配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった 作:誘惑弱者
『えーどうも配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった男です』
サークルが終わったと同時に速やかに自宅に戻り、今日起きた事を説明する為に僕は配信を開始した。
《コメント》
・事故紹介乙
・事故ってたのかあれは?
・初見に優しくない配信
・乙
『今日はですね、えーっとあのね……あの、えーっと。あ』
《コメント》
・どうした?
・急に語彙力死んだな
・どうしたよ
やばい、先輩の名前出したらまずいだろうしだからと言ってニックネーム付けるほど仲良く無いし。じーちゃんとかじっちゃんだとお爺ちゃんだし、どうしよ。
そうだ良いや、アレで。どうせ先輩見てないだろうし。
『今日、例のあの人と会ったんですけど流石に名前を出す訳にはいかないのでなんて誤魔化そうかなと思って』
《コメント》
・うん
・あー成程ね
・身バレ怖いもんね
・ほうほう。で?
・例の一目惚れした人か
・誤魔化すwwww
『そうですね、その人は僕の初恋の人なので。此処では、初野恋先輩とこれから呼ぼうかなーと思います』
単なる先輩呼びで良かった、なんて言うのは言ってはいけない。何故なら言ってる時に思ったから。まぁ、このままで良いや。
《コメント》
・まんまじゃん
・で?御託はいいから本題はよ
・↑落ち着け
『今日実は先輩と触れ合ってですね。と言うか、手に触れただけですけど。ワンッと』
《コメント》
・何で英語なんだよ
・一回で良いだろ
・手に触れたんだえっちじゃん
・何故犬?
『何故って僕が犬だからですよ?』
《コメント》
・酒か薬かキメてる?
・何言ってるんだコイツ
・どうしたんだよ
・大丈夫?
・もう訳が分からないよ
・えーっとどう言う事?
『えーっと詳しく説明するとですね……』
僕は分かりやすく皆に説明をした。先輩の犬になった事、それから成り行きでメアドを交換した事。そして、先輩に配信を見られていた事も舌打ちされた事も全部。話している途中でなんか恥ずかしくなって来た。
『そんな感じですね。にしても、初恋先輩は。いや、これは初恋先輩のお姉さんが凄いのか。実は先輩が着てる服ってお姉さんが作ってるらしくって。お姉さんはそう言う関係の仕事に就いてる人らしいです』
《コメント》
・ふーん?
・良くそんな感じから話聞けたな
『いや、ひたすら必死に話しかけました。最初、先輩の年代の世代のアニメの話題で興味を持たせて聞き役に徹しながら相槌を打って。子供時代の話にして、そこからお姉さんの話題が出て来たのでそっちにシフトチェンジした感じですねー』
《コメント》
・計画通りって奴ですか
・見事な誘導尋問だな
・何でそう言う事には頭回るのに……
・過去は振り返らない
・ん?待てよ。先輩は過去のアーカイブ、いや切り抜きを見ていたんだよな?つまり、そこから元配信を見て今の配信まで追い付くのも時間の問題なんじゃ
・いやいやそんなまさかね
『あ』
コメントを見て、僕はその事実に気が付いてしまった。そうだ、これじゃあまるで下心があって先輩と話してるみたいになる。いや、無い訳じゃ無いけどさ。と言うかだ。自分の考えをペラペラ喋って、まるでこういう風に相手に話を聞き出しましたよみたいななんか詐欺師みたいな感じもする。
『先輩、もしも見ていたら聞いて下さい。僕は先輩と仲良くなりたいだけなんです。先輩の色々な事を知りたいだけなんですよ』
それから暫くして配信が終わった後、スマホを確認すると一言。
「三者面談」
の文字が送られていた。何か全てが空回りしている気がする。でも、拒否された訳じゃないと無理やりポジティブに考える事にする。そして既読を付けてすぐに返した。