呪術師に再び青春を 作:枝那
拙いところはありますが、どうぞよろしくお願いします。
───東京、新宿
無数の建物が並び、人々がごった返す都市の姿はそこにはない。
更地と化した都市に、二人の男が対峙していた。
人外魔境新宿決戦。後にそう呼ばれる戦いの火蓋を切った少年は、肉体を両断され倒れ伏していた。
それを、全身が焼けただれているにも関わらず晴れやかな笑顔で見下ろしている男がいた。
両面宿儺。平安の世において『呪いの王』と呼ばれた史上最強の呪術師。
自身をここまで追い詰めた少年に、彼は最大級の賛辞を送る。
「天晴れだ、神薙紫苑。生涯貴様を忘れることはないだろう」
そうして、特級術師、
◇◇◇◇◇
はずだった。
「………は?」
彼が目を覚ましたのは土の中でも棺の中でもなく、舗装された冷たい地面の上だった。
「僕は…宿儺に殺されたはず………」
そう呟きながら、彼はペタペタと自分の体を触る。
「傷が治ってる…」
両断された肉体が元に戻ってることを疑問に思いながら、彼は周囲を見回す。
「どこだここ…?新宿じゃないよな………?」
見知らぬ土地。人気はなく薄暗い。少なくとも自身がさっきまでいた新宿ではない。
自分が今置かれている状況を把握するため、彼はすぐさま周囲の調査を実行に移す。
(呪力はある、術式も問題なく機能している…これは不幸中の幸いかな)
虚空から小鳥のような怪物が現れる。小鳥は彼の手から飛び立ち、優雅に空を飛ぶ。
それの視界を共有し、空からこの土地を見下ろしていくと、やがて人がいる場所にたどり着いた。
(人がいるな、でも……)
現代日本、いや彼の常識ではありえない光景。
人のように二足歩行をする動物、ロボット、そして………
(銃を持ってる)
人々が当たり前のように銃を携帯している姿だった。
小鳥をしばらくその場に留まらせておくと、どこからか銃声が聞こえた。
急いでその音が聞こえた方に向かうと、そこではいわゆるスケバンの格好をした少女たちが銃撃戦を繰り広げていた。
人の命を奪うのに十分すぎる威力を持つ銃弾はスケバンたちの身体を貫くことなく弾き返される。
呪術という非常識に身を置く紫苑からしても、それはありえない光景だった。
(銃弾を食らっても平気…だけど呪力は感じない。あの子たちの頭上の輪っか、そして 獣人とロボット。もしかしてここは…)
考えを巡らしていくうちに、彼は一つの結論にたどり着く。
「…異世界」
ありえない話だが、今はそう結論づけるしかない。
(ここが異世界だとして、なんで僕はここにいる?僕を呼んだ何者かがいるのか?そもそもこれは現実なのか?)
幻覚を見せられているという、最も有り得る可能性。
しかし呪術師としての経験。呪術を使った時の感覚。
そして何より、彼の魂がこれは偽物ではないと言っている。
熟考している最中でふと、空を見上げる。
こうやって悩んでいるのが馬鹿らしく思えるほど澄み渡った青空と、そこに浮かぶ巨大な輪っか。
「ハァ…」
思わずため息が漏れる。
友を救うため、呪いの王と戦った。
負ける気など到底なかったが、あそこで死ぬ覚悟は出来ていた。
もし死後の世界があるのなら自分は地獄に行くだろうと考えていた。
にも関わらず、自分はどういう訳か別の世界で蘇った。
とりあえず、さっき呪霊越しに見た人のいる場所に移動しようと、彼はようやく歩き出した。
かくして、特級術師、神薙シオンは学園都市キヴォトスに降り立った。
『次』を与えられた少年は、この透き通るような世界で何を為し、何を得るのか。
閲覧、ありがとうございました。少しでもこの作品を気に入ってくれたら幸いです。
亀更新ですが少しずつ頑張っていきたいと思います。
誤字脱字報告、感想もよろしくお願いします。
5/12 7:24 名前を間違っていたため修正しました。