リアスとして転生した私は、現在、魔女狩りが真っ只中のフランスを歩いていた。
この世界に関する私の記憶――『戦姫絶唱シンフォギア』というアニメの知識――によれば、
この時代には一人の錬金術師、イザーク・マールス・ディーンハイムと、その娘キャロルがひっそりと暮らしているはずだった。
私はイザークが火刑に処される前に彼らの住む村を探し出し、保護しようと考えていた。
だが、世界の修正力は、私にとってあまりにも冷酷だった。
目的の村に辿り着いた時、すでにイザークは火刑に処されており、村人たちに抱えられながら泣き叫ぶ幼いキャロルの姿を見つけた。
私はため息をつきながら、彼女たちに歩み寄る。
「失礼。この子――キャロル・マールス・ディーンハイムで間違いないかしら?」
年老いた村人が顔を曇らせながら答えた。
「……ああ、たしかに。この子の名前はキャロルと言います」
「この子と、少し二人きりで話したいのだけれど。席を外してもらえないかしら?」
「い、いや、ですが……」
戸惑う村人に、私はさりげなくチャームを使って、強制的に納得させた。
「お願い。すぐに終わるわ」
「……わ、わかりました」
村人たちは戸惑いながらも、私たちから距離を取った。
私はそっと、キャロルの前にしゃがみ込んだ。
⸻
キャロル視点
かつての人間時代、私――キャロル・マールス・ディーンハイムは、「サンジェル」という名を持つ天空聖者へと生まれ変わった。
人間だった頃、私は父・イザークとともに世界を旅していた。
その日記には、すべての記録が残っていた。
そして、彼女――私の前に現れた紅い髪の女性。
ストロベリーブロンドよりもさらに鮮やかで、まるで血のように深い紅色の髪を持つその姿に、私は目を奪われた。
整った顔立ち。
品のある仕草。
彼女は、自らをリアス・グレモリーと名乗った。
リアスは、父を失い打ちひしがれていた私に、ひとつの選択肢を与えた。
「あなた――人間を辞めてみる気はないかしら?」
「……人間を、やめる?」
「そう。人間を捨てれば、記憶を失う代わりに、あなたの父親を殺した者たちに抗う力を手に入れることができる。
もちろん、人間として、錬金術師として生きる道もある。お父様の命題を背負って生きるのも、あなたの選択よ」
幼い私は、リアスの言葉に心を揺らがされた。
――美しさに、惹かれかけたのだ。
今思えば、愚かだったかもしれない。
だが、あの時の私にとって、父を失った世界は、あまりにも冷たく、残酷だった。
「……少し、考えさせて」
私はそう頼んだ。
リアスは微笑みながら答えた。
「いいわ。でも――どんなに待っても、二年が限界よ。二年後、また会いにくるわ」
そうして、私は二年間の猶予を得た。
私は必死に錬金術を研究し、ついには自らの完全なる同一存在――ホムンクルスを造り上げた。
その存在に、私の思い出も、技術も、すべてを託して。
二年後。
リアスは、約束通り私のもとに現れた。
「さて、答えは決まったかしら?」
私は迷いなく答えた。
「ああ。私は……」
――だが、こうして”サンジェル”となった私がこの物語を語っている以上、答えは言うまでもない。
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