超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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オートボット、女神側のエピローグ


Rei Kiseijou is Dead epilogue side『A』 

「……それで、その子を連れて帰って来たと」

「うん!」

 

 プラネタワーの女神の生活スペース。

 やっと家に帰って来たネプテューヌは、事と次第をアイエフやコンパ、ネプギアとイストワールに説明していた。

 

「よ~しよし、ロディ君は良い子だね~」

「いいこいいこ♪」

 

 プルルートとピーシェは、ネプテューヌがロディマスと名付けたトランスフォーマーの雛をあやしている。

 

「迷子の女の子(ピーシェ)の次は、迷子のトランスフォーマーですか」

「ねぷねぷは色んな子を拾ってくるですねえ」

 

 イストワールは思案するように人差し指を頬に当て、コンパは大らかに微笑む。

 対して、アイエフは訝しげな顔だ。

 

「それはいいとしても、何も聞くな、ねえ……」

「ごめんね、あいちゃん、みんな。いつか、必ず話すから」

 

 一転して真面目な顔になったネプテューヌにアイエフは、ふと昔を思い出す。

 

 昔もこんなことを言われた。

 確か、ネプテューヌが記憶喪失だったころだ。

 世界を回りプラネテューヌに帰ってきてすぐ、らしくもなく、やたら沈み込んだ表情をしていたので問い詰めてみたら、似たような返しをされた。

 

 ……後に記憶を取り戻したネプテューヌを問い詰めてみたら、ネプテューヌの狂信的な信者の親子と出会ったからだと言う。

 

 当時のアイエフにしてみれば珍しくはあっても、そこまで驚く程でもない親子の価値観は、この不真面目で能天気な癖に民への愛情は深かったりする女神からすれば、極めてショックだったらしい。

 

 ……つまり、ネプテューヌはあの時のように何か非常に重い物を抱えていると言うことだ。

 

「ハアッ……意外と似た者同士よね、アンタとオプティマス……。まあいいわ、いつかは話しなさいよ」

「わたしにもですよ、ねぷねぷ? 仲間外れは嫌です」

「あいちゃん、こんぱ……うん、ありがとう」

 

 微笑み合う親友三人を見て、ネプギアはほんの少しの疎外感と寂しさを感じながらも笑っていた。

 

「みんな~、見て見て~」

 

 と、プルルートの声に一同が振り向けば、ロディマスがマントを羽織り、手に玩具の剣と盾を握っていた。

 その恰好をさせたらしいピーシェはニッコニコしていた。

 

「どう? ろでますおうじさまだよ!」

 

 どうやら、ピーシェがこの恰好をさせたらしい。

 ロディマス本人も、実に楽しそうだ。

 そんな子供たちを見て、微笑む一同。

 

 世は並べて事も無し。

 

 やっとプラネテューヌに日常が戻って来た。

 

 …………とりあえず、今のところは。

 

  *  *  *

 

 ブルーウッド大樹界の奥、フージ火山の麓。

 ハイドラ基地の跡。

 

 ディセプティコンもハイドラの兵士たちも引き揚げ、完全な廃墟となったここを、オートボットとGDCが調査に訪れていた。

 

 瓦礫の山の下から情報を掘り出すためだ。

 

「西区画の調査は終わった。東は崩落が酷くて思うように進んでない。今、重機を手配した所だ」

「ああ、引き続き頼む」

 

 脇に立つジャズの報告を受けて鷹揚に頷いた。

 

「しっかし、こんな大袈裟な場所を用意するとはな。その努力を別の方向に向けりゃよかったのに」

「全くだ。それにハイドラヘッドが吐いた情報が確かなら、色々と動かなければならん」

 

 教会に拘束されたハイドラヘッドは、素直に自分のバックにいる存在を暴露した。

 

「戦争経済の確立のために女神を廃そうとする企業連合ね……まるで三文小説だぜ」

 

 ジャズはヤレヤレと首を横に振る。

 ハイドラヘッドも、その全貌を知っているワケではないようだが、かなりの数の大企業が参加していたようだ。

 

 これらを摘発するとなると、大捕り物になるだろう。

 

「まあ俺としちゃ、ようやく例の企業をお縄に出来るってダケでも収穫だ」

 

 リーンボックス国軍と繋がりも深い軍事企業。そこもまた、ハイドラの黒幕の一角だった。

 アリスの一件から、あの企業は怪しいと感じ内偵を進めていたが、これで止めを刺せそうだ。

 ベールを悲しませたのみならず、国家反逆までやらかしたのだから最早許しがたい。

 

「あと、脱女神運動家のキセイジョウ・レイについてもアーシーとアイエフに頼んで調べてもらった」

「手間をかける。それで結果は?」

「キセイジョウ・レイ。十中八九偽名だな。年齢不詳、出身地不明。バイトを複数掛け持ちして生活してたが、どれも鈍臭い上にドジが酷くて長続きしなかったようだ。脱女神を掲げる市民団体のリーダー……って自称してたそうだが、実際にはビラ配りくらいしかしてなかったそうだ。どうにもカリスマ性とかリーダーシップとかに欠けてたみたいで、市民団体は形だけ所属してる連中がそれぞれ勝手に動く有名無実のもの……」

 

 ジャズの言葉を聞いて、オプティマスは思案する。

 聞く限りのキセイジョウ・レイと、実際に見た彼女には随分と剥離がある。

 

 ディセプティコンに混じって女神と戦い、メガトロンの隣にあって誰もが恐れるかの破壊大帝に意見を言う。

 メガトロンも彼女の意見は、比較的受け入れているように見受けられた。これは男尊女卑かつ、有機生命体蔑視の価値観を持つディセプティコン……まして唯我独尊を地で行くメガトロンらしからぬことだ。

 

 つまり、それらの価値観をひっくり返す、あるいは一時忘れるだけの有用性や気概を彼女は示したのだと推察できる。

 

 そんな女傑と、ドジで鈍臭い自称市民運動家とが、どうしても結びつかない。

 

「そんな彼女だが、数か月前……ちょうど俺らがゲイムギョウ界に来た頃に、失踪している。おそらく、この時にディセプティコンに接触したんだろうな。……しっかし、調べれば調べるほど、よく分からん女だな……なんだってディセプティコンに協力しているんだ?」

「女神打倒のため、敵の敵は味方……とは考え辛いな。彼女は女神だったのだから。それも外見的特徴から、タリ(ここ)の女神と見て間違いあるまい」

「亡国の女神か……国の再興でも夢見てるのかね?」

 

 思案に暮れる二人だが、通信装置に連絡が入った。

 

『もしもし、オプティマス? こちらホイルジャック。今いいかな?』

 

 奥の区画の調査をしているホイルジャックからだ。

 マイペースなホイルジャックにしては珍しく、声色には動揺しているような気配がある。

 

「こちらオプティマス。構わないが、どうかしたのか?」

『…………ああ。少し信じがたい物を見つけた。是非見てほしい』

 

  *  *  *

 

 地下基地のある溶岩洞の奥。

 古の国タリの遺跡。

 その岩の扉で閉ざされた部屋。

 

 中は岩の柱に支えられた広大な空間だったが、何があったのか柱は崩れ、壁や床には大きな穴がいくつも開いている。

 オートボットには知る由もないが、メガトロンとレイが戦いを繰り広げていた場所である。

 その奥の祭壇がどかされ、隠し階段が現れていた。

 

 ただし、トランスフォーマーサイズの。

 

 この遺跡は人間が造ったのだから、これは不自然だ。

 階段の下は、部屋になっていた。

 上の結婚式場と似た造りの、広い部屋だ。

 

 奥にはやはり祭壇があり、その周りにホイルジャック以下調査団が展開していて、オプティマスもジャズに後の指揮を任せてここを訪れていた。

 

 だが問題なのは、祭壇の上に鎮座している存在だ。

 

「ホイルジャック、これは……」

 

 酷く驚いた様子で呟くオプティマス。

 

 祭壇の上に載っているのは、巨大な金属製の球体のように見えた。

 オプティマス三人分は大きさがあり、表面は光沢があってツルリとしている。

 正面からよく見える位置には開閉部と思しい円形の切れ目が入っており、その上には柔和そうなロボットの顔を模した紋章……オートボットのイグニシアが描かれていた。

 

「これは……サイバトロンの物なのか?」

「ああ……『絶対安全カプセル』……そう呼ばれていた」

 

 ホイルジャックは極めて難しい顔で説明を始めた。

 オプティマスに説明すると言うより、自分で状況を整理しようとしているようだった。

 

「これはステイシス・ポッドの極めて革新的な発展型だ。使い方も同じ。中に入って機械を操作し、蓋を閉じる。そうすれば、中にいる者は絶対安全だ。この世に絶対なんてことは無いと言うが……ところがここに有るんだ。超新星の爆発もブラックホールの超重力も、これを……まして中にいる者を傷つけることはできない」

「と言うことは中には誰かいるのか?」

「……ああ、そのはずだ。だが出すことは出来ない。時間が来るまでは……」

 

 腕を組み、歩き回りながらホイルジャックは続ける。

 

「イモビライザー、以前私が造ったろう? あれと原理は同じ。中にいる者の時間は止まる。この機械自体の時間も。凍れる時だ……。中の者にとっては、万年の時も瞬く間。いやそれ以下か」

「それで、中に入った者はどうやって出るのだ? まさか、永遠にこのまま……」

「いやいや、そんなありがちなオチはない。最初にタイマーをセットするんだ。そしてセットした時間が来ると、自動的に時間が動き出し、蓋が開く……」

 

 そこまで言って、ホイルジャックはピタリと止まった。

 

「しかし、作ってみて分かったことだが外部からはいかなる操作も受け付けない。それがこいつの唯一にして最大の欠点だ。もしも、何も無い宇宙空間で蓋が開いたら? 恒星の上だったら、ブラックホールの中だったら? 極端な話、宇宙が滅んだ後の『無』の状態だったら? ……待ち受けるのは、確実な破滅だ」

 

 ホイルジャックは懊悩を重ねているようだが、話が途切れたのでオプティマスも意見を言う。

 

「何はともあれ、惑星サイバトロンとゲイムギョウ界に関係があることは間違いない。ダイノボット、ストーンサークルのスペースブリッジ、あの氷漬けのトランスフォーマー、そして絶対安全カプセル。……先人がここを訪れて、このカプセルを置いていったのだろう」

「……残念だが、それは有り得ない」

 

 しかし、ホイルジャックは悩ましげにオプティマスの話をさえぎった。

 

「絶対安全カプセルは、私が発明したんだ。センチネル・プライムが健在だったころに、私が発案し、設計し、製作した。最高評議会の依頼で……その証拠に、ほら。ここに私のサインがサイバトロン文字で書かれている」

 

 カプセルの蓋の脇の、サイバトロン文字を指差すホイルジャック。

 そこには確かに彼の名が書かれていた。

 ホイルジャックの言わんとしていることを察し、オプティマスは怪訝そうな顔になる。

 

「ホイルジャック、しかしそれは……」

「ああ。私がこれを作ったのは、ゲイムギョウ界の時間で何百年か前の話だ。……しかしこの部屋は、何千年も開けられた様子がない。……つまり、こいつは私が造るより前から、ここにあったことになる。……矛盾してる」

「何かの間違いでは?」

「カプセルに付着した土を分析したが、間違いなく数千年前の土だった。こんなことがあり得るのか?」

 

 頭を抱え、ホイルジャックは唸る。

 

「何か、何か我々の想像を絶することが起きている! 普通なら考えられないような何かが!!」

 

 考え込むホイルジャック。

 オプティマスはもう一度カプセルを見上げる。

 

「時間が来ると開くカプセル……まるで時限爆弾だ……」

 

 それは、思わず出た言葉だった。

 

 カプセルは、そして中にいるのだろう何者かは、ホイルジャックの悩みにも、オプティマスの言葉にも答えない。

 

 ただ、目覚めの時を待ち続ける……。

 




最近土日が眠くてたまらない……(言い訳)

今回の解説。

ロディマス
この子はかなり小柄なので、ネプテューヌでも抱き上げられます。
もう少し大きくなったら、オートボットの基地で育てる算段。

絶対安全カプセル
一応、ゲームネタ。
MOTHER3に登場します。
中に入ると絶対安全だけど、絶対に外に出ることも出来ないという、恐ろしい品。
そして中にいるのは……この作品、最後の役者は、凍れる時の中で出番を待っています。

次回はディセプティコン側の話。
では。
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