超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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とりあえず一区切り(ゲイムギョウ界に帰れるとは言ってない)

……そろそろギャグが書きたい。


第58話 さらばサイバトロン

「むううう! オートボットめ、すでにクリスタルシティに到着しておったか!」

 

 空中戦艦の艦橋で、メガトロンは唸り声を上げた。

 スペースブリッジを我が物とし、改めて軍団を送り込むのが当初の計画だったが、これではそうもいかなくなった。

 

「どうします、メガトロン様?」

 

 脇に立つレイは不安げにたずねた。

 彼女はこちらに跳ばされて来た時と同じくカラスの面を被っている。

 ちなみに特徴的な角型の飾りは外していた。

 

「決まっておる! ディセプティコン、攻撃(アタック)!! スペースブリッジを奪取するのだ!!」

 

 苛立たしげに命令したメガトロンは、ギロリと光の柱を睨む。

 すでにブラジオン率いる部隊がオートボットを攻撃している。

 

「俺も出るぞ! フレンジー、レイ、貴様らもついて来い!」

 

「了解!」

 

「は、はい!」

 

  *  *  *

 

 すでにクリスタルシティは静寂を失い、そこかしこでオートボットとディセプティコンが戦闘を繰り広げていた。

 

「こいつはいいぜ、何処を見ても敵だらけだ!」

 

 ハウンドは歓声を上げながら三連ガトリングでディセプティコンを薙ぎ払っていた。

 しかし、次々と襲い掛かってくるディセプティコンに、三連ガトリングはアッと言う間に弾が尽きてしまう。

 その隙を突いてディセプティコン兵がハウンドに迫る。

 しかしハウンドは素早く小銃を抜くと、敵を撃つ。

 

「どうだ見たか、この動き! 俺はデブのバレリーナだぜ!」

 

 まさにその言葉の通り、見た目によらぬ軽快な挙動を見せるハウンド。

 と、そこへ空からミサイルが降り注いだ。

 

「どうわっと!」

 

 間一髪、物陰に隠れてミサイルの爆発から逃れるハウンド。

 ミサイルを撃ち込んできた張本人である二機の戦闘機は、地上の様子を確認するべく旋回する。

 それはスカイワープとサンダークラッカーだった。

 

「地上を這う蛆虫め! このスカイワープ様の攻撃を喰らいやがれってんだ!」

 

「油断するなよ、スカイワープ」

 

「分かってら、サンダークラッカー!」

 

 二体の戦闘機型ディセプティコンは、地上にいるハウンドに再度狙いを定める。

 だがそこに、どこからか機銃の弾が浴びせかけられる。

 

「ぬお!」

 

「何だと!?」

 

 航空戦力はないと高をくくっていた二体はこれに驚くが、難なくかわして見せる。

 機銃を発射したのは、サイバトロンで広く利用されている型の飛行艇だった。

 一対のブースターと機銃を備えたそれは、すでに壊れていた飛行艇を継ぎ接ぎして何とか動かせるようにした物だ。

 

「はっはー! 空がテメエらだけのもんだと思うんじゃねえ!」

 

 飛行艇を操縦しているのは、クロスヘアーズだ。

 飛行能力を持たない彼だが、飛行機械の操縦ならお手の物であり、その腕でもってオートボットの防空の一翼を担っているのである。

 

「悔しかったら、追いついてみな!」

 

 挑発するように機体を揺らし、スカイワープとサンダークラッカーを引きつけようとするクロスヘアーズ。

 案の定、二機はクロスヘアーズを追いかけてきた。

 

「さ~て、本職相手にどこまでやれますかねぁ」

 

 シニカルに笑いながら、クロスヘアーズは飛行艇を加速させるのだった。

 

 別の場所ではドリフトが凄まじい速さで二刀を振るい、敵兵を斬り捨てていた。

 

「この場所は仲間たちの眠る土地! 荒させはせんぞ!」

 

 ドリフトにとって、このクリスタルシティは仲間たちと過ごした思い出深い場所だ。

 それを二度までも襲撃してきたディセプティコンは、もはや許すことのできない敵だった。

 

「さあ、次はどいつだ!」

 

「ならば、私が相手をしよう」

 

 一騎当千の活躍を見せるドリフトの前に、ディセプティコン兵の列を割って進み出る者がいた。

 それは……。

 

「ブラジオン……!」

 

「久しいな、デッドロック」

 

「その名は捨てた! ディセプティコンを抜けた時にな!」

 

 刀を構えながらのドリフトの言葉に、ブラジオンは嘲笑を浮かべた。

 

「愚かな。ディセプティコンを抜ける? そんなことは不可能だ。ヒトには生まれ持った宿命というものがある。ディセプティコンに生まれた者は、永遠にディセプティコンなのだ」

 

「だとしても! 我が(スパーク)はオートボットと共にあり!」

 

 流れる遺伝子(CNA)がディセプティコンの物だったとしても、精神はオートボットだ。

 オプティマスとエリータが、そして女神がそう言ってくれたのだから。

 

「……いいだろう。ならば、刀を持って語るのみ!」

 

 言うやブラジオンは腰の長刀を抜いた。

 睨み合う二人の侍。

 両者の間でジリジリと殺気が高まっていく。

 

「はあああ!」

 

「いやあああ!」

 

 そして殺気が極限に達した時、ドリフトとブラジオンは駆けだした。

 刀が閃き、打ち合う音が響く。

 凄まじい速度で刀を振り合う二人。

 相手の動きを読み、次の手を読む。

 両者の実力は一見互角だ。

 だが徐々にブラジオンが押し始め、ドリフトの青い鎧にいくつも傷が走っていく。

 

「所詮は付け焼刃! メタリカドーを極めし我が剣の前には無力!」

 

「クッ……!」

 

 ジリ貧に追い込まれるドリフト。

 一瞬の隙を突いてブラジオンの長刀がドリフトの首筋に迫る。

 

 その瞬間、二人のすぐ横に飛空艇が墜落してきた。

 

 飛空艇が地面に墜落した振動でドリフトはのけ反り、結果的にブラジオンの一撃をかわすことができた。

 すぐさまドリフトはブラジオンから距離を取り、墜落した飛行艇のそばに近づいた。

 

「大丈夫か! クロスヘアーズ!」

 

 すると飛行艇の操縦席からクロスヘアーズが這い出してきた。

 

「ゲホッゲホッ! くそう、さすがにこんなガラクタで二対一はキツイぜ!」

 

 特に大きなダメージはないようで、咳き込みながらも悪態を吐くクロスヘアーズ。

 ホッと排気するドリフトだが、状況はかなり悪い。

 

「へッ! 空で俺らに勝てる訳がねえだろうが!!」

 

「止めを刺すまで油断するな。……だが、同感だ」

 

 さらにスカイワープとサンダークラッカーも地上に降り立った。

 

「くっ、もはやこれまでか……。だがタダでは死なぬ!」

 

「ヘッ! 死ぬ気もねえがな!!」

 

 ドリフトは刀を構え直し、クロスヘアーズも銃を抜く。

 

「どこまでも愚かな……」

 

「オートボットってのは馬鹿ばっかだな!」

 

「だから油断するなって……」

 

 三体のディセプティコンは武器を構えてジリジリと迫る。

 絶体絶命の危機だ。

 

「目ぇ瞑れ!」

 

 だが次の瞬間、オートボット二人とディセプティコン三体の間にどこからか手榴弾が投げ込まれた。

 手榴弾が破裂して閃光が辺りを満たし、ディセプティコン三体のセンサー類を一時的に無効化する。

 

「今の内に退くぞ、クロスヘアーズ!」

 

「言われなくてもスタコラサッサだぜ!」

 

 三体のセンサーが回復した時には、ドリフトとクロスヘアーズは姿を消していたのだった。

 

  *  *  *

 

「助かったぜ! ハウンド!」

 

 クロスヘアーズはビークルモードで走りながら、同じくビークルモードのハウンドに礼を言う。

 

「いいってことよ! それより、オプティマスから指令だ! 『残存しているオートボットは、スペースブリッジが閉じたら即時撤退せよ!』ってな!」

 

「おお、では……」

 

 ヘリ型のビークルモードで空を行くドリフトは、その言葉に反応する。

 ハウンドは可能なら大きく頷いただろう。

 

「ああ、出発らしい」

 

  *  *  *

 

 再び、スペースブリッジ前。

 そこには女神とそのパートナーのオートボットたちが集結していた。

 

「アルファトライオン! スペースブリッジの座標はしっかり合っていますか!」

 

「問題ない。間違いなくゲイムギョウ界に転送されるだろう」

 

 冷静に言うアルファトライオンに、オプティマスは頷く。

 そして女神たちのほうを向くと号令をかけた。

 

「よし! では皆、この光の中へ飛び込むんだ! ……家に帰れるぞ」

 

「ちょっと待って! ディセプティコンを撃退してからのほうがいいんじゃない!?」

 

 異を唱えたのはノワールだ。

 ディセプティコンが押し寄せてくる状況で自分たちがいなくなれば、後に残った者たちを見捨てることになる。

 

「大丈夫だ。オートボットにはすでに撤退命令を下してある。彼らも一人前の戦士だ。無理はしないさ」

 

「…………ええ、そうね」

 

 渋々ながら納得し、ノワールは光の柱へと向かう。

 と、広場へと数台のビークルが飛び込んできて、女神たちの近くで停車した。

 

「やれやれ、間に合ったみたいだな」

 

 それはハウンドたちだった。

 彼らはロボットモードに戻ると横一列に並ぶ。

 どうして、とたずねるまでもない。

 

「お別れを言いたくてな」

 

 ハウンドがまずは言葉を発した。

 

「お嬢ちゃん……、いや、ノワールだったな。アイアンハイドのこと頼んだぜ」

 

「ハウンド……。うん、クロミアによろしくね!」

 

 不器用にウインクしながらハウンドは笑い、ノワールも笑い返した。

 

「おいおい、俺への挨拶はなしかよ?」

 

 ノワールの後ろに立つアイアンハイドが、冗談めかして文句をつける。

 それに対してハウンドは気さくな笑みを大きくする。

 

「おまえにゃ必要ねえだろ。……いい娘じゃねえか。死んじまって泣かすんじゃねえぞ」

 

「泣かさねえよ。俺は死なねえからな」

 

 二人は握った拳を突き合わせるのだった。

 

 続いて言葉を発したのはクロスヘアーズだ。

 

「おい、ミラージュ!」

 

「…………」

 

「無視すんじゃねえ! チッ、最後までいけすかねえ野郎だぜ!」

 

 相変わらずのミラージュに、クロスヘアーズは舌打ちのような音を出す。

 

「おい! 何とか言えよ!!」

 

「……ぞ」

 

「あん!?」

 

 ミラージュはクロスヘアーズの顔を真っ直ぐに見た。

 

「サイバトロンを頼んだぞ。おまえになら任せられる」

 

「……ッ!」

 

 突然のその言葉に一瞬呆気に取られたクロスヘアーズは、苦々しい表情になると顔を背ける。

 

「ケッ! 言われるまでもねえ!」

 

「……まったく、二人とも素直じゃないわね」

 

 そんな二人を見て、ミラージュの足元のブランは苦笑するのだった。

 

 今度はドリフトがベールに声をかける。

 

「おさらばです、可憐な方。ですがこれはひと時の別れ。またお会いしましょう」

 

「ええドリフト。またお会いしましょう。それまでは、ごきげんよう」

 

 見つめ合うドリフトとベール。

 

「はいはい、そこまで」

 

 その間にジャズが割って入った。

 さわやかな笑顔だが、その頬は微妙に引きつっている。

 

「悪いけどベールは『俺の』パートナーなんでね。おさわりは厳禁だ」

 

「フッ。彼女が自分以外の男になびくのが、そんなに気に食わんか」

 

「ハッハッハ。面白いジョークだなあ。いっそコメディアンに転職したらどうだい?」

 

「あいにくと道化役は間に合っているようなので、遠慮しておこう」

 

 一見和やかに会話を続けながらも、オプティックがまったく笑っていないジャズとドリフト。

 そんな二人に挟まれて、ベールはすごく楽しそうだった。

 

 最後にアルファトライオンは義息の顔を見つめた。

 

「オプティマス。別れの言葉に代えて、おまえに言っておくことがある」

 

 それはとオプティマスがたずねるより早く、アルファトライオンは次の言葉を発した。

 

「次に会った時、もしおまえの迷いが晴れていたならば、その時は渡したい物がある。憶えておいておくれ。……息子よ、達者でな」

 

「はい。父上もどうか、お元気で……」

 

 一瞬、もっと義父と話していたい衝動に駆られたオプティマスだったが、今は短く返事をするにとどめておき一同に号令をかける。

 

「よし! では別れの挨拶はこれくらいにしておこう。一同、今度こそゲイムギョウ界に帰るぞ!」

 

 その号令に従い、一同は次々と光の柱に飛び込んで行く。

 まずはノワールとアイアンハイドだ。

 

「それじゃあ、お先に!」

 

「向こうで待ってるぜ!」

 

 続いて、ブランとミラージュが静かに光の中へと入る。

 

「行きましょう、ミラージュ」

 

「ああ」

 

 そしてベールとジャズも続く。

 

「では、わたくしたちも行きましょう」

 

「ああ。久々のゲイムギョウ界だ」

 

 最後に、ネプテューヌがオプティマスに先んじて光の柱に飛び込もうとするが、ふと足を止めてオプティマスを見上げた。

 

「……ねえ、オプっち。わたし、オプっちに言わなきゃいけないことがあるんだ」

 

 少しだけ頬を赤らえるネプテューヌ。

 普段と違う彼女に何となく戸惑いながらも、オプティマスはたずねる。

 

「なにかな、ネプテューヌ?」

 

「それは……、ううん、やっぱりゲイムギョウ界に帰ってから話すよ」

 

「ああ……」

 

 薄く微笑んだネプテューヌは、我が家に帰るべく立ち昇る光の中に入ろうとする。

 

 その時である!

 

 どこからか光弾が飛来した。

 着弾した地面が爆発をおこし、残っていた一同は爆風に煽られて倒れる。オプティマスは咄嗟に爆風からネプテューヌを庇った。

 

「おやおや、こんな所で出会うとは奇遇だな、プラァァイム」

 

「メガトロン……!」

 

 空の彼方から飛来するや変形して降り立ったのは、果たして破壊大帝メガトロンだった。

 

「スペースブリッジをこちらに渡してもらうぞ。それがあれば新たな軍団をゲイムギョウ界に送り込むことができるからな」

 

「貴様の好きにはさせん!」

 

 すぐさまオプティマスはネプテューヌを後ろに庇い、剣と盾を構える。

 

「そうか。なら……、この地で果てるがいい!」

 

 言うやメガトロンはデスロックピンサーを展開し、オプティマスに突っ込んでくる。

 激突し、鍔迫り合いを繰り広げる両者。

 メガトロンはそのまま囁くような声を出す。

 

「久し振りに故郷に帰ってきた気分はどうだ、オプティマス? 故郷の声が聞こえる気がしないか?」

 

「……聞こえるとも、メガトロン! 死に瀕し、苦しむ故郷の声が!」

 

 怒りに身を任せ、オプティマスはメガトロンを跳ね飛ばす。

 距離を取ったメガトロンは、なおも言葉を続ける。

 

「そうだな。だが貴様はゲイムギョウ界に惹かれている。この星よりもな。そこが俺と貴様の差だ」

 

「勝手なことを! 私は貴様の暴虐から世界を護りたいだけだ!」

 

 二人は怒りと憎悪を込めた視線で互いを射抜き、そして咆哮とともに再び激突する。

 

「オプっち!」

 

 我に返ったネプテューヌはオプティマスを援護するべく、刀を召喚する。

 次の瞬間、どこからか鋭い勢いで杖が突き出されネプテューヌは咄嗟にそれを防御する。

 

「あなたは……」

 

 攻撃の主はサイバトロンに来る前に出会った、カラスの仮面の女だった。

 相変わらず、仮面越しに激しい憎しみを感じる。

 

「ハアッ!」

 

 気迫とともに上段から振るわれる杖を刀で受け止めるネプテューヌ。

 そのまま杖を弾き返そうするが、凄まじい力で押し切られそうになる。

 

「な、なんか前より強くない?」

 

「女神ぃい……!」

 

 さらに鋭い攻撃を繰り出すカラス面の女。

 以前は素人丸出しだった動きが、今回は女神化していないとは言えネプテューヌとまともに戦えるレベルになっている。

 気のせいか、その体から黒いオーラのようなものが立ち昇っているではないか。

 さらにいつの間にかフレンジーがその横に立っていた。しかしそのどうもカラス面の女の戦闘力に驚いているような雰囲気である。

 一方、何とか体勢を立て直したハウンドたちは、オプティマスに加勢しようとしていた。

 

「畜生、不覚を取ったぜ!」

 

「センセイ、今お助けします!」

 

「メガトロンのクソ野郎め! ここを墓場にしてやる!」

 

 一斉にメガトロンに飛びかかっていく三人。

 ハウンドとクロスヘアーズが銃撃を浴びせるが、メガトロンはビクともしない。

 

「メガトロン! お命頂戴する!」

 

 続いてドリフトが斬りかかるが、メガトロンはそれをかわすことなくデスロックピンサーで受け止める。

 渾身の力を込めて振り下ろされた刃は、しかし破壊大帝を傷つけるには至らない。

 

「貴様如きに、この俺の命は取れんわ!」

 

 さらにドリフトを投げ飛ばしたメガトロンはフュージョンカノンの狙いを、地面に倒れた青い侍に定める。

 その時横からオプティマスがタックルを仕掛けてきて、発射された光弾はドリフトから大きくそれて、後ろの高層建築を粉々に吹き飛ばす。

 メガトロンは再びオプティマスと距離を取ると、武器を構える。

 オプティマスも武器を構え直した。

 両者の間に流れる殺気に満ちた空気は、唐突に第三者の言葉によって破られた。

 

「お主たち。そんなことをしておる場合ではないぞ」

 

 老歴史学者アルファトライオンの静かだが、よく響く声だった。

 因縁の戦いに水を差され、総司令官と破壊大帝はそろって老歴史学者のほうを見た。

 

「スペースブリッジが閉じかけておる。そして一度閉じてしまえば、このスペースブリッジは二度と開けんのだ」

 

 その言葉に立ち昇る光の柱を見れば、不安定に揺らいでいた。

 両者は顔を見合わせるや光の柱に向けて駆け出した。

 

「ネプテューヌ! もう時間がない!」

 

 切羽詰まったオプティマスの声に、カラス面の女と戦っていたネプテューヌも光の柱に向けて走り出す。

 だがここでネプテューヌにとって予想外のことが起きた。

 てっきり同じように走り出したと思ったカラス面の女が、ネプテューヌに組み付いてきたのだ。

 

「ちょ、ちょっと! 何するのさ! あの光に入らないと、あなたもゲイムギョウ界に帰れないんだよ!」

 

「知るか! 私は女神が憎くて仕方がないんだ! 抑えきれないほどにね!!」

 

 慌てたネプテューヌに対し、初めてマトモな反応を返すカラス面の女。だが今はそれどころではない。

 このままではサイバトロンに取り残されてしまう!

 全ての力を込めて、カラスの女を引きはがそうとするネプテューヌと、信じられないほどの力でもってネプテューヌを羽交い絞めにするカラスの女。

 それを見て慌てたのが光の柱の近くまで来ていたオプティマスだ。

 

「ネプテューヌ!」

 

「ええい! 世話の焼ける!」

 

「レイちゃん! 何やってんのさ!」

 

 オプティマスとメガトロン、そして主君の足元まで走ってきていたフレンジーは組みあっているネプテューヌとカラスの女を回収するべくいったん引き返そうとする。

 

 だが。

 

 すでに不安定に揺らぐ光の柱が、大きく揺れた。

 そしてアッと言う間に、オプティマスとメガトロン、フレンジーを飲み込む。

 三人は為す術もなく、呆気なく光の中に消えた。

 

「お、オプっち!」

 

 そうこうしている間に光の柱が細くなり、消えそうになっていく。

 

「こ、このままじゃ……」

 

 たった一人で永遠に異星に置き去りにされる恐怖にネプテューヌが青ざめた時だ。

 

「やれやれ、仕方のない」

 

 突然、ネプテューヌとカラスの女の体が何者かに掴み上げられた。

 二人が見上げると、それは老歴史学者アルファトライオンだった。

 ネプテューヌが何か言うより早く、アルファトライオンは二人を引きはがして両手に一人ずつ握る。

 

「……あの子『たち』を頼んだぞ」

 

 それは、どちらに向けて放たれた言葉だったのだろうか。

 

「たち……?」

 

 不可解な言い回しに一瞬怪訝な表情になるネプテューヌだが、次の瞬間アルファトライオンは手に持った二人を光の柱に向けて放り投げた。

 

「「キャアアアア!!」」

 

 悲鳴を上げながら、二人は光の中に消えていった。

 それから一瞬間を置いて光の柱は完全に消え去り、リング型のスペースブリッジは小規模な爆発を起こして自壊した。

 

「…………」

 

 静寂の中、アルファトライオンはしばらく虚空を見つめていた。

 その周りに、ハウンド、ドリフト、クロスヘアーズが集まってくる。

 

「行ってしまわれたのですね」

 

 最初に声を出したのは、ドリフトだった。

 

「女神か……、騒々しいが、愉快な連中だったな」

 

「はん! 騒々しいだけだったろうが! ……でもまあ、悪くはなかったな」

 

 ハウンドは薄く微笑むながら空を見上げ、クロスヘアーズはいつもの調子だ。

 すでに目的を失ったディセプティコンが撤退を初めているという報告が、他の場所の仲間たちから入っていた。

 我々もアイアコンへ帰る時がきた。

 

「ゲイムギョウ界か……」

 

 ドリフトは空の彼方を見やり、誰にともなく呟いた。

 騒々しくも優しい女神たちが統治する神秘の世界。

 そこはきっと、素晴らしい世界なのだろう。

 

「いつか、我らも行ってみたいものだな……」

 

 口にこそ出さずとも、ハウンドとクロスヘアーズも同じ思いだった。

 

 虚空を見つめるアルファトライオンは何も言わなかった。

 

  *  *  *

 

 それはネプテューヌとカラスの女……キセイジョウ・レイがスペースブリッジによって転送される瞬間のことだ。

 ありえない話しだが、二人のその瞬間、確かに『声』を聴いたのだ。

 いやむしろ思念と言ったほうがいいかもしれない。

 頭の中に直接、声が響いてくる。

 

 ――君たちは知りたいと願った。彼らの過去を、彼らの想いを。強く強く。

 

 男性のようにも女性のようにも、若いようにも年老いているようにも聞こえる不思議な声だ。

 

 ――だから、これは本当なら少し反則なのだけれど……。

 

 そして試練を与える神のように超然としていて、しかし限りない慈愛に満ちていた。

 

 ――君たちに『見せて』あげよう。彼らの過去を。

 

 『声』は確かにそう言った。

 

 こうしてネプテューヌとレイは、あらゆる世界から完全に消滅した。

 




そんなわけで、ネプテューヌとレイには延長戦に突入していただきます。

まあ、長くはかからない予定です。

そしてついにトランスフォーマーアドベンチャー、キター!
みんな相変わらずで何より!
そしてオプティマス。結構キツイ修行してますねえ。
次回は悪夢回! ビーだけすごいシリアスになりそう。
QTFも面白いけど、自分的にはやっぱりコッチが本命!

今回の小ネタ……特になし。

では、ご意見、ご感想、お待ちしています!

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