呪術師に再び青春を   作:枝那

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マコトの口調が全然分からん………
色んなキャラ書ける人本当に尊敬する


第4話 石を穿つ①

───ゲヘナ学園、万魔殿・議事堂

 

「キキキッ!貴様が『ブラックマーケットの魔人』、神薙シオンか!」

 

銀髪で目つきの悪い生徒が、特徴的な笑い声を挙げながらシオンと会談していた。

彼女は羽沼マコト。ゲヘナ学園における生徒会、万魔殿パンデモニウム・ソサエティーの議長をしている。

 

「昨日の戦い、見せてもらったぞ。実に素晴らしい戦いぶりだった!」

(テンションの高い人だなぁ)

「そこのヒナは腐ってもゲヘナ風紀委員会の委員長。忌々しいことに、その実力はキヴォトストップクラス。そのヒナをああまで圧倒してみせた強さ!」

 

議事堂に集まっている風紀委員は彼女を白い目で見ている。

彼女の話を遮るように彼の隣に座るヒナは口を開く。

 

「マコト、早く話を進めてちょうだい」

「…そうだな。では、神薙シオン。貴様に風紀委員の臨時講師としての活動を許可する」

「ありがとうございます」(ゲヘナの風紀委員長と生徒会長は犬猿の仲と聞いてたけど…そんな感じはしないな)

 

万魔殿と風紀委員の生徒たちは口にこそ出さないが驚きを顕にする。

ヒナとマコト。この2人の仲の悪さは両組織の人間にとって周知の事実である。にも関わらずマコトがヒナに突っかからないというのは余程珍しいことなのだろう。

 

「では、講師として活動するにあたり、ゲヘナの制服に着替え、うちの寮で暮らしてもらう」

「郷に入っては郷に従えと言いますからね。まぁ、分かりましたよ」(自校の制服を着させることで、ゲヘナと僕は友好な関係にあるということを他校にアピールする目的か)

 

(…いやどうだ?そこまで考えてないかも)

 

まあ悪い話ではない。テント生活には慣れ始めたが、一時的とはいえ住まいを得られるのはありがたい話だ。だが一つ懸念がある。

 

「大丈夫なんですか?」

「どうした?部屋なら余っているが」

「いや、それもありますけど…キヴォトスって女子生徒しかいませんよね?」

「まぁ、そうだな。人間の男などこのキヴォトスでは見たことない」

「女性しかいない寮に男子が入るのってまずくないですか?ほかの生徒にも反対されそうですし」

 

『???』

 

「男子?誰が?」

「僕ですけど」

 

沈黙。

情報が完結しない生徒たちを見て、「あ、まさか」と一つの可能性にたどり着く。

自分の性別がもう伝わっていると思って説明を省いていたが、どうやらそうではなかったらしい。

そのことに今更気づいてどうしたものかと考えていると、金髪の少女が話しかけてきた。

 

「お姉さんじゃなくてお兄さんだったのー?」

「そうだよー」

「えー!嘘だよ、こんなに可愛いのに!」

「ふふっ…まぁ、よく勘違いされてたよ。君、お名前は?」

「イブキだよ!」

「そっか、よろしくね、イブキさん」

「うん!シオン先輩!」

 

溌剌な少女に癒されていると、

衝撃から復活した生徒たちから質問攻めに合う。

 

「お、男!?男だったの!?」

「普通に知られているものかと……男子の制服も着てますし」

「単純にそういう趣味の子かなーって」

「肌白っ!?髪もサラサラだしまつ毛長っ!!」

「スキンケアとか何してるの?」

「待って、こういう子に限って『何もしてない』とか言うのよ」

「実際どうなの?」

「何もしてない」

「「「キィィィーーー!!」」」

 

(この感じ、釘崎さんを思い出すな)

『ハァ!?あんた男なの!?その顔で!?』

 

シオンが同期との会話を懐かしんでると、オホンッ、とマコトが咳払いをする。

収拾がつかなくなった周囲を見て、話をまとめようとする。

 

「ま、まぁ、何だ…貴様が男だったとしても問題はあるまい。ゲヘナの生徒はそんなことをいちいち気にする者ではないからな」

「そうですか?ならいいんですが」

「あと、制服は採寸のあと渡そう。男子用はないからズボンで我慢してくれ」

「まぁ、もらえるだけありがたいですし、文句は言いませんよ」

 

色々あったものの、万魔殿との会合は無事終結した。

 

◇◇◇◇◇

 

「では、今日から2週間。神薙シオンによる特別訓練が始まるわ。みんな、覚悟はできてる?」

『はい!!』

 

元気よく返事をする風紀委員たち。

彼女らは再びグラウンドに集合していた。

昨日の戦いを見たからか、全員やる気に満ち満ちている。

 

「では、まずは皆さんの実力を見たいので、空崎さんを抜いた全員と戦いましょう」

 

そう言われ風紀委員たちは定位置につき、隊列を組む。

委員長以上の実力者を相手に戦えるのかと不安に感じる者。

あるいはそんな強者に一矢報いてやろうと野心を燃やす者。

さまざまな人がいる。

シオンはそんな生徒たちを見て、挑発するように言う。

 

「遠慮はいりませんよ。己の全力を以て、僕に挑んでください」

 

訓練開始の合図と同時に、煙幕弾が投げ込まれる。

煙で視界が塞がれる中、委員たちは一斉に銃撃を開始した。

広範囲の弾丸の波が、シオンに迫る。

 

それをシオンは巨大な蛇の呪霊を盾にして防ぐ。

呪いの鱗が弾丸を止めても、銃撃は止む気配を見せない。

一旦呪霊を消滅させ、シオンは煙幕から抜け出し彼女らに突っ込む。

呪力で強化した肉体を以て、銃弾の間を糸を縫うようにかいくぐる。

 

隊列の間に割り込む。委員たちはシオンにすぐさま狙いを定める。

彼は最も近い風紀委員に目を付け、今まさに発砲しようとしている銃を奪い、こめかみを撃つ。

至近距離からのヘッドショット。いかに戦闘に長けた風紀委員といえど急所への攻撃には耐えられず、ヘイローは電源が切れた端末のように消滅した。

 

接近戦は危険だと判断した風紀委員たちは、即座に彼から距離を取る。

 

(良い判断だ)

 

風紀委員たちの対応力の高さに感心していると、ヴヴヴヴッ、と上空から羽音と機械音が聞こえる。

 

(ドローン…)

 

爆弾を積載してるドローンが彼に向かっている。

 

(操作しているのは天雨さんか)

 

胸の横の部分が空いた痴女のような格好をしているが、風紀委員のNo.2だけあってその能力は折り紙付き。正確なコントロールでドローンを運転する。

 

ドローンが爆弾を手放し、今まさに爆発しようとする。

それをシオンは呪霊に食わせることで防ぐ。

 

(そう来ることは折り込み済みです!)

 

彼がドローンに意識を向けている間、銀髪の生徒が背後から撃つ。

背中に向けて放たれる三発の弾丸。彼は目を向けることなく呪霊で防ぐ。

 

「………ッ!」(これも防がれるなんて…!)

 

銃弾を放った生徒は心の中で悪態をつく。

彼女の名は銀鏡イオリ。ヒナに次ぐゲヘナ風紀委員会の切り込み隊長。

 

彼はゆっくりと振り向き、イオリと向かい合う。

イオリは一瞬蛇に睨まれた蛙のように動けなくなるが、すぐ動き出した。

 

「ハァ!!」

 

まずイオリは高く跳びシオンの上空から愛銃をバットのように振り下ろす。

それが腕で防がれると、くるり、と空中で一回転し後ろに跳ぶ。

空中で撃つ。シオンは首を傾けてそれを避ける。

 

着地したイオリは素早くシオンに突っ込む。

彼女は走りながら撃つ。彼が防いでいる間も、彼女は撃つ手を止めない。

 

イオリがシオンに近づく。頭に向かって蹴りを食らわせようとするがこれも防がれてしまう。

再び彼から距離を取るイオリ。

 

(なるほど。ヒットアンドアウェイに徹することで着実にダメージを与えていく作戦か。良いな)

 

彼がイオリの実力に感心している一方で、彼女は焦りを感じていた。

 

(クソッ…!狙撃も効かない。肉弾戦も不利。わかってはいたけど、強すぎる……ッ!!)

 

(どうやったら、私は委員長のようになれるんだ………?)

 

(落ち着け、私!今は勝つことだけを考えろ!!)

 

「………」

 

ブンブンと頭を振り、前を見据えるイオリ。それを彼は静かに見つめていた。

 

シオンが構えをとる。それを見てイオリは。

 

(来る!!いよいよアイツの本気が!!絶対に防いで───)

 

気づいた時にはもう遅かった。一呼吸の間にシオンはもうイオリのすぐ目の前にいて。

動き出したことすら気づけずに、防御の姿勢を取る間もなく、イオリは彼の打撃を腹に受けた。

 

「ガァッ!?」

 

吹き飛ばされるイオリ。腹を抑えながら銃を杖に立ち上がろうとする。

激痛に耐え、フラフラになりながらもシオンに銃を向けたその時。

 

「そこまで」

 

ピシャリ、とヒナが訓練終了の宣言をした。

それを聞いて緊張の糸が切れたのか、イオリはバタンと倒れ込んだ。

シオンがイオリに手を差し伸べる。

 

「立てますか?銀鏡さん」

「あ、りがとう……」

 

シオンの手を借り立ち上がるイオリ。ヒナも二人に近づく。

 

「お腹、大丈夫ですか?だいぶ強めに殴っちゃいましたけど」

「ああ、大丈夫、て言いたいところだけど…これはキツイ…」

 

生まれたての小鹿のように足をプルプルと震わせるイオリにヒナも心配の声をかける。

 

「大丈夫?イオリ」

「吐きそう………」

「トイレ行ってきなさい。今すぐに」

 

イオリはすぐトイレへ向かい、彼女の名誉は保たれた。

他の風紀委員たちも休憩に入り始めた。

 

「それで、どうかしら。風紀委員の実力は」

「そうですね…レベルは高いと思いますよ。毎日ゲヘナの問題解決のために奔走してるだけはある」

「そう」

「ただ…」

「ただ?」

 

思い出すのは訓練での最後のイオリ。あの在り方をシオンはよく知っていた。

だが、それは今言うべきではない。

 

「いや、やめときます。確証がないので」

「そう」

 

少し時間が経って、イオリもようやく戻ってきた頃、シオンは風紀委員たちを集めた。

彼女らの視線を受けながら、シオンが話し出す。

 

「戦ってみて皆さんの実力は把握しました。今日から2週間、戦闘訓練が始まる訳ですが………」

「はっきり言って、僕に教えられることはそう多くありません。銃火器の扱いならあなたたちの方が上ですし、軍隊の戦術とかからっきしです」

「僕ができることは精々、あなたたちの前に立ち塞がり、試練を与え、全力でぶつかること」

 

呪力を噴出させ、威圧を強める。

風紀委員たちはその圧力に顔を蒼白させるが、負けじとこちらを睨みつける。

 

「これから地獄の2週間が始まります。覚悟は出来てますか?」

『はい!!』

 

力強く返事をする風紀委員たち。彼女らの目にはメラメラと燃え盛る炎が宿っていた。

そんな彼女たちを見て彼はフッ、と微笑み

 

「では、まずご飯を食べましょう。腹が減っては戦ができぬとも言いますし。ちょうどお昼ご飯の時間です」

 

彼が言い終えると、昼休憩を報せるチャイムが鳴った。

 

「お昼を食べたら、またここに集合してください。では、解散」

『はーい』




シオンが男の娘なのは単純に自分の性癖です。
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