現政奉還記 B.O.W.編 作:セイントドラゴン・レジェンド
合流したメンバーとして【境界のRINNE】の三人(二人と一匹?)も登場します。
それから今回の話は、随分と【TIGER&BUNNY】の鏑木楓ちゃんが活躍しちゃってます。
尚、この話は架空戦記に近い話でもあるので現モンゴル国内の情勢なども描写しております。
※今作で表記しているモンゴルの国土や総人口は実際の2013年当時のものです。
※オリキャラのミラールの口調が曖昧な点が多いですが、一応は武人としては若干の成長が見込まれるものの、未だに子供っぽい所があり、それでも大人ぶっている少女という設定です。
[行進する新星たち]
聖龍HEADと赤塚組幹部衆が東南アジアの密林で活動しているその頃。
聖龍隊の御旗である魔鳥と七体の聖龍が施された軍旗を掲げた一団が市街地の真ん中を通過していた。
町中を勇猛かつ清々しく通過していく一団を見た町の人々は、こぞって驚きの表情を顔に浮かべては口々に言った。
「お、おい……あの軍勢は……!」
「間違いない、あの軍勢は……」
「あの魔鳥の御旗は聖龍隊の……!」
「そして五芒星にRのイニシャルの軍旗は……違いない」
『……スター・ルーキーズだ!!』
待ち行く人々は皆、町中を進行する聖龍隊第三総合部隊スター・ルーキーズの軍勢に圧倒されつつ目を奪われていた。
そして町中を黙然と険しい面持ちで行進するルーキーズの先頭を行くのは、他でもないルーキーズ総部隊長ミラールだった。
「総長、もうじきモンゴルの軍事基地に到着しますが」
「ええ、そうね」
部下からの言伝にミラールは仏頂面で答え返した。
今ルーキーズが進行しているのは、アジアの内陸国であるモンゴルその首都ウランバートルであった。
兼ねてよりモンゴル軍の忍 猿飛佐助より聖龍隊とモンゴル軍との同盟の議が持ち掛けられた。聖龍隊総長バーンズは、これに対し近々使者を送ると佐助に言伝を返した。そしてバーンズはモンゴル軍への使節団としてルーキーズを派遣しては、その総部隊長であるミラールの眼力で今のモンゴル軍の現状を把握させようと考えたのだ。
そして彼らは大陸を横断し、無事にモンゴルの首都ウランバートルまで辿り付く事ができた。
なぜ徒歩にて向かうのか。これは屈強な足腰を衰えさせない為に少しばかりの距離は徒歩で向かうべきであるという前総長修司からの教えなのである。
中には足を棒にしながらも行進を乱さずに歩き続けるルーキーズの隊士ら。
「うぅ……」
「ん、どうした? これぐらいの徒歩で音を上げてちゃ身が持たねェぞ」
脹脛に痛みに近い感覚を覚えたルーキーズの新人、結城明日奈ことアスナに今やベテラン隊士のトリコが声をかける。
するとトリコがアスナに声を掛けていると、アスナ同様の新人隊士らが挙ってトリコに反論する。
「だ、だけどよトリコ……いっくら体を鈍らせない為に行進で向かうったって、中国の港に着いてからずっと歩きっぱなしなんだ」
「いくらなんでも歩きすぎだよ……」
長距離の徒歩移動に音を上げる桐ヶ谷和人ことキリトにシルバー・クロウこと有田春雪。
そんな草臥れた様子の新人達にベテランヒーローの鏑木・T・虎徹ことワイルド・タイガーが笑顔で話し掛けた。
「ははっ、君達まだ若いんだから音を上げないっ。オジサンなんか今にも倒れそうな気分……フゥ」
「虎徹さん、貴方も年なんですからむりしないように」
「ってバニーちゃんだって、もう十分イイ歳じゃないかッ」
問答を繰り返すタイガーと、その相棒のバーナビー・ブルックス・Jrの話を聞き流しつつ、他のルーキーズ隊士もウランバートルの市内を行進しつつ町の人々から向けられる視線を気にしていた。
「……何だか、気になるよな」「うん、何だか僕らを怖れている様にも感じる視線だよ」
市民から浴びせられる好奇の目を気にし続ける【DOG DAYS】のロラン・マルティノッジとシンク・イズミ達。
そんな人々の目を気にする新人らに清々しい笑顔でキース・グッドマンことスカイハイが平然と言う。
「大丈夫さ君達。僕らはあくまで使節団としてモンゴル軍にお目通りするだけで、別に悪い事をしにやって来た訳じゃないんだから気にしない気にしない、そして気にしない! ハハッ」
清々しいほどの笑顔で堂々と言い放つスカイハイの言動に呆然としてしまう新人達。するとスカイハイに続いて同じくベテラン組の葉月いずなが新人達に気安く話し掛ける。
「そうそう、私達はあくまで同盟がてらこの国に来ただけなんだし、もう少し肩の力抜いて行きましょっ」
葉月いずなの明るい言葉に新人達は少しばかり勇気付けられた。
一行が町中を進んでいく中、ある事に気付いた。
それは商店などの一部の建物の窓ガラスが破壊されていたり、路上で此方を見向ける人々の中には包帯を巻き付けている痛々しい人の姿が混ざっていたのだ。
「これって……」
「おそらく、現政奉還の煽りを受けてアニメタウン同様、暴動が起こったんだろう」
「何とも浅ましいにゃ~~……」
所々荒れてしまってる町並みを見て、モンゴルへの使節に伴いルーキーズと合流した隊士【境界のRINNE】の真宮桜/六道りんね/そしてりんねの契約黒猫である六文は惨状に心を痛めた。
そんな中、新人組である鹿目まどかと巴マミがルーキーズベテランであり赤塚組と同様にセブンズガードにも就いている沢田綱吉と奴良リクオの二人に質問してた。
「あの……綱吉さんに、リクオさん」
「ん、何だい二人とも」
恐る恐る訊ねてくるまどかに綱吉ことツナが問い返すと、マミが二人に問い質した。
「何だか、モンゴルに入ってから彼方此方で暴動とか犯罪が多発しているみたいですけど……大丈夫なんでしょうか?」
巴マミからの質問に今度はリクオが受け答えた。
「ふむ、確かにな……モンゴルは様々な民族が狭い国土で入り混じって生活してる故に、昔から何かと衝突もあるからな。民族だけでなく、宗教も多々あるから余計に……」
『…………』
リクオが語ってくれたモンゴルの実情に胸を痛めるまどかとマミ。更に其処へツナの相棒であるリボーンがリクオの説明に付け足した。
「ふむ、国土面積156.5 万 km²、総人口は289.3 万。その中で様々な民族や宗教が同時に存在し、反中国や反韓国感情などが犇いている現状だ。そんな折、あの足正義輝の現政奉還による戦界創世なんかで余計に情勢が狂っちまってるんだろう」
淡々とモンゴルの内部問題と現政奉還による更なる混乱を語るリボーンの口調に、まどかやマミなど新人達は耳を奪われていた。
だが、そんな中ただ一人ミラールは先頭を行進しつつルーキーズを従えては意気揚々と引き連れる皆に語り始めた。
「世は戦界創世の真っ只中、まさに私達ルーキーズの本領を発揮する時代が巡り来たわ。私達ルーキーズいや聖龍隊と同盟を組みたいと申し出る国々はこれからも後を絶たない……」
世界三大勢力の一つである聖龍隊と度等を組んで自身や自国を守りたいと願い出る者は続々と現れるだろうと語るミラール。そんな彼女は続け様に同胞のルーキーズに語り続ける。
「だけど、聖龍隊はあくまで相手の懐具合で同盟を決める事はない。私達の戦力は、今やそのような軽々しい扱いで受け切れるものではない」
「そ、それじゃミラール……」「ッ」「い、いやミラール、総部隊長……」
思わず呼び捨てで呼ぼうとした瞬間ミラールから鋭い眼光で睨まれる壺井遼太郎ことクラインはすかさず呼び直した。そしてクラインは再度ミラールに問い質した。
「そ、それじゃ……俺たち聖龍隊と同盟できる相手ってのは……どんな条件を、いやどう決めるんだ?」
クラインからの質問に対しミラールは厳つい表情で彼らに答えた。
「まずは見定める事よ……彼らの生き様が同盟に値するか、どうか」
このミラールの発言を聞いて、新人の黛拓夢ことシアン・バイルがミラールに問い掛けてみた。
「ミラール、聞かせて欲しい……俺達との同盟に値するのは、力の強き者なのか……?」
するとミラールは真顔でシアン・バイルの質問に答えた。
「……いえ、違うわ。強き者は、その力に心酔し時には大いなる隙をも生んでしまう愚者。力だけに頼るものは、強者とは言わず」
『…………』
ミラールの言論に黙々と耳を傾け続けるルーキーズ。ミラールは更に弁論を続けた。
「だが弱者が同盟に値するなんて事もない。そんな者らは、いずれは私達の力を疎み、そして怖れ……最後には排除しようとするでしょうしね」
「成程……確かに。しかしミラール、それなら……」
力弱き者は、いつかは自分達特殊な能力や秀でた武力を持つ存在を疎み、そして怖れによる防衛本能で排除しようと思考してしまう顛末を語るミラールに、かつて忌み嫌われ怖れられた事もあるNEXTとして葛藤してきたヒーロー達の一人タイガーがミラールに問い掛けようとするが、先に新人であるミルヒオーレ・F・ビスコッティがミラールに問い掛けた。
「ミラール総部隊長、どうかお答えください。私達と同盟すべきが、強き者でないのなら……」
ミルヒオーレの問い掛けに続き、同じ部隊のエクレール・マルティノッジも問い掛けた。
「弱き者でもないと言う事は、つまり……弱者を守る者、という事なのでしょうか?」
二人の問い掛けに対しミラールは力強い表情で真剣に答えた。
「……いえ、それも違うわ。力のみを頼る弱き者は、ある意味最も危険。私達の力に酔い、更なる弱きを虐げる顛末に発展するでしょう」
そしてミラールは付け加えるように言った。
「そんな連中に加担しても私達が得るものは、聖龍隊という組織に対しての汚名以外何もないわ」
「成程、理解したわ……それでは、私達が同盟すべき相手というのは……?」
ミラールの返答に理解したエクレールが問い掛けると、ミラールは微笑を浮かべつつ彼女を始めとするルーキーズに言い切った。
「そうね、簡単に見極められれば苦労はないわ……フフ」
ルーキーズの質問に全て答えていたミラール、だが彼女はその表情を凛々しくも力強いものへと一変させると同時にルーキーズ全員に呼び掛けた。
「フ……問答は後よ、次の戦が私達を呼んでいる」
そしてミラールは徐に腰に装備してるミラージュ・ガンを抜き取ると、その銃口を高々と天に向けてルーキーズのメンバー全員に呼号を掛けた。
「皆、行くわよ! 私達はスター・ルーキーズ! 乱世を駆ける、流星となれ!」
呼号と共に一発の銃声を鳴り響かせては、ミラール率いるスター・ルーキーズは猿飛佐助とその主であるシン・ユキジが待っているであろうモンゴル軍の軍事基地へと行進していくのであった。
[互いの成長を見合い……]
聖龍隊スター・ルーキーズはモンゴルの首都ウランバートルの市内を抜けて、郊外に在るモンゴル軍基地の前へと到着した。
眼前に聳える基地を始めて目にするルーキーズの新人達は、その巨大な基地に圧倒されつつあった。
と、そんなルーキーズの前に突如として一人の人物が姿を現した。
「あらよっと。遠路遥々、よく来てくれましたね」
「あら……お出迎え、ご苦労様」
小粋な風情で軽々しく挨拶を掛けるは、モンゴル軍の忍頭で以前にも聖龍隊と赤塚組の宴に飛び入りした猿飛佐助。そんな佐助にスター・ルーキーズ総部隊長ミラールも返事を交わす。
「猿飛、佐助……!」
「おやおや、新人君たちも一緒なんだ。ま、遠い所ご苦労様」
赤塚組の百鬼命義での宴の際、顔を合わせている【DOG DAYS】【AW】【SAO】そして【魔法少女まどか☆マギカ】の面々は再び顔を見合す佐助に対して警戒の一途であったが、当の佐助本人は殆ど気にも留めずに新人達に声を掛ける。
更に佐助は宴の時には、その場に居なかった【境界のRINNE】の面々の存在に気付いては、彼らにも一声掛けた。
「おっ、なんだ君達も一緒か。宴の際には見なかったから、てっきり聖龍隊をクビになったのかとばっかり思っちゃってたよ」
「……簡単にクビになって溜まるか」
「は、はは……お久しぶりね、猿飛さん」
「よっ、忍。相変わらずだな」
佐助の言動に軽く立腹する六道りんねとは裏腹に、佐助に苦笑しつつも挨拶を述べる真宮桜。そしてりんねの肩の上で佐助に軽い口調で言葉を掛ける彼の契約黒猫の六文。
そして佐助は眼前のルーキーズの顔を一通り眺めては、再び総部隊長のミラールと話し始めた。
「そんで……ミラール総部隊長さんよ、あんた等が国内に進入してきた時から薄々察してはいるんだけども……まさかお宅らがウチへの使者だとは。そもそもHEADの皆様はどうしたんだ?」
「総長達は別件で今は別行動を取っているわ。使者としては、私達だけでも文句は無い筈でしょ」
「いや、それはそうですけど……だけどウチ等の国だけじゃなく世界中の情勢が乱れに乱れまくっている真っ最中に、それも幹部自らが他国軍との同盟以外で動いているとは、どういう了見な訳?」
「あら……私達じゃ不服とでも言いたいの?」
「い、いや……そうじゃないけど、だけど責めて幹部自ら来るのが良識じゃない? 何も部下頼みする必要なくない?」
「無論、後々総長達の方から此処に出向いてくるから安心して。私達は、あくまで今のモンゴル軍が同盟に値するかどうかを見極める為の選別隊みたいなものだから」
「あらら、俺様たちを吟味しようって魂胆なんだ……随分、見縊ってくれっちゃってるね」
「もちろん、モンゴル軍の新……いえ、代理とはいえ軍の将が聖龍隊との同盟に適切かどうか見極めたら、それなりの対応を取らせて貰うだけよ」
ミラールの話を聞いて、佐助は己の表情を若干険しくさせるとミラールに問い質した。
「……そんで? どうやって俺達の吟味をしようと考えている訳?」
「そうね……今のモンゴル軍が、二年前より成長しているのかどうか見定めるってのはどうかしら?」
「その方法は……?」
「フフ、野暮な事は聞かない。解りきっている癖に……」
「成程…………解った、そんじゃ大将にアンタ等の意図を伝えてくるよ。言っとくけどコッチは手を抜くつもりは全然ないからね。寧ろ、あんた等聖龍隊の様なバケモノ並みに強い二次元人とは、本気で戦わないとコッチが危ういしね」
「フフ、正論ね。それじゃ、此方も準備が出来次第、其方に攻めるので気を抜かずに」
「ああ、承知した」
ミラールと話を終えた佐助は、一瞬の内に自身を影へと変化させてはミラール達の前から姿を消した。
そして猿飛佐助と話を終えたミラールは180度回ると後方のルーキーズ達に言い放った。
「ルーキーズ! これより私達は、モンゴル軍との全面的な演習を行う! 各自、気を抜かず聖龍隊の名に恥じない戦振りをせよッ! では各々、戦闘に向けて準備せよッ」
このミラールの発言に大方のルーキーズ隊士は静かに決意を固めつつ受け入れていたのだが、それとは裏腹に新人組である【DOG DAYS】【SAO】【AW】【魔法少女まどか☆マギカ】の面々は突然の演習に事態を把握し切れず半ば混乱してしまう。
一方の猿飛佐助は、モンゴル軍基地その指令作戦室にて、大柄で筋骨粒々な男の巨大な写真を前に一人で正座し向き合う青年の傍らへと瞬時に駆け付けていた。
「大将ッ、聖龍隊からの使者……スター・ルーキーズの女総部隊長からの言伝だ。聖龍隊との同盟ならば、まずは俺らモンゴル軍が成長しているかを見極めてからだと抜かしやがる……! しかも、よりにもよって俺らと演習で一戦交えて見極める魂胆だ!」
佐助の話を聞き、大男の写真と向き合っていた青年は、佐助の方に前を向けては威風たる落ち着き様で堂々と語り始めた。
「うむ、そうか……我等も腹を割って聖龍隊と同盟を組むためにも、互いの実力を確認し合う必要がある!」
青年は滾る瞳の奥底に微かな迷いと水底の焔の如き揺らぐ意思を必死に固めつつも、熱く語り続けた。
「我等は二年前、聖龍隊とは世界側と新アジア連盟側として互いに衝突した事もあった……だが、今まさにその聖龍隊と同盟を組むに至るとは……! うおりゃああああ!! 我等が二年もの年月の間、鍛錬に鍛錬を重ねて培ってきた成果、とくと見せ付けようではないか! 佐助ッ!」
「はいはいっと……また熱くなっちゃって」
一人で熱くなる青年を見て、佐助は呆然としつつも彼の熱意を評価していた。
そして青年は自身の足元に置かれていた赤き胸当て纏い、茶髪の短髪には同色の長い鉢巻を強く巻きつけ、更には手元に置かれていた二槍の三叉槍を両手に持つと、再び壁に掛けられた大男の写真を力強い眼で見詰めては、その写真に話し掛ける。
「見ていて下され、御館様……このユキジ、モンゴル軍総大将として恥ずかしくない戦振りを披露してみせましょうぞッ!」
熱き闘志で己が内を満たして行く青年を、佐助は無言で見据えつつ内心静かに想うのだった。
(大将が今のモンゴル軍を指揮するには、まだまだ将としての器量が足りない。ここは野暮だが、少しばかり新人養成部隊でもあるルーキーズの連中と触れさせて何かしら得てもらうしかないだろうな)
モンゴル軍総大将としての器量が完全に備わってない青年を見かねた佐助は、ルーキーズと互いに武力で交わらせては何かしらの知恵や器量を少しでも青年に得させようと思惑を張っていた。
そしてルーキーズとモンゴル軍、両軍は戦闘の準備を着々と済ませていく中、ルーキーズの新人達がベテラン組に訊ねて来た。
「せ、先輩……どうしてまた、モンゴル軍と演習だなんて……」
新人組の一人である有田春雪らの疑問に対し【FAIRYTAIL】のエルザ・スカーレットが新人達に語った。
「相手が当初より成長しているかどうか確かめるには、まず一戦交えてみるのが手っ取り早いんだ。互いに組み合えば、双方共に鍛えられる利点もあるしな」
「そ、そうかもしれませんけど……」
エルザの説いを聞いても尚、心中の不安を掻き消せない百江なぎさら新人達。するとエルザに続いて【マギ】のアラジンが新人らの不安を消そうと笑顔で語り掛けてきた。
「大丈夫だよ、あくまで演習なんだから……ま、気を抜いていたら大怪我するかもしれないけど、逆にいつも通り自分のスタイルで戦っていけば大丈夫」
「だ、だけど……」
アラジンの話に対しても若干の不安を胸中に残す綾野珪子。すると其処にワイルド・タイガーが意気揚々と明るく話しに入ってきた。
「はははっ、大丈夫だって君達! 今回は相手だって演習って事を考慮して命までは取らないだろうし、気を楽にいつもの調子で頑張れば平気だって」
「そ、そんな呑気な……」
タイガーの発言に不安そうな表情を浮かべて言葉を返す鹿目まどか、そんな彼女にタイガーは再度明るい満面の笑顔で優しく話し掛ける。
「そう不安にならなくっても……聖龍隊での特訓に比べれば、どうって事はないよ」
「だ、だが……演習とはいえ実戦に近い形なんですよ! そんな最中に本気で殺されたりされたら……!」
血相を変えてタイガーに反論するアンドリュー・ギルバード・ミルズ、だが当のタイガーは余裕を感じさせる笑顔で彼を始めとする新人達に言った。
「そんな事はないよ。あのユキジくんに限って、そんな演習中に相手の兵士を殺める様な無粋な真似はしないって」
タイガーはそう新人達に言うと、徐に直立しては疲労が溜まってる腰をトントンと叩きながら更に新人達に語った。
「さぁって、俺達もグズグズせず早く演習の準備済ませちまおうぜ。実を言っちゃうと俺、久々にユキジ君と一戦交えるの楽しみなんだな。あの子の戦う様って言うか、彼の熱い闘志見るとコッチも熱くなっちゃうんだなぁ」
すると、このタイガーの話を小耳に挟んだファイヤーエンブレムも話しに入ってきては楽しげに語り始めた。
「そうそう。あの子って凄く純粋で礼儀正しいし、その上熱血だけど愚直なまでに誠実で真面目で……ホントに惚れ惚れする程の武人なのよっ。私と同じ炎の使い手だし、結構いい相性かもっ、キャハっ」
「え? 同じ炎……」
ファイヤーエンブレムの発した一句に不思議な感覚を覚えた高槻七海の疑問に、再びタイガーが説明してあげた。
「ああ、同じ炎ってのは……彼が、ユキジ君が愛用してる武器が二次元界で作られた代物で、炎を纏って振るえる一品なんだよ」
するとタイガーに続いて再度エンブレムが楽しげに今度は佐倉杏子に話し掛ける。
「そうそうっ、そういえば彼って杏子ちゃんと似ているスタイルなのよ」
「え?」
「あの子も槍の使い手なのよ。ただ二槍、つまり槍を二本扱うスタイルだけど杏子ちゃんだって同じでしょ。それに杏子ちゃんの属性と同じ炎の武器なんだし、案外会って一緒に組み合ってみれば仲良くなれる筈よ。大丈夫、彼は根の良い子だからさっ」
「は、はぁ……」
楽しげなオネエ口調で淡々と語るエンブレムの話に、当の杏子は呆然としつつ他の新人同様立ち尽くしてしまってた。
そして遂にルーキーズのベテラン組の戦闘準備が整い、各々がヤル気充分な姿勢と威風堂々たる面構えで言い切った。
「さぁ、行くとしますか!」
ルーキーズその顔からは漲る闘志と揺らぎない意思を感じさせ、一行はモンゴル軍との同盟を交えた演習合戦を始めるのであった。
[モンゴル軍水攻戦]
かくして、聖龍隊スター・ルーキーズとモンゴル軍の演習が開始された。
攻め手はルーキーズ側からモンゴル軍基地へと進攻していき、モンゴル側はそれを防衛する形式で合戦を始めた。
聖龍隊スター・ルーキーズの精鋭は、以下の通り。
アラジン・アリババ・モルジアナ
【マギ】
沢田綱吉、リボーン、獄寺隼人、山本武、雲雀恭弥、クローム髑髏
【家庭教師ヒットマンREBORN】
奴良リクオ、氷麗(つらら)、首無、青田坊、鴆
【ぬらりひょんの孫】
トリコ、ココ、サニー、ゼブラ、小松
【トリコ】
ワイルドタイガー(鏑木・T・虎徹)、バーナビ―・ブルックスjr、ブルーローズ(カリーナ・ライル)、ロックバイソン(アントニオ・ロペス)、ドラゴンキッド(ホァン・パオリン)、スカイハイ(キース・グッドマン)、折紙サイクロン(イワン・カレリン)、ファイヤーエンブレム(ネイサン・シーモア)、鏑木楓
【TIGER&BUNNY】
鹿島リン、使い人形アリス
【傀儡師リン】
ナツ・ドラグニル、ルーシィ・ハートフィリア、グレイ・フルバスター、エルザ・スカーレット、ハッピー
【FAIRYTAIL】
岩崎月光、ハチカヅキ、エンゲキブ
【月光条例】
ジョーイ(本名ジョセフ・カーター・ジョーンズ)、サイ(本名サイモン・カイナ)、リナ(本名リナ・ディヴィス)、ヒーローマン
【HEROMAN】
葉月いずな
【地獄先生ぬ~べ~、霊媒師いずな】
工藤タイキ、蒼沼キリハ、天野ネネ、陽ノ本アカリ、剣ゼンジロウ、天野ユウ、明石タギル、最上リョウマ、戸張レン、州崎アイル、真下ヒデアキ
【デジモンクロスウォーズ】
日ノ原革、コトハ、門脇将人、ミヤビ
【アラタカンガタリ〜革神語〜】
更にアジア大陸上陸時に新たにベテラン組に合流したのが【境界のRINNE】の真宮桜/六道りんね/そしてりんねの契約黒猫である六文。
そしてベテラン組とは違い、戦歴も浅く今回の演習相手であるモンゴル軍とは初対面でもあるメンバー。
シンク・イズミ、高槻七海、レベッカ・アンダーソン、ミルヒオーレ・F・ビスコッティ、エクレール・マルティノッジ、リコッタ・エルマール、ロラン・マルティノッジ等々
【DOG DAYS】
キリト/桐ヶ谷和人、アスナ/結城明日奈、シリカ/綾野珪子、リズベット/篠崎里香、クライン/壺井遼太郎、エギル/アンドリュー・ギルバード・ミルズ、リーファ/桐ヶ谷直葉
【ソードアート・オンライン】
シルバー・クロウ/有田春雪、ブラック・ロータス/黒雪姫、ライム・ベル/倉島千百合、シアン・パイル/黛拓夢、スカーレット・レイン/上月由仁子
【アクセル・ワールド】
鹿目まどか、暁美ほむら、佐倉杏子、美樹さやか、巴マミ、百江なぎさ
【魔法少女まどか☆マギカ】
以上が聖龍隊スター・ルーキーズの精鋭である。その他にも一般隊士と言って、特別な能力や武術を得ていないアニメタウン在住の一般市民から募った隊士がルーキーズの後方支援として活躍する。
そしてモンゴル軍は、現モンゴル国将軍の代理として軍の総大将を任されている主将のシン・ユキジ。
そして以前、聖龍隊とも接触したモンゴル軍の忍頭 猿飛佐助 以下数多のモンゴル兵が基地に犇いていた。
演習の内容は以下の通りである。
モンゴル軍基地内の相手の陣地を奪い取り、その陣を制圧した証に掲げられている相手軍の軍旗を此方の軍旗に掲げ直す。更に何かの不祥事で何の御旗も立たれてない中立化した陣を先に制圧した軍の方が、その陣に御旗を立てて自陣にする事が可能である。最終的に相手方の主将が陣取っている陣地まで辿り着き、その主将を見事撃破すれば攻め側の勝利となる。
そして演習の開始を告げるかの如く、モンゴル軍総大将にして主将のシン・ユキジが声高々に唸りを挙げた。
「モンゴル軍が総大将、シン・ユキジ! 虎の魂をもってして、この基地を守らん!」
「さて……このモンゴルの基地をどう攻める、ミラール殿」
モンゴル軍側の主将陣地にて腰を据え戦況を見定める総大将のシン・ユキジ。
一方のルーキーズ主将である総部隊長ミラールは広大なモンゴル軍基地の真正面から、基地を見渡しつつ戦闘の態勢を取る。
「さて、どう攻めようかしら……」
そんな中、ルーキーズの隊士がミラールに申し告げた。
「堀には水のモンゴル基地……生半には落とせませぬ」
主将陣地の周りを囲む水掘の存在で、主将の所まで簡単には辿り付けない事を申し開く隊士。
そして眼前のモンゴル軍基地をしばし見据えたミラールは、一気に自身の案じた策をルーキーズの皆に言い伝える。
「……ルーキーズ! まずは前方の敵勢を制圧せよッ! そして道を切り開き、敵陣の一つを攻め落とせ!!」
「委細承知!」
ミラールの掛け声一つに返答するルーキーズの聖龍隊隊士。そしてルーキーズ勢は一気に敵勢へと駆け込んで行った。
そして待ち受ける敵勢の兵士らを片っ端から薙ぎ倒して行くルーキーズ。そんな彼らを影で監視している猿飛佐助は、勢いで攻めるルーキーズ相手に静かに言った。
「強い意志には刃じゃ勝てない……スグに参らせてやるさ」
例え幾多の攻めを受け続けても自分達の強固な意思に勝るものはない、スグに巻き返してみせると意気込みを密かに口に出す佐助であった。
そんな最中も、正面入り口を死守する守備隊を負かして行きながらベテラン組は新人達に言葉を掛けては連携を崩さないようにする。
「おいッ、そんなへっぴり腰じゃ後が大変だぜッ!」
「は、はい……!」
ナツ・ドラグニルからの言葉に戸惑いながらも返事していくシンク・イズミ。
「良い、落ち着きつつ動きを止めなければ隙は生まれない筈よ……それと、周囲には隈なく気を配る事!」
「は、はいッ」
天野ネネからの助言にはっきりとした返事を返す美樹さやか。
次第にルーキーズは正面を防衛する部隊を殲滅しつつ反撃に講じて行った。
「押されてる、俺達押されてるぜ!」
防衛してたモンゴル軍兵士は、相手方のルーキーズの勢力に押し返されつつあった。
「分かった、死んだふりすればいいんだ、うん」
正面を防衛する部隊を薙ぎ倒して行くルーキーズだが、肝心の正面門は硬く閉ざされたままであった。その為、一行は大回りして基地から兵士が出撃する為の門から内部へと進攻していった。
正面から大回りして兵士が出撃していく門から内部へと突入するルーキーズが目にしたのは、敵の陣地とその傍らに設置されている水門であった。
乾燥した土地柄のモンゴルでの貴重な水源、それを貯蓄し生活などの日常に応用しているのである。そして貯水された水は、基地の中央に位置している主将の陣地を囲う堀に貯水されており一種の防衛壁としても用いられていた。
そんな中、ミラールは同胞のルーキーズに指示を出す。
「全員、此処からは
ミラールの指示を受けて、ルーキーズは各々自分と息の合った者と組んでは応戦して行った。
「アリババさん、貴方は私が死守します……!」
「う、うん……だけど、無茶だけはしないでね。モルジアナ」
主君であるアリババを守りつつ、周囲の敵勢を強烈な武術で弾き飛ばしていくモルジアナとは相反に、当のアリババは無茶を控えるよう彼女に告げる。
「三代目、お背中御守りいたしますッ……!」
「ああ、だけどお互い命だけは大事にして行こうね」
獄寺隼人は周囲の敵を蹴散らしながら自分が慕っているツナの死角を補い、一方のツナも隼人を信頼して背中を預けつつ敵を撃退していく。
「真宮、久々の実戦だ。心して懸からなければ、演習とはいえ大怪我を追うぞ」
「わ、解ってるわよっ。自分の身ぐらい自分で守れるから、六道くんは六道くんで周りの敵を倒して行って!」
互いに口論し掛けそうなほどの会話をしつつも、周囲の兵士を的確に倒していく六道りんねと真宮桜の組。
「お前らッ、相手は一応は同盟を組もうって連中なんだ! 倒すのは良いが間違っても殺すんじゃねぇぞ!」
「フッ、言われなくても解ってるよ、トリコ」
「安心しろッ、
「俺様に命令するな……ッ! 言われなくっても殺しゃアしねェよ……!!」
二人一組ではないものの、トリコ/ココ/サニー/ゼブラの四名は互いに嫌味を言い合いながらも、四人で的確にモンゴル兵を気絶させていく。
「アリス! 私達もみんなに負けてられないわっ、行くわよ!」
周囲の仲間達の奮闘を目にして鹿島リンも相方の傀儡アリスと共に自前の武器であるヨーヨーで周辺の兵士を順調に薙ぎ倒して行く。
ルーキーズの手勢が果敢に進攻していく中、主将のユキジはモンゴル兵に大声で告げた。
「勝って帰れ! これは大将命令である!」「必ずや!」
主将であるユキジからの号令に、モンゴル兵も力強く頷く。
そんな攻防の中、ルーキーズは遂に最初の敵陣を奪い取る事に成功する。
そして陣地を奪取した後、ミラールは生活水を貯水している堀の水門を開口しては一気に大量の水を進攻先の陣地まで続く水路へと放出した。
「うわッ」「うわぁーー!」
「うわーーーー……ッ!」
一気に水が放出され、激流による水攻めで流されてしまうモンゴル兵達。そして先の陣地をへの門も激流によって強引に押し開けられては、同時にその陣地内の敵も水流で一掃されてしまった。
これにより、主将が腰を据えている陣地を囲う堀の水位も少しばかり下降した。
「なんと! 水路が!」
水路に大量の水が放流され、兵士を一掃されたと同時に御堀の水位までも下げられた事に大将であるユキジは驚いた。そして水路開放によりモンゴル側の分隊は消滅した。
「水攻めよ! 下流の敵は一たまりも無し!」
放水による水攻めが成功した事に隊士らは大いに活気盛んになる。
そんな中、陣を守っていた陣大将の力尽きた姿を見て、その陣大将に佐助が労いの言葉を掛けるのだった。
「無駄じゃなかったよ、あんたの生き様は」
一方、最初の陣地を攻め落としたルーキーズの隊士らは、微かな勝どきを上げるかのように声を上げた。
「この勢いじゃ、刀が錆び付く暇もねえな!」
一方、モンゴル軍主将は主将陣地にて側近の猿飛佐助に言伝を言い渡す。
「佐助、全軍に伝えよ! ユキジ此処に在り、と!」「合点!」
主将の掛け声に佐助も強く応答しては、即座にモンゴル軍全軍に将からの言伝を伝えに走った。
[chapter:進攻! 聖龍隊スター・ルーキーズ]
水門の開口により発生した激流で流され、兵士そのものが居なくなり中立化した陣地をスカイハイと折紙サイクロンが戦場を駆け抜けて一気に制圧した。
「よしっ、悪いけど此処は僕達が制圧させてもらったよ」
「ニンニンっ!」
気持ちの良い態度で遅れて駆け付けて来たモンゴル軍兵士に愛想を振りまくスカイハイの後ろで、折紙は憧れでもある忍の印の字を切る格好をしてみせる。
そしてその陣地内で再びルーキーズとモンゴル軍は衝突し合った。
「あんたと俺、決意の重さは変わらねえ」
対峙し合うモンゴル軍兵士と鬩ぎ合いながら言葉を掛けるルーキーズ隊士。
そんな中、忍頭であると同時に軍の副将の役割も兼ねている佐助が兵士達に呼び掛ける。
「はいはい撤収! 後で取り返しゃいいの!」
だが、そんな掛け声の中、モンゴル軍の一部隊はルーキーズの新人勢に取り囲まれては完全に孤立してしまってた。
「わーー! 俺達、孤立無援!」
そんな慌てふためく部隊を軽く捻っては、新人らは勢いを増し別陣地へと移動を開始した。だが
「そっち行っちゃダメ!」
と、総部隊長ミラールが進攻する新人達を制止する。だが彼らは時すでに遅く、その通路へと進んでいってしまった。
少しばかり他の通路よりも道幅が広いその通路を新人達は勢いに任せて猛進する、が次の瞬間。
「う、うわッ」
先頭を走ってたキリトとシルバー・クロウが突然急停止したのだ。
「わっ、な、何?」
突然立ち止まる二人に後方の皆は驚いては立ち往生してしまう。
そんな彼らの前には、色艶の良い逞しい程の馬力を秘めたモンゴル騎馬隊が横一列に整列しては出撃の態勢を取っていたのだ。
騎馬隊は、その漲る馬力と逞しき筋力にてルーキーズ新人勢に向かって猛進してきた。
「う、うわぁ!」
通常の馬よりも筋力が鍛えられた軍馬による突進に、シンク・イズミはもちろん新人達は全員驚き慄きながら縦横無尽に逃げ惑った。
「出撃! モンゴルが誇りし騎馬隊、健在なり!」
主将であるユキジの掛け声を合図に、控えていた騎馬隊が総動員で戦場に出撃していく。
「も、モンゴル騎馬隊だ! 虎の魂だ!」
漲る闘志と馬力で戦場を駆け巡る騎馬隊を前にして、ルーキーズ隊士らはその迫力に恐れ戦いた。
そんな活気盛んに戦場を駆け巡り、ルーキーズの隊士らを掻き乱す騎馬隊の活躍を眺めて主将のユキジは側近の佐助に誇らしげに語った。
「見よ佐助、我等が軍の力強さを!」
だが佐助は、そんなユキジの言動に対し冷たくあしらった。
「自慢は後回しな、それより皆への采配を忘れるな大将」
ユキジの自慢話とそれに冷ややかな態度を取る佐助の対話の最中、新人達は突如として出撃した騎馬隊の猛攻に苦闘していた。
「ちょ、ちょっと! 踏み付けないで……ぎゃあっ」
隊士らが騎馬隊の迫力に押される中、ミラールがその場に駆け付けては新人達と彼らに付いて行ってた隊士らに指示を告げる。
「みんなコッチよ! その先は騎馬隊が総動員していて、とてもじゃないけど進めないわッ!」
新人らと隊士らはミラールの指示の元、先ほど落とした陣地の陣、その横の細い通路へと進攻していく。
「あ、あのミラール……何故、コッチの方が安全だと?」
モンゴル軍基地の内部を迷う事無く突き進むミラールにリコッタ・エルマールが訊ねると、ミラールは顔を後方の彼女らに向けては答えた。
「以前にも此処の基地に進攻した事があるから……多少、二年前より改築されたりはしてるけど大まかな構造は大体把握してるのっ!」
そう皆に話しながらミラール達は細い通路を突き進んでいく。すると突然、基地の屋根の上から忍の部隊が出現してはルーキーズの前に立ち塞がった。
「忍相手にいつまでも時間を取られる訳にはいかないわッ! 突破するわよ!」
皆に大声で告げるミラールは、眼前に立ちはだかる忍達を即座に退けさせては先へと猛進する。そんな彼女同様に他のルーキーズも上手く忍の攻撃を回避しつつ彼らの隙間を素早く突っ切る。
「行けぃモンゴル軍忍隊! 出現する事、雷霆の如し!」
突如として出現し敵肩に奇襲を掛ける忍たちに主将のユキジは激しい雷の様な戦振りと称える。
そんな屋根から奇襲してくる忍の部隊に悪戦苦闘しながらも先へと進攻するルーキーズ軍勢。すると彼らの目の前に堅く閉ざされた門と、その門を防衛する武将が立ちはだかった。
「門番か……!」「全員、門番を撃破して突破するわよ!」
行く手を塞ぐ門番に眉間のしわを寄せる門脇将人、そして門番を倒して閉ざされた門を突破せよと命ずるミラール。
「譜代の者の力強さよ、甘えてはいられぬ!」
代々国に尽くしてくれている武将に対し、その力強い精神と忠誠ばかりに甘えては成らないと自分に説き伏せる主将のユキジ。
だが門番はルーキーズの攻撃で参ってしまう。
「見事……! だが、これ以上は捨て置かん!」
門番を倒してみせるルーキーズの戦況を見ていたユキジは、これ以上の攻めを許してばかりは居られぬと自負する。
そして門番を倒した事により、堅く閉ざされていた門はルーキーズの手により突破され、しかも少しばかし破損してしまうが先へと進攻できる様になった。
「あーーあ、門もタダじゃないってのに……」
門を突破し破損させたルーキーズを見て、佐助はこの戦闘で出た損失について愚痴を零した。
そして門を通ると、其処にも水門を守りつつ陣地を張るモンゴル軍の軍勢が見られた。
「おお、あそこにも水門が!」
水門の存在に気付いた隊士は、即座に陣大将を攻め落とそうと躍起になる。そんな陣を守る兵に、主将のユキジは静かに祈祷した。
「お館様、どうかあの者に逞しき加護を……」
一方のモンゴル軍兵士も、攻めて来るルーキーズ相手に果敢な応戦を繰り広げていた。
「モンゴルの未来、共に担うと決めたのだ!」
自らの意気込みを熱く語りながら交戦していく兵士。そんな兵士に熱を当てられたのか、ユキジも自軍と自らの抱負を叫び上げる。
「日々唯是精進あるのみ、慢心するなかれッ!」
ユキジが己が自負を叫び掛ける中、ルーキーズの面々はモンゴル軍陣地の兵士を次々に薙ぎ倒してみせる。
「……
「はい……この雪女氷麗、生涯三代目に着いて行きまする」
厳つい面構えで周辺の兵を峰打ちで倒していく日本妖怪頭領の三代目リクオの言葉に、彼の従者である雪女の氷麗は微かな笑みを口元に浮かべつつ応えていく。
「グレイ! そっちの連中は任せたぞ!」
「そういうお前さんは演習なんだから、少しは手を抜いとけよ。殺しちまったら国際問題だ」
互いに背を向け合い、周囲の兵士達をそれぞれ炎と氷の魔法で蹴散らしていくナツ・ドラグニルとグレイ・フルバスター。
「エルザ! こっちの方は任せてねっ!」
「ああ、でも無理はするなよ。ルーシィ」
ナツとグレイが共闘している中、ルーシィ・ハートフィリアとエルザ・スカーレットは息の合った連携でモンゴル兵と対峙していた。
「ああ、虎徹さん! ハンドレッドパワーの持続時間が短くなってるの忘れたんですか! もう少し能力の保持と管理をしっかりと……」
「いやぁ、わりィわりィ……久々に熱血漢のモンゴル軍と対峙している所為か、こっちまで燃えて来ちゃってね」
特殊能力の劣化に伴い、自身の能力の管理をしっかりする様にと告げるバーナビーの台詞に、指摘されたタイガーは苦笑しながらも楽しげに返答する。
「さあッ、ボクの電撃で痺れさせてやるぞッ」
「私の氷でクールに冷やして上げるわ」
「ウギャーーッ!」「ヒエーー、俺達冷たいのはダメーー!」
ドラゴンキッドの電撃とブルーローズの氷結攻撃を受けた兵は、痺れて動けなくなるか極度の冷感で涙目で逃げ惑う始末であった。
「ふんぬッ」
「ひぃッ! 攻撃が全然効かねぇッ!」
「フフフ……バイソンに打撃は効かないわよ。代わりにアタイの苛烈な炎でも喰らいなさい」
「あっちィ~~! 熱血モンゴル軍でも、直の炎はさすがにダメ~~!」
自身の肉体の強度を上げる能力のロックバイソンに刃や弾丸が効かない事態に困惑するモンゴル兵に、ファイヤーエンブレムは微笑みながらも灼熱の炎を放っては兵を退ける。
そんなルーキーズの主力メンバーの活躍を目にした他の一般隊士らも決起盛んに戦闘の腕を奮ってく。が、乱れる戦況の中でも彼らは冷静さを失わず的確に行動に移していく。
「落ち着け、囲んでは同士撃ちとなる」
互いに敵勢を取り囲んでの射撃は、味方同士の相撃ちとなると指揮している隊士に指示するルーキーズの狙撃部隊隊長。
基地内で演習とはいえ、血気盛んに腕を奮う両軍の勇姿を見て、主将であるユキジは思い詰めていた。
「突撃できる身の上が、懐かしくも羨ましき」
そんな最中、遂にルーキーズの勢力は水門を守っていたモンゴル軍陣地を奪取し、水門を開口した。
「うわあーー」「ああァーーーー!」
大量の水が水門より放出され、下流のモンゴル軍は押し流されては気勢を鎮火されてしまう。それと同時に御堀の水位も残り僅かとなり、もう少しで水が尽きるまでに至った。
順調に陣地を制圧していくルーキーズの戦振りを目の当たりにして、佐助は暗鬱な気分で呟いてしまった。
「色々と、嫌な事を思い出しそうだよ」
そして水路を開放した事により、モンゴル勢の分隊は消滅してしまった。そんな戦況であろうとも、手を抜かず周囲の兵を悉く薙ぎ払っていく。
「うりゃうりゃッ! どうした、もっと攻めて来ねえか!!」
「ヒィ~~、おっかねぇよ~~!」
仲間のハチカヅキを振り回しては周囲の兵士を次々に倒していく岩崎月光。そんな月光を始めとするルーキーズ隊士らに圧倒されていくモンゴル兵の一人が士気を高めんとばかりに言い放つ。
「頑張ろうぜ! 俺達がやらずにどうする!」
仲間の一声にモンゴル軍はルーキーズ相手に善戦を尽くしていく。が、ルーキーズの勢いは止まる事はなかった。
そんなモンゴル兵ばかりに気を取られ進攻するのを止めてたルーキーズの隊士らとは反対に、総部隊長のミラールは一人だけで進攻しては、先ほどの水門開口で水浸しとなった水路の下流その中立化した陣地を制圧しに向かう。そしてミラールは中立化した陣地を素早く制圧して見せた。
そして陣地を制圧した瞬間、ミラールは戦場で奮闘する同胞のルーキーズに呼び掛ける様に天へと叫んだ。
「戦前に突入せよ!! 誇り高きルーキーズ! 私達の生き様を見せ付けろ!」
叫ぶと同時に天へと銃砲を挙げ銃声と共に轟き響かせるミラールの一声は、鶴の一声の如く他のルーキーズ隊士に伝わっては彼らを揺れ動かした。
ミラールの一声で基地の先へと再び進攻していくルーキーズ、だがその前をモンゴル兵達が立ちはだかった。
「武士ゆえに、此処は引き下がれぬのだ!」
厳つい目つきで睨み付けてくるモンゴル兵に、日ノ原革と門脇将人らルーキーズの主力メンバーは対峙し合いながらも互いに睨み合っては双方共に一歩も引かない状況に転じてしまった。
だが、そんな対峙し睨み合っているモンゴル兵の後方から、駆け付けて来たミラールが軽症で済む程の威力に抑えたミラージュ・ガンで攻撃しては身動きできずにいた同胞達を救ってやった。
「……す、少し卑怯なんじゃないですか……?」
後方から不意打ちの如く攻撃したミラールに対し言葉を掛ける鹿目まどかに、ミラールは平然と真顔で言い返した。
「戦場では卑怯なんて言葉は存在しないわ。生きるか死ぬかの瀬戸際の中、隙を見せた方が死ぬのは常識よ」
『………………』
平然と語るミラールの言動に、新人達は思わず唖然としてしまうのだった。
一時のみ唖然と立ち止まってしまってたルーキーズであったが、再び足を前へと踏み出しては先へと駆け出していく。そんなルーキーズと真っ向から激突するモンゴル軍なのだが、強烈な攻撃を放ってくるルーキーズの猛攻に悪戦苦闘していくモンゴル兵。
「なにやってんだ、ちくしょーーばーーろーー!」
「あいつ等には息切れってもんがねえのか!?」
意図も簡単に倒されてしまった同じ軍の兵士に罵声を浴びせる兵士もいれば、最初っから猛進し続けているルーキーズの底無しの体力にモンゴル兵は慄くばかりであった。
[六つの睥睨]
そしてルーキーズ一行は、そのまま主将が鎮座する陣地の門を守護する主将陣隣の陣地まで辿り着いた。
と、辿り着いたルーキーズの眼前に、基地の高所から片足だけで胡坐を掻いては佇みながら此方を見下ろす影がルーキーズの面前に立ちはだかっては言葉を掛けた。
「期待するなよ。あんた等にあげられるものなんか……今のモンゴルにも……俺様にもねえのさ」
そう言い終ると影は颯爽と高所から地面へと足から飛び降りては、黒い靄と共に地面へと潜り込むと、次の瞬間着地した地点から少し離れた前方の地点より黒い靄と共に地面より出現しては、眼前のルーキーズの面前に険しい顔色で言った。
「悪いけど、冷やかし程度なら帰ってくんない? で、ないと俺様……」
そう語り掛けながら影は、自身の顔の横に得物である大型手裏剣を構えながら同時に言い切った。
「……怒っちゃうから」
その影の眼は、完全に厳つく冷たいほど睥睨な眼差しであった。
目の前に立ちはだかるモンゴル軍の影 忍頭の猿飛佐助。彼と対峙したルーキーズは、単身複数の精鋭が勢揃いしている此方に立ちはだかった佐助に対して余裕を超えた態度でほくそ笑みながら声を掛けた。
「オイオイ、忍さんよ。いっくら腕利きの忍とはいえ、こんな大所帯相手に一人で立ち回れるのか?」
挑発染みだ言動で佐助に話し掛けるキリト。そんなキリトや新人を含めたルーキーズの前で、佐助は平然と話し返した。
「な~~に、俺様、優秀なんであんた等全員が相手でも充分戦えるから心配御無用♪それにね……一人身で戦う訳じゃありませんし」
『??』
佐助の言動にキョトンとしてしまう新人達、そしてその言動に佐助が何かしら仕掛けてくる事を察する手馴れたベテラン組の面々。
するとその時、佐助はその場で両手で印の字を組むと横へと体を捻り回しては瞬時に自身を三体に分裂したのだ。
そして三人の猿飛佐助は三人同時に印の字を切ると同時に面前のルーキーズと向き合った。
これぞ、猿飛佐助の瞬技 影分身。
「空の巣穴にも影は残っていたのです、だね」
分身で三人となった佐助は、すかさず眼前のルーキーズへと三人同時に攻撃を仕掛けていった。
「う、うわっ!」「ぐッ」
突然攻撃を仕掛けてきた佐助の大型手裏剣を寸での所で受け止めるアスナとブラック・ロータス。
分身が二人の美少女に攻撃を仕掛けていく中、他の分身も果敢にルーキーズに攻めていく。
「このッ」「おおっと、やるねお宅」
大型手裏剣を翳して斬りかかって来た佐助の攻撃を自身の剣で必死になって受け止めるキリト、そんなキリトに眼前の佐助は余裕を感じさせる微笑を口元に浮かべつつ言葉を掛ける。
「ホイホイっと、それそれっ……前・前・右っと」
一方、此方の佐助は両手から繰り出す二つの大型手裏剣を巧みに操っては縦横無尽に攻撃を展開し、ルーキーズの面々を退かせていく。
そんな佐助の三体の分身と繰り出される大型手裏剣での攻撃を回避しながら、攻撃してくる佐助にミラールが応戦しつつ声を掛ける。
「また一段と腕を磨いたわね、猿飛」
「へっへ、そりゃもう……俺様達だってこの二年間、ただ遊んでた訳じゃありませんからね」
不敵に声を掛けてきたミラールの一言に、佐助は余裕綽々な笑みを浮かべては応戦しつつ話し返す。
そして分身した三人の佐助はルーキーズのまだ実績浅い新人達を中心に、周辺のルーキーズの隊士達にも激烈に攻撃を繰り出しては攻め立てる。
「くっ……分身を打ち消す手は無いものか」
佐助の攻撃に逃げ惑いながらも、どうにか佐助の分身に対抗する術を見出そうとする隊士。
するとその時、ミラールが何を思ったのか咄嗟に駆け出しては同時に新人達に言い付けた。
「私に考えがある……! みんな! 忍の引き付け役は任せたわよっ!」
「えぇッ! そ、そんな……」
ミラールからの言い付けに眉を寄せて困惑してしまうキリトを始めとする新人達。だが、そんな彼らの状況を尻目に佐助は三人の分身で容赦なくルーキーズの新人達を攻めていく。
「おいッ、余所見してんじゃねェ!」
怒鳴りながら一体の佐助が新人らに向けて大型手裏剣を投げ付けた。
それに対して一瞬惑う新人組、だがその放たれた大型手裏剣に美樹さやかが剣で辛うじて弾き返してみせる。すると手裏剣を放った佐助に続き、今度は側面に周った別の佐助が手裏剣を手に構えてはその得物で斬りかかって来た。
「クソッ」
その佐助の手裏剣での斬り付け攻撃は佐倉杏子が持ち前の紅き槍で受け止めては防いでみせる。
さやかと杏子、二人によって攻撃を防がれた二人の佐助は一旦後方へと退いては、今度は二体同時に大型手裏剣を投げ付けて攻撃を仕掛けてきた。
「く……っ」
それに対し、すかさず暁美ほむらが二丁拳銃で二体の佐助が放った大型手裏剣を銃弾で弾き返した。
ほむらが手裏剣を弾き返すと、それと同時に鹿目まどかが身構えてた弓矢の矢を三人の佐助目掛けて射った。放たれた矢は魔法の効力で分裂し、無数の矢となってはそれらが全て三体の佐助目掛けて直進する。
しかし三人の佐助は慌てる様子もなく、その場を微動だにせず平然と両手に持っている大型手裏剣で自分らに降り掛かって来る無数の矢を悉く弾き落としていく。
そして全ての矢を弾き落とした三人の佐助は眼前と目の前の新人達に顔を向けては唐突に話し始めた。
「……フッ、お宅ら本気で戦ってんの? 弱すぎて話に成んないんですけど」
鼻で笑う佐助の嫌味溢れる言動と下衆な笑顔を見て、ルーキーズの新人達は完全にキレた。
『ブチのめす……ッ!!』
怒りで我を忘れた新人達は冷静さを欠けた状態で一斉に佐助達に飛び掛った。
だが、当の佐助三人はその攻撃を淡々と避けてみながら不敵な笑みを新人達に向けて、更に彼らの神経を逆撫でする。これは新人達の冷静さを欠けさせ戦局を有利にしようとする佐助の思惑だった。
新人達は躍起になって三人の佐助に攻撃していくが、悉くかわされてしまう。
しかし佐助の本心は、彼らへの挑発などではなく自分達の主将に対しての真情で一杯だった。
(大将に会わせる前に何とか片しておかないと……)
佐助は、ルーキーズの面々が自分らの主将の許に辿り着く前に決着を付けようと意気込んでいた。
一方、佐助の相手を新人達に任せたミラール率いるベテラン組は、佐助と新人達が対決している陣地の隣に位置する水門を管理する陣地で戦闘を続行していた。
「守れ! 門扉を塞ぐ巌とならん!」
陣地を守るモンゴル軍の武将率いる軍勢と立ち向かいつつ応戦していくミラール達。
迫りくるモンゴル兵を果敢に気絶させたりしては有利な状況へと持ち込んでいく。
するとミラールは、次第に状況が有利に展開していく現状を把握しては仲間の隊士に指令を出した。
「よしっ、後は私達だけで何とかなるわ! 誰か、新人達のサポートに向かってくれない? 多分あの子達だけじゃ苦戦している筈よ」
このミラールの言葉に、一人のルーキーズ所属の少女が挙げた。
「私が行きますっ」
すると、この少女の一声に彼女の父親である隊士も声を上げる。
「ま、待て楓! 一人じゃ危ない……俺も行くぜ!」
するとこの父親の発言に彼の相棒とその仲間達も口々に言い始めた。
「虎徹さんだけじゃ余計に心配ですッ! 僕も一緒に行きますッ」
「いいやッ、此処はチームワークで新人君たちを助けるべきだ。よってみんなで助けに行こう、うむ助けに行こう!」
「それが良いよっ、楓ちゃんも少しは強くなったとはいえコピーが主流のNEXTだもん。ボク達が付いて行って何かしらのサポートをしてあげないと」
「キッドの言う通りよ! 楓ちゃんも戦うんなら、私達との連携は欠かせないわ」
「うむ、キッド殿やブルーローズ殿の仰るとおりでござるな!」
「まあ、一応は体術とか前総長である修司から教わっているものの……やはりコピーが要なのは事実、俺達も付いて行くか」
「そうねっ、いざとなったら私達の能力をコピーさせてあげれば楓ちゃんなら余裕であの忍者を倒せちゃうわ」
父や仲間達の言葉に、最初に声を挙げた少女は感謝の言葉を返した。
「みんな……お父さん、バーナビー、ありがとうっ。それじゃ楓、行っきまっす!」
こうして少女は自分を思い慕ってくれる肉親や仲間と共にルーキーズ新人達の助勢へと駆け付けるのだった。
[対決! 三人の猿と虎の娘]
その頃、新人達は対峙する三人の佐助から挑発を受け冷静さを失いつつも果敢に攻め続けていた。
「このヤロッ……!」
剣を振り翳し猛進しては佐助に斬りかかるキリト、だが佐助はそんなキリトの剣戟を意図も簡単に受け止めては斬りかかって来る彼に声を掛けた。
「オイオイ、赤塚組の船から思ってはいたけど……君達、随分俺様に対して敵意を持っちゃってくれちゃってるね。何の因果で俺様に苛立っているんだい?」
「うるせ……ッ! アンタの声を聞いているだけで虫唾が走るんだよ……!!」
「何それ? 酷く身勝手な理由じゃん……!」
キリトの返答を聞いた佐助は身に覚えのない理由に酷く困惑してしまう。だが、キリトのみに非ず彼と同じ部隊でもあるアスナや【SAO】組の全員が佐助に対して敵意というか嫌悪感を感じてしまってた。
「それっ!」
「おおっと! お嬢ちゃん、いきなり斬りかかるなんて見た目に反して物騒じゃない」
キリトと対峙していた佐助に突如として斬りかかるアスナの行動に、佐助本人は彼女の優しそうな外見とは裏腹に攻撃的な思想に多少驚いた。
だが其処に、今度は他の面子であるシリカ/リズベット/クライン/エギル/そしてリーファらが一斉に佐助に攻撃してきたのだ。
「うわっ、何なんだよアンタらは! 始めて会った時から、やけに俺様の事毛嫌いしているけどヤメテくんない!? ホント」
しかし佐助の必死の頼みも聞き入れられずに、キリトやアスナ達は佐助を目の敵にしては苛烈に攻撃していった。
そんな【SAO】組の健闘を目の当たりにして、他の面々も活気付いてきた。
「私達も負けてらんないわ!」「うん、僕達も続こうッ!」
ブラック・ロータスとシンク・イズミの一言を皮切りに、【DOG DAYS】と【AW】の面々も奮闘し続ける佐助に攻撃を仕掛けていった。
更に、二組が動いたのを視認した【魔法少女まどか☆マギカ】組の方も動き出した。
「……私達も黙って見ていてばかりじゃいけませんわ。行きましょっ!」と巴マミの一言を切っ掛けに彼女らも佐助に攻撃していく。
そんな多勢に無勢で攻め立ててくる面子を見て、佐助は平然と迫りくる面々に言った。
「君達は虎穴に入り込んだ獣だ……ただで帰れるとは思わない事だよ」
モンゴル軍の基地を虎の巣穴に例えて語る佐助の言動に、迫る面々は多大な懸念を募らせつつも果敢に佐助に迫っていった。
苛烈な攻撃の中を掻い潜りつつ反撃していく佐助。と、その時。
「皆さんっ、大丈夫ですかーー?」
隣陣地から聞こえてくる声に、佐助と彼と対峙していた新人達はその声の方に目を向けた。すると視線の先には、此方へと助勢に駆け付けに来た少女 鏑木楓と彼女に付いて来たヒーローチームの面々の姿が目に入ってきた。
「か、楓ちゃん!」
駆け付けて来てくれた楓とヒーローズを見て声を発するアスナ。そして彼らの対決の最中に駆け付けて来た楓は、面前と佐助に対して身構えては彼に告げた。
「……猿飛さん、お久しぶりね。私の事は覚えている?」
この問いに佐助は平然と余裕そうな笑みを浮かべては楓に答え返す。
「ああ、覚えているよ……そのワイルドタイガーこと鏑木・T・虎徹の一人娘でコピーの特殊能力を持っている鏑木楓ちゃんだよね。何だい、君までお父さん達と同じで聖龍隊に入ったの? まだ小っちゃいんだから無理しない方が良いよ……」
「それは大丈夫。確かに二年前の大戦では、私はただお父さんやみんなの戦いを見てるだけしか出来なかったけど……あれから私だって少しは鍛えたんです。今はもう居なくなってしまった修司さんから色々と教わって、ようやく少しは戦える様になったんです! だから私は自分の能力を人の為に使っていく為にも……貴方と本気で戦います!」
「うむ、心意気は立派だね。それじゃ君がどれほどヤレるか、俺様が直々に見極めてあげるよ……君一人でどれだけ戦えるかを、ね」
かの小田原修司から手解きとして様々な組み手や戦術を教わった楓は、自分一人でも戦って見せると佐助に意気込む。そんな彼女の心意を利用して、佐助は彼女に一人で向かって来る様に挑発を掛けた。これに対し楓は佐助の誘いに乗るのだった。
「……分かったわ、いざ勝負!」すると「ちょ、ちょっと待った楓! いっくら修司君から色々と教わったからって、何も一人だけで戦う事は……!」と愛娘を溺愛している父親のタイガーが口を挟んだ。
この父の言葉に楓は自信に満ち溢れる顔と口調で言った。
「大丈夫、私だって戦える様になったんだから。もうお父さんやみんなに守られてばかりの弱い子じゃないって事を証明したいの。それに……何てったって私は、ワイルドタイガーの娘だし」
「か、楓~~~~ッ!!」
愛娘の言葉に父親のタイガーは号泣するほど感激してしまう。
すると、主将陣地から戦況を眺めていた主将が佐助に声を掛ける。
「佐助! 俺の事より戦況に気を取られろ!」
そんな中、遂に佐助と楓の戦いは火蓋を切った。
「まずはブルーローズの……えいッ」
先手を取ったのは楓、彼女は同じNEXTのブルーローズの能力である氷の力で大粒の氷柱を手から放っては佐助に向けて飛ばした。
「なんの、これくらい……ホイホイっ」
だが佐助はこの攻撃を前に微塵も動じずに、自身の得物である大型手裏剣を投げ付けては意図も簡単に無数の氷柱を弾き砕いてしまう。
「そ、それなら今度は……えいッ」
楓は一旦後方に下がっては後ろ手に戦いを傍観していたファイヤーエンブレムの体に触れては次の瞬間、素早く炎の弾を佐助に放った。
「そんな火の玉くらい……大将やお館様の取っ組み合いに比べれば微熱よ、微熱」
そう言い切ると佐助は自身から三体の黒い影分身を前方に放っては、その衝撃で起こった強風で炎の弾を容易く掻き消してしまった。
「そっ……!」
幾度となく自身が放った攻撃を防がれた楓は愕然としてしまう。するとそんな彼女に三人の内の一人である佐助が言葉を掛けた。
「それじゃ……今度は俺様から仕掛けさせてもらうね、お嬢ちゃん」
次の瞬間、佐助は前方の楓に向かって三人同時に駆け出しては一斉に飛び掛っていった。
「か、楓ーーッ!」『!』
娘の楓の危機に叫ぶタイガー、そして彼女の身の危険に動揺するその場の皆。
だが、その時である。「キースさんっ、少し借ります!」「え?」と楓は後方のスカイハイに近寄っては彼に触れて、スカイハイの風力操作能力を複製し、その能力で眼前まで向かってきた三人の佐助に強烈な風を送り込む。
「う、うわっ!?」
突然の強風に三人とも攫われては、強風を発生させた楓の目の前まで飛ばされてしまう。
そして楓は自身の目の前まで三人が飛んできたのを見計らっては、鬼神と怖れられた小田原修司仕込の拳を三人の身体に打ち込んだ。
強烈な衝突音が響くと同時に、三人の佐助は楓の足元に落とされては動かなくなる。その様子を傍観していたタイガーやヒーローチーム、更には新人達は楓の奮闘に大いに喜んだ。
「や、やった! 凄いぞ、楓!」
誰よりも愛娘の活躍に喜ぶタイガー、そんな父の掛け声に同じく嬉しく思う楓。
だったのだが、ふと楓が自身の足元に落下した三人の佐助に目を向けてみると彼女は驚愕した。
「えっ、こ、これは…………身代わり!?」
なんと楓の足元に転がっていたのは佐助とその分身ではなく、三つの丸太であったのだ。楓はこれを見て即座に佐助が[変わり身の術]で自分らと丸太を瞬時に入れ替えて攻撃を回避した事に気付いた。
そして当の佐助三人は再び楓の目の前に姿を現しては、彼女に言った。
「何だい、これでお終いかい? もっと手足れているとばかり思ったんだけどね……」
「っ……」佐助の一言に楓は表情を険しくさせた。
更に佐助は基地内で蠢き続けるルーキーズの手勢に、その行動を見張るような物言いで軽く申した。
「裏から大将を狙わせるほど、温くはないよ」
自分が居る限り、此方の裏を掻いての進軍を行わせはしないと豪語する佐助の言動に皆は一瞬躊躇する。
そして再び両者が対峙し合った、その時だった。
[水浸しの猿と引き際]
「さ、佐助さーーん!」「んっ?」
自分を呼ぶ声に、顔を声のした方へと向ける佐助。
すると彼の視界には迫りくる大水に逃げ惑うモンゴル兵達が入って来たのだ。
「な、なんだ!?」
突然の事態に状況を把握し切れない佐助、だが逃げ惑うモンゴル兵は大水に襲われては押し流され、しかもその大水は佐助の方まで迫ってきた。
「なんだ、なんだ……うわっ!」
そして佐助は大水に飲み込まれ、彼と対峙していた楓やヒーロー達に新人らは寸での所で逃避しては大水から逃れた。
大水が流れてきた方に目を向けると、其処は陣地の隣に通じている水門を管理している別陣地であった。そう大水は先ほど陣地を制圧してミラール達によって開口した水門から大量の貯水が一気に放出されたのだった。
この水門開口による大水の急襲によって、モンゴル軍は大損害を高じてしまうのであった。
更に、この放水にて主将が待ち受けている陣地を囲む堀とそれに通じている水路が完全に枯渇した。
そして更に水路開放により、猿飛佐助の分身は全て消滅した。オマケにモンゴル分隊も散り散りになっては分散し機能を停止した。
一方、陣地を制圧し水門を開口させ大量の水で佐助の分身を見事消滅させる事に成功したミラール率いるルーキーズは大いに喜びつつも即座に佐助と対峙している仲間達の許へ駆け付けるのだった。
「あ~~あ台無し……水もしたたる何とやら、だ」
全身ずぶ濡れの水浸しの状態で唖然としてしまう佐助、だが主将陣地の周囲の堀と水路が完全に枯渇した事にルーキーズの隊士らは大いに嬉々とした。
「おお、堀より水がひいたぞ!」
そして楓達の許へ駆け付けたミラール一行は、水浸しで分身を消失してしまった佐助を前に強く言い切った。
「さあ、此処から挽回よ! 猿飛、覚悟!」
ミラール達が佐助に攻撃を仕掛けようとしたその時、ミラール達を楓が止める。
「待ってミラール! それにみんな……佐助さんは私一人で戦うって決めたの! だからお願い、手出ししないで……!」
「楓ちゃん……」
楓の強い闘志にエンゲキブや駆け付けた面々は唖然とした。と、そんな強い意志を主張する楓の言動に、総部隊長のミラールが彼女に告げた。
「……そう、それが貴女の意思なのね楓……分かったわ、この場は貴女に一任するわ。思う存分、仕合なさい!」
「み、ミラール……ありがとう!」
楓の意思に突き動かされたミラールは、彼女に佐助との仕合を思う存分に奮わせてあげる。そして楓も自分の意思を認めてくれたミラールに偽りない感謝の言葉を返すのだった。
そして楓はミラールの了承を得て、再び佐助と対峙するのだった。
「おや、まだヤル気なのかい、お嬢ちゃん。もう降参したって構わないんだよ、お兄さんも必要以上に甚振るほど鬼畜じゃないし」
「お生憎様、私だって昔よりは強くなっていると証明する為にも……いいえ! 自分自身の為にも貴方と勝負する! だから宜しく、小父さん」
〔ガクッ〕「お、小父さん……っ」
佐助の話に対し強い面魂で反論する楓、一方の佐助は楓に小父さんと呼ばれ内心ジミに傷ついた。
そんな中、楓と佐助は再び仕合を始めた。戦局は分身を失いつつも単身で果敢に攻めていく佐助に少しばかり傾いていた。が、楓の方も佐助に引けを取らず精一杯応戦していく。
時おり仲間のヒーロー達に触れては能力を変えて巧みに佐助を押していく。
そんな楓と佐助の闘いを無言で見据えるミラールにサイモン・カイナことサイが訊ねた。
「み、ミラール……なんで楓ガールを一人っきりで忍者と闘わせるんだ! あの子はまだまだ実戦慣れしていないのに、もしもの事があったら……」
経験の浅い楓にもしもの事があったらと懸念を抱くサイ、するとミラールは真顔で問い詰めてくるサイに語った。
「鏑木楓、彼女が自ら一人で佐助と闘うと決意したからよ。彼女自身が決心した真情を否定するなんて権限、私には無いわ」
「……!」
「それに……まだ経験の浅い彼女にこそ、経験を積ませられる良い機会じゃない。何より、そんな彼女が一人で闘う勇姿を新人達に見せれば、彼らにとっては良い刺激になるでしょう」
「…………」
ミラールの思考にサイは何も反論する事ができなかった。
楓と佐助の一騎打ちの最中、主将陣地にて待機している主将が奮戦している佐助に応援の言葉を掛けた。
「進め、佐助! モンゴル軍が誇りし副将よ!」
だが、これに対して佐助は若干呆れながらも言葉を返した。
「副将のつもりはないんだけどなァ」
そんな中、時おり能力を変化させては多種多様な戦法を使う楓に、応戦していく佐助が迫りくる楓に言い放った。
「財布の中身とあんた等の勝利……どっちも無いね」
するとこの佐助の言葉に楓は応戦しながら言い返した。
「財政が厳しいのは、どちら様でしたっけ?」
楓はモンゴル軍の財政が圧迫している現状を、皮肉たっぷりに佐助へと言い切るのだった。
そんな楓の奮闘を目の当たりにしたルーキーズ隊士らは、彼女の健闘に見取れながら一言。
「ああいう頑張り屋、一人は必要だよね」
と、楓と佐助が熾烈な戦闘を繰り広げている最中、二人の闘いを傍観していたルーキーズの面々にモンゴル軍兵士達が迫ってきた。
「佐助殿がこれほど奮っておられるならば!」
モンゴル兵も楓と対戦している佐助の奮闘を見て勇気付けられたのか、彼女以外のルーキーズ隊士に迫りつつあった。
群集で一気に戦況を自分達側へと傾けさせようと躍起になるモンゴル軍を目の当たりにし、ミラール達は自信に満ち溢れた面構えで戦闘態勢に入った。
「いいわ、まとめて相手になってあげる! かかって来なさい!」
勝気に溢れる口調でモンゴル軍と対峙するミラールとルーキーズ主力メンバー、そしてルーキーズ隊士たち。
そして次の瞬間、両勢力は一気に駆け出しては眼前の軍勢へと向かって行った。
「気候は寒くとも、常に闘志は熱気満々! 我らモンゴル軍の実力、ルーキーズに見せてやれッ!」
「掠り傷の一つも負わせて見せようぞ!」「熱血ゥ!」
燃え滾る闘志で苛烈に攻めていくモンゴル軍に、ルーキーズは果敢に応戦を展開していく。
そしてルーキーズとモンゴル軍が互いに激しく衝突している最中、楓と一戦交えている佐助がふと自身の胸中に留まらせていた懺悔の念をポツリと対峙している楓に口ずさんだ。
「俺様は病一つ見通せなかった……」
「…………」
「だから……今度は何も見逃さない!」
佐助は更に闘志を意気込ませると同時に楓に向けて攻撃を仕掛けていく。
「はぁ……はぁ…………」
意気込む佐助とは反対に、楓の方は次第に疲労が募り息が上がり始めてた。
そんな楓を見兼ねて、父親のタイガーが楓に声を掛ける。
「無理するな楓! お前はもう充分闘った! あとはパパ達に任せて一旦退くんだ!」
「ハァ……」
声を掛ける父の方に目を向ける楓。と、その時。楓が自分に声を掛けたタイガーに意識を向けていた、その一瞬の隙を衝いて佐助が空かさず攻撃を放った。
「隙ありッ」「っ! しまった……!」
一瞬の隙を見逃さず攻撃を仕掛けてきた佐助に対し、楓は眼前まで迫る佐助の攻撃に抗う術がなかった。
だが、楓に佐助の攻撃が直撃する瞬間
「やらせるかッ」
と大声を発しながらシルバー・クロウが強烈な斬撃を放っては楓に直撃寸前の佐助の攻撃を弾き飛ばした。
「なにッ?」
地面が抉れるほどの強烈な斬撃に肝を抜かれる佐助。更にそんな驚き怯んでいる佐助にキリト/アスナ、そしてシンク・イズミ/ミルヒオーレの四人が一斉に剣を振り翳しては佐助に斬りかかった。
『やーーッ!』「くっ」
四人同時の剣戟を寸での所で二つの大型手裏剣で受け止め防ぐ佐助。だが佐助が四人の攻撃を受け止めているその時、彼のすぐ横方向から暁美ほむらと巴マミの両名が自身の銃撃の最大火力の魔法技で佐助を狙い撃とうと、技を展開していた。
「う、うそ? マジ!?」
魔法に関しては疎い佐助であったが、二人から発せられる気迫と展開している技の情景から、その技がどちらとも強力かつ必殺技的に威力の凄まじいものであると瞬時に察した。
そしてほむらとマミが技を放つ瞬間、二人が技を放つのを察したキリト/アスナ/シンク/ミルヒオーレの四名は瞬時に佐助から離れては後退する。
四人が後退したのを見計らったほむらとマミは一斉に強烈な火力の大技を佐助に向けて砲撃した。
「ちっくショーーーーッ!!」
強烈な砲撃に呑まれた佐助だったが、彼は瞬時に自身と身代わりの丸太を入れ替えては直撃を回避した。
だがこれにより、佐助の気力や体力は殆ど消費してしまった。
「参ったな、これ」
そう呟きつつもルーキーズ達の前に姿を現しては、半ば疲労が感じられる表情でルーキーズの面々を見据えていた。
そしてルーキーズと佐助が対峙している最中、佐助と一騎打ちしていた楓が自身の窮地を救ってくれた新人勢に礼を述べてきた。
「み、皆さん……どうも……」
自身の一騎打ちの邪魔をされたとはいえ助けに入ってきてくれた面々に礼を言う楓、すると相手側は楓に各々話し返した。
「な~~に、良いって事さ楓ちゃん」
「ただ、いくら新人とはいえ貴女だけに闘わせるのは見ていて忍びないものだったから、つい助けに入っちゃっただけよ」
「僕達だって、一応はルーキーズの一員として今この戦場にいるんだ。何かしらの役には立たないと、それこそ申し訳ないよ」
「少しは活躍していかないと……」「他の仲間達にも示しが付きませんしね」
「貴女だけに頑張らせて、自分達は何もしないなんて虫のいい事はしたくないし」
「でも……私達同様、余り実戦経験を積んでないのに良く頑張りましたわ。立派です」
キリト/アスナ/シルバー・ロウ/シンク/ミルヒオーレ/ほむら/マミからの激励に楓は息を上げながらも嬉しさを顔に表した。
その時である。佐助が守っていた主将陣地への門が突如として開いたのだ。
虎穴というべき門への侵入が可能となった現状の最中、その主将陣地にて腰を据えていた将が佐助に必死ながらに叫んだ。
「もういい、佐助! そろそろ退け!」「大将のご命令とあらば!」
主である青年の一声を聞き、佐助は引き際を弁えては速やかにその場を撤退した。
[対顔! 熱き猛虎]
そして守る者が居なくなり開放された主将陣地への門を前に、ルーキーズ新人勢と鏑木楓が前へ出たヒーローチーム。と、そんな門前で陣への突入を躊躇している面子にミラールやその他のベテランルーキーズが声を掛ける。
「あなた達! そっちは正面から進攻、私達は陣裏手より相手の背後から攻める……前後から挟み撃ちで主将陣を取り囲む!」
更にミラールは門前の面々に指示を告げると次に楓に話をかけた。
「楓!」「はっ、はい……」
「……あなたの先ほどの戦い、目を見張るほどの成長振りだったわ。その調子で新人達に良い手本を示してあげてちょうだい!」
「は……はい!」
ミラールからの激励に楓は喜々と返事をし、そしてミラール指揮するルーキーズベテラン組は枯渇したモンゴル軍基地の水路と堀を通って主将陣地の背後に陣取る相手方陣地へと進攻していった。
そして激励を受けた楓は新人勢や同じヒーローチームらと共に主将陣地へと進攻した。
一行はモンゴル軍主将陣地へと辿り着き、そこで彼らの前に現れた主将は……
風に靡く赤く長い鉢巻と茶髪の長髪を数多に束ねたポニーテール、そして紅き衣と装具を身に着けた力強い面立ちの青年が振り返っては闘志熱く語り出した。
「モンゴルが熱き魂は、我が胸へと受け継がれた……!」
二槍の三叉槍を降り翳しつつ青年は更に熱くそして真に迫る物言いで語り続ける。
「託し、繋ぎ、留め……また、託す為……!」
次の瞬間、青年は威勢を示さんとばかりに構えていた二槍の三叉槍を巧みに振り回し言い放った。
「このユキジ! モンゴルが礎と、相成らんッ!!」
天覇絶槍 シン・ユキジ 見参
圧倒的熱意伝わる戦意を剥き出しにしては、モンゴル軍総大将シン・ユキジは眼前の楓達に二刀の槍を振るいながら猛進してくる。
「楓殿! そして異世界の猛者たちよ! お久しぶりでござるッ! このユキジ、一騎打ちの腕前……決して衰えてはいない事を証明仕るゥ!」
「は、はぁ……お、お久しぶりです。ユキジさん……」
二年前のアジア大戦の時以来の顔合わせの間柄である楓たち【TIGER&BUNNY】の面々は、変わる事ないユキジの暑苦しいまでの熱気と闘志に呆然としつつも楓は言葉を返す。
「お初にお目にかかりますッ、新たなる聖龍隊の
『…………あ、熱い……』
ユキジと始めて顔を合わせるルーキーズの新人達は、彼から発せられる暑苦しさに呆然としつつも同時にその灼熱に汗掻いていた。
と、そんな呆然としてしまっている面々に、ユキジは熱い闘魂を込めた一振りを奮っては果敢に攻めてきた。
「うおりゃあッ!」「ぐ……ッ!」
灼熱に燃え盛るユキジの槍を寸での所で受け止めるシアン・パイル。シアンに続きユキジは彼の傍らに居たスカーレット・レインにも烈火の如き槍捌きを振るっていく。
「速きこと風の如く!」「くっ」
素早い動作で攻撃してくるユキジの槍を瞬時に回避してみせるスカーレット、だがユキジの猛攻は留まる事を知らず彼は自分を取り囲み出した新人勢に対して、二本の槍うち一本を地面に突き刺し、槍の端を繋げた状態で掴みながら足で地を蹴り飛ばした。
「紅蓮脚」
ユキジは熱き闘魂を込めた脚で周囲の新人勢、キリト/アスナ/リコッタ・エルマール/シルバー・クロウ/高槻七海/エギルらを蹴り飛ばしていった。
「ぐはっ」「きゃあっ」
ユキジの回転蹴りを喰らい、蹴り飛ばされる面々。しかしユキジは攻撃の手を緩める事無く、苛烈な槍捌きで攻め続けていく。
「烈火ァ!」「ッ……!」
目にも止まらぬ槍の連続突きを放つユキジの猛攻に美樹さやかは得物の剣で必死に防いでいく。と、そんな猛攻を続けるユキジと身動きが取れないさやかの現状を見て、すかさず佐倉杏子が槍を振るっているユキジへと自慢の槍を突き放った。
「ッ、なんの!」
自身へと突かれた槍を己の槍で防ぐユキジは、突いてきた杏子に槍を交えながら声を掛けた。
「見事……だが、槍の使い手なら某の方が上手でござる……! ふんっ」
次の瞬間、ユキジは二刀の槍で杏子の槍を弾き返すと彼女の空いた懐へ狙いをつけて自身の得物を振るい放った。
だが、その一瞬の内にユキジの槍での攻撃は弾かれてしまい、一瞬困惑してしまうユキジが再度見てみると、何と杏子の槍が一定の長さで折れ曲がり、その先端がユキジの槍を弾いたのであった。
「な、なんと! そなたの槍、仕掛け槍でござったか……!」
「ふっ、正確に言えば仕込み槍さ。アタイのこの槍の動きに付いて来られるか?」
多彩に各所が折れ曲がり変幻自在の動作をする槍に大変驚くユキジに対して、杏子は半ば挑発するかのようにユキジに返事する。
そして二人は同じ槍使いとして多彩に、そして果敢に鬩ぎ合った。動きの読めない動作と槍の動きで相手を撹乱する杏子に対し、ユキジは二本の槍を巧みに操っては熱き魂で応戦する。
「おらうるあぁああぁ、うるああぁぁぅあッ!」
もはや煩いとしか言い様のない唸り声を発しながら眼前の杏子に苛烈な連撃を放ち続けるユキジ。一方の杏子も、そんなユキジの猛攻に暑苦しさを感じながらも必死に応戦していく。
しばし二人の攻防が続いたその時、ユキジが攻撃の手を止め、厳つい目付きで眼前の杏子に右手の槍で指し示しては話を掛けた。
「はぁ……そなた、実に俊敏な動きでござるな! 失礼ながら、名を御教え頂きたい」
杏子の素早き動きと巧みな戦闘に敬意を持ったユキジが訊ねると、杏子もそれに快く答えた。
「ハァ……アタイの名は杏子、佐倉杏子だっ! あんたの二刀流の槍も中々だね……」
互いに息を切らしながら激しい攻防を繰り広げた二名は、同じ槍使いとして何かしらの共感を得たのだろう。そんな二名の清々しい程の攻防を目の当たりにしていた面々にも、ユキジは顔を向けて訊ねて来た。
「はぁ、失礼……いくら演習とはいえ、互いの名を知らないまま交えるのは不味いでござるな。改めて……某、モンゴル軍総大将を代理とはいえ務めさせて頂いておりまするシン・ユキジと申す! 以後、宜しくお願い仕る……!」
礼節を重んじたユキジの接し方に甚く感服した新人勢は、挙ってユキジに名を申していった。
「俺はキリト、宜しくな」「私はアスナ」
「シリカよ」「リズベット」「クラインだ」
「エギルってんだ、宜しくな熱血漢のにいちゃんよ」
「リーファって言います」
「シルバー・ロウです……(一応、本名は伏せて置いた方が良いのかな?)」
「……ブラック・ロータスよ」「ライム・ベルです……」
「シアン・パイルだ」
「スカーレット・レイン」「し、鹿目まどかです……」
「暁美ほむら」「美樹さやか」
「巴マミです」「あたしっ、百江なぎさですぅ!」
自分達の名前を口にしていく皆々、だが中には本名を語るべきかどうか葛藤しては思わず別名を名乗ってしまうキリトの名乗りを皮切りに他の皆々も挙ってその別名を語ってしまう。
そんな新人勢の名前を知ったユキジは、再び戦意を露にしては皆に槍の先を向けて熱く語った。
「新たなるルーキーズの精鋭達! 某は皆々様と、こうして演習とはいえ己が闘志を交えられた事……実に、実に! 光栄でございまするぞッ! これを機に、互いに己の実力を上げては戦の腕前に磨きを入れましょうぞ!!」
「は、はぁ……」
「あ、あの……あの人って、いつもこんな感じなんですか?」
熱く語り続けるユキジの言動に呆然と対面している杏子、そしてユキジの言動に対してまどかがタイガーに訊ねてみると彼は苦笑しつつも答えた。
「ああ……彼は最初会った時から、あんな感じなんだよなぁ。生真面目で真っ直ぐな性根の若者なんだけど、暑苦しくって……」
するとタイガーに続きバーナビーも話した。
「まあ、彼だけでなく、このモンゴル軍そのものが暑苦しいんですけどね」
「は、はぁ……」
バーナビーの釈明にアスナは思わず呆然としてしまう。
そして皆の名乗りを聞いたユキジは、颯爽と二本の槍を振り翳しては再度ルーキーズの新人達に猛烈な言動を投げた。
「では! 互いに名乗りが終わった所で再度組み合いと行きましょうぞッ! 拙者の方はいつでも大丈夫でござる! さあ、そなた達の熱き魂、某に見せ付けて下せぇッ!!」
「い、いや……」
臨戦態勢に入るユキジと反して、彼の熱く猛烈な言動に圧倒されていく新人達。するとユキジはそんな新人勢を見兼ねて、今度はベテラン組であるヒーローチームの方に声を掛けた。
「虎徹殿ォ! 年波も感じさせない、そなたの逞しき戦い……どうか、このユキジに再び見せて下さいましィ!!」
「い、いや、ちょっと……小父さんねぇ、その……」
「バーナビー殿! そなたの素晴らしき闘志感じさせる拳を、どうか思う存分拙者に奮って下さいましィ!」
「えっ? で、ですけど……」
「スカイハイ氏! 今回こそは、其の方の強烈な風塵を打ち破って見せますぞッ!」
「いや~~、いっつも君は熱いね~~……そして熱いねぇ」
「ドラゴンキッド殿! そなたの雷の拳と某の炎の拳、どちらが上か今こそ決着を付けましょうぞッ!」
「う、うん……(決着は良いとして、相変わらず熱くって闘ってもいないのに体力が消耗しちゃう気がするよ……)」
「ブルーローズ殿! そなたの冷気、己が熱き魂にて見事返り討ちにしてごらんにしましょうッ!」
「……(もうアンタが近くに居るだけで、充分暑苦しいんだよっ!)」
「折紙殿ォ! そなたの佐助に負けず劣らぬ身のこなしっ振りで、今一度拙者に鍛錬を付けて下されぇッ!」
「ふ……ふむ、良かろうぞ! それがしも、また貴方様と一手御指南をしてみたかったのでござるっ! ど、何処からでもかかってきてくだされでござる!!」
「ファぁイヤーーエンブレム殿も! そなたの炎の力と、某の紅蓮の如き焔! どちらが真に熱く滾ろう闘志か、今こそ見極めましょうぞッ!!」
「フフ、いつもの事ながらアッツいボウヤだ事。何よりも二年前より格段に男が上がっていて、食べ頃って感じ?」
「ロックバイソン殿! そなたの鋼の如き屈強な肉体、今宵こそは是非とも我が槍にて傷の一つや二つ付けて御覧に見せましょうぞッ!!」
「お、おいおい……いっくら俺の体が硬くなるって言っても、限度があるんだからな……お手柔らかに頼むよ……って、言っても君は手加減しない性分だからな……」
ユキジに声を掛けられたヒーローチームは、各々が彼の熱い言動といつもの言い回しに呆然と反応していた。が、ユキジは更に続けて、先ほど佐助と対面してた楓にも声を掛けてきた。
「楓殿ッ! 先ほどの、そなたと佐助の闘いは見事でござった! 今度は某と一戦交えてくださらぬかッ!? 某、楓殿の様に若くとも心身立派な
「い、いえ……あの、前々から申しているとは思うんですが、私達はあくまで武士とか侍じゃないんですが……」
ユキジからの熱い問い掛けに対し、楓は彼の思考の食い違いに対して半ば呆れてしまってた。
[水底の焔]
ルーキーズの新人勢、そしてベテラン組のヒーローチーム達と一汗掻いたシン・ユキジは、二度目の鍛錬がてら再びルーキーズの面々と対峙しようと、槍を振るっては準備運動を始めた。
「準・備・万端! さあ、何処からでも参られようぞ!」
と、ユキジが眼前の新人勢に槍を向け、いざ闘い合おうとしたその時「ごほんっ」とユキジの背後から何者かの咳が彼の耳に入った。
ユキジが後ろを振り向くと、其処には裏手に回り後方の陣地を奪取しては主将陣へと突入してきたミラール率いる残りのルーキーズ達が笑顔で勢揃いしていたのだった。
「……な、何たる事! このユキジ、背後は万端に非ず!」
ミラールが率いる他ルーキーズ勢は、主将であるユキジの背後を取った奇襲に成功した。
枯渇した水路を通ってユキジの後方に周ったミラール達は、主将陣の後方に位置していた陣地を奪取しては主将陣に続く奇襲路を確保し、そこを通って来たのだった。
「馬鹿な、基地が堀に水ある限り……なんと! 堀に水は無しッ!?」
『今頃気付いたのかッ!』
今の今まで自らが陣取っていた陣を囲む水堀が枯渇している事に気付かなかったユキジに、彼と対面していた新人勢とヒーローチームらは愕然とした。
だが、追い詰められたユキジはそれでも尚、奇襲を仕掛けてきたミラール達へと矛先を向けては敢然と言い放つ。
「い、いや……ならば、いっその事そなた等と一戦交えては、己の中の眠れし猛虎を呼び起こすまで!」
そう叫んだユキジは眼前のミラール達に槍を振るい迫りくる。しかし矛先のミラールは微動だにせず黙然と迫るユキジを腕組みしつつ見据えていた。
その光景を前にした新人勢にヒーローチームの面々はミラールへの直撃を微かに脳裏に浮かべた。
だが次の瞬間、ミラールは攻撃が直撃する瞬間に横へと回避すると同時に足を突き出しては突進してくるユキジの足を引っ掛けた。
「ぬぅおおおぉッ!?」
足を引っ掛けられたユキジはそのまま派手に転倒しては、壁に直撃するまで激しく転げ回った。
『……………………』
派手に転倒しながら壁へと激突したユキジを目の当たりにして、先ほどまでユキジと熾烈な戦いを繰り広げていた新人達や楓たちヒーローチームの面々は思わずポカンと口を開けて唖然となる。
一方の激しく転倒し壁に衝突したユキジは起き上がると、頭を抱えながらも右手の槍先を再度ミラールへと向けては言い放った。
「ぐっ……ま、まだまだ……! 某は、これしきで参る訳には行かぬのだ……!!」
痛みで若干涙を浮かべるユキジの瞳からは、まるで闘志という名の焔が水底で微かに燃えているかの様な思想が浮かび上がっていた。
そんなユキジの瞳から垣間見える彼の微かに揺らぐ意思に薄々気付くミラール、だが当のユキジはそれでも尚ルーキーズのベテラン勢に向かって自慢の槍捌きを振るって行く。
「佐助が命懸けで整えた場……無駄にはせぬ!」
かつては同じ立場であり今では頼れる側近である猿飛佐助が整えてくれた戦場で負ける訳には行かないと闘志を募らせるユキジの猛攻は続く。
「怖るるは死にあらず、ただ果たせぬ事のみ!」
死に絶える事よりも与えられた務めを果たせない事の方がよっぽど苦であり後悔であると言い切るユキジ。
だが、そんな額に汗を流し猛然と奮い続けるユキジと向き合っていたミラールは彼の攻撃をかわしつつ、その瞳の奥から垣間見える迷いに近いユキジの心意を察する。
そして回避してばかりであったミラールは瞬時に自身の得物であるミラージュ・ガンを手に取ると銃口から火を噴き出しながらユキジと激しく取っ組み合った。
ミラールの銃とぶつかる度に火花を散らすユキジの二槍、その二槍と激突する毎に銃口から火を噴き組み合うミラールの二丁銃。
双方が互いに激しく組み合っていた次の瞬間、一瞬の隙を衝いてミラールがユキジの所持していた二槍を弾き飛ばした。
「!」
激しく取っ組み合いつつも二本の槍を弾かれてしまうユキジ、そんな彼と槍を弾いて見せたミラールに周囲の皆々も肝を抜かれた。
そして自身の得物である二槍を弾かれ呆然と膝を着いてしまってるユキジの眼前にミラールは銃口を突き付けながら真顔で語り掛け始めた。
「……どうしたの、ユキジ。今の貴方からは迷い……いえ惑いの心意しか感じてこないわ」
「…………」
「戦いの中ではもちろん、戦況での言動にも感じられる……昔のように、一心不乱なまでに迷いなき心持ちで直向に猛進していた紅蓮の若虎でなくなってるわ! 一体どうしたの!?」
「………………」
「貴方達モンゴル軍は、かの日本の戦国武将 武田信玄から伝わっている兵法で今日までの武功を立ててきた筈……速きこと風の如く、静かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと山の如く、動くこと雷鳴の如し……その兵法をモンゴル軍に取り入れたモウ・コダイから、貴方は何も学んでなかったの!」
ミラールから講釈を語られつつも、ユキジは何も言えず遂にはその顔を下に向けて黙り込んでしまう。そんな彼の圧迫している心境に追い討ちするかの如く、ミラールはユキジに言い放った。
「迷い、惑い……的確に味方の指示も出せず、オマケに自身の腕も鈍らせている今の貴方では、到底私達聖龍隊との同盟はもちろん……戦場にすら立つ事すら危ういわよ」
「ッ……!」
手厳しいミラールからの言葉に、ユキジは心の底から衝撃に駆られた。
更に、そんなミラールの言葉に衝撃を受けているユキジの前に佐助が現れては、彼もまたミラールに続いてユキジに厳しく言葉を放つ。
「そうだぜ大将」「! 佐助……!」
「よく見てみろ、自分を取り巻く戦況を……これがアンタの采配だ」
佐助に言われユキジは周辺の戦況を見回した。ルーキーズに痛め付けられ、傷つくモンゴル兵……自身が至らぬばかりに深手を負ってしまった自軍の有様を目の当たりにして、ユキジは酷く落胆した。
「許せ、モンゴルの者達……お許しを、お館様……」
落胆すると同時に両膝を地に着かせ嘆くユキジは己を責め続けた。
「うおおおおおおおぉぉおおおお…………!」
己の不甲斐無さを責め、嘆き落胆するユキジは絶叫するのであった。
だが、そんなユキジを見詰めながら佐助は人知れず小さく呟くのであった。
「反省だけなら、猿にでもできるっての……」
少し前までは同じ一兵率として共に務めてきたユキジと佐助、だが今のユキジは仮にもモンゴル軍総大将と自分を含めたモンゴル兵の上に立つ人物。佐助はかつては友であり今は軍の統治者であるユキジに敢えて厳しく接し続けていた。
[病身の大虎]
ルーキーズとモンゴル軍との演習が終わり、辺りはすっかり日が暮れ空が微かに紅く染まっていた。そんな頃合、モンゴル軍基地のとある一角の建物その室内にミラールを始めとするルーキーズの隊長格の面々が集結しては部屋の一角の床の間に姿勢を向けては一同正座していた。
彼らの視線の先、そこには優れない顔色で病床に伏せる筋骨隆々の大男の姿があった。そんな大男にミラールは静かに声を掛ける。
「……調子はどう? モウ・コダイ」
すると大男は顔を向けてはミラール達に言葉を返す。
「……おお、そなた達は……久々じゃのう、ルーキーズ。済まぬな、こんな姿で主らと再び顔を合わすとは……」
「良いのよ、貴方は自分の体の事だけ気にしてればいいの……まあ、そうそう落ち着いていられる心境でもないとは思うけど」
「すると……やはり、主にも分かるのか?」
「ええ、分かるわ……貴方が病身の自分に代わって国軍を任せた、いいえ任せられる逸材であるシン・ユキジには未だ将としての器量が備わってない。故に、このままではモンゴルの加護は……」
「うむ、その通りなのじゃ……ユキジは、未だ一兵率としての心境が抜け切れてないのが実情。何より、まだまだモンゴル軍を引っ張るだけの度胸が完全には満たされてない……悩みどころよ」
そう言うとモウ・コダイは顔を天井に向けては思いに耽る。
「……じゃが、ワシの後を継げるのはユキジしか居らん。あ奴の秘めたる猛虎の如き自我が、迷いという名の水底から這い上がれば……ユキジはもう、立派なモンゴルの将として輝く事ができるじゃろう……」
「…………」
病身でありながらも弟子であるユキジと彼に託した祖国への強い思いを語り明かすモウ・コダイの言葉に、ミラール達は敢然と聞き入るのであった。
一方その頃、同じ基地施設の一角では演習を終えたルーキーズメンバーとシン・ユキジらが休息を取っていた。
「お館様……お館様……ッ」『…………』
部屋には己が師匠であるコダイの病に誰よりも嘆き悲感するユキジと、そんな彼を見て居た堪れない心境に駆られるルーキーズの隊士たち。
そんな折、部屋に駆け込む様に入ってきた猿飛佐助が嘆き続けるユキジに駆け寄ると同時に彼の服を掴んでは激しく言い寄った。
「いい加減にしろよ、大将……! アンタがどんなに泣こうと喚こうと、お館様の病が治る訳でもないんだ!」
ユキジの服を掴み言い寄る佐助は、更に引き続きユキジの手首を掴み取っては彼に激しく問い掛ける。
「しっかりしろよユキジの旦那! アンタはモンゴル軍の大将で俺達を引っ張っていかなきゃならないんだろう!?」
佐助に問い詰められ、激しい表情を彼に向けるユキジ。その表情を見て佐助は思う(このままではいけない)と……。
唯一の導しるべと言えるモンゴル軍国将軍モウ・コダイの病による床伏せ、そんな受け入れ難い現実を前にして、病に苦しむコダイに代わって国将軍の代理として就いたユキジであったが、今の今まで師であるコダイの指示のまま、有りの侭で戦場を駆け巡ってきた彼には未だ難局を打開するまでの器量が備わっておらず、師の病床と自国軍の総大将という重圧に挟まれるユキジは激しく葛藤している現状であった。
そんなユキジの苦境、そしてそんなユキジを思うが為に彼に強く説き掛けていく佐助、二人の緊迫した対話にルーキーズの面々は息を呑み、ただただ見続けるしかできなかった。
と、そんな佐助にルーキーズの新人達が話し掛けてきた。
「な、なぁ……猿飛」
「ん、何だい? 確か、シアン・バイルこと黛拓夢さんよ」
「いや……前々から、そうアンタが赤塚組の船上で僕達と一戦交えてから聞いたんだけど…………そっちの、モンゴル軍の総大将は、本来は今、病床の身であるモウ・コダイという武人なんだよな」
「……ああ、本来はね。だが、そのお館様が病で伏せってしまったからユキジの旦那が代わりにモンゴル軍国将軍に任命されたって訳」
黛拓夢からの問い掛けに真顔で答えていく佐助に、拓夢に続いて同じ隊のメンバーである有田春雪も言葉を掛けた。
「だ、大丈夫ですか……? あの人、ユキジさん……かなり参っているみたいですけど……」
「そうね……武人としての腕前だけではどうする事もできない、師の病と国を護る重責の板挟みで、かなり精神的に追い詰められているわね」
春雪の不安気な言葉に続き、厳つい顔で黒雪姫も佐助に語ってく。すると佐助は質問を投げてきた面々に、こう答え返した。
「確かに……今の大将は、まだまだ戦況を理解し打開するまでの器量も戦略も備わってない……だが、それでもあの人はあの人なりに一生懸命考えてはそれなりに戦ってくれているし、何より国の人々からの人望も厚い。大将の至らぬ点は、俺達忍隊やモンゴル兵で補うとして、大将にはもっと自分を成長させてほしいのよ」
『………………………………』
「……だからこそ、今のモンゴル軍には兎にも角にも情報を掻き集めなきゃならないし……それ以上に戦力となる味方も必要なんだ。無論、タダで味方になってくれる勢力なぞ存在しやしない……それなりの見返りか、或いは何か理由を吹っかけて俺達の味方に引き込まない限り……俺達モンゴル軍、いやモンゴル共和国という存在そのものが窮地に立たされるって現状よ」
粗方、自分達の事情をルーキーズの面々に語り明かした猿飛佐助。すると佐助は、真顔の暗く冷たい眼でルーキーズの面々に視線を向けながら彼らに言った。
「……まあ、あんた等との同盟の件は、俺も大将も情勢を見極めてから後々決めるさ。俺様自身も、あんた等が俺達モンゴル軍にとって有利な存在なのか、またはタダの猿か……しっかり見極めた上で確認していきたいしね」
「ん……猿?」
佐助の発した猿という言葉に反応する拓夢は首を傾げた。
と、そんな切羽詰った状況の中、病床のモウ・コダイと面会してきたミラールたち隊長格の面々がルーキーズ隊士らの所に帰ってきた。
「あ、ミラール……!」
「どうだったの? モウ・コダイさんの具合は……」
帰ってきたミラール達に病身のモウ・コダイの様子を不安そうな顔で訊ねる州崎アイルと真宮桜。するとミラールが問い掛けに対し、やや不満げな面持ちで答え返した。
「……はっきり言って、良いとも悪いとも言い難いわ。そもそも、モウ・コダイ自身がもう歳が歳だし、多少の病による体調の落差も高低が激しいのよ」
「そう……」
ミラールの話を聞いて、隊士達は何処となく表情に影を落としては胸を痛めるのだった。
そんな話を聞いて落ち込む隊士達に、ミラールは彼らの気を上げさせようと話し掛ける。
「みんな、今は私達も落ち込んでいる場合じゃないわ。ほら、シャキっとしなさいシャキっと」
『…………………………』
ミラールから掛けられる励ましの言葉に、隊士らは顔を上げつつも苦心な心境を簡単に変える事はできなかった。
だがミラールは隊士らに続いて、今度は師の病と自身に課せられた重圧で葛藤しているユキジに歩み寄っては彼にも激励を掛けた。
「ユキジ! 貴方が落ち込んででどうするのよッ、こういう時こそ師に代わって国の自軍を引っ張らなきゃいけないんじゃないの!」
「み、ミラール殿……」
佐助に続いてミラールにまでも指摘を告げられてしまうユキジ、だが彼の心の暗雲が晴れる事はなく、そんなユキジにミラールは更に言い詰めて行く。
「そもそも、今のモンゴル軍には貴方みたいな半端者であろうと指導者が必要不可欠なのッ! ウジウジしてばっかじゃ、それこそ成長できやしないわよ!」
「は、半端者……」
ミラールの一言が胸に深く突き刺さるユキジ、だがその一言で落ち込むユキジにミラールは表情を緩めては彼の心に強く呼び掛けた。
「……ふぅ、ホントに手のかかる御山の大将さんだ事。まあ、私から見たら、まだまだ未熟とはいえ二年前とは変わらない腕前だったし、どうにかウチらの総長達にも上手く伝えておくわ。それに、こんな右も左も解らず決められない男がモンゴルの総大将だと、この国だけでなく周辺国にまで混乱や戦禍が勃発しちゃう気がするし、ほっとけないわ」
「…………」
容赦のないミラールの話に、ユキジは遂に口を噤んでしまう。だがミラールはそんなユキジの心情などお構い無しに話し続ける。
「でも大丈夫、私たち聖龍隊はあくまで世界の戦況や戦禍を未然に防ぐのも務めの一つ……未熟な貴方の指揮で、もしもアジアの戦禍が拡大しそうになってもスグに鎮火してあげるわ」
「ッ…………」
己の不覚さ故に言われ続けるユキジは、じっと自制心を保ち続けるのだった。
と、そんな現状の最中、皆が居る一室の襖戸を開けて女官が室内の面々に声を掛けてきた。
「失礼します、只今お夕食の準備が整いました。ユキジ様、そしてルーキーズの皆様方、どうぞ食堂に」
女官の呼び掛けに、ミラールはルーキーズの隊士たちにユキジに言葉を掛ける。
「あら、もうそんな時間? それじゃルーキーズ、折角のモンゴル政府からの御好意だし御馳走になりましょう。ほらユキジ、いつまでもウジウジしてないで一緒に行くのよ」
「う、うむ……」
ユキジからの招きにルーキーズ隊士らは彼を先頭に、食事が用意されている客間まで導かれつつ移動して行った。
[異国の地での食事と外泊]
病身のモウ・コダイへの見舞いも済んだルーキーズ一行は、モンゴル政府の手厚い計らいで軍基地での食事に招かれるのであった。
用意された広々とした一室には、和を重んじた内装に床には畳が敷き詰められ、畳には和式に通じてか用意された食膳とその前には座布団が敷かれてた。
ルーキーズの面々はそれぞれ用意された食膳の前の座布団に正座すると、早速食事に手を付けようとした。
「……この世の全ての食材に感謝を……では、頂きますッ」
と、皆が有無も言わずに手を付けようとした瞬間、トリコを始めとするグルメ四天王の4人と小松らが用意された食膳の前で丁寧に手を合わせたのだ。
それを見た他のルーキーズの面々は気まずい空気を感じつつも、5人の礼儀作法を見習い自分らも挙って正座しつつ用意された食事に手を合わせる。
『い……いただきます……っ』
若干の恥ずかしさを噛み締めつつ、一同は食膳に礼を述べると早速箸を走らせた。
「はぐはぐっ……うんッ、旨いなぁこのメシ」
礼を終えた瞬間、瞬く間に食事を口内に放り込んでいく佐倉杏子の揚々とした食べっぷりに美樹さやかや鹿目まどか達同じマギカ組の面々は穏やかな表情を浮かべる。
「うむ……今日の食事は小松、お前もモンゴル軍の炊事係と一緒に作ったのか?」
「ええ、さすがはモンゴル軍……北はロシア、南は中国からと多種多様な食材が豊富に揃っていて、料理のし甲斐がありました」
食べながら小松に問い掛けるトリコに、小松は笑顔で答え返していく。
と、ルーキーズの面々が用意された食事に手を付けていく中、ただ一人だけユキジのみが食膳の前に正座したまま、出された品々を見下ろした状態で食していなかった。
「ん? どうしたの、ユキジ」
箸にすら手を付けていないユキジに彼の隣で料理を頬張るミラールが質問すると、ユキジは暗鬱な表情で呟き答えた。
「……食欲が、湧かないのでござる……」「……へっ……」
ユキジの一言に一瞬場の空気が硬直し彼と付き合いが長いルーキーズのベテラン組一同は体までも固まってしまってた。
そして少しの間を空けた、次の瞬間。
『ええええええええええええぇぇええええぇぇぇええッ!!』
『ひっ、ひぃいいいいいいいいい……!!』
と、まるで楳図かずおの如き驚きと恐怖に満ちた表情で叫び慄いた。
「って先輩方、何をそんなに……っていうか、なんで無関係の漫画家の画風みたく驚いているんですか? いや、そもそも何にそんなに驚いているんで……」
と、詳しい事情を知らない新人の一人である黛拓夢が問い掛けると、ベテラン組の面々は血相を変えて訳を話した。
「だ、だだだ、だって! あのユキジが食欲沸かないって……ッ!」
「い、いつもは暴飲暴食で一日三食しかも一回の食事で必ずご飯大盛り三杯は絶対食べないと満足しないユキジが……!」
「食欲がないって……い、異常すぎるッ」
蒼褪めた表情でユキジの食欲の無さに尋常なほど動揺するミラール、ジョーイ、葉月いずな、そして他のルーキーズベテラン組の面々。
そんな激しく動揺する中、戸惑いながらも真宮桜が食に手を付けようとしないユキジに恐る恐る話し掛ける。
「ゆ、ユキジさん……どうしたんですか? ど、どっかお腹でも痛いんですか? それとも……」
すると真宮からの問い掛けにユキジは暗く悲痛な面持ちで答えるのだった。
「……某が……某だけ満足な食を口にするなど……お館様は未だに病床の身の上で満足に食事をする事さえ侭ならないと言うのに、某だけが食事をして良いのかどうか……」
「…………」
師であるモウ・コダイの身上を気にして、食事に対する欲求が激減してしまったユキジの心情に対し、質問した真宮に他のルーキーズメンバーは苦心に至った。
と、そんな気落ちしているユキジにミラールが言葉を掛ける。
「……ユキジ、気持ちはわかるけど、落ち込んでたってしょうがないわよ。貴方は今後、病身の師匠に代わって、この国を……モンゴルを守護していかなきゃならない身上なのよ。師匠の事を考えるのは勝手だけど、自分の事も考えなきゃ将としてダメよ」
「……………………」
ミラールから言われても尚、食に手を伸ばそうとはしないユキジ。すると今度は食事中の手を休めてまでユキジに声を掛ける者が。
「ユキジ……」「……ぜ、ゼブラ殿」
ユキジに声を掛けたゼブラは、その左側の口が耳まで裂けた厳つい強面でユキジに話し掛けた。
「ユキジ……お前さんが師匠の身を案じているのは、此処にいる俺達全員が知っている。だがな、だからと言って出された食事までにも手が付けられないほど落ち込んでばかりじゃ何も出来やしねえぞ。テメェはこれから、俺達と同盟を組むかも知れねえって言うのに、将であるテメェがそんなに気を落としてちゃ問題だ」
「…………」
「お前さんはこれから、このモンゴルを護る職務ってのを任される以上に、俺達と組むってなんならしっかりと出された食事ぐらいは手ェ出してガッツリ喰いやがれッ。俺様と共闘するかもしれねえのに飲まず喰わずで力が劣っている野郎じゃ困るしな」
「ゼブラ殿……」
「俺達ルーキーズと……聖龍隊と同盟を組んで共闘したいんなら、しっかり今の自分の現状と環境に適応していきやがれ」
ユキジはゼブラの助言と激励を受けて、半ば元気を取り戻したのか食膳の箸に手を伸ばし、そして一気に口の中に食物を放り込んでいく。
そんな食欲が戻ったユキジの食べる姿を見て、ルーキーズは若干安心するのであった。
そして更にルーキーズは、聖龍隊上層部すなわちHEADからの指令が来るまで安易に場を動く事が出来ない事情から、モンゴル政府の許可のもと基地での外泊を許された。
こうしてルーキーズは大部屋二つにて、男女に分かれて寝泊まる準備を着々と夕暮れ時から各自用意していく。
「楓~~、パパと一緒に寝ようよ、ねぇ~~」
「やめてって言ってるでしょ! イイ歳していい加減子離れしてよねッ!」
娘と一緒に就寝するのを拒絶される虎徹に、娘である楓は激しく言い返していく。
「相変わらず賑やかよね、あの二人……」
「ホントねっ、でもホントに仲のいい親子だし……少し羨ましい気もするよね」
言い合う鏑木親子の様子を見て朗らかに和むルーシィとエンゲキブの二人。
「って、おいネイサン……アンタ、俺達の方で寝るのかよ」
「あら不服? 一応はアタシ男だから、こっちで寝るんだけど……」
男部屋で寝る事となったファイヤーエンブレムことネイサン・シーモアに若干の戸惑いを感じるトリコ。
「ふぅ、明日は何時に起きなきゃ解らないけど一応は早々に寝る準備だけはしておきましょう。はい、モルちゃん、髪の手入れ終わったわ。次は楓ちゃんの番ね」
「あ、ありがとうございます、桜さん……」
就寝の準備に至って真宮桜は幼い女子の髪の手入れを自ら進んで梳かしていた。
「あ~~あ、今日の演習でかなり派手に傷ついちゃったわね、アリス」
「アタイののくだ狐達もだよ……全く、モンゴル兵もユキジも、あの猿飛も相変わらず手加減ってのをしないから大変だよ、タク」
自身のパートナーである人形のアリスとくだ狐の草臥れた様子に、モンゴル軍の容赦の無い熱い闘志に改めて困惑する鹿島リンと葉月いずな。
「ふぅ~~……何だか、今日は疲れちゃったな。早く寝て疲れを取りたいな……」
「私も同じ……何より演習よりも、熱血漢の塊であるモンゴル兵やユキジと一戦した所為か、いつもの聖龍隊の訓練以上に滅入った気分よ……」
それぞれ就寝の準備を行いつつ、その長い髪を自ら梳いていく結城明日奈と黒雪姫。
「今のうちに武器の手入れでもやっとくか……どうせ近い内にまた戦闘だろうしな」
「そうだね……いつまで、僕達は戦い続けなきゃいけないのかな……」
真顔で自身の得物の手入れをする奴良リクオの横で、彼同様に得物を磨きながら先行きの見えない戦乱に悲痛な表情を浮かべる沢田綱吉。
「くゥ~~……まさか同盟がてら外国まで出向いて演習しただけじゃなく、ご馳走や宿泊までも許してくれるなんて……これだから聖龍隊は特権なのよね」
「初めての外国でのお泊り……胸がドキドキしますぅ~~」
思いっきし背伸びする美樹さやかに続き、初めての異国宿泊に胸が高まる百江なぎさ。
「ふぅ、今日は久々に走ったから足がパンパン……」
「まぁ、今まで平和だったから体が追いつかないんだよ。筋肉痛に成らない様に、よく揉んでマッサージしとかないと」
足の脹脛ふくらはぎに手を擦りながら草臥れるミルヒオーレに、マッサージを薦める高槻七海。
こうして皆が各々、着々と就寝の準備を進めている最中、ミラールは一人窓際に腰を据えては空の夕月を眺めつつ思いに耽っていた。
「……そういえば、先輩たち今頃どうしてるのかしら? アッコお姉ちゃんも無事なら……まあ、総長や他のHEADも居るんだし大丈夫よね」
ミラールは今現在、自分達とは別行動を取っているHEADメンバー……行方不明となった新世代型を追っている聖龍HEADの面々の事を思っていた。
[今回のキャラ紹介]
シン・ユキジ
所属:モンゴル軍総大将 モンゴル国将軍(どちらも代理)
出身:三次元界/モンゴル
武器:二槍(二本の三叉槍)
肩書:
年齢:23
イメージカラー:赤
理想CV:保志総一朗
炎のように燃えたぎる心を持った、モンゴル軍の若き大将。
病に伏せった総大将の猛虎大から軍を任されアジア統一を目指しつつ、己にとっての"真の武人"を見いだそうと奮戦する。師であるコダイが伏せった事を切っ掛けに聖龍隊と同盟を交わすかどうか選択を迫られる。
容姿
赤い鉢巻、赤い鎧を装着し、二本の真紅の槍を使いこなして闘う。
一人称
其(それがし)、拙者、俺(私事、佐助に対してのみ)
「~ござる」口調で相手への礼節を重んじた話し方をする。
モウ・コダイ
所属:モンゴル軍総大将 モンゴル国将軍(現在は病の為、弟子のユキジに一任している)
出身:三次元界/モンゴル
武器:軍配斧
肩書:
年齢:50代前半
イメージカラー:赤
理想CV:玄田哲章
容姿
一人称
ワシ