超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION 作:投稿参謀
※とある記述を追加。
「ああもう! 離れろ、離れろ!」
アルファトライオンの塔の前庭で、クロスヘアーズは自分の体によじ登ってくるロディマスに悪戦苦闘していた。
ハウンドはそんな戦友をからかう。
「随分と懐かれたもんじゃねえか。嬉しいだろ?」
「嬉しくねえ! 嬉しくねえ! 俺は餓鬼が嫌いなんだ!!」
「そう言うなクロスヘアーズ。見ればこの子供、中々に精悍な面構えではないか。案外、いつの日か彼の下で戦う時がくるかもしれんぞ」
「ヘッ! 有り得ねえ!」
素振りをしているドリフトも、ある意味彼らしくない穏やかな調子で言うが、クロスヘアーズはケッと吐き捨てた。
しかし、じゃれ付いてくるロディマスを払いのけたりはしない。
そんな彼に、ハウンドとドリフトは思わず苦笑いだ。
一方で、ジェットファイアは前庭に描かれた図形を見て、ブツブツと呟いていた。
「この方陣に、この塔……いやまさか、そんな……」
「みんなー! ただいまー!」
そこへ、塔の正面玄関を開けて中からネプテューヌが出てきた。
後ろには、金属繊維製の赤いマントを着たアルファトライオンも続いていた。
その姿を見るやドリフトが駆け寄り、ハウンドとクロスヘアーズも歩み寄る。
「アルファトライオン! おお、そのお顔は!」
「どうやら、やる気を取り戻したようだな。心配したんだぜ」
「ケッ! 俺は心配なんぞしてなかったぜ!」
前に見た時は動く屍のようだったアルファトライオンの顔つきに力が戻ったことに、ドリフトとハウンドは安堵し、一方でクロスヘアーズは素直でないことを言う。
と、ロディマスはネプテューヌの顔を見るや、クロスヘアーズの体を飛び降りてそちらに駆け寄った。
「ただいま、ロディ。良い子にしてた?」
「…………」
キュイキュイと鳴くロディマスを抱き上げるネプテューヌに、クロスヘアーズはムッツリとした顔をし、そんな仲間にハウンドとドリフトはニヤニヤとする。
「あ~あ、やっぱり母ちゃんの胸が一番かね。残念だったな、クロスヘアーズ」
「…………ハッ! 清々したぜ!」
「ええー? ほんとにござるかぁ?」
「ホントだっての! っていうか、何だその取って付けたような侍口調!?」
いつもと違う、唐突なござる口調でからかってくるドリフトにクロスヘアーズは躍起になって反論する。
そんな金属生命体たちに、ネプテューヌとロディマスは揃って笑顔になった。
「貴方は……やはりか。ソロマ……」
「はて、儂はアルファトライオンじゃよ」
「……そうか」
ジェットファイアは老歴史学者の姿を見てからと言うもの酷く動揺していたが、アルファトライオンの言葉に何かを察したように押し黙った。
「おお! なんとなんと……トランスフォーマーの雛か」
そしてアルファトライオンはネプテューヌに抱えられたロディマスを目にして感嘆の声を出し、屈みこんで雛の顔を覗く。
「うむうむ、元気そうな子だ。……それにしても、まさかすでに孫までいるとは……いつ、結婚したのじゃ?」
「いや違うからね! オプっちとわたしの子供じゃないから! っていうかこのネタ前にもやったよね!」
老歴史学者の勘違いを、ネプテューヌは慌てて訂正する。
その反応に、アルファトライオンは茶目っ気のある顔をした。
「冗談じゃよ。さてさて、ではこの子は誰の子かな?」
「えーと……」
ここでロディマスの生い立ちを明かしていいものか、ネプテューヌは悩む。
何せ、メガトロンとレイの子である。
クロスヘアーズはディセプティコンを強く憎んでいるようだし、他の者たちも好きと言うワケではないだろう。
「……では当ててしんぜよう。……この子の父親は、メガトロンでは? 面影がある」
しかし、そんな配慮を余所に老歴史学者にピタリと言い当てられ、ネプテューヌはギョッとし、オートボットたちは眉をひそめる。
当のロディマスだけが、首を傾げてキュルキュルと鳴いていた。
「おいおい、爺さんよ。そんなワケねえだろ。……メガトロンの餓鬼だぁ? 有り得ねえだろ、有機生命体じゃあるまいし」
クロスヘアーズはさも面白い冗談を聞いたと言う調子だった。
「…………ううん、それで合ってるよ。この子は、メガトロンとレイさん……わたしと同じ女神の間に生まれた子供なんだ」
「は、はああああ!?」
しかしネプテューヌが老歴史学者の言葉を神妙な顔で肯定すると、目を見開いて大声を出す。
そして、ドリフトやハウンド共々、得体のしれない物を見る目をロディマスに向けた。
「トランスフォーマーに……子供? いったいどうやって……」
「それも、メガトロンと女神の間に……」
「どうだっていい! つまり、コイツはディセプティコンってことだな!!」
戸惑うハウンドとドリフトに対し、クロスヘアーズは素早くコートの下から短機関銃を抜き、ネプテューヌたちに向ける。
「お、おい、クロスヘアーズ……」
「ッ! 止めて!! この子は何もしてないでしょ!!」
「ディセプティコンってだけで罪なのさ!!」
止めようとするドリフトと、ロディマスを庇うように抱きしめるネプテューヌだが、クロスヘアーズは短機関銃の引き金にかけた指に力を入れようとする。
「なら、ドリフトはどうなの! ジェットファイアだって!! それにこの子は、オートボットだよ!!」
「こいつらは別だ! それに例えそいつがオートボットだとして、メガトロンのクソ野郎の子供だってなら、ブッ殺す理由にゃ十分だ!!」
いきり立つクロスヘアーズだが、ネプテューヌも怯まない。
お互いに凄まじい怒気を込めて睨み合う二人だが、ロディマスは不思議そうな顔で二人を見上げ、それからネプテューヌの腕の中から抜け出してクロスヘアーズに駆け寄る。
「ッ! ロディマス!!」
「近寄るんじゃねえ! このディセプ……お、おい何だよ!!」
怒鳴りつけるクロスヘアーズにロディマスはウルウルとした目を向ける。
「な、何だその目は! そんな目で見たってなあ……! あー! 泣くな、泣くな! 分かったから! ほら、銃はしまったぞ!」
ついに泣き出してしまったロディマスに、クロスヘアーズはまいってしまって武器をしまう。
それでも泣き止まないロディマスに、クロスヘアーズはオロオロとするばかりだった。
「悪かったよ! 謝る、謝るから! ごめんな、酷いこと言って!!」
何とか泣き止んだロディマスに、ホッと息を吐くクロスヘアーズだが、ネプテューヌや他の二人がニヤニヤと見ていることに気が付いて、額のゴーグルを下ろす。
「……チッ。まあ、子供に罪はねえ、ってことにしといてやる」
何処までも素直じゃない空挺兵に、一同は苦笑する。
オートボットたちはもう、得たいの知れない物を見るような目はしてはいなかった。
「ふむ、上手いこと丸く収まったわい。……さて、では事を進めるとしよう」
事の成り行きを静かに見守っていたアルファトライオンは満足げに微笑むと、地面に描かれた図形の中央の、そこにある四角い図形に何処からか取り出した杖の石突きを当てる。
「ヴァーウィップ、グラーダ、ウィーピニボン!」
アルファトライオンが宇宙は一つ、皆兄弟と言う意味を持つ言葉を唱えると、地面の図形が光りを放ち始めた。
ギゴガゴと音を立てて前庭全体が地面の下に向けてリフトのように動き始める。
「と! これは……!」
「案ずるでない。マトリクスを得るための場所に向かっておるのだ」
驚く一同に、アルファトライオンが静かに説明する。
リフトは光の届かないほどの地下深くに到達し、やがて重い音を立てて止まった。
すると、縦穴の壁面の一部が開き、横穴が現れた。
横穴の奥は、一条の光も見えない真っ暗闇だった。
「さあ、ネプテューヌ君、行こう」
アルファトライオンが手招きすると、ネプテューヌはゴクリと喉を鳴らして後に続く。
「儂らはここで待つぞ。……坊主もだ」
ハウンドたちも続こうとするが、ジェットファイアがそれを止めた。
コッソリとネプテューヌを追おうとするロディマスに、釘を刺すことも忘れない。
横穴の中はやはり何も見えないほどの暗闇だったが、アルファトライオンが杖の先を光らせて明かりにした。
その光で通路の両側には立像が立っているのが分かる。
「これは最初の13人。あるいはプライム王朝と呼ばれる者たちの像だ」
歩きながら、アルファトライオンは立像の一つを杖で指す。
「まずはプライマ。十三人の長兄であり、光の戦士。マトリクス……そしてテメノスソードの最初の持ち主だった。公明正大な男で、誰もが彼を敬愛していた……」
アルファトライオンは別の立像を指した。
「ベクター・プライム。時空間の守護者。時空を操る能力と、その力を正しく使う心を持っていた」
「マイクロナス。ミニコンの祖だ。争いを嫌い哲学的な思想を持っておった。ミニコンには他の者と合体してその者の潜在能力を引き出す力があった。失われて久しいが……」
「アマルガモス。最初にトランスフォームしたサイバトロニアンだ。現代のトランスフォーマーは皆、彼の恩恵を受けている」
「アルケミスト。偉大な錬金術師でありサイバトロンの文明を作り出した。しかし、どうにも影の薄い男だった……」
「ネクサス。体と精神を五つに分けた。五つの分身が好き勝手に動き周り、方々に散ってしまったので、もう行方は分からん」
「オニキスは変わり者でな、有機生命体の要素を取り込もうと試みておった。……そのせいで他の兄弟とは意見を違えることが多く、最後にはサイバトロンを去っていった」
「クインタス……あるいはクインテッサ。この星を増築するための特殊金属を調達するのが役目だった。優秀な科学者だったが気難しくてな。ソラス以外とは距離を置いておった……」
一つ一つの立像のモデルになったプライムについてアルファトライオンは説明してゆく。
「リージ・マキシモ。闇の戦士とも呼ばれていた。自己分裂によって子孫を残す方法を研究していた。傲慢だが、良い奴だったよ……ザ・フォールンに殺されたが」
ネプテューヌは、リージ・マキシモの姿が何処かメガトロンに似ていることに気が付いた。
攻撃的で、刺々しく、しかし勇猛そうだ。
「ソラス……鍛冶師であり、創造に長けていた。サイバトロンで最初の女性だ。……優しい女性だった」
丸みを帯びたシルエットと長い髪のようなパーツを持つ女性的な姿で、柄の長い鎚を持ったソラスの立像を見た時、ネプテューヌの心に言い知れぬ既視感が到来した。
懐かしく、そして悲しい……。
アルファトライオンが次に指したのは、ネプテューヌも見知った姿だった。
細身で曲線的なパーツで構成された体を持ち、縦に長い古代の王の仮面を思わせる顔。
「メガトロナス……知っておるな? 今は
深い悲しみを感じさせる声のアルファトライオンだが、歩みを止めることはなかった。
「マトリクスを持ち去った者……彼のことはいいだろう。……そして、彼が十三人目」
その次の立像の前を通り過ぎ、最後の立像を杖の光で照らした。
闇の中に十三人目のプライムの姿が浮かび上がった時、ネプテューヌは息を飲んだ。
「オプっち……?」
姿は違う。
オプティマスが角ばった無骨な姿なのに対し、十三人目は逞しくも丸みを帯びた騎士甲冑のような姿をしている。
しかし、その顔つきと纏う雰囲気が、よく似ていた。
「偉大な理想家であり、先導者。何よりも平和と自由を愛した戦士。それゆえに、彼の生は苦難に満ちていた……さあ、着いた」
老歴史学者の声にネプテューヌがハッとなる。
通路は終わり、その先には小部屋があった。
四面の壁には古代サイバトロンの文字がビッシリと刻み込まれており、床には塔の前庭にあったのと同じ魔法陣が敷かれていた。
部屋の奥には、トランスフォーマーサイズの棺のような物が四つ、置かれていた。
四つの棺が目に入った瞬間、ネプテューヌの胸の内が締め付けられ、涙がこみ上げてきた。
「え? な、なにこれ……?」
慌てて涙を拭ったネプテューヌは、ここに来た目的を思い出し無表情のアルファトライオンを見上げる。
「ここにマトリクスがあるの? その棺の中とか?」
「まあ待ちなさい。言ったはず、マトリクスを得るには試練を受けねばならないと。さあ、君も座りなさい」
アルファトライオンは方陣の中央に腰を下ろし胡坐をかいた。
それに倣い、ネプテューヌは彼の正面にペタリと座る。
「ひょっとして、試練って禅問答的な? そういうの、わたし一番苦手なジャンルなんだけど。絵的にも生えないし」
「……此方と彼方を魂は流転する。此方に在りしは鋼の体に可視の魂、彼方に在りしは肉の体に不可視の魂」
疑問に答える代わりにアルファトライオンが何やら口の中でブツブツと呪文のような言葉を唱え出すと、床の方陣や壁の文字が光を放ち始めた。
「生命の父にして魂の母なるオールスパークよ。我、ここに願う。輪廻の輪より、この者の魂の記憶を呼び覚ましたまえ。真理の扉を開き、この者の内なる真実をここに示したまえ」
呪文が進むにつれ、光は強くなってゆく。
「……問う、汝は何者か?」
「え、わたし?」
急に質問されたことに気付き、ネプテューヌは面食らう。
アルファトライオンは繰り返した。
「問う、汝は何者か?」
「え、ええと……わたしは、ネプテューヌだよ」
アルファトライオンは繰り返した。
「問う、汝は何者か?」
「ネプテューヌ。……パープルハートでもいいよ」
アルファトライオンは繰り返した。
「問う、汝は何物か?」
「ネプテューヌだって! プラネテューヌの女神、ネプギアのお姉さんだよ!」
アルファトライオンは繰り返した。
「問う、汝は何者か?」
「だーかーらー! わたしはー……………あ、あれ? ネプテュー……ヌ? で、いいんだっけ……?」
それに律儀に答えていくネプテューヌだが、段々と意識が混濁し、自分の答えに自信がなくなってきた。
「問う……汝は、何者か?」
「わたし……私は……」
「かくて、魂の記憶は蘇る。汝、自らが何者かを知るべし。……良い旅を」
「ううう……苦しい……痛い……」
「しっかりしなさい! これで…回目でしょう! もうちょっとよ、頑張って! ……ほら、ヒッヒ、フー! ヒッヒ、フー!」
「ヒッヒ、フー……! ヒッヒ、フー……!」
「もう、少し……! やった! 出たわ! 頑張ったわね…ラス。……ほら、見てごらん。元気な子よ」
「フー……フー……ええ、ありがとう……クイン…ス」
声がする。
これは誰の声だろう。
優しくて……懐かしい。
「ほら、抱っこしてあげて」
「ありがとう……ようこそ、私の赤ちゃん。良く生まれてきてくれたわ」
誰かが自分を抱き上げて、額にキスしてくれた。
凄く暖かくて、心地よい。
「それで? この子には何と名前を付けるか決めてあるの?」
「今思いついたわ。……ベルフラワー。あの世界で見つけた、紫色の小さな花の名よ。見て、この子も紫の体が美しいでしょう?」
「また有機物由来? ……まあいいのだけれど」
苦笑する誰かの声。
しかし、そこに嫌悪はなく、只々優しさがあった。
「貴方の、あの世界への思い入れは度し難いわね、ソラス」
「ええ、クインタス。私はあの世界が大好きなのよ。こうして『女性』という物になったのも、あの世界を見たからだしね」
そして、その誰かは
「ベルフラワー……私の娘。貴女の生はきっと幸せな物になるわ」
母、ソラス・プライムの言葉に、生まれたばかりの赤子である私は、大きな産声を上げる。
私は、トランスフォーマーの赤ん坊になっていた……。
……先に断っとくと、筆者は変な宗教やらに嵌ったりはしてません。
13人のメンバーは、プライム版準拠ですが、それぞれの末路は大きく異なります。
以下、その簡単な解説。
プライマ
長兄、光の戦士らしい。
マトリクスの最初の保持者であったこと以外、よく分からない人。
ベクター・プライム
ギャラクシーフォースに出たベクタープライムの『パラレルワールド上の同一人物』
マイクロナス
ミニコン(マイクロン)の祖。
つまり、ユニクロン三部作以外ではマイクロンはユニクロンの眷属ではない模様。
アドベンチャーでオプティマスに修行つけてたヒト。
アマルガモス
トランスフォーム・コグを開発し最初にトランスフォームしたサイバトロン。
つまり、この人がいなければトランスフォーマーの歴史は無かったかもしれないワケで、超重要人物なんだけど影が薄い。
ネクサス
最初の合体戦士。正確には一体が五体に分離した。
2017年現在、遺産であるエニグマ・オブ・コンバイナー(簡単に言えば合体戦士ツクール)が、あちこちで騒動の元になっている。
オニキス
ビースト戦士の祖。
つまりG1時空以外ではビースト戦士はヴォックだの何だのの陰謀は関係ないらしい。……の、割にはG1時空でも13人の一人。
ヴォックがビースト戦士を利用していたと考えるべきか?
クインタス
クインテッサ星人の祖!
サイバトロニアンのクインテッサ起源説とプライマス起源説のミッシングリンクを繋ぐ衝撃的なキャラクター。
ここでは、実写に登場する『創造主』ことクインテッサその人として扱う。
リージ・マキシモ
かつてマーベルから出ていたアメコミでは、G2トランスフォーマーの親玉であり、何と自己分裂によりメガトロンを生み出した父親的存在。
マーベル時代は最大の悪役的ポジションだったが、現在はザ・フォールンにお株を取られている。
ソラス
サイバトロニアンの女性の祖にして、他の兄弟の武器を作る鍛冶師。
プライムに出たソラス・ハンマーは彼女の遺物。
マトリクスを盗んだ人
彼のことはいいだろう。
十三人目
偉大な夢想家にして扇動者。
一回は兄弟同士の諍いを止めた。
とある人物の前世。
※追加
アルケミスト
錬金術師にしてサイバトロン文明の創始者。
筆者がナチュラルに忘れてたヒト。