朝霧の残る郊外の牧場。
私は今、リアス部長と共に馬の訓練場にいた。
「響、今日からはバリキオンに乗れるように身体と感覚を叩き込むわよ」
「は、はいっ!」
「でも、いきなり彼は無理ね。まずは私の愛馬、ユニゴルオンで乗馬の基本から」
そう言って現れたのは、純白の毛並みに螺旋状の角を持つ一角の聖馬。
気品に満ちた佇まいに、私は思わず目を奪われた。
まずはリアスがまたがってみせる。
「ユニゴルオンはおとなしいから初心者にも最適よ。さ、乗ってみて」
私はリアス部長に手を取られて鞍にまたがる。
――その瞬間。
(……うわ、近っ!)
背中越しにリアス部長の体が密着する。
しかも、背中に押し当てられたそれは……。
(……こ、これは……あ、あの、あれが……リアス部長の……)
「響、馬の上では姿勢が大事。背筋を伸ばして。……なに、顔赤くしてるの?」
「な、ななななんでもないですぅっ!!」
そんなふうに、騎乗中ずっと意識がぐるぐる回って、訓練になっていたかどうか……正直、自信がない。
二課の会議室にて
訓練がひと段落した頃、私は二課に呼び出され、中央棟の会議室に来ていた。
「大変長らくおまたせしましたー!」
「了子くん!」
「何よ? そんなにさみしくさせちゃった?」
「了子さん、連絡も取れないから皆心配してたんです!」
「え?」
と了子はポケットから携帯を取り出す。
「壊れてるみたいね・・・。」
「あは・・・。」
軽口を叩く了子さんだったけれど、その直後に弦十郎により放たれた一言は空気を変えた。
「……広木防衛大臣が殺害された」
「えぇっ!?」
空気が凍る。
「複数の革命グループから犯行声明が出ているけれど、真相は依然不明。
だが、問題はその背後にある“目的”よ」
了子さんが静かに、手元のアタッシュケースを見せる。
「これは政府から受領した機密司令書。そして……」
そのケースを机に置いた瞬間、私はふと、気づいた。
(……赤?)
端の部分に乾いた血のような跡。黒ずんで、微かに粘度の残るそれに、私は息を呑んだ。
「……⁉︎」
気づかぬふりをする了子さんは、話を続ける。
「リディアン学内、そして二課本部周辺でのノイズ多発――
その狙いは、ここ“アビス”に保管されている完全聖遺物、サクリストD――“デュランダル”だと結論付けられたわ」
「デュランダル……?」
「・・⁉︎、まあいいわ。」
と了子は向き直り、喋る。
「私立リディアン音楽院高等科。つまり特異災害対策機動部二課本部を中心に頻発しているノイズ発生の事例から、その狙いは本部最奥区画アビスに厳重保管されている・・・。
サクリストD。デュランダルの強奪目的と政府は結論付けました。」
「デュランダル?」
「EU連合が経済破綻した際、不良債権の一部肩代わりを条件に日本政府が管理保管することになった数少ない完全聖遺物の一つ。」
「移送するったってどこにですか? ここ以上の防衛システムなんて・・・。」
「目的地は“記憶の遺跡”――永田町地下の特別電算室。
セキュリティと防衛システムにおいては最上級。……まあ、お上の意向には逆らえないさ。」
ウィーン、と機械が動き・・・。チップが出てくる。
そして、響はアビスへと案内され、デュランダルを目にする。
デュランダルの入ったケースを掴む。
「あそこがアビスですか?」
「東京スカイタワー3本分。地下1800メートルにあるのよ。予定時間までしっかり休んでおくのよ。貴女の“仕事”は、それからよ」
「はいっ!」
と響はやる気を見せるのだった
新たな天空聖者
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