現政奉還記 B.O.W.編 作:セイントドラゴン・レジェンド
そんな中、保護した新世代型二次元人たちを護送するため移動する最中、一行は戦闘中のマン・ヒールズと合流を果たす。彼らが戦っていたのは、何と数多の熱エネルギーを取り込んだ事で異様な姿へと変貌を遂げた3-DXであった。聖龍隊本隊と赤塚組はマン・ヒールズと共闘の末、どうにか3-DXを撃破する事に成功。
だが彼らの前には、黒幕ゴールドマンが待ち侘びている彼の地上50階に達する自社ビルであった。引き換えす事もできず、一行はマン・ヒールズを加えてゴールドマンの本拠地に突入。
しかし突入した彼らの前に立ちはだかるは、畏怖の神の名を持つイクシオン。イクシオンとの戦闘の最中、メタルバードと大将のみが最上階のゴールドマンの許に殴り込む。
ゴールドマンの許に辿り着いた二人であったが、彼らの前に旧友である小田原修司の遺伝子より生み出されたS-エンペラーが立ちはだかる。同時に1階で戦っていたイクシオンも仮面を外して、己自身も小田原修司のクローンであると公言して第二形態へと変異して襲い掛かる。
最上階と1階の死闘を無事に突破した一行だったが、ゴールドマンは意味深な言動を言い残して最上階より投身自殺。更にまだ存命していたイクシオンに襲われそうになった瞬間、地下の研究施設でも序力してくれた謎の狙撃手が遂にそのベールを脱いだ。
謎の狙撃手、それは小田原修司のクローンその粗悪品として長い間保管されていながらも僅かな自我で脱出していた001-DXであった。大将は既に生存する力を失いつつあった001-DXに情けの弾丸を撃ち込んで楽にさせた。
そして全員がゴールドマンの本拠地から出ようとしていた矢先、そのビルの前で待機していた聖龍隊士から緊急の無線が入る。
はたして彼らを待ち受けているものとは……!
[黒塊を断つ刃]
ゴールドマンビル前に待機させている聖龍隊士からの緊急通信を傍受したメタルバード。
一行は急ぎ、ウッズとウェルズが引き連れた隊士達のいる場所まで向かった。
「どういう事だ!? さっきビル前にやってきた時は、既にゾンビは大方始末して大抵の危険は排除したって言うのに」
「通話の様子じゃ、ゾンビどころの危険じゃなさそうですよ!」
駆けつけて来た時には大方の危険は全て排除したと豪語するウェルズに対し、ウッズは通話の様子からゾンビ以上の驚異と隊士らが交戦していると察する。
「どっちにしろ急ぐぞ!」
困惑するプラント兄弟や皆々を後ろ手に、メタルバードは急いで危機を知らせてきた待機している聖龍隊士の許へと駆け付けて行く。
現場に駆け付けてみると、其処には聖龍隊の隊士たちの無惨な亡骸が至る所に痛々しく横たわっているのが視界に飛び込んできた。
「こ、コイツは……!」
「酷い……潰されたり、何かの熱で溶かされてる……!」
目に付く隊士達の死体は、何か巨大なものに踏み潰されたり、或いは何かの熱線を浴びてドロドロに溶けていたりと見るも無惨な情景にジェラールやミスティーハニー達は酷く嘆いた。
その時だ。近くから銃撃戦による無数の銃声が聞こえてきた。
「ッ、銃声だ!」「アッチだ!」
銃声が耳に飛び込み、新世代型のイオリ・セイとレイジ・アスナが反応する。
全員はまた何か脅威となる敵が現れたのではないかと不安で仕方なく、駆け足で銃声のする方へと向かうのだった。
一行が駆け付けた先では、存命している聖龍隊の隊士達が果敢に銃撃戦を展開している戦況が見て取れた。
「あ、いたぞ!」「みんな、何と戦っているのかしら?」
視点の先に懸命になって応戦している仲間の隊士を見つけて声を上げるジュピターキッドに対し、ウォーターフェアリーは隊士達が何と戦っているのか疑問に思う。
皆が疑問に思う中、隊士達は強力な銃火器はもちろんバズーカなどでも徹底してただ只管に一点を攻撃していた。攻撃に晒される一点は尋常でない硝煙が舞い上がり、何が攻撃を受けているのかスグには視認できなかった。
だが次の瞬間、舞い上がる硝煙の中から突然オレンジ色の熱線が一直線に放射された。
「うわあ!」
熱線は攻撃を展開してた聖龍隊の隊士に直撃し、隊士は絶叫を上げながら跡形もなく消滅してしまう。
オレンジ色の謎の熱線に晒されて人間が消滅したのを目の当たりにした新世代型たちは全身に衝撃が走るほど愕然とした。
「お、おい! お前ら、何と戦っているんだ!?」
同じくその現場を目撃したメタルバードは、交戦している仲間の聖龍隊士に何と戦っているのか無線で問い質した。すると隊士は慌てた様子でメタルバードの問いに受け答えた。
「そ、それが! ウッズさんとウェルズさんと共に此処まで駆け付けて待機していたまでは良かったんですが、そこに何だか……そう、まるでゴジラを人型にした様な怪物が現れていきなり襲ってきたんです!」
「? ゴジラを人型にしたみたいな?」
隊士の言っている事が上手く理解できず、思わず困惑してしまうメタルバードと皆々。
だが皆が困惑している最中、舞い上がる硝煙の中から巨大な黒い塊がのっそりのっそりと歩き出し、その全貌を露にした。
「……! アイツは……ッ」
硝煙の中から現れた巨大な塊に、メタルバードはもちろん多くの者が唖然とした。
それは多少なりとも姿は変わっているものの、紛れもなく、あの3-DXだったからだ!
「セェェリュゥゥタァァアァァイ………………」
最早雄叫びではなく、獣の唸り声の様な発音に誰もが聞き覚えがあった。
「お、おい……アイツは」
しかし3-DXと実際に対面するのが初めてのウェルズとウッズは、目の前に現れた巨大な黒い塊が何なのか把握していなかった。そんな二人に息子で甥のジュピターキッドとミラーガールが耳打ちで簡潔的に伝える。
倒した筈の3-DX。その姿は若干ながらまたしても変貌しており、ゴツゴツとした質感の筋肉繊維が剝き出しになった様な漆黒の外皮に覆われた体躯は変わらなかったが、以前に見受けられたまるで冷えて固まりかけたマグマを彷彿とさせる赤い光が漏れている外皮から体に沿ってひび割れの様な亀裂は完全に塞がっていた。
全身をゴツゴツとした漆黒の外皮に覆われ、腹部に見受けられた体内の熱を逃がす為の開口部分も無くなっていた。
「セェェリュゥゥタァァアァァイ………………ッ」
唸り声の如き言葉で、未だ聖龍隊を敵視しているのは明らかであった。
するとその時、付近の建物に侵入し階段で上部に移動していた隊士が、建物の上層部の窓からバズーカで3-DXに砲撃を開始した。
砲撃は3-DXに直撃し、その一発を皮切りに他の建物に侵入して内部に移動した他の隊士達も続々と高所から地上の3-DXに向けて砲撃を開始した。
しかし3-DXはビクともせず、平然とのっそりとした動きで移動を続けるのだった。
が、それでも砲撃を止めない高所の隊士達が癪に障ったのか、3-DXは口を大きく開けて高所の隊士達に開けた口を向けた、次の瞬間。
「うわあっ!」「うわっ!」
なんと3-DXの口からオレンジ色の熱線が放射され、その衝撃波にメタルバードや周りの皆々も怯んでしまう。
発射された熱線は、3-DXに砲撃を仕掛けていた隊士が陣取っていたビルへと直撃。ビルは内部の隊士もろとも爆発し、上から半分がほぼ壊滅してしまわれた。
「……………………」
口から発射した熱線でビルを破壊してしまう3-DXの戦法に、目撃した一同は愕然と口を開けっ放しにしてしまう。
だが3-DXの猛攻は留まらず、更に別のビルの高所から砲撃してくる隊士を一掃しようと連続でオレンジ色の熱光線を口から発射して、隊士達をビルごと消し飛ばしていった。
「うわあっ!」
熱線を浴びて悲鳴を上げる隊士達が、倒壊するビルごと消えていく様を目の当たりにし恐怖に近い寒気を感じ始める新世代型たち。
まさしくその光景は先ほど無線で聞いた通り、人型のゴジラそのものであった。
と、此処で次々と口から吐く熱線で隊士をビルごと消し去っていく3-DXに恐怖を覚え始めつつも、落ち着いて口から熱線を吐く様になった3-DXを機械化した眼球で調べてみた。すると何ゆえ口から熱線を吐く様に3-DXが変異したのか判明した。
「何てコッタ……あいつ、体内に溜まった熱エネルギーを逃がしてた全身の亀裂や腹の口が消えて、代わりに攻撃にも応用できるように口から光線として熱を放射するまでに変異したみたいだ」
「!!」
メタルバードによって判明した事実。それは3-DXがD-ワクチンの影響である体内の高い発熱作用からなる高温を全身の亀裂や腹部の口から放射して逃がしていたが、その亀裂や腹部の口が漆黒の外皮で塞がった代わりに本来の口から熱光線として発射して体内の高温を逃がすだけでなく攻撃にも応用できるまで変異した事実に、誰もが愕然と言葉を失くす。
そして口から発射する熱光線で猛威を振るっていた3-DXは、遂にメタルバードや大将達の存在に気付いてしまった。
「ッ…………セェェリュゥゥタァァアァァイ………………」
獣の様な呻き声を発して顔を向ける3-DXに誰もが震撼した。
「ど、どうする!? もう、あそこまで来たらオレ達じゃ到底戦えねェよ!!」
既に巨大な人間レベルの異形でなく、ゴジラの様な怪獣クラスの怪物に変貌してしまった3-DXとの戦闘に涙目になる大将の訴えをメタルバードはただただ蒼褪めた表情で立ち尽くすばかりであった。
武器が効かない漆黒の外皮、体内に蓄積されていく熱エネルギーを光線として口から発射して応戦する。その様な生物にまで成り得た3-DXに、歴戦の猛者である聖龍隊も、海上で生きる屈強な赤塚組も俄然と戦うのを躊躇してしまう。
そして一歩一歩と、のっそりとした足取りで黒い塊の如き3-DXは向かってきた。
が、3-DXが迫ろうと向きを変えて進もうとした矢先。
3-DXの動きがピタリと不自然に止まったのだ。
「? ど、どうしたんだ……」
突然動きが止まった3-DXにメタルバードだけでなく全員が呆気に取られてしまう。
しかし皆が呆然と3-DXを直視していた次の瞬間、ピタリと停止していた3-DXの頭部から一筋の光の線が下に向かって伸びていったと思いきや、その光の線に沿って黒い山の如き3-DXは縦に真っ二つになってしまった。
「ッ!!」「!!」
誰もが真っ二つに切断された3-DXを凝視して愕然と言葉を失くした。今まで苦戦を強いられ、挙句の果てには熱光線までも放射するまでに変異した3-DXが、意図も簡単に頭から股下にかけて真っ二つに切断されたのだから。
切断された3-DXの亡骸は、左右に分かれてそれぞれ右側と左側に倒れる。すると切断された3-DXの背後に謎の人影が確認された。
「あ、アイツは……!」
突如姿を現したその人物は、前立てなどの目立った飾りが一切ない黒一色の武者鎧を全身に纏い、顔には目と口だけを開けた鎧と同色の仮面を装着している、何ともいえない眼をしている武者姿の人型であった。
その黒い鎧姿の右手には、黒紫の刃文が怪しく光る黒い地金の長刀が握られていた。しかも刀身の長さだけでも100cmはあろうかという豪刀であり、黒き鎧を纏う者はその豪刀で3-DXをたった一撃で一刀両断にしてしまった事は明らかであった。
だが驚いたのはそれだけでなかった。
黒い鎧姿は黒の仮面で隠されてる顔で唯一識別できる眼で、一行を怪しく睨み付けたのだ。
しかし皆が何よりも驚いたのは、自分達を睨み付けてくるその眼が、まるで死んだ魚の様に無気力な眼であったからだ。
全員が死んだ魚の様な無気力な眼で睨み付けられてたその時、同行していた新世代型たちに異変が起きた。
「ウッ……!」
なんと全員が頭を手で押さえるほどの激しい頭痛に襲われたのだ。
「だ、大丈夫か、お前ら!」
突然の新世代型たちの異変に大将ら赤塚組が動揺し、気にかける。
すると新世代型二次元人の中では生れ付きの超能力者である斉木楠雄が、自分達の激しい頭痛の原因を大将たちに明かした。
「あ、あの黒い鎧の人から……激しい憎悪が……! そう、僕ら新世代型に対する異常なまでの憎悪が、僕らの頭を締め付けて……!」
「なに!? アイツから……!」
黒い鎧武者の新世代型たちへの激しい憎悪が自分達を苦しませていると説く斉木の発言に大将は唖然としてしまう。
しかし斉木の予測通りなのか、黒い鎧武者は怪しく光る黒い長刀を逆手に握り締めると、一直線に彼らの方へと駆け抜けてきた。
[黒き武士]
「お、応戦しろ!」
突如として襲ってきた謎の黒い鎧武者に、メタルバードは敵と判断し応戦を呼びかける。
聖龍隊は急きょ、襲ってきた謎の黒い鎧武者に攻撃せんと手始めに射撃を仕掛ける。が、黒い鎧武者は自らに向けられる全ての銃弾を意図も容易く黒い長刀を振り回して弾いて防いでしまう。
「近付いて攻撃しますわ!」
ニュー・スターズの剛力番長が得物の『しおチャンコ・みそチャンコ』を両手に翳し、一気に距離を縮めてからの接近戦で打撃を与えようと仕掛ける。が、鎧武者は彼女が振り翳す巨大鉄球付きの棍棒による打撃を難なくかわしてみせると、容赦なく長刀で斬りかかる。
「うわっ」
咄嗟に剛力番長は二つのチャンコで斬撃を防御するが、その凄まじい威力に弾き飛ばされてしまう。
「此処は剣術使いの腕の見せ所!」
そういって新たに鎧武者の前に立ちはだかるは、啖呵を切った居合番長を筆頭としたアニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン、ブラック☆スター、灼眼のシャナ、アレン・ウォーカー、神田ユウら剣術を得意とする者たち。彼らは一斉に鎧武者に斬りかかるが、鎧武者は黒い長刀を巧みに扱い全ての斬撃を防ぎ切ってしまう。
「そ、そんな……!」
強力な一太刀の斬撃すらも容易く防いでしまう鎧武者に愕然としてしまうアレン・ウォーカー。
すると次の瞬間、鎧武者は一瞬の隙を衝いて自分に斬りかかって来た隊士達を全て一刀のみで吹き飛ばしてしまった。
「うわあッ」
衝撃波と共に吹き飛ばされてしまった面々は激しく地面に叩き付けられてしまう。
「つ、強い……!」「先輩達が、あんなにも簡単に……」
屈強の戦歴を持つ先輩隊士達を僅かな一時で返り討ちにしてしまう鎧武者の技量に、恐怖で思わず身を震わせてしまう美樹さやかとシルバー・ロウ。
だが恐怖に慄く後輩達を尻目に、今度はマカ=アルバーンとリナリー・リーの二人が倒された仲間の仇と言わんばかしに飛び出していった。
「や、やめろお前ら! 相手が悪い……!」
先からの戦況を目の当たりにしてきたメタルバードは、マカとリナリー二人の力量では到底黒い鎧武者に対抗できまいと判断し、二人を制止する。が、マカとリナリーは鎧武者に攻撃しようと眼前まで迫った瞬間、鎧武者は一瞬で姿を消してしまった。
「!?」「ど、どこっ?」
目の前から一瞬で消えた鎧武者に動揺するリナリーとマカ。すると次の瞬間、消えたと思われた鎧武者は二人の死角に現れ、不気味な妖光を放つ長刀で斬り付けた。
「うわぁ!」「きゃあっ」
凄まじい斬撃で弾かれてしまい、地べたに這いずってしまうマカとリナリー。
「大丈夫か!」
二人の安否を気にしてメタルバードが急ぎ彼女達の許へと駆け寄ると、二人の身体には一筋の蒼痣が色濃く浮かび上がっていた。これにメタルバードは、鎧武者が敢えて二人を斬らず峰打ちで叩き付けたのだと判別できた。
「お、お前ら! 一旦退くぞッ。相手が何者か解らないのに戦うのは、余りにも分が悪い!!」
メタルバードの判断で、多くの隊士が退避するのを快く思わない中、メタルバードの判断通りに正体不明の強敵相手にこれ以上の接戦は危険と認識して退く事を受け入れた。
「走れッ! またいつ襲ってくるか分からないぞ!」
大将は黒い鎧武者が新世代型たちに激しい憎悪を向けている事から彼らの安否を何よりも優先し、新世代型たちの誘導を最優先に行った。
しかし黒き鎧武者は一行を追う様に、ゆっくりと摺り足で移動し始めたのだ。
「追ってくる気か」
黒い鎧武者が自分達を追ってくるのを視認した赤塚組のアツシは、小銃を向けて鎧武者を狙撃しようとする。そして引き金を引いて銃弾を発射するが、鎧武者はまるで弾道を把握しているかのようにスッと顔を横にずらして直撃を回避してみた。
「ば、バカな!」
意図も簡単に銃弾を回避した鎧武者に驚愕したアツシは、今度は連射で交戦しようと引き金を引きっ放しで銃弾を連射した。
「おらおらおらおらッ」
果敢に連射していくアツシ。しかし連射される銃弾を浴びる直前、鎧武者の姿が再び消えたのだ。
「な、なにっ?」
姿が消えた鎧武者に戸惑うアツシ。すると彼が戸惑っていたその時、突如として鎧武者が彼の真横に出現したのだ。
「う、うわっ!」
突然自分の間近に姿を現した鎧武者に驚くアツシ。だがその瞬間、鎧武者は左腰に携えている鞘から長刀を逆手で抜刀し、一瞬の内にアツシに斬りかかった。
「わあ!」「アツシ!」
吹き飛ばされて後方に転倒するアツシを見て、大将とアツシの妻であるアケミが一驚する。
しかしアツシは無事だった。斬られたのは彼が所持していた小銃であり、アツシは後方に尻餅の要領で転倒して大事無かった。が、斬り付けられた鋼鉄の小銃は真っ二つに切断され、完全に使用不能と相成った。
謎の黒い鎧武者による進撃を防ぎ切れないと判断したメタルバードは、急ぎアニメタウン本部へと通信を入れた。
「此方メタルバード! 此方メタルバード率いるタイの在中軍だ! 本部、応答してくれッ」
メタルバードの切羽詰った呼びかけに、本部の通信司令部に待機している通信士のレイが応答した。
「此方本部、総長どうされましたか?」
「現在、謎の敵と交戦中! お、俺達の装備も技も能力も効かないんだ!」
「そ、それはまた、どういった相手ですか!?」
「分からん! 全身、黒い和製の鎧に甲冑を纏っていて、顔も黒い面で覆い隠している奴だ! しかも異様に長い日本刀を使って巧みに攻撃してきやがる!」
このメタルバードから伝え聞いた敵の情報に、通信士レイの声色が変わった。
「っ……まさか……!」「?……どうした、レイ」
声色が一変したレイの様子に気付いたメタルバードが問い返すと、レイは重い口調でメタルバードに訊ねた。
「……総長、その敵は前立てなどの目立った飾りが一切無い漆黒の和製の鎧と甲冑、さらに同色で無表情の面を顔に装着した武人で、長さ約100cmはあると思われる日本刀を扱う鎧武者なのでは?」
「! そ、そうだ! そいつだ! レイ、何か奴について情報を得ているのか!?」
敵の特徴を詳細に知っているレイの発言に、メタルバードが問い質すとレイは変わらぬ重い口調で入手している情報を伝えた。
「この現政奉還、その煽りを受けて混乱している国々や異世界に度々出没しては破壊行為を繰り返している、国連も一目置く要注意人物です!」
「誰なんだよ、そいつは……!」
「国籍、年齢、さらには人種も性別も不明ですが、その外見からこう名称されています………………
「黒武士……!!」
無線でメタルバードとレイの話を聞いていた聖龍隊隊士、そして彼らの無線を傍らで聞いていた赤塚組、そして赤塚組の思想を共有感知で感じ取ってしまった新世代型二次元人たちは黒武士の名を聞いて愕然とした。
一方で黒武士と世間から呼ばれる
「くっ、来るぞ……!」
一歩一歩着実に摺り足で迫ってくる黒武士に驚異を覚える赤塚組のテツは、ライフル銃を構えて臨戦体勢に入る。
すると黒武士は摺り足を止め、その場で左手で足元の石を掴むと再び起き上がり、不意に左手の石粒を豪速で投げ付けた。
「う、うわッ!」
ライフルを構えてたテツは、自身が構えているライフルに石粒が投げ付けられた事で動揺してしまうが、それ以上に彼を驚愕させたのは投げ付けられた石礫がライフルの銃口に直撃した事でピッタリと塞がれてしまい、発砲ができなくされていた。
「なんて奴だ……!
石礫を投げ付けただけで銃器を使い物にならなくした黒武士の荒業に愕然となる大将。
そして再び前進し出す黒武士に皆が脅威を感じ始めたその時、HEADの男性隊士らが名乗りを上げた。
「みんなは走るんだ! 此処は俺たちで喰い止める!」
そういって聖龍HEADのキング・エンディミオンを筆頭にディープ・ブルーと堂本海斗の三名は新世代型たちを逃がす為に黒武士へと駆け寄った。
「まもちゃん!」「青山くん!」「海斗!」
黒武士に真っ向から勝負を挑もうとする三人に、彼らを愛するセーラームーン/ミュウイチゴ/七海るちあは名を叫ぶ。
そしてエンディミオンと蒼の騎士、そして堂本海斗の三人は黒武士の周りを囲み、いつ如何なる状況にも対処できるように対陣を組んだ。
その状景を目の当たりにしたセーラームーンは、愛するエンディミオンの事を信用して新世代型たちに呼び掛けた。
「さあ、今のうちよ! 少しでも、あの黒武士から離れないとっ」
セーラームーンの発言に、彼女と同じ心境のミュウイチゴとるちあも新世代型たちに言う。
「セーラームーンの言う通りよ、みんな!」「早く、ここから離れましょう」
ミュウイチゴと七海るちあの提言通り、新世代型たちは足を動かし始めて移動する。
その間、エンディミオンを筆頭にディープ・ブルーと海斗の三名は交互に黒武士へと斬りかかって行った。
「このッ」
最初のエンディミオンの一撃を、黒武士は長刀を頭上に構えて上からの斬撃を防ぐ。すると其処に今度はディープ・ブルーが剣を水平に構えて切っ先を黒武士に突き刺そうと突撃する。が、黒武士は最初に攻撃を仕掛けてきたエンディミオンを足で蹴飛ばして彼との距離を遠ざけるとディープ・ブルーの突進をかわして彼の首後ろを長刀の峰で打ち付け跪かせる。すると最後に海斗が高々と跳び上がり、上方から黒武士の頭に鋭利な剣で叩っ斬ろうと向かってきた。が、黒武士は抜いていた刀を鞘に戻すと、それを目にも止まらぬ速さで抜刀して跳びかかって来た堂本海斗を弾き返してしまった。
「うわッ」
エンディミオン、ディープ・ブルーに続いて堂本海斗すら返り討ちにしてしまった黒武士は己の許から去っていった一行を追う為に、俊足で駆け出した。
4人が対峙していた場から少し離れた所では、未だ足を休めず駆け続けていた一行が後方より迫ってくる黒武士の存在に気付いた。
「うわ! もう追ってきた!」
「し、しかも……摺り足じゃなく、あんなにも俊敏に……!」
目視できる範囲まで迫ってきた黒武士に一驚する新世代型の毛利十四郎に、先ほどまでの摺り足とは打って変わって忍者の如き俊足で追いかけて来る黒武士に蒼褪める真田幸介。
しかし黒武士は、先立って退避していった面々を視認できる距離まで駆け付けると、自然と足の速さを緩めて再び摺り足で迫ってきた。
「ど、どういう事だ……?」
「俺達を捉えられる範囲なら、わざわざ走らなくても良いって事か」
黒武士の行動に困惑を覚える聖龍隊の新人キリトに反し、自分達を識別できる距離まで接近すれば走行する必要は無いと黒武士は判断していると察するメタルバードは憤りの表情を顔に浮かべる。
しかも黒武士は、異様な長さの日本刀をわざわざ鞘に納めて、柄を握り締めたまま影のように静かに足を前へと進ませる。
「こうなったら、生身の人間に使うのは抵抗あるけど……全員! 特殊能力で黒武士を攻撃!」
不気味なほど静かな摺り足で接近してくる黒武士に対し、ジュピターキッドは黒武士が生身の人間であると仮定した状態で特殊能力による攻撃を皆に指示。
まずは灼熱の業火で黒武士に炎を浴びせていく。が、黒武士は己の全身が火達磨になりながらも平然と立ち続け、しかも刀を一振りしただけで強力な大火を易々と振り払ってみせた。
「な……なんて奴だ!」
業火を浴びせた隊士の一人ナツ・ドラニグルは自分達の炎を簡単に振り払って見せる黒武士の業に愕然としてしまう。
炎がダメならと続けて足止めの効果で氷系の能力を黒武士に向けて放つ聖龍隊。凍て付く氷は黒武士の足元から彼の体を凍て付かせ、身動きが取れなくなるまでに至る。しかしこれも黒武士は全身から禍々しいオーラを一気に放出させる事で、自身に張り付いた氷を全て吹き飛ばし難を逃れる。
「こうなったら電撃で一気に片を付けるよ!」
炎・氷と続けて効果が見られない戦況で聖龍HEADのセーラージュピターが筆頭となり、黒武士に向けて強力な電撃を一気に発射。電撃は黒武士の全身を襲い感電させられたと思われた。
「やった!」
電撃を浴びせた事で感電し、効果が見られると期待するセーラージュピター。だが黒武士の全身に帯電してた電気は全て、彼が持つ長刀へと集まり、黒武士は刀に自分を襲った電撃が全て集結したのを見計らうと、一気に刀を振り下ろして巨大な電撃の弾を前方へと放った。
「う、撃ち返した!?」
己の体に帯電した電撃を刀に集めた後に、それを一気に弾として撃ち返す黒武士の反撃に戸惑う大将たち。そして全員、撃ち返された電撃の弾を回避するために右に左にへと散り散りになってしまう。
「うわぁ!」
危うく電撃の弾を受けそうになる直枝理樹ら新世代型たち。だが、彼らが地べたに伏せていたその時、そんな新世代型たちの前に黒武士が瞬時に移動してきては怪しく光る長刀を振り上げ、断頭しようとしていた。
「う、うわあっ!」
刀が振り下ろされた瞬間、もうダメかと絶望視する直枝理樹。だが其処に颯爽とルーキーズの日ノ原革と門脇将人の二人が間に入って黒武士の一撃を阻止する。
「この……ッ」「ふ、二人がかりなら何とか……」
二人がかりなら黒武士と対等に渡り合えると思い込んでいる革と将人の二人。だが二人が同時に己の得物で押さえ付ける黒武士の刃は、革と将人の獲物を弾いて二人から遠ざかる。
「ッ!」「ッ」
弾かれて体勢を著しく崩した革と将人の二人に、黒武士は抜刀術による居合斬りで両者の腹部を深く斬り付けた。
「うわッ」
腹部を斬り付けられ激しく転倒する二人に、先ほど窮地を護ってもらった直枝理樹ら新世代型たちが声をかける。
「だ、大丈夫ですか!?」
黒武士に斬り付けられた革と将人の二人を心配そうに見詰める理樹。だが二人の傷は深く、大量の血が腹部の切り傷から流れ出ていた。
「い、急いで二人を此処から離れさせるぞッ」
理樹と共に駆け付けた
一方、革と将人に深手を与えた黒武士に聖龍隊の仲間達は衝動が抑えられず、果敢に黒武士へと猛攻を仕掛けていく。
しかし黒武士は巧みに攻撃を回避しつつ、攻撃範囲の広い長刀を扱い周囲の聖龍隊を悉く切り倒していってしまう。
「も……もう我慢ならん! 我々も加勢するぞ!」
黒武士と聖龍隊の激闘を傍観していた新世代型二次元人の
これには皐月のライバルである纏流子も同意し、更に自身の血を結晶化させて刃として奮える栗山未来も黒武士に攻撃を仕掛け始める。
だが、彼女達の加勢も空しく、黒武士の猛攻は止まらない一方であった。
黒武士が扱う100cmはあろうかという長刀は攻撃範囲も広く、容易に近付けばたちどころに斬り付けられてしまい、また長刀を縦に構える事であらゆる角度の攻撃にも対応し防ぐ事ができるのだった。
と、そこに先ほど黒武士に痛め付けられた三人、エンディミオンと蒼の騎士そして堂本海斗が戻ってきて、黒武士と戦闘を展開する面々に加勢する。
しかし黒武士が扱う怪しげな漆黒の長刀は如何なる攻撃にも対応でき、それを扱う黒武士の腕前も一級の代物であった。
「くッ……攻撃が全く通らない」
折紙付きの腕前ともいえる長刀を巧みに扱う黒武士に苦戦を強いられるエルザ・スカーレットら聖龍隊の隊士たち。
一向に傷を負わせられない黒武士の猛攻に成す術が無くなった一行は、次第に状況的にも追い詰められていた。
「くそっ、どうしたら……!」
自分達の銃火器はもちろん、聖龍隊の特殊能力による技すらも受け付けない黒武士が摺り足で徐々に距離を詰めてくる光景を前に、大将はもちろん誰もが言い知れぬ静かな恐怖に苛まれていた。
だが、そんな絶体絶命の状況で大将はある物が目に飛び込んできた事で一つの策を思い付く。
「! そうか……!」
大将は徐に装備していた貫通力のあるライフル銃を構えて、銃身を次第に近付いてくる黒武士に向けた。
「た、大将!」
「大将さん! 相手は私達の能力も効かない相手なんですよ? 銃でどうやって倒す気なんですか」
銃器が全く効力を示さない戦況を嫌というほど確認してきたミラーガールと七海るちあに問われる大将。だが彼はそれでも銃を下ろす事はなく、機会が来るのをひたすら待っていた。
そして黒武士が摺り足で接近し、言い知れぬ静寂という恐怖で迫ってくる次の瞬間。大将は引き金を引いた。
しかし大将が撃った銃弾は黒武士の真横を通過し、直弾する事はなかった。だが黒武士の横を通過した弾丸は、その黒武士の側に乗り捨てられていたタンクローリーに直撃し、しかも銃弾は威力の高さから分厚いタンクローリーの装甲を貫通して内部に蓄積されてたガソリンが漏れ出した。
ガソリンがタンクローリーから漏れたのを確認した大将は躊躇わず2発目の弾丸を装填して迷わず第二射を発射。弾丸は最初の狙撃で漏れたガソリンに直撃して炎上、その炎は巡り巡ってタンクローリー内の大量のガソリンに引火した。
次の瞬間「うわあ!」タンクローリーは大爆発を引き起こし、その爆風に狙撃した大将はもちろん多くの者が怯んでしまう。
だが皆よりも、タンクローリーの真横にいた黒武士に爆発の炎と衝撃が直撃し、爆炎の中に呑み込まれてしまった。
「や、やったか……」
ライフル銃で燃料が詰まったタンクローリーを狙撃して、わざと爆発を引き起こす事で黒武士に大打撃を与えようと講じた大将は自分の策が上手くいったのか確認しようと立ち上がる。
やがて舞い上がった爆炎は次第に落ち着き始め、燃え上がる炎の中から黒い塊が確認され始める。
誰もが黒武士を倒したと思ったその時、炎の中で跪いていた黒武士が何事も無かったかのようにスッと立ち上がり、再び気力の無い眼で一行を見詰めた。
「ま、まだ生きてやがる!」
タンクローリーの大爆発に巻き込まれても、まだ存命している黒武士に愕然とする大将と一同。最早誰もが逃げる事も侭ならず、全員が黒武士によって完膚なきまでに切り倒されてしまうのを覚悟していた。
まさにその時。
「………………………………………………………………」
黒武士は彼らを、特に新世代型二次元人に異様なまでの無気力で死んだ魚の様な眼で睨み付けた瞬間、その黒武士の全身から黒い靄みたいなのが現れ、黒武士を包み込んでしまった。
そして黒い靄に包み込まれた黒武士は、その靄と共に跡形も無く姿を消してしまったのである。
「き、消えた……!」
またしても、何処からか奇襲してくるのかと疑心暗鬼に陥る一同は辺りを隈なく見回るが、何処にも黒武士の姿は確認されなかった。
「さ……去ったのか?」
姿が確認されなくなった黒武士が、ようやく去ったのかと思い始める神田ユウ。
「アイツは一体……何だったんだ」
しかし黒武士の姿が消えて安堵する皆々とは異なり、メタルバードを始めとする聖龍HEADは突如として姿を現し襲ってきた黒武士に異様なまでの感情を覚えていた。
すると更にその時、聖龍隊は無線を傍受した。
「此方バーンズ、どうにか黒武士から逃れられた……」
メタルバードは本部に自分達が黒武士から命辛々逃れられた経緯を伝えようとするが、通信士のレイは切羽詰った声色で訴えかけて来た。
「総長、大変です!」「っ、ど、どうした?」
突然のレイの大声に驚いてしまうメタルバードが問い返すと、レイは事の次第をメタルバードたち現場の皆々に無線で伝えた。
「国連からの緊急伝達です! 皆さんが今いる都市に滅菌作戦が施行される事が決定しました! あと30分後に、都市はミサイルで跡形も無く消滅します!!」
「な、何だってーーーーッ!!?」「!!」
ウイルスに侵された都市を放置しておく訳にも行かず、国連はバイオハザードが起こったタイ都市部に対して滅菌作戦と称してミサイルを撃ち込む事実を突き付けられ、メタルバードもその他の一同も驚倒してしまう。
[脱出]
黒武士を撃退させたのも束の間、今度は国連の決定事項でウイルスに侵されたタイの都市部をミサイルで完全に消滅させる滅菌作戦が実行に移される事となった現状。
聖龍隊と赤塚組は、急ぎ都市部からの脱出を図り始める。脱出が間に合わなければ、都市と運命を共にしてしまうからだ。
「急げ! 急いで乗り込むんだ!」
国連より都市部へのミサイル攻撃が決定された事を告げられた聖龍隊は、すぐさま現場の都市部に脱出用の軍事車両を多数派遣させていた。
聖龍隊は駆け付けた軍事車両に続々と保護した新世代型二次元人を中心に乗り込ませ、同時に各車両ごとに隊士も何名が同席させて万が一の対応も取れるように配慮した。
そして車両が満杯になるまで乗り込むと、即座に車を発進させる。
「行け行け! 次の車!」
指揮を執るメタルバードは車両が満杯になると、すぐにその車を発進させて次の車両に乗り込ませていく。
そして最後の車両には自らも乗り込み、全員が軍事車両に乗り込むと車は一列に並んで走行を始めた。
決していい乗り心地ではなく、車両はトラックの様な造りになっていて荷台であるスペースに強引に人を押し詰めた状態で車は走り続ける。
その後トラックは難なく走行し、皆はこれでようやく危険な想いの連続であった都市から脱出できるのかと安堵していた。
まさにその時。突如として温和な空気を切り裂く奇声が荷台に乗り込んでいる皆の耳に飛び込んできた。
「ギエエエエェェェ……ッ」「……な、なんだ? この変な声は」
突如として聞こえてきた謎の奇声に目を丸くして戸惑う大将。
すると声の元を探そうと、皆が荷台の中から外を覗いてみると車両が走行する道路の端に並ぶ民家の屋根伝いにトンでもない異形の姿が見受けられた。
「な、なんだアレは!?」
余りにも異形の姿と、民家の屋根から屋根へ俊敏に移動していく姿を目の当たりにした新世代型のイオリ・タケシは絶句してしまう。
道路沿いの民家、その屋根伝いに俊敏な動作で道路を走行する軍事車両を追いかけてくるその異形は……獅子や虎を思わせるような大型の猫科動物の形状に酷似している白骨で形成されたような怪物であった。
「な、なにアレ……? あの顔、まさか……!」
この時、新世代型の琴浦春香は怪物の背中に浮かび上がった人の顔面らしき顔立ちを見て我が目を疑った。それは何と、自分と同じ新世代型の田所迅と同じ顔だったのだ。
「な、なんであの怪物の背中にオッサンの顔があるんや!?」
何ゆえ怪物の背面に田所迅の顔があるのか理解に苦しむ鳴子章吉。
すると田所迅の顔を背面に持つ怪物の他にも、同形の怪物が続々と駆け付けて道路沿いの民家屋根に出没し出した。
「あ、あれ俺の顔じゃないか!」「俺のもあるぞ……!」
田所迅同様、他個体の怪物の背面に自分達の顔が浮かび上がっているのを目撃した新世代型の
改めて確認すると、
「どういう事だ、あの怪物どもは……!」
一部の新世代型二次元人の顔面を背面に持つ怪物に大将を始め多くの者達が困惑していると、道路沿いの民家屋根を移動して追ってきている怪物達に変化が表れた。
なんと上半身のみを人型にすると背面の顔その頭部を花弁状に変形し、首も茎のように伸ばした半身半獣のケンタウロスの様な容姿へと変貌した。
すると体型を著しく変形した怪物たちは、体内で生成した骨をガトリングガンの様に連射して、道路を走行する軍用車を銃撃してきた。
「うわっ!」襲撃され、車内は慌しくなる中、更に今度は頭部を槍の様に変形させて車体を突き刺して攻撃してきた。
「わっ!」自分達がいる荷台の布張りの壁に突き刺さる頭部が変形した槍が微かに自身の真横に突き刺さったのを直視して一驚する新世代型の真鍋義久。
その後も怪物たちは骨の破片を連射したり変形させた頭部で車体を突き刺したりと、猛攻を繰り返され車体は激しく揺れ出して困惑する皆々。
ここでメタルバードが御得意の機械化した眼球で襲撃してくる9体の怪物を調べてみた。すると意外な正体が判明した。
「アイツら……! 例の新世代型のクローンだ!」
「何だと!」「!」
メタルバードの発言に大将も当の新世代型達も驚いていると、メタルバードは更に詳細な事実を語り明かした。
「例のクローン、その中でも体格のいいクローンだけがあんな感じに変異しちまったんだ。だから恰幅のいい連中のクローンだけ、あんな大型の猫科みたいになっちまってんだ」
「ま、マジかよ……!」「………………」
度々急襲してきた新世代クローン。その中でも恰幅のいい体躯の個体だけが、建物や屋根そして壁などに張り付いて自在に移動できる俊敏な大型の猫科動物の様な怪物に変異してしまった経緯に、大将も新世代型達も愕然とする。
この状景に多くの者が愕然となる中、メタルバードは各新世代型クローンの個体名称を伝えた。
「以降、大型の猫科動物の様な形態をビースト。そのビーストから派生した変異形態をケンタウロスと補足する! 各自、新世代型クローンを撃破しろ! なに、相手はたったの9体、今までに比べたら少ない方だぜ」
猫科動物の形態をビーストとし、そのビーストからなる形態をケンタウロスと補足したメタルバードは、それらの新世代型クローンを各個撃破するように命じた。
するとメタルバードの指示を聞いてケンタウロスに車内から銃撃を展開する聖龍隊に赤塚組。だがケンタウロス状態の新世代型クローンも反撃を開始し、ビーストの時よりも遥かに奇怪になった声を発しながら体内で生成した骨を連射して応戦してきた。
「隠れてろッ」
大将は猛攻に遭う車内の新世代型たちが傷を負わないようにと身を物陰や荷台の隅に追いやり、射出された骨から彼らを護る。一方の新世代型クローンも射出で失われた骨が瞬時に再生されるために連射される骨の弾丸は無限であった。
「反撃開始!」
弾丸の骨の射出が収まった途端、ルーキーズ総部隊長ミラールが隊士達にケンタウロス形態の新世代型クローンへの反撃を指示。巴マミや暁美ほむらが強力な銃撃を新世代型クローンに向けて発砲していくが、新世代型クローンは俊敏な動きで意図も容易にかわしてしまう。
「ギキュアァアアア……」
奇怪な声を発しながら道路沿いの民家の屋根を高速で移動して追尾してくる新世代型クローンの群れに反撃していく聖龍隊士と赤塚組幹部衆。
此処で新世代型クローンと交戦し易くする為に、メタルバードが射撃を得意とする隊士達に言った。
「難しいかもしれんが、屋根の上に上がって交戦するんだ!」
なんと軍用車の荷台その布張りの屋根に上がって交戦せよと命じたのだ。壁や屋根を安易な布張りで構成させた軍用車の荷台上に上がるのは容易な事ではないが、広い景観を一望しにくい車内から交戦するよりは戦況が有利だと判断した隊士の一部は各々が軍用車の布製の屋根上に跳び上がり、追撃してくる新世代型クローンとの交戦を再開させる。
その一方で赤塚組の主立った幹部の面々は、ケンタウロス形態から射出された骨の弾丸で破れた布の裂け目から銃器の銃身を突出させて新世代型クローンとの交戦を図る。
「何としても近付けさせるな!」
先頭車両の屋根に逸早く上がったメタルバードは、自身と同じく屋根に上がった隊士ら応戦する構えを示す面々に新世代型クローンが自分達が搭乗する車体に接近させないように応戦せよと指揮を執る。
そしてメタルバードの電撃砲による攻撃を皮切りに、一行は高速で走行する車上から新世代型クローンへと攻撃を仕掛けていく。
「全員、聞いてくれ! 前に戦った新世代型クローンの個体同様、コイツらの弱点でもある心臓なんかの臓器は人面の裏側にある! 要するにビーストの時には背中に浮かび上がった顔面を攻撃すればいい!」
「バーンズ! そんじゃケンタウロスって形態の時は!?」
ビースト形態の新世代型クローンの弱点を伝えるメタルバードに、ケンタウロス形態の時の弱点を最後尾の車体屋根に跳び上がる大将が訊くとメタルバードはそれにも答えた。
「ケンタウロスの時は、伸びた首の真ん中に見える肺が弱点だ! 高速で移動してるから狙い難いだろうが、頑張って撃退するんだ! 此処で足止めされてちゃ、コイツら諸共ミサイルで俺たちゃ終いだ!!」
首の真ん中にある肺が弱点と伝えると同時に、急いで撃退しなければ後々都市部に撃ち込まれるミサイルで新世代型クローン共々消滅してしまう緊急も伝えるメタルバード。
激しい銃撃戦が展開される中、やはり高速で移動する車体屋根からの攻撃に加え、俊敏な動きで自在に立ち位置を変えられる新世代クローンへの直撃は困難を来たした。
時に新世代クローンは、最も移動に適したビーストの状態にも戻る事があれば、逆手に攻撃にも対応できるケンタウロスに自由自在に変形して攻め続ける。更に俊敏な動きだけでなく怪力までも有しており、目に付いた障害物を難なく伸ばした首で器用に弾き飛ばす要領で走行する車体の上に上がる隊士目掛けて物体を投げ飛ばしても来た。
「くッそ! こっちの攻撃が全然思ったとおりに当たらねぇ……!」
無理して車上に上がった大将は強力なライフル銃で追尾してくる新世代型クローンの肺を狙おうとするが、不規則に動く不安定な車上からの狙撃に加えて前へ右へと自在に動いて銃撃を回避する新世代型クローンの戦況にかなり苛立っていた。
大将と同じく新世代型クローンに、車内から銃身を突出させて銃弾を新世代型クローンに浴びせていく赤塚組幹部も、必死に狙撃しようと懸命に銃を撃ち続ける。
業を煮やしたメタルバードは、車内や車上に仲間を置いて自前の翼で飛び上がってしまう。
「こうなりゃ空から狙撃してやる! ちせ、それにミズキ! お前らも応援に来てくれっ」
急いで片付けなければならない敵の撃破にメタルバードは遂に上空からの狙撃に転ずる。その狙撃には、仲間であり過去に戦争の最終兵器として改造されたちせと赤塚組のミズキを応援に駆け付けさせる。
メタルバードの指示を聞いて、ちせとミズキの両名も上空に飛び上がり頭上から新世代型クローンの狙撃を試みる。
「頭上からなら、いくらなんでも簡単には避け切れねぇ筈……撃て!」
掛け声と共にちせとミズキ共々、右腕の砲口から電撃を発射して新世代型クローンを狙い撃つメタルバード。すると彼ら三人が狙撃した
「よし、この調子で他の個体も…………っ! や、ヤバイ」
頭上からの狙撃に成功したメタルバードだったが、何かに気付いた。
「お前ら! この次の道は急なカーブだ! 全員、急カーブに備えろッ」
メタルバードの大声に先頭車両の運転手である浜崎雅弘も目を凝らしてみると、確かに前方は急なカーブになっていた。
「捕まってて!」
浜崎雅弘は、恋人でもある聖龍HEADの洞院リナだけでなく車内全員に呼び掛けた直後、一気にハンドルを回してカーブを曲がり切る。その一方で車内の面々は様々な所に捕まり、屋根に上がった隊士は体勢を低くして急カーブに対応した。
先頭車両と同様に急カーブを曲がり切っていく聖龍隊の軍用車両の列。だが、後続の車両に頑として追撃してくる新世代型クローンの猛攻は収まらなかった。
「うわあっ」
「側面をガード! もう、なんてこういう時に限って鉄じゃなく布の車なんか来ちゃう訳!?」
薄くて非常に脆い布製の側面を打ち破って車内にまで貫通してくる骨の弾丸に脅える新世代型達。それに対してミラーガールは自身のミラー・バリアーで車内の安全を確保しつつ同じ車内や別の車両の仲間達にも布張りの側面を防御するよう指示するが、運悪く派遣されたのが鋼鉄製の車両でなく安上がりな布製の側面で構成された荷台車に思わず文句を溢してしまう。
その頃、走行する車の屋根ではセーラージュピターと巴マミが磯谷ゲンドウの新世代型クローンと攻防を展開していた。懸命に電撃と銃撃で応戦する二人の乙女だが、此処で磯谷ゲンドウの新世代クローンが槍のように変形させた頭部で自身に攻撃してくる巴マミの顔を狙ってきた。
「!」
マミも自身の顔に槍が突き刺さろうとしているのに気付くが、応戦に気を取られていたため気付くのが一瞬ばかし遅かった。そして変形した槍状の頭部が巴マミの顔に直撃せんとしたその瞬間「ッ!」「! ……じゅ、ジュピター……!」間一髪、セーラージュピターが持ち前の怪力で差し向けられた槍状の頭部を両腕で抱え込むように捕まえてマミの危機を救う。これにはマミ本人も唖然とするばかり。そんなマミにジュピターが懸命に向けられた頭部を怪力で抱え込んだまま言った。
「な、何してるの……! 前にも言ったけど、誰かを護るには先ず自分自身を護れなきゃ意味が無いって……ほ、ほら、早く撃って」
そういうとセーラージュピターは脇に抱え込んでいた槍状の頭部を投げ返し、攻撃してきた磯谷ゲンドウの新世代クローンの体勢を崩した。その瞬間、ジュピターに言われて気を取り戻した巴マミが体勢を崩した磯谷ゲンドウの新世代型クローンの首に見受けられる肺を狙撃。肺があった箇所は大穴が空き、撃ち抜かれた磯谷ゲンドウの新世代クローンは失速してそのまま姿が見えなくなった。
セーラージュピターと巴マミの共闘により磯谷ゲンドウのクローン一体を撃破した一方で、上空より狙撃していたメタルバード達が新たな危機を叫ぶ。
「っ、みんな! 屋根のみんな、前!」
ちせの叫び声に車体屋根にいた面々が前を向いた。すると前方にはよく公道で見受けられる道案内を示した鉄製の看板が立ちはだかっていたのだ。
「伏せろッ!」
屋根に上がり、新世代型クローンに銃撃してたデス・ザ・キッドが呼び声を発すると前列の方の車体に上がってた面子が瞬時に寝そべって回避する。だが後方の車体に上がって応戦してた高町なのはは反応が遅れ、看板が一歩手前まで迫って来てしまってた。このままでは彼女の体は鉄製の看板に弾かれ、重症を負うどころか車上から落下してしまうのは目に見えていた。
するとその時である。「うおりゃっ」威勢のいい掛け声と共に、真っ赤に燃え盛る船の碇に似た形状の突起物が高町なのはに迫る看板を引っ掛けて、そのまま強引に看板を引っ張り剥がしてなのはの窮地を救ってしまう。
碇の突起物で看板を引き剥がし、なのはの危機を救ったのは彼女の後続車である最後尾の車両の屋根に飛び乗っていた赤塚組頭領 赤塚大作である。彼は対ゾンビ戦などで使用していた銃器以外にも、常に是中に背負っている破槍という巨大な碇状の突起物が鎖で繋がっている武器で看板を釣り上げてみせたのだった。
そして破槍で看板を引き剥がした大将は、そのまま看板を破槍の碇に引っ掛けたまま豪快に振り回し、勢いのまま看板を遠くへ投げ飛ばしてみせた。すると大将の狙い通りであったのか、破槍で投げ飛ばされた看板は執拗に追尾してくる蟇郡苛の新世代型クローンに直撃して失速させられた。
「よっしゃッ」
振り回した看板がクローンに直撃したのを目視した大将は思わずガッツポーズをしてしまう。
同じ頃、残っている堂島銀/ゴンダ・モンタ/田所迅の新世代型クローンの撃破が完了していた。
「よし! これで、ほとんどいなくなったわね」
車内から撃破されて失速した事で三体のクローンが視認できなくなったのを見届けたミスティーハニーが呟いた次の瞬間、「うわっ!」突如として車体が激しく揺れた。
更に車体その側面を覆う布に巨大な槍に変形した頭部が突っ込んできて、車内は混乱した。
「これは……!」
マン・ヒールズの本郷唯が急いで車外を確認すると、車体の真横に急接近した燃堂力の新世代型クローンが槍のように変形させた頭部で攻撃していたのが確認できた。
「グアアッ、ギュアアァアアア……ッ」
燃堂力に似た奇声で迫る新世代型クローンに車内にいた誰もが、特に本物の燃堂力は迫る異形の怪物が自分に酷似しているという現状からも並々ならぬ異質な恐怖を覚えていた。
すると車内に待機していたマン・ヒールズの月詠イクトが軍用車両に配備されていた対戦車ライフルの銃口を、車体の真横に迫る燃堂力のクローンに向ける。
「とっとと、くたばりやがれ……っ」
イクトはそう言うと引き金を躊躇わず引き、強力な一撃を燃堂力の新世代型クローン直射させた。
「グオッ」「っ!!」
強力な対戦車ライフルの一発で燃堂力のクローンは風穴が開いて吹き飛び、その衝撃と反動で撃ったイクト本人は後方へ吹っ飛んでしまう。
「イクト!」「大丈夫か?」
仲間のプラスとジェラール・フェルナンデスが吹っ飛んだイクトを心配して駆け寄る。
その一方で対戦車ライフルで肉体に大穴が空いた燃堂力の新世代型クローンは、一体路上で横たわっていた。
「こ、これで全部片付いたんだよな!?」
「ああ、もう確認できる個体は見当たらない。みんなご苦労だったな」
無線で全ての敵を撃破したか確認する大将に、メタルバードは労いの言葉をかけつつ返答した。
かくして驚異の新世代型クローンとの戦いは、これにて全て幕を下ろした。
[新展開]
執拗に追撃してくる新世代型クローンとの攻防の果てに、ようやく全ての個体を撃破して難を逃れられた一行。
そんな一行の頭上に、一筋の光が煙を上げながら一直線に飛来する。
「……アレか」「ああ、これで都市は……」
頭上を通り過ぎる光を見上げる大将とメタルバード。
その光の正体こそ、被害拡大を恐れた国連がウイルスに侵されたタイの都市を消滅させるために発射した滅菌作戦用の特殊なミサイルであった。
ミサイルはそのまま都市を離れる一行の頭上を飛び去ると、都市に向かって飛来。ちょうど都市の中央付近でミサイルは大爆発を起こし、強力な熱を帯びた爆風が都市を呑みこみ、そして跡形も無く消し飛ばした。
全ての悪夢がミサイルという人間が造り出した兵器で消滅させられて数十分後。
ゴールドマンによって拉致られていた新世代型二次元人を含む、一般の二次元人の身体調査が行われていた。
ウイルス感染の危険が無い新世代型二次元人は元より、既にワクチンを投与しているプロト世代も身体に何らかの異変が起こってないか確認するため現状で出来る検査を行っていた。
各自、採血されるとその血の成分をデータとしてアニメタウン本部に転送し、詳細な調査結果が明らかになるような仕組みであった。
無論、保護した新世代型二次元人やプロト世代に続いて、今度は聖龍隊の隊士や赤塚組の面々も採血による調査が行われる手筈であった。
そんな中、一人早々と検査を終えてその場から立ち去ろうとする若者の姿があった。漆黒の革ジャンにサングラス、スキンヘッドの厳つい強面でハーレーに搭乗しようとするのはあのジェイク・ミューラーであった。
「あ……あの……」「? ……」
ハーレーに跨り、一人早々と立ち去ろうとするジェイクに声をかける少女にジェイク本人も振り返る。
ジェイクに声をかけたのは、施設で遭遇してから何かと奇抜な境遇を持つジェイクを気にかけていた新世代型の琴浦春香であった。
「なんだ、テメェか。どうした? まだ俺になんかあんのか」
ジェイクはムスッとした無愛想な面差しで琴浦に言い返すと、彼女の口からジェイク本人が予想だにしなかった言葉が出てきた。
「あの…………ありがとう、施設にいた時から私達を守ってくれて」
この琴浦春香の言葉にジェイクは一瞬固まったが、すぐに彼女に言い分を述べた。
「ふっ、なに……お前さん達の護送に軽く手を貸してやっただけさ。お陰でいい稼ぎになった」
本人はあくまで聖龍隊から金を取得する為に行った事だと述べるが、そんな恩を着せない言い方をするジェイクに琴浦は更に告げた。
「貴方は確かに、お父さんの事で色々と辛い想いもしてきた……だけどその分、他人に対してとても優しくなれているって私は感じました」
「…………………………」
「……お元気で。ジェイク・ミューラーさん」
ジェイクの苦境をテレパスで理解していた琴浦春香からの台詞を照れ臭そうに聞き受けるジェイクは、最後に彼女を始めとする新世代型達に告げる様に言い残した。
「……別に。ただアンタらも新世代型ってだけでこの先、色々と苦労が絶えないだろうし、俺と同じで苦労続きだろうからって同情してやっただけでもある。それにな……昔、ある女と出会って一つ解った。自分の過去の出生よりも、これからをどう生きるかが大事だって事をな」
「………………」
「……それと、アンタらと俺は少し似ているし特別に許してやるよ。アンタらは俺の事を、そうだな………………ジェイク・ウェスカーって呼んでも構わねぇぜ」
最後にジェイクは、自分が最も忌み嫌う実の父親の姓名で呼んでも構わないと琴浦春香たち新世代型達に言い残し、ハーレーに搭乗するとエンジンを起動させて一気に加速、その場から颯爽と去っていった。
実父によって運命を翻弄されたジェイク・ウェスカー。その彼と奇妙な遭遇と繋がりを得た新世代型二次元人達を聖龍HEADは静かに見守っていた。
その中で参謀総長のジュピターキッドは、スマートフォンであるパットに目を向けてみると其処にはジェイクからのメールが送信されていた。
『今回の戦闘では色々と借りも作っちまった。てな訳で賃金もまけといてやる』と。ジェイクは自分らとの出逢いを悪く思ってないからこそ、今まで金に執着してた彼が賃金を値切るという行為に発展したのだろうと心底感心していた。
しかし数々の危機を脱して、ようやく安全な状況下に至った面子の中で唯一メタルバードだけが不穏な表情を浮かべていた。
彼はビルの最上階でゴールドマンと対峙した時、彼から発せられた台詞を思い返していた。
(私は人類が乱してきた自然を、生態系を取り戻すため……強欲な種を排除し、世界のバランスを取り戻し保持するために私はこの計画に賛同したのだ!)
「……賛同した、か……」
ゴールドマンが言っていた「計画に賛同した」の発言にメタルバードは不穏な予感を抑える事ができなかった。
そして何より
そんな安堵に浸る聖龍隊と赤塚組、そして彼らに保護された新世代型二次元人を気配が悟られないほどの遠距離から静観する一人の
黒武士の存在に誰も気付いてはいなかった。
[今回の登場武将]
国籍、年齢など全てが謎に包まれている黒き
現政奉還の混乱に喘いでいる国々や異世界で破壊行為を繰り返し、猛威を振るい続けている。
如何なる時でも声を発することがなく、それが逆に不気味さを増している。
何故か新世代型二次元人に対して激しい憎悪を抱いている模様。
容姿
漆黒の和製の鎧と甲冑、兜を装備しており、顔には無表情の黒地の面を装着している。
左腰に黒紫の刃文が怪しく光る黒い地金の長刀が納められている鞘を装備しており、100cmの刀身を誇る長刀を巧みに扱う。
背中には鎧越しに黒い布製の鞘袋を常備している。
このシリーズでの重要なキーパーソンの一人。