ノイズの群れを前に、響は立っていた。左腕に輝くのは、オレンジ色の籠手――ブーステッドギア。
『boost』
強化段階を上げながら、周囲に広がる数十体のノイズを見渡す。
「助太刀する」
凛とした声が背後から聞こえた。
振り向けば、風鳴翼さんが剣を手に、隣に並び立っていた。
「お願いします、翼さん!」
――ほんの一瞬、翼さんが私から視線を逸らす。
(やっぱり先日のことで警戒されちゃってるよね)
そんな小さな苦笑を浮かべながらも、私は拳を強く握りしめた。
今は、信じ合うことがすべてだ。
「一気に叩くぞ、ついてこい!」
「はいっ!」
私たちは同時に、ノイズの群れへと駆け出した。
『boost』
『boost』
『explosion!』
ギアをさらに加速させる。
拳を叩きつけるたび、ノイズが弾け飛ぶ。
翼さんの剣閃は、音もなくノイズを両断していった。
だが、戦場に妙な違和感を感じる。
(これは……誘導されてる?)
そんな考えがよぎる中、ノイズを追いかけていくと、やがて開けた場所に出た。
「――こんな雑魚じゃ、話にならないてっか。」
そんな声とともに、高所から降り立ったのは、白銀の鎧を纏った銀髪の少女だった。
「ネフシュタンの鎧⁉︎」
「へえ、あんたはこいつこと知ってるんだ」
彼女が手にする奇妙な杖から光が放たれ、新たなノイズが召喚される。
翼さんが警戒を強め、剣を構える。
「名乗る気はねえ、今日はお前にようないんだ。目的はそっちのお前だ。」
響を指差して少女は不敵に笑った。
「来るぞ、響!」
「はいっ!」
鎧の少女が杖を振ると、ノイズが一斉に押し寄せてくる。
『boost』
『boost』
『explosion』
さらに強化段階をあげた私は拳でノイズを吹き飛ばし、翼さんは鋭い斬撃で敵を切り裂く。
「邪魔なんだよっ!」
少女が鎧の鞭を振り回して襲いかかる。
翼さんが剣で受け止め、私はすかさず側面から拳を叩き込んだ。
息を合わせた連携攻撃で、敵の鎧に深い亀裂が走る。
だが、白銀の鎧は瞬時に自己修復を始めた。
「チッ……今日はこのくらいにしといてやるよ」
少女は忌々しげに吐き捨て、ノイズを目眩しとして召喚してその場から姿を消した。
戦闘後、静寂に包まれた戦場。
私は肩で息をしながら、隣に立つ翼さんを見る。
「……撤退、しましたね」
「ああ」
翼さんは静かにギアを解除し、ふぅっと小さく息を吐いた。
そして私を見やり、少しだけ柔らかい表情を見せた。
「今日の戦い、悪くなかったぞ……立花」
「はいっ!」
こうして新たな一歩を踏み出したことを、胸に強く感じながら私、立花響の1日は幕を閉じるの