アフェクション・ランブル(未)   作:咎煮

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いえーい、4000字だぜ!

9/15...加筆修正。


★発覚

「……兄さん、私頑張ってるよ」

 

森の中で異質とも呼べる場所に彼女は居た。そこは昼夜問わず明るかった。ずっとそこに居たのならば時間の感覚がおかしくなりそうだ。

 

「今日、また襲撃があったけど……おかゆ姉さんの活躍で何とかなったよ……私は怪我したけど……」

 

彼女は思い返す。十年前、里が襲撃された際に兄妹で守った時の事……式ではなくアヤカシの兄妹は苦戦したものの撃退に成功。里は守られたが、直後にレツが不可視の一撃を受けて重傷を負う。気を引き締め直したがそれ以降は何もなく……

 

「……あの時の事、私は忘れないよ」

 

重傷を負い、昏睡状態が続いたレツは二度と目覚める事はなく、この場所に墓が建てられ、遺体が眠っている。

 

「また……来るね」

 

彼女の日課の一つは起きた事の報告を兼ねた墓参り。何時ものように報告と墓参りを済ませて立ち去ろうとした。そんな時……

 

ーーあああぁ……

 

誰かの悲鳴が聞こえ、彼女は声が聞こえた方角に意識を集中させた。

 

「あああぁ! っ、そこ、退いてくれえぇ!」

 

少しして余波で吹き飛ばされたトウヤが悲鳴をあげながら向かってきていた。彼女はーー

 

「(避けたら兄さんの墓に当たる……なら、受け止めるしかない)」

 

思考は一瞬。墓参り道具一式を放り投げて両手を広げ、両足を大きく開き……体に力を入れて受け止める体勢をとった。その直後、トウヤが彼女にぶつかる。

 

「んっく……!」

 

「ぶへっ!」

 

ぶつかるのと同時に開いた両手をトウヤの背中に回して自身に押し付ける。衝撃で吹き飛びそうになるが両足で地を踏みしめて耐える。

 

「い……ったぁ!」

 

しかし踏みしめた直後激痛が走り力が抜ける。衝撃を殺しきれず彼女とトウヤは数回程、地を転がり……木にぶつかって漸く止まった。

 

「(そういえば捻ってた……でもこの人を助ける事は出来た……何で飛んできたんだろ?)」

 

「……すまん、助かった」

 

「……気にしないで。あのままだと兄さんの墓に当たってたから受け止めるしかなかった」

 

背中に回していた手を離したのを感じ取ったトウヤは彼女から離れると頭を下げる。彼女は顔を左右に振ってそう言った。

 

「……その耳に尻尾、おかゆんと同じ風猫か?」

 

「おかゆ姉さんを知ってるんだ? うん、そう。私は涼風リン……アヤカシで……風猫」

 

「やっぱりおかゆんと同じ風猫か……というか姉って……おかゆん、妹居たのか?」

 

木に寄りかかったまま自己紹介をする二人。彼女ーー青髪の風猫、リンは何故かトウヤをじっと見つめ……

 

「……ご主人様?」

 

「うん? 何故ご主人様?」

 

「…………違った。似てたから……」

 

「そ、そうか……」

 

衝撃的な発言をしたが、少しして顔を左右に振って否定したリンにトウヤは何とも言えない感じで返し……場の雰囲気がおかしくなった。

 

「……何で飛んできたの?」

 

「おかゆんと白上のじゃれあいの被害に遭った……としか言えないな」

 

「……そう、災難だったね」

 

素直に飛んできた理由を話したがリンは同情するように言うと立ち上がり……よろめいたが、トウヤが肩を掴んで支えた。

 

「足……捻ってたのか?」

 

「……ん、捻ってたけど悪化して折れたっぽい……多分さっき受け止め……損ねたせい」

 

捻った状態で受け止めたからか悪化して骨折した模様。平然としてるが痛みに強いのか、表情に出ないだけか。何れにしろトウヤは自分のせいだと思い、リンをお姫様抱っこする。

 

「……これくらいしか出来ないが、俺のせいだからな……家まで送るよ」

 

「…………」

 

「……黙られると困るんだが。道案内頼めるか?」

 

「……分かった。取り敢えず……あっちに向かってーーご主人様」

 

 

お姫様抱っこに驚いたのか黙りこむリンに苦笑して案内を頼むトウヤ。リンは指を指して進む先を案内し……また聞き捨てならない呼び方をした。

 

「あっちだな……ってまたご主人様呼び?」

 

「うん、ご主人様……ご主人様ご主人様ご主人様」

 

「(こえぇ……真顔だから更にこえぇ……)呼び方は好きにしてくれ……」

 

初対面なのにご主人様呼びを連呼するリンにトウヤは気にしてない風を装い内心では顔面蒼白で白目を曝し……歩き出した。

 

 

 案内の元、森を進む事暫く……自然を活かした作りで出来た樹上の家が並ぶ場所に出た。恐らく此処が里なのだろう。

 

「……空気が美味いな」

 

「住み慣れたらそうでもないけど……ご主人様が言うならそうかも」

 

自然を感じ、言うトウヤに否定的な事を言うリン。しかしすぐにトウヤが言ったからと肯定する。トウヤが白と言ったら例え黒くても白と答えそうな勢いだ……

 

「ーーっ、リン!」

 

「おかゆ姉さん……捜してた?」

 

「さ、捜してた……って……安静に……って……言った……よね……?」

 

里を歩いていると駆け寄る者が一人。息を切らせてる所を見ると余程捜し回っていたのだろう。

 

「ーーはぁ、はぁ……おかゆん! リン居ましたか……ってトウヤさんと一緒に居たんですか……何で? 何で何で何で

 

 

「(こえぇって……)何でも何もお前らに吹き飛ばされた先で助けられたんだ。その際にただでさえ捻ってたのに悪化して足を折ってしまったみたいで……俺がこうして連れてきたんだよ」

 

少し遅れて別の方角から走ってきたフブキがトウヤとお姫様抱っこされているリンを見つけて固まり……何でを連呼し……内心で怯えながら事情を説明した。

 

「も、元を正せば白上のせいですし……代わりますよ」

 

「いい。ご主人様に連れていってもらうから」

 

「ご、ご主人様あぁ!?」

 

説明を聞いたフブキは納得し、連れ帰る役目を代わろうとしたがリンの拒絶とご主人様呼びに白目を剥いて叫んだ。

 

「……ふーん、リンのご主人様呼びか……つまりレツのご友人でもある訳で……歯ァ喰いしばれ」

 

「何故そうなる!? というかこの状態の俺を殴る気かおかゆん! 涼風をお姫様抱っこしてるから巻き込むぞ!?」

 

「十年前のあの時に居なくならなければレツが亡くなる事はっ!」

 

「待て! 待て! 頼むから待ってくれ!? 白上、助けて!」

 

ご主人様ご主人様ご主人様……っ!? っておかゆん! 猫輝爆はダメです! アヤカシの技でも人に向けたらダメなのに式になって強化されたのは死にますっ!」

 

 

「止めるなフブキ! 無責任野郎に天誅下さないと!」

 

 

「……ん、カオス」

 

「涼風が元凶だろ!? どさくさに紛れて匂いを嗅ぐな! というか何故ご主人様呼びされただけでこうなるんだああぁ!」

 

リンのご主人様呼びから十年前此処に居たという事と居なくなったという身に覚えのない事を言われて動揺するトウヤを殴ろうとするおかゆに助けを求めるトウヤ。虚ろな目でご主人様と呟くフブキだったが、おかゆの妖力の高まりに正気になり、慌てて止めるのだった。そしてリンはただ一言呟き……何とか最悪の事態にはならずに済んだ。

 

 

「……記憶喪失?」

 

「そうだよ……言ってなかったが俺は何も思い出せない状態でチハヤに拾われたんだ。じゃあご友人なんだろって話は最後まで聞いてくれるかなおかゆん!? 十年前のあの時と言ってたけど俺が拾われたのは八年前だから計算が合わないんだ! それにそいつは俺と違って敏腕陰陽師だろうし……涼風のご主人様呼びについては……呼び方くらい好きにしてくれと言っただけ。他意はない……」

 

 

リンの家に着き、敷いたままだった布団の上に下ろしたトウヤは誤解を解くためにざっくりと境遇を語った。敵意どころか殺意を向けていたおかゆはそれを聞いて息を吐く。同時に殺意が消えたのを確認してトウヤは安堵の息を洩らした。

 

「……ご主人様はご主人様」

 

しかし納得がいかないとばかりにリンが頬を膨らまして抗議する。

 

「涼風……確かに呼び方は好きにしてくれと言ったが、俺は本当のご主人様じゃない事は分かっただろ?」

 

「……じゃあ何で私とご主人様しか知り得ない事を再現できたの?」

 

自分は違うと説得するトウヤだがリンはじっと見つめて問いかける。

 

 

「あー……もしかしてお姫様抱っこした辺りの言葉か?」

 

「そう……十年前もご主人様はそう言って私をお姫様抱っこしてくれた」

 

「トウヤさん? 何と言ったんですか?」

 

「……これくらいしか出来ないが、俺のせいだからな……家まで送るよ……だが? これくらい普通に言うだろ?」

 

それが十年前にご主人様とやらが言ったとしても、普通だろ?と言外に訊ねるトウヤ。

 

「……やっぱりご主人様だ」

 

「おかゆん、どう思います?」

 

「うん、ギルティ」

 

「何でだへぶっ!

 

潤んだ目で嬉しそうに言うリンを見ておかゆに訊ねるフブキ。おかゆは頷くと強烈な頭突きをトウヤにお見舞いした。……味方は居なかった。

 

 

 

「……仮にトウヤさんがおかゆんの言うご友人だとしたら行方不明になっていた二年間に何があったんでしょうか?」

 

「うーん……頭突きをしておいてなんだけどトウヤはご友人と違うと思うんだよね……」

 

気絶したトウヤをリンの横に寝かせた後、家を出て里を歩きながら会話をするおかゆとフブキ。ちなみにリンは嬉しそうに抱きついていた。

 

「は? ……違うなら何故頭突きしたのか答えてくれませんかねぇ?」

 

「痛い痛い! フブキ、トウヤ好きすぎるでしょ!? 頭突きしたのは……行き場のない怒りいいぃ!?」

 

ご友人とは違うのに頭突きをした事に対して笑いながらおかゆの肩を掴むフブキ。少し前にも同じ事があったが今度はうっかりではなくガチ。本気で肩を壊されると確信したおかゆは素直に八つ当たりと言ったが、それが決め手になったのか肩の骨を砕かれて悲鳴をあげた。

 

「いや、ちょっと……本当に洒落にならないから……っ!」

 

「……で、ご友人とやらとトウヤさんが違うという理由は何ですか?」

 

両腕を力なく下げて涙目で訴えるおかゆに対して容赦なく先を促すフブキ。

 

「鬼だ、鬼が居るよ……っ」

 

「白狐ですが? で?」

 

「……まず、ご友人は女性。で……レツとは式契約を交わしてたし、恋人同士だった。それに対してトウヤは男性だし式契約を交わしてない。式ならその人が契約してるか分かるからね。ただこの場合だと二年間の間に性転換したとか、レツが亡くなった事で契約が破棄されたからという可能性があった。でも頭突きをした際にトウヤから霊力が全く感じ取れなかったんだよね……フブキも知ってると思うけど、アヤカシが妖力を宿すように陰陽師は霊力を宿すんだ。たとえ一般人でも霞程度の霊力はあるんだよ。だけどトウヤからは霞程度の霊力すら感じ取れなかった……そんな事はまず有り得ない。だからご友人とは違うと結論を出したんだ」

 

「……やっぱりトウヤさんは凄いですね。私、益々好きになりました」

 

霊力が無いのに陰陽師を目指していたと知ったフブキは頬に手を当てて微笑む。おかゆはそんなフブキを見て何故か背筋が凍る感覚に陥った。




……何かしゃべり方のせいかリンがシロコに見えてきた。意識してるからかな……

感想やお気に入りはまあ、こんなものかと思ってましたよハハッ! 人気ないというかキャラだけ借りて内容は原作無視だから仕方ないね!

忠告しよう、此処からもっとやりたい放題になるぞ。(赤文字)
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