アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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いよいよクライマックス……?


沈みゆく……

 生ける屍(仮)として真実を語ったレツに憤るおかゆとフブキ。その一方でミズハが沈む事を察したラウラ。だが此処で時間は少し戻り、里に向かったトウヤの言動を見るとしよう。

 

 

「……レツが俺だけを攻撃した理由と話したくないのは……ハルトが関係してるんだろうな……似ているからって傍迷惑な……」

 

特に急ぐ気はないのか小走りで里に向かうトウヤはそんな事を言っていた。ただ、まさかハルトがレツを刺して殺めているとは思っていなかった。

 

「……ご主人様、怪我はない?」

 

「ああ、態々出迎えなくてもいいんだぞ? まだ足痛むだろ」

 

仮拠点に着いた時に出迎えたのはリン。アヤカシは人と身体的に違うからか傷の治りも早い。だがそれでも引きずってる所を見ると完治にはまだ時間が掛かりそうだ。それを見たトウヤは辛そうなリンを抱きしめ、お姫様抱っこをする。

 

「ん……」

 

意地を張る気はないのか、目的を達したから大人しくされるがままのリン。ただ、ほんのりと顔は赤い。

 

「おお、勇者殿ではないか!」

 

「ゆ……何だって?」

 

難聴ではないが、里長の告げた言葉に聞き返すトウヤ。信じられなかったのもあるだろうが、そう呼ばれる理由に心当たりがなかったからだろう。

 

「リンから聞きましたぞ。我々が魔奏に苦しめられてる時真っ先に飛び出して早期解決に至ったと」

 

「……ああ、そうなるか……ただ白上とおかゆんも助けてくれたし、俺だけが誉め称えられるのは違う気がする」

 

おかゆんが魔奏を奏でてはいたし、止めたのも事実だが……その後の事を考えると自分だけが勇者と言われるのは違う気が……というより勇者と呼ばれるのは個人的には嫌なので、と言外にいう。尚、ヘラっていた事を覚えていたらややこしくなっていた事を記しておく。

 

「……と、そんな事より状況が状況だから手短に伝えるが……レツが生きてた」

 

「なんと!?」

 

「っ、レツ姉さんが!?」

 

トウヤの発言に里長は分かるが、リンも珍しく驚いていた。その気持ちは分かるが、他にも聞きたい事があるとばかりに……寧ろ此方が本題だとばかりに二人を制する。

 

「里長、聞きたい事がある……オモイカネって神様が此処に来たか?」

 

「……オモイカネ、ですと?」

 

「ああ……式神みたいにアヤカシが契約して至った者ではなく、生まれた時からの神だ。アマテラスもそれに該当するが……チハヤが言うにはオモイカネは死者を甦らせる事が出来るらしい……俺からすればそれは今を生きる者達への冒涜だから認めたくないんだが……」

 

「成る程……その者が関わったのならレツが生きてた……いや、生き返った理由になると……しかし我々は見た事がない……ふむ、文献を漁れば記されているかもしれんのう」

 

「でも里長、文献が保管されてる場所は……」

 

力になりたい、でも……といった感じで耳を力なく伏せるリン。襲撃で燃えた場所に保管されていたのだろう。しかし里長に残念がる素振りはなく……

 

「……リンよ、こういう事もあろうかと文献の保管場所は複数ある。重要な物ほど外敵要因に強い場所にのう」

 

「っ、本当!?」

 

「里長、案内を頼む」

 

「任された。ではわしに続いてついてーー」

 

老いてはいるが、役立てると分かった時の喜び様は若者と変わらず……といった足取りで先行する里長。その後を追うトウヤとリン……

 

「来る、のじゃああぁ……!?」

 

「り、里長おぉ!?」

 

「ご主人様離れて!」

 

突如噴き出した水柱に里長が噴き上げられてしまう。トウヤは思わず叫び、リンは触れると二の舞になると危惧して離れるように言い、トウヤは慌てて離れる。どうでもいいがオスの老猫ののじゃ悲鳴とか誰得だろうか。

 

「っ、何で急に……」

 

「さっきの泥濘は見間違いじゃなかったのか……それに水柱……リン、原因は不明だが最悪……ミズハは沈む」

 

リンが焦燥を露にする中、トウヤは数を増して犠牲者も増やす水柱を避けながら静かに告げる。リンは冗談だと言いたいが、現状を目の当たりにした以上言えず……事実を受け入れるしかなかった。

 

ーー力いっぱぁあい! とぉうりゃああああぁ!

 

「うおっ!? 何だ今の、風か!?」

 

「ん! レツ姉さんだ!」

 

数を増す水柱に囲まれ、遂に俺も噴き上げられてしまうのかと静かに覚悟し、レツを離すまいと自身に押し付けるトウヤだったが……直後、水柱を暴風が吹き飛ばしてしまった。それだけに留まらず、上からゆっくりと噴き上げられてしまった里長達が降りてきた。

 

「リン……再会を祝して踊りたいところだけどそうも言ってられないからね! 手分けしてリュウグウまで誘導するよ! 年寄りから順番に、さあ移動するよ!」

 

「ん、分かった……ご主人様、そういう訳だから……」

 

「ああ、分かった」

 

リンは文献の事を言ってるのだろう。気にならないといえば嘘になるが人名優先と言い聞かせてトウヤは目を回している里長を起こし、絶えず噴き上がる水柱を次々に吹き飛ばすレツの指示に従い、避難誘導に勤しむフブキ達と合流した。

 

「もうこうなったら隠し道も意味を成さないね……それにしてもやっぱりレツは凄いにゃあ」

 

フブキが滝を凍らせて道を作っていた場所を駆け抜けながらおかゆは風袋と呼ばれるレツの得物を振るう姿を見ながら言う。風というより最早台風並のものが振るわれる事で水柱が霧散するし、高所から降ってくる犠牲者もゆっくりと降ろす事に繋がる。初見ながらトウヤもまたヒグニの皆に匹敵するんじゃないかと思うほどだった。

 

「……一応聞いてみるが、レツって式神だったりする?」

 

「ん……レツ姉さんは私と同じでアヤカシ。ご主人様が候補だったけど……」

 

けど、で止めるリンにトウヤは恋仲でやる事やってるのに契約を結んでないのか? と内心で首を傾げる。

 

「契約したくても出来なかった……霊力は足りてる筈なのに何か合わなかったとか言ってた……私も同様」

 

「合わなかった……か、白上もそうだったよな?」

 

「そうですね……まさかオトワの皆さんと契約出来ないとは思いませんでした……一人くらい居てもいいのに」

 

「この中で式なのはおかゆだけだね……そういえばこんな状況なのにおかゆの主人は来ないの?」

 

リンの言葉にトウヤがフブキに訊ね、思い出したのか耳を伏せるフブキ……そしてラウラがふと思ったのかおかゆに訊ねる。訊ねられたおかゆはというと……

 

「……ごめん、嘘ついた。ボクの主人ーーもう居ないんだ」

 

何でそんな嘘をついたのかと聞こうとしたトウヤ達だが、唇を噛んで辛そうなおかゆの姿を見て聞かない方がいいと思った。そんな中、遂にリュウグウが見えてきた事で話が終わる。

 

「……柳宮か」

 

「うむ……訳は言わずともよい。非常事態故に龍宮艦を準備しているから年寄りから順番に乗り込むといい」

 

リュウグウの入口には陰陽頭のイズナをはじめとし、継子・候補生以外にも陰陽師が多数居た。トウヤは説明を求められても答えられないから助かると思いながら……フブキ達に避難誘導を任せてその足を止めた。

 

「柳宮は……どうするんだ」

 

「私は、陰陽頭としての務めを果たさねばならん。この波紋滴静に誓ってな……皆を頼む」

 

何時しか雨が降り始めた中、イズナが睨み付ける先に何かが居た。




今更ながら……レツはガルクリのローリエをイメージしてます。向こうはロリだし、緑髪だけど……仕方ない。原作レツは兄だし死者だし。
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