リアス・グレモリーになったんだけど世界が違う。   作:のうち

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第19話

 二課のロビー。静かな空間に照明の柔らかな灯りがともるなか、響はソファに身を預けていた。

 

「響ちゃん……」

 

「朱乃さん」

 

 ふわりと膝に添えられる柔らかな手。朱乃は静かに座り、響の頭を自分の膝に誘導する。

 

「とりあえずは私だけだけれど、ここに魔法陣を張っておいたから、部室から直通で来れるように手筈は整えてあります。」

 

 朱乃の膝枕に甘えるように横たわる響。まぶたを閉じて――

 

(柔らか……最高……)

 

 そんな極楽の時間を堪能していると、ロビーの自動ドアが静かに開く音が響く。

 

「立花」

 

 翼の声に、響は目を開けて身を起こした。

 

「翼さん!」

 

 慌てて朱乃の膝から身体を離し、響は立ち上がる。

 

「こちら、姫島朱乃さん。オカルト研究部の副部長で……その、すごく頼りになる人です」

 

 翼は朱乃を一瞥し、丁寧に会釈した。

 

「風鳴翼だ。立花がいつも世話になっているようだな」

 

「姫島朱乃です。こちらこそ、響ちゃんにはよく助けられています。どうぞよろしくお願いします」

 

 一瞬だけ、翼の眉が僅かに動く。「姫島」という姓に何か引っかかるものを感じたが、それ以上は追及しなかった。

 

「立花。まだ身体に無理はきかないだろう。しばらくは安静にしていろ」

 

「はい。ありがとうございます、翼さん」

 

 翼は朱乃に向かって小さく頷いた。

 

「それでは、私はこれで失礼する。……今後とも、立花のことをよろしく頼む」

 

 「もちろんですわ」

 

 その言葉に響は照れくさそうに笑い、朱乃は優しく微笑んだ。

 ロビーの扉が再び開き、翼は静かにその場を去っていく。

 その背中を見送りながら、響は心の中でぽつりと呟いた。

 

(……なんだか、すごく優しい時間だったな)

 

 翼が去った後、ロビーに静けさが戻った。

 

 朱乃の膝からそっと離れた響は、改めて体を起こし、深呼吸する。

 

「……落ち着いた?」

 

 朱乃が優しく問いかける。

 

「うん、大丈夫。ありがと、朱乃さん。ほんとに……助かった」

 

「響ちゃんが無事でよかったわ。部長もきっと、ほっとしてる」

 そう言って朱乃は立ち上がり、制服の袖を整えた。

「さあ、そろそろ行きましょう。部長たちが待ってるわ」

 

「……うん!」

 響はその手を握り返し、頷く。 二課の会議室へ案内された響は、部屋に集まった顔ぶれを前に緊張しながらも、しっかりと歩を進める。

 

 テーブルの奥には、リアス部長が悠然と腰かけていた。隣には風鳴弦十郎、そして櫻井了子の姿。

 

「ようこそ、響。もう体の調子は平気?」

 

「はい、リアス部長」

 

「……じゃあ、始めましょうか」

 

 リアスが手を軽く振ると、テーブルの上に魔術の文様が淡く浮かび上がる。天上の力、天空聖者の契約印だ。

 

「これより、天空聖者フレイジェルこと立花響と、特異災害対策機動部二課との協力契約を締結します」

 

 リアスの口から、宣言のように言葉が放たれる。

 

「契約の目的は、地上の秩序と平和を守ること。特に、完全聖遺物《デュランダル》を狙う敵対勢力に対抗するため、我々は力を共有し合う。その上で、天空聖者としての正体を第三者に漏洩しないことを約束するわ」

 

 響は小さく息を吸い、そして言った。

 

「私は、立花響。天空聖者フレイジェルとして、二課とオカルト研究部、両方の仲間と手を取り合って……守りたいものを守るために、この力を使います。もし、私が誰かを傷つけてしまった時は――その責任は、ちゃんと私が受け止めます」

 

 魔術陣が一際強く輝き、やがて静かに消えていった。

 

「……これで正式に君は、我々の仲間だ」

 

 弦十郎が手を差し出し、響はその手をしっかりと握る。

 

「はい。よろしくお願いします、弦十郎さん」

 

「ふふ、これで晴れて、フレイジェルとしての第一歩ね」

 

 リアスの笑みに、響も自然と笑顔を返す。

 

「立花響。天空聖者フレイジェル。共に未来を守ろう」

 

 それは、一つの新たな誓いだった。

 こうして、天空と地上、二つの勢力を結ぶ少女は、正式にその役目を背負うこととなった。

 

 それでも彼女は、変わらずに。

 

 手を差し出し、笑い合って、誰かの隣にいられるようにと――歩き続けていくのだった。

次の話はどんな感じの話がいい?

  • ルナジェルと響の話
  • 新たな天空聖者(ウィンジェル)の誕生話
  • スノウジェルと翼はクラスメイト
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