配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった 作:誘惑弱者
翌日、大学に行くと。
『あれ?誰それ可愛いじゃん』
「知らねえの?みたらしちゃんだよ」
『知らん。この方は何をしている方なの?』
「この子最近バズっててさ、俺もその配信がきっかけで見始めたんだけど良いわ」
『何が良いんだよ』
「そうだなぁ……顔が良い。しっかりしてる様でぬけてる。男の娘、初対面で一目惚れしたから女装告白しようとするおもしれー奴だし、見てて飽きない。ストレスとかも無いし、先輩関係とのやり取りも面白いし、うん全部良い」
「女装告白って何だよ」
『誰もが通る道だよそれは』
「そんな産道みたいにな感じなんだ」
彼らの頭に隕石落ちて、奇跡的に記憶だけ無くならないかな。ついでに僕も巻き添いで。
これほどまでに破滅を望んだのは今日が初めてかもしれない。
そこには先輩がいつもの様に佇んでいた。何やら、スマホを見ては珍しくニヤニヤしている。どうやら僕が来た事にはまだ気づいて無い様だ。
なので、そっと先輩の後ろに回り込みスマホの画面を覗き見した。
『もしかして魔法少女わーるどのチケットですか?それ』
「うわっ、いつの間に!?」
先輩は驚いた様だけど僕も驚いていた。魔法少女わーるどとは最近新しく出来た魔法少女のテーマパークで、魔法少女達のショーだったり、関連したアトラクションやフード。それから歴代のアニメに使われていた物などが展示しているブースもある。いわば魔法少女が好きな人達からしたら聖地と呼べる様な場所だ。
だけど、(大きなお友達の)人気が高すぎて本来の客層が入れなくなったから予約に制限が掛かって今の予約分は全て埋まってつキャンセル待ちってネットニュースになってた筈だけど。
『良く手に入れましたね』
「お姉……姉が私と行こうと販売と同時に購入連打して何とか買えたって言ってたチケットなんだけど、なんか先日テンション上がって迷惑掛けたからこれでチャラにして欲しいって言ってて。なんか私の姉がやらかしたの?」
『あぁ……そうですね。やらかした、と言うかバズり散らかしたと言うか結果オーライかな』
ん?チャラ?どう言う事だ?
『チャラって何ですか?チャラ男にNTRの匂わせ?BSSって奴?』
「ち、違う。と言うか彼氏どころか友達もいた事あんまり無いし……可哀想な目で見んな」
『大丈夫ですよ先輩。僕も同じですから、だからもう付き合ってるのと同じですね』
「会話出来ないよね駄犬君って」
『先輩よりは出来ますよ?』
コイツ殺すみたいな目で見られたけど、事実だと思う。教授に質問しようとして、緊張して上手く説明出来なくて謎の身振り手振りを踏まえながら三十分戦っていたのを僕は知っているんだ。
「で、何の話してたんだっけ」
『先輩がチャラ男にNTRれて僕がBSSした話です』
「違うけど、違くないね。何の話してんのかなぁ!まぁ、良いや。今週の土曜、暇でしょ?暇だよね。ほら、チケットあるから行こう」
僕に対して脈なしどころか脈が止まってて、常に駄犬扱いで塩対応して来る女児アニメ好きの二次元にしか興味が無いロリコンでツラだけ良い先輩が僕を誘ってる?
妙だな。
『地味乃先輩、ですよね?』
「そうだが?」
何を言ってるのかなコイツは、と言う強い目線は間違い無く先輩だ。でもおかしい。
『正直に言ってください、なんかあるでしょ』
ずいっと少し前に出て先輩を見上げる。絶対に何かある。じゃなきゃ、先輩が僕と何処かへ出掛けるなんてある訳無い。
「いや、近い。顔だけは良いんだからさ、そんな不用意に近づくなよもう。心臓が止まるだろ」
何故か先輩は顔を逸らした。何でだ?
『もしかして先輩照れてr』
「殺すよ?」
『ゴメンナサイ』
カタギの少女の喉から出るとは思えないドスの効いた声に僕は人を辞め、部室のオブジェと化した。
翌日、改めてお誘いの連絡を受けた。どうやらお姉さんの謝罪の意味でのお誘いだったらしい。前も言ったらしいけど多分