リアス・グレモリーになったんだけど世界が違う。   作:のうち

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第14話

リディアン音楽院の生徒会室。

 格式ある空間で、私たちオカルト研究部の面々は、学校の“もう一つの顔”と向き合っていた。

 

 そこにいたのは、冷静沈着で知性溢れる生徒会長――ソーナ・シトリー。

そして彼女の正体は、冥府十神の一柱《スフィンクス》、インフェルシアの三賢神の一人である。

 

「ようこそ、天空聖者の皆さん」

 

 落ち着いた声音と柔らかな笑み。

 だがその裏には、確かな力と“格”が滲んでいる。

 

「リアス、貴女のところの新入りさんには、ぜひ一度会ってみたかったの」

 

「ええ、でもこうして改まると何だかくすぐったいわ。

 校内ではお互い忙しくて、こうしてお茶をゆっくり飲む機会もなかなかないもの」

 

 日常では生徒会長と部長。

 けれど今は、天空と冥府――二つの世界の代表同士としての対面だった。

 

「立花響さん。あなたが、新たな天空聖者フレイジェルね?」

 

「は、はいっ! よろしくお願いします!」

 

「そんなに緊張しなくていいわ。今日は戦略会議じゃないもの。力を抜いて、ね」

 

「す、すみません……!」

 

 ソーナさんは柔らかく微笑みながら、冥界の現状やインフェルシアの活動について語ってくれた。

 

 地底深くに存在する怪物の帝国――インフェルシア。

 その再興と制御のため、冥府十神は地上でも静かに動いているという。

 

同日・インフェルシア 地上拠点

 

 お茶会のあと、私たちはソーナさんに連れられ、郊外のインフェルシア地上拠点へと足を運んだ。

漆黒の石材と魔導装飾で築かれたその建造物には、どこか神殿のような荘厳さが漂っていた。

 

「ここで、響さんに贈りたいものがあるの」

 

 ソーナさんの合図で、魔法陣が展開されゲートが開く。

 

 重く響く蹄の音。

 そこから現れたのは――漆黒の馬。

 

 たてがみは風もないのに揺れ、黄金の瞳が鋭く響を見つめる。

 

「彼の名はバリキオン。あなたに託される“記念品”よ」

 

「え、ええと……よろしくね、バリキオン?」

 私はそっと手を差し出して――触ろうとすると

 

「――っぐわあぁっ!?」

 次の瞬間、後肢の蹴りが響の腹部をとらえ、彼女は派手に吹き飛ばされる。

「ひ、響っ!? 大丈夫!?」

 

「がはっ……なんでぇ!?」

 

 黒馬――バリキオンは微動だにせず、冷たく響を睨みつけている。

 

「……相変わらず、容赦がないのね、バリキオン」

 リアスは小さくため息をつき、隣のソーナに向き直る。

 

「ソーナ、あれだけ気性の荒い魔導馬を響に託すなんて、どういうつもり?

 これじゃ体のいい厄介払いをしたように見えるわ」

 

「いえいえ、そんなまさか。私は彼女ならやれると思ったのですよ。リアス、貴女の目利きを私は信じているわ」

 

「まったく……。後で響に飴でも渡しておかないと割が合わないわね」

 

 腹をさすりながら立ち上がった私は、それでもバリキオンに向き直った。

 

「っ……でも! 私は絶対、君とわかり合ってみせるからね!」

 

 その言葉に、バリキオンはわずかに耳を動かしただけだった。

 

「バリキオンは忠義深く気高い魔導馬。

 主と認めぬ相手には牙を向ける。だが、真の主には……深い忠を誓う存在よ」

 

「それはつまり、“今はまだ”ってことですよね」

 

 私の言葉に、ソーナさんとリアス部長が微笑む。

 

「ええ。だから頑張って、フレイジェル。

 あなたが心を示せば、バリキオンは応えてくれるはずよ」

 

 こうして私とバリキオンの、少し痛い出会いは終わった。

冥府十神の人間体2

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