに手足を斬らないだけましだと思ってください。」

「あ。じゃあ、タツミ君は任せて。いってらっしゃい!!アリア。」

「……はい、行ってきます。」

気を取り直して、梟を持て成すために必要な道具を取りに行きますか。

 

 

これだけあれば一戦分は十分でしょう。

採取を終えて集合場所に向かう。

「どうやら、お楽しみの最中ですか。混ぜてもらっても。セリュー。」

「お願い!!タツミ君が予想以上に強いけど特級危険種、ワイバーンの百匹以上の大きな群れはきつい!!コロ、投石!!」

流れるような動きでコロが撃ち落したワイバーンの頭を足で踏み砕いていきます。問題はなさそうですね。

 

「引き付けて、無駄なく、力強く、振りぬく!!」

タツミも一対一では苦戦しませんか。見込み以上です。

 

あのような事を言って二人でも十分そうじゃないですか。ですが混ぜさせてもらいますよ。こんな素敵な殺し合い(パーティ)を二人占めはずるいです。

「歩法足軽。龍翔閃。」

重さを消して上空に跳び、手頃な相手の首を構えた刀で落とす。

そのまま死体を蹴り、加速して落ちて

「龍槌閃・惨。」

滑空に入りタツミを狙っていたワイバーンの頭蓋骨を貫く。

私を脅威と見たのでしょう。鳴き声が五月蠅いです。慌てて申し込まれなくてもきちんと全員お相手いたしますから。

刺した刀を抜く暇も与えてくれませんか。なら、予備の刀を掴み

「零閃。龍巣閃。」

神速の居合を放つ。そのまま周りを適当に切り刻む。一方は最期まで踊れましたし、他の方のお相手もできたようで何より。一点集中の咬ならもう一方最後まで付き添えたのでしょうが。他の方をあぶれさせる訳にはいきませんから。そうして他の方をどうお相手しようか考えて

「でぇぇりゃゃゃぁぁ!!」

刹那、思考が止まりました。

タツミが周りの方を片付けてくれましたという事実で。

ここは低空とはいえ空です。一体どうやって。疑問はすぐ霧散しました。下でコロが何かを投げた後のような恰好をしていましたから。

セリューが無駄に晴れやかな顔をしているところを見るに発案は正義馬鹿のようですね。

「コロを使ってここまで来たのですか。ところで、着地の算段はございますか。」

思った通りの顔をしてくれますね。後先考えて動いてもらいたいのです。

「掴まって下さい。足軽で可能な限り軽くして衝撃を小さくしますから。」

足軽を完璧に出来れば怪我をしないのでしょうが、未熟者の私では運が良くて捻挫、悪くて骨折ですかね。人より治るのは早いのですが痛い事は痛いのです。

 

 

 

 

「このおバカさんたち。何か申し開きは有りますか。」

「「申し訳ありませんでした!!」」

全く。結局着地は上手くいかず足が折れてしまいました。動けなくても居合は出せますから自衛は出来ますが一日は歩けませんね。

今は、セリューに背負ってもらっています。

梟を迎えるために宴の準備あるというのに。

「セリュー。暫くこき使わせてもらいますからね。」

「え!刺しこんでいるあれのおかげで明日には治るでしょ。今回の事は笑って許して。喜んで働かせてもらいます!!」

手にした刀を無駄に重そうな胸に添わせたら素直になってくれました。

「では、頼みますね。」

大事な事を言い忘れていました。

「それと助けていただいて有難う御座いました。セリュー、タツミ。嬉しかったですよ。」

 

 

暫く歩いた後、話す話題も尽きたのかタツミが私の採取袋を覗いています。

「気になりますか。中身。」

「ああ、うん。特にこの赤い人の手のような茸とか。」

そうですね。セリューを安心させるためにも説明しておきましょうか。

「それは火焔茸と呼ばれる毒キノコです。硬い肉質で指弾の弾に。人間の場合は指弾一発分で致死量となり便利ですから。後触れるだけで爛れますから触らないように。」

「わっ!!どうしよう触った。」

「仕方ありません。お姉さんが助けてあげましょう。コロ、舐めて。」

その声とともにタツミが舐められます。確かに生物型帝具に毒は通じませんから正しい対処です。ただ、セリュー。何もしてませんよね。貴女、何でそんなに誇らしげなのですか。

「他には吹き矢の材料としてゲルセミウム・エレガンスとトリカブト。解毒剤も存在しないので間違って吸い込むと、ね。」

二人ににこやかな笑みを浮かべながら注意を促す。正直なところトリカブトで十分なのですが、前に皇拳寺の達人を辻斬りした時、効かなかったので。念には念を入れて。ゲルセミウム・エレガンスも配合してます。

「他にも色々ありますよ。毒笹子、毒鶴茸、毒網代傘、金鳳花。幻覚剤としてはハシリドコロ、木立朝鮮朝顔、笑茸。珍しかったものでギンピギンピ。猛毒の森の異名に違わぬ収穫です。」

嬉々として語るとタツミが少し引いています。やはり毒というのは恐ろしいものでしょうか。

 

 

 

 

翌日。

痛む足に顔を顰めつつセリューとタツミを招集します。歩けるほどには回復してはいるのですが。

「おはよう、アリア。」

「おはようございます。タツミ。本日は対人戦の経験を積んでいただこうかと。この帝都では必要になりそうですし、私のお相手なって頂きたいので。ああ、手足の一本や二本なら知り合いが繋いでくれるのでご安心を。」

「安心する点が全くないんですが!!」

「私に恩返しをしたいと言っていましたので。でしたら私と踊って頂こうと。安心してください。命までは奪わないようセリューかオーガが見張っていますので。」

「アリアが優しいのって俺が戦えるからか。」

「ええ。渇きを癒してくれる方には相応の待遇を。」

「帝都の貴族はどこかおかしいと。アリアに失望されないように頑張ってきますよ。行ってきます!!」

「はい、頑張ってください。」

 

さて、そろそろ正義狂いがやってきますか。親友のお気に入りの紅茶を入れさせておきますか。

「アリア!!おはよー!!」「きゅるきゅ。」

「おはようございます。脳筋、コロ。紅茶を用意させたのでどうぞ」

「の、脳筋!!まだ昨日のこと怒ってますか。タツミ君を簡単に許したのに不公平です!!」

「あそこで一番の年上で、私が指導を頼んだあなたが率先してタツミを投げた。どちらに非があるかは明白では。今年で二十のセリューさん」

「本当にごめんなさい。あ、そういえば、タツミ君っていくつなんですか。」

「十六だそうですよ。田舎上がり故に証明するものは有りませんが。虚偽を申告する方ではないので私より一つ上ですね。さあ、脳筋に似合いの肉体労働の時間です。この図面に従って鉄の弁当箱を仕掛けてきてください。」

「弁当箱って、ドクターが名付けた名前があるのに。」

「舌を嚙みそうになる名前を一々言いたくありませんから。」

「えっと、量は……アリア、どこと戦争するつもりですか。総計千個。屋敷が跡形もなく消し飛びますよ!!」

「梟を持て成すだけですよ。」

いつもの愛らしい顔から地獄の獄卒のような顔に。まぁ、彼女に明確な悪の話をしたのだから当たり前の反応ですが。

「詳しく話せ。アリア。」

「顔はともかく口調は直してくださいな。単純な話ですが使用人に依頼を出させましたので。調査期間等を含めれば後ひと月くらいでしょうか。来るとしたら。まぁ、私の感は来ると思っていますが。」

「ん、なら来るな。殺し合いでアリアの感はよく当たる。私はどこに居ればいい。後なぜ態々呼び込んだ。」

「来るのは時間の問題。ならば、誘い出して嵌め殺すのが一番と思いましたので。作戦は今から詳しくお話しします。ですから、そろそろ顔を戻してください。いい加減何処か攣りますよ。」

「四六時中笑顔なアリアに言われたくはない。そうだよね、コロ。」

「コロなら庭で昼寝中ですよ。首輪は顔芸中にこっそり外しました。相も変らぬ視野の狭さですね。それが原因でそのうち命を落としますよ。挑発に乗って死地に飛び込むとか。」

「うっ。気を付けます。それで作戦は。」

「まずは情報の共有を。相手は六人。全員が帝具持ち。使用帝具で名称が判明しているのは一斬必殺、村正。浪漫砲台、パンプキン。それと」

「悪鬼纏身、インクルシオ。それぞれ、ナジェンダ元将軍。百人切りのブラートの帝具。今あげられた帝具の基本的性質は頭に分かっているから。安心して。」

ですから、秘匿された事実をどうやって。無粋と知りながら聞き出したくなります。

それにしても帝具を六個。一暗殺団が持つ戦力ではありません。となれば、梟は革命軍の一部隊。革命軍は梟で帝具を集めようと思っているのが透けて見えます。ですが、本当にそれだけでしょうか。他に何らかの目的が。いえ、今は目の前の事に集中しましょう。生き延びればいくらでも考えられます。

「付け加えるならナジェンダ元将軍は負傷しているとの情報からパンプキンの所持者は別人でしょう。村雨はこのドクター特製の防刃服を重ね着すれば気休め以上の効果を見込めるでしょう。」

「了解、他二つは。」

「インクルシオに対する対策ですがとてつもなく斬れる武器か鈍器で内部に衝撃を叩きこむ。フルプレートアーマー対策と変わりませんね。力比べではコロ以外不利なのでしないように。体力の消耗が激しいようなので長期戦に持ち込むのも手かと。」

「了解。パンプキンに対しては。」

「一番警戒すべき帝具です。罠を張り巡らせようが丸ごと打ち抜く可能性がある。あちらの鬼札。対策としては最初に殺す。もしくは常に他の梟と接近戦をし続けて盾とする。大事なのは仕留める時は一息に殺す事。だらだら時間をかけない。一番大事な事です。いいですか。」

「……アリアがそこまで言う。警備隊じゃ安定性に難のある外れ呼ばわりだったんですが。」

「その安定性に難のある帝具が今までで一番人を殺しています。暗殺用というより対帝具、対軍帝具ですよ。あれ。」

十万対一の戦いを勝利に導く化け物帝具。確かに途方もないピンチでしょうが地図が書き換わるほどの砲撃は一個人がしていいモノじゃないでしょう。

「……アリアは噓を言いませんから本当ですか。く、暗くなっても仕方ありません!!他の未確認帝具に関しては!!」

「異常な切れ味の大剣の帝具。身体能力と恐らく自然治癒向上の帝具。糸、紐、大穴で鞭状の帝具。」

「多臓器破裂及び腹部の骨の粉砕骨折と絞殺死体から推測したのは分かりますが、大剣はどの死体から推測を。」

「簡単な話ですよ。オーガに頼んで罪人を連れて来てもらって実際に百人ほどやってみたのでしたが鈍以外類似死体を作れなかったので。後は剣の形状を死体から推測しました。」

「道理でコロがご飯を食べない時期があった訳です。勝手に餌付けしないよう言っていましたよね。アリア。」

「きちんと躾けられない飼い主の責任でしょう。セリューには大剣と身体強化を。」

「私との相性よさそうですけど村雨とインクルシオの相手は分が悪すぎます!!それにパンプキンが自由です。」

「私としては対策の立てにくいよく分かってないのを相手にするのは遠慮させてもらいたいのです。それに十王裁判で汎用性の高いセリューが名称不明組の相手をした方がいいのです。パンプキン対策として戦闘する場所の周辺を火の海にして視界をふさぎます。ついでに敵の分断を。というわけでこの地図を見てください。」

屋敷の地図に切り札と火の海にする場所を書き込んでいきます。

「まとめるから間違ってたら訂正して。まず、私が名称不明組の相手。アリアは村雨、インクルシオの相手。火災による目くらましでパンプキンを無力化。戦闘を行いつつ誘引して爆殺。合ってますか。」

「それで合っています。安心してください。着火は任せます。十王裁判を使えば簡単でしょう。」

「任せてください。あ、あと。私の武器腕は十王の裁きです。アリアでも間違うことあるんですね。」

そうでしたっけ。セリューに間違いを指定されるなんて私も緊張しているのでしょうか。

それはさておき、こちらも盛大な歓迎の準備をしておきますのでそちらも精一杯着飾って来て下さいナイトレイド様。

 

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