アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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中々話が進まない……


敵は……

 ヘラったトウヤがおかゆによる必殺技で撃沈された直後の事。

 

……おかゆん?

 

「……ミスったぁ」

 

誰が見てもトウヤを仕留めたおかゆという状況にフブキが底冷えのする声で名を呼ぶ。おかゆはフブキってこんな声も出せるのかと驚きつつ、トウヤと同じ目に遭うんだと悟った。

 

ーー碧閃ッ!(⬅↙⬇↘➡↗A)

ーー碧閃ッッ!(⬅↙⬇↘➡↗B)

ーー碧閃ンッッ!( ⬅↙⬇↘➡↗C)

 

「ぐはっ!(弱中強の碧閃三連!?)」

 

格ゲーでいう同じ技でも多少変化する三連技に体をくの字に折りながら内心で容赦ねえと戦慄するおかゆ。ついでに今ので体力ゲージ半分くらい削れたなぁとも考えていた。余裕か。

 

「……まあ、これくらいなら慣れてるでしょう。しかしこれからが白上の本気で全力で! 全開です!」

 

「わー……(白目)」

 

ーー碧閃! 碧羅! 昇竜蒼牙! 冰晶乱舞!

 

四回目となる溜めなし正拳突きで衝撃を内に溜め、軽く跳躍して回転を加えた踵落とし、冷気を纏わせた昇竜拳、打ち上げての追い打ちとばかりに空中での猛ラッシュ、そしてアーマハンマーで叩き落とす。

 

「とどめのーー碧崩」

 

「」

 

 

内に蓄積した衝撃が体内から体外へ一気に放出。余りの衝撃におかゆは一瞬で意識を飛ばした。

 

ーーHOLOW LEAVE FINISHーー

 

 

「……やりすぎだよ」

 

「白上は悪くないです」

 

少し遅れて来たラウラはフブキの必殺技によりほぼ死んでいるおかゆにエリクサーをぶちまけて飲ませて内側と外側を治す事で一命をとりとめさせながらフブキにジト目を向けたが、フブキは悪びれもなくそっぽを向いた。尚、ラウラは状況を察したが過激すぎて少しフブキを恐れた。ついでにおかゆの着ていたローブ等は布切れと化したので魔法の裁縫道具で復元させた。

 

 

 それから暫くして、目を覚ましたトウヤは都合よくヘラった事を覚えておらずおかゆが黒幕だった事も忘れていた。残る問題はおかゆの言動だが、此方も都合よく忘れていた。ただ里を襲撃した者を追っていた事を思いだしたと言った。

 

「やっぱりリンが言ってたローブの者なのか?」

 

「そうだね。此処に来た後……何でか知らないけど記憶が飛んでるんだよね……それにこのローブ、何でボクが着てるんだろ……襲撃した奴が着てた物なのに」

 

気味悪いと言って脱ぎ捨てるおかゆ。ラウラは何かが気になったのか手に取るとリュックから試験管を取り出し、コルク栓を抜いて中の液体を流す。黒いローブの一部が赤く染まる。すると今度はスポイトで変色した部分から成分を吸い上げ、空の試験管に注ぐ。

 

「……私の想像通りなら」

 

そう言ってリュックから水分補給用として持ち歩いていた竹筒を取り出し、中の水を注ぐ。そして撹拌した後……

 

「当たっていて欲しくなかったけど……このローブに付着した成分、レツの血だね」

 

「レツの血……って待て待て! 何で十年前の血痕が残って……るのは有りだとしても、何でおかゆんが着てたローブに? しかも襲撃した奴の物なんだろ?」

 

「……ラウラ、そういう事なんだね?」

 

トウヤの疑問に答えようとした時……確信に満ちた表情でおかゆが訊ねる。ラウラは深く頷くとーー

 

「っ!? 氷壁張ります!」

 

ラウラが口を開く直前にフブキが何かを感知したのか血相を変えてドーム状の氷壁を即座に作り上げる。

 

「ーーぐああぁ!?」

 

「トウヤさん!?」

 

刹那、氷壁がバラバラに切り刻まれてフブキ達に害はなく、何故かトウヤだけが重傷を負った。

 

「……おかゆが確信してたのは当たってる。最初はローブに付着した血痕はレツが襲撃した者に負わされた傷から染み込んだ返り血だと思った……でも襲撃した者を追っていた筈のおかゆがそのローブを着ていた事。そしてローブの持ち主が居ない理由……極めつけはトウヤだけを狙った爪撃……」

 

「え、あれってリン? にしては大きい……ちょっと待ってください……もしかして……レツが生きてた?」

 

フブキが信じられないといった顔でトウヤに重傷を負わせた者を見る。その者はリンが大人になったらこうなるだろうといった姿であり……レツを知るおかゆが頷いて肯定を示す。

 

「でも……死んでなかった、ならどれだけ良かったか。フブキ、残念だけどレツは死者だよ……鼓動が聞こえない」

 

「え、でも動いて……っ、まさか呪符ですか!?」

 

ラウラが生きていないと続け、フブキは疑問に思ったがすぐに理由に行き着いて声を荒げる。

 

 

「……だからラウラはボクが脱ぎ捨てたローブを見て成分を吸い上げたりしてたんだね。ローブ自体に呪符が縫い付けられていて着た者を操る……傀儡の呪術を呪符で再現したといったところかな。フブキにズタボロにされた際に呪符の効果は無くなったみたいだけど」

 

納得だと頷くおかゆ。

 

「……というか何で俺だけが攻撃されたんだ?」

 

「…………」

 

全身切り傷まみれで見るからに重傷なのに平然と会話に加わってきたトウヤにフブキは唖然としていた。

 

「ああ、これくらいの傷なら割と日常茶飯事だからな……」

 

「日常茶飯事って……噂に聞いてたけどヒグニってやっぱり魔境?」

 

「ボクが聞いた話は和に満ちた都を守る最後の砦で大陸最強だとか……確か天照の再臨、陰陽の番犬、奇跡の薬師、桜華の舞姫……という二つ名持ちが居るとか……」

 

「そうだな。その二つ名はそれぞれ……陽上チハヤ、フワワとモココのアビスガード姉妹、博衣こより、さくらみこだな……あいつら普段はあれだがやるとなれば容赦ないから……(ただ治療と称してフワモコが舐めてくるのは止めて欲しいがな……)」

 

呑気に会話をしているフブキ達だが、レツを警戒していない訳ではない。ただそれはそれとして追撃してこない事に首を傾げてはいるが……

 

「……」

 

「急に臨戦態勢になったな……もしかして空気を読んだのか?」

 

「……レツは、そういう所あるからね……話が終わったのを見計らって攻撃に転じたんだと思う」

 

「白上的には……色々と気になる事がありますが、先ずは無力化でしょうね」

 

レツが爪を伸ばしたのを見て各々が身構える中、おかゆが口を開く。

 

「レツはかなーり強いから……そこでボクに考えがある」

 

○院!と言いそうな顔で決めるおかゆだが……そう返す者は居なかった。内心で少し寂しく思ったおかゆだが……狙うのはトウヤだから囮をしてもらおうと告げる。

 

「……普通ならトウヤさんに死ねと? と言いますが……人外じみてますし、無難かと……良いですか?」

 

「適材適所だな。囮は引き受ける……ただ問題は俺だけを本当に攻撃するかだな……多分、隙を見て攻撃しようとしたら迎撃はされるんじゃないか? それに白上とおかゆんが戦えるのは分かるが、ラウラは……どうなんだ?」

 

人外じみてる発言に反論しないトウヤは自覚しているのかもしれない……それはそれとしてとラウラに戦えるのかと訊ねる。訊ねられたラウラは腰をポンと軽く叩く。そこにはトウヤとは正反対に煌めきを放つ鞘に納められた短剣が差してあった。

 

「春風……という名があるけどそれはそれとしてトウヤは私の事甘く見すぎ。世界を飛び回ってる私が逃げてるだけだと思ってた? 時と場合によっては戦うよ」

 

「……それはすまなかったな。しかし春の風か……今の状態にとってこれ以上にない名だな」

 

「どういう事?」

 

褒められたのは分かるが、言い方が気になったのかラウラが訊ねる。トウヤは隠す事でもないと口を開く。

 

「春の風は……よく新しいものを受け入れる時に用いられる言葉だからな。冬が終わり、春の始まり、そこに吹く風は吉兆をもたらすって感じだ。まあつまり……死者にはお眠り頂いて此処から新しく始めるのにラウラの春風は縁起が良いんだよ」

 

「……(ただ白上的に、呪符がローブに縫い付けられていたのなら……レツはどうやって操られてるのか……そもそも十年前は誰が襲撃したのか……何だかレツを止めてもまだ終わらない……そんな予感がしますね)」

 

「……そっか。そう聞けばよりいい名だね。有難う」

 

「どういたしまして? と……そろそろ行こうか。待たせたなレツ」

 

 




魔法の裁縫道具は……エロゲでいうアーマーブレイクを直すアイテム。ちなみにあやラブ原作でも体力尽きるとアーマーブレイク(立ち絵)して離脱します。表示スキップ設定あるけど。
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