配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった   作:誘惑弱者

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百合の造花が花開く

 

某月某日。

 

僕は、まるで処刑台の前のギロチンで道化の格好をしている様だった。何言ってるか分からないって?僕も分からないよ。この状況には。

 

『何がどうして、こうなったんだろう』

 

「そりゃあ、君が可愛いからだよ」

 

『ソリャドーモ』

 

感情の無いアンドロイドの様に僕はマニュアル通りにお礼を述べる。なぁんでナンパされてるのかな。男なんだが?

 

「いや、マジで可愛い。どう?誰か待ってるの?友達?遅れそう?ならさならさ俺とお茶しない?」

 

『……』

 

僕の手元のスマホには先輩とのトーク画面が写っている。その内容から察するにちょっとしたトラブルが起きてる様でどうやら先輩は遅れるらしい。でもこっちの事情を伝えたら、援軍を送ってくれるらしい。何故か自撮りを要求されたので、適当に撮って送った。その間にもナンパマンは僕から離れない。普通思いっきりシャッター音鳴って、フラッシュ焚かれたら居なくなると思うんだけど。

 

「どう?」

 

『ワタシ、ニホンゴワカラナイ』

 

「いや、さっき日本語喋ってたじゃんwおもしれー女」

 

僕は面白くも無いし、女でも無い。何一つ噛み合わないなぁと思いながら、周りを見渡す。周りは皆自分の事だけをしていて、こちらには見向きもしない。困ったなぁと思っていると。何やら、遠くから走る音が聞こえた気がした。

 

もしかして、遅れるって言ってもやっぱり。

 

「お待たせ。……私の彼女が何かしました?」

 

僕とナンパマンの前に立ち、ナンパマンの方をジッと見つめる彼女に対して僕は感謝よりも先に困惑した。

 

いや、誰?全く見覚えのない美少女が自分の彼女を名乗って助けてくれるのは正直嬉しいけど。まぁ良いか取り敢えず乗っとこう。

 

『遅い』

 

そう言って彼女の背中に隠れる様にして服の袖をギュッと握る。すると横から手が伸びて来て僕の手を握ってクルッと周り、お互いの顔が近付き向き合う形になる。

 

「私達この通り付き合っているので、退席させて頂いて宜しいでしょうか?」

 

「あ、ああ……えーはい、すいませんでした」

 

トボトボと歩いて行くナンパマンの後ろ姿を眺めながら、ふうと息をつく。

 

「いやぁ、災難だったね。大丈夫だった?何か怪我は?」

 

『ああ、大丈夫です。ありがとうございます』

 

「いやいや、実は私も娘と待ち合わせをしてて暇を持て余していてね」

 

『へーそうなんですね。奇遇ですね、僕も女の子と待ち合わせで』

 

「おやおや、それはもしかしてデートだったりするのかな?」

 

『うーんそうなのかな?いやぁ、流石にまだかな』

 

先輩が聞いたらキレそうなので、適当にお茶を濁しておく。まぁ、そうなりたいとは思うけどね。

 

「そうかそうか。いつかそんな関係になると良いね!……にしても遅いな。返信も無いし」

 

『僕の方もあれから連絡が来なくて……』

 

あっちのトラブルは長引いているのかもしれない。大丈夫かな?

 

「女性の服の準備は時間が掛かるからね。仕方無いって思うしか無いかな」

 

『娘さんと仲が良いんですね、休日に親子で出掛けるなんて』

 

「仲は確かに良い方だとは思うけど、今日は娘に彼氏が出来たらしくてね。恥ずかしがってるみたいで、まだ彼氏じゃないとか言ってたけど」

 

『へぇ、可愛らしいですね』

 

「本当は私が来るつもりは無かったんだけど、来る予定だった長女が体調を崩してね。まぁ、私もお相手が気になってたから丁度良かったと言えば丁度良かったのかもしれないね。何せ、娘の彼氏は配信者らしいから」

 

『へぇ、今時ですね!』

 

なんか、色々引っかかる様な気もするけど気のせいだと思う。

 

「本当そう思うよ。娘に受け入れてもらう為に女装して告白するなんて今時の若者にしてはガッツがあると思うよ」

 

『』

 

もう、もうさ。またそれ?今後の僕の平穏な人生の為にやっぱり消した方が良いか。

 

「昔では考えられないぐらい今は女装がしやすいんだろうね。久々の私の女装でもバレなかったみたいだし」

 

何か言っていた様だけど、僕の耳にはそれどころじゃなかった。早く先輩が此処に来るのを祈る事しか出来なかった。

 




常にエタが背後にいるので、後先考えずに好き勝手やります。更新が遅くなって誰も見てないと思うので。
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