超次元ゲイム ネプテューヌ THE TRANSFORMATION   作:投稿参謀

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新章に入るに当たり、アニメ第二期の一話的なサムシングを目指してみた。


Artificial wars (人造戦争)
第61話 ありきたりな通過点


 ここはゲイムギョウ界。

 四人の守護女神と呼ばれる超常の存在の下に、四つの国が成り立っている世界。

 

 女神ブラックハートの治める重厚なる黒の大地、ラステイション。

 

 女神ホワイトハートの治める夢見る白の大地、ルウィー。

 

 女神グリーンハートの治める雄大なる緑の大地、リーンボックス。

 

 そして、女神パープルハートの治める革新する紫の大地、プラネテューヌ。

 

 四人の女神と四つの国は、かつては争い合っていた時代もあったものの、様々な出来事をへて、女神同士の戦いを禁ずる『友好条約』を結ぶに至った。

 

  *  *  *

 

 プラネテューヌのとある町。

 未来的な建物が立ち並ぶここで、年に一度のお祭りが行われていた。

 様々な食べ物や土産物を売る屋台。色とりどりの旗と風船。自慢の技を披露する大道芸人たち。溢れる音楽。

 人々は祭りを楽しみ、平和を謳歌していた。

 そんな街角に、一台のパトカーが停車している。

 町の人々は祭りの警備に派遣されたのだろうと思い、誰も気にしない。

 そのパトカーの車体後部には、こうペイントされていた。

 

 To punish and enslave(罪人を罰し服従させる)

 

 パトカー……それに擬態(ディスガイズ)した何者かは、遠く離れた場所にいる仲間たちに通信を飛ばす。

 

『こちらバリケード。目標地点の偵察を完了した。今のところ、周辺に脅威となる存在はない。……行動を開始されたし』

 

 突然、バラバラと言う騒音が上空から聞こえてきた。

 何事かと人々が見上げると、二機の巨大な軍用輸送ヘリが町の上空に飛来してきた。

 ヘリは祭りの中心となっている広場の上空に到達するや、ギゴガゴと異音を立てて巨大で歪な人型に変形する。

 さらに町の路地から異様な姿の二台の兵器が現れた。

 それはアームを備えた地雷除去車と、ゴテゴテと武装が追加された戦車だ。

 二台もまた、変形して立ち上がり巨大なロボットと化した。

 そしてあのパトカーが四体の怪ロボットの前に進み出ると、自らもロボットに変形する。

 逃げ惑う人々の、誰かが叫んだ。

 

「ディセプティコンだ!!」

 

  *  *  *

 

 友好条約の締結によって、ゲイムギョウ界には平和が訪れた。

 しかし、世にはこの平和を乱さんとする者たちがいる。

 営利目的で犯罪に手を染める者。

 自らの愉しみのために罪を犯す者。

 女神の統治を良しとせず、女神を廃そうとする者。

 そして、違う世界からの侵略者……、ゲイムギョウ界を侵略しようと目論む金属生命体、破壊と闘争を尊ぶトランスフォーマー、『ディセプティコン』がそうである。

 

  *  *  *

 

 ディセプティコンたちはそれぞれの自慢の武器で周囲の建物を破壊し、目障りな人間どもを追い払う。

 屋台は薙ぎ倒され、旗や置物が燃え上がる。

 賑やかな祭りの会場は一転、破壊に包まれた。

 やがて人間たちが完全に逃げ去ったころ、五体のディセプティコンが空を見上げると異形のジェット機と、リーンボックス製のステルス戦闘機が飛来した。

 二機のジェット機は空中でロボットに変形し地響きを立てて降り立った。

 その内の灰銀の巨体を持つ個体……ディセプティコンの支配者、破壊大帝メガトロンは、辺りを睥睨する。

 周りには、ブラックアウト、グラインダー、ブロウル、ボーンクラッシャー、バリケードらが集合し跪く。

 

「メガトロン様! ここら一帯の制圧は完了いたしました」

 

「うむ、御苦労」

 

 代表してブラックアウトが報告すると、メガトロンは満足げに頷く。

 そして周りの部下たちに向けて言葉を発した。

 

「我がディセプティコンよ! この町の地下には貴重なエネルギー源であるルビークリスタルが大量に埋蔵されている! 今回はそれを奪うのだ!」

 

「この町の人間どもはどうするんです?」

 

「そんなことも分からんのか、この愚か者め! 下等な有機生命体にかける情けなどないわ、皆殺しにしてしまえ!!」

 

 傍らに控える航空参謀スタースクリームの問いに、メガトロンは慈悲のない答えを返す。

 もとより部下たちも、人間にかける慈悲など持ち合わせていない。

 メガトロンがディセプティコンに置ける絶対権力者であることを差し引いても、逆らう者など、いはしない。

 

「恐れながら、メガトロン様。それはあまり得策ではないかと」

 

 いや、一人だけいた。

 メガトロンの横に、台座型の浮遊機械に乗って降りて来た人物がそれだ。

 薄青の長髪をたなびかせ、鋭角的なロボットの顔……ディセプティコンのエンブレムを模した仮面を被っている。

 とは言え、その姿は人間にしか見えない。

 

「貴様! メガトロン様の言葉に逆らって、仲間の下等生物を庇う気か!!」

 

 すかさずメガトロンの忠臣であるブラックアウトが激昂するが、当のメガトロンは手振りでそれを制する。

 

「何が、得策ではないと言うのだ?」

 

 破壊大帝の問いに、仮面の女は一礼してから答える。

 

「この町の地下に眠るルビークリスタルを採掘するには、多くの人手が必要です。人間たちは、殺すより生かして労働力にしたほうがよろしいと思います」

 

 淀みなく返された答えに、メガトロンは一瞬だけニヤリと笑うような気配を見せた。

 

「なるほど、そういう理由をつけて人間を殺させまいとしているワケか」

 

「なんのことでしょう? 私はメガトロン様のことを考えて発言しているだけですよ」

 

 感情を感じさせない、平坦で冷たい声で返す仮面の女。

 メガトロンは不機嫌そうに……少なくとも表面上は……鼻を鳴らすような音を出す。

 

「ふん! まあよい、では人間どもは生かして捕らえるのだ! 逆らうようなら、その限りではないがな!」

 

「さすがは偉大なるメガトロン様、懐の深さに感服しました」

 

 おだてるようなことを言う仮面の女。

 主君が有機生命体の意見を採用したことに、スタースクリームは舌打ちのような音を出し、有機生命体が主君に意見したことに、ブラックアウトは顔をしかめる。だが両者ともに、メガトロンに逆らうようなことは言わない。

 逆にボーンクラッシャーは敬意に満ちた視線を仮面の女に向ける。

 他のメンバーも特に文句を言わない。

 

「ッ! メガトロン様!!」

 

 その時、スタースクリームが遥か彼方から接近する敵影に気付いた。

 メガトロンをはじめとしたディセプティコンたち、そして仮面の女もそちらを睨む。

 見れば、数台の乗用車が向かってくるのが見えた。

 色とりどりの車の先頭を走っているのは、赤と青のファイヤーパターンも鮮やかなトレーラートラックだ。

 メガトロンは忌々しげに顔を歪めた。

 

「来たか……、オートボット!!」

 

  *  *  *

 

 ディセプティコンは、これまでのゲイムギョウ界に存在しなかった強大な敵である。

 一体一体がとてつもない破壊力を持っている上に数までもいる彼らの前には、ゲイムギョウ界の守護者たる女神でさえも、彼女たちだけでは対抗しきれないほどだ。

 しかし、ゲイムギョウ界に強大な『敵』が到来したのと同時に心強い『味方』もまた、現れた。

 それこそが、平和と自由を愛するトランスフォーマー、『オートボット』である。

 彼らは女神と同盟を組み、ゲイムギョウ界の平和を守るためにディセプティコンに立ち向かっているのだ。

 

  *  *  *

 

「オートボット、トランスフォーム!!」

 

 勇ましい掛け声と共に、トラックはギゴガゴと音を立てて勇壮なロボット戦士に変形する。

 彼こそはオートボットのリーダー、総司令官オプティマス・プライムだ。

 リーダーの指令を受けて、後に続く乗用車たちも次々と変形していく。

 

 黒のストライプが目立つ黄色いスポーツカーは、情報員バンブルビーに。

 

 リアウイングのついた銀色のスポーツカーは、副官ジャズに。

 

 無骨な黒いピックアップトラックは、古参の戦士アイアンハイドに。

 

 真っ赤なスポーツカーは、戦闘員ミラージュに。

 

 白銀の未来的なスポーツカーは、戦士サイドスワイプに。

 

 グリーンとオレンジのコンパクトカーは、双子のスキッズとマッドフラップに。

 

 オートボットの戦士たちが自分の周囲に展開したのを確認し、オプティマスは宿敵メガトロンを睨みつける。

 

「メガトロン! これ以上の悪事は許さん!!」

 

「相変わらず下等生物どもの味方とは、御苦労なことだなプラァァイム!!」

 

 吼え合うオプティマスとメガトロン。

 

「あら、私たち抜きで始める気?」

 

 と、空から声が聞こえてきた。

 両軍が見上げれば、そこには七人の女性たちが光に包まれ降りてくる。

 

 ゲイムギョウ界の守護者にして統治者、女神たちだ。

 

 オプティマスの傍に紫の女神、パープルハートことネプテューヌが降りてきた。

 

「私たちがいなくて、お話しが始まると思う? オプっち」

 

「ああ、そうだったな、ネプテューヌ」

 

 親しげに、そして愛を込めて、お互いに笑む二人。

 

「まったく、イベントに出かけたと思ったら、これなんだから」

 

「ああ、まったく空気の読めない奴らだぜ」

 

 黒の女神ブラックハートことノワールと、アイアンハイドが武器を構え不敵に笑う。

 

「ミラージュ、おまえはどいつをぶっ飛ばす? 私は、あのアイスクリーム野郎な!」

 

「向かって来るなら斬る、それだけだ」

 

「ハッ! 違いねえ!」

 

 白の女神ホワイトハートことブランの問いに、ミラージュはぶっきらぼうに答えた。

 

「それじゃあ、ベール? 俺と一曲踊っていただけますか?」

 

「喜んで、ジャズ。曲はワルツにでもしておきましょうか」

 

 軽い調子で言葉を交わし合う、ジャズと緑の女神グリーンハートことベール。

 この場には各国の女神だけでなく、次代を担う女神候補生も集結していた。

 

「よーし、ビー、頑張ろう!」

 

「『もちろんさー!』『奴らを二、三人血祭に上げてやりますよ!』」

 

 ネプテューヌの妹、パープルシスターことネプギアと、バンブルビーが並ぶ。

 

「サイドスワイプ、遅れないでよ!」

 

「ユニこそ、抜かるなよ!」

 

 ノワールの妹、ブラックシスターことユニが、サイドスワイプと声をかけあう。

 

「スキッズ、悪い奴らをやっつけるわよ!」

 

「マッドフラップ、頑張ろうね」

 

「おうよ、ラム!」

 

「当然だぜ、ロム!」

 

 ブランの妹たち、双子のホワイトシスターことラムとロムが、同じく双子のスキッズとマッドフラップと笑い合う。

 

「覚悟しろ、メガトロン!」

 

「今日こそ、あなたを止めて見せるわ!」

 

 並んで睨んでくるオプティマスとネプテューヌを、メガトロンはギラリと睨み返す。

 

「ふん! 調度いい、ここで決着をつけてくれるわ! ……レイ!」

 

「はい!」

 

 仮面の女の体から黒いオーラが立ち昇り、それに呼応するようにメガトロンからも黒いオーラが噴き出す。

 

「おお……! これがメガトロン様の新たなるお力か!」

 

「おお、すげえ!!」

 

 ブラックアウトとボーンクラッシャーが、感嘆の声を上げる。

 逆にスタースクリームは忌々しげに顔を歪め、周囲に聞こえないように小さく呟いた。

 

「メガトロンの野郎め、力を独り占めにしやがって……。今に見てやがれ、力を手に入れる当てがあるのはテメエだけじゃねえぞ……!」

 

 それが聞こえないか、あるいはまったく意に介していないらしいメガトロンは、武装を展開して構える。

 オプティマスもまた、背中から愛刀テメノスソードを抜く。

 

「ディセプティコン軍団!!」

 

「オートボット戦士!!」

 

 そして、両軍の司令官の声が重なった。

 

「「攻撃(アタック!!)」」

 

 さあ、戦いだ!!

 

  *  *  *

 

 オートボットとディセプティコン、そして女神たちの戦いは、この世界の主な住人である人間たちを巻き込んで続いていく。

 しかし人間たちも、ただ巻き込まれているワケではない。

 ある者は、愛する家族や国を守るため、信仰する女神のため、銃を取る。

 ある者は、欲望のため、野心のため、あるいはディセプティコンに共感して、戦場へと向かう。

 

  *  *  *

 

「始まったみたいね……」

 

 戦場となっている町の一角で、小柄な少女アイエフは仲間たちを指揮する合間に呟いた。

 

「そのようね」

 

 跨っている薄紫のバイクから声が聞こえた。

 このバイクもまた、名をアーシーと呼ばれるオートボットなのだ。

 

「この辺りのモンスターは掃討したし、指揮はリント辺りに任せて、私たちもアッチに向かう?」

 

「そういうワケにはいかないわ。これも立派な仕事だからね」

 

 アイエフはディセプティコンに対抗するために、何より女神を助けるために結成された特殊部隊GDCの隊長である。おいそれと現場放棄するワケにはいかない。

 

「は~い、怪我をされたかたは、こちらにどうぞで~す!」

 

 そこから少し離れた場所では、アイエフの親友であるコンパが、相方であるレスキュー車に変形したオートボット、ラチェットと共に怪我人を収容している。

 敵と戦わずとも、市民を守り、傷ついた者を助ける者も、戦いには必要だ。

 

  *  *  *

 

 長い戦いの中で、新たな力を得る者もいる。

 愛と信頼を力に変えた者。

 怒りと憎しみから力を引出す者。

 強大な力をどう使うかは、それぞれだ。

 

  *  *  *

 

「死ねい! オプティマァァス!!」

 

 メガトロンは強大な力に任せてデスロックピンサーを振るう。

 テメノスソードでその攻撃をいなすオプティマスだが、徐々に押されてきている。

 

「ブレイクアウト!!」

 

「クッ……!」

 

 ネプテューヌは仮面の女と戦っていたが、彼女の繰り出す連撃にネプテューヌは圧倒される。

 オプティマスとネプテューヌは、どちらともなく顔を見合わせ、頷き合う。

 

「オプっち!」

 

「ネプテューヌ!」

 

 そして、その言葉を叫んだ。

 

「「ユナイト!」」

 

 その瞬間、二人は強い光に包まれる。

 だが二人の意図に気が付いたメガトロンと仮面の女は、攻撃しようとする。

 

「ッ! させるかぁああッ!!」

 

「ミサイルコマ……」

 

 だが、どこからか振って来た電撃が、両者の攻撃を発動させなかった。

 

「なに!?」

 

 メガトロンは一瞬動揺したものの、すぐに攻撃の発生源に当たりをつけ、そちらを見上げる。

 

「あらあらぁ? 二人が深ぁく結ばれるのを邪魔しようとするなんてぇ、野暮なヒトねぇ」

 

 そこには、ボンテージのような露出度の高い衣装に長い髪の女性が、艶然とした表情を浮かべて空中に静止していた。

 彼女こそはこことは異なるゲイムギョウ界からやってきた、もう一人のプラネテューヌの女神、アイリスハートことプルルートである。

 破壊大帝から敵愾心に満ちた視線を送られても、プルルートは薄ら笑いを崩さない。

 そうしている内にも、オプティマスとネプテューヌは融合合体(ユナイト)を果たす。

 背中にジェットパックを背負い、新たな武装に身を包んだその姿は、二人の信頼と愛に応えて現れた新形態、ネプテューンパワー・オプティマス・プライムの勇姿である。

 

「行くぞぉ! メガトロン!!」

 

 雄叫びと共にオプティマスはブースターを吹かして、メガトロンに突撃する。

 

「来い! オプティマァァス!!」

 

 メガトロンも黒いオーラを噴き上げてオプティマスを迎え撃つ。

 両者のエネルギーの衝突により、巨大な爆発が巻き起こるのだった。

 

  *  *  *

 

 今のところ、ディセプティコンの侵攻は、オートボットと女神たちに阻まれている。

 しかし、このゲイムギョウ界の平和を乱す者と、ディセプティコンはイコールではない。

 

  *  *  *

 

「ふむ、彼らは相変わらずのようだね」

 

 壮絶な戦いを繰り広げるオートボットとディセプティコン。

 それを、どこか遠くから見ている者たちがいた。

 暗い部屋の中で、複数の影が、いかなる手段によってか中継される戦場の映像を眺めていた。

 

「まったく、飽きない奴らだ……」

 

 その一つ、痩身の黒いトランスフォーマー、名をロックダウンは排気混じりに呆れた声を出した。

 

「何万と言う時を重ねてなお劣化しない、肉体。幾星霜を戦い続けることができる、精神。どちらも我ら人間には持ち得ない力だ。正直、羨ましいね」

 

 もう一つ影、鉄仮面で顔を隠した軍服の男、謎の組織ハイドラの首魁ハイドラヘッドがくぐもった笑いをもらすと、ロックダウンは興味なさげに鼻を鳴らすような音を出す。

 

「それで? 貴様の『雇用主(クライアント)』からは、そろそろ結果を出すように言われたそうだが?」

 

「まあね。彼らは早く儲けを出したいのさ。金は彼らにとって、世界よりも自分の命よりも重いからね」

 

「まったく、ならばソロバン勘定だけしていればいいものを。現場に口を出すなって話しだ」

 

 皮肉っぽいロックダウンの物言いに、ハイドラヘッドは苦笑するような気配を見せる。

 

「まあいいさ。彼らは私に戦争を提供してくれるからね。こちらもそろそろ、彼らの望んでいる物を提供するとしよう」

 

 そう言って、ハイドラヘッドがコンソールを操作すると、画面が切り替わり別の映像が映し出された。

 

「我がクライアントが望むのは、まず、戦争が起これば確実に売れる『商品』」

 

 ハイドラヘッドは語る。

 それはロックダウンに、というよりは自分で情報を整理するために独り言を呟いているようだ。

 

「では、戦争に置いて最も売り上げが見込まれる商品はなにか? それは戦争に置いて確実に消費され、どんな兵器、作戦にも必要不可欠で、どんな手段を使ってでも数を揃えなければならない……、つまり、『兵士』だ」

 

 画面には、人型のロボットが組み上げられる映像が流れる。

 それと共に、ロボットの設計図が映る。

 設計図には、『人造トランスフォーマー計画』とある。

 

「女神たちは言う、争いで人が殺し合うのは悪であると。ならば、人ではない『物』に任せてしまえばいい。物は、死を恐れない。物は、情に流されない。物は、どんな命令も拒否しない……、それこそ、大量破壊や虐殺でも、ね」

 

 さらに画面が変わる。

 映っているのは、何かの資料だ。

 

「しかし、女神は戦争を嫌う。あれほど上手くやれば金を儲けられる手段もないのに。……じゃあ、そんな馬鹿な女神は殺してしまおう、というのがクライアントの考えだ」

 

 画面には、大きな翼を背負った角の生えた女性に、人間の男が剣を突き刺している壁画が映っている。

 その下には、『魔剣ゲハバーン』の文字が並んでいた。

 

「しかし、彼女たちは人の形をしているが、その実態はシェアの集合体。ゆえに人と同じ方法で殺すことは難しい。外的要因で殺すには、特別な武器が必要だ。例えば、伝説に語られる『女神殺しの魔剣』のような……」

 

 またしても画面が切り替わる。

 なにやら専門用語と数式の並んだ難解な文章が映る。

 

「だが、ここで問題が生じる。女神を殺してしまえば、国民から得たシェアを環境に還元する者がいなくなり、やがて土地が死んでしまう。それはクライアントにとっても、あまり望ましいことではない」

 

 そこでハイドラヘッドは明確に笑んだ。

 世の全てを嘲笑し、あらゆる事象を皮肉り、何もかもを見下す、そんな笑み。

 

「ならば、『作って』しまえばいい、ということだ。女神は環境維持のための装置であり、強力な生体兵器でもある。ついでに見た目も美しく男の欲望を刺激する。人気商品になるだろうからね」

 

 画面がスクロールし、文章のタイトルが映る。

 

『女神複製計画』

 

 人造トランスフォーマーの量産、女神を殺せる武器の確保、そして女神そのものの複製、その三つが現在ハイドラの進めている計画だ。

 黙って聞いていたロックダウンは、そこで初めて声を出した。

 

「作り物の兵士に、作り物の女神、戦争そのものも、情報と経済を操作して起こす作り物の予定。…………最悪だな」

 

 その声には明らかな嫌悪がこもっていた。

 しかし、ハイドラヘッドはむしろ嬉しそうに笑う。

 

「そうだよ。私は求めているのは、最悪のジョークのような戦争なのさ」

 

 ロックダウンは呆れ果てたように排気するのだった。

 

  *  *  *

 

 世界を跨ぎ、次元を超えてなお、戦い続けるオートボットとディセプティコン。

 

 オートボットに協力して世界を護ろうとする女神たち。

 

 女神たちを信仰し、彼女たちの力になろうとする者たち。

 

 それぞれの理由からディセプティコンに協力する者たち。

 

 そして、その全てを利用して己の欲望を叶えようとする者たち。

 

 それぞれの思惑が絡まりあって、戦いは続いていく。

 

 

 この戦いがいかなる結末を迎えるか、それはまだ、誰も知らない。

 

 




アニメ第二期の一話的な何かを目指した結果がこれだよ!

今週のTAVは!
うん……あの明○のジョーモドキが最強の剣闘士?
メガトロンとガチンコしたら、どうなるかな? ……させてみようかな?
グリムロックとグランドパウンダーの戦いはさながらキングコング対ゴジラ……あれ? こんな光景をどこかで……。

今回の解説。

ルビークリスタル
初代より。我々のよく知る宝石の『ルビー』ではなく、『ルビークリスタル』という謎物質なんでしょう。

レイちゃん出撃
メガトロンに協力するだけでなく、ストッパーになろうとしているようです。
出撃してる間は、フレンジーとリンダが雛の面倒を見てます。

ハイドラの目論み
まあ、これからこんなイベントが起こるよ、という前振り。

では、次回こそはアイドル回!
今回出なかったあのヒトも出るよ!
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