デモンズエデン ~死にゲーを生身で、現代社会を美少女エルフで戦うハメになってしまった~   作:ぎむねま

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アンジェラ救出作戦1

俺がラーメン屋ダンジョンで出会ったのはデモンズエデンのメインヒロイン。ティア。

そのティアに名前を聞いたら、名乗った名前はアンジェラ・ナイセル。

 

彼女もまた、ドリームフレーム事件の被害者だ。異界化したデモンズエデンに囚われた二千人のウチの一人である。

 

彼女は俺のレベルアップを担う存在。彼女が居ない限り俺はレベルアップが出来ない。

何でも良いから彼女の情報が欲しいとリクエストしていたが……

 

 

「ムスメを、アンジェラを助けてクダサイ!」

 

ドリームフレームの製造元。世界的なビックテックの一角。ドリームスカイ社の幹部であるグレッグ・ナイセルさんの娘であったのだ。

 

参ったねコレ。なんて偶然だ。

 

しかし、良く考えれば、そんなにおかしな話じゃない。

 

アンジェラの声は若かった。だがドリームフレームは二万ドルもするVRギア。子供のオモチャにするには高過ぎる。なんなら電子ドラッグの温床でもあった。普通のご家庭は子供に使わせないだろう。

 

更に言うと、ダークスフィアは若い女性に人気のバンドだ。

つまり、今回の被害者。ドリームスカイ社に勤める社員の子供率って案外高いんじゃないだろうか?

 

聖堂で見た鏡を思い出すと、新しモノ好きのガジェットオタクで御座いって男に混じって、若い女の子の姿もチラホラあったのが意外に思った。

 

邪魔する者はぶっ殺せ! ってつもりで居た俺だが、そんな彼女達の命が俺の双肩にかかってるとすると荷が重い。

 

「さぁて、どうするか?」

 

開発元のイリーガルソフトの伊吹さんにもご意見を募る。

すると、超特急で手配されたのが一人の男性との会談だった。

 

「Wow!Wow!Wow! blow me away」

 

やたらとテンションが高いおっさんだった。

白人男性で中肉中背。ちょいロン毛でメガネに髭。チェックのシャツにしわしわのジーンズ。リュックを背負って、アニメキャラがプリントされた帽子まで被ってやがる。

 

なに、この、なに?

言っては悪いが典型的なナード。

 

俺は矢吹さんに助けを求める。

 

「えーと?」

「彼はマキシミリアンさん。デモンズエデンを最速クリアした男だ」

「そうなん? あー、ナイスチュー……いや、翻訳しよう」

 

挨拶を空キャンし、俺は翻訳機のスイッチを入れる。

この基地には米軍人も多い。俺はAI翻訳機を貰っていた。

 

「はじめまして、マキシミリアンさん」

「me too……ボクもだよ! いや、もっと! メチャ感激」

 

テンション高ぇなマジで。

いやしかし、なんでコイツ呼んだの?

 

ゲーム攻略の有名人ったって、ゲームの攻略がアッチで通用しないのはこの前実践したばかりじゃないか?

 

そう聞くと、矢吹さんはドヤ顔で断言する。

 

「そんな事は無いよ。中央の高台を使うのは上手く行っただろ? 言われなければそんな事だって思いついたか解らない。だろ? どんなアイデアでも無いより有った方が良い」

「……それは、確かに」

 

しかし、だからこそ臨機応変に後悔が無いように、その場で判断するしか無いんじゃないか? そう聞けば、矢吹氏は違う考えだった。

 

「一人で考えたって、良いアイデアが浮かぶとは限らない。柔軟な発想が大切なんだ。その点マキシミリアンさんは凄い。開発が考えてもいなかったバグを次々発見した。攻略もだ。その発想の柔軟さが役に立つかと思ってね」

 

……ほんとかー? ほんとにかー?

 

試しに、とマキシミリアンさんにこの前撮ったラーメン屋ダンジョンの映像を見て貰う。

当然だが、ガッチガチにNDAを結んでだ。

 

とは言え『アホみたいな賠償金』を吹っ掛けたって、相手が無敵の人では効果が無い。ナードのゲームマニア、マキシミリアンさんに効果があるとは思えなかった。アメリカは契約大国ではあるが、ゲームの情報がリークと称してバンバン漏れるのもまたアメリカなのだ。

 

そこんとこを矢吹さんに聞けば、矢吹氏は少しだけ気まずそうに俺のエルフ耳に耳打ち。

 

「滅多な事は言わない方がいいよ。マキシミリアンさんはボクよりよっぽど稼いでるから」

「えぇっ?」

 

イリーガルソフトの開発責任者の矢吹さんより?

悲しそうに言うには、所詮はサラリーマンだから想像するような給料は貰っていないと。なんなら基地に勤める人で一番給料が低いのがボクかも知れないと言われてしまった。

 

清掃員だってNDA契約を結んだ特殊な人で、アメリカ人だったりするからね。と悲しそう。

で、マキシミリアンさんだけど、ゲーム系の配信者としてはかなり有名。独自の攻略と面白いトークで人気が凄いのだとか。

 

「多分、年収は億単位。大手ゲーム会社が彼に案件を投げるのも珍しく無いからね。だから、ココに来て配信に穴を空けるだけでも凄くリスクなハズだよ。感謝しないとね」

「はぁ……」

 

世知辛い。日本のゲーム会社って立場弱いなぁ。

 

そんな風に俺と矢吹氏が会話をしているのを尻目に、ナード王マキシミリアンはデカい有機ELモニタに映る俺の活躍に齧り付いていた。

 

アメージング! アメージング! ワオ!

 

みたいな声がひたすら聞こえてくる。何言ってるか全然解らん。

そっとAI翻訳機のスイッチを入れ直す。

 

「スゲェェェ! やっべ! ぶっ飛びそうだ。飛んじゃう! 飛んだわ!」

 

ダメだ、翻訳しても解らない。ってかAI翻訳機優秀ね。スラングもバッチリだ。バッチリなのかなぁ?

 

ってか、マキシミリアンさん。電子ドラッグをキメた危ない人じゃ無いだろうな? ドリームフレーム絡みはソレが怖いんだ。まぁ大丈夫だろ。NDA云々の許可が出た時点で日米両方の身体検査は抜けてるハズだ。

 

そんで、俺の大活躍を見たマキシミリアンさんに握手を求められたり、写真を撮られたり。趣味とか好きなアニメとかゲームを聞かれる無駄な時間がありつつ、ゲーム攻略の作戦会議を始めるのだった。

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