超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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本当は1話にまとめるはずだったけど、長くなったので分割。


第107話 ラステイション 要塞都市攻略戦 part1

 ラステイションのとある都市。

 侵攻してきたディセプティコン……いやエディンは鉱床となる山脈を背に鉱山都市として栄えたここに要塞を築き上げていた。

 

 その要となるのは、都市を囲む高い壁からなる迷路状の道路。

 さらには、長距離攻撃装置『レールガン』の存在が侵入者を阻む。

 生活用水は都市近郊のダムから引いてきている。

 

 正に金城鉄壁、難攻不落。

 

 そしてこれだけの大要塞を僅かな期間で建造したのは、もちろん……。

 

  *  *  *

 

「俺たち、コンストラクティコンってワケだ!!」

 

 要塞都市に置ける一応の司令部である高い塔の一室で、ミックスマスターは上機嫌にオイルを煽っていた。

 

「ま、洗脳した技術者や労働者が優秀だったってのも大きいけどな」

「しかし、ミックスマスター。良かったんですか? よりにもよって、ラステイション担当になって……」

 

 一人ごちるミックスマスターに酌をしながら、スクラッパーが不安げに問う。

 何かとこの国とは因縁のあるコンストラクティコンたちだが、ここには紆余曲折を経て親しくなってしまった人間たちもいる。

 ミックスマスターは、ふと真面目な顔になった。

 

「……他の連中に任せるよか、マシだろが?」

「ミックスマスター……」

 

 フッと笑んだスクラッパーだったが、急に鳴りだした警報に顔を引き締める。

 

『ミックスマスター、スクラッパー! ラステイション軍の攻撃だっぺ!』

「またか。連中も懲りねえなぁ。おう、いつもの通り追い返しとけや」

『了解だ!』

 

 スカベンジャーからの報告を受けて指示を出し、ミックスマスターはもう一度オイルを飲む。

 

「それに、この要塞に籠って資源を献上してりゃあ、一応はラステイション攻略中って名目が成り立つ。……しばらくは、このままだ。この要塞を落とせるもんかよ」

 

 目の前のモニターには、右往左往するラステイション軍が映し出されていた。

 

 迷路の中、轟音と共に砲弾が着弾した。

 大爆発が起こり、周囲の壁ごと地面が吹き飛ぶ。

 

 大部隊で持って要塞攻略に挑むラステイション軍だったが、思うようにはいかなかった。

 迷路はどこまで行っても出口が見えず、何処からか現れ、いつの間にかいなくなる敵兵。

 さらに上空から砲弾が降ってくる。

 

 いい加減、形勢不利と見て指揮官が撤退命令を出す。

 

 ラステイション軍は、すでに三回に渡り、この都市を攻めて返り討ちにあっていた。

 

  *  *  *

 

「さあて、皆さん! 今日も元気に壁の修復と作り変えに取り掛かりましょう!」

 

 ラステイション軍が去った後、ハイタワーとオーバーロード、人間の労働者たちが戦闘で破壊された……と言うかほとんどレールガンの砲撃で壊された……壁の修復を始める。

 

「壊すのだーい好き、でも直すのもだーい好き!」

「オーバーロード、あなた結構多趣味ですよね。……ま、それともかく頑張った人にはご、褒、美♡も出ますよ! 軍事特需ってやつです!」

『おー!!』

 

 恐るべきはそのスピード。

 あっという間に壁が直り、あまつさえ別の場所に新たに壁を作りあるいは壁を崩して通路を作る。

 工業大国ラステイションの面目躍如と言うべきか。

 

 とにかく、こうして迷路の内容を頻繁に作り変えているので、マッピングは無意味となり、都市攻略をより難しいこととしていた。

 

  *  *  *

 

 要塞都市の近隣にある草原。

 ラステイション軍はここを本陣としていた。

 

「……今回はまた手酷くやられたね。我が国民は敵に回すと、改めて厄介この上ない」

 

 仮司令部としているテントの中で、撤退してきた自軍の被害状況を確認し、ラステイションの教祖ケイは息を吐く。

 戦争と言う一大事に、ビジネスライクな彼女も疲労の色を隠せない。

 だが、その目に諦めの色はなかった。

 

「だが、『取りあえずの目的』は果たした。」

「ケイ様!」

 

 そこへ、兵士の一人がテントの中へ駈け込んできた。

 

「ノワール様たちから通信がありました! トンネルの入り口を発見した。これから都市内部に潜り込む、とのことです!!」

「本当にあったのか。半信半疑だったのだけれど……」

 

 少し驚いた様子を見せながらも、ケイのは一人呟く。

 

「あれだけの都市だ。維持するための物資、特に人間のための食糧が尽きる様子がないのが不思議だったが……。なるほど、地下から運び込んでいたのか。と言うことは、例の情報提供者……『影のオートボット』とやらの言うことは、取りあえず信用していいらしい」

 

 影のオートボット。

 

 突然、教会にエディンの情報を送ってきた相手は、そう名乗った。

 正確には、ネット経由で送られてきたデータに、そう署名してあった。

 

 怪しいことこの上ないが、ノワールは藁にも縋る思いで、その情報に賭けた。

 そして、その賭けに勝ったらしい。

 

  *  *  *

 

 要塞都市とは山脈を挟んで反対側に厳重に隠されていた地下トンネルの入り口。

 ラステイション軍が正面から都市を攻めている隙に、そこからトンネルに侵入し、ノワールとアイアンハイド、ユニとサイドスワイプ、少数のラステイション兵は要塞都市を目指していた。

 

「……にしても、まさかこんなトコを使うだなんてね」

「ユニ、ここは何なんだ? コンストラクティコンが用意したにしちゃ、随分古びてるが」

「古い坑道よ。私も古い資料を引っ張り出して初めて知ったわ。山脈の下を通って都市に出れるけど、崩落して使い物にならなくなってたはず……あいつらが復旧したのね」

 

 会話しながら歩くユニとサイドスワイプ。

 坑道の地面は舗装されており、壁も補強されている。

 もはや壊れた過去の遺物を実用に足るだけする辺り、コンストラクティコンの高い技術がうかがえる。

 

「とりあえず、このまま進みましょう。……後は情報通りなら、いいのだけど」

 

 ノワールの号令の下、しばらくトンネルを進んでいた一同だがアイアンハイドが何かに気が付いた。

 

「待った! 前から何か来るぜ!」

「全員、隠れて!」

 

 すぐさま、物陰に隠れるノワールたち。

 廃坑道を利用したトンネルなので、隠れる場所はいくらでもあった。

 アイアンハイドとサイドスワイプも、柱や岩の影に上手いこと身を潜ませる。

 

 ノワール自身、岩影で息を潜めていると、前方からトラックの一団がやってきた。

 先頭にいるのは緑色のダンプカー……ロングハウルだ。

 荷台にはランページも乗っている。

 恐らく、食糧なり何なりの調達に出かけるのだろう。

 

「ランページ、自分で走ってほしいんダナ」

「仕方ないじゃろう。ワシは足が遅いんじゃ」

 

 言い合いながら、二人はトラックを率いて走っていった。

 ノワールたちに気付く様子はない。

 

「ザルね……」

 

 完全に気配が去ってから、ノワールは思わず呟いた。

 

 鉄壁の要塞に守られているからこそ、油断しているらしい。

 

 さらにしばらく進むと、トンネルの壁が近代的な物に変わり、照明も付いた。

 

「いよいよ要塞の下ね」

「ああ。……しっかし、こういうのは本来ミラージュかジャズの担当だろう」

 

 自分に向いてない潜入任務をせにゃならないことに、アイアンハイドは思わず愚痴る。

 

「文句言わないの。……それじゃあ、ここからは散開。私とアイアンハイドは洗脳電波の発信元を破壊。ユニとサイドスワイプはレールガンの無力化。残りは影のオートボットの情報通りに工作をお願い」

「分かったわ。お姉ちゃんたちも気をつけて!」

「しっかりやれよ、サイドスワイプ。……無理はするな」

「もちろん」

 

 短く声をかけあってから、各自の任を果たすべく一同は散っていく。

 

 その中の一人に、ノワールは声をかけた。

 

「あなたも無理はしないでね。シアン。あなたは一般人なんだから」

「分かってるよ、ブラックハート様」

 

 青い髪にツナギの女性、ラステイションの万能工房パッセを経営する技術者シアンは、真面目な顔で頷くのだった。

 

  *  *  *

 

 影のオートボットからの情報によれば、国民を洗脳している電波の発生源が都市の司令部になっているビルの上に有るらしい。

 ノワールとアイアンハイドはそこを目指していた。

 

 いくら何でもノワールはいつもの恰好ではなく、地味ながら清楚な白のブラウスと黒のロングスカートに着替え、髪を降ろして眼鏡をかけている。

 さらにアイアンハイドはと言うと……。

 

「赤、……赤か」

「あら? 赤はお嫌い?」

「いや、好きな色だけどな。実際に纏ってみると、こりゃ自分に自信のある奴向けだな」

 

 カラーリングがいつものシックな黒から、鮮やかな赤になっていた。

 

 これで名実ともに赤組である。

 

 ビークルモードでノワールを運転席に乗せ、

 

擬態(ディスガイズ)はオートボットの得意技でしょ?」

「まあな……しかし、ちと派手すぎたな……」

「フフフ、似合ってるわよ……っと! トラックスだわ。静かにね」

 

 道の向こうから、二体のトラックスがこちらにやって来た。

 コンストラクティコンの趣味なのか、緑のボディに紫のゴーグルだ。

 

「ねえ、このカラーリングどう思う?」

「う~ん、正直趣味はよくないよねー」

 

 話しながら、ノワールたちに気にも留めずに行ってしまった。

 

「……やっぱりザルね。それにしても」

 

 街を見回し、ノワールは眉を下げる。

 

 町中では、子供たちが走り回り、女性が労働から帰った夫を迎え、労働者たちが笑い合っている。

 

「……もっと、酷いことになってると思ってたけど」

 

 正直、ノワールは街の人々が虐げられていると考え、それを解放すると言う所をモチベーションに攻略戦に臨んだのだが……。

 

「ノワール、コイツラは洗脳で無理やりエディンの国民ってことにされてんだ。……そんなのはおかしいだろ?」

「ええ、そうね。ここはラステイション。そして私はラステイションの女神だもの。私の国民は返してもらうわ」

 

 キッと表情を引き締めるノワールに、アイアンハイドは可能ならニッと笑んだだろう。

 

 二人が進んでいくと、洗脳電波の発信源がある塔が見えてきた。

 ビルの前にはトラックス数体と、エディン兵たちが立っている。

 

「止まれ。ここに何用だ」

 

 さすがにここでは止められるが、ノワールは笑顔を作った。

 

「ミックスマスター様から、オイルの注文を受けたので持ってきました」

 

 アイアンハイドのビークルモードであるピックアップトラックの荷台には、オイル缶が積まれていた。

 

「聞いてないが……」

「いつものことだろ? あの人が追加でオイルを頼むのは」

「それもそうか……よし、通っていいぞ」

「はい! ありがとうございます!」

 

 アッサリと、それはもうアッサリと、兵士たちはノワールを通した。

 

 ザル! いやさ、最早ワク!

 

「うーい、お前ら頑張ってるかー?」

 

 そのまま塔の中に入ろうとするが、何とそこでミックスマスターがビルから出て来た。

 酔っているのかヨロヨロとしている。

 

「ミックスマスターさん? どうしたんです?」

「いや、さすがに酔っちゃってさあ。ちょっと外の空気を吸いに……オボロロロロォォ」

 

 兵士の問いに答える間に、嘔吐しだすミックスマスター。オイルだか何だか分からない液体が地面にぶちまけられる。

 ドン引きするノワールだが、トラックスや装甲兵は心配げに駆け寄る。

 

「ああ、もうダメですよ、こんなトコで吐いちゃ! まったく……」

「何かもうダメダメだけど、ほっとけないよねー」

 

 トラックスに背中を摩られるミックスマスターの姿に、こんなんにウチの国侵略されてんんのかと複雑な気分になるノワール。

 だが、場が混乱しているなら調度いいと思考を切り替える。

 

「じゃ、じゃあ、中にオイル運んでおきますねえ……」

 

 吐いているミックスマスターを余所に、ビルの中へ進もうとするノワール。

 ビルの入り口はトランスフォーマーサイズなので、車ごと入ることが出来る。

 

「……待てや」

 

 しかし、ミックスマスターがノワールを呼び止めた。

 ノワールはビクリと止まると、そちらに首を向ける。

 

「な、何でしょうか?」

「お前、見たことない(つら)だな。……新入りか?」

「はい! よろしくお願いします!」

「そいつはオカシイな。オイル業者には新入りが入ったら報告するように言ってるんだが?」

 

 ピリピリと、空気が張りつめていく。

 周りのトラックスや装甲兵も異常に気づき、武装を取り出す。

 

「いえいえ、私たちは怪しくなんてないですよ……っと!」

 

 瞬間、アイアンハイドが車体を横回転させて荷台のオイル缶をばら撒く。

 転がったオイル缶……の中に仕込まれた爆弾が次々と爆発する。

 

「どわあああ!!」

「ちょ!? 俺ら装甲兵は死ぬだろコレ!!」

「大丈夫! 人は死なない仕様だから!」

 

 混乱する場を後目に、ノワールは女神に変身し、アイアンハイドはロボットモードに変形する。

 

「さあてと、派手にドンパチといくか!!」

「ああもう! 結局こうなるんだから!! こうなったら強硬突破よ!!」

「そうはいくか! 者ども出会え出会え~! 曲者じゃあああ!!」

 

 盾で爆発を防いだミックスマスターの呼び出しに応じ、ワラワラとトラックスが現れる。

 

「だーっはっはっは! いくらなんでも、この数相手に何ともできまい!!」

「そりゃどうかな?」

 

 高笑いするミックスマスターに向け、アイアンハイドは背中から大経口のショットガン状の銃を抜いて撃つ。

 すかさず盾で防御するミックスマスターだが、着弾と同時に起きた爆発によって後退する。

 

「グッ!? 今までの銃と違うな!」

「応よ、テメエのために新調した『へヴィアイアン』だ。たんと喰らいな!!」

「ほざけや! トメィトみたいな色しやがって! 者ども、かかれぃ!!」

『おー!!』

 

 号令と共に、トラックスが二人に飛びかかった。

 ノワールは大剣でトラックスを斬り伏せ、アイアンハイドは手に持ったへヴィアイアンを発射して、敵を迎え撃つのだった。

 

 

 




今回の小ネタ解説

要塞都市
まあ、なんか建てるのがコンストラクティコンらしいよなってことで。
迷路状道路と長距離砲撃は、『トリプルチェンジャーの反乱』のオマージュ。

赤いアイアンハイド
G1カラー。

トラックスのカラー
G1ビルドロンカラー。

レールガン
(原作的な意味で)フラグ。

では。
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