現政奉還記 B.O.W.編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 囚われの身であった新世代型二次元人たちを救出するべく東南アジアの国タイ都市部の研究施設に潜入した聖龍隊と赤塚組幹部衆。
 そして赤塚組はようやく新世代型の二次元人たちと合流する事ができたが、遭遇した途端彼等を最初に保護した青年と衝突。蟠りを解いた後は行動を共にする。
 だが、そんな中、聖龍隊の通信機を傍受して通信に割り込んできた謎の人物<主催者>から告げられる意味深な言葉。それと同時に一斉に開平される施設の扉。
 開かれた扉は、魔界への誘いなのか。解き放たれた脅威は静かに、ゆっくりと施設内の者たちにその牙を向ける。



現政奉還記 東南アジア市内編 異界との遭遇

[chapter:異界]

 

 謎の人物<主催者>の語りが終えた途端に解放されていく数多の施設の扉。それは異界への誘いそのものであった。

 施設に充満していく只ならぬ空気を感じ取った赤塚組は、全員が万全の事態に対処できるようにと銃器を構える。そんな赤塚組と同様に青年ジェイクも携帯していた拳銃を手にしては辺りを警戒する。

 幸か不幸か、扉が開く金属音が鳴り響き終わったのと同時に、消滅していた施設内の電灯が灯ったため隈なく施設の内部を見渡す事ができるようになった。

 

 赤塚組の面々とジェイク、彼等が周囲に警戒の目を見晴らせているその時。それは赤塚組幹部ミズキの目に入った。

「! 人だわ……!」ミズキの視線の先、そこには苦しそうに床を這いずる女性の姿があった。「大丈夫?」床を這いずる女性にミズキが駆け寄り声をかける。

 床上の女性の肩に手を差し伸べ、女性を起こそうとするミズキ。……だったが、次の瞬間「ッ、ぐはっ」起こされた女性は白目をミズキに向けては次の瞬間には噛み付こうと迫ってきた。

「な、なに!」

 突然自分に噛み付き襲い掛かろうとする白目の女性に動揺するミズキ。その光景を目の当たりにした他の赤塚組に新世代型、そして青年ジェイクは愕然とした。

 更にミズキに襲い掛かる女性の口元から四本のむき出しの牙に変形した口内が突出し、それがミズキ目掛けて齧かぶり付こうとされた。

「きゃあっ!」「な、何あれ……!?」

 口元から異形の牙を突出させる光景を目にした新世代型の有栖川おとめと紫吹蘭は驚愕する。

 そんな中、異形の牙に今にも頭部を喰い付かれそうになるミズキは必死に抵抗する。そして彼女が自身の腕をレーザー砲に変形させて反撃しようとした、まさにその時。一発の銃声が響き渡った。

「!」

 ミズキも、周囲の者達も突然の銃声に驚く中、皆が目を向けてみるとその先には硝煙を吹く拳銃を構えるジェイクの姿があった。

 ジェイクの放った弾丸を頭部に受けて、よろめく女性はミズキから離れた。しかし女性は銃痕から僅かな血を流出しただけで、再びミズキに襲い掛かろうと、よろめきながらも近づいて来た。

「チッ、一発だけじゃくたばらねぇか」

 そう呟くとジェイクは更に異形の牙を突出する女性目掛けて一発、二発と弾丸を放っていく。ジェイクの銃弾を頭部に三発も受けた女性は、そのまま膝から崩れるように倒れた。

「ちょ、ちょっと! いくら何でも、撃つ事は……」

 突然のジェイクの行為に動揺し途惑う新世代型の巨乳でおっとりとした面立ちの松本頼子(まつもとよりこ)の言葉に対し、ジェイクは平然と真顔で言い返した。

「なに言ってやがるんだ。撃たなきゃ、こっちが殺されてゾンビの仲間入りだぜ」

「ぞ、ゾンビ……?」

 ジェイクの言葉に困惑する松本頼子。すると撃たれて倒れた女性の許に赤塚組の幹部テツが歩み寄っては声を放った。

「確かに……これはゾンビの一種だな」

『?』

「見てみろ」

 新世代型の面々がテツに言われ女性の方に目を向けると、一同は衝撃を受けた。ジェイクによって頭部に三発もの弾丸を受けた女性は、その身を赤い泡状の物体に変えてはみるみる内に消滅していったのだった。

 血溜まりのような赤黒い泡となって消滅した女性に衝撃を受け言葉を失う新世代型の面々とチョコ達。すると、そんな唖然としている者たちにジェイクが言った。

「これがゾンビだ……まあ、こんな風に消滅するタイプ、俺は始めて見たが」

 このジェイクの言葉に一同は愕然とする。

 と。皆が消滅していく女性ゾンビとジェイクの言葉に気を取られている、その時。

 バァン ギュゥン 「何だ?」「銃声か!?」施設の奥から響いてきた銃声か砲撃に近い音に赤塚組の幹部達がざわめき始めた。

 自分達以外にも施設内で戦闘を始めた者達がいる。そう直感した大将は口にした。

「アッコたちか……?」施設内で戦闘を開始した者たち。それが盟友であり旧友でもある聖龍隊だと言う事は大将にもスグに直感できた。彼等が戦闘を開始した、これはつまり……彼等の身にも何かが起きているのだと。大将は懸念を脳裏に走らせた。

 

 

 

 大将の直感と懸念は当たっていた。

 その頃の聖龍HEADは施設に解き放たれた無数のB.O.Wに取り囲まれ、身動きができない状態であった。

「クソッ、こっちも塞がれた!」「こっちにも敵が多数!」

 どうにか先へと進みたいHEAD。だがB.O.Wの群集は完全に周囲を包囲し、通路への進入を計るエンディミオンと鳳凰寺風が周囲の敵と応戦しながら状況を仲間に伝える。

「これじゃ、新世代型の所に行くのはもちろん、先に進む事も侭ならない……!」

「な、何とか耐え凌ぐんだ! こいつ等を撃破して、大将たちと合流しなきゃならねぇんだ! HEAD、正念場だぞ!」

 周囲に出現してくる無数のゾンビを始めとするB.O.Wに悪戦苦闘するミラーガール。そんな彼女を始め、HEAD全員にメタルバードに変身したバーンズが声を掛け続けながら周囲の敵と必死に応戦していくのであった。

 

 同じ頃、別の聖龍隊士も解き放たれた無数のゾンビと戦闘を開始していた。

「喰らいやがれッ!」「はァい!」

 左腕に内蔵された砲身を構えるフロートの砲身にアメリカン口調のカトレアが魔力を込めた特別な砲弾を装填しつつ、それをフロートが砲撃していく。

 魔力を詰めた砲弾はゾンビに直撃すると、氷漬けや炎上など様々な効果を発揮しながらその成果を見せ付ける。

 と、そんな中。武器に変じたソウルを振り翳すマカの前に全身包帯だらけの人間が立ちはだかった。

「な、何なの? コイツ」

 目の前に立ちはだかった包帯だらけの人間の手には、ギラリと光る日本刀が握られていた。包帯人間は何やら「……トン、カラ……トン……」と怪しく不気味な男に近い声で呟きながらマカに自身が握っていた日本刀を振り付けた。

「ッ!」

 包帯男からの刀撃にマカは巨大鎌と化したソウルで攻撃を防いだ。しかし予想していなかったが、包帯男の力は凄まじく攻撃を防いだマカはその強烈な強力に危うく力負けしそうになった。

 しかし次の瞬間、マカは一瞬の隙を衝いて包帯男の刀を弾き返しては、がら空きとなった胴体を真っ二つに切断してみせた。

「ト……トン、カラ…………」

 包帯男は断末魔なのか、上半身と下半身を切断されてもなお謎の言葉を発しながらピクリとも動かなくなった。

「な、何だったの……コイツは」

 マカは床で動かなくなった包帯男を見下ろしながら不思議に思う。

 

 更に施設内の別所。其処でもやはり戦闘は起きてしまってた。

「怯むな! 撃って撃って撃ちまくるのよッ!」

 いきり立つ声で自身が引き連れている隊士に指示を告げていく女総部隊長ミラール。彼女の指示の元、向かってくる無数のゾンビに攻撃を仕掛けていくスター・ルーキーズの面々。

「て、敵が……ゾンビが多すぎる上に、こんな狭い通路じゃ思うように戦えない!」

「それでも立ち向かわなければいけない……でなければ、全員ここで奴等に殺られる!」

 狭い通路での戦闘に思うように戦えないでいるブルーローズに、討伐しなければ此方が倒されてしまうと言う奴良リクオ。

 と、その時だった。「きゃあっ」「真宮!?」突然響き渡る真宮桜の悲鳴に六道りんねが声を荒げる。目を向けてみると、真宮桜の両肩に手を掛け迫り来るゾンビの姿が目に入った。

「レディーに失礼よっ」

 咄嗟に間宮桜に迫るゾンビ目掛けてオネエのファイヤーエンブレムが業火を放ち、ゾンビを火達磨にしてみせる。

「あ、ありがとう。ネイサン」「ふふ、良いわよ。別に」

 助けてくれたファイヤーエンブレムに彼の本名で礼を述べる真宮桜に、助けたファイヤーエンブレムは艶っぽい声で返す。

「このッ」「いい加減、数が尽きても良いんだが……」

 炎と氷の魔法で次々に迫り来るゾンビを撃破していくナツとグレイ。そんな二人に続けと、ルーシィとエルザの乙女二人も過激に戦って行く。

 しかしゾンビの群れは容赦なく聖龍隊の隊士らに、その猛威を振るって行くのだった。

 

 だが、これがホンの序章であり本当の恐怖が未だに眼前に姿を現していない事を、聖龍隊も赤塚組も、そして新世代型の面々も知る由もなかった。

 

 

 

 

[開戦]

 

 施設内に響き渡る数々の戦闘音。その音を聞いて更に緊張の糸を締める新世代型の二次元人たちとチョコ/ギュービット/桃花の三人。

 一方の大将が率いる赤塚組幹部衆とジェイク・ミューラーの面々は、いつ如何なる時にでも攻撃に身を転じていられる態勢を取っていた。

 と。そんな面々の前に案じていた通りであったがゾンビが至る所からその不気味な容姿を現してきた。

「来やがった!」「赤塚組、攻撃開始!」

 現れたゾンビに銃口を向けるジェイクに続き、大将も幹部達に指示すると同時に構えていた銃器をゾンビに向ける。

 そしてジェイクと赤塚組は一斉にゾンビの群集目掛けて攻撃を開始した。

 ゾンビ達は主に頭部を中心に撃ち抜かれては、次々にその場に倒れていった。しかしその奥から留まる事無くゾンビが出現しては、皆の眼前に群がってくる

「くっ、大将どうする?」

 次第に群れで迫ってくるゾンビを前に、幹部のアツシが大将に問い掛ける。すると大将は眉を寄せてアツシに言い返した。

「どうするも、こうするも……こんだけ守らなきゃならない民間人がいる中で、守りながら戦うのは明らかに不利だ! 何より、俺達だけじゃ人手が足りねぇッ!」

 周囲に続々と出現していくゾンビ。しかし、そんな無数のゾンビを相手にしながら同時に大勢の民間人である新世代型を守りながらの戦闘が不利なのは目に見えていた。大将は困惑した、どうすればこの難局を打開できるのか必死に頭の中で模索していた。

 と、その時。激しい金属音の様な物音が大将達のすぐ近くで聞こえた。何事かと大将や幹部達、更にジェイクが目を向けてみると其処には

「へへ、いっちょ上がりっと」「ふっ、他愛もない」

 と。赤いメッシュが前髪に入った黒髪の少女と長い黒髪と凛々しい太眉が特徴の精悍で逞しい顔立ちの少女の二人が、それぞれ露出が激しくなった黒く何かの顔を施したデザインの服と白い露出の激しい服装で、黒服の子が鋏の片鱗に近い形状の武器を振り回し白服の黒長髪の少女は白い鞘で黒い刀身が特徴の日本刀を片手に、迫り来るゾンビ達を薙ぎ倒していた。

「お、お前達……!」

 大将は戦う二人の少女を前にして愕然とした。何故なら彼女達は、先ほどと大将たちが見たときとは異なる身形をしていたからだ。赤いメッシュが前髪に入った少女は丈の短いセーラー服に、スカートをサスペンダーで吊っている黒と赤が強調された制服姿。長髪の少女はそれとは対で白と青が強調された制服姿であったからだ。

 更に姿を変えた二人の少女のほかにも、先ほどまでの独特な制服姿の男女がその身形を一変させて眼前に群がるゾンビと応戦していた。

「皐月様! 私達も戦いますっ」

「皐月様の前に立ちはだかる者は……何人たりとも叩き潰す!」

「フッ、たかがゾンビ……スグに殲滅してみせる!」

「実に動きが単純……知能の欠片も感じられないな」

 先ほどまでの独特な制服から一変、それぞれが特徴的な戦い方で群がる周囲のゾンビと応戦してみせる四人組。

 鼓笛隊のような制服から一変、各所に施された骨の紋様と鳥や翼竜のような骨のオブジェがあしらわれた全身レオタード姿の四人で唯一のピンク髪の女子。人知れず口にギャグボールを咥えたミイラの様な包帯姿に一変した、やや福耳気味な両耳にはピアスを付け、金髪のオールバックに褐色肌、筋骨隆々な巨体が特徴の四人の中では最も大柄な体格を持つ男性。先ほどまでの長ランのような丈が長く、胸元を閉めずに肌蹴させていた両肩・ベルトのバックルに三本刺の鉄甲版が付いては背中に竹刀を背負っている青年は、その全貌をパワードスーツばりに変貌。そして最後に、多数のケーブルが付いている制服姿の青年は手元のタブレットを操作しながら常に周囲の戦況を把握している様子であった。

 先ほどとは打って変わって、その容姿を一変させた五人の男女を前にして、赤塚組と他の新世代型たちは愕然としていた。

 大将たちが唖然と流子や皐月らに見入っている、その時。今度は別方向から何やら激突音が聞こえてきた。大将たちがまたまた顔を振り向くと、其処では鮮やかな紅色の刀を振るい敵のゾンビを瞬く間に溶かして倒してみせる、眼鏡の似合う女子がいた。

「こ、今度は何なんだ?」

 次から次へと状況が変わり、えらく困惑する大将。すると紅色の刀を振るう眼鏡少女は大将達にこう言った。

「わ、私も少しは力に成れますっ。どうかお気にしないで」

「い、いや……気にするなって言われても、ねぇ……」

 少女の言葉に幹部のアツシは唖然としてしまう。

 すると、そんな赤塚組幹部衆やジェイクに一人の青年が声をかける。

「だ、大丈夫です。未来は、いざ戦いになると冷静沈着なまでに意識を集中させるので」

「あ、あのお嬢ちゃんかが?」

 青年からの声かけに大将が問い返すと、青年は頷いて無言の返答を返す。

 更に其処へ続けて二人の男女が飛び入るように戦闘に参加してきた。

「未来ちゃんだけが活躍するなんて、酷ですわ! この私も馳せ参じますっ」

「美月、君は下がってるんだ。たかがゾンビ程度、僕一人でも十分だ……頼むからお兄ちゃんを心配させないでくれよ」

 互いに相手を気遣いながら共闘する二人の男女は、自分たちの周囲の空間を何かしらの能力か術で制御しながら巧みな立ち回りでゾンビと応戦を繰り広げる。

「な、何なんだ……さっきから次から次へと戦いに参加してくる、この子供達は……!?」

 向かってくるゾンビの群集に怯む事無く果敢に攻撃を仕掛けていく新世代型の能力者たちを目の当たりにして戸惑う大将や幹部達にジェイク。だが彼等もまた、目の前で奮闘を展開していく新世代型に負けず劣らず、眼前に迫るゾンビ共を次々に薙ぎ倒していった。

 

 だがしかし、流子や皐月、更には栗山未来たちが加勢したに関わらず、ゾンビ達は彼等の周囲に群がり多勢無勢と攻め滾ってくる。

「くっ、あと少しばかしで片が付くんだが……!」

「加勢してくれた子達の戦力が増しても、この数は厄介よ」

 倒しても倒しても出現してくるゾンビに焦りが見え始めた大将と幹部の山崎千春。

 と、その時。応戦する勢力が倒し切れなかったゾンビの大群が一般の二次元人たちに襲い掛かろうとしていた。

『きゃあぁっ!』

 恐怖で悲鳴を上げる彩瀬なるに福原あんといったアイドル達の声に大将たちが気付く。が、ゾンビは今にも彼女達に襲いかかる瞬間であった。

 その時だった。

 突如としてアイドル達に襲い掛かろうとしたゾンビが一瞬で吹き飛んだ。

『!?』『?』

 何の前触れもなく吹き飛んだゾンビに唖然と驚くアイドル達にその光景を見ていた大将たち。するとそんな驚いているアイドル達の前に一人の青年がフッと姿を現して言った。

「やれやれ、仕方ないけど……此処は僕も加勢させてもらうか」と淡々と語りながら目の前にフッと現れた青年に愕然と目を丸くするアイドル達。アイドルの一人、小鳥遊おとはは動揺しながらも目の前に突然現れた青年に訊ねた。

「あ、あの……」「?」「あ、あなたは……?」

 小鳥遊おとはの問い掛けに青年は顔を彼女達に向けた。

 眼鏡を掛け、赤みかかった桃色の頭髪に一際目立つ二本のアンテナのような飾りを頭部に付けている一風変わった風貌の青年。

 青年は小鳥遊おとはの質問に眼鏡を指で掛けなおしながら答えた。

「これは失礼、驚かせてしまったようで。お気になさらず、僕は斉木楠雄という何の変哲もない超能力(エスパー)なだけですから」

「え、超能力(エスパー)!?」

 斉木楠雄の発言に森園わかなは驚愕してしまう。更に「……え、ええ! さ、斉木。お、お前……え、ええ、超能力(エスパー)……!?」と、森園わかなやアイドル達以上に驚愕してしまう厳つい強面ではあるが根はとても優しい好青年にして斉木楠雄の数少ない親友である燃堂力ねんどうりき。

 斉木は燃堂を前にして、少しばかり動揺している感情を心の内で隠していた。何故なら親友の燃堂には、今まで自分が超能力者である事を隠していたからだ。

 だが、斉木が親友の燃堂を気に掛けている最中も、ゾンビの群集は無防備な新世代型の面々に襲いかかって来た。(ッ……今は)頭の中でそう思った斉木は、親友の燃堂の事は後回しにして、今はこの状況を少しでも変える為に己の超能力をフルに活用させて応戦していく。

「ハッ、まさかあの変な頭のガキも能力者とは……新世代型ってのは能力者が多いのかね?」

「かもな……さっ、それより俺達も早急にこの場を乗り切っちまおうぜ。ゾンビはまだまだ群がって来やがる」

 ジェイクに続いて語る大将からの言葉に、ジェイクは「そうだな」と返してはすぐさまゾンビとの応戦に集中する。

 

 そして赤塚組にジェイクといった銃器を揮う面々に加勢していく纏流子(まといりゅうこ)/鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)/蛇崩乃音(じゃくずれののん)/蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)/栗山未来(くりやまみらい)/名瀬美月(なせみつき)/名瀬博臣(なせひろおみ)/斉木楠雄の手勢ら。

 彼等は迫り来るゾンビの群れを次々に撃破していくのだった。

 

 

 

[記録]

 

 群がってくるゾンビを始めとする数多のB.O.Wに抗戦する赤塚組とジェイク。彼等に加勢しては共に交戦していく纏流子(まといりゅうこ)/鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)/蛇崩乃音(じゃくずれののん)/蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)/栗山未来(くりやまみらい)/名瀬美月(なせみつき)/名瀬博臣(なせひろおみ)/斉木楠雄の新世代型。

 

 遂に彼等は周辺に群がるゾンビやB.O.Wを全滅させる事に成功できた。だが彼等の戦闘による衝撃音を聞きつけて、更なる別の固体のB.O.Wもその場に駆けつけて来るのではないかと懸念を募らせる面々。

 

 赤塚組総大将 赤塚大作は直ちに行動に移るべく、まずは聖龍隊より賜った無線機を手にして本部からの指示を煽ろうとした。だが……「……くッ、ダメか。繋がらねえ」無線機の電源を入れてもノイズばかりか鳴り響くばかりで一向に回線が繋がる気配が無かったのだ。

 現在地にて聖龍隊メンバーと合流を果たすと約定を互いに決めている赤塚組であったが、この場に留まっていれば騒ぎを聞きつけて他のB.O.Wが再び群がってくる事も安易に想定できる。

「おい、どうすんだよ。このまま、この場にいても他のバケモノ共がまたやって来るのは目に見えてるぞ」

 大将に言い寄るジェイクの物言いに、大将は決断を迫られる。

 そして……

「……よし、仕方ねえ。今は取り合えず安全な場所まで新世代型の後輩達を避難させる事を優先させよう」

 合流よりも一般市民である新世代型達の安全を優先させ、その場からの移動を決めた大将。

 

 大将はまず仲間の幹部達に、新世代型の集団を取り囲むように陣形を組めと指示を告げる。幹部達は大将の言うとおりに新世代型を囲むように陣形を組み、いつ如何なる時でも素早く周囲からの攻撃に対応できる体制に入った。

 そして集団の先頭には頭である大将が御自ら先陣を切り、その隣には「守られるのは性に合わねえ」との事でジェイクも先陣で新世代型の護衛に入った。

「……なあ、所でよアンタ。どうも聖龍隊と面識が有るらしいじゃねえか」

「それはこっちも同じよ。ジェイクのあんちゃん、お前さんもどうやらバーンズ達と会った事が有るみたいじゃねえの」

 集団の先頭に立つジェイクと大将は、お互いに面識がある聖龍隊について語り合っていた。

「まあ、こっちはちょいとした緊急事態のときに顔を合わせたぐらいでよ……それで時たまに共闘した間柄よ。簡単に言やぁ、腐れ縁みたいなモンさ」

「ハハッ、腐れ縁か。それならこっちも同じ様なもんだ。聖龍隊の幹部衆も、俺等に取っちゃ腐れ縁みたいな縁で繋がった悪友のような間柄でね。今回の新世代型救出にも、ちょいとしたお節介で乗り出したって訳よ」

「聖龍隊の幹部と……! だ、だが一応はあいつ等、王族や神といった地位や権力を持った輩もいるんだぞ? それで悪友って……」

「まあ、悪友ってのは愛嬌みたいなもんだがな。それより緩~~く言えば、単なる旧友よ。何より俺も、俺の子分である幹部共も奴等の事を王族とか神とか特別な存在で見た事は一度だって無ぇ。どんなに出世しようと、どんな存在に成り上がろうと、あいつ等はあいつ等。昔馴染に変わりはねえのよ」

「ふぅん……」

 その地位を、身分を、姿形を。如何に変えようとも、お互いに縁が繋がった間柄には違いない。と豪語する大将の話を聞いたジェイクは軽く納得するように返事をした。そんな二人の会話を、音が反響する通路内で彼等に付いて行く新世代型の二次元人たちも人知れず耳に入れていた。

 

 と。大将たちが先陣を切って先に進んでいる中、彼等の眼前に一枚の門扉が現れた。

「気をつけろ、こん中にもゾンビが潜んでいる可能性が高い」

「解ってるよ」

 互いに会話をしながら意思疎通を図っていく大将とジェイク。二人はどの様な状況が扉の向こうで待ち受けていても大丈夫なように銃器を握り締めては、ゆっくりとドアノブに手を掛ける。

 そして静かに、ゆっくりとドアノブを回して扉を開いた。二人が扉を開くのを、後方で不安げな表情で見詰める新世代型の面々。

 開かれた扉の奥には、幸いな事にゾンビなどの異形の存在は居なかった。だが、それでも警戒心を滾らせながら大将とジェイクは銃を構えながら扉の奥に足を踏み入れていく。

 扉の奥、そこは何やら講義堂のような見立てに一台の映写機が部屋の中央に置かれた殺風景な一室であった。

「こ、ここは一体……?」

 大将/ジェイクと続いて部屋に入っては辺りを見渡す琴浦春香は殺風景ながらも何かの気配を感じてか落ち着きを感じられなかった。

「な、何だろう。この部屋は?」

「何かの映像を投影しては大勢で見る為の部屋なのか?」

 大広間に階段状に並べられた長机と無数の椅子、更に置かれていた映写機を見てイオリ・セイとレイジことアリーア・フォン・レイジ・アスナが呟く。

 その時。映写機の横にたまたま居た燃堂力の手が機材に触れてしまい、その反動で映写機が勝手に作動してしまったのだ。

「ね、燃堂! 何やってんだよ」

「ご、ゴメン! 手がちょっと触れたら動いちゃって……」

 動き出した映写機を見て斎木楠雄が燃堂に言い寄ると、燃堂は半ば焦り混乱しながらも謝罪をする。

 そんな中、一同は映写機が壁に映し出す映像に目を向けた。その映し出された映像には……戦慄の記録が残されていた。

 

 映像に映し出されたのは、全身を黒のボディスーツにアーマー、更に顔全体を被うヘルメットを装着した一人の人物であった。その体格から性別は男ではないかと推測される。

 その全身黒づくめの男は自身に迫り来る屈強な大男達を相手に見事なまでの武術で次々に薙ぎ倒していった。ある時は大男の首筋に強烈な空手チョップを直撃させて大男を気絶させ。またある時は惨たらしく大男の後ろに回っては、その男の頭部を両手で挟み込むように掴むと同時に、その頭部を捻って意図も簡単に首の骨をへし折ってしまう。

「……こ、これ……映画、なの……?」

 森園わかなが映像を見て思わず作り物なのかと口にすると、隣にたまたま居合わせた鬼龍院皐月が映像に見入りながら答えた。

「いや……これは、到底作り物とは思えない」

 映像を見る限り、映し出された映像が作り物や創作の映像描写ではないと認識する皐月。

 その戦慄の映像は更に続いた。

 次に映し出された映像の黒づくめの男は右手に日本刀を構えては、舞台を戦場に見立てた演習場に移して移動を繰り返していた。

 切磋琢磨に演習場に設置された障害物の物陰に身を潜めながら移動しつつ、そんな移動する黒服の男目掛けて幾つもの無人の自動連射機関銃が無数の弾丸を放っていく。赤い閃光の如き弾丸の雨の中を掻い潜りながら黒服の男は機関銃に近づき、更に自身に直撃寸前の弾丸は所持していた日本刀で意図も簡単に弾き返しては防御してしまう。これには映像を見ていた者たちは一致愕然としてしまう。

 最後には黒の男は多少の弾丸が頭部のヘルメットや装備に掠る事も何とも思わずに機関銃に接近しては、日本刀にてその機関銃を一刀両断してしまった。男は続け様に他の自動連射機関銃の許に駆け寄っては、その得物である日本刀で次々に切断してみせる。

 黒の戦闘服に身を包む男の刀さばきに目を奪われる一同。だが映像はこれで終わりではなかった。

 次に映し出された戦闘服の男は、その腰に先ほども使用したと思われる日本刀を携え、更に他にも腰や胸部には手榴弾や突撃銃などと言った装備をしていた。

 そして黒い戦闘服の男は駆け出すと同時に、自分と同じ空間にいる別の屈強な体躯の軍人に迫ると、一瞬の内に携帯していたナイフで喉下を掻っ切って頚動脈を切断。自分よりも体格のいい軍人を殺害してみせる。

 戦闘服の男の技に目を見開いて愕然となる一同。

 更に男は続々と自分に襲い掛かってくる兵を、掴んでは投げ掴んでは投げの繰り返しを行っていると思いきや、前触れもなくナイフで相手の胸元を一突きして見せたり、時には腹・首・肩・右手首・左手首と素早い動作で順々に相手の体を鋭利なナイフで切りつけては大量の返り血をその身に浴びる。

 他にも、相手の口に強引に手榴弾を突っ込んでは、相手がもがき苦しんでいる最中に手榴弾のピンを抜いてその場に倒れさせては、その相手の頭部を木っ端微塵に吹き飛ばして無残に殺害したりしていた。

 その後も映像には残忍かつ技巧な殺害方法で相手の軍兵を倒していく黒い戦闘服姿の男の惨殺戦術が克明に映し出されてく。

 と、その時。大将は映像を見て顔色をすっかり蒼褪めていく新世代型の子供達に気付いた。

「お、おい! こんなモン、子供には見せらんねえ……今すぐに止めろッ」

「あっ、う、うん!」

 大将の呼び声に気付いた山崎貴史は躊躇しながらもスグに映写機を止めた。だが映像を見た新世代型の大半は、すっかり顔面蒼白となっていた。

「だ、大丈夫か。お前等……」

 蒼白とした顔色の新世代を気遣う大将は、スグに幹部達とジェイクに言い伝える。「い、行くぞ。長居は無用だ」

 その大将の一言に一行は移動を再開しては映写機の置かれた講義堂のような大部屋から去っていく。

 しかしこのとき、彼等が見た映像……それが後々、新世代型の二次元人達の出生に深く関与している事を彼等自身、知る由もなかった。

 

 

 

 

[異形の権化]

 

 その頃の聖龍隊は、突如として解き放たれた無数のB.O.Wに応戦していくため、赤塚組や新世代型との合流の前に一度は聖龍隊同士での合流を果たそうと施設内を奔走していた。と、いうのも赤塚組同様、本部との通信が不能となり、聖龍隊は施設を迷いながらも先へ先へと進んでいった。

 

 本部からの通信で示された通路の途中から迷い始めたスター・ルーキーズの面々は。

「ふぅ~~……どうにか一通りの敵は倒しきったけど、ここは何処かしら」

 額に汗を流しながら、迫り来るゾンビの群集を全て撃退しきったルーキーズの総部隊長ミラールが一息を入れていると、彼女に同胞のルーキーズメンバーが訊ね掛けてきた。

「ところでミラール、これからどうすんのよっ。ゾンビと戦いながら進んでいたら、すっかり迷っちゃったじゃない!」

 迫るゾンビとの抗戦により施設内を奔走していた為、方向感覚を狂わせてしまった事態を涙目で訴えるルーシィ。そんな彼女に同じ部隊のエルザを始めとする他の女性隊士らが宥めていく。

「落ち着くんだ、ルーシィ。こういう時こそ冷静を保たなければ更に事態は悪化の一途を辿る」

「エルザちゃんの言うとおり。今はアタシ達の状況をよく理解して、迅速に行動していかなきゃイケナイわ」

「そうですよね……取り合えず、本部との通信が不能となってしまっている今としては、どうにかこの施設にいる同じ聖龍隊の方々か赤塚組との合流を優先させた方が合理的と思うんだけど……」

 エルザに続いて神妙な顔で語るファイヤーエンブレムとモルジアナ二名の言論を聞いたミラールは、即座にルーキーズ全員に告げる。

「ルーキーズ! これより私達は一度、他の聖龍隊同志との合流を目指す! 無論、最深部にいると思われる新世代型の許に向かいながらよッ! さぁ、いざ進むわよ!」

 総部隊長ミラールからの掛け声にルーキーズ隊士らは同意すると、ルーキーズ一行は施設の最深部へと進攻していった。

 

 

 

 更に別の施設の通路では。

「シャーーーーーーーーッ!」「はァッ!」

 天井を這いずり回りながら飛び掛かってきた、赤い服のサラサラとした黒髪に目のない眼窩(がんか)が特徴的な敵に向かって梅枝ナオミが御得意の超能力による電撃を浴びせて返り討ちにしてみせてた。

 一方、彼女と同じニュー・スターズの軍勢も通路はもちろん通風口から飛び出したり、天井を這っては突然攻撃してくる数多の敵に苦戦しながらも進攻していた。

「ふぅ、倒しても倒してもキリがないですわ」

「奴等、何処からでも沸いて出てくるから厄介だ」

 互いに背を預けるほどの信頼を築いている主従関係のアンリエッタとアニエスの二人は、無造作に出現してくる敵との応戦に困憊してた。

「ねぇダーリン、これからどうする?」

 新妻のような口振りで恋人である総部隊長フロートに訊ねるカトレア。彼女に訊かれたフロートは、その太くて巨大な腕を組みながら皆に言い放った。

「う~~ん、そうだな。まずは囚われた新世代型の救出が優先な訳だが、道に迷ったあげく本部との通信も入らなくなった現況から考えると……うむ、まずは誰とも良いから施設内に入る仲間か赤塚組の連中と合流して、互いに身を守りながら施設を進行していくのがベストだとオレは思うな」

「確かに! この先、どんな敵が出現するか分からないし、戦力の増強を図るためにも施設内に入る戦闘員と合流するのが手っ取り早いわね」

「皆さんでお互いの死角を補い合いながら進んでいった方が確実ですしね!」

 フロートの提案に賛成の姿勢を示すフェイトと剛力番長。

 そしてフロートはニュー・スターズの皆に言い放った。

「アウッ、そんじゃニュー・スターズ! 進撃続行よッ!」

 男気溢れる口振りで皆を引き連れ、フロートを先頭にしたニュー・スターズは施設を進んでいくのであった。

 

 

 

 その頃、施設の別の場所では…………。

「……う~~ん、やはりな」「ああ、こいつ等はやっぱり……」

 床にできた血溜まり、そして至る所に飛散した血痕による惨状の施設。その中で聖龍隊総長のメタルバードとエンディミオンは、倒したゾンビの亡骸を前に気難しい顔を浮かべていた。

 そこに副長でもあるミラーガールが二人に声をかける。

「やっぱりって……何がなの?」

 すると二人は彼女に顔を向けて話した。

「ミラーガールか……」「こいつを見てくれ」

 二人はミラーガールに床上のゾンビの亡骸を指した。それを見てミラーガールは二人に訊き返す。

「このゾンビが、どうかしたの?」

 これに二人は難しい顔で答えた。

「見ろよ、このゾンビ……やけに筋肉が異常発達してないか」

「さっきから、こんな筋肉マッチョのゾンビばかりが出て来やがる」

「それって……」

 筋力が異常発達したゾンビの亡骸を指して説いていくエンディミオンとメタルバードにミラーガールが声を零す。

 そんな呆然と緊迫した表情を浮かべる彼女に、メタルバードが言った。

「ああ、間違いない……D-ウィルスだ。一体だけじゃない、他のにもDの影響が見て取れる。おそらくは此処の生物兵器に全て……」

「……………………」

 施設内のほぼ全ての生物兵器にD-ウィルスの影響が見て取れる事を伝えるメタルバードの言葉にミラーガールは動揺を隠しきれなかった。

 自分の愛した異性、自分をようやく受け入れてくれた男性から生み出されてしまったウィルスにより、現状のような地獄が起きてしまった事実に聖女は人知れず悲痛な思いに駆られるのだった。

 

 

 聖龍隊の者たちが各々と施設の中を手探りで突き進んでいる、その頃。

 赤塚組とジェイク、そして彼等に混じって周囲を警戒しながら施設内を進む新世代型の面々。

 彼等は床や壁に飛び散っている無数の血痕といった眼前に広がる惨状の中を、恐怖に耐えながら進んでく。

 血塗れの惨状である通路を一歩ずつ確実に進んでいく一行。血で紅く染まる廊下を突き進みながら、同時に赤塚組の幹部達は通路脇の扉を一つずつ開けては中を確認しつつ室内を探索していく。

 時おり室内で見付かる銃弾や医療キットを懐に仕舞い込んでは、いざとなったときの為に携帯する。

 そんな最中、赤塚組とジェイク達の耳に何かの物音が聞こえてきた。

「? なんだ、この音……」「……?」

 自分達と同じ空間に響き渡る金属音に近いその音に、ジェイクや大将らは思わず立ち止る。折にも其処は、ちょうどT字路の突き当たりに位置する所であった。

 そんなT字路の突き当たりで立ち止まる大将達に、その不気味な金属音は次第に近づいて来た。その音は、まるで金属を何かに擦り付けている様な音だった。

 音は次第に距離を縮めていく中、大将達から見て右側の通路からその音と共に人影が近づいて来た。

「!」確実に近づいてくる金属音と人影に、大将を始めとする一同は静かに近づいてくる影と音に意識を向けていた。

 そして右側の通路から遂に、その人影と金属の擦れる音の正体が明らかとなった。

 それは右手に日本刀を握り締め、その刀を引きずりながら歩く全身を包帯でグルグル巻きにした、大柄な体格の包帯男であった。

「ッ!!」『!!』

 包帯男を目の当たりにした大将と他の一同は驚愕の余り声を上げずに脅え上がった。

 すると右側の通路から歩いてきた包帯男は、右腕の刀と顔を大将達に向けた。すると「……トンカラトンといえ……」「ッ……!?」何と大将達の前に現れた包帯男は刀を向けるや否や、言葉を発したのだ。これには大将も意表を衝かれ困惑した。

 更に包帯男は、続け様に大将達に刀を向けたまま再度言葉を発する。

「トンカラトンと言え」

 その不気味かつ謎めいた言葉を発し続ける包帯男を前に、大将達は唖然としていた。

 だがその時、刀と言葉を突き付けられた大将は何かにハッと気付いたのか、咄嗟に口を開いて言葉を返した。

「とっ……ト……トンカラトン……!」

 動揺しつつも包帯男に言葉を返した大将。

 すると包帯男は向けていた刀を下ろしては、顔を真正面に戻しては再び歩き出した。

「トン、トン、トンカラ、トン……トトン、トン……トンカラ、トン…………」

 不気味な言葉を発しながら包帯男は、その場を去っていった。

「………………ふぅ……」

 立ち去っていく包帯男を前に、大将が張り詰めていた緊張が解けたのかドッと力が抜けてはその場に腰を下ろす。

 

 赤塚組とジェイクそして新世代型の前に現れた包帯男。

 だが、彼等を始めとする施設の中を奔走する者の前に姿を現す異形の存在は、まだまだ闇の中で息を潜ませていた。

 

 

 

 

[語り]

 

 謎の言動を言い残し、目の前から立ち去った包帯男の難をどうにか回避した大将ら一行。

 そんな折、同行しているジェイクが先ほどの行為について大将に訊ねた。

「なあ、さっきのあの包帯野郎の事なんだが、アレは……」

 ジェイクに訊ねられた大将は、先ほどの緊迫した心情が残留しているのか、未だに冴えない顔色で答えた。

「あ、ああ。さっきの、あの包帯の……アレってもしかするとよ、トンカラトンだったのかもしれなくてよ」

「トンカラトン?」

 初めて聞く言葉にジェイクが頭を捻ると、大将がそのトンカラトンについて説明しだした。

「ああ、昔、俺が子供だった頃に聞いた怪談や都市伝説に出てくる奴なんだが……全身包帯まみれで、その手にはさっきみたいに日本刀が握られている姿の怪人さ。ま、実際に聞いた話だと、さっきの奴同様「トン、トン、トンカラ、トン」と歌いながら自転車に乗ってやって来るって言われてるのよ。そして出会った人間に「トンカラトンと言え」と言い、言われた人間はその通りにトンカラトンの名前を言えば何もされずに去っていく。そんな話よ」

「へぇ、それでアンタはさっき言われたとおりトンカラトンって言ったんだな。……そんじゃ、もし言わなかったらどうなっちまってたんだ?」

 ジェイクが再度訊くと、大将は真剣な顔立ちでジェイクに話した。

「もし、トンカラトンの名前を言わなかったり、または何もないのにトンカラトンの名前を口に出すと……トンカラトンに刀で斬り殺されちまうらしい。しかも、ホントかどうかは分からねぇが、トンカラトンに殺された人間もまた、全身に包帯が巻き付いて同じトンカラトンになっちまうって話らしい」

 怪人トンカラトンについて詳しく語る大将の話を聞いたジェイクは、その強面の顔に驚きの感情を浮き彫りにする。

「ま、マジかよ……そ、それじゃさっきの包帯男は、やっぱそのトンカラトンって奴だったって事か?」

「多分、と言いたいが……なんで日本の都市伝説の一つであるトンカラトンがタイにいるって話になっちまうんだよなぁ。しかも、此処はあくまで生物兵器の研究所なんだぞ。何で寄りにも寄って生物兵器の研究所に日本の都市伝説がいる訳!? 訳分かんねぇよ!」

 何ゆえ祖国に伝わる都市伝説の怪人が、外国の生物研究所に居るのか。ジェイクに語る大将は疑問に思った。

 

 と。此処で大将は先ほどトンカラトンと対峙した緊張を何とか振り解こうと話題を変えて、話を新世代型の面々に振った。

「そ、そう言えばよ。気になってたんだが、お前等のさっきの能力って一体……」

 大将が話を振ったのは、先ほどゾンビの群集に囲まれた際、加勢に入ってきてくれた纏流子や栗山未来たちであった。

 すると話を振られた内の一人、栗山未来が大将の顔を見詰めながら言った。

「私が……普通の人間に見えてたんですか?」「……ッ」

 栗山未来の言葉にギョッと形相を変える大将。彼女の物言いから大将は、未来に何かしらの心の影を察したからだ。

 何より、大将の旧友であるミラーガールこと加賀美あつこを始めとする聖龍HEADの多くが、己の特殊で異質な能力で時おり苦しんだ経歴がある事実を、大将は周知していた。

 そして栗山未来はそのまま大将に有りの侭の身上を話した。

 彼女は異界士と呼ばれる、妖夢(ようむ)と言われる異形の存在を倒すための存在で、その異界士の中でも栗山未来は自身の血液を鋭利な刃物に成型して戦っている。だが、そんな彼女の能力で武器と化した血液は触れたものを溶かす性質を持っている。故に彼女は同じ異界士からも異端と見られ、敬遠されたり警戒の対象そのものになってしまっている実情なのだという。そして、そんな彼女を警戒している異界士としての組織のトップである地元の大地主・名瀬家の兄妹、名瀬博臣と名瀬美月。二人はそれぞれ異能力と呼ばれる特殊能力の一つで「檻」という特有の空間を自在に制御できるのだという。そんな常に自分を監視しながらも名瀬兄妹は未来と同じ学校の文芸部で時間を過ごしているのだという。

「ふぅ~~ん、そっかぁ……お前さん達には、そんな事情が有ったんだな」

 大将が自身の身上を語ってくれた未来に言葉を返すと、彼女の話にも出てきた名瀬美月が未来との日常について色々と語り始める。

「まあね、栗山さんの能力は買ってはいるんだけど、どう見ても異端なのが傷なのよね。無論、その分戦闘では大いに活躍してくれるんだけどね」

 すると、この名瀬美月の話に集団の先頭を行くジェイクが口を挟んだ。

「何を言ってやがんだ。俺ら普通の二次元人から見たら、空間を自由にできるお前ら兄妹も十分異端だよ。まったく」

「ちょ、ちょっと! それ、聞き捨てならないわ」

 ジェイクの発言に美月は反感を覚え、ジェイクと対峙しては言い合い始めてしまった。

「何だよ、ホントの事じゃねえか! 血液を武器にできる人間も、空間を自由自在に操れる奴もどっちもどっちだろッ!」

「まあ、私たち名瀬家に代々伝わる空間術をその様に言うなんて! 心外よっ」

「あのな、そもそもお前ら特殊能力を持っている二次元人のせいで、何の能力も持ってない極々普通の二次元人たちまで三次元人の連中から危険視されてんだぞ! 俺みたいな何の能力も持ってない二次元人だろうと三次元人は二次元人全員を危ない奴と見てる始末だしよ」

「あなたの場合、その厳ついしかめっ面が原因じゃないの? そんな強面じゃ、子供は泣き出すし女性まで避けるわよ」

「ああ? 自分等の異形の能力を棚に上げといて、このガキ……!」

「まぁまぁ! 二人とも落ち着いて……」

 互いに激しさの増す口論を見兼ねて、言い争う美月とジェイクの間に赤塚組の市川一太郎が入っては二人を宥める。

 そんな二人の言い合いを前に、話を振っては訪ねてきた張本人の大将は他人事の様に愛想のいい笑顔を振り撒きながら名瀬兄妹や栗山未来に平然と言った。

「ふぅん、なるほどねぇ……要するに、お嬢ちゃん達の関係は腐れ縁って訳だな。ははっ」

「な、何よ、それって……!」

 大将の発言に動揺する美月たち三人。だが、そんな三人の男女のあどけない反応に赤塚大作は明るく穏やかな笑顔を向けるのであった。

 

 更に大将こと赤塚大作は、栗山未来や名瀬美月らに続いて先ほどの戦闘に参加した他の新世代型の男女達に話を振る。

「そういうお前さんたちは、どうなってるんだ? その奇妙な格好というか制服。何だか、その制服そのものが変わったように俺は見えたんだが……」

「ああ、これはですね……」

 訊ねられた纏流子を始めとする本能寺学園の男女達は、大将達に事情を語った。

 彼女達が着衣している服は通称 極制服ごくせいふくと呼ばれる、流子たちが通っている本能字学園において一部の生徒にのみ与えられる学生服であり、一般生徒のものと違い、黒い星の意匠がある。

 極制服を着た者は、精神・肉体面、そして容姿までも劇的に変化し多大なるパワーアップを得、星の数が多いほど、その効果は大きいとされる。

 これを与えられていない一般生徒は無星(むぼし)と呼ばれ、学園を中心とした都市内でも彼等は極制服持ちには頭が上がらないのだ。

 更に星の数によって学園都市内での住環境も厳しく差別され、満艦飾マコを始めとする無星生徒の家は最下層のスラム街、一つ星はマンション、二つ星は一戸建ての高級住宅と決められており、本能字学園のスクールカースト制度を支える要素の一つとなっている。

 それ故に実力次第で極制服を得れば家の扱いも変わる模様で、纏流子が学園内で発足した喧嘩部として活動し他のクラブを倒し続けた結果、喧嘩部部長の座にいる満艦飾マコの家は二つ星の暮らしを手に入れたという。

 だが纏流子が着用している黒い学ラン制服は、通称「鮮血」と呼ばれる極制服とは異なる服なのである。この鮮血は普段は胸下から腹部に掛けて口がパックリと開いた顔のようなデザインなのであるが、着衣している者の血を摂取する事で戦闘服の形態に変化する事が可能。この戦闘形態になると恐ろしく露出の多い衣装となり、鮮血の口に当たる部分により胸部から腹部に掛けて全てが丸出しになってしまう。また、この戦闘形態の際の流子自身も髪型が変化し、頭には赤い角のようなものが二つ付き、色も前髪の一部だけ赤かったのが、下部全体が赤く染まるように変化するのだという。

 そして、そんな流子が戦闘時に使うのが片太刀バサミと呼ばれる鋏の片鱗のような形状の武器で、普段は手の平大にまで折りたたむ事が可能で腰のガンホルダーのような収納具にしまって携帯している。

 更に極制服を学園内の生徒に普及させた鬼龍院皐月の着服している白い制服は、通称「純潔」と呼ばれ、幼い頃、自分の父親に「これがお前の花嫁衣裳だ」と聞かされていたのだが、この服を危険視する母親により、自邸の秘密研究室に封印されていた。 しかし、本能字学園に現われた流子が着ているのが同じ神衣の「鮮血」だと知った皐月は、「自分の先を行く者があってはならぬ」と、自らの血を与えて「純潔」の封印を解いた。 通常時は、肩章が付いた、白地に青い装飾が入ったワンピース型のセーラー服だが、皐月が左上腕部に付けている青い環の留め金を閉じる事で注射が行われ、彼女の血を得て戦闘形態へと変形する。 戦闘時は縛斬(ばくざん)と呼ばれる日本刀を振るって戦う。

 

 そして流子/皐月以外の者が着衣している極制服には生命戦維という特殊な繊維が織り込まれており、着た者に超人的なパワーを与え、鬼龍院皐月から選ばれていない人物が着用しても恩恵を受けることは出来るという。

 そのため他の地域から極制服入手のためスパイが本能寺学園に差し向けられることもある。

 生命戦維が多く織り込まれるほど強力になるが、それに見合わない実力の者が着ると自我が保てなくなり暴走してしまうなど、非常に危険な代物でもある。

 一方で、装着者が服の許容量以上の能力を発揮すると、服の方がそれについて行けずに逆にオーバーヒートを起こして稼働不能に陥ってしまう事があるが、それは数える程度の事例しかないから大丈夫だろうとの事。

 生命戦維の中に、形作りの要となる「絆糸(ばんし)」があり、それを切られると忽ち「戦維喪失」になる。そのため、それを守るために幾重にもガードされている構造になっている。

 纏流子が着用している『鮮血』が吸収する糸くずはこれにあたる。

 極制服の縫製は伊織糸郎率いる裁縫部が一手に仕切っており、生命戦維は「原初生命戦維」を擁する鬼龍院から供給されている。

 主に一つ星の極制服には生命戦維が10%織り込まれており、今現在の満艦飾マコが着用している二つ星の極制服には各人の資質・技能に合わせてカスタマイズされた機能特化の品で生命戦維は20%織り込まれているという。

 そして三つ星の極制服は、主に鬼龍院皐月きりゅういんさつきを筆頭とした生徒会四天王の蛇崩乃音/蟇郡苛/猿投山渦/犬牟田宝火の四名が着衣しているとの事。

 主に四名の極制服の能力は以下のとおりである。

 蛇崩乃音のは、通称 奏の装と呼ばれるもので各所に骨の紋様と、鳥や翼竜のような骨のオブジェをあしらった全身レオタードの赤色の極制服である。三段階に変形し、極制服の中で最も多彩な攻撃能力を持つ。

 蟇郡苛がまごおりいらのは縛の装と呼ばれる極制服で、ミイラ男のように全身を布でグルグル巻きにし、口にはボールギャグを加えているというインパクト溢れる姿。だが優れた防御力に加え、外部から加えられる攻撃を吸収し溜め込み、満ち満ちに満ちた状態から開放することでそのパワーを己の攻撃力に乗せた広範囲攻撃を繰り出すことができる。 しかも外装の布は生命戦維でないため、このままでは戦維喪失に持ち込むことすらできない鉄壁ぶりである。その容姿は両腕までもが縛られており、一見すると防御・カウンター特化型にも見えるが、通常時の鞭攻撃をこの形態でも使用可能である。 鞭攻撃を自分自身にあてることによっても満ち満ちに満ちて一人カウンター攻撃を繰り出す「自縄自爆」が可能であるため攻防一体型といっても問題ない。更に蟇郡苛の極制服はさらに第二の変化形態「死縛の装」が有る。これは自らが受けた攻撃を溜め込む縛の装を開放し、相手へのカウンター攻撃を繰り出した後に現れる、第二の姿。口のボールギャグは健在で縛の装の時も鞭攻撃が可能であったが、この姿では鞭の射程と太さが増しており、此方からの攻めに特化した形態である。しかも、この姿から縛の装に戻ることも可能という便利な利点もある。実は、このボールギャグはある種のリミッターとなっており、これを噛み砕くと、トゲトゲのついたチャクラムのような飛び道具が使用できる。背中に装着している輪っか部分は相手をくぐらせた後に締め上げる拘束用武器である。更に両腕の篭手部分は裏返ることで、鋳型のような窪みのあるプレスに変形させられる。窪みは折り目正しい理想的な学生の形状となっており、両側から相手を挟み込むことで文字通り型にはめる攻撃を行う。

 猿投山渦のは剣の装。カラーリングは明るい緑の割合が多くなっており、両肩と両腕の装甲が変化し、埋もれていた頭部が出てきている。以前まで背中に取り付けられていたガトリング砲のようなものが取り外されている。また、流子との戦闘後は裁縫部によってオーバーヒートしないように調整が行われた。剣道着を模した巨大なパワードスーツで、猿投山の「天眼通」に合わせて制作されている。巨体からは想像できないほどの超スピードと、敵のあらゆる動作(視線や、筋肉の予備動作など)を「見切る」視力により、反撃の隙を与えずに一方的な剣道スタイルによる戦闘形態で強襲する戦法を得意とする。 また、ガトリング砲のような部位から無数の竹刀を繰り出し、一度に多くの一手を打つことができる。ただし、戦闘は「視力」に依存するため、視界を塞がれただけでたちまち無力になるという弱点がある。 そんな猿投山が新たに得たのが剣の装・改である。以前、一度だけ纏流子に敗北した猿投山が新たに得た極制服の戦闘形態。相手の動きを先読みして自分のペースで猛攻するのは前世代と同じだが、「天眼通」を犠牲にして新たに得た「心眼通」により以前の弱点が消え、視覚以外の感覚がより研ぎ澄まされることによって完全に死角が無くなった。背中に取り付けられていたガトリング砲のようなものが取り外されている。また、流子との戦闘後は裁縫部によってオーバーヒートしないように調整が行われた。

 最後に犬牟田宝火のは探の装と言い、情報解析と光学迷彩の能力を持つ極制服である。戦闘中は絶えず体表面のキーボードのような模様のある部分をアクロバティックなポーズでタイピングするシュールな動作で、攻撃力では他の四天王に劣るものの、肉弾戦においても神衣を着た纏流子を防戦一方にする程度の威力はある。その特殊能力はどちらも回避に役立つ機能であり、この二つが合わさることで一方的な攻撃が可能。しかし防御力はあまり高くなく、万が一強力な攻撃を食らえば光学迷彩は解けてしまう。情報解析もまた万能ではなく、規格外の攻撃に直面すれば、回避不能という予測をするほかない。

 

 纏流子や鬼龍院皐月たち四天王衆たちが着衣している極制服について色々と知った大将は彼女達に言った。

「そうか……お前さん達の着ている変てこな服には、そんなスッゲえ機能が付いてるんだな。いや、時代だなぁ、そんな便利な学生服が流通しているとは……。だけど、こんな辺境の施設に連れて来られちまうとは災難だなぁ」

 すると、これに対し皐月が厳つい顔立ちで返答する。

「これぐらいの窮地、何ともない。我々、本能寺学園を統治する四天王衆がこれしきの難局を自らの力で打破できなければ、それこそ名折れです」

 この皐月の並々ならぬ自信溢れる言動を聞いた大将は、彼女やその側近である四天王たち若い者たちの安否を気にして皐月に話し返した。

「そ、そっか……だ、だけどよお嬢ちゃん。この場だけは余り無茶すんじゃねえぞ。此処は俺らやジェイクのあんちゃんが居るんだから、君等は本来戦わなくても良いんだからな」

 と。その大将の発言に、皐月の側近であり彼女の数少ない理解者でもある四天王の一角 蛇崩乃音《じゃくずれののん》が反論する。

「えーー、でもさーー。小父さんたち余りにも弱すぎて頼りなさそうだし、私たちが代わりに戦ったほうがスイスイ先に進める気がするんだけど」

「ウ゛ッ」

 蛇崩乃音の言葉に胸を痛める大将。

 

 そんな若気の至りの一言に胸を痛めた大将は、そのまま最後に先ほど見事に敵を吹き飛ばした斉木楠雄に話を掛けた。

「と、ところで其処のあんちゃん。お前さんの、さっきの能力ってのは……」

「え、それは……」

 話を振られた斉木は顔を若干下に向けて大将と目を逸らした。そんな斉木の様子を敏感に察した大将は、斎木に声を掛ける。

「っ、お前さん……もしかして、自分の能力に対して何かと」「…………」

 自身の能力に何かしらに苦痛や不安を感じているのかと告げる大将の言葉に、斉木は無言を貫き通した。

 そんな斎木の心情を察した大将は、彼を宥めるように話した。

「いや、悪ィ悪ィ。気が進まねえなら無理に話さなくても良いぜ。色々と事情が有るのは十分に解ったわ」

 斉木の心情を気遣い、それ以上の詮索を敢えてしない大将。彼は自身が治める赤塚組はもちろん、親しい間柄の聖龍隊にも自身の能力や処遇で苦しんでいる能力者を見てきたからこそ、斉木の心情にも敏感に理解を示したのである。

 そして斉木本人も、そんな大将の気遣いを自身のテレパスで感じていた。

 

 

 

 

[記録②]

 

 時おり出現するゾンビなどの敵を倒しながら先に進んでいく大将たち一行。

 不気味な雰囲気を醸し出す施設の中を只すら警戒の念を張り詰めながら慎重に進攻していく集団の先頭に陣取る赤塚組とジェイク。

 そんな緊迫した状況の中、【ガンダムビルドファイターズ】のラルが先頭を行く大将に何気なく話し掛けてきた。

「あ、あの……すいません」「んっ、なんだオッサン」

 自分に声をかけてきたラルに顔を向ける大将。ラルはそのまま大将に話を続けた。

「あ、あなた達赤塚組の皆さんは、聖龍隊の方々と面識があるのですよね?」

「ああ、まあな。幹部であるHEADの連中とは、俺も子分である幹部共も昔からの旧知の仲でな。この前も聖龍隊の連中と夜遅くまで宴会をやったもんよ」

 するとラルは目の色を変えては大将に言い迫った。

「そ、それでは、その……聖龍隊の、SRMの隊士の方々とは……!」

 物凄い目力で言い寄るラル、更には彼の後ろに迫るその他の【ガンダムビルドファイターズ】のガンダムファン達の迫力に思わず尻込む大将は、たじろみながらもラルの問い掛けに答えた。

「あ、ああ……一応は面識は有るぜ。この前も、ちょいと用事がてらSRMの基地に顔を覗かせたしな」

「つ、つまり! あなた達は、かの歴代ガンダムキャラとも親しい間柄であると思っても宜しいのですな!!」

「あ、ああ……」

 滾る熱気を瞳から放ちながら言い迫るラルの気迫に大将は戸惑いながらも頷く。

 するとラルは思いもよらない事を大将に言った。

「そ、それでは……不束ながらもお願いが。そ、その、もし宜しかったら私たちを、そのSRMの方々と……歴代ガンダムキャラの方々と会わせて貰えないでしょうか!」

「ハぁ!?」

 ラルの突然の申し出に呆気に取られる大将。するとラルに続いて今度は同じくガンダムファンのイオリ・リン子が目を輝かせながら大将に言い寄る。

「私からもお願いします! 私も此処に居るみんなも、一度で良いので名立たる歴代ガンダムの主人公や二次元人と御目通りしたいんです! どうか是非是非」

「あ、あぁ…………わ、解った解った。一応あとでHEADの連中に口添えしといてやるよ。だからそんなに興奮しなさんな、奥さん」

 大将は凛々と目を輝かせて言い寄るリン子の気迫に押されつつも、後々聖龍隊のほうに口添えする事を約束した。

 そんな力強い意気込みで言い迫るビルドファイターズの面々を目の当たりにして、大将は彼等に訊ねた。

「何だい、お前さん達ガンダムキャラの熱狂的なファンなのかい? まぁ、あいつ等は二次元三次元それに世代を超えて人気のある二次元人だもんな」

 すると大将の問い掛けにイオリ・セイが積極的に答え返した。

「そ、そうなんです! 僕達、自分の手で作ったガンプラ同士を戦わせる競技をやってるんです……」

「おお、ガンプラか。俺がガキの頃からあったけど、未だにプラモデルをしてる子供が居てくれたんだな。今じゃ、すっかりどの子もテレビゲームだの何だのとプラモデルには興味持ってくれなくなっちまってるって聞いてんだが」

「あ、赤塚さんもガンプラとか、子供の頃やっていたんですか?」

 大将の話しにセイとは同級生である女子コウサカ・チナが訊き掛けると、大将は気さくな笑みを浮かべてチナに答えた。

「ははっ、そんな他人行儀みてェに言わなくっても構わねェぜ、お嬢ちゃん。俺の事は大将と気安く呼んでくれィ。……そうだな、俺ん時はどっちかつうとガンダムと言うより大和とかの戦艦ものが多かったかな。それに、俺の頃はそういう造形遊びよりも外でわんさか騒ぐような遊びが主流だったっけかな」

「時代ですね……確かに今の時代、外で遊びまわる子供が少なくなってきましたもんね。まあ、子供自体が外での遊びを好まなくなった以外にも、今は何かと危ない時代で外出を控えさせる父兄が目立っているのも現状ですからね」

 大将の話を事細かく聞いたセイの父イオリ・タケシも、大将の語った現代の風潮に複雑な心境で納得する。

 

 と。そんなこんなで微かな照明が点滅している通路を一行が進んでいると、その先に何やら手術室の様な扉が視界に入ってきた。

「ん、此処は何だ?」「他に道は無ェようだし、入るしか無さそうだな」

 目の前の扉に立ち止まる大将たち。そして扉の奥に進もうというジェイクの発言に従う様に、一行はその扉を開けて中へと進んでいく。

 彼等が扉を潜り中に足を踏み入れてみると、まず彼等を襲ったのは鼻に直撃する異常なまでの異臭であった。

 室内には、これまで以上に至る所に夥しい程の血痕が飛散しては、その血溜まりから放たれる腐臭に皆々鼻を曲げるのだった。

 更に、室内の一角には手術台のような物が置かれていたのだが、その上には大量の血溜まりの中に何かの肉塊が転がっていたのが皆の目に入った。誰もが、その肉の塊について詳細を追求したくはなかった。

 広い部屋の壁際には数点の本棚、そして部屋の一角の血塗れの手術台。それしかない部屋の中を見渡す赤塚組にジェイク。

 するとジェイクが壁に埋め込まれた何らかの機械に気付き、その機械に手を向けた。

「これは?」

 ジェイクが壁に内蔵された機械を弄っていると、その機械から一枚のカードが飛び出てきた。

「な、何だこれは?」

 飛び出てきたカードを手に取り抜き取るジェイク。そのカードには大きく×印が記された何かのIDカードのようだった。

 と、その時。ジェイクが壁の中の機械からカードを抜き取った瞬間、その機械より少し上の壁から光が照射された。

「んっ、なんだ?」壁から照射される光に大将達は気を取られた。

 どうやら壁の上部に埋め込まれた形で映写機が内臓されているようだ。そして映写機から照射された光は向かい側の白い壁に投影され、映像が流れ始めた。

 白い壁一面に映し出された映像には、先ほども皆が目にした映像に出てきた戦闘服姿の顔をヘルメットで覆い隠している男が映し出された。ヘルメットの男の背中や腰には日本刀以外にも銃器や手榴弾が変わらず装備されていた。

 そして映像は動き出し、男は自身に迫り来る相手の兵士を次々に日本刀で一刀両断にしては、壁や床はもちろん自分自身も相手の返り血で赤く染めていく。

 更に男は日本刀のみに非ず、装備品である銃器で的確に相手の兵士の眉間などの急所はもちろん手足などの動きが制限される箇所を確実に狙撃しては殺めていく。

 一発の弾丸を眉間に被弾した瞬間に絶命する兵士。足に弾丸を喰らい、痛みに喘いでいる間に刀にて首を真正面から一突きにされ命を奪われる兵士。装着している防護服と体の間にピンを抜いた手榴弾を忍ばせられ、その爆発で無残に命を散らしていく兵士。更に戦闘服の男は懐に忍ばせていた鉄製のワイヤーで兵士の首を締め付けると、後方に回っては背中同士で押し合うように兵士の首に巻きついた鉄線に力を加えては、その兵士の首を物の見事に切断してみせる。首を切断された兵士の切断面からは大量の血が噴き出し、兵士の亡骸もワイヤーで首を切断した男も真っ赤な返り血に染まっていく。

「ぐあッ!」「ぐッ……!」

 狙撃され絶命する兵士、足を撃たれ悶絶する兵士の呻き声までも鮮明に映像に写されており、映像に目を向ける赤塚組やジェイク、そして新世代の面々は顔から血の気を引いていった。

 だが、戦闘服の男は攻撃の手を緩めず、果敢にそして無情なまでに兵士達に攻撃を仕掛けては命を奪っていく。

 するとその時、足を撃たれた兵士の一人が苦痛の余り床の上でもがき苦しんでいる中、狙撃した本人の戦闘服の男が駆け寄っては床上の兵士に一言かけた。

「Good luck」

 そう兵士に言葉を掛けた途端。戦闘服の男は床上の兵士の頭部にショットガンを向け、無慈悲に散弾を発射。兵士の頭部は物の見事に吹き飛び、散弾と共に床や壁一面に大量の返り血が飛び散る。

 そうして全身戦闘服のヘルメット姿の男は次々と自分に襲い掛かってくる兵士たちに一騎当千の戦い振りを披露しつつ返り討ちにしては、その身を返り血で真っ赤に染めていくのであった。

 そして戦闘服の男が全ての兵士を倒し立ち止まった所で、映像は終わった。

 

 映像が終わっても、しばしの間あまりの衝撃的な惨状を映し出した映像に唖然とする一同。

「い、今のは……今のは、何だった訳?」

 一人の男が次々に兵士を惨殺していく戦闘シーンを目の当たりにして、蒼然とした面持ちで心身ともに震わせる月影ちあり。

 皆が戦慄の映像に愕然と立ち尽くしている中、ふと細野サクヤが部屋の奥に何かを見つけた。

「ね、ねぇ、みんな……あそこ」

 細野サクヤが指を指す方に皆が目を向けると、其処には巨大な両開き式の扉が行く手を遮るように存在していた。

 サクヤが指差した扉に赤塚組の幹部、アツシと頭領である大将が歩み寄り間近で扉とその周囲を見て回る。

 すると彼等は扉のスグ横に何かを差し込む差込口が四つある電光表示の装置に気付いた。

「大将、これ……!」「あ、ああ……これは」

 アツシと大将の二人が装置に気付くと、そこにミズキも歩み寄っては声をかけてきた。

「どうやらカードキーを差し込むみたいね。多分、この扉の開錠をこの装置で行うんでしょう」

 ミズキの言うとおり、装置には四つのカードキーを差し込む為の口があり、扉を開けるには四枚のカードキーが必要だと認識できる。

 と、扉の前に集まった者達はある事に気付いた。目の前の巨大な両開き式の扉、その真下から夥しい程の血の跡がまるで引きずった様な痕跡で残っていたのだ。

「こ、この先には何があるんだ……!」

 言い知れぬ不安が襲う中、大将達は扉に目を向け続けた。

 と。そんな大将達にジェイクが話し掛けた。「な、なあ。ひょっとして、これ使えないか?」とジェイクが差し出したのは、壁に埋め込まれている映写機の機能を制御する装置から飛び出てきた一枚のカードであった。

 大将は差し伸べられたカードを受け取ると、そのカードをジッと見詰めた。その×印のカードを持って大将は、カード差込口の前に歩くと再度その装置を注意深く観察した。

 装置には電光表示板の部分に、それぞれ○/△/☆/×の四つの電光が消えていたとはいえ確かに表示されていた。

 その四つの印を確認した大将ったい。すると表示されていた四つの内の×印の差込口にミズキがジェイクから手渡されたカードキーを差し込んでみた。

 するとカードキーとそれを読み取る機械が反応し、×印の電工表示が点いた。

「なるほどね。それぞれ四つの印と同じカードキーが四枚ないと扉は開かないみたい」

「つまり、あと三枚カードキーが必要って訳だな」

 ミズキの釈明に大将が納得する。

「それじゃ……あとの三枚のカードキーは一体どこに?」

 残り三枚のカードキーについて考え込む幹部の秋夏子。

 

 度々目にする謎の戦闘服の男の残忍な戦闘が収められた映像の数々。そして行く手を塞ぐ血の道が続く強固な扉。

 先を進みたい一行であったが、思わぬ所で立ち往生する破目になってしまった。

 

 

 

 

[進攻]

 

 一方その頃の聖龍隊メンバーは。

 通信が途切れる前に本部からの指示に従って通路を進み、どうにか赤塚組と新世代型が滞在している地点まで到着する事ができていた。

 しかし、そこには赤塚組はもちろん新世代型の姿は時既になかった。

 合流を果たした聖龍隊メンバーは一刻も早く赤塚組と新世代型の追跡を行う事になった。

「……まったく、何よ。ようやく目的地点に付いたって言うのに誰も居ないじゃないのっ」

 合流する予定であった赤塚組や新世代型が不在の現状に立腹するミラール。そんな彼女にフロートが話し掛ける。

「まっ、そう文句ばっか言うなミラール。こうして俺達が全員、それも無事に合流できただけでもマシじゃねェか」

 フロートの言うとおり、聖龍隊の面々は苦労の末どうにか施設に潜入した全員が合流地点に辿り着くことができていた。

 しかし、合流地点で対顔する筈であった赤塚組に新世代型の面々が其処には居らず立ち問答を繰り返す一同。

 そんな中、HEADのセーラーマーキュリーが話を断ち切るように話し始めた。

「みんなっ、此処は一先ず赤塚組と新世代型たちを追うのが先決よ! 多分、彼等の所にも私達が遭遇したみたいに多くの生物兵器が押し寄せて、それで移動せざる得なかったんだと思う。ほら、周りを見て」

 皆がマーキュリーの言葉通りに周囲を見渡すと、そこらじゅうに切り傷や弾痕が目立つゾンビの骸や生物兵器の遺骸が無数にあった。その床の彼方此方に倒れているゾンビに近づき、観察するキング・エンディミオンはゾンビを見て皆に言う。

「確かに……この傷は真新しい戦闘によるものだ。多分、大将たちとの戦闘で倒されたゾンビだろう」

 エンディミオンの解釈通り、聖龍隊の隊士達の付近には無数の撃退されたゾンビ達の遺骸が転がっていた。その中には銃弾による弾痕だけでなく、何らかの鋭利な刃物による斬撃の痕跡も見られた。

「そうね。此処で激しい戦闘があったのは目に見えるし……大将たちもゾンビの群れに襲われて、やむなく移動したと考えて良さそうね。早く追わないと」

 一刻も早い赤塚組と新世代型との合流を急かすミラーガール。そして彼女の意見に同意するかのように総長のメタルバードがその場の聖龍隊に告げた。

「よし、聖龍隊! 戦闘の痕跡を辿りながら施設の奥に進攻するぞ! そして赤塚組の連中と例の新世代型の確保だ!」

 総長メタルバードの指示に、その場の聖龍隊HEAD/ニュー・スターズ/ルーキーズの手勢は施設奥へと進攻していくのであった。

 

「大将達は無事なんだろうか?」

「あいつらの事だ、無事に先へ進んでいるだろう。早く追いつかねえと」

 施設の奥へと進んだ大将達の身の安否を気にするエンディミオンに、総長のメタルバードは大丈夫だろうと言葉を返す。

 と。そんな彼等の前に床に倒れていた死体が起き上がり、ゾンビとして進攻する皆の目の前に立ちはだかった。

「敵だ!」「攻撃しろッ」

 ジュピターキッドとメタルバードの掛け声を皮切りに、聖龍隊は眼前のゾンビ達に一斉攻撃を開始する。

 一瞬の内に斬り付け一刀両断にしてみせれば、見事な狙撃でゾンビの頭部を着弾させたりと巧みな攻撃を仕掛けていく。

「この先も、どんな敵が出現するか分からない。みんな、十分気を引き締めて行くぞ」

 どんな状況にも対応できる様に武器を身構えつつ皆に警戒を勧めるエンディミオン。その後に続いて行く様に他の聖龍隊の各隊士も気を引き締めて先へと進む。

 微かな照明を頼りに、通路の戦闘跡を辿りながら施設の奥へ奥へと足を歩ませていく一行。

 そんな一行の前に再び敵が出現してきた。

「来たぞ!」

 通路の奥から姿を現すゾンビ達に攻撃していく聖龍隊。だが、そんな戦況の最中に今度は通風口から新たな敵が出現する。

「リッカーだ!」「攻撃しろッ」

 天井を這いながら移動するリッカーに狙いを付けるメタルバードにデス・ザ・キッド達。

 腐敗した肉体から皮膚が消え去り、強靭な筋肉と巨大で鋭い爪に形成されたリッカー。その肥大化した脳は露出する様な見栄えとなり、更に足の進化によって天井や壁などを這って移動する事が可能となった。

 だがリッカーの名とは裏腹に、その攻撃手段は驚異的な長さに進化した舌で相手の首を絞め付けるか、その舌を槍の様に突き出して相手を刺し貫くと言った形しか行わない。

 そんなリッカーも聖龍隊はどうにか撃退しては天井から落としてみせる。

 と、其処に。今度は通路の曲がり角の奥の方から俊敏な動きで瞬く間に接近してきたハンターが、その鋭く強靭な爪を振るいながら聖龍隊に飛び掛かってきた。

「くっ……!」

 ハンターからの強烈な爪攻撃を、着用しているアーマーの右腕で寸での所で防いでみせるワイルドタイガー。と、其処にタイガーと対峙しているハンターの体に真横から相棒であるバーナビーが強烈な拳を食らわせてハンターを撃退してみせる。

 そんな二人が応戦しているハンターがバーナビーの拳で吹き飛ぶと、そのハンターに今度はマカが巨大鎌に変化したソウルを振り回してハンターを一刀両断に斬り捨てる。

 リッカー/ハンターと新たに立ち塞がる生物兵器を前に、参謀総長のジュピターキッドが敵と応戦しながら周りの仲間達に呼び掛ける。

「気をつけろッ! さっきよりも確実に出現してくる敵の種類が増えている」

 そういうジュピターキッドは皆に呼びかけながら持ち前の得物である鞭で周囲の敵と応戦していく。

 

 続々と出現してくる無数の生物兵器を相手に見事な立ち回りで応戦を繰り広げていく聖龍隊。

 だが一行に彼等の目の前に赤塚組の面子はもちろん新世代型の二次元人たちも一人すら視界に入って来なかった。

「何処に言ったの……大将、ギョロ、ゴマ、チカちゃん」

 赤塚組の幹部であり同時に親友である大将達の安否を心から気にするミラーガール。

 そんな彼女を始めとする聖龍隊が施設の奥へと先行している時だった。彼等が進む直線の通路、その曲がり角の死角から何者かが進攻する聖龍隊に近付いていたのだった。

「っ、誰!?」

 最初にその近付いてくる者に気付いたHEADのグリーンパールの人魚 洞院リナが声をかける。そして彼女に続いて一行がその者の気配を感じる死角に視線を向けてみると、その者はゆっくりと死角から姿を現しては、その全貌を聖龍隊の面々に晒した。『!』その者の姿を見た聖龍隊の各隊士は全員驚愕した。何故なら、その者は全身包帯だらけの体躯が逞しい容姿であったからだ。

 と。その包帯男も聖龍隊に気付いたのか、右手に持っていた日本刀を彼等に向けるや否や突然謎の言葉を呟こうとした。「……トンカラトンと」と、その時。包帯男が最後まで呟き終わる前に聖龍隊の隊士、ニュー・スターズの熱血漢ブラック☆スターが先手必勝とばかしに包帯男に攻撃を仕掛けた。

 ブラック☆スターが振るう短刀による攻撃を受けた包帯男は少しばかしバランスを崩し、よろめいた。と、そんな勝手に先手攻撃を仕掛けたブラック☆スターに同僚のマカとデス・ザ・キッドが切羽詰った様子で話し掛ける。

「ぶ、ブラック☆スター! なに勝手に……」

「迂闊に攻撃を仕掛けるのは危ないって毎回言っているだろッ!」

 だが、そんな二人の発言にブラック☆スターは真顔で言い返した。

「なに言ってやがんだ! 何かある前に相手を倒して難を逃れた方が、よっぽど得策じゃねェか! しかもこの包帯野郎、さっきマカも同じのに襲われて返り討ちしてたじゃねェか」

 ブラック☆スターの言うとおり。先ほどマカは施設に数多の生物兵器が解き放たれた際の混乱の中、マカの前にも同じ容姿の包帯男が立ち塞がり彼女はこれを撃退していたのであった。

 と、マカとキッドとブラックの三人が言い合っている、その時だった。ブラック☆スターに斬り付けられた包帯男は崩していた体勢を立て直しては、自分に攻撃してきたブラック☆スター目掛けて手にしていた日本刀を振り翳してきた。

「トンカラ、トン……!」「うわっ」

 低い唸り声で発せられる謎の言葉を呟きながら振り放たれた刀をブラックは自身の得物で防ぐ。だが、包帯男の攻撃はそれだけでは終わらなかった。

 更に包帯男は二度目の刀による攻撃を今度は真横から振り回しては猛威を揮って来た。

「うわ! クソッ」

 真横からの刀を回避するブラック☆スターは、回避すると同時に表情に苛立ちの感情を薄らと浮かべた。

 だが、それでも包帯男は御構い無しにと言わんばかりに、ここぞと刀を振り回しては聖龍隊の隊士らに斬りかかって行った。

 しかしその時「ハッ!」ミラールが自身の武器ミラージュガンで包帯男の頭部に狙撃する。人で言えば眉間の部分に弾が直撃した包帯男は、撃たれた額を押さえながら悶絶するような素振りを取る。そんな包帯男にミラールは更に追撃として銃を連射していった。

「ウゥ……」

 そして遂に包帯男は全身に無数の弾丸を浴びて、その逞しい体を床上に沈めるのだった。

 

 突然現れた包帯男に苦戦しつつも、どうにか応戦しては倒す事ができた聖龍隊は先へと急いだ。

 

 

 

 

[異体]

 

 幾度となく眼前に現れては立ちはだかる生物兵器を始めとする異様な怪物たちとの抗戦の中、聖龍隊は施設の奥へと躊躇わずに進んでいく。

 そして彼等はようやく、赤塚組と新世代型のいる地点まで辿り着く事ができたのであった。

「アッコ! バーンズ!」「大将!」「大将、お前等無事だったか」

 対顔し喜びで駆け寄る大将とミラーガールにメタルバード。そんな彼等と同様、自分等の旧友である親しい間柄の赤塚組幹部衆の面々とようやく顔を合わせられた聖龍HEADらは互いに喜び合っていた。

 そんな二組の再会で場が和んでいる中、聖龍隊総長メタルバードが施設に誘拐・拉致されていた新世代型の集団に歩み寄っては話し掛けた。

「よっ、皆様方。お久しぶりって言えば良いのかな?」

 新世代型の二次元人たちに話し掛けるメタルバード。実は兼ねてより新世代型とは三次元政府からの命令で彼等を監視しつつも、メタルバードことバーンズは彼ら新世代型とは立場を隔てる事無く対等に接してきた、お互い半ばの交流がある間柄なのであった。

「お、お久しぶりです。バーンズさん……」

「ははッ。今は天下のヒーロー 鋼の鳥メタルバードだぜ、琴浦春香」

 大戦前にもアニメタウンの公園で顔を合わせても居る新世代型の二次元人 琴浦春香と対話するメタルバード。

「おおッ、その銀ピカの姿もカッチョ良いですね!」

「そうだろ、そうだろ。やっぱ解る人には解るんだねぇこれが」

 全身が銀の光沢に包まれている容姿のメタルバードに惚れ惚れする琴浦春香と同じ新世代型の真鍋義久からの褒め言葉に思わずニヤケ顔になるメタルバード本人。

「全員居るわよね? 夏子、これであなた達が匿った新世代型は全員?」

「ええ、話に聞いたところ、これで全員で間違いないらしいわ」

 赤塚組と行動を共にしている新世代型の人数を旧友である秋夏子に確認するキューティーハニー。

「す、スゲぇ……第一戦で活躍する聖龍隊の隊士ばかりだ」

 実際に名立たる戦闘コスチューム姿で駆け付けた聖龍隊の面々を目の当たりにして唖然となってしまう新世代型の嵐山ブンタ。

 と。その場に駆け付けては赤塚組と新世代型の集団と合流を果たした聖龍隊が各自、その場の新世代型と失踪者リストに記載されている名前を確認している最中、メタルバードが集団の中の三人組に歩み寄っては、その三人に眉間のしわを寄せた何とも言いがたい気難しい表情で話し掛けた。

「……お前等、どうして此処にいるのかな? 訳を聞かせて貰いてェな、オイ」

「は、はい……」

 メタルバードの威圧に押されながらも小さく返事する三人の内の一人、黒鳥千代子。そして彼女の傍らには同じく身を縮ます心境のギュービッドと桃花・ブロッサムの二人。彼女たち三人は、失踪してしまった琴浦春香たち新世代型の友人達を助けるべく、三人だけでこの研究施設まで遠路遥々駆け付けて来た有様だったのである。

 三人から事情を聴いたメタルバードは、三人の心情を汲み取りながらも立場上の厳重注意を掛けるのだった。

 と。其処に赤塚組と共に新世代型を護りながら進攻してきたジェイクが、チョコ達と話しているメタルバードに話し掛けてきた。

「オイ、銀色のヒーローさん。お久しぶりだな、この俺には挨拶なしか?」

「おおッ、ジェイクじゃねえか! まさかお前さんも、この施設に潜入していたとは驚きだぜ! いや、またこんな所で出会えちまうとは……新世代型共々、縁の深い事ですなぁ。ええ」

 久々の再会だと言うのに自分の事を無視していたメタルバードに無愛想な面構えで話し掛けるジェイクに、メタルバードは態度を一変させて気安く話し掛ける。そんなメタルバードにジェイクは呆然となるのであった。

 するとメタルバードはジェイクとの久々の対顔を早々と済ませると、新世代型の面々を確認しているミラーガールやマーキュリーの許に歩み寄っては声をかける。

「ああ、おい。アッコ、マーキュリー。ちょっと」

「んっ」「なに? バーンズ」

 声を掛けられ振り向くミラーガールとマーキュリーの顔を見たメタルバードは即座に頷いては別方向に顔を向けては言い放った。

「ああ、ちょっとな。おいッ、ナースエンジェル、こっち来てくれ!」

 メタルバードの呼び声に、ナースエンジェルがメタルバードの許に駆け寄る。

「なに、バーンズ」

 何の用かと訊ね返すナースエンジェルにメタルバードは真顔で言った。

「例の準備だ! 新世代型の名前とリストを照合しながら、同時に奴等のチェックも行った方が手っ取り早いだろ」

「ああ、例のアレね。解ったわ、バーンズ」

 メタルバードに言われ彼の言伝を把握したのか、ナースエンジェルは颯爽と行動に移った。

 此処に向かう際に所持してきた一つのバッグ。それを開くと中には大量の採血用使い捨て注射が常備されており、更にバッグの中には何かの機材も積まれていた。

「あ、あの……これは?」

 ナースエンジェルが開いては準備し始めた道具を見て不安そうな表情で訊ねてくる直枝理樹にメタルバードが代わりに答えた。

「ああ、これは血液を採取して、それでウィルスに感染していないかどうかを確認するための機械だ」

「う、ウィルス!?」

 メタルバードの発した言葉に理樹の傍にいた棗鈴がハッとする。そんな彼女にメタルバードは説明を続けた。

「ああ、そうだ。もしかすっと、お前等が施設に監禁されている間に何らかの形でウィルスが感染しちまっている可能性もあるからな。念のための検査だ」

 その時、メタルバードの話を耳にしていたチョコが思い出したかのように言い放った。

「あ! そう言えば……確か琴浦さんたち閉じ込められている間に、何か色々と注射されたり血を採られたりしていたって……!」

 このチョコの発言を聞いて、メタルバードは(やはり……)と心の中で思いつつ同胞のナースエンジェルを始めとする聖龍隊メンバーに指示を出した。

「ナースエンジェル! スグに新世代型の二次元人全員の血液チェックだ! 念のため、チョコ達三人の血液も採取して感染してないか確認しろッ。その他の聖龍隊はナースエンジェルを中心に彼女の補佐をしながら的確に全員分の採血及び感染チェックを手伝うんだ! 同時に失踪者リストの名簿と比較しながら本当に全員揃っているのかも確認せよ!」

 メタルバードの指示の元、ナースエンジェルを始めとする聖龍隊は新世代型二次元人たちとチョコ達三人の採血を行いながら、同時に名簿の名前と照合していった。

「はい、スグに済みますよ」「ッ……」

 脈の箇所にアルコールを塗り注射針を刺しながら優しく言葉を掛けるミュウレタス。だが採血をされる相手の新世代型は何とも痛みに耐えている苦悶の表情を薄らと浮かべる。

「えぇっと、貴方は……DJ.Cooと名前が記載されているのですが……いえ、すみません。リストには、そう記載されていて本名が記されて無いんです。此方の手違いで申し訳ありません。お手数ですが、そちらの本名は?」

「あ、はい。本名は黒川冷と申します」

 リストに本名でなく、おそらく愛称名が記載されていた事実を丁寧に謝罪しながら本名を尋ねるジュピターキッド。すると相手の浅黒い肌と銀髪のロングヘア、そしてサングラスがトレードマークの通称DJ.Cooも丁寧に自分の本名を答える。

「はい、ナースエンジェル。【ゆゆ式】と【境界の彼方】と【弱虫ペダル】の新世代型の血液サンプル。こちらもお願いね」

「あ、はい……ふぅ、数が多いから大変だな」

 セーラーマーキュリーから渡される膨大な血液サンプルに、ナースエンジェルは気が参りながらも作業をこなして行った。

 

 

 

 そして全員分の血液採取を終え、更には血液チェックも終了しては、採血した側の聖龍隊も採血された側の新世代型たちもようやく一息入れた。

「ふぅ、どうにか全員のチェックは済んだ様ね」「あ、ああ……そうだね」

 一息入れながら語るミラーガールの横でジュピターキッドが何かを思案してそうな顔で言葉を返す。

「チョコちゃん達、あなた達は全員なんとも無かったわ。安心して」

「わあ、良かった!」

「やれやれ、血を採るって聞いたときは内心ドキッとしたけど、何とも無くて助かったぁ」

「そうそう! 私達もゾンビになっちゃうかもしれないって思っただけで怖いもんね!」

 採血の結果、身体に何の以上も診られなかった事をチョコ達に伝えるウォーターフェアリー。その結果を聞いて心から安堵するチョコ/ギュービッド/桃花の三人は笑みを浮かべる。

 と。そんな各々の採血者に診断結果の良好を伝えまわっていく聖龍隊の面々を尻目に、ジュピターキッドは何やら暗鬱な表情で総長であるメタルバードを呼んだ。

「メタルバード」「っ?」「……ちょっと」

 二人はそのまま人気の無い場所まで移動しては、二人だけで話を始めた。

「…………何だと!? それは本当か、ジュニア!」

 キッドから話を聞いて険しい面持ちで驚愕するメタルバード、そして問い返されたキッドは静かにそして顕然とした顔付きで頷いた。そんなキッドから伝え聞いた事柄に衝撃を受けているメタルバードに、

キッドは険しい顔で語るのだった。

「間違いないよ。検査の結果、新世代型には既にウィルスへの抗体が確認されたんだ!」

「そ、それじゃ……奴等は最初っからウィルスへの抵抗組織が体内に組み込まれていたって事か」

「ああ、そうらしい。以前にも戦ったルミネ一派の新世代型の遺伝子も調べてはいたけど……まさか彼等の遺伝子にもしっかりと組み込まれていたとは」

 暗黙な表情で思い詰めるメタルバードとジュピターキッド。そしてメタルバードが意を決したかのように眼前のキッドに言った。

「……ジュニア、この件は一応伏せておけ。先の新世代型の反乱以降、新世代型に対する世間の風潮が厳しくなっている情勢だ。この事は新世代型の連中はもちろん、聖龍隊の部外者である大将たち赤塚組にチョコ達、そしてジェイクにも黙っておいた方が良い」

「ああ、分かった」

 メタルバードの出した思索にジュピターキッド本人も承諾するのであった。

 

 そして話を終えた二人は皆の許へと戻ってみると、何やら大将と聖龍隊副長ミラーガールが話をしていた。

「おい、どうしだんだ二人とも」

 話をしている二人にメタルバードが声をかけると、ミラーガールがメタルバードに顔を向けて話し出した。

「あ、バーンズ。それがね……大将たちが言うには、この先を進むにはカードキーみたいなのが必要みたくって」

「カードキー?」

「ええ、今コレクターズに装置のハッキングをお願いして、どうにかIDキーなしでも扉を開けられるかどうか見て貰っているんだけど……」

 そういうミラーガールが向けた視線の先を追うと、その先には四枚のカードキーを差し込む装置にコードを接続してハッキングを試みていた。そんな三人にミラーガールが歩み寄り声を掛ける。

「どう?」

 するとコレクターズの一人、コレクターユイがミラーガールの問い掛けに答える。

 「ダメみたい。やっぱ専用のカードキーを四枚揃えないと開かないみたい」とコレクターユイは表情を渋らせながら答える。

 コレクターズが弄っているカードキーの読取装置には、それぞれ○/△/☆/×の四つのマークが並んでおり、それぞれに合ったカードキーを四枚とも差し込まない限り扉は開かない仕掛けになっていた。

 カードキーのうち×のキーは既にジェイクが施設を探索中に偶然発見していたため、あとは三枚のカードキーが必要となっていた。

「おいおい、困ったな。カードキーが無いと先には進めないのか」

「此処で立ち往生していたら、それこそまたゾンビや生物兵器やらが集まってきて危なくなるよ」

 先に進行できない現状に困惑するメタルバードとジュピターキッド。

 と、二人が悩んでいるその時であった。「あ、ねぇ二人とも」とHEADでローゼン組の蒼星石が悩んでいるメタルバードとキッドに声を掛けてきた。二人が蒼星石に顔を向けると、彼女は至って普通に懐から一枚のカードを差し出した。

「ひょっとして、これがそのカードキーって奴じゃない?」

 二人が蒼星石の差し出したカードに目を向けると、そのカードには○のマークが付いた確かなカードキーであった。

「こ、これだ!」「蒼星石、これを何処で!?」

 メタルバードとキッドが驚き、キッドが訊ねると蒼星石は真顔で答える。

「ああ、みんなで施設の中を進んでいる途中に見つけたんだ。もしかしたら先々、何かに使えるんじゃないかと思って拾っておいたんだ」

「で、でかした蒼星石!」

「う~~ん、でも他にあと2枚カードキーが無いとな……」

 大喜びで蒼星石を褒めるメタルバードに反して、キッドは残り二枚のカードキーが無い限り問題が解決しない事を思案していた。

 すると其処に、今度はニュー・スターズのシャナが二人に話し掛けてきた。

「ねぇねぇ! これも、そのカードキーなんじゃない?」

 と、シャナが差し出しだのは△のカードキーであった。

 「うおお! まさかの三枚目!!」

 メタルバードは立て続けに手元に三枚のカードキーが揃いつつある現状に喜々と湧いていた。

 更に立て続けに「それなら私達も施設に潜入してきた道中、同じ様なの拾っておいたわよ」とルーキーズの鹿島リンがメタルバードに☆のカードキーを見せる。

「マジかよッ!? まさかの四枚とも既に入手済みって訳ですかい!」

 立て続けに四枚のカードキーが手元に揃った事実に愕然となるメタルバードに周囲の皆々。

 と。そんな愕然としている面々に近くにいたジェイクがメタルバードたち聖龍隊の面々に言う。

「おい、アンタらよ。キーが揃ったんなら先に行けるじゃねえか。とっとと先に行こうじゃねェか」

 そんなジェイクの言葉にハッと気付くメタルバードは即座に返事する。

「あ、ああ……そうだったな。このまま、この場に居たって状況は変わらねェし早々と先に進んだ方が良いかな」

 するとメタルバードに続いて参謀総長のジュピターキッドも話を進めた。

「そ、それが良い。もう新世代型の血液チェックは全員済ませたし、一刻も早くこの施設から脱出させてあげないと」

 メタルバード、キッドの話を聞いたミラーガールもこれに同意する。

「うん、そうね! それじゃみんな、先に進むけど異論は無いわね?」

 同胞のHEADはもちろん聖龍隊の隊士全員に訊ねるミラーガールの問い掛けに、聖龍隊一同は同意の意思を伝える。

 

 そして一同は、ジェイクが入手した×印のカードキー。蒼星石が偶然にも拾っては所持していた○のカードキー。此処までの道のりでシャナが拾った△のカードキー。そして道中、鹿島リンが拾い上げた☆のカードキー。全てのカードキーを強固な鉄の扉の開錠を司る読み取り機に挿入した。

 すると装置は差し込まれたカードキーが全て正常のIDキーであるか読み取りを開始し始めた。そして装置は挿入されたキーが全て指定のカードキーである事を認識すると赤いランプを全て緑に変えた。赤のランプが緑に変わった次の瞬間、強固な鉄の扉から鍵が開錠した音が鳴った。

「開いたか……」「この先には、一体なにが……」

 扉の鍵が開いた事に喜ぶよりも、その扉の下から続いている引きずった様な血の跡を見て警戒するメタルバードとジュピターキッドを始めとする聖龍隊と赤塚組、そしてジェイクと新世代型の面々。

 メタルバードはゆっくりと扉のドアノブに手を掛け、そして少しずつ扉を押しては開いていった。

 

 果たして、扉の先で彼等を待ち受けているものは。

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