トウヤの言葉を受けてレツを無力化する為に動く各々。ただいつもと違って動きやす過ぎたのか全員レツを素通りしてしまった上にフブキは木に激突し、ラウラは地面に穴を開け、おかゆは何故かその場で拳を突き上げて叫ぶ。トウヤは……近くの泉に落ちた。
「げふっ……これってバフ盛りですか!?」
「凄い……私も自己バフは盛れるけど速さに特化してるから……穴を開けたけど私は重くないっ!」
「み・な・ぎ・るぅああぁ! なんてね~」
「げほげほ……チハヤが言うには俺が開戦を宣言すると力がみなぎるらしい……ただ条件があるのか普通に行くぞ、とか皆俺に続け、だとダメらしい……それはそれとしてすまん」
仕切り直しとばかりに飛び出す前の位置に戻ってきたトウヤ達。やらかしたトウヤがフブキ達に謝るのは当然だった……
「……えっと、もういいかな? 流石に無言は疲れたよ~」
まさか喋るとは思わなかったのか同時にレツの方を向く。
「……死んでるんだよな?」
「うん……鼓動が聞こえないから間違いない。でも何か生き生きしてる……生ける屍?」
「生きてるのに屍とか矛盾してないかな~……というか話し合い出来るなら戦わなくてもいいんじゃにゃい?」
「おかゆんの猫語尾が出るのってよく分からないですよね……」
「意識しないとつい出ちゃうんだよね~……リンは出さないように必死だけど……猫だからにゃあと鳴いても仕方ないのに」
途中から関係ない話になりつつも、生きてるのなら戦わなくても良いのではという結論を出したトウヤ達は警戒はしつつ、無視された事で地面にのの字をかくレツに声を掛ける事にした。
「……私って死んでるの?」
「それは俺達の方が聞きたい……取り敢えず言える範囲で良いからレツの事を教えてほしい」
落ち込んでいたレツだったが、話は聞こえていたのか開口一番に死んでるか訊ねてきた。トウヤは皆が思ってる事を言う。
「私の事? ……はる君なら知ってると思うんだけどなぁ……それこそ隅々まで……」
身に覚えの有りすぎる態度にラウラを見るトウヤ。ラウラは何が言いたいか察すると口を開く。
「……はる君はハルトの事だよ。言葉と流し目から分かると思うけど……レツはハルトの恋人でやる事やってたね……でもねレツ……似てるけどトウヤはハルトじゃないから知らないよ」
「イメチェンした訳じゃないのかー……似すぎだよ!」
「いって!? 似てるからって……おかゆんもだが、暴力反対だ!」
これ以上殴られてたまるかとばかりにフブキの背に隠れ、盾にする。どうやらおかゆの件とレツの件で嫌になったらしい。
「……まあ、そういう事なのでこれ以上トウヤさんを虐めないであげてください……それより話を進めしょう」
言外にこれ以上やるなら潰すと笑みを浮かべながら言うフブキに先程身を以て知ったおかゆがレツに話をするように促す。
「…………涼風レツ。知ってると思うけどリンのお姉ちゃんだよ。よろしく……したいところだけど……」
避けて通れぬ自己紹介。普通ならよろしく、で仲を深めるのだが何故か言い淀む。
「それどころじゃないんだよ! 早く祠に行かないと!」
「急にどうした!?」
いきなり声を荒げるレツに驚くトウヤ達。レツは説明する時間も惜しいとばかりに駆け出そうとしたが……
「祠って……水幻龍の? あれなら十年前に崩落してミズハの底だよ?」
「そこここぉ!?」
勢いがついた状態でそんな事を言われたからか転けるレツ。そのまま顔面スライディングを決めて数メートル先で止まる……痛そうだ。
「……そっか~、もう十年も経つんだ……気分は浦島太郎だねあはは! はぁ……どういう事?」
擦り傷まみれで痛そうだったのでラウラにエリクサーをぶちまけられた後、自分の知らない内に十年もの年月が流れていた事を知ったレツは笑い、溜め息をつくと疑問符を浮かべて首を傾げた。
「……その事を知る為に十年前に何があったか話してほしい」
「うーん……何があったか……良いけどトウヤ君には話せないかな……」
「……俺だけを攻撃してきた理由に繋がりそうだな……分かった」
話せない理由を察したトウヤは頷いてフブキ達に後を任せてその場を去る前に……ふと気になったのかレツの墓に目をやる。墓は無惨な姿になっており穴が開いていた。その事から此処に居るレツは墓の下から出てきたという事が判明。
「あ、トウヤさん。すいませんが離れるならリンを連れてきてくれませんか? 荒事になると思って里長に預けてきたんです」
「分かった。レツが生ける屍だとしても姉妹の再会はさせてあげたいしな」
そう言うとトウヤは今度こそその場を立ち去る。
その間際に……
八意思兼神(やごころおもいかねのかみ)……まさかな、と妙に気になる事を言い残したのが皆の印象に残った。
「……十年前、はる君と私は喧嘩したんだよね……内容はちょっと言えないけど……ギスギスしてね、家に居たくなかったからリンには里を見てくると言って……はる君は、見送らなかったけど……喧嘩してたから仕方ないけど。その時だったかな……怪しいローブの奴を見たのは……」
「怪しいローブ……もしかしてこれを身に付けてた?」
そう言うと用済みだとばかりに捨てられていたローブを拾ってレツに見せるおかゆ。
「うーん……似てるけど少し違うというかそれは私が身に付けてたやつだね…………追い剥ぎ? おかゆん私の事好きすぎじゃない?」
「何か盛大に誤解されてる!? いやまあレツの事好きだけどライクの方だよ!? ボクにその気はないっ!」
珍しくからかわれるおかゆはローブを叩きつけ……ずにレツの手に握らせる。言外に大切な物ならちゃんと持ってろと思いを込めて。
「……話を続けるよ。それで怪しいローブの奴を見た私は里に災いをもたらすという直感がして声を掛けたんだ……フードを被ってたから顔は見えなかったけど、やけに可愛らしい面を着けてたのが印象的だったね」
「……やけに可愛らしいと強調するけど女の子なら良くない?」
「いや、あれは男の子だね。喉仏出てたしオスフェロモン出てたし」
「オスフェロモン……っ! 分かります! トウヤさんからよく匂っているので白上も……あ、すみません」
オスフェロモンと言う単語に興奮するフブキに対して今言う事じゃないよね?と笑みを浮かべるレツ達に冷や汗をかいて謝るフブキだった。
「……そしたらそのローブの奴は里を、いや大陸を守りたいなら祠に急げと言って何事も無かったとばかりに里を出ていったんだよね」
「予言みたいなものかな……じゃあレツは祠に向かったんだ?」
ラウラの言葉に予言なのかな……と首を傾げながらレツは祠に向かったと返す。
「でも祠に向かう私の行く手を遮るようにはる君が現れた。色々言ってたけど要約すると狐に化かされた猫は見るに堪えない……これは救済とか言って刺してきた」
『は?』
レツの言葉におかゆとフブキが揃って底冷えのする声を発する。
「あれは間違いなく呪われた代物だったね……急激に私の体から力が抜けてきたから。だから意識を手放す前に誓ったんだーーお前覚えてろって」
「……だからトウヤだけを狙って攻撃したのか。納得」
怒りからか体を震わす三人と違って納得したと柏手を打つラウラ。
「……あれ? 予言みたいなものは里を、大陸を守りたいなら祠に急げと言ってたけど失敗したんだよね……待って待って? あれって未来で起きる事を云ってたなら……っ」
未だに怒りで正気に戻らない三人(妄想でハルトがボコられてる)を尻目にラウラは今になって気づいたとばかりに足元の浸水具合を見て血相を変える。そしてその考えは正しいとばかりに里がある方角から水柱が立ち上った。
ルビ振りは長いと機能しないのかねぇ……上手くできなかったから()で代用。
……真田おかゆ、ボソッ。バサラのみなぎるぅあぁ!の熱血ボイス好きだわ。やり込みで慶二エリアでヒット数を稼ぎまくったなぁ……
火焔車ァ! からの超バサラ技(ピンチの時に使うとなる)で超気持ちいぃ!開幕でバースト状態になれる装備品つけてな。ただし確か防御力はゼロになるからボコられたらすぐ死ぬ。
そしていよいよ一章がクライマックスに近づいてきました! 波紋滴正が表す意味も明らかに?