そんな不確かなものに願うことさえしか許されてないから。あまりにも自分が不憫すぎてしかし自分で幸せを掴もうとする努力さえもしない。
どうせ努力などしても、期待などが膨らむだけだし、努力をすれば幸せを掴めるとの言葉も信じてない。
どうせなにもかも俺を裏切るのだから。夢も人も、神でさえも。
なら今の俺に何が残っているのだろうか?
――――あいつらを思うこの気持ちだけ
俺はそれだけを信じ、あとは信じない。この気持ちだけは『本物』だと信じて。
――――家が燃えていた。
「ッ! 逃げねぇと・・・!」
あの悪魔の人数、火の燃え方を見てもう中の人は助からないだろう。もし生きていたら・・・と思うと見殺しみたいで心が痛いが、まずは自分の命が大切だ。逃げ道の確保を―――
「ガァッ!?」
気付いた瞬間俺は家の方に吹き飛ばされていた。
ザザザザザァーーーア
地面に引きずられていくようにつれ吹き飛ばされた勢いも衰えていく。その瞬間に俺は声に反応し立ち上がる。
「子供なのにここまで冷静な人は初めて見たな・・・。しかも軽くとは言え俺の蹴りに普通に立ち上がってくるとは、少しショックを受けるな。」
「・・・ハッ。これが普通に見えるアンタの目はどうなってんでしょうねぇ。」
別にこれは皮肉なんてものではない。実際俺はさっきの蹴りでかなりやばいし、さっきのが軽くだと思うとお先真っ暗だ。
―――そしてこの人数
こうしてだべっている間にも集まってきている悪魔たちをどうするか、思考を巡らせた瞬間、悪魔が目の前に存在していた。
「この状況で考え事かい? ずいぶんと余裕なもんだな。」
そして拳が振り下ろされる――
すんぜんで俺はあの能力を使い何とか受け止めた。・・・受け止めるぐらいならギリセーフみたいだ。
「ッ!? 神器持ちか。が所詮籠手、問題ない。」
籠手、というものが何かが分からないが防ぐ、逃げるこれを最善に動く。思考、体を止めることは許されない。
しかしこの数で一斉に攻撃されるとリンチ確定は決まっているだろう。逃げ場はないが家の中に避難をする。まだリンチは避けれるだろう。
足に少しだけ力を入れる。調節が分からない以上最小限に済ます必要があるだろう。
そして俺は家に向かって飛ぼうとする―――
「どこに行くつもりだい?」
直前で腕を掴まれる、くそっ! これじゃあ飛べない!
「――――離せ。」
腕一本くれてやる。カクゴシロヨ?
ゴシャ
思いっきり下に殴りつける。その瞬間に鋭い痛みが奔るが悲鳴を上げているときではない、すぐさま家にジャンプをする。
「バカなッ!? 籠手でこんなに力が出るはずが―――」
相手がいいように動揺をしてくれているようだ、ひとまず家の中のちょうどいい場所を探さねぇと。
家の中を走り部屋の扉を次々に開けていく瞬間に声が聞こえた。
「やめて! お母さんを、どうしてこんなひどい事をするの!?」
そして次の扉を開いた瞬間、その現場に遭遇してしまった。母親の見られる人物とやめてと叫んでいる俺と同じぐらいの少女を発見した。
「~~~~クソッ!」
すぐさまUターンをし、逃げる。大丈夫だ、悪魔の数は多かったが俺には意識は向いていなかった。あいつらを助ける、そんな力はあるわけでもないし、ここはアニメの世界ではない。まず俺が助からない。
そう、考えているはずなのに自然と違う考えも出てきてしまう。あいつらは、どちらかがもし生き残ったのなら復讐に生きるのだろう、俺があいつならそうなってしまう覚悟がある。・・・しかし俺には関係ない!所詮他人なんだ!
そうして振り向くと悪魔が武器のようなものを振り上げ、それから少女を守る様にする母親が見えた。そして母親には後悔らしきものはしていなく少女に必死の笑顔をしていた。
―――その様子がどこかのクソ野郎と、何もできなく死んだ奴と一瞬重なって見えた。見えてしまった。
「ッ! クソ野郎がぁーーーーーー!」
気付いたら悪魔の、母親を切り伏せようとする奴を殴り飛ばしていた。
「え・・・・。あなたは・・・・?」
母親と少女が目を丸くし質問をしてくる。が、俺は答えない。
「気まぐれに来たら巻き込まれただけだ。それだけ。」
そうして壁が壊れた方を無言で指で指す。
「ここにいたら邪魔だ。外に行ってろ。」
「・・・っ、駄目よ!子ども一人に、こんな所を任せるわけには――」
その言葉を遮るように悪魔たちが寄ってきた。
「速く行けっ!!!!」
反射的にだろう、母親は少女を抱きかかえすぐさま外に逃げていった。そう、これでいい。いや、よくないか。思わず自嘲気味の笑みがでる。
「っ、逃げたぞ。追えーーーー!」
俺は無言でそいつらのルートを遮る。ここまで不幸なんだ、それにお前らもつき合わさせてやるよ。
「・・・そこをどいたら命だけは助けてやるが?」
「・・・半殺しはごめんなんでね、せめて楽に死にたいもんで。」
相手はそうかと笑いながら言い放った。俺は静かに吐息をもらす。なんでこんなことをしているのかな、と疑問に思う。
そして一瞬の静寂のうち、悪魔たちが一斉に襲い掛かってきた。迷っている暇などない。俺はそう思い、あの力を思い出し、すぐさま言い放つ。
「禁手(バランス・ブレイカー)!」
その瞬間、しゃれにならないほどの憎悪が頭に流れ込んできた。気絶せずにはすんだようだ。
『こんな子供が禁手までたどりつくとは、面白いな。』
そんな言葉も聞こえてきたような気がしたが、憎悪の一つだと判断し、まずは襲い掛かってきたやつを殴りとばした。瞬間そいつが吹き飛ぶ。
「あがぁあああああああ!?」
なんだこの力は!?しかも腕も折れていない。殴った折れていない方の腕を見れば真っ黒な鎧、オーラ的なものになっていた。
『intense aversion』
なにかの効果音が流れた瞬間片足にもついた。いや、考えている暇はない、足で蹴り飛ばす、手で殴り飛ばすを繰り返す。ハハハ・・・この鎧まじで最強じゃんかよ。もう無双である。
一瞬思考をとめ、油断する。その一秒腹部をなにかに刺された。
「~~~~カハッ」
口から血が吐き出される。まずいまずいまずい! 油断した! 無双などありえるわけないのに、くそっ。意識が遠ざかっていく。このままだと死は避けられない。
それだけは駄目だ、絶対に。あいつらに、何も言えない、会えない。それだけは死んでも死にきれない。
――――最後の抵抗だ
地面に俺のすべてを叩きつける。こんなのであいつらを殺せるとは思えない。が、怪我ぐらいはしてくれるだろう。―――いや
シンデシマエ
カッ!
そうして大きな衝撃とともに俺は意識を飛ばす。自分がいつの間にか黒い感情を抱いてしまった不信感を抱かずに。
「あの少年は?」
「確保しておいた。この能力だ。もしかした研究所で役にたつかもしれん。」
「・・・いい考えですね。しかしあの二人は?」
「探しに行かせたが見つからないようだ。何より被害が大きすぎた。」
「確かにあの威力はやばかったですしね。」
「まぁ。その分こいつに役にたってもらうさ。」
また比企谷八幡は巻き込まれる。事件に、殺し合いに、ハプニングに。どれだけ運命に抗おうとも覆せない結末。
なぜ抗おうと覆せないのか?
―――そういう運命だから