アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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サブタイがぁ……内容がぁ……何時にもまして駄文になった気がする。


激突

レツの墓前に向かう途中、トウヤは靴が地に沈むのを感じた。明らかな泥濘……今までは乾いてたのに急に何故? と思いつつ音に苦しむ三人を思うと些細な事だと泥を跳ね上げて走る速度を上げた。

 

「……此処に来ても音は聞こえない。でも見れば分かるーー今すぐに笛を吹くのを止めろ!」

 

距離が距離だけにそんなに時間が掛からずレツの墓前に着いた。トウヤはそこに居たローブを被った人に向けて叫ぶ。顔は隠れていて見えないが縦笛を持ってるのは見て分かったからだ。

 

「ーーまあ、こうなるか」

 

「っ……その、声……!」

 

笛を吹くのを止め、口元から素直に離す。そして聞き覚えのありすぎる声にトウヤが信じられないと目を見開く。

 

「魔奏は人には効かない。分かってはいたけど……来てほしくなかったよ」

 

「おか、ゆん……っ!?」

 

ローブのフードを退けて露になったのは紫髪に猫耳、そして何処か悪戯っ子のような笑みが特徴的である意味では世話になった式ーー猫又おかゆの姿だった。

 

「何でって顔をしてるね? まあ当然だよね。十年前に居なくならなかったらレツを失わずに済んだとかリンのご主人様と聞いて無責任野郎としばいてたから……あれ、他人の空似とはいえやり過ぎてた気が……」

 

「今更か! じゃなくてリンを心配してた姿は演技じゃなくて本気だった! それなのに苦しめる訳がない…………いやそうか、里を滅茶苦茶にした奴を追っていたおかゆんが倒して戦利品の笛を拾ったからちょっと吹いてみたくなったから吹いてみただけ……そうだろ!?」

 

裏切られたんじゃないかと動揺していたが違うと、味方なんだと有り得る事を訴えかける。しかしおかゆが肯定する事はなく……

 

「……君が本当にご主人様だったらこんな事をしなくて済んだ。でももうご主人様は居ないんだよ。アストリアの何処にも……」

 

「……少し会わない内に何があった。おかゆん、誰かに何を吹き込まれたのか?」

 

「何も? 強いて言うならーー識った、かな。この大陸の……いや世界の在り方について。それとトウヤという存在を」

 

「世界の在り方……? それに俺の存在? ……おかゆん、悪いものでも食べたか? それともボケたか?」

 

言っている事がよく分からないとばかりにトウヤは何処か可哀想なものを見る目でおかゆを見る。

 

「……失礼だね。ボクは正常だよ……寧ろ異常なのはーー君だ」

 

ムキになった訳でも苛立った訳でもなく……おかゆは真っ直ぐにトウヤを見た。ただ見てるだけなのに何処か寒気を覚える眼差しにトウヤは思わず後退りをした。

 

「これ以上はまだ早いかな。全てを知りたいならーー越えてみなよ」

 

再び縦笛を口元に当てるおかゆ。それを見たトウヤは躊躇いながらもアゾットを鞘から慎重に抜くと逆手に構えて駆け出す。縦笛さえ斬れば、と考えての行動だった。

 

「っ、速い!?」

 

「はあぁ!」

 

縮地を用いての急速接近に驚くおかゆにトウヤは裂帛の気合いを発し、アゾットを一閃する。だがおかゆが紙一重でかわした事で縦笛を斬る事は叶わなかった。

 

「驚いたよ……祓無施と言ってたのに……これだけ動けるなら十分マガツヒと戦えるよ」

 

「……そうでもないさ。いくら身体能力が優れていてもマガツヒを滅するには霊力が不可欠だ。無い訳じゃないが通用する量でもない……」

 

「でもそのアゾットでならいけると思うよ。それとも他人から譲渡されたとはいえ自分の力じゃないと言う?」

 

「……よく分かったな。俺とおかゆんはそこまで交流してないのに」

 

それなりの付き合いがあるフブキでも分からないと思われる自分のめんどくさい一面を当てられた事に内心で驚くトウヤ。

 

「識ったと言ったよね? 君の存在する理由、ハルトという人に似ている理由……全部、識ったよ」

 

言葉とは裏腹に知りたくなかったという表情を浮かべるおかゆ。

 

「……おっと、危ない危ない……話をして魔奏を中断してたらフブキ達が来てしまうね」

 

そう言って縦笛を口元に当て、魔奏を再開するおかゆ。トウヤは隙だらけなのに縦笛を斬りにいかなかった自分に対して何で動かない、俺の行動は正しいのか、と自問自答する。

 

「……来ないの?」

 

アゾットを逆手に構え、何時でも飛び出せる態勢のまま動かないトウヤが不思議だったのか再び魔奏を中断するおかゆ。分かりやすく縦笛の先端を摘まんで振ってみるが、やはり動かない。

 

「……頭では分かってるんだ。何かを識った事で今の状況を作り出してるおかゆんを止めなくては、縦笛を斬らなければと……」

 

「じゃあ、そうしてよ」

 

「そうだな……そうするべきだ。それにおかゆんの辛そうな顔を見ればやっぱり止めるべきだ……だけどさ、こうも考えるんだよ」

 

一度目を閉じ、深呼吸。そして目を開けてトウヤはーー

 

「そんな顔をさせる程の何かが俺に在るなら……此処で俺自身を終わらせるべきじゃないか、とな」

 

「な……にを……言って……るの」

 

「俺にはおかゆんが何を識ったのか見当もつかない。だけど本意じゃない事をさせる程の何かが俺に在るんだろ? だったらさ……死ぬべきだろ。そういえば魔奏はアヤカシにだけ効くんだったよな。だったら人にだけ効くのもあるんじゃないか? 呪い歌とか、ありそうじゃないか? 一思いに頼むよ」

 

「……っ、ミスった……ボクもその対象になってたなんて……君は、自分に非があれば躊躇いなくその身を犠牲にする……」

 

「……そうだ。おかゆんにそんな顔をさせる俺なんてーー死ねばいい」

 

狂ったように死にたがる、虚ろな目をするトウヤにおかゆは俯き、拳を握る。

 

「……悪いけどヘラった君はこれ以上見たくないからね……少し眠らせるし、記憶ふっ飛ばすから」

 

「さあ来い、おかゆん! 愚者に死をもたらすんだ!」

 

「もう、それ以上喋るな!」

 

ーー猫輝猛乱打(プリズムキャットラッシュ)

 

物凄いラッシュを叩き込み、とどめに鎧通しをぶちこんで意識を刈り取ったおかゆは疲れたように溜め息をついたのだった。




トウヤは……身内とか大切な人に対して自分がやらかしたせいで何らかの不調を与えた場合、ヘラって死にたがる模様。ヒグニのメンツはそれを目の当たりにしてから隠蔽工作に抜かりなし。

仮にミカが対象になった場合、どっちもヘラる事になるからメンヘラブラックホールが生じて対消滅(意味深)する。
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