配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった 作:誘惑弱者
『やっぱりお酒は美味しいですねぇ』
並々と入ったグラスの中の酒を一息で飲み干す。健康にかなり悪いのは、あまりお酒を呑まない僕でもそれぐらいは分かっていた。それをわざとやっているのは、それをやらなきゃやってられない状況だった。
《コメント》
・しみじみ言ってるわ
・何でも量と頻度は大事だよ
・なんか色っぽいな
・酒呑み配信珍しいな
・珍しいね
『ちょっと色々ありましてね、今日は呑まなきゃやってられないんですよ』
グラスを持ち上げて傾けると、カランと氷の音がするだけでお酒は雫すら無かった。あれ?さっきまであったのに。
『お酒が消えましたね、これも色々に入れますか。これだからお酒は本当に困りますね』
《コメント》
・お前が今呑んだんだよ
・お酒君とばっちり過ぎだろ
・じゃあ呑むな
・呑まなきゃやってられないって言ってんだろ
?
いや、えぇ?何言ってるんだろ皆。ほら、缶にもまだ入ってるし、まだ飲んで無いじゃん。全く。
『困った物ですねぇ、皆はー』
《コメント》
・会話にならねえ
・もう酔っ払ってる?
・そう言えば酒は何それ?
・酔っ払いの会話だな
・出来上がってるわ
『あー、お酒?お酒はですねーネットで色々調べてこのストロンガー缶が一番良いって口コミがあったのでそれですねー』
《コメント》
・それ、社畜が日頃のストレスを忘れて眠る為に呑む奴じゃん
・あーあー
・それを一気飲みしたらそうなるわ
・※イッキは危険なので、個人のペースで楽しくお酒を呑みましょう。
・度数高いんよそれ
・飲みやすいが故にアルコールが回る回る
『いや、本当に今日は色々あってショックで……』
グビッ、グビッ。
ゴキュッ。
『ぷはっ、今日は呑まなきゃやってられないんですよ』
あ、グラスに入れるの忘れてた。いーや。面倒臭いし、口付けちゃったしこのまま吞んじゃえ。
《コメント》
・さっき聞いたって
・何があったんだよ
『聞いてくれるんですか?』
《コメント》
・しゃあない
・酒のつまみに聞くわ
・言いたそうだから聞くよ
・酒呑みたくなって来た
『実はですね、僕大学生でサークルに入っているんですけど』
言いたそう……。
そっか、僕は誰かに言いたかったんだこの気持ちを。
『初めて会った先輩が凄いタイプで告白したら振られたんですよ』
《コメント》
・草
・スピード感よ
・テンポが良すぎる
・まさか今日会って今日告白して今日フラれたのか
・脈無し過ぎるだろ
『しかも、しかも。振り方もまた酷くて聞いてくださいよ!「ごめんね、私もう女児アニメの二次元
《コメント》
・オタクの考えだな
・分かるけど、それを初対面で普通は言わない
・じゃあ、美少女になっちゃえば良いじゃん。折角なら、女児アニメの格好で女装しちゃいなよ。似合いそうだし
・↑良いじゃん
・このコメを上に上げよう
・似合いそう
『女装?えーそうですかねー。僕は普通の男の子ですよ?女装なんて似合わないと思いますけど』
当然だけど、した事も無い。したいとも思った事が無い。僕の人生を普通と呼べるかは分からないけれど、思った事は無かった。
《コメント》
・似合うよ
・やれ
・やったら落ちるからやれ
・両方落ちるな
・お後がよろしい様で
・付き合ったら女装しながら泥酔カップル配信して♡
『良いですよーどうせ、無理ですし』
そんな事言われた事も無いし、初恋だったんだけど諦めるしか無いかな。第一、女装の衣装なんて無いし。まぁ、どうせ皆時間が経てば忘れるし。
『ひっく』
そんな事を思いながら、ひゃっくりを一つして。僕はお酒を喉に流し込んだ。明日は明日の風が吹くだったかな。その通りになるでしょ。
その結果ああなっちゃなったんですね、可哀想。