現政奉還記 B.O.W.編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 今作も、ほぼバイオDSCからの話ですが、各版権からのオリキャラや設定、そして所々オリジナリティも織り込んでおります。どうか楽しんでください。


現政奉還記 B.O.W.編 遭遇する脅威

[chapter:進み続ける先に]

 

 聖龍HEADは達芝(ターチィ)での惨劇の全てを大将たち赤塚組幹部衆に語った。

 大将たちは黙ってHEADの話を聞いた。

 

 だが村の状況は、あの時とは違う。制御されたB.O.Wも村にいたのだ。

 

 何が村に起こったのか?

 HEADと赤塚組は、その謎の鍵を握る男ラッグ・ドウェルと会うため彼が潜伏しているという上流のダムへと上って行った。

 

「……つまり、シモンズってお偉いさんが惚れ抜いたエイダって女を手に入れようと、手頃な自分の部下をエイダって女にしちまった事から達芝なんかの惨劇が起きちまったって事かい?」

「ああ、そう言う事だな……」

 上流へと突き進む軍用船の上で、大将はバーンズに彼らが体験したバイオハザードに対して色々と語り合っていた。

「……タク、いつの世も政治家ってのはマトモじゃねェぜ」

 バーンズ達HEADの話に出てきた大統領補佐官に口元を歪ませ嫌気を表情に出す大将。

 と、HEADと赤塚組幹部集が個々で話し合っている最中、村の教会で保護した少女が目を覚ました。

「…………ッ!」

 目を開け周辺を見渡して驚いている少女に、ジュピターキッドが優しく話し掛けた。

「心配しなくて良いよ、君に危害を加えたりはしない」

 と、キッドが少女を安心させようと話していると「俺達が助けたんだ」と幹部衆のテツが少女に無愛想な表情で話に割り入る。

 少女は徐に包帯を巻いている自身の右腕を押さえ、それを見たキッドが心配する。

「大丈夫?」

 訊ねられた少女は、未だ知り合って間もないHEADや幹部集に脅えては何も答えはしなかった。

 そんな少女に大将が厳つい顔で話し掛けてきた。

「お嬢ちゃんが例の娘って案内人が言っていたラッグの居城から逃げてきた子だな」

 大将に問い掛けられた少女は、下を俯きながら訊ねた。

「村の人達は、どうなったの?」

 少女の問いに幹部衆のミズキが沈鬱な面持ちで答えた。

「……全員、死んだわ」

 それを聞いた少女は心成しか悲しげな表情を浮かべる。

 すると其処にバーンズが少女に問い掛けていく。

「オレ達は今、行方不明となっている人達を追って、彼らの失踪に関与していると思われるラッグを捜している」

 ラッグの名を聞いた途端、顔色を微かに変える少女にバーンズは問い続ける。

「オレ達はラッグと接触して情報を得たい、奴の居城まで道案内してくれないか?」

 バーンズからの願い掛けに少女は気鬱な面持ちで黙って頷いては同意した。

 

 それから一行は川の上流を上っていった。

「あれがラッグの……」

 一行の前に現れたのは、ラッグが麻薬を売買して築き上げた財力で建設した彼個人が所有するダムであった。

「そうよ、あのダムを抜けてきたの」

 ダムを見て少女は自分があそこを通っては逃げてきた事を皆に伝える。

「……にしても、麻薬で儲けた金でダムを造るとは」

「周辺の村々に感謝されたかったんだろ。ラッグに限らず、麻薬王ってのは得た金で地元に様々な施設を増設しては、地元民から感謝されているのが多いらしいし」

 眼前に聳えるダムを前に、ラッグと彼が建設したダムについて語り合う大将とキング・エンディミオン。

 

 

 そして彼らはダムの内部へと侵入するため、保護した少女の案内の下ジャングルを進んでいた。

 と、その時。ジャングルの奥から何やら人の話し声が聞こえてきた。

「……ッ、誰かいる」

 小さい声で皆に言い伝えるバーンズ、それに伴い後方の一同は一丸となって息を潜める。

 そして静かに、ゆっくりと身を潜めつつ物音を極力消して声の方に近づいていく一同。

 

 やがて、ジャングルの垣根を掻き分けた先で彼らが遭遇したのは

 

 

 

 

[遭遇:裏切りの一族]

 

「……おやっ? あなた達は……」

 ジャングルの奥地から聞こえてきた話し声、その主らは黒い衣に身を包んだ6人組の集団であった。

「ッ! お、お前らは……!」

 彼らの姿を見た途端、バーンズはもちろん他の一同も血相を変えて驚いた。

「あ、あなた達は……!」「なぜ、こんな所に……?」

 眼前に姿を現した集団に、セーラーヴィーナスとちせは愕然とする。

 そして目の前の集団に、ミラーガールが驚きの表情で言葉を掛けた。

「何故、あなた達が……黒衣衆(くろこしゅう)がこんなジャングルに居るのよ!?」

 聖龍HEADと赤塚組幹部衆の前に現れたのは、通称 裏切りの一族と自称している黒衣衆という一団であった。

 その黒衣衆の一人、両手に巨大な鎌を持つ白蓮坊(はくれんぼう)がHEADと幹部衆に話し返した。

「それは此方とて同じ心境です。あなた達こそ何故こんなジャングルの奥地に……それも、聖龍隊の最高幹部で在らせられるHEADと赤塚組の幹部達が一緒になって」

 すると白蓮坊に続き、彼の弟である黒蓮坊(こくれんぼう)が右手に鎖に棘鉄球が繋がっている棒状の武器を担ぎながら兄である白蓮坊に話し掛けた。

「兄者、もしかすると……こやつ等もあの男と何らかの形で」

「ん? ああ、なるほど……あなた達も、もしかしてラッグ殿に何か伺いたいのですか?」

「なにッ?」

 弟の黒蓮坊に言われ白蓮坊が問い掛けると、その問い掛けに対し反応するジュピターキッド。

 すると今度は黒衣衆の一人、宙に浮く御輿に胡座を掻き、黒い顔当てと手甲を装着し、全身を包帯で巻いている大闇刑蘭(おおやみぎょうらん)が幹部衆の海野なるの後ろに隠れる少女を指差しながら怪しげな微笑を掛ける。

「フヒヒッ、その女子(おなご)……白き衣に染み付いた血から察するに、よもやラッグの所から逃げ出した童なのか?」

「ッ……なぜ、それを……!」

 大闇の問い掛けに顔色を険しくさせるセーラーマーズ、するとその大闇の横でHEADと幹部集を見据えていたガトリンガーが彼女を始めとする一同の疑問に答える。

「ふふ、俺達の耳にも入っているのよ……ラッグが自分の部下に命じて、地元の村々から少女らを誘拐しているのはな」

「何だって! やはり少女失踪にはラッグが関わっていたというのか……!」

 ガトリンガーの発言にキッドが確信に至っていると、其処にコレクターアイが黒衣衆に厳つい面持ちで問い詰める。

「でも何故あなた達がラッグの許に……まさかまた良からぬ事でも企んでいるんじゃ……!」

「違うわよ。私達もラッグから知りたい情報を得たいだけよ。そう、敢えて言うなら人捜し」

「人捜し……?」

 黒衣衆の一人、欲尼(よくに)がコレクターアイの問い詰めに答え返すと、彼女の言葉に幹部集の山崎貴史が問い返す。するとそれに黒衣衆の損尼(そんに)が憎たらしい眼でHEADと幹部集を睨み付けながら

話し出した。

「最近……ラッグの許に、かつて私達と同じ革命軍士に属していた科学者が接触したという情報が、私達の元に入って来たのよ。それで私達は、その科学者を追って此処まで来たって訳……」

「なに……おい、まさかその科学者……生物兵器とか、そういったモンの開発まで着手しているんじゃないのか?」

「おや、解ります?」

 損尼の話にバーンズが険しい面差しで問い返すと、白蓮坊がバーンズに答え返した。

 バーンズの疑問に答え返した白蓮坊は、更に語り続けた。

「我々は革命軍士崩壊後、ラッグの許に身を寄せた研究員を尋ねて彼の居城に行く所だったんですよ。まぁ、それはあなた方も同じみたいですけどね」

 そんな白蓮坊の話を聞いてミラーガールが正直に此方の事情も話し出してしまう。

「そ、そうなのよ……実は私達もラッグと接触して、彼が関わっているかもしれない新世代型二次元人の失踪について詳しく聞き出そうと……」

「ミラーガール! 黒衣衆にそこまで話さなくても良いわ……忘れたの? 彼らは先の時代からどれだけ悪行を積み重ね、貴女の婚約者である修司君の命をどれだけ狙ってきたか……」

 正直に自分達の事情を話してしまうミラーガールにキューティーハニーは強く言いつける。すると、そんなハニーの言い分に対して白蓮坊が薄気味悪い眼を細めて話し返した。

「ふふふ、随分と言ってくれますね……まぁ、ホントの事ですから仕方ないですが。クク……」

 薄気味悪い微笑をしながら話し返してくる白蓮坊の言動に背筋に微弱な悪寒を感じるHEADと幹部衆。

 

 と、各々が話し合っている現状を前にして黒衣衆でも随一の古株である大闇がHEADと幹部衆に一つの提案を出した。

「主らよ……われ等が目指す者は同じゆえ、此処は一つ共に手に手を取って歩み行くのはどうじゃ? ヒヒッ」

「なッ!」「にッ?」

 大闇の提案を聞いてバーンズと大将は愕然とした。

「ふ……フザケんじゃねェよッ! 誰かてめェらと一緒に……! 忘れちゃいねェだろう、てめェらが起こした先のアジア大戦でどれだけ多くの命が……しかも俺たち赤塚組への仕打ち、俺らが忘れてると思ってんのか……ッ!」

 大将は血相を変えて怒りに満ちた面立ちで、提案を出した大闇を始めとする黒衣衆に怒りの眼差しを向ける。

 と、そんな大将や彼と同様に黒衣衆に因縁を持つ赤塚組幹部衆の面々をミラー・ガールが必死で宥める。

「た、大将! それにみんなもやめてっ。……確かに黒衣衆とは昔から色々と悶着や衝突はあったけど、それはそれ、昔の事で過ぎた事じゃない。私達は今、揉み合っている場合じゃなく、兎にも角にもラッグの所に向かうのが先決なのよ。お願いだから、こんな所で揉めないでっ!」

「…………」

 ミラーガールの必死の説得に大将たち幹部衆は何も言い返せなかった。

 そんな最中、HEADと幹部集の面々に今度は損尼の方から問い質す。

「……で? 私達と一緒にラッグの所に行くの? 行かないの? ……大丈夫、今の私達はあなた達とやり合う気は無いわ。何より、私達の本懐は小田原修司との決着……それも今は昔の物語、もう彼にも、彼の配下であった聖龍隊や親しい赤塚組にも何の興味もないから安心して」

 今の自分達の胸中に敵意は無いと主張する損尼の言葉であったが、HEADと幹部集は彼らに対して多大な警戒の念を消し去る事は無かった。

 しかし、そんな面々とは正反対にミラーガールはこの黒衣衆の言々を快く信じた。

「解ったわ。この先、何かあるか分からない事だし、一緒に行きましょう」

「お、おいアッコ! いくら何でも、そんな……ッ」

 ミラーガールの同意の発言に困惑する大将以下HEADと幹部衆達。だが、そんな困惑する面々を前に、白蓮坊が一つの定論を申し告げた。

「まぁ、あなた達が同行を快く思わないのも重々承知していますよ。だけど我々が目指す所も、あなた達の目的地も一緒なのは事実。それまでは同じ道行きを一緒に進んでいくのは致し方ないですよ」

「ッ…………」

「……くくく、まぁ安心してください。先ほど損尼が仰ったとおり、今の私達はあなた達を取って喰おうとは微塵も思っておりませんので。気長に行きましょう、気長に……くくッ」

 淡々と語る白蓮坊の不敵な言動に如何わしい気配を感じ続けるバーンズ達は、彼ら黒衣衆に只ならぬ警戒心を抱き続ける。

 

「……と、ところで……あなた達はラッグの許に身を寄せた元革命軍士の研究員と会って、どうするつもり?」

 黒衣衆に警戒をしつつ彼らに訊ねるセーラーネプチューン、すると黒衣衆の白蓮坊は不敵で怪しげな笑みを向けて答えた。

「……どうもしませんよ。敢えて言うなら自分巡り……過去にちょっとでも関わった人達と出会って自分を再発見する、いわば自分探しの旅路。その過程で顔を合わそうと思っただけですよ。ふふふ」

『………………』

 不敵で怪しげな笑みを浮かべて語る白蓮坊の言葉に再び背筋に微弱な悪寒を走らせる一同。

 と、そんなジャングルの奥地で出会った黒衣衆を前に彼らを怖がり、単身幹部衆の一人である海野なるの後ろに隠れ続ける白ワンピースの少女に、黒衣衆の黒蓮坊が顔を歩み寄せる。

「…………」

「ふふふ……怖がる事は無い少女よ。我々の得物は今は大人しいもので、むやみやたらに血を欲しがってはいない故、安心するが良い……そう、今は血を求めてはいない。フフフフ……」

 怖がる少女に不敵で不気味な言動を投げ掛ける黒蓮坊、だがそんな脅える少女を自身の後ろに居させながら海野なるが黒蓮坊に反論する。

「やめなさいよっ、怖がってるじゃないの!」

「ふふふふ、いや済まぬ。その少女の脅えた表情が、また何ともいえない面立ちだったので遂見とれてしまってな……ふふふ」

 海野なるから強く反発される黒蓮坊の言論に、兄の白蓮坊は薄気味悪い面構えで物申した。

「ふふ、弟よ。もうそれは止めようではないか……かの、人の恐怖心を煽る鬼神無き今、我々も各々の生き様を改めなければならない。無論、鬼神の如き他人の恐怖を好む傾向も、な」

「ふむ、確かに……兄者の言うとおりだな」

 兄 白蓮坊の言い分に弟の黒蓮坊は心から同意する素振りを見せる。

 

 どちらにしろ、聖龍HEADと赤塚組幹部衆が目指すラッグの居城を同じく目指す黒衣衆は、こうして二組と行動する事と相成ってしまった。

 HEADと幹部衆は黒衣衆に異常なまでの警戒心を抱きつつ、彼らの同行に目を配りながら保護した少女の案内の下、彼女が逃げてきた際に通り抜けたダムの内部に突入するのだった。

 

 

 

 

[水辺と暗闇で待ち受ける異形の者ら]

 

「ここがダムを抜ける水路か」

 HEADと赤塚組幹部衆、更にはジャングルで出くわした黒衣衆はラッグの許へ向かう為、少女の案内の元ダム内部を抜ける水路を通っていた。

 人気の無い静寂だけが支配する水路を進んでいく一行。その時、キッドが少女に話し掛けた。

「そういえば、まだ名前を聞いてなかったね」

 すると少女は余り元気の無い表情でキッドの問いに名乗った。

「コカ」「よろしく、コカ」

 更にキッドは案内をしてくれる少女コカに言う。

「コカ、此処から先は注意深く行動して欲しい」

 キッドに続き幹部衆のテツがコカに話す。

「俺たちに従ってくれ。何より、生きて帰りたかったら俺達から決して離れない事、いいな」

「分かった」

 テツの指示にコカは同意の返事をする。

 

 そして一行が水路を抜けるとダムの放水坑に出た。

「放水坑だ」

 筒状の放水坑の内側で上を見上げつつ、真上に広がる青空に目を奪われているその時だった。

「待て、何か水中にいるぞ」

 バーンズが眼前の貯水に目を向けさせると、ウィルスの影響でピラニアのように歯を発達させた肉食魚が群れを成しながら出現した。

「さっそく来やがったか」

 水辺に現れた肉食魚に臨戦態勢を構える大将たち、そして飛び掛ってくる肉食魚の群集を相手にHEADと幹部衆そして黒衣衆は応戦し始めた。

 次々と肉食魚を撃退していく一行、だが肉食魚の群れと応戦し終わり振り返ると今度は其処に、頭に安全ヘルメットを装着した作業着姿のゾンビが立っていた。

「うあぁ……」

 唸り声を発しながら迫るゾンビに発砲していく幹部衆、そしてゾンビは頭に被っていたヘルメットを弾かれ遂に頭部に直接弾丸を撃ち込まれては水の中に倒れた。

 そんなゾンビとの戦いの最中にも関わらず、水中の肉食魚の群れは一向に納まる気配を見せずに一行に飛び掛ってきた。

「まだまだ来るぞ!」「先に進むぞ、水辺は危険だ」

 叫ぶ大将、そしてバーンズは皆を引き連れて先に進もうとした。が、その時。

「キュルル……」「何の声だ!」

 何処からとも無く聞こえてくる奇怪な鳴き声に立ち止まる一行、そして辺りを見回していると何処からか不気味な容姿の怪物が現れた。

「何だ、あれは!」

 突如現れる奇怪な怪物に驚愕する大将たち。手足は極端に細く、細く尖った頭部、そして筋肉が直接露出している不気味な風貌の怪物は一行の前に立ち塞がると同時に迫ってきた。

「コカ、下がるんだ!」

 キッドは案内してくれている少女コカに後ろへと下がるよう指示を出すと、皆で一丸となって眼前の怪物に攻撃する。

 そして怪物は動かなくなり、水に浮かぶ怪物の死骸を見て大将が呟いた。

「どう見てもダイエットのしすぎだな。うさぎ、るちあの嬢ちゃん、お二人は此処まで痩せようと済んじゃねェぞ」

『ッ』

 大将の発言に立腹するセーラームーンと七海るちあ、だが二人の機嫌が悪くなったその時。

「うああーー……」

 今度は一行の後方からゾンビ達が水の中から這い上がるように出現してきては迫ってくる。

「仕事熱心な連中だな」

 作業着などの仕事着を着用し迫ってくるゾンビらを前に発砲しながら喋る大将。と、そんな大将を始めとする一同にバーンズが告げた。

「相手にするな、先を急ぐぞ」

 バーンズの一言を皮切りに、一行は放水坑の先にあった扉を抜けてはスグに扉を閉場した。

 

 そして扉を抜けた一行に、大将が厳つい顔で断言した。

「ラッグの奴、侵入者を警戒して彼方此方に化け物を配置していやがるんだろう」

 この大将の話を聞いて、HEADの真紅が疑問を感じてはコカに訊ねた。

「コカ、あなたはどうやって此処を抜けてきたの?」

「どういう意味?」

「い、いえ、ただ……」

 自分に疑心を向けられたと感じたのかコカはすかさず真紅に問い返す。そして真紅が返す言葉を心中で探していると、真紅に続き疑問に感じたテツがコカを問い詰めた。

「どうした? 答えられないのか」

 威圧的な感じで言い寄るテツの言動に、コカは静かに答え返した。

「わ、私が抜けてきた時は一匹もいなかったわ」

「だったら良いんだ」

 と、キッドがコカの答えを聞いて返事をすると、一行が先へと進もうとしたその時。

「待って! ……ラッグに会って、どうするの?」

 コカが突然ラッグの事について訊いてきた。コカの質問にまずバーンズが自分達HEADとしての意見を述べる。

「オレ達は、ただ彼から失踪した人達について情報を得たいって思ってはいるが……やはり麻薬を売買しているし、何よりB.O.Wを使っている時点で捕まえないといけない人間には違いないだろうな」

 バーンズに続き、ラッグに接触したと思われる元革命軍士の研究員を尋ねてきた黒衣衆はコカに答える。

「我々と致しましては、彼の元を尋ねたと思われる、かつての同胞について訊きたいだけですので、特別どうこうするとは決まっていませんよ。はい」

 と、黒衣衆までもコカに語る中、大将は険しい顔でコカに話した。

「俺も居なくなった新生代型についてラッグを問い詰めようとは思ってはいるが……やっぱ、あんな化け物を飼い慣らしている野郎は野放しにできない。そうだろ?」

「確かに、そうね……」

 大将たちの言論を聞いて、コカは暗く悲しげな表情で呟いた。

 

 と、一行がコカと話していると「ウガアァ……」と低い唸り声で最前線の面々に襲い付くゾンビ達が出現してきた。

 一行は速攻で出現したゾンビに攻撃し、全てを撃退していった。

「話の続きは後でしよう、さあ行こう」

 幹部衆の山崎貴史が皆に言うと、コカが進路について語ってくれた。

「この先は、まるで迷路よ」

 コカの言うとおり、その先は長い通路が所々曲がり角が点在している上に、あちこちに今にも動き出しそうな血だらけの死体が転がっていた。

「ついてきて」

 そう皆に言うコカは血で赤く染まる下すそが若干破れた白ワンピースの姿で先頭に立ち、一行は彼女の案内の元先へと進む。が、皆が進行していた矢先、コカの目の前で死体が起き上がっては此方に向かってきた。

「きゃあっ」

 悲鳴を上げ思わず後退するコカ、そして起き上がったゾンビらは手を前に突き出しながら喰らい付こうと襲ってきた。

 一同は一斉に攻撃を開始し、迫り来るゾンビらを見事に撃退してみせる。

 眼前のゾンビらを全て倒しきったと思った瞬間、今度は背後からゾンビ達が起き上がっては此方へと向かってきた。

 一行は急ぎ駆け出し、通路の先にあった扉へと駆け込む。扉を抜けた先は少しばかり照明で明るい、上まで続いている階段のフロアであった。

「ここは?」「階段で下りてきたの」

 階段だけの空間にキッドが問うと、コカは此処から下まで下りて逃げてきたと説明する。一行が見上げると、その階段は上三階ほどまで通じていた。

 一行は早速、階段を上って上へと向かおうとしたその矢先「キュルル……」と先ほども耳にした奇怪な鳴き声が聞こえてきたのだ。

「来るぞ!」

 大将が皆に叫び掛ける中、先ほどの異形の細身な怪物が壁から壁へと飛び移っては一同の前に立ち塞がった。

「威勢がいいな!」

 眼前で向かってくる怪物に大将は携帯していたショットガンを連射して撃退する。

 明るい所で怪物を見てみると、怪物の間接部分に頭部、そして鋭く大きな三本の爪に生えた鎖状の触手に至るまで、全て緑色であり、その他の部分は赤い筋肉が直接露出された様な異形の姿形であった。

「大丈夫だ、行こう」

 怪物が息絶えた事を確認した一行は、階段を上り先へと進行する。

 と、皆が階段を駆け上っていると再び「キュルル」という奇怪な鳴き声が聞こえてきた。

「またか!」

 奇怪な鳴き声を聞いて口元を歪ませる大将、そして一行は壁から壁へ飛び伝って来る怪物を振り切ろうと一気に階段を駆け上り、最上階の扉を通る。

 

 

 

 

[群がる怪物たち]

 

 階段先の扉を通り抜け、皆が怪物を振り切ったと思ったその時。

 今度は抜けた先の通路で待ち伏せていたゾンビらが一斉に駆け寄っては襲い掛かってきた。

 一同は慌てながらも果敢に迫ってくるゾンビらを一体一体確実に撃退していく。

 そして再び歩を進めていくと、壁際の扉から突然あの二本足のカエルに酷似してる怪物が、集団で扉をぶち開けては飛び出してきた。

 突然前触れも無く飛び出してきたカエルの怪物に皆は一斉攻撃を仕掛けては倒していく。

「大丈夫?」「うん、大丈夫」

 HEADの洞院リナがコカを気に掛けると、コカはリナの気遣いに小さくも返事を交わす。

 皆は、それぞれ背を合わせながら常に周囲を警戒しながら先に進んでいく。

 そして階段から出た通路をすぐ右折しては、其処から左を曲がった所で扉を抜けようとした時。

「バーンズ!」

 コカが突然バーンズの名を叫ぶと同時に後退し、皆が彼女の指す方に目を向けると其処には巨大なクモが二体も出現したのだ。

 巨大で不気味なクモを前にHEADの女性らは脅えながらも一瞬で眼前の巨大クモ二体を自身の技で消滅させた。

「うわ……これじゃクモの方が可哀そうだぜ……」

 強力なヒロインの技で消滅させらた巨大クモを目の当たりにし、大将は微弱ながらクモらに同情してしまう。

 するとその時「向こうからも来る!」とコカが再び指差す方には、先ほども撃退したばかりのカエルの怪物が飛び跳ねながら迫ってきていた。

 カエルらに速攻すると一同は一目散に駆け出しては、扉の向こうの曲がり角で執拗に追いかけてくるカエルの怪物らを待ち受けては一斉攻撃を放つ。

「しつこいぞ!」

 大将はショットガンを派手に発射しては、その隣では黒衣衆のガトリンガーが自前のガトリング砲で豪快に弾丸を連射してはカエルの怪物らを一掃した。

 すると、執拗に現れ続けるゾンビや怪物を見て、セーラーマーキュリーが冷静に分析しては考えを口にした。

「よっぽどダムの先には進ませたくないみたいね」

 一行は再び先を急ぎ、通路の先に在る階段を駆け上っていくが、その曲がり角を曲がると其処にもゾンビが集団で待ち受けていた。

「奴ら、どかないぞ」「蹴散らせば良いだけさ」

 行く手を遮るゾンビの群れを前に苦闘する大将に、バーンズは的確な一言だけを掛けてやる。

 中々倒れないゾンビの群れ、すると皆の頭の上を通ってはHEADの金糸雀が単身敵の真上に飛来し、ゾンビの頭上で御得意のヴァイオリンによる超衝撃波を発生させては、ゾンビの頭部を物の見事に木っ端微塵に吹き飛ばした。

『オオゥ!』「良くやったぞ、カナ!」

 金糸雀の手腕に歓声を上げるHEADの皆に彼女を賞賛するバーンズ。これに金糸雀は愛らしく照れながらも嬉しく思っていた。

 だが、金糸雀によって頭部を粉々に吹き飛ばされたゾンビを目の当たりにした大将たち幹部衆は心の中で人知れず(……グロイ……)と思うのだった。

 そして金糸雀の活躍で眼前のゾンビらが一掃されては再び歩を進ませる一行、だがその背後から再びカエルの怪物が現れては飛び掛ってくる。

 一同はこれを一丸となって撃退し、大将の方は少しばかり余裕を感じてもいた。

「大した事ないな」

 大将が余裕に浸っている中、一行は物陰に身を隠しながら少しずつ先へと進行していく。そして皆の行く手に二つの道に分かれている分岐点に直面してしまった。

「道が分かれている」「どっちだ?」

 皆が迷っていると、案内役のコカが行くべき道を指してくれた。

「こっちよ」

 一行はコカが指した右への通路を行く事にした。だが右折した矢先、その先の曲がり角から幾多のゾンビらが出現してきた。余りの数の多さに、一行はやむを得ず後退して直進の通路を進む事にした。

「どこにでも、いやがる」

 彼方此方で待ち受けたり出現してくる敵に、うんざりしてきた大将。すると今度は進路方向の天井を這って巨大クモが出現した。そんな巨大クモを速攻で撃退した次の瞬間。後方から迫ってきていたゾンビらが襲い掛かってきた。

「急げ!」

 迫りくるゾンビらの追撃を避けるため、一同は咄嗟に目の前に付いた扉を通り抜ける。すると其処は先ほど自分らが上った階段の真上に位置している手すりで、皆は徐に手すりから真下を覗き見てみると、下の階から続々とゾンビ達が上ってきては溢れ返っていた。

 ここで幹部衆の一人、市川一太郎がコカに訊ねた。

「コカ、僕らを何処に向かわせている?」

 するとコカは一太郎の問い掛けに答えた。

「ダムの外に出る通路が頂上にあるの」

「その先にラッグの居城が?」「ええ」

 コカの言葉にアツシが問い掛けると、コカは小さく返答する。

 そして一行が再び進み出した、その時。コカが再び皆に訊ねて来た。

「ねえ……ラッグは一体、何を……」

 小さい声で訊ねて来たコカに皆が顔を向けた途端、彼女は咄嗟に目線を逸らして言った。

「いいの、何でもない」

 咄嗟に視線を逸らして自分の問い掛けを否定するコカを不思議に思う皆であったが、気を取り直して再び先へと進もうとする。

 そして一行が辿り着いたのは、業務用の巨大なエレベーターで皆は集団で一度に同時に搭乗しては上へと上っていった。

 

 エレベーターが最上部まで上り詰めると、扉は開き皆は一斉に降り立った。

 其処はダムに溜まった水を一定量のみ放流し続ける下り坂の水路であった。

「不気味だ、急に何も居なくなった」

 水路に出た途端、ゾンビも異形の怪物らの姿も無くなり、水の流れる音のみが水路のフロアに音響するばかりであった。

 と、その時。HEADの龍先海がフロアの片隅に設置されている物体に気付いた。

「見て、監視カメラよ」

 水路の天井の片隅に設置された監視カメラを見て、皆ラッグに自分らの存在を気付かれるのも時間の問題だと感じ取った。

 そして皆は水路の向こう側へと進もうと、順々に水路に架かっている鉄格子の橋を渡っていく。

 だが、先頭の大将が橋を渡っている最中であった。

「来るぞ! 水の中だ!」

 大将が見据えた先の水路の放水口から、あの牙が異常発達した肉食魚が群れで一斉に襲い掛かってきたのだ。

 飛び掛り襲ってくる肉食魚に必死に応戦する大将達。だがその時、飛び掛ってくる肉食魚に驚いてか足を踏み外したコカが誤って水路へと落ちてしまったのである。

「コカ!」

 落下しては、そのまま激流に流されていってしまうコカを見て、咄嗟にマーメイドメロディーズのかれん/ノエル/ココの三人が瞬時に下半身を魚に変身させては水路に飛び込み、流されていくコカを救出しようと躍起になる。

 だが流されていくコカに近づこうとする三人に、あの異様なまでに細身の怪物が襲い掛かっては不意打ちで三人に軽症を負わせる。

「バーンズ、彼女を!」「分かってる!」

 三人は流されては水路の端の梯子にどうにか自力で辿り着いたコカを助けるようバーンズに叫んだ。そして梯子を上り水から上がるコカに手を差し伸べたバーンズは、続けて三人にも手を差し伸べる。

「かれん! ノエル! ココ! こっちだ!」

 差し伸べられたバーンズの手を握り、三人は順々に梯子を上って水から上がる。

「ふぅ~~……コカ、大丈夫か?」「は、はい……」

「かれん、ノエル、ココ。お前らは……平気だな。何てったって人魚なんだし、猿も木から落ちるみたいに溺れちまうなんて事はねェな」

『………………』

 気を掛けてくれるバーンズにずぶ濡れの白ワンピースで答えるコカ。だがコカとは相反して扱いが違う三人は、若干バーンズの話に渋々同意しながらも目を細ませては機嫌を損なう。

 

 と、一行が水流から上がるコカと人魚三人を救出していたその時、彼らの背後から巨大なクモが忍び寄っては一行に襲い掛かろうとしていた。

「きゃあっ」

 巨大クモに最初に気付いたミラーガールの悲鳴を聞いて、他の皆もクモに気付き一斉に攻撃を仕掛ける。

 目の前に現れた巨大クモを倒した直後、今度は階段を上がった上方にもう一体の巨大クモが現れては突然糸を吐き散らしてきた。

「う、うわッ」

 糸に絡まり一瞬戸惑う赤塚組、だが彼らは反射的に懐に忍ばせていたナイフを抜刀しては絡みつく糸を振り切った。一方の糸を吐き散らしたクモも他のHEADらの奮闘により片が付いた。

「ありがとう」

 一方、水路に落ちた自分を救おうと迷わず飛び込んだ三人のマーメイドに礼を言うコカ。

 一行は階段を上り、正規のルートへと戻ろうとする。そして本来最初に向かうべきであった扉の前まで辿り着いた時、最後尾のメンバーに問題が起こった。

 なんと最後尾のミュウレタスに一体のゾンビが喰い付こうと迫っていた。それを見た幹部衆のギョロがミュウレタスに迫るゾンビに向けて発砲し、撃退してみせる。

「ギョロ、さすが!」「へへ」

 大将と同じく幼馴染のギョロの腕前に嬉々とするミラー・ガールに、当のギョロは鼻の下を擦りつつ自慢げに微笑む。

 と、皆がミュウレタスに迫るゾンビに目を向けていたその時「うあぁっ!」今度はコカにゾンビが襲い掛かっては、双方とも扉の向こうまで行ってしまったのだ。

「コカ!」

 彼女を追おうと皆が駆け出そうとした矢先、一同の前に巨大なクモとゾンビが出現し行く手を阻む。

「クソッ! まずいな」

 コカと逸れてしまう事を心配する大将達は、急いで彼女を追って扉の奥に向かった。

 

 すると扉の先はダムの放流を制御する機関室で、巨大な歯車が機能していた。だがその部屋にコカの姿はなかった。

「コカがいない」

 全員が必死でコカの姿を捜し求めていると、室内に転がっていた死体が動き出し、ゾンビとして此方に続々と向かってきた。

 コカを見付けたいが、先に倒すべきゾンビを倒していく一行。群がり迫るゾンビは次々に倒れていく。

 そして全てのゾンビを倒しきると、キッドやウォーターフェアリーらはコカの名を呼び続けた。

「コカ!」「コカ、どこにいるの?」

 すると機関室の奥から教会で耳にしたコカの歌う子守唄が聴こえて来た。

「コカ、いるのか?」

 子守唄を聴きつつも、再度彼女の名を呼び上げる大将。すると機関室の奥から隠れていたコカが姿を見せた。

「た……大将、さん?」

 コカは包帯を巻いている右腕を押えながら、最後に自分の名を呼んだ大将に顔を向けた。

「大丈夫だったかい?」

 セーラーウラヌスが訊ねると、コカは小さく頷いてみせる。

「そう、無事でよかったわ」

 コカの身が無事であった事に喜ぶセーラープルート。するとコカは自分を心配してくれた皆に謝った。

「ごめんなさい。私、怖くなって……」

「それは分かる。だけど、こんな所で歌っていても化け物共が寄ってくるだけよ」

 身を潜めながら子守唄を歌うコカの言動にミズキが厳しく言い寄ると、コカは歌を歌う訳を話してくれた。

「夜、怖くて眠れないとき母が歌ってくれてたの」

「教会でも歌っていたな」

 バーンズの問い掛けにコカは「ええ」と頷いてみせる。

「此処は危険だ、先を急ごう」

 幹部衆のテツが皆に指示を告げた、その時。

「コカ……」

 何処からとも無くコカの名を呼ぶ声が聞こえてきた。

「待て、聞き覚えのある声だ」

 聞こえてきた声に聞き覚えを感じる大将は、次の瞬間声の主を思い出した。

「ラッグだ!」

 そして大将は同時に声が聞こえてきたのが、機関室の一角に取り付けられていたスピーカーだと気付く。

 スピーカーからは更にラッグの声が聞こえてきた。

「早く戻っておいで」

 ラッグは静かに、そして優しく語り掛けるような話し声で喋り続ける。そんなラッグの問い掛けに近い話し声に、コカは表情を一変させて口にした。

「お父様……!」「何!」

 コカの発した言葉にバーンズも大将も、そして他の者らも皆驚愕した。するとコカは居た堪れなくなったのか、突然走り出してはその場から去ってしまう。

「おい!」大将が強く呼び掛けるが、コカは走り去ってしまっていた。

 その場に残された一同は、コカとラッグの関係に思わず愕然としていた。

「ラッグに娘が?」「とにかく彼女を追いましょう」

 コカがラッグの娘であると知り驚く大将たちにミラーガールが彼女を追尾するよう皆に言い放つ。

 

 そして一行は先へと駆け出してしまったコカを追って進行していく。

 

 

 

 

[投与されていた脅威]

 

「コカ!」

 突然駆け出してしまったコカを追って皆が機関室から出ると、其処はダムの貯蔵した水を一気に放出する為の巨大な筒状の配管であった。

 その配管に出てすぐ立ち尽くしているコカの許に駆け寄る一同。

 するとコカが見詰める先に、配管上部の通路に立っている口周りに髭を生やしたサングラスの男が居た。

「ラッグ!」

 その男こそ聖龍HEADと赤塚組幹部衆、そして黒衣衆が追っているアジアの麻薬王ラッグ・ドウェル本人だった。

 ラッグは通路から一行を見下ろしつつ、コカに語り掛ける。

「コカ、全てはお前の為だった」

 父親であるラッグの言葉にコカは下を俯いてしまう、だがラッグは平然と語り続けた。

「あと3年……あと3年、私の言う通りにしていれば化け物なんかに成らないで済む。いい子だから、それまでの辛抱だ」

 だが当のコカは父の言動に何処か脅えているのか、ラッグが語る中次第に後ろへと下がっていってしまう。

 更にその時、幹部衆の頭領である大将は自分達が居る巨大配管から何か巨大な音が近づいて来るのを感付いていた。

「何だ?」

 そして娘であるコカに、父親のラッグは毅然とした態度で語ったのだ。

「D-ウィルスをくれた男も、そう言ってた」「D-ウィルス?」

 ラッグの発したD-ウィルスの一言にバーンズは表情を一変させた。

 と、皆がラッグの弁論に気を取られている隙に、コカがラッグの部下によって捕らえられてしまった。

 必死にもがくコカ、だが彼女を取り押さえる男は眼前のHEADや幹部衆に黒衣衆に拳銃を向けては牽制するため、迂闊に手が出せなかった。

 そしてラッグは三組を高い場所から見下ろしつつ、娘のコカに話し明かす。

「お前を救えるのは、この日本人どもではない。父である、この私だけがお前を救えるのだ」

 と、ラッグが語り終わった次の瞬間。配管の奥から大量の水が流れてきてはバーンズや大将たちを呑み込んだ。

「うわッ」「きゃあっ」

 皆が皆、激流に飲み込まれ、そのまま流されてしまう。その時、激流に消えていく皆を目の当たりにしたコカが自分を押えていた男の腕を振り切っては駆け出した。

「みんな!」

 そしてコカはそのまま流されていく皆が呑み込まれた激流に自ら飛び込む。

「コカ! ……コカァ!」

 自ら後を追って激流に飛び込む娘の姿を見て、ラッグは何度も娘の名前を叫ぶのだった。

 

 

 こうして一行は目的の人物であるラッグと顔を合わせる事は出来たが、彼の策によって激流に流されてしまうのであった。

 

 聖龍HEADの総長バーンズ、副長のミラーガール、参謀総長のジュピターキッド、ウォーターフェアリー、ネオ・クイーン・セレニティことセーラームーンにエンディミオン、セーラーマーキュリー、セーラーマーズ、セーラージュピター、セーラーヴィーナス、セーラーウラヌス、セーラーネプチューン、セーラープルート、セーラーサターン、キューティーハニー、ナースエンジェル、木之本桜、コレクターユイ、コレクターハルナ、コレクターアイ、獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風、ちせ、ミュウイチゴ、蒼の騎士、ミュウミント、ミュウレタス、ミュウプリン、ミュウザクロ、アクア・レジーナの七海るちあ、堂本海斗、宝生波音、洞院リナ、かれん、ノエル、ココ、星羅、真紅、蒼星石と彗星石、金糸雀、雛苺。

 

 赤塚組の頭領である赤塚大作、そして幹部衆のギョロ/ゴマ/チカ子、海野ぐりおとなる夫妻、水原花林、秋夏子、山崎貴史/千春夫妻、市川一太郎/レイコ夫妻、テツ/ふゆみ夫妻、アケミ/アツシ夫妻、ミズキ。

 

 そして黒衣衆のガトリンガー、白蓮坊と黒蓮坊兄弟、損尼、欲尼、大闇刑蘭。

 

 皆が全員激流に呑まれ流される中、バーンズは遠退く意識の中でラッグがコカに投与したという薬剤について思い更けていた。

 

(`D-ワクチン´……修司自身が望んだ力にて最凶の恐怖……なぜラッグは、それを娘に?)

 

 

 

 

[今回の補足事項&登場キャラ紹介]

 

 D-ワクチン

 小田原修司が若干13歳のとき、海外の軍隊に入隊している際に軍より打ち込まれた特殊ワクチン。

 基は筋肉強化剤に近い薬剤であり、打たれた軍人の多くが投与されてすぐ筋肉の膨張や体内構造の変化に肉体が耐えられず死亡していく中、小田原修司のみがこのワクチンを投与されても死亡しなかった。小田原修司はそれ以降、興奮すると体内のドーパミンやアドレナリンとD-ワクチンが過剰反応し全身の筋肉が異常膨張し、瞬時に巨体な筋骨隆々の大男へと変貌する。容姿は筋力が異常に発達し、更に血流が激しく成る事から過剰な熱反応を起こし、血流と相まって全身が赤黒く変異する。

 それから数年間、大男に変貌した小田原修司は体が巨大化すると同時に理性が一時的に失われては自我を保てなくなり暴走する傾向に陥り、これには当時の聖龍HEADや聖龍隊の隊士たち全員でも中々取り押さえることが困難であったという。

 だが後に小田原修司はその自我を保ちつつDにて己の体を強化した状態を保持する事を成し遂げ、更に彼の体内のD-ワクチンが独自に変異していき、最終的に小田原修司は更なる肉体強化を成し得た。

 後に小田原修司の遺伝子から取り出されるようになったD-ワクチンは劇的な変化を遂げて、一種の改質酵素にも近い物質としても用いられるようになった。これにより国際連合や世界保健機構は小田原修司の遺伝子を保管し、それを元に様々な病気の対抗薬が開発される。結果、世界中で不死の病とされた病気の3分の1が地球上から治療可能となった。

 だが、修司の体内から取り出されたD-ワクチンは改良などの人の手が加えられてない素の状態で投与すると人体を劇的に変化させ、最悪の場合異形の怪物へと変異してしまうケースがある。これにより不当に入手したD-ワクチンでの生物兵器開発や人体改造などの問題が山積みの現状なのである。

 

 D-ウィルス

 D-ワクチンから作り出されたウィルス兵器。主にこのウィルスに感染した生物兵器は、筋力が増大し攻撃力が通常の生物兵器よりも格段に上がる。更に二次元界では、二次元人などが投与すると精神に異常を来たしたり、クリーチャー化したりと悪影響が半端なく出る事でも有名である。が、多くの人々は強い力を欲して、自らD-ワクチンやD-ウィルスを投与してしまうのが現状である。

 

 

 

 

 闇心討伐(あんしんとうばつ) 黒衣衆(くろこしゅう)

 

 闇討ちの一族として亡霊・南光坊天海に認められた二次元人達。

 別名、裏切りの一族とも自負している一団で全員が周囲からは理解し難い心理を秘めている危険極まりない集団。

 かつて先の時代で暗躍していた【革命軍士】に加わっていたが、最終的に南光坊天海に見初められ彼に酔狂する黒衣衆へと身を落とす。

 2011年、まだ彼らがリベンジャーズのころ日本の大震災の際には混乱の最中、日本の収容所から逃亡し、恨みを抱いている小田原修司に一矢酬いろうとするものの、当の小田原修司は震災復興にしか頭に無く、彼らの復讐劇を真に受け止めずに逸早くリベンジャーズの戦闘を離脱、東北の地へと戻ってしまった事に怒りを覚えた一同は、遂に江戸城(現・皇居殿)に押し入り、中の警備に当たっていた人員を全員虐殺。これのより本格的に動き出した小田原修司に「皇居殿を汚した罪」の名目で徹底的に痛めつけられ、その後日本を彷徨っている所を天海の亡霊に見初められた。

 後にその年の7月中旬、彼らは革命軍士の頃からの人脈でアジア全土に混乱と暴動を起こし、最終的にはアジアの主立った国や都市は壊滅し当時の中国政権は完全崩壊。これにより彼らは第一級戦犯として歴史に悪名を残したのである。

 

 彼ら曰く、裏切りの一族とは歴史上に存在する数多の逸材達を、時にはその暴挙を、時にはその寛大な言動を妨害したり阻止したりする為の一族であるとの事。その中にはイエス・キリストを売ったユダ、ローマーの英雄シーザーを殺めた彼の腹心ブルータス、そして彼らが心酔している天海と繋がりがあると言われる織田信長を討った明智光秀などが含まれていると断言している。

 また歴史を動かす逸材を裏切り殺めるのが裏切りの一族であり、それ故に「裏切りもまた、歴史なり」とも言っている。

 

 特徴

 原作では絶対に口にしない言動や見せない心理、そして読めないであろう般若心経(はんにゃしんきょう)等の御経を読み解く事が可。

 全員が黒い衣や甲冑を身に着けており(白蓮坊のみ白い衣)、更には桔梗の紋所を身に綴っている。顔は目元以外、全員が様々な形で覆い隠しており素顔を確認する事は不可能。

 

 

 

 ガトリンガー 

 

 出身地:二次元界 日本

 

 武器:回転式六刃多砲身機関銃

 

 肩書:機関怨銃(きかんおんじゅう)

 

 本名:神埼悟。

 悪役排除法に引っ掛かり人権及びすべての権限を剥奪、所有財産も全て押収され、後に革命軍士に入隊。

 そこで小田原修司の生み出した悪役排除法で苦境に陥れられた者達と意気投合し「リベンジャーズ(復讐する者たち)」を結成。世界各地でテロを引き起こしていた。

 後に黒衣衆に成った時は巨大なガトリング砲をブッ放す豪快な戦闘スタイルで戦う様になる。

 

 戦闘スタイル

 弾丸を連射しての遠距離からの銃撃と、機関銃の先に装着している六つの刃で相手を斬り付けたりの接近戦。が、主に遠距離系の攻撃を得意とする。更に機関銃内部には小型ミサイルも装備されており、ミサイルによる迎撃も可能。必殺技は相手を銃先の六つの刃で突き刺し持ち上げたら、一気に銃弾と小型ミサイルを連射して相手の息の根を止める。

【登場作品:エリア88】

 

 

 

 白蓮坊(はくれんぼう)黒蓮坊(こくれんぼう)

 

 出身地:二次元界

 

 武器:兄/錫杖鎌(しゃくじょうかま)、弟/錫砲丸(しゃくほうがん)

 

 肩書:傍観兄弟(ぼうがんきょうだい)

 

 本名:白蓮坊・斉洋早蔵(さいようそうぞう)、黒蓮坊・安蔵(あんぞう)

 兄の白蓮坊は他の黒衣衆と違い白い衣を着ている。リベンジャーズ入隊以前は料理家であったが為に食道楽の金華が当主の秋一家に深入りする事が出来た。

 黒衣衆に成った後の彼等は意外にも僧侶らしい言動をしており、白蓮坊は「慈悲深き白蓮さま」黒蓮坊は「寛大なる黒蓮様」と呼ばれていた。

 

 戦闘スタイル

 兄の白蓮坊は、まんまBASARAの明智光秀と同じ戦闘スタイル。弟の黒蓮坊は、僧侶が使う錫に鎖付きの棘鉄球を振り回して相手を殴っていく。

【登場作品:ミスター味っ子Ⅱ】

 

 

 

 損尼(そんに)

 

 出身地:二次元界 韓国

 

 武器:双小刀 

 

 肩書:妖華鬼恨(ようかきはん)

 

 本名ソンヒ。かつて韓国で名を轟かせていた財閥令嬢。しかし当初は根っからの悪女で二次元界で名のある狙撃手G13によって両親が射殺され、渋々韓国の諜報機関に入る。そして其処でGの名を知るのだが、そのGが自分の財閥と贔屓に成っていた小田原修司と深い面識があると知り、更に修司から「テメぇの様な悪女とその一族は滅んだほうが韓国政府も喜ぶんだよ」と言われた事で修司がGを雇って両親を射殺させたのだと認識してしまう。

 後に先の時代で暗躍していた革命軍士に入り、世界各地で爆破テロを行い続ける。

 しかし二年前の亜細亜戦争で仮面を被った三メートル級の大男「破邪王(はじゃおう)」が実は自分の元夫であるキム・ジュンスであり、彼の口からGを雇って損尼の両親を射殺させたのは自分で有り、修司は自分にGを紹介してくれただけだという衝撃の事実を知ったのである。

 

 戦闘スタイル

 両端が刃物になっている同形の小刀を、二つ巧みに使いこなしては相手を切り刻んでいく。

【登場作品:女帝 由奈】

 

 

 

 欲尼(よくに)

 

 出身地:二次元界 日本 

 

 武器:双棘刀

 

 肩書:知厄鬼絶(ちやくきぜつ)

 

 本名:綿貫鞠乃(わたぬきまりの)

 

 戦闘スタイル

 管になっている針状の小刀を相手の体に次々と刺していっては、大量の血を噴き出させて相手を血祭りに挙げる。

【登場作品:王狩】

 

 

 

 大闇刑蘭(おおやみぎょうらん)

 

 出身地:二次元界 日本

 

 武器:数珠×8

 

 肩書:寥星婆扈(りょうせいばっこ)

 

「やれ~(さて・やれやれ)」や、「まちとまて~(まぁ、ちょっと待て)」など独特な話し方をする。

 呪術を得意とし、宙に浮く輿(こし)に乗って移動し、呪術で巨大な数珠を操作して相手を撹乱する。

 自分達の経緯による不幸を呪い、不幸は万人に等しくあるべきだという病んだ信条を持つ。

 

 容姿

 黒い顔当てと黒い手甲を装着し、常に御輿に胡座を掻いている。

 全身を包帯で巻いており、その下には焼けただれた皮膚を隠している。

 

 戦闘スタイル

 まんまBASARAの大谷吉継と同じ。

 

 一人称:わらわ

 

 

 補足

 属性は、ガトリンガー以外は全員闇属性であり、ガトリンガーのみ炎属性である。

 大闇刑蘭は老婆ではあるが、喉が焼け爛れているため男声の様になってしまっている。※故に理想CVは、まんま「立木文彦」氏。

 

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