アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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ある程度書けたと言っただろう。続きを投下ッ!……あ、ビナー君ちゃんすまん、爆撃してしまった。

9/15...加筆修正。


★宣告

それから半日経ち、夜が来た。リュウグウに流れる水が夜闇に浮かび上がり何処か幻想的な雰囲気に包まれる。そんな中をトウヤは歩いていた。余談だがホップステップダァイは一部を除いて無理だった者が多く、反対側に一万階段という誰でも上れる道があるとイズナから聞いたトウヤは自棄になってフブキと同じく滝壺ダイビングを実行して排出された一幕があった。

 

 

「……リュウグウは静かな都だな。ヤマトとは大違いだ」

 

自分の住んでいた都、ヤマトとの違いに思わず笑みを浮かばせる。ただその笑みは少し寂しそうでもあった。ホームシックだろうか。

 

ーー何か辛いことでもあったの? そうだんけいヨシノに話してみない?

 

ぶらぶらと歩き、食事処ニシキを通り過ぎた時、誰かが声を掛けてきた。

 

「……君は、ニシキから出てきたって事は……店員か? こんな時間まで大変だな」

 

「おー……今日も繁盛繁盛、店員じゃなくてヨシノは染井ヨシノ。てんちょーだねぇ」

 

……声を掛けてきたフブキと同じ狐のアヤカシである少女は自身を染井ヨシノと呼んだ。トウヤが特に驚いた様子も見せないのはヒグニでは誰かがいつの間にか横や背後に居る事は珍しくないので……それと比べたら急に声を掛けられる事は驚く程ではない為。

 

「……店長だったか。俺はトウヤ。肉うどん旨かった。また寄る事があれば頼みたいものだな」

 

「きつねうどんもオススメだよ~」

 

「そうか……なら今度はきつねうどんを頼むとするか……っと、それはおいといて辛いことでもあったのか、だったか?」

 

「うん。ヨシノはこー見えてよく見てるんだよねぇ。ふぶきぃと会話してた時と比べると寂しそうな顔してるんだよねぇ……」

 

他愛もない話から本題へ。ヨシノが言う寂しそうな顔してる発言にトウヤは思わず自分の顔を触るが分からなかった。

 

「自分では気づけない事でもヨシノにはお見通しなんだよねぇ……リュウグウは夜になると昼間の賑わいが無くなって物悲しくなるから気持ちは分かるよー。それにヒグニから来たなら尚更だねぇ」

 

「……羽織を見て分かったのか。その発言からして染井はヤマト出身なのか? でも染井なんて姓は聞いたことがないが……」

 

「……仕立屋ソメイって知らない?」

 

「……あの仕立屋か……世話になってたな。でもあそこの店主は確か錦の姓じゃなかったか?」

 

「……ヨシノの実家がそこなんだよねぇ……あ、そうだ。とうやがヤマトに帰る事があれば仕立屋ソメイに手紙を持っていって欲しいんだけど頼んでもいい? ちょっと人目に触れられたくないから飛脚便は頼めないから直接ね……」

 

少し暗い顔をしたが直ぐに笑みを浮かべるとそう言ってヨシノは萌え袖から一枚の花柄便箋を取り出し、トウヤに手渡す。封蝋という徹底ぶりだ。

 

「……(受けるとは言ってないが、まあついでだしいいか)確かに受け取った。じゃあ、また来るわ」

 

「またねぇ~」

 

ーー◆ーー

 

一日が終わり朝が来た。陽が昇る中……一万階段を下りるフブキに笑顔はなかった。

 

「(案の定……追放された、か。弱味につけ込むようで嫌だが……これも白上フブキの為になるかもしれないし)」

 

力なく一万階段を下りるフブキをトウヤは一番下から見ていた。

 

「……よう、その感じだと追放されたみたいだな?」

 

トウヤは一番下にフブキが着くと少しの間を置き、偶々通り掛かった体を装って声を掛けた。

 

「あはは……はい、頑張ったんですけど駄目でした……」

 

「頑張ったけど駄目だったのなら……仕方ないさ。頑張らずに駄目になるのより遥かに、な」

 

「経緯はどうあれ、結果が全て……ですよ。ところで、どうしてあなたは白上に声を掛けたんですか?」

 

「……昨日、陰陽寮に行ったのは何でだと思う?」

 

寂しそうに笑ったのは一瞬。首を傾げて疑問形で訊ねるフブキに訊ね返すトウヤ。フブキは聞いてるのは此方なんですけど……と思いながらも少し考えた後で口を開く。

 

「観光……ではないですよね。となればスカウト? その羽織はヒグニ支部のですし……目当ての子は居ましたか?」

 

「ああ、居るぞ」

 

「そうですか……それはよか……? 居る、ですか? 居たではなく?」

 

自身の考えた事を言い、訊ねるフブキにトウヤは即答し、言い回しにフブキは首を傾げる。

 

「ああ。あの時、白上が言いたかったのはお礼なら自分と契約して欲しい、じゃないか? 羽織を見れば俺が何者なのかは一目瞭然だしな」

 

「えっと……分かりやすかったですか? うぅ……恩に着せるようで罪悪感が……」

 

「俺が同じ立場ならそうしたから気にするな……と言いたいが、すまん」

 

「え、何で貴方が謝るんですか?」

 

フブキはあの時に言いかけて止めた事がバレていた事で恥ずかしさやら罪悪感やらで頭を抱えてしゃがみ込んでいたが、片膝をついて目線を合わせると謝罪しながら頭を下げたトウヤに目を白黒させた。

 

「俺はーー祓無施だ」

 

「ふつ、むせ?」

 

「こんな話を聞いたことないか? マガツヒを祓う事が出来る陰陽師と祓い師……そして祓いも出来ず施しを受けなければマガツヒに為す術もない一般人でしかないのに無駄に憧れを抱く愚者の事をさ……それが俺、祓無施のトウヤだ」

 

何処か自虐するように言うトウヤにフブキは頭を抱えていた手を下ろす。

 

「そんな俺が何故ヒグニの羽織持ちに選ばれたんだか……だからすまん。俺は白上フブキと契約は出来ない……でもヒグニに行けば契約出来るかもしれないからスカウトを……白上?」

 

謝罪の理由とスカウトの理由を告げたトウヤはフブキに抱きしめられていた。

 

「……何ですかそれ。確かに一般人は日々マガツヒに脅えながら生活をするしかなくて陰陽師や祓い師に助けてもらわないといけないという無力感を抱いています。それでも陰陽師になろうと憧れを抱く事がどれだけ大変な事か……白上達アヤカシには理解できないかもしれないけど分かろうとする事は出来ます! その上で言ってあげますよ! マガツヒに対抗出来るからって偉そうに言うな!」

 

「(痛いんだが……)そう思える白上は凄いな……」

 

ヒートアップするにつれて抱きしめる力が強くなり内心で痛いと言うトウヤだが、口には出さなかった。

 

「凄いのはトウヤさんです! 祓無施だと打ち明けずに私を利用する事だって出来たのにそれをしませんでした! だからーー決めました!」

 

抱擁を解き、見つめ合う形でフブキは決意を瞳に宿し口を開く。

 

「白上はアヤカシのままで式神と対等の強さになってみせます! 契約なんてこっちから願い下げですよ!」

 

「は、はぁ!?」

 

「そしてトウヤさんはそんな白上の御主人様になるんです! そうすれば誰も馬鹿に出来ませんよ! それに白上は狐なので愛玩動物としてももってこいですね!」

 

「ちょ、待て!?」

 

「目指せ下克上!」

 

トウヤの制止に気づいてないのか勢いよく立ち上がると拳を突き上げて宣言したフブキにトウヤは諦めたように立ち上がり、軽く拳を突き上げた。

 

 

「…………落ち着いたか白上?」

 

「あうぅ……勢い任せにとんでもない事を宣言してしまいました……」

 

暫くして我に返ったフブキは今度は両手で頭ではなく顔を覆ってしゃがみ込む。恥ずかしいやら、とんでもない事を口走った後悔やら……

 

「……でも、撤回なんてしませんから。白上は嘘つきになりません!」

 

「まあ……やる気なのはいいことだな。で、何から始める? 見聞を広める機会にもなるし」

 

「先ずは……同志集めですね! 今の話を聞けばミオは確実に協力してくれるでしょうし! 確かマガツヒ討伐でフート大陸に向かった筈」

 

「……となれば先ずは港に行かないとな。船を使わないと他大陸には行けないし……」




前書きはただのふざけです。アストリアにビナーは居ないですよ。
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