荒んだ人生で心が壊れたうつ病男性がキヴォトスに転生   作:ダブクロチャンネル

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第23話 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって言うけどそれ八つ当たりだよね?

空気を打ち付けた音がトリニティ総合学園に響く

その音は爆発音というには軽く、肉を赤くするには十分だった

 

「や、やめなさ!いっ!ああ!!」

 

僕の名前は蛇尾リュウジ。ハスミの尻を叩いている転生者だ

なぜこうなったかは15分前に時を遡らせよう

 

トリニティ総合学園に着いた僕は早速、フウカのお弁当を食べようとして蓋を開けた

中を見てみるとオムライスが入っており、その脇にはサラダが詰まっていた

サラダはシャキシャキとしたキャベツ、赤くて綺麗なトマトはルビーを思わせる

 

すごく美味しそうなお弁当に心を弾ませてしまう

だが、ここで突然のトイレに行きたくなってきた

 

(さっき、キャンピングカーでしてきたのに……)

 

僕はお弁当をベンチに置いて急いでトイレを探しに行くのだった

だけど、弁当をカバンにしまわず、ベンチに置いてしまったことがダメだった

 

「ん?なんですこの弁当箱?」

 

それをトリニティの正義実現委員会の羽川ハスミが見てしまった

 

「美味しそうな匂いがしますが……ゲヘナの!?」

 

ハスミはそう、大のゲヘナ嫌いだ。

トリニティの生徒たちの大半はゲヘナの生徒を嫌悪しているがハスミはその中でも別格

ゲヘナの紅茶をゲヘナというだけでゴミ呼ばわりして捨てたり*1、イベントでもアコに安物の紅茶を振る舞ってたりするなどの差別意識が強い……まぁ、これもひとえにマコト議長やイロハのせいでもあるが

 

ゲヘナの生徒、ゲヘナに由来する物を蛇蝎のごとく嫌っており、ツルギ達がドン引きするほどの苛烈な怒りや嫌悪を顕にすることがある

故にハスミが取った行動は

 

「こんなもの!」

 

フウカが僕に作ってくれた弁当をゴミ箱に投げ捨てたんだ

ちょうどそこへ、トイレから僕が戻ってきてそれを目撃して

 

「……あ゛ぁ?」

 

すかさずデスサイスを全弾撃ち込んで倒し、そのまま腰を掴んで持ち上げる

 

「な、なんなんですか!?いきなり!」

「こっちのセリフだ。僕の知り合いが作ってくれた弁当をなんでゴミ箱に捨てた!」

「ゲヘナなんかの物なんてゴミも同然です!」

 

自分でも分かるほど青筋が浮かんできたのが分かる

毎日約1000人以上の生徒の給食を作りながらも僕に弁当を作ってくれたフウカの弁当が

 

「ゴミだと?」

 

自分でも驚くほど低い声が出たがそんなことを気にせず僕はハスミのスカートをまくり上げる

 

「きゃっ!?なにをするんですか!」

 

色白で綺麗な肌が露出し、大きなお尻が見える。僕は自身の神秘で身体強化をかけてハスミの尻を思いっきり強く叩いた

バチィン!!と空気を打ち付ける音がトリニティ中に響き渡り、その中心のハスミは悲鳴を上げる

 

「いったぁーー!!??ちょ、なにしてるんですか!」

「まずはごめんなさいだろ?」

 

続いて2回目の尻を叩く音、またこれも重く鈍い音がトリニティ中に響き、ハスミの声から苦悶の声が溢れる

 

「ッ~~!!だ、誰がゲヘナの生徒なんかに!」

「僕はゲヘナじゃない。無所属の生徒だ」

 

3発、4発とハスミの巨尻を叩き、そのたびにハスミの尻肉が大きく揺れる

 

「他人の所有物を勝手に捨てやがって……お前にそんな権利があるのか? お前のその行動が正しいと誰が保証してくれる?」

 

音がなんなのかを知りたくて、野次馬が寄ってきてハスミは恥ずかしさと屈辱で顔を赤くする

 

「は、放しなさい!こんなことをしてタダですむとでも!」

「やってみろよ。こっちはな……忙しい中、僕のために弁当を作ってくれた生徒の優しさを酷く扱われてキレてるんだ」

 

ハスミの尻が赤く染まったところでもう片方の尻肉も強く叩く

 

バチンッ!!

 

「や、やめ……」

 

バチィン!!

 

「やめなさ……いぃ!?」

 

バチィンッ!!!!

 

「ぐっ、この……ッ!」

 

まだ謝らないのか!

20回お尻を叩いたところで一人の女子生徒が集団からかき分けてきた

 

「やめなさーーい!!」

 

僕はハスミの尻を叩く手を止めて声がした方を見るとそこにはコハルがいた

下江コハル。下ネタ、卑猥に感じるものは何でも「エッチなのはダメ!死刑!」と言う少しだけ思春期が強いだけの少女だ。ペロロマニア、無垢な天使、良くも悪くもトリニティの補習授業部の中でまともといっても過言じゃない女子生徒

 

周囲の空気に流されない良心と正義感はしっかり備えており、結果としてその信念によって救われた生徒も多い。ストーリーを見ていてもコハルの成長ぶりには僕も泣きそうになったくらいだ

 

「ハスミ先輩を解放しなさい!じゃないと……」

「じゃないとどうする?君が撃つのか?」

 

僕はハスミの尻を叩きながらコハルに問う

 

「この女は僕に弁当を作って来れた生徒がゲヘナの生徒というだけでちょっと席を外した僕の弁当を勝手に捨てたんだぞ。それはいいのか?ゲヘナ相手ならなにしてもいいなんてそれが治安維持活動を担う生徒のやることか!彼女が僕のために作ってくれた弁当だぞ!!」

 

叩くのも疲れたのでハスミの尻を強く捩じりながらコハルに言う

 

「それはハスミ先輩がごめんなさい!でも、そんなことをしなくてもいいじゃない!公衆の面前でお尻を叩くなんて!」

「僕の弁当をゴミ呼ばわりしてごめんなさいもできない生徒のお仕置きなんて尻叩きで良いだろ」

 

言っておくけど、僕はもう自分でも止まらないぞ

そうしている内に、コハルの元に正義実現委員会のメンバーたちが集まってくる

白い肌に綺麗な黒髪をしており、プレイヤーでも人気の正実モブだ

彼女たちはハスミ先輩を放せと言いながらARを僕に向けてくる

 

「いいよ、かかって来なよ……こっちは」

 

僕は脇に抱えたハスミを放り投げ、腰のホルスターに収めているデスサイスを左手で抜く

 

「優しい生徒の思いを踏みにじられたからな!」

 

そのまま激しい銃撃戦が始まった

結果的に言うと僕の圧勝だった

正実のメンバーのARの弾幕を受けながら撃ち倒していき、近くにいた生徒のARを奪い取り、そのままC.A.R.システムの応用で正実モブの生徒たちを全滅させた

コハルやハスミも銃を撃ってきたけど、ライフル弾を避けてコハルに2発、ハスミに4発お見舞いした。健啖家なんだろ?散弾の多く受けれるのは本望でしょ?

 

全員無力化させてデスサイスのリロードをしていると

 

「そこまでだよ」

 

そうしていると次に現れたのはピンクのロングヘアーの生徒、美園ミカだ

 

「美園ミカ……パテル分派の代表か」

「私を知ってるんだ……ブラックマーケットの武器商人に知られているなんてね」

 

あぁ、知っているとも。性能が強い、隕石を落とす、見かけによらず怪力の持ち主……そして

 

「薄っぺらいゲヘナの嫌悪を持っている生徒だとは知っているけどな」

「……薄っぺらい?」

 

険しい表情をするミカに僕は続ける

 

「あぁ、薄っぺらいさ!特に何かされたわけでもなく、居場所を奪われたでも、大事な友人を傷つけられたでもない!それを深く考えず、ただなんとなくだなんて薄っぺらいにもほどがある」

 

カイザーとアランチーノに命を狙われ続け、命がけで逃げてきた僕にしてみればミカのゲヘナに対する嫌悪は薄っぺらいに等しいものだ

 

「ゲヘナの事を悪く言うけどな!僕に言わせればどっちもどっちだ!」

「あなたはゲヘナの味方をするの?」

「別に?ゲヘナも碌でもないやつはいるさ!」

 

自身と対立する組織の予算を大幅に削ったり、自分の基準で飲食店を爆破したり、温泉が出る出ないにもかかわらず爆破したり、上に確認を取らずに勝手に行動して上司の仕事を増やしたり

 

「……けどな。僕に言わせればお互いさまってやつだよ!すぐ暴力に出るゲヘナ。陰湿ないじめや派閥争いを繰り広げるトリニティ。今の君たちは目糞鼻糞を笑うってやつだよ」

 

僕のこの言葉にパテル分派のティーパーティーの生徒は顔を赤くして怒り、ミカも持っているサブマシンガン『Quis_ut_Deus』を構える

 

「全く、これだから宗教は嫌いなんだ!」

「言いたいことはそれだけかな?」

 

その瞬間、僕の近くにライオットシールドが突き刺さった

現れたのは水色の髪をした170㎝近い長身とすらりとした形を持つ一対の翼を持つ生徒

 

「今度は救護騎士団か!……何の用だよミネ?ミネも僕の言葉に不満でも?」

「いえ、意思や思想は人それぞれ、力づくで変えさせるなんて論外です……私が言いたのは貴方が使っている傷を回復させる薬の事です」

 

あっ!あの注射か*2

 

「たちまち傷が回復する出生不明な医薬的効果が高過ぎるお薬。それを体のどこにでも注射すれば全回復するなんて怪しすぎるでしょう!なにかしらの薬品か薬物を混ぜ合わせて販売していると思わざるを得ません!蒼森ミネ、これより救護を開始します!」

 

僕が使っていたあの注射は体の中に吸収される治療用ナノマシンを傷口を回復させているだけだ。この前、生活健康部を卒業した生徒が来て、働かせてほしいと言われて働かせた結果。僕に使ったナノマシンの劣化版、今日一日起きた傷を回復させる使い捨てのナノマシンを作り上げたんだ

それの使い方を聞いて僕は察した

 

……これは怪我した人にも使えるんじゃないかと

それを大量生産して症状を試す結果。自分で倒した生徒に使って検証していたってわけだ

 その後、僕はミカとミネを二人同時に相手をしながら戦った

 

真っ先にパテル分派のティーパーティーメンバーを倒し、ミカのSMGを避けながらミネをシールドごと発勁で吹き飛ばし、DMCに持ち替えてミカに0距離射撃をしながら腰の入ったフルスイングのパンチを受けたりと10分近く戦闘をしていると

 

「そこまでです!」

 

桐藤ナギサが止めに入った。それと同時に僕、ミカ、ミネの三人も動きを止める

 

「来ないからどうしたのだとハスミさんに迎えを頼んだのに遅いと思ってきてみれば何をしてるんですか!?」

 

僕たちはそれぞれ事情をナギサに話すと彼女は頭を抱えていた

 

「分かりました……こちらの方で非があったようですし、場所を変えてお詫び申し上げます」

「そんなナギちゃん!こいつなんかに「ミカさん?」わ、分かったよ!もぅ~」

 

こっちを睨んでも困るよ

あっ、そうだ……

 

「ミネ。これを渡すよ」

 

僕は使い捨ての治癒ナノマシンを渡す

 

「また救護されたくないからね。これの成分を分析すれば怪しいのかそうでないかは分かるさ」

「分かりました……もし違法な成分が見つかれば」

「救護だね。分かってるよ……さてと」

 

僕はゴミ箱の中からフウカが作った弁当を拾い、そのままナギサの案内でティーパーティーの場に向かうのだった

 

 

「さ、先ほどは本当にすみません」

「いいよ別に。僕も結構キレて暴れたから」

「それで、そちら売ってほしいと言っていたガラスなのですが言い値で買い取っていただきます」

「本当ですか?別に同情で高く買われても困ると言いますが……」

 

こっちは助かるけど、同情とかで買われても困るし、そうだ!

 

「実はですね、ナギサ様。これはトリニティを中心に売り込もうとしているのですが」

 

スマホの画面を向けるとそこには精巧なガラス細工が映っていた

 

「これを売ってみたいと思ってるんですど……いくらなら買います?」

「そうですね……ガラスの質感も品質もいいですし……300万くらいですかね?」

 

1つ300万!?

 

「ありがとうございます!その値段で手を打ちましょう!」

 

これでアビドスの利息の700万の半分を超えた

 

「ちなみにステンドガラスみたいに購入してくれるお客様好みの色を付けれますが、その場合は別途料金がかかりますのでご了承ください」

「分かりました。お互いに有意義な時間を過ごせてよかったです」

 

席を立って頭を下げる僕ににこやかな笑みで返すナギサ

僕はあることを聞くことにした

 

「……ところで、ナギサ様はエデン条約を締結させるために頑張っているそうで」

 

ナギサの動きが一瞬ピタッと止まったが何事もなかったように紅茶を飲む

 

「そうですけど……そちらがどうかしたんですか?」

「いえ、私としてもゲヘナとの確執に終止符を打つためのエデン条約には大いに賛成でして」

「貴方は武器商人とお聞きしました。そのためにはトリニティとゲヘナに争ってもらうのは大いに賛成なのでは?」

 

「いやいや!私としても銃が売れるのはいいのですが、そんなに売れる訳でもありませんし。なにより、平和が一番でしょう?お互いに」

 

これは僕の本心だ。だが、その言葉が人間パラノイアを発症するナギサに届くかは分からない

 

「正直に申し上げますと私としても平和であった方が都合が良くてですね。争いが起きることなく毎日を過ごしたいんですよ。安らげる家で暮らして、美味いもん食べて、ゆっくり寝る……これが長い間カイザーやアランチーノやら逃げる生活を送った中でよかったものですがね」

 

そこで僕も紅茶を飲んで一息つき、こう答える

 

「けど……あの羽川ハスミ。あれは流石に酷いと感じましたね。ゲヘナの嫌悪が酷すぎる」

 

その言葉にナギサの羽がゆらりと揺れる

 

「あのゲヘナ嫌悪を維持したままエデン条約まで放っておくとどこかしらでナギサ様の計画に不備が出るかもしれません。早急に対処した方がよろしいかと思われます」

 

遠回しにハスミのゲヘナに対する異常な嫌悪と怒りをどうにかした方がいいんじゃないのとナギサに言い、残りの紅茶を飲む僕

 

「素人ながら勝手なこと言ったのは謝ります。けど、どうにかした方が良いのも事実です」

「どうしたらいいと思いますか?」

「ハスミさんにゲヘナがそこまで悪いところじゃないとお見せするだけですよ」

 

そう言ってフウカの弁当を食べ始める。

中身のオムライスのケチャップがまんべんなく広がっていたけどそれ以外は問題なかった

 

「あの……ここで食べるのですか?」

「いやだって、外で食べてたらまたひっくり返されそうで……ダメかな?」

「別にいいですけど」

 

その後、僕はフウカの弁当を食べ終えた後、キャンピングカーに戻るのだった

 

 

 

 

翌日、僕はハスミとゲヘナに来ていた

 

「どうして私がゲヘナなんかに……」

「ほら、ナギサに言われたんでしょ?断れる任務じゃないって」

「うぅ……」

 

ハスミは黒の制服と同じように黒を基調としたワンピースを着ている

なんでも変装用に用意されたものだとか……それでも巨大な羽が丸見えなので

 

「これを被ってね」

「ちょ!?なにを!」

 

帽子を被らせるとハスミの帽子が透明になってそこになかったように消えてしまった

 

「この帽子はね認識阻害機能が付けられていて、ハスミの大きな羽も隠せるんだよ」

 

これでハスミがトリニティの生徒だからと言って揉めることは無くなるだろう

 

「さぁ、行くよハスミ。ゲヘナの美味しい店や楽しめる場所を案内するよ!」

「ッ!手を握らなくても!」

「えぇ~だって帰られたら困るし」

 

僕はハスミの手を掴んで彼女と共にゲヘナの街を歩いていく

行く先々で僕とハスミを見る視線が多くなる

 

「みんなに見られてませんか?」

「そりゃ、僕の知名度が高いのとハスミが高身長で綺麗だから見てしまうだけだよ」

「なっ!?揶揄わないでください!」

 

ひどいなぁ、本当の事だよ

 


三人称視点開始

 

リュウジとハスミは近くの喫茶店に入って席に座ってメニューを広げると、ハスミがもじもじしていた

 

「どうしたの?落ち着かない?」

 

リュウジが聞くとハスミはキッとリュウジに鋭い目を向けて小声で言う

 

「……あなたに叩かれたお尻がまだ痛むんです」

 

それを聞いてリュウジは自身がハスミの尻を何度も何度も叩いたことを思い出す

右と左の尻に20回ずつ叩いたのだ。それも肉体強化のバフをかけてだ

色白の肌なため、より赤く腫れあがっているのがよく分かるだろう

 

「あぁ…その…なんだ……ハスミも僕の弁当を投げ捨てたからお相子だ」

「うぅ……あの後、ベッドも寝れなかったんですよ」

 

赤面するハスミの顔にどことなく色気を感じながらリュウジは注文した

 

「すいませーん。このチョコレートパフェを一つ。ハスミはどうする?」

「同じのを一つ」

 

注文してしばらく、チョコレートパフェが二つやってきた

 

【挿絵表示】

 

いかにも美味しそうなパフェにハスミの目が輝く

 

スプーンでパフェを掬うと口の中にチョコの濃い味が広がる

 

「流石はゲヘナのカカオは最高級の味がすると言われてるだけはあるな」

 

目の前でハスミを見るとなんとも大人顔負けの色気のある顔から、可愛らしい少女の顔に変貌しているではないか。それを見て可愛いなと思いつつ、微笑むのだった

 

(こうして見ているとスイーツ好きの女子高生って感じがするのにな)

 

昨日のゲヘナ嫌いの顔とはうって違って今の顔の方が一番好きだ

チョコレートパフェを食べ終えたハスミは次のパフェを注文する

 

(えっ?まだ食べるの!?)

「すいません。抹茶パフェをください」

 

驚くリュウジを尻目にハスミの元に届いた抹茶パフェ

 

【挿絵表示】

 

ハスミは抹茶の風味が良いパフェの味に舌鼓をしながらスプーンを動かす

あっという間に抹茶パフェが無くなり、ハスミはハッとした顔でリュウジを見る

 

「なっ、なんですか?」

「いや……いつもの顔もいいけど、美味しいもん食べて笑顔のハスミの方が可愛いなと思ってね」

 

その言葉に顔を赤くするハスミ

 

「揶揄わないでください……自分でも恥ずかしくてスイーツショップに行けないのに」

「なに?顔を隠していつもスイーツを食べに行くの」

 

ギクッと身体を固くしてリュウジを睨むが赤くなった顔では別に怖くもない

これまで殺意と悪意の奔流を受けてきたリュウジにとってはそよ風も良いところだ

 

「どうする?次のパフェ頼む?それとも別の店で食べる?」

「最後にこのパフェを食べたいと思います」

 

締めにハスミが頼んだパフェはストロベリーパフェ

しかも、そのサイズは今まで食べたパフェの2倍だ

 

【挿絵表示】

 

光り輝くイチゴ。そのイチゴを引き立たせるソフトクリームなどの存在を見てハスミの赤い瞳も大きく輝く。10分後、ハスミはストロベリーパフェを完食し、周囲の客も内心で歓声を上げた

 

「……意外でした」

 

喫茶店を出たハスミが呟く

 

「なにが?」

「ゲヘナってもっと荒んでいて野蛮な場所だと思っていました」

「まぁ、あながち間違っちゃいないね……あの正面の店を見なよ」

 

リュウジが指差した方向をハスミが見ると、そこには美食研究会がヒナに連行されている姿が見えた

 

「美食研究会みたいに自分の評価に満たない飲食店を爆破する連中もいるし、その美食研究会を捕まえる風紀委員もいる。中でも風紀委員長のヒナはゲヘナに似つかわしくないほどの強い責任感と良心的な性格を持っている。性格はハスミ、実力はミカってところだね」

 

彼女がそうなのかとハスミはヒナを見る。小柄な見た目に反してツルギのような強者のオーラに圧倒される。

 

「まぁ、風紀委員の中でもイオリは真面目過ぎて融通が利かないし、アコは仕事はできても性格がな……多分ハスミに出会ったらそのままぶつかり合うと思おう……チナツは比較的いい子で優しいからゲヘナの風紀委員でも優しい方さ。あぁけど、万魔殿の羽沼マコトはゲヘナのろくでもないやつのトップだから気を付けてね……基本、自分以外を下に見てるからさ」

 

リュウジはハスミにゲヘナでもまともな人格がいること、ハスミが思っているほど酷い奴は少ないと説明する。それを見てハスミもトリニティでもそういう生徒はいるなと思っていた

 

「じゃあ、ハスミ。次に行きたい場所があるから来てもらってもいいかな?」

「どこに行くんですか?」

「ゲヘナ学園さ……そこで見せたいものがあってね」

 

リュウジはハスミを連れてゲヘナ学園に連れていくのだった

 

 

ゲヘナ学園の食堂にてリュウジはハスミと端っこでフウカたちに働きぶりを見ていた

リュウジが寄越した6人の派遣生徒とフウカ、ジュリの8人で食堂を回し、多くの生徒たちに料理を提供し、DFRがクレームを起こした生徒の対応などをして無力化する光景がハスミの目に映っていた

 

「どう?ハスミ?あの子が約1000人の生徒に料理を振る舞う愛清フウカだ。料理することとそれを誰かに食べてもらって喜んでもらうことが大好きな生徒で、このゲヘナ学園でも上位に匹敵する善性の持ち主で僕にお弁当を作ってくれた子だ。」

 

ハスミの肩がビクッと震える。

自分はそんな生徒が作ってくれた弁当を粗雑に扱ってしまったのかと

 

「ちょうど僕たちの出番だ。ハスミ、何を頼む?」

「他校の私が頼んでもいいのでしょうか?」

「大丈夫だって、僕が派遣生徒をしている時にブラックマーケットから新鮮な食材を運んでもらったからさ……多少多めに食べても全員分はあるさ」

 

ハスミの手を引いてリュウジはフウカの元に行く

 

「フウカ、一昨日ぶりかな?最近どう?」

「リュウジさん!おかげさまでリュウジさんの派遣生徒のおかげで1000人分なんて半日で終わりました」

「そりゃよかった!前は一人で1000人分作ってたもんね」

(一人で1000人分も!?)

 

さらりと言ってのけたフウカの1000分の給食を作っていた事実にハスミは驚愕する

 

「今日はどんなメニューなの?」

「豚肉の生姜焼きです……食べていかれます?」

「食べる食べる!フウカの料理が好きなんだ!ハスミもどう?」

「えっ?た、食べます!」

 

こうして食堂の席に座りながらフウカの料理を待っていると香ばしい匂いを出す豚肉の生姜焼きが出される。味噌汁、白米、千切りキャベツ、メインの豚肉の生姜焼きにハスミの腹の虫が鳴る

 

「いただきます」

「い、いただきます」

 

一枚目の豚肉の生姜焼きを箸で摘まみ、口に運ぶハスミ

すると、あっという間に嚙み切れるほど柔らかくジューシーな豚肉の味に目を見張る

そのまま口の中に白米を入れて生姜焼きの特有の味付けに絡ませて味わいながら飲み込む

 

その味に喜びながら味噌汁を飲み、生姜焼きのたれが染みついたキャベツを食べ、箸を進める

進めていく内に自分がやってきたことを後悔していくハスミ

ゲヘナだからと相手が全員ろくでもないと決めつけ、フウカが作った弁当まで捨ててしまったこと、そのフウカの善性をこの目で見て自分のしてきたことを恥じた

 

後悔と自身の今までの情けなさで目に涙をためて流れ落ちる

それを見てフウカが驚く

 

「えぇ!?大丈夫ですか!泣くほど不味かったですか!?」

「ち、違います。美味しいです……泣くほど」

 

泣きながらも料理を食べ続けるハスミを見てリュウジは彼女の頭を撫でるのであった

しばらくして、給食を食べ終えたリュウジとハスミ

 

「すいません。先ほどは泣いてしまって……美味しくてつい」

「そんな泣くほど美味しかったなんて。……ありがとうございます。また食べに来てくださいね」

「えぇ……いずれ、必ず来ます」

 

次に来るのはエデン条約が為された後、その日に変装抜きの姿でここに来たいとハスミは誓った。

そのままゲヘナ学園を出て、ゲヘナの街の公園のベンチで寛ぐリュウジとハスミ

 

「ありがとうございました……おかげでゲヘナでもそんなに酷くないこととか、自分のしてきたことがどんなに愚かしいかを実感できました」

 

ハスミはリュウジの方を見て頭を下げる

 

「フウカさんが作ってくれた弁当を台無しにしてしまって申し訳ありませんでしたッ!」

 

許されることじゃないと思いつつも頭を下げるハスミにリュウジはそっと頭に手を置く

 

「分かってくれたのなら別にいいさ。ハスミが分かってくれただけでも嬉しいからさ」

「リュウジ……」

 

その時だ。一筋の強い突風がハスミの帽子を飛ばしてしまった

刻の蛇50%を使い帽子をキャッチするリュウジだが認識阻害で隠していたハスミの羽が見られてしまった

 

「えっ?あの生徒、トリニティの生徒じゃないの?」

「なんでゲヘナ自治区に?」

(まずい!)

 

これがマコトにバレればどんなに面倒なことになるか

リュウジが取った行動はハスミを抱き上げて移動することだった

脇に抱えるのではなく、横に抱き上げるお姫様抱っこだ

 

「りゅ、リュウジ!?」

「舌を噛むから口を閉じて僕に捕まってね!」

 

そのままリュウジはハスミをお姫様抱っこの状態でゲヘナの駅近くまで向かった。そのおかげもあってかハスミの羽が見られることはなく無事に駅にたどり着くことができた

 

「なんとかバレずに済みましたね」

「そ、そうですね……」

 

男性にお姫様抱っこをされる初めての経験にハスミの胸が高鳴り、心臓の鼓動が激しくなる

ハスミに帽子をかぶせてトリニティ行きの電車に乗るリュウジ

 

「ねぇ、ハスミ……次もまた2人でさスイーツとか食べに行かない?」

「え?いいですけど」

「じゃあ、近いうちにブラックマーケットにスイーツショップができるからさ一緒に食べに行こう」

 

そう言って、リュウジはキャンピングカーにハスミはトリニティの寮に戻る

 

「またいつか会おうねハスミ」

「えぇ……またいつか」

 

こうして2人は別れてそれぞれの自室で寝るのだった

 

 

 

翌朝になり、ハスミはトリニティの生徒からの視線を多く集めていることに気づいていた

ゲヘナに行ったことを噂されているのだろうと自己完結をし、正義実現委員会の部室に来ていると自分の後輩が黄色い悲鳴を上げていた

 

「あー聞いたっすよハスミ先輩。ブラックマーケットの武器商人とゲヘナに言ったみたいですね」

「えぇ、ゲヘナでもまともな生徒がいると学びを得た良い一日でした」

「それにあんな顔をするなんて意外ですねハスミ先輩も」

 

仲正イチカが指を指した方向を見てハスミは顔を赤らめた

なんと喫茶店で美味しそうにパフェを食べるハスミの姿が写真に撮られていた

 

(この角度は!リュウジの席から……まさか)

 

壁に飾られている写真の角度を見て即座に判断したハスミ

後ろでは後輩たちがハスミ先輩にあんな一面があったなんてと嬉しそうにしている

ハスミはすぐさまティーパーティーに駆け込んだ

 

「蛇尾リュウジはどこにいるんですか!」

「か、彼ならレッドウインターにコンクリートを売りに行くと言って発ちましたが」

「~~~~ッ!!!!」

 

羞恥から言葉にできない悲鳴を上げ、ハスミは恥ずかしさでリュウジの怒りを叫んだ

その後、ツルギに連れ戻され喫茶店で食べたパフェの分だけ運動をさせられるのであった

後日だがブラックマーケットのスイーツショップでリュウジと共にパンケーキを食べるハスミの姿があったという

*1
ブルーアーカイブ グループストーリー「正義実現委員会」正義実現委員会はお休みですを参照

*2
第20話 身近にある物が意外な物で作られたときの衝撃は大きいを参照




今回の話はいかがでしたでしょうか?
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