「我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りしもの!」
「彼女はメグ・シュテルフォン、ただの人族で私の友達です。見ての通りちょっと頭がおかしいですが、悪い子ではありません」
「おい、頭がおかしい件についてちょっと話がしたいのですが」
こんにちわ。元ヒキニートのルーデウスです。
今現在、俺の目の前に居るのはそう!ロキシー師匠に勝るとも劣らないロリっ子、自称めぐみんことメグ・シュテルフォンさん。
言動がちょっとあれというか、心がむず痒ーくなるような、所謂中二病みたいな、そんなエキセントリックなキャラをした人だ。
ロキシー師匠が合法ロリであるのに対し、彼女の場合はまだ17歳の前世基準で違法ロリ!いや、15歳で成人なのだからすでにロリではないのだろうが、見た目が見た目だ。まるで女子中学生のような外見で、とても成人しているとは思えない。
師匠の友人を名乗る彼女は、師匠が俺に卒業を言い渡した後に「後はこの人から習うといいでしょう」と連れてきた人だった。
要は引き継ぎ要員であるが、こんな中二病で大丈夫なのかという不安が募る。
「ルディ、彼女はこう見えても火王級魔術師です。火系統魔術に関しては正しく達人級ですから、そんなに不安そうな顔をしなくてもいいんですよ」
ロキシー師匠はそう言うが、それにしたってあの中二病はないだろう。
師匠の別れを惜しんで泣きそうだったのが全部吹き飛んでしまったではないか。
「案ずることはないですよチビッ子、ロキシーからあなたの魔力量が莫大であることは聞き及んでおります。ならば必ず爆裂魔法を使えるようになるはずです!」
めぐみんは俺に向かって高らかに宣言した。
爆裂魔法ってなんだよとか、魔法じゃなくて魔術なとか、いろいろ突っ込みたかったが今は気にしないでおこう。
「ではメグ、ルディのこと……頼みましたよ」
こうして、ロキシー師匠が俺の元から去り、新しい師匠がやってきた。
俺ことルーデウス・グレイラット、5歳の頃のことである。
●
もしかしてここは“このすば”世界ではないのでは?
私がそのことに気が付いたのは、この世界に転生してから2年の歳月が流れてからのことです。
私が産まれたのは魔大陸の辺鄙な村で、魔大陸にしては珍しい人族だけの集落でした。
500年前、ラプラス戦役という大きな戦があったときに、魔大陸に攻め込んだ人族の精鋭魔術師たちが敗れ、魔族の目を逃れるようにしてこの地に身を潜めた――それがこの村の起源であるそうです。
そうして魔大陸で暮らすようになった私たちの祖先は、自らを“紅魔族”と名乗るようになり「俺たちは人間っぽいだけの魔術が得意な魔族だから見逃してちょ」と周囲に喧伝して回ったそうです。故に私たちは人族ではなく紅魔族と認知されているわけですが、実際のところはただの人間。
けれど、紅魔族はただの人族ではありません。何せ、皆が皆、生まれつき高い魔力を持ち、かつ魔術の才能にも恵まれている。多少頭のネジが緩んでいる、あるいはちょっと奇抜なセンスをしているというだけで、戦えばめっぽう強いのです。
これは始祖の紅魔族が、当時の最強戦力とも呼べるエリート魔術師集団だったからであり、その教えと遺伝子を私たちが受け継いでいるからでしょう。
しかし私はこの紅魔族という種族に対し、誇りではなく強い違和感を持って接してきました。
―—あれ?ここ「このすば」の世界じゃないの?でも紅魔族って名乗ってるし、魔法も使ってるし、服装もやっぱり紅魔族なんだけど。それにしてはネーミングセンスが普通なんだよなぁ。だって私の名前がメグ・シュテルフォンって(笑)紅魔族の風上にも置けない凡百な名前してるし、なんか違うんだよなぁ。え?ラプラス戦役?七大列強?アトーフェラトーフェ!?……やべえよやべえよ(素)ここ六面世界じゃん、無職転生の世界じゃん!いま甲龍歴何年?402……あっ(察し)ふーん。
その原因は私が転生者だからで、それゆえに知り得ている知識にありました。
この世界に存在しないハズの種族、紅魔族。
本来ならば「このすば」なる作品世界にのみ存在する種族。
そしてそれを知識として知っている私という『転生者』。
この世界では異世界の存在はそれだけで強い運命を帯びると私は知っていました。故に転生者である私もまた、強い運命を帯びた存在であることは自明の理でしょう。
紅魔族というイレギュラーが、きっとヒトガミとの決戦においてマイナス要因になって、それを解消するために送り込まれたのが私なのではないか……そんな嫌な予感が、脳裏をよぎりました。
とはいえ、不安ばかりに囚われていても仕方がありません。
せっかく二度目の人生なのだ。今この瞬間を楽しもうじゃないか。
そう思った私は、“めぐみんロール”にどっぷりと浸かることにしました。
幸いなことに私の顔立ちは「めぐみん」そっくりで、中々様になっていたと思います。
爆裂魔法を愛し、中二病を極める紅魔族の系譜。自称・最強魔術師、メグ・シュテルフォン!
異世界知識が生んだ新たなる個性は、そこそこエキセントリックな人の多い村の中でも完全に浮いてしまいました。結果、10歳になった私は家を出奔。
目指した先は――ラノア魔法大学。
紅魔族の血と前世の知識、そして異常なまでの魔力量を引っ提げて入学した私は、そこですぐにひとりの人物と出会うことになりました。
――ロキシー・ミグルディア。
彼女は、私がラノア魔法大学に入学して間もなく出会った、上級生であり先輩でした。
小柄で、無表情気味で、口数は少ない。でもその言葉には芯があり、放つ魔術には理論と実践が完璧に融合していていました。
彼女の魔力は派手ではない。けれどその生き様には、魔術師としての誇りと、静かな闘志が宿っていたのを確かに感じたのです。
私はその姿に、ただただ心を奪われてしまいました。
中二病ロールを決め込んでいる私ですら、その前では“本物”を前にした時のように背筋が伸びる思いだったのです。
私は、ロキシー先輩を全力で慕うことにしました。
講義では最前列に陣取り、寮では噂話に耳をそばだて、廊下で見かければ謎の詠唱を口走って気を引こうとする始末。
……周囲には若干引かれたが、気にしてはいけない。
ロキシー先輩は、次第に私のことを“変な後輩”として覚えてくれるようになりました。
たまに雑談を交わせるようにもなって、たまに微笑んでくれるようにもなりました。
それが、たまらなく嬉しかったのです。
そして――私は知っていました。
彼女の未来に、運命的な出会いが待っていることを。
ルーデウス・グレイラットという少年と出会い、その人生が大きく変わっていくことを。
ロキシーはまだその名前すら知らない。けれど私には、前世の知識という特権がある。
そして、私はこう思ったのです。
――きっと、ルーデウスが彼女の人生を大きく左右するのだとしたら。
――彼が未熟だったせいで、ロキシー先輩の人生が傷つくようなことがあってはいけない。
ならば、私は彼を見つけ出して、全力で鍛え上げてやらねばならない。
ロキシー先輩の未来を守るために。
彼女の笑顔を、後の時代まで繋ぐために。
それは、ちっぽけな紅魔族の私が“この世界に来た意味”なのかもしれない。
だから私は、まず大学で魔術の腕を磨きながら、運命の糸を辿る準備を始めたのでした――。
社長 「紅魔族?知らん…何それ…怖…」
ヒトガミ「紅魔族?知らん…何それ…怖…」
老デウス「紅魔族?知らん…何それ…怖…」
紅魔の里…馬鹿みたいに強い魔術師を輩出しまくることで有名な里。里に住む紅魔族は「このすば」さながらの見た目をしているが、これは近親婚を繰り返した結果。頻繁に不死魔王アトーフェラトーフェが攻めてくるが、なんやかんやで追い返している。アトーフェはただ遊んでいるだけのつもり。