捻くれボッチの転生記   作:ジャージマン

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分からない、分からない。

この世界のことも今の自分のことも。

考えれば考えるだけ、思考の糸は身動きがとれないほど複雑に絡み合っていく。頭の中を整理しようとした。机の抽斗(ひきだし)の中身を整理するように。しかしうまく整理はつかなかった。いくつかのものの位置を入れ替えただけだ。消しゴムのあったところにペーパークリップを入れ、ペーパークリップのあったところに鉛筆削りを入れ、鉛筆削りのあったところに消しゴムを入れる。混乱のひとつのかたちが、別のかたちに変わっただけだ。

いや、別のかたちに変わるならその考えを捨てよう。

これまでと一緒。一人で突っ走る、それだけ。


十話 偽りの勝利

      アアアアアアアァァァ!!!

 

俺が目の前の男を殴り飛ばした瞬間雄叫びを上げ回りの悪魔たちが襲いかかってきた。相手にとって予想外のことだったのだろう。多少動揺が見える。今の俺にとってそれは隙がない反撃材料となる。

 

「死ねっ!!!」 

 

そういって殴りかかってくる。その攻撃を俺は躱す。と、同時に俺の背後にいた者にそいつの右ストレートが顔面に炸裂する。

 

「なっ・・・!?」

 

お互い予想外だったのだろう。まともに防御をしなかったそいつは一発で気絶、目の前の男には俺のパンチを股間に神器を使わずに叩き込む。

 

「~~~~~~~~!!!??!?!?」

 

・・・よし。男の弱点はみんな変わらないみたいだ。なんかかっこわりぃ・・・。しかし二人を撃破。しかし数はまだクソほどいる。油断は、しない。

 

「油断するなよ! 餓鬼と言っても神器持ちだ!」

 

こんな餓鬼にもこいつらは手加減をしてくれないようだ。まさに外道。こいつらは俺を囲み様子を見ている。俺はそれを一心に見つめる。基本的に俺からは攻撃を仕掛けない。まずそんな経験などないし下手に攻撃しようなものならこちらが手酷いカウンターを受けるからだ。

 

そうして一人が目配せをした瞬間五人ほどが飛び出してきた。更に近くでそいつらは俺を囲み連続の足蹴り、アッパーなどを繰り返してくる。さすがにこの零距離での攻撃はかわせないので比較的に軽そうな蹴りをわざと受け吹き飛ばされる。

 

「いっっ!!?」

 

しかしそんな甘くないようで追撃のために跳んで追ってきた。ふざけんなよ、さっきの蹴りで意外と痛かったんだぞ! 追撃とかやめろ! そんな言葉は当然届くわけなくさらに殴り飛ばされる前に手をクロスにし多分ガードで防ぐ。痛みは神器のおかげで和らぐが飛ばされるのは変わらない。空をまた飛んでいると後ろから殺気を感じる。

 

「」ニヤッ

 

そこにはごっつい剣を構えた男が―――

 

冷静に分析している暇じゃねぇ! 服を脱ぎそれで剣の勢いをころし、地面につく。が服では斬り破られるためすぐさまその場から回避する。

 

「あんなに大口叩いてたくせに避けるのに手一杯ではないか。」

 

嘲笑しながら俺に事実を教えてくる。

 

「当たり前だろ。子供に攻撃を当てられないお前らもどうかと思うがなっと。」

 

それを攻撃をかわしながら皮肉で返す。しかし確かにこれは体力の底が尽きる。なら、あれを使うしかないだろう。

 

             禁手

 

意識した瞬間闇が俺を包む。そうして片方の腕に黒色の防具がつく。実際何かは分からないが多分そうだろう。相手は突然の俺の変化に驚きを持っているようだがそれをすぐさま振り切りこちらにきた。

 

向かってくると同時に弾、みたいなものを放ってきた。

 

予測できないものだがこの防具がついている右手で殴り飛ばす。と、同時にそれは消え去った。多少の痛みが感じるということはあれは攻撃だったのだろう。

 

         『intense aversion』

 

音がなり、鎧が足に装着された。前と同じ、だな。この言葉が鳴るときに装備が増えてくる。しかし時間が分からない。方針をリセットだ。相手の攻撃を受け流し自滅を狙うのをやめこの装備がすべて装着されるまで逃げて逃げて逃げる。

 

足に力を与える。そうして回りを見据える。この間にも猛攻撃が飛んできているが俺のボッチスキルの一つ人間観察で一手先を、自分が嫌だろうと思う場所を予想し避け続けている。

 

しかしこれも予想なので―――

 

「っっくそ。」

 

後ろからのローキックされ体制を崩される。からの上から俺を叩きつけるように殴りかかってくる。そこで悪魔が微かに少ない場所へ飛ぶ。が、加減を間違え壁へと突っ込んでいく。

 

「止まって、くれよ!」

 

壁に精一杯拳を叩きつける。自分の蹴った勢いと殴った威力がちょうど一緒なのか綺麗に止まった。しかしその瞬間刀で切りつけられる。

 

「っっっ。がぁぁぁぁ!!!!!」

 

血が噴き出す。背中から凄まじい勢いで。そして動けなくなったところを凶器をもった奴らが一斉にかかってきた。止めを刺すつもりなのだろうか。それに焦りを感じられないほど五感が鈍ってきている。

 

―――弱肉強食

 

ふとこの言葉が頭の中に流れる。

 

この世界は、少なくとも今の状況はまさにそうだ。俺は弱者であとは強者。負けが決まっている勝負。勝てば恨まれ様々な理不尽が飛んでくる。しかし負け続ければ嘲笑われ、理不尽が飛んでくる。弱者とは本当に理不尽極まりない。まぁそんなものにはもう慣れていたが今一瞬だけ俺は強者になってみせよう――――

 

『misfortune』『misfortune』『misfortune』『misfortune』『misfortune』

 

体のすべてに鎧が着き、そして俺の背中から翼がはえる。しかし俺の意識は朦朧のまま。自分の意志で体が動かない。故に驚く思考でさえ働かない。だが。なぜか動いている。他の誰でもない。比企谷八幡が、だ。

 

そのまま操られるように俺は前を見据える。全方向から悪魔が襲い掛かってくる。だが俺は焦らない、その意識がないからだ。無心に何かを唱える。

 

          【アビサルレイジ】

 

闇の剣が俺の手に現れる。そうしてその剣を構え、振るう。

 

          【ムーンライトスラッシュ】

 

回りにいる悪魔たちを円を描くように薙ぎ払っていく。どんどん相手が地にひれ伏していく。―――血を吹き出しながら。

 

だが止まらない。俺も相手も殺し合う。お互いが死ぬ、その時まで。

 

斬って斬って斬って。薙ぎ払って薙ぎ払って薙ぎ払って。

 

圧倒的有利。周りは死体の山。その時俺の口が動く。

 

 『久しぶりだな。この世界は。』

 

声が静かな研究所に響いていく。とても威厳のある声が。

 

「なっ!? 貴様は忌まわしき――『さて』

 

『そろそろ終焉の合図といこうか。』

 

『この世界に不幸をもたらす黒龍(ブラックドラゴン)として最高の最後を貴様らに見せてやる。』

 

悪魔が恐怖を捨て向かってくる。全てはバルパー・ガリレイ様のため、そう言いながら。

 

『馬鹿、だな。』

 

           【デビルクライ】

 

建物が、大地が、空気が揺れ悪魔たちは肉体すらも消えさった。黒龍のだした衝撃波により。そうして俺の体は倒れ、意識も消えた。

 

―――黒龍

 

その言葉だけを覚えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ」

 

意識が覚醒する。目を開ければ雪がシンシンと降ってきている。ゆっくりと現実に向き合いつつこの雪景色を楽しむ。

 

「ついに人間じゃ、なくなった、かぁ。」

 

もう大抵のことじゃ驚くとは思わなかったのにな。あの夢みたいな意識だがしっかり覚えている。

 

       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『久しぶりだな。この世界は。』

 

 

『この世界に不幸をもたらす黒龍(ブラックドラゴン)として最高の最後を貴様らに見せてやる。』

 

『馬鹿、だな。』

         

       ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

人を殺した、次々と。翼が生えた、明らかに人間な物じゃないものが背中から。

 

「せめて、人間でいたかったなぁ。」

 

どんなに無様でも、どんなに屑らしくても、どんなに周りから笑われようともだ。あいつらに会えるなら人間で、人を殺すなんてしない常識人で笑顔で会いたかった。綺麗な俺と自分を棚に上げるつもりなんてないのだがそこだけは弁えていたかったな。相手がどんなにクソ野郎でも気絶で済ませれる。

 

ドシッと俺の背中に何かが乗ったような気がした。世界の苦悩をひとりで背負っているみたいな、それほどの重さ。

 

そうして俺はこの重みからは逃げられないだろう。

 

しかし俺はこれを誰かに話したりなどはしない。相手に自分の悲しみ、決意などを話しても何にもならない。ただ自己満足が満たされるだけ。

 

「さて、これからどうするか。」

 

何か目標を持たないと俺は俺を保てない。今俺が立っている場所は崖。少し押されたら落ちてしまう、そんな場所にいる。

 

駄目だ。こんなことを考えたら本当に理性が崩れて行ってしまう。その前に行動に移そう。

 

それが愚策だとわかっていようとも俺は足を止めない。

 

それが俺のやり方だから。理由はそれでいい。

 

 

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