アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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開始の合図をしろ磯野おぉ!

新章開始イィ!


栄冠諦衰
砂漠の都


 フート大陸。そこはかつて、風に愛された浮遊大陸だった。絶えず風が吹く事で風力発電が盛んであり不自由なく日々を過ごしていた。しかしある日突然風が無くなった事で浮遊大陸は墜落し、海に浮く他の大陸と変わらなくなってしまう。

 

アストリアにおける五つの大陸は陰陽五行説を現していて木土水火金の五元素を意味する。各大陸は五元素を捩った名前となっていて大陸ごとに元素を生かして生計を立てていた。

 

なら、今のフートはどうだろう。風が無くなったという事は元素を生かして生計を立てる事は出来なくなるという事になる。そんな大陸に住み続けるのは難しいのではないだろうか。

 

 

「……と言われていますが、なかなか人というのは逞しいものです。確かに風が無くなった事で木々が枯れ、地は渇き今では広大な砂漠が各地に広まっています」

 

「……その砂漠を生かして生計を立てているのが現在のフートという事か……確かに逞しいな」

 

そう言って色褪せた本のページを捲るのは腰まで伸ばした蒼髪に左目が赤く右目に眼帯を着けた少女ーー結愛メグリ。それに頷いて本の内容をメモするのはトウヤだった。

 

「……さて、今度はトウヤの番です」

 

「そうだな……ヒノモトについて話そうか……」

 

ミズハからフートの岸部に漂着したトウヤはメグリの献身的な介護に満身創痍だった傷は癒え、教鞭をとっていた。とはいえ、メグリもトウヤも先生であり生徒みたいなものだが……

 

「……火ではなく陽なんですね。フートも木ではなく風なので親近感が沸きますね」

 

「まあ、大陸の名前がどうしてそうなったのかは……安倍晴明に聞くしかないんだがな。ミズハ、フート、ヒノモト……確か後はコンクィアだったか?」

 

「……コンクィアは地の元素を生かして生計を立てているそうですね。交流があったのか書物に記されてます……ただ、金だけ情報がありません」

 

ミズハ(水)

フート(風=木)

ヒノモト(陽=火)

コンクィア(地)

?(金)

 

とメモに書きながらトウヤは確かに……と唸る。

 

「ふう……今日は此処までにしておきましょうか」

 

「そうするか、メグリ先生」

 

「……む、そっちがそう言うなら私だってトウヤ先生と呼びますよ」

 

「それは勘弁してくれ……というか先生であり生徒でもあるって今更ながらおかしな感覚だな?」

 

「そうですね……昔はもっと生徒も先生も居たんですけどね……」

 

軽口を叩きながら本を棚にしまい、部屋を出る二人。窓から差し込む陽は強く、まだ昼下がりといったところか。

 

「……では、私は此処で……また明日も宜しくお願いしますね」

 

「ああ、此方こそ」

 

建物を出てメグリと別れる。ちなみに名字呼びをすると何とも言えない顔をされるから名前で呼んでいる。

 

「……陰陽寮は何かに見立てて築き上げられる。ミズハは竜宮城に見立て、ヒグニはからくり屋敷に見立て……フートは学舎に見立てたか……しかし、物悲しいな……」

 

見上げる先には砂を被った陰陽寮があり、中央には止まってしまった時計があった。確かに歩み続けているが何処かで止まってしまっているとトウヤには感じられた。

 

「……なあ、聞きたいんだが…………白髪の白上フブキ、青髪の涼風リンーー」

 

陰陽寮から少し行くと見えてくるのがフート大陸の都であるゼピュロスだ。トウヤは此処でメグリとの授業を終えた後は情報収集をしていた。答えは変わらないが、それでも止める事は出来なかった。

 

「毎日来ても見てないものは見てないって……いや、あんたが捜してる人とは違うかもしれないが、同じ事を聞いてきた人は居たね」

 

「……同じ事を聞いてきた?」

 

……そして諦めなかったら変化は必ず起きるものである。情報収集を欠かさずしているからかすっかり常連となった商人の一人から興味深い話を聞けた。

 

 

「ああ、黒髪に一部赤いメッシュを入れていた女の子がね……白上フブキを見なかったかと」

 

「……そいつにはどう答えたんだ?」

 

「白上フブキは見てないが、白上フブキを捜してる人があんた以外にも居るとね……ああ、この場合のあんたは赤メッシュの子に対してだからね」

 

聞いてもいない訂正をしてきた常連はそう言うと番号の書かれた紙をトウヤに握らせる。

 

「赤メッシュの子が借りてる部屋の番号だよ。ああ、向こうにも来ることは伝えてあるから気にせず行きな」

 

部屋の番号と聞いてトウヤはいいのかこれ?と目で訴えたが、分かっていたのかそう言うと常連は手でさっさと行けと追い払った。トウヤはフートで使える銭を稼げたら倍返しで商品を買ってやろうと密かに決意した。

 

 

「……30号室、此処か」

 

メグリが言ってたように砂漠大陸になっても生計を立てているらしく意外としっかりとした造りの建物に入って目的の部屋の前で止まる。

 

「……さて、誰が出てくるか」

 

数回、戸を叩いて待つ。

 

「みお~ん……どちら…………」

 

「……だらしないな」

 

寝起きだからか、普段からこうなのかは知らないが戸を開けて出てきたのはボサボサの髪に黒のスポブラに黒の紐パンを穿いた犬耳に尾を見る限りでは犬のアヤカシと思われる少女だった。

 

「う、うわあああぁ!? おとこのひとおぉ!?」

 

「……取り敢えず身嗜みを整えてからテイク2」

 

慌てふためく少女に言い付け、戸を静かに閉めるトウヤだった。




みお~ん……忘れてた人も居るんじゃない? ミオの事をフブキが語ってたのは一話目だし……

普段はしっかりとしたミオママなのに、どうして……(作者の陰謀)
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