デモンズエデン ~死にゲーを生身で、現代社会を美少女エルフで戦うハメになってしまった~   作:ぎむねま

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アンジェラ救出作戦2

さて、アンジェラさんが攫われたのは朽ちた教会。

教会の周りを闊歩するのは、ゲームのままであれば『近衛騎士』で間違いがないと言う。

 

近衛騎士はみんなのトラウマボスである。

チュートリアルの暗いダンジョンを抜け。やったー外に出たぞー! と広いフィールドに駆け出したプレイヤーをサクッっとヌッ殺してくる極悪ボスだ。別に序盤に倒す必要はない。なんなら最後まで倒さなくてもいいんだとか。

 

近衛騎士って言うぐらいだから悪魔と化した王を守る兵士であり、最終面ではウジャウジャ出てくる雑魚の一匹に過ぎないと言う。

だが、逆に言えば最終面の敵が最序盤のフィールドをのほほんと闊歩しているんだから、初見殺しが極まっている。

 

なお悪いのが、フィールドボスが肉入りになった事で、ドコまでも追ってくる可能性が高いのだ。

出会ったら最後、そのまま殺す気で居ないと逆に危ない。なのに、レベルアップの鍵となるメインヒロインは攫われて朽ちた教会に監禁されている。

 

詰みだ。

もうコレ詰みだろ。

 

「ワクワクするね。面白いよ」

 

なのに、マキシミリアンは意味不明な事を言う。

翻訳機の故障かと思ってバンバン叩いたが、壊れていない。

壊れているのはマキシミリアンだ。

なので、このナード野郎もついでにバンバン叩いたが、治る気配はなかった。

 

良く見るとこのおっさん、目がキラキラしてるもん。

 

は? コイツ正気か? お前は面白くてもコッチは命が掛かってんねんで?

俺が胡乱げに睨むと、おっさんはワクワクした顔で身を乗り出した。

 

「まずさ、ボスが人間操作ってのが凄いよね」

「凄い……じゃないんだよなぁ、絶対に勝てないんだよ」

 

俺だって、攻略動画は何回も見た。

マキシミリアンの華麗なプレイをな。

 

騎乗している相手に、まずは投げナイフ。コチラを見つけて槍を構えチャージしてくる相手を弾いて落馬させ、追撃。すると馬に乗って逃げるからまたナイフを投げる。

この繰り返しでハメ殺していた。

 

もし失敗して接近戦になってしまっても、強力な相手の三連撃は右、左、右の順に前転、ダッシュ、前転で躱せる。

 

このゲームは学習型AIを積んでいる。

矢吹さんが言うにはなるべくワンパターンでハメられないように作ったつもりだったと言う。だが、結局人間はAIをハメる必勝パターンを生み出してしまった。

 

なので、無理ゲーと呼ばれたデモンズエデンだが、今となってはドリームフレームを買った多くのプレイヤーがクリア済みだと言うではないか。

 

……ただ、そんなハメはAIだから成り立つだけ。

人間が操作するならそうはならない。

 

俺がそう言うと、マキシミリアンさんはウンウンと肯く。

 

「まぁね、もしボクが近衛騎士を操作出来るなら、プレイヤーには絶対に負けない自信があるよ。たとえプレイヤーがボク自身だとしても、ね」

 

まぁ、そうなんだよ。実力が同じなら、プレイヤーはボスに勝てない。絶対だ。

 

だが、おっさん……マキシミリアンは歯を剥き出して笑うのだ。

 

「だけど、そうはならない。なぜならボクは一人しか居ない。だから、ボクが操作した方が勝つ」

 

おいおいおい。

 

言うじゃねーか! オイ!

とんだ自信家だ、頭が沸いてる。

 

良いぜ。最高だ。

 

マキシのおっさんの目の前、俺はどっかりと座り込む。

 

「聞かせろよ? どうやって殺す?」

 

つまんない答えならタダじゃおかない。

俺もなるべく獰猛な顔を作ったつもりだが、今の姿だと可愛いだけかもな。

 

案の定、マキシミリアンはビビらなかった。

 

「まず、現実化したデモンズエデンはルールが変わった」

 

知ってる、今までのハメ技が通用しない。

NPCが人間操作。まともにレベルも上げられない。とんだクソゲーだ。

 

「だが、ルールが変わったから難易度が上がるとは限らない。たとえばそう、ダンジョンの扉は現実世界に現れる」

「そうだな、だからナビナビも頼れない。死人繰りの力なしにダンジョンを攻略しなくちゃならない。エルフの女の子だから力も弱い」

 

コレの何が有利なんだ?

 

「聞いたよ、いきなり裏ボスのファルファリッサにチャレンジしたんだって?」

「食い殺されたんだよ!」

 

思い出したくもない。

 

「でも、普通はレベル1じゃチャレンジすら出来ない。周りには近衛騎士より強い雑魚がウジャウジャ居る。あそこはそう言う場所だ」

「…………」

 

だから、なんだ? いや、そう言う事か。

ようやく俺にも飲み込めて来た。

 

「道中が難しくて、ダンジョンが簡単な所なら楽に攻略出来るって事か」

「その通り、いや、それ以上。実はボスすらいなくて、アイテムを取るだけの扉がある」

 

マジかよ。

いや、でもな。

 

この手のゲームは強い装備だけ手に入れてもしょうがない。

ステータスが低いと扱えないって事が多いのだ。

そう聞けば、マキシミリアンは薬指の指輪を見せつけてくる。

こいつ、結婚してたのか! ってか、そうじゃない。

 

「指輪だよ。そこに有るのは武器でも防具でも無い、誰でも使える」

 

指輪、その効果は?

 

「霊獣さ。霊獣を呼び出して使役可能になるアイテムだ。霊獣がいれば、馬に乗る近衛騎士に機動力で引けを取らなくなる。アンジェラを取り返して、逃げる事すら可能なハズだ」

 

マジかよ。

 

あの広大なフィールドを馬で駆け回るってのはやってみたい。

だって、市と同じ広さがあるんだ。歩いて移動なんて冗談じゃない。

 

「ど、どこ? ドコなんそれ!」

「ゲームでは砦の屋上。大ボスの後ろの扉だな。RTAならボスを無視して扉に入るのがセオリー」

 

なるほど、ボスを倒さずに扉を開けて、そこでアイテムを取ればクリア。

そんな場所だってあるって事か。

 

しかし、砦の屋上か。

高さがあるな。

 

そんな場所に行くならはしご車が必要だろうか?

デモンズエデンのマップを波木野市の地図に重ねてみる。

 

砦のある位置にあるのは?

 

「ショッピングモールぅ?」

 

メチャメチャ人が居るじゃん。

どうすんの?

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