「さぁ、いよいよデスゲームの開始時間が迫っておりますが」
「いやぁ、本当に転移なんてあるんですかね? 加賀さんどうですか? 率直なトコロ」
「我々の取材によると、参加者は一瞬で石の棺の中へ転移したと証言しています」
「えー、それは刑事さんもですか?」
「はい、そのようです」
「信じられないなぁー」
テレビは呑気なもんだ。
チャンネルを変えると、ミントちゃんのパパは屈強な男達を従えて記者会見の真っ最中。
「後、20分でデスゲームが始まる! 用意は良いか!」
「オゥ!」
記者会見? というより、機動隊のカチ込み前みたいだ。
凄い人数。だが、参加権が得られたのはパパさんを入れて五人らしい。
バックアップとして雇われた兵隊が後ろに二十人以上控えている。
……居るんだな。日本に傭兵って。
警備会社の人かなと思ったら、海外の民間軍事会社で働いていたとか、その手のガチな人を揃えたみたい。
マジかぁ。
記者会見? に木之瀬さんの姿は見えない。
刑事さんとゲームの開始を待っているって噂だ。
さぁて、どうなりますか?
俺は漫画喫茶の椅子に背を預け、久々にスマホの電源を入れた。
するとまぁ来るわ来るわ。メッセージの洪水だ。
着信も凄いが、全部拒否。
漫画喫茶の中もいよいよ慌ただしくなってきた。
「おい、お前参加するってマジかよ」
「あぁ、あと15分だ」
「おぉ! マジィ? みなさん、こいつデスゲーム参加するってよ!」
「え? アプリ見せて! どんなの」
「ホントだ、テレビで見たのと一緒!」
大盛り上がりだ。
囃し立てる声まで聞こえて来た。
俺はあくびを噛み殺し、漫画喫茶のマズいレトルトカレーを掻き込む。
さぁて、どうなりますやら。
実は結構緊張していたりする。
前回は、開始前の準備なんて出来なかったからな。
準備運動でもするべきか? いやいや、そんなのは散々やった。
俺は、漫画喫茶の狭い個室で体をマッサージして過ごす事にした。
今はテレビで情報を集めるのべきだ。
イヤホンをはめると、女性アナウンサーの甲高い声にウンザリさせられる。
「さぁ、そろそろ問題の開始5分が迫っていますが??」
「あ、見て下さい! 外部出力されたモニターに、表示が変わりました」
「5分です! カウントダウンが始まりました!」
さぁて?
スマホを取り出し、装備をチェック。
祝福のメイス ATK+45
ガントレット ATK+8 DEF+5
力の腕輪 ATK+9
力の指輪 ATK+8
守りのネックレス DEF+12
守りのアミュレット DEF+11
レンジャーブーツ DEF+12
スゲェだろ?
最後の戦いのどさくさで拾ったのが強力だった。
引き継げるアイテムは手に入れた一番容量の大きいカバンに入る分だけってルールがあった。
つまり、バックパック一つで参戦になるわけだ。
そのバックパックも二層で拾った奴だから容量Lv4。圧倒的に容量がある。
強いアイテムが全部持ち込めそうだ。
コレだけで圧倒的。
一層じゃ怖いモノなんて無いだろう。
悲しいかな、薬は最後の戦いで使い切ったが、これだけの装備があれば怪我をする心配もほとんど無い。
ガントレットは左手の分がまるっと無かったが、破損とみなされてクリア報酬で完全な状態に戻っている。
準備万端だ。
で、他にできる事は無いかと調べると
……パーティ機能がある。
え? 参加者同士ならパーティーを組めるの? 三人まで?
そんなのアリかよ?
そう言えば、半グレどもも三人だった。
まぁ、良いか。
木之瀬さんはダッシュで探し回れば良いだろう。
いよいよ、カウントダウンは秒読み。
「さぁ、いよいよ、いよいよです」
小うるさい声に嫌気がさして、俺はイヤホンを引き抜いた。
5
4
3
2
1
0
その瞬間、カメラの前でミントちゃんのパパや傭兵四人が掻き消えて、日本中は大変な騒ぎになったらしい。
らしい、ってのはアレだ。
勿論、俺もデスゲームに参加して、テレビなんて見れなかった訳だが。
これにより、いよいよ俺達は日本を揺るがす騒ぎの中心に飛び込んでしまう事になったのだ。