※国綱さんはジオン公国の少将じゃありません。
「いってきまーす」
ねっむ……。夜更かしし過ぎたな……。
「──っと、すみません」
「いや、こちらこそ」
ボーッとしてたからかな。人にぶつかりそうになっちまった。
それにしても……何かやってる人なのかな?なんか歩き方が剣道とかやってそうな感じだったけど。そんでもってどこかで見覚えあるんだよなぁ……。
「って、このままじゃ遅刻だ。急げ!」
体持ってくれよ!全力で走れ!
◆◇
「よう陽務」
「なんだよ雑ピ 新しいポエムのお披露目か?」
「なぜそれを知ってる……⁉︎」
おっと?ガチで新作出来てたのか。これは発表会だな。
「まあ、それは追々な。そんでどうしたんだ?」
「待て……何故バレたんだ……?」
「今はポエムから離れろ暁ハート」
「ポエム?」
教室で雑ピをいじってると、なんの話だと言わんばかりに京極が入ってきた。
「りゅ、龍宮院さん⁉︎」
「おはよう、それでポエムがなんだって?もしかして陽務君が書いたのかい?」
ニヤニヤと幕末で調子に乗ってる時の笑みを浮かべていた。
天誅してやろうか……いやダメだ。幕末思考を外に持ち出すのはマナー違反だ。
「俺じゃないよ。それはこの雑菌福耳ハート先生の作品だ」
「おい、俺のペンネームは暁ハートだよ──あっ……」
雑ピは名前を言ってすぐ頭を抱えていた。
勝手に自爆してやんの。
「そうなんだ、それでどんなものを書いてるんだい?」
「い、いやそれは……」
んだよ雑ピらしくねぇ……SNSで芸能人にも絶賛されてんだろ⁉︎
「龍宮院さん、ちょっと良い?」
「はい、どうしましたか?」
廊下から呼ばれた京極は、去っていった。
「やったなお前」
「言うな……。」
「いやめっちゃ面白いよ?」
「やめろ……。」
頭を抱えて悶々としている雑ピって珍しいけど面白いよな。普段の斎賀さんとどうこうって尋問の返しだな。
◆◇
「さて、ロックロールに寄って帰るか──」
「陽務君」
「ん?」
呼ばれた方向に反応すると、そこに居たのは京ティメット……もとい龍宮院さんだった。
「この後──暇かい……?」
「は?」
シャンフロや幕末の中でなら兎も角、対して関わりの無いリアルで唐突に言い出した。
てか話題の転校生がそんな事を言い出したせいで辺りがざわめき始めてるんだが⁉︎
「これか?」
下手に言葉に出すと雑ピ達に意味不明の誤解を生みそうなので、またもや幕末志士を炙り出すサインをした。
「……違う。まあいいや。暇ならとりあえず来てくれ」
「えっ、ちょっ」
京極は俺の手を取り、そのまま引っ張って行った。
「おい陽務!どういう事だよ!」
雑ピの雄叫びがこだました。こりゃ明日は尋問だな……。めんどくせぇ……。
◆◇
「……で、いきなりどうしたんだよ」
学校の外に出ると同時に俺は京極に要件を聞いた。
「……サンラク──じゃなかった陽務ってさ……お祖父様の歩法使えたよね?」
お爺様──あー……そういう事か……。
「龍宮院富嶽の歩法の事か……?」
「そう。確か黒狼と戦った時に使ってたよね?」
「まあ……やったな」
サイガ-100戦で使ったが……まさか龍宮院の刺客に処刑されるのか……?
「実はねぇ……その事でちょっと面倒事起きちゃってね」
「マジかよ……」
俺はその場で頭を抱えた。これって逃げた方が良い?
「まあ、詳しくは向こうで話すよ。とりあえず行こう」
「え、ちょっ……」
俺の意見など虚しく、連行されて行った。
◆◇
「おー……またここか……」
「ん?ここに来たことあるの?」
「前にちょっとな……。もう一度来ることになるとは思わなかったが」
京極に案内され到着したのは、風雲斎賀城──もとい斎賀さんの自宅だった……。そういやコイツの居候先だったか……だとしてもまた来るとは思わないだろ。ランダムでラスボスエンカはクソゲーだけにしてくれ
「まあ、話は通してあるから行くよ。」
「へーい……って、レイ氏は知ってるのかよ」
「むしろ今回の原因を教えてくれたのが玲さんだからね。知ってるはずだよ」
そうか……。いや覚悟を決めろ。これから何が起きるかわからないが、気を強く保て……。いざ鎌倉──
「1週間ぶりだね‼︎ 愛しの京極──◎△$♪×¥●&%#?!」
敷地に入ると同時に声にならない悲鳴が響き渡った。
「貴様‼︎何故京極と一緒にいるのだ!」
「えっ……」
まさかのボスとのランダムエンカか……⁉︎ てか京極の知り合いか⁉︎
「待ってください國綱兄様、私の同級生です」
「同級生か……。だが京極よ……女性なら兎も角、男の同級生だと……⁉︎ 私の許可も無く京極の側にいるとはどういう了見だい?事によってはこの場で──」
「何をしてるのですか」
瞬間、この場の空気が凍った。気温が氷点下まで下がったよね……⁉︎
「あっ、ご無沙汰してます……」
声の主は以前ここに来た時にエンカしたランダム徘徊ボスのレイ氏もとい斎賀さんのお姉さんだった……。
「はい、お久しぶりですね陽務さん。して、一体あなたは何をしてるのですか?」
微笑んだまま圧をかけ続けている姿は、更に気温が下がり続けている気がした。
「仙さん、私はただ愛しの妹に会いに来ただけなのだが」
「では何故殺気を醸し出してるのですか?ただ妹に会いに来ただけなのでしょう?」
こっわ……。斎賀さんのお姉さん──仙さん?と京極のお兄さん……だよな?のやり取りを俺たちはただ黙って見ていたのだが、あまりにも怖すぎる。なんだこれ
てか京極は特に気にしてない様子だが……ってむしろ無視して通ろうとしてない?気のせいだよね?
「お二人ともやめてください。この人はただの同級生です。それと、ここに連れてきた目的はお祖父様の歩法が使えるからです」
「えっ、ちょっ」
「なんだって⁉︎」
「ほう?」
空気が変わった。もしかして俺逃げた方が良い?
「待って」
「離せ……!俺は帰る!」
「お待ちなさい」
「はい……。」
逃げようと踏み込んだ刹那、京極に制服の襟首を掴まれ、仙さんの一言で俺の足は止められた。
「ひとまず、玲も帰ってきますし、続きは中でお話ししましょう。國綱さんも良いですね」
「……わかりました。一旦刀は納めましょう。」
「では、中へどうぞ。陽務さん、京極さん」
「は、はい……お邪魔します」
何が起きるだ……?ええい考えても仕方ない!いざ鎌倉!
◆◇
「さて、何故國綱さんは騒いでいたのですか?」
切り出しは仙さんだ。しかもいきなりぶっ込んできたな。
「愛しの妹が知らない男といるとならば騒ぎもするだろう」
「待ってください、そもそも何故ここに居るのですか⁉︎ 私が斎賀家で居候になる事を知ってるのはお父様とお母様とお祖母様だけなんですけど!?」
えっ、そうなの……?お兄さんここに居る事知らなかったの……⁉︎
「ふむ……それなら容易いことさ。私は京極の居場所であれば大体の場所ならわかるのだ」
「えぇ……」
GPSを付けてるとでも言うのかと思ったが、どういう事だよ。これもうわけわかんねえよ。
「それより、何故君は京極と一緒にいるのだ!詳しく聞かせてもらおうか!」
おっと俺に飛び火した。いやまあ、普通に答えるだけか。でもこの人めんどくさそうだな……。
「最初に言っておきますが、龍宮院さんとはゲームで知り合っただけのクラスメイトですよ。」
「ほう?ゲームで知り合ったと?」
「ええ、シャンフロって聞いたことありますかね?そこで俺の友人経由で知り合ったんですよ」
一応あの外道モデルは友人って事になるよな?そう考えたら俺の交友関係とんでもない事になってるな。
「まあ、聞いたことはある。まあ、それはさておき、君がお祖父様の歩法を使えると京極から聞いたのだがそれはどういう事だ?」
げぇ……龍宮院の人にバレてんのか……。いやバレてるなら仕方ない……言うしかない。
「え、ええ……多少は……」
すると國綱さん?の表情が驚きに染まった。
「どういうことだ⁉︎ 君は龍宮院流の道場に通っているのか⁉︎」
「いえ、そういうのは全く」
「では何故……」
「えっと……龍宮院富嶽のVR剣道教室って知ってますか?」
「もちろんだ。生前のお祖父様が全面協力したものだろう?」
「???」
國綱さんはわかるみたいだが、VRをよくわかってない仙さんは首を傾げていた。
「それで、そのゲームの裏ボスで龍宮院富嶽のトレースAIと戦えるんですよ」
「なんだと⁉︎ お祖父様と⁉︎」
「まあ!」
やっぱこうなるか。
「そういう事ですよ。これで良いですかね?龍宮院さん」
「私は玲さんから聞いたよ」
「そうか……なら私と手合わせしてもらおうか。」
「は⁉︎」
「兄様⁉︎」
なんでそうなるんだよ!俺、ただ少し歩法使えるだけの一般人だぞ⁉︎
「貴様はお祖父様の歩法を知ってるだけではない!私の愛しの妹である京極とも親しげだ!だから貴様の力量を私が見る!」
「ちょっ……!國綱兄様!」
「えぇ……」
「これは……ダメそうですね。道場を開放しますので、お使いください。」
嘘だろ……。ゲームの中でならともかくここリアルだぞ……?
そんな訳で俺は京極のお兄さんである國綱さんと戦う事になってしまった。
流れが決まってないな。ジオン公国に栄光あれ!!