超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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第135話 『糸』

 かくして、新国家エディンがその短い歴史に幕を閉じると共に、エディン戦争は終わりを告げた。

 この戦争はオートボットとディセプティコンが国家間の戦争に深く関わった初めての事例であるとともに、この規模の戦争としては異例と言っていい犠牲者の少なさが後世の語り草となる。

 

 各国で抵抗していたエディン軍も鎮圧され、最も多くの領土が占領されていたリーンボックスも、速やかに復興に向かっている。

 この戦いの中で女神候補生として覚醒したグリーンシスターことアリスは、その立場の複雑さもあって一先ずは同国教会に保護されていた。実質的に軟禁であるが、これは本人の希望もあってのことだ。

 ついでにサイドウェイズとブレインズも教会の世話になっている。

 

 投降した人造トランスフォーマー、及びクローン兵については各国の女神や教祖の合議により、教会による監督、監視の下で復興作業やその他ボランティアに無償奉仕することと相成った。

 

 プラネテューヌの戦場やダークマウントから姿を消したエディン軍残党……ディセプティコンたちはもちろん、それに従うことを選んだ人造トランスフォーマーやクローン兵の行方は、未だ不明であった。

 

 ジェットファイアは頭に打ち込まれたセレブロシェルの除去のため、いったんステイシスロック状態に入った。

 

 そして、捕虜となったメガトロン、レイ、ガルヴァの三名は抵抗する様子は無かったものの、やはり監視下に置かれ、特にメガトロンは厳重に拘束されることになったのだった。

 

  *  *  *

 

「つまり、ロディマスやガルヴァは、自分の種族を変えることが出来るんだ」

 

 プラネタワーの地下深く。

 ディセプティコンのために設えられた特別監獄の、そのさらに最奥。

 床に溶接された椅子に拘束具で固定されているメガトロンに向かって、オプティマスが話していた。

 二人の間を、特別強力なフォースシールドが隔てている。

 メガトロンを殺さずにおいたことについては、オートボット内でも異論があったものの、あくまでプラネテューヌ預かりということで通した。

 

「既存のトランスフォーマーの数倍の遺伝情報を有し、その中にオートボット、ディセプティコン、両方の情報を内包していて、卵の中にいる状態で周囲の環境、状況に合わせて適切な遺伝情報を表出させる。ディセプティコンの傍にいればディセプティコンに、オートボットの近くにいればオートボットになるのだ」

「そうすれば、その時近くにいた者に、守ってもらいやすくなるワケだな。……こすっからいことだ」

「お前はまた……」

 

 皮肉っぽいことを言うメガトロンに、オプティマスは溜め息を吐くように排気する。

 メガトロンはフンと排気すると、疑問を発した。

 

「しかし解せん。それなら、何故ロディマスはオートボットなのだ? いやむしろ、その説明なら貴様とパープルハートの子である方が筋は通る」

「お前の遺伝子を核として、『オートボット的』な遺伝情報を表出させているんだ。簡単に言えば、メガトロンの遺伝情報という本体がオートボットという服を着ているようなものだそうだ。……だから心配しなくても、ロディマスはお前とレイの子だ」

「……別に心配なんぞしておらん」

 

 そう言いつつも視線を逸らすメガトロンに、オプティマスは我知らず苦笑する。

 

「もっと言ってしまうと、この種族変更は理屈の上では後天的にも変えることが出来る。オートボットやディセプティコンという括りは、彼らにとってはファッションに過ぎないんだ」

「ッ! それはつまり……!」

 

 オプティマスの言わんとすることを理解し、メガトロンはオプティックを見開く。

 

「彼らはオートボットとディセプティコン、そのどちらにでも成れるし、あるいはその両方であることも出来る。そしておそらく、どちらでもない別の何かにも成れる。

 我々が、車や飛行機をスキャンしてビークルモードを選ぶように、自分の意思で自らが何者か決めることが出来る。

 ……まさしく、新たな世代(ニュージェネレーション)。彼らこそ、真の意味で変容する者(トランスフォーマー)なんだ」

「そうか……なるほどな。考えてみればオールスパークの残した最後の子供が、全てディセプティコンというのも可笑しな話しだった。……てっきり俺は、オールスパークがディセプティコンを選んだのだと思ったぞ」

 

 皮肉を吐くものの、どこか安堵したような顔のメガトロンに対し、オプティマスも大きく頷く。

 

「あの子たちは我ら種族(サイバトロニアン)の未来を握っていると言っても過言ではない。彼らが大人になった時、オートボットやディセプティコンといった区別は何の意味も無くなるんだ」

「…………しかしそれで、これまでのことが無くなるワケではない」

「確かに過去は変えられない。しかし未来は変えられる。我々の戦争を、次の世代に押し付けたくはない」

「話し合いでもしようと言うのか? オプティマス、我々は遠い昔にその段階を過ぎたはずだ」

「そして、今また女神たちのおかげで機会が巡ってきた」

 

 宿敵の言葉に、メガトロンは低く唸る。

 一方でオプティマスは何処か苦さを含んでいるが、それでも笑んでいた。

 

「我々も、変容(トランスフォーメーション)するべきなのかもしれない」

「…………それよりも、レイとガルヴァは無事だろうな?」

 

 メガトロンはあからさまに話題を変える。

 しかし、どの道それも説明しなければならない。

 

「もちろんだ。監視はしているが丁重に扱っているし、プラネタワー内ならば、ある程度は自由に動いてもいいようにしている。……やはり心配か?」

「ガルヴァは、いずれディセプティコンの頂点に立つのだ。こんなトコで死なれては困る。……レイはついでだ」

 

 メガトロンがレイを彼なりに大切に思っていることは、ポータルの中で記憶を共有したので知っている。

 素直になれないメガトロンの一面に、思わず少し顔が綻ぶオプティマス。

 

「では、今回はこれくらいにしておこう。今日はピーシェがあちらの次元に帰る日なんだ。これから見送りに行ってくる」

「……そうか」

 

 メガトロンの顔はむっつりとした物になっていた。

 果たしてメガトロンがピーシェに対して、利用価値以上の感情を持っていたのかは分からない。その部分の記憶を見ることは出来なかった。

 

「あれの記憶はまだ戻らんのか」

「……相変わらずだ」

 

 前述の通り、この戦争で失われた物は少なかったが、まったくのゼロだったワケではない。

 

 例えば、その一つがピーシェの記憶だった。

 

 洗脳が完全に解けた状態に戻っても、ピーシェはエディンの女神になるより前のことを思い出せなかった。

 これはメガトロンにとっても想定外の事態であり、彼にも治す方法は分からなかった。

 

「俺は間違ったことをしたとは思っていない。分かっているはずだ。故郷を再生させるには、シェアエナジーが必要なのだ。そして女神も」

「だとしても、女神を利用することも、シェアエナジーを無理やり奪うことも出来ない」

「あの餓鬼どもに、再興した故郷を見せたくはないのか?」

「私が子供たちに見せたいのは、平和な未来だ。……また来る」

 

 それだけ言ったオプティマスが部屋から出て行こうとすると、その背にメガトロンが声をかけた。

 

「……オプティマス。この戦い、勝ったのは誰だったのだろうな?」

「勝利の定義にもよるが……目的を果たしたという意味なら、決まっている。……ネプテューヌとスタースクリームだ」

「……違いない」

 

 結局のところ、エディンを巡る戦いでオプティマスとメガトロンが怒りに飲まれる中、あの紫の女神と航空参謀はピーシェを救うという目的を完遂して見せたのだ。

 ならば、あの二人にこそ勝利の栄誉は相応しい。

 

 ついに航空参謀スタースクリームは、破壊大帝メガトロンに勝利したのだ。

 

 オプティマスが去った後で、メガトロンは深く目を瞑り参謀たちのことを考えてみた。

 

 スタースクリームがピーシェの影響を受けて大きく成長してみせたのは、まさに最大級の予想外だった。

 ショックウェーブがプルルートに執着していることは知っていたが、自分の命令を無視するほどとは思っていなった。

 勝手に基地を引き払ったサウンドウェーブも、何かしかの心境の変化があったのだろう。

 

 つまり、今回の敗因は、部下たちの変心を把握できなかったメガトロンにも責任がある。

 

――まったく、このゲイムギョウ界に来てからというものの、皆変化していく。

 

変容(トランスフォーメーション)、か……」

 

 小さく呟いたメガトロンは、深い思考の海に沈むのだった。

 

  *  *  *

 

 プラネテューヌ郊外の花咲く丘。

 

 色とりどりの花が咲き乱れ、美しい景観を作り出しているここに、プルルートとピーシェを見送るべく、女神たち、オートボットたち、アイエフとコンパが集まっていた。

 オプティマスの腕にはロディマスとガルヴァが抱かれている。

 レイの姿は無い。……ピーシェに合わせる顔がないとして、辞退したからだ。

 

 そして、どういうワケかネプテューヌの姿も見えなかった。

 

 プルルートはピーシェと手を繋ぎ、いつもと変わらない柔らかい笑みを浮かべていた。

 

「みんな~、元気でね~」

「これでさよならなんて、寂しくなりますわ……」

「何だか、ずっと前から友達だったような気がするわね」

「……あなたたちのこと、忘れないわ」

 

 ベール、ノワール、ブランが口々に別れを惜しむ言葉を出す。

 短い間だったが一緒にいたプルルートたちは、女神たちにとっても掛け替えの無い仲間になっていた。

 

「あたしも~。あ、そうだ~、ギアちゃ~ん、はい~」

 

 プルルートは、ネプギアに後ろに背負っていた何かを差し出した。

 それは手作りのヌイグルミだった。ネプギアを模した物だ。

 

「え? これ私? ありがとうございます!」

「大事にしてね~」

 

 ネプギアとプルルートが笑い合う中でもネプテューヌのヌイグルミを抱いて無表情なピーシェに、女神候補生たちが駆け寄ってきた。

 

「元気でね! ピーシェ!」

「わたしたちのこと、憶えてなくても……」

「ずっと友達なんだからね!」

「うん」

 

 その言葉に、ピーシェは微かに微笑む。

 ユニ、ロム、ラムらにとっても、妹分と言うべきピーシェは大切な存在だった。

 記憶は無くても、絆は消えない。そう信じている。

 

「『オイラたちも』『ズッ友だよ!』『フォーエバー』『フレンズ!』」

「達者でな。また会おうぜ」

「俺らのことも忘れなんなよ!」

「ま、忘れたくても忘れられないかもな! こんな濃い連中!」

 

 それぞれのパートナーの後ろに立つバンブルビー、サイドスワイプ、スキッズ、マッドフラップたち若手のオートボットたちも別れの言葉を口にする。

 

「おいおい何だよ! 俺への別れの言葉は無しかよ! 一人くらい挨拶してくれてもいいだろう!」

 

 ピーシェの後ろからヒョッコリとトンボのようなオプティックのホィーリーが顔を出した。

 彼はピーシェたちと共に、あちらの次元へと行くことにしたのだ。

 

「ふむ、では私が……ホィーリー、ピーシェのことを頼む」

「へへへ、承りました! オプティマス司令官!」

 

 厳かなオプティマスの言葉に、ホィーリーは軽い口調と敬礼で返す。

 

「向こうの次元のわたしたちが、またピーシェちゃんと仲良くなればいいですね」

「きっと大丈夫よ、コンパと私だもの」

「ああ。そこは私たちも保障しよう」

「またいい友達になれるわ。案外、もう友達かもしれないわよ?」

 

 候補生たちから少し後ろに立っているコンパとアイエフ、ラチェットとアーシーも、穏やかな顔でプルルートたちを見送る。

 

「ぴーしぇ、おまえはぼくのいもうとなんだ! りっぱなめがみになるんだぞ!」

「うん」

 

 オプティマスの腕に抱かれたガルヴァは舌足らずながら、この有機生命体の義妹を激励し、ロディマスもそれを真似てキュイキュイと鳴く。

 

「では皆さん! 名残は尽きませんが、そろそろ……」

『ゲートを開ける時間は限られているんですー!щ°□°)щ』

 

 皆が別れを惜しむ中、こちらとあちらのイストワールはプルルートたちを急かす。より小さな姿のあちらのイストワールは、例によって立体映像だ。

 この機を逃せば、再びゲートを開くには三年待たなければならない。

 

「待ってください! まだお姉ちゃんが……」

 

 しかし、ネプギアが声を上げた。

 肝心のネプテューヌの姿が見えないからだ。

 何か準備すると言っていたが……。

 

「ああ、俺もちょっと待ってる奴が……」

『時間です! ゲート開きまーす!(/ ̄∀ ̄)/』

 

 ホィーリーも止めようとするが、あちらのイストワールは、これ以上待てないとばかりにゲートを開く。

 空中と地面に大きく壮麗な魔法陣が現れ、その中央を光の柱が結ぶ。

 この光の柱こそが二つの次元を行き来するためのゲートである。

 

「おーい!」

 

 その時、やっとネプテューヌが駆けてきた。先日の戦いの傷が癒えきっておらず、あちこちに絆創膏を貼っていて、手に何か袋を下げている。

 

「ネプテューヌ、遅いわよ!」

「ごめーん!!」

 

 ノワールに怒られつつも、ネプテューヌはプルルートに駆け寄り抱きつく。

 

「ぷるるん、来てくれて本当にありがとう! きっとまた、会えるよね!」

「うん、きっとね~」

 

 ネプテューヌとプルルートは心からの笑顔で再会を誓う。

 二人が共に過ごした時間で得た物は、お互いに大きかった。

 

「ぴーこはこれ持ってって!」

「ネプテューヌ、なにこれ?」

 

 ネプテューヌが差し出した袋の中身を取り出したピーシェが、首を傾げる。

 それは、蓋にマジックで『ねぷの』と書かれたいくつかのプリンだった。

 

 あの時、喧嘩のもととなった、あのプリンだ。

 

「世界で一番、美味しい物だよ!」

 

 別れ際に至っても、思い出を失っているピーシェに一瞬悲しい気持ちになったネプテューヌだが、すぐに笑顔を作った。

 ピーシェにとって、これは別れと言うだけではなく女神として本当の出発点でもあるのだ。

 新しい門出の日に、涙は似合わない。

 

『あ、あの~、そろそろゲートに入ってくださーい!(」°ロ°)」』

「は~い! ……ピーシェちゃん」

 

 あちらのイストワールに急かされて、プルルートはピーシェを伴って光の柱に入ろうとする。

 

 その時である。

 

 突如として上空から凄まじい速さで飛来した何かが、変形して地面に降りたった。

 全体的に逆三角形のフォルムの体に幾何学的なタトゥーを刻んだ金属生命体で、翼とスラスターを背負い、猛禽の如き逆関節の足で地面を踏みしめている。

 

 誰かが、その名を呼んだ。

 

「ッ! スタースクリーム!!」

「みんな、いいんだ」

 

 オートボットたちは反射的に武器を展開しようとするが、オプティマスがそれを穏やかな声で制した。

 

「オプティマス何を……!」

「いいんだ」

 

 静かだが断固とした意思を感じさせる口調に、オートボットたちは渋々ながら武器を降ろす。

 スタースクリームはオプティマスに軽く頭を下げてから……あのスタースクリームがである……ピーシェの前で片膝を折って目線を下げる。

 

「スタースクリーム?」

「……ああ、やっぱりまだ思い出してねえか」

 

 自分の名前を正確に発音するピーシェに、スタースクリームは柔らかく笑った。

 ピーシェの足元から、ホィーリーが体格差を物ともせずスタースクリームに怒鳴った。

 

「まったく遅いぜ!! このまま会わずに済ますなんて、不義理にもほどがあるぜ!」

「こっちにも色々あんだよ。まったく、颯爽と去って終わりなはずだったってのに……」

「そんなのテメエにゃ似合わねえよ! 格好つけやがって、スタースクリームの癖に!!」

「違いねえ」

 

 気心の知れた様子でホィーリーと笑い合ったスタースクリームは、改めてピーシェに視線を合わせる。

 

「さてと、だ。なあピーシェ。俺は誰だと思う?」

「? スタースクリームでしょ? 『でぃせぷてぃこん』の『こうくうさんぼう』の」

 

 何を当然のことをとキョトンとするピーシェの前で、スタースクリームは立ち上がって胸を張る。

 

「それは世を忍ぶ仮の姿! 何を隠そう俺は悪と戦う正義のスーパーヒーローなのだ!」

「ほえ?」

 

 堂々と宣言するスタースクリームに、ピーシェは目を丸くし、女神やオートボットたちは「何言ってんだアイツ」という顔になる。

 そんな周囲に構わず、スタースクリームは続ける。

 

「崖から落ちかけのバスだって持ち上げるし、音よりも早く空を飛ぶ! 人助けがお仕事で、去る時は颯爽と! それが俺さ!」

「それ、ほんと?」

「実のところ、最初は嘘だった。でも、今は違う。……お前が望んでくれるなら、俺は本当のスーパーヒーローになれるんだ」

 

 もう一度、スタースクリームは淡く微笑むと、もう一度ピーシェの前に屈む。

 

「思い出せないならそれでいい。だから改めて、もう一度約束しよう。いつか、……いつか、また一緒に空を飛ぼう」

 

 穏やかな声色で言うと胸のキャノピーを開けて一枚の画用紙を取り出す。

 画用紙には、スタースクリームらしいトランスフォーマーと小さな女の子が手を繋いでいる絵がクレヨンで描かれていた。

 

「こいつは約束の証だ。その時が来たら、もう一度俺にその絵をくれないか?」

「…………」

 

 画用紙を受け取ったピーシェは何かを思い出そうとするかのように、頭を押さえている。

 それでも記憶は戻ってこないようだが、スタースクリームは満足げだった。

 

『あ、あの~……本当に、本当に! もうゲートに入ってくれないと!(`Д´)』

「ああ、すまねえな。時間取らせた」

「うう~ん、いいよ~」

 

 本当に時間が無いらしく焦るあちらのイストワールの言葉に従い、プルルートとピーシェは光の柱の中へと入り、続いて立体映像のあちらのイストワールも柱の中に飛び込む。

 

 皆が見守る中、プルルートとピーシェを元いた次元に送り返すべく、魔法陣と柱は輝きを増していく。

 

 皆が手を振り、あるいは静かに見守る中、ピーシェは手元の『ねぷのプリン』と『クレヨンの絵』をずっとずっと見つめていた。

 

 そして、輝きが最高潮に達した……転送が開始される直前に不意に、ピーシェが顔を上げた。

 

「ねぷてぬ? すたすく?」

 

 ……そして、プルルートとピーシェは彼女たちの世界へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくの間、皆で空を見上げていた。

 

 やがて最初にベールがたおやかな笑みを浮かべて帰途に就き、ジャズもそれに倣う。

 

 ブランとミラージュはいつも通り、ロムとラム、スキッズとマッドフラップは珍しく静かに歩いていった。

 

 アイエフとコンパ、ラチェットとアーシー、こちらの……もう、この言い方は必要ないが……イストワールも笑い合いながら遠ざかっていく。

 

 ノワールとユニ、サイドスワイプは未だにスタースクリームを警戒しているアイアンハイドを宥めながら歩み去る。

 

 ネプギアは姉に声をかけようとするも、バンブルビーに無言で止められ、姉を残してアイエフたちの後を追っていった。

 

 オプティマスは、何も言わずに穏やかな顔で踵を返した。

 

 そしてスタースクリームは、言葉もなく、しかし満ち足りた顔で元来た空へと帰っていった。

 

 最後に残ったネプテューヌは、晴れやかな笑みで、飛び去るスタースクリームが描くまるで糸のような飛行機雲が一筋残された青空を見上げていた。

 

 胸の内でピーシェと過ごした日々を思い出しながら、いつまでも、いつまでも……。

 

 

 

~Rise of the Eden(エディンの勃興)~  了

 




これにて、エディン編、終了。

タイトルの意味は、アニメ超次元ゲイムネプテューヌTHE ANIMATIONの10話を見ればお分かりいただけるかと(ステマ)


雛たちの正体は、オートボット、ディセプティコンどっちでもありどっちでもない新種族でした。
プライマスが「あ、これヤバいわ」ってオミットした機能を復活させて新種族を気取ってただけのG2トランスフォーマーや、だいたいヴォックのせいって萎え設定が明かされたビースト戦士とは違う、正真正銘の新種族です。

最後スタースクリームは出てこずにあくまで遠くから見守っているだけにしようかと思っていましたが、やっぱり会話させたいのでこういう形に。
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