捻くれボッチの転生記   作:ジャージマン

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やはり考えないようにしようとしても人間いろいろ考えてしまうものだ。

過去のこと、現在のこと、未来のこと。

そこにどんな地雷が埋まっていようと分かっていても、自分を傷つけるだけと分かっていてもだ。

別に人生何も考えず生きろってことじゃないがな。そんな生き方こそ自分を苦しめるだけだ。

しかし結論はどうなのだろうか。

ただ悪いことを考えるな、ということは駄目だと分かっている。しかしそれは無意識にも頭に流れてくる。その瞬間今の自分を否定しかねない。

しかし悪いことを何も考えない、それはただの馬鹿だ。この世界幸せのことなんて不幸に比べたら無いに等しいから。

なら。

考えることも考えないことも許されない理不尽な問題。

それなら俺はどうするか。




―――ただ自分の考えを貫いていく

これが俺の答えだ。




十一話 対面

あの後俺は体を引きずりながら山から下りた。あの場所にいるとついさっきの出来事を思い出してしまう。だから下りた、自分がやらかしたことから逃げる為に。

 

「あー、寒ぃ。・・・もうここから動きたくねぇ。」

 

その下りている途中に突然大吹雪が降り始めたため途中にあった空き小屋で避難している。暖炉や、マッチやら都合のいいものが意外に有った為一命を取りとめている。・・・ぬくぬくだにゃー。

 

温まっていると突然眠気が襲ってきた。火の管理やら悪魔やらの敵の侵入を考えないといけなかったがもう体力がそこに尽きていた。せめて体は温めておこうとそこらへんにあったボロボロのシートを被り目を瞑った。

 

―――そういえばあの黒竜とか言う奴は何だったんだろうか

 

そんな考えが頭に掠めた後、俺は完全に意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・・い。・・・きろ。・・・・』

 

―――なんだ。

 

『お・・・・。おき・・・。しゅ・・』

 

―――誰かに呼ばれている

 

『おい。起きろ。主よ。』

 

―――主、とは誰だろうか いや、どうでもいい まだ寝させてほしい

 

『起きろ。』

 

そんな声が聞こえた瞬間腹部に痛みが奔った。途端意識が覚醒し、後ろに下がる。まさか敵が―――

 

そんな考えを破る様に言葉がかけられる。

 

『やっと起きたか。そんなものではこの世の中生きていけんぞ。』

 

「・・・・・は?」

 

予想していたものと遥かに違う言葉に一瞬頭の処理が追いつかなくなる。が、頬を叩き現状確認をする。

 

―――ここはどこだ

 

自分が寝た所の空き小屋が一変して一面真っ白な世界。足の感覚で自分が立っていることだけが分かる。それがなければ自分が何かなのかも分からくなるほどの場所。

 

そして相手は――――

 

見た瞬間相手の姿よりも先に凄まじいプレッシャーが俺を襲った。立っていられない、それほどのプレッシャー。冷や汗が止まらない、それでも相手を見る。

 

―――それは人間ではなかった。

 

倒れてきたら俺はつぶれてしまうほどの真っ黒な巨体。

 

背中から伸びる真っ黒な翼。

 

一秒でも長く見ると気を失ってしいそうになる鋭い赤い目。

 

とても現実とかけ離れた物体。

 

それを見て頭がワンテンポ遅れて理解する。

 

―――こいつには勝てない

 

どんな結末を予想しようとも死しかない、それしかない。初心の俺が分かるほどの敵。それでも構えだけはとかない。死ぬわけにはいかないから。

 

そんな俺の考えを見透かしたのかそいつは笑いながら俺に告げる。

 

『そんな身構えなくてもいい。』

 

そんな言葉をかけられても安心なんてできるはずがない。ただ身構えて目で話を促す。

 

それを返事と見たのかドラゴンが喋りだした。

 

『別に君を殺してもいいが、私にメリットがないし何より折角私の暇つぶしができたんだ。殺すわけないだろう。』

 

・・・・待て待て待て。話が全く理解できない。しかしドラゴンは質問には答えたぞ、という目を俺に向けてきた。俺の期待した応え全然聞けなかったんですけど。

 

「・・・お前にいろいろ聞きたいことが山ほどあるんだが最初に一つ聞きたい。・・・・ここどこだよ、俺は小屋で寝てたはずなんだが。」

 

『最もの疑問だな。・・・ふむ。君が納得するか分からんがここは私の精神世界のでもいうべきかな』

 

駄目だ分からん。何? 精神世界? 中二病の一つでありましたね、えぇ。今はもう違うよ?

 

いろいろずれていきそうだったのでそれは置いといて次の疑問をぶつける。

 

「俺はただ寝ただけのはずなんだが、なんで精神世界とやらの場所にいるんだ?』

 

そう。俺は同じくいつも通りの睡眠をとったはず。寝ただけで来れるならもうこの世界に来た初日に会っているはずなのだが。

 

『それは私が呼び出したからだ。そろそろ話でもしておかないと君は本当にくたばりそうなのでね。』

 

御尤も、こいつの言う通りだ。俺は今現在死にかけている。ここまでこれたのも運のおかげだ。あの時も体が操られていなかったら―――、そこで一つ疑問が生じる。まさかこいつが、俺を?

 

『その通りだ。』

 

何度目か分からない考えに浸かっていると俺に回答をかぶせてきた。・・・顔にでてたか?

 

『しかし今はその話は置いておこう。まずは自己紹介とでもいこうか。名前が分からんと不便だろう。』

 

なんか話が勝手に進んでます。俺の疑問を無視し、自己紹介は始まる。

 

『私の名前は、そうだな。オニキスとでも呼んでくれ。』

 

「・・・比企谷八幡だ。」

 

『では八幡よ。お前はまだ何もこの世界、私のこと、そしてお前の境遇。何も分かってはいないだろう。』

 

「まぁな。生まれてあまり間もないのに分かるわけないだろ。」

 

この世界は真っ黒なことは知ってるけどね! 八幡偉い!

 

「―――そうか。まぁ確かにそうだな。全部大切だから聞き落すなよ?』

 

何か考えごとを一瞬しているように見えたが気のせいか? その間を何か俺にとっての都合の悪い事ではないかと思った矢先にそいつが話だした。

 

その話には正直絶句だった。

 

この世界には天使、堕天使、悪魔と三大勢力というものが存在していて昔から今まで争いが続いているらしい。まずこの話でゲームとさほど変わらないもので頭が追いつかないのにまだ話が続けられた。

 

ブラックドラゴンことオニキスという目の前にいる存在は昔、赤龍帝、白龍皇が喧嘩している所に面白半分で割り込みボコボコにしたらしい。

 

それって俺がお前の所持者ってわかったら俺ヤバくないって俺が聞いたら笑いながら大丈夫だって流された。えーー・・・。

 

そして。俺の境遇のことだ。

 

俺はこの能力の所持者ということとあるともにオニキスの主でもあるらしい。こいつが言うからにはこの神器を持っているせいで強者に会いやすいらしい。そして死が隣り合わせな戦いがとても多くなるらしい。

 

最悪、その一言に尽きる。どうもこの世界は俺に希望の光すらも見せようともしてくれない。ここで熱血主人公なら戦いの中で成長できるやら戦いが楽しいやらと言うのだろうか。俺は強くなりたいなんて一ミクロンもない。ただ生き残れたらいいな、という考えで来ている。戦闘なんてごめんなんだがそれすらも許されないらしい。

 

そこですべての話が終わった。

 

『これが今現在のお前の境遇でもあり定めでもある。ここで八幡に質問しよう。お前はこれからどうする? 何を目標に持ち何を希望にしこの世の中を生きるのか、それを私に教えてくれないか。』

 

問いが課せられる。まずはこれが最初の試練だと言わんばかりの目線で逃がさないと言っているのが俺には分かった。何を目標にし何を希望に持つのかだって? そんなもの無いに決まっている。とうの昔に目標など希望など捨てた。だが。どうしても逃げるなとオニキスは一言も口には出さず威圧で訴えてくる。なら答えてやろうではないか。綺麗な回答なんて百人みても違うと言う最低な回答をお前に言ってやるよ。ただ正直に俺の気持ちを。

 

「ないね。そんなもん。」

 

俺の言葉がこの空間に響いた気がする。オニキスはただ無言で俺が喋るのを待っている。この場所が、オニキスがあまりにも静かで俺は口を開くのを躊躇ってしまう。

 

―――ここから先言葉を続けてもいいのだろうか

 

そんな考えを頭から振り払い無理矢理口を動かす。

 

「この世界は。」

 

よかった。動いてくれた。ならここから先も言葉を続けよう。

 

「いくら努力しようとも、いくら求めようとも、どれだけ理不尽に耐えて生きていても希望なんて少しも見えてやこない。」

 

そう。俺だって昔は努力すれば必ず報われると思っていた。求めれば相手は答えてくれる、だから少しの理不尽は耐えて必死に生きよう。そうすれば必ず幸せは来てくれる、そう思っていた。

 

しかし。

 

そんな考えは中学時代に容易く崩れ落ちた。

 

「現実はいつだって非情だよな。みんな平等とか言ってる奴だって自分が危うくなるとすぐ裏切る。所詮そんなものなんだ、人っていうのは。」

 

だから期待するのを止めたんだ。それは自分が傷つくだけと分かっていたからそんな無いもの頼りするぐらいなら信じるのは自分だけ。頼れるのも自分だけ。それを自覚してからか俺はこの世界が白黒にしか見えなくなった。

 

「信じられるのはいつも自分だけ。そんな考えの奴が目標なんて、希望なんて持てるはずがないだろ。」

 

だが。

 

確かに色が付き始めた時があるんだ。

 

俺の中にある理性の化け物が許した少しだけの求めが報われた時が。

 

――――――奉仕部

 

そこにいるときは今だから言える。楽しかった、嬉しかった、少しだけ希望を持てたんだ、あいつらのおかげで。こんな俺がここまでしてもらって何も返してない。それはなぜか。

 

――――――怖かったんだ

 

確かに奉仕部にいるときだけとは言わないがその時、その瞬間が俺の世界に色付けてくれたんだ。しかしそれと同時に自分が自分でない、そんな気がしてきたんだ。だから自分は変わっていないんだとずっと言い聞かせてきた。

 

その結果がこれだ。

 

あいつらに何も返せず死んでいった無様な俺。笑えもしないオチ。しかしチャンスが与えられた。もう一度あいつらに会えるチャンスを。それが与えられたから俺は自分の本当の気持ちが分かったんだ。それを伝えるためには何をすればいいのか。

 

答えは一つだけだろう。

 

「ただ。」

 

誰にどれだけ否定されようとも俺が俺を否定しない。

 

「目標を決めろというのならば。」

 

俺の本当の気持ち。

 

「この世界から、不幸からただただ逃げて逃げて逃げて生き延びる。どれだけの敵に会おうが関係ない。絶対に俺は生きる。それだけだ。」

 

言ってやった。

 

目の前の存在に、オニキスに。

 

この言葉を解釈すると俺はモブキャラでいたいと言ってると変わらないだろう。

 

さて。こいつは何を言う―――

 

『いいことだ。』

 

そうして言葉が放たれた。

 

『下手に綺麗ごとを言うよりはそれのほうがよっぽど好感が持てる。まぁ俺の主である以上戦いから逃げることは許さないがな。』

 

笑いながら絶望的発言を言いやがった。逃げることの何が悪いんだ!

 

そこで視界がぼやけてきた。

 

『今日はここでお別れとしよう。次はもう少し話を―――』

 

そこで俺はこの世界から意識を切り捨てられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あれが今度の私の主か。しかしあの幼き体をしていてあの発言、世界に持つ価値観。普通あんな子供であんな発言が出るはずがないはずなのだがな。』

 

八幡の精神年齢は何歳だと少しは気になるがまぁそれは別にどうでもいいな。

 

『今度呼び出すときはビシバシ鍛えてやろうかな。』

 

そう言って一人顔をゆがめた。比企谷八幡にとっては最悪の爆弾発言であるが本人は気づかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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