配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった 作:誘惑弱者
「ん?ごめん。もう一回言ってくれる?」
あれから僕は横の美少女の存在に気づいてしまい、見て見ぬ振りをしていられなかった。そして改めて聞いた結果、それが事実だったから今謝罪をしている。
『えっと……その僕が貴方の娘さんにその、女装して告白するって言いました。お酒の力とは言え、軽はずみにその事を世界中に配信をしてしまい申し訳ございませんでした』
「ふむ」
世の中には信じられない事が沢山ある。目を疑う様な事、背けたくなる様な事も多々ある。例えば、ナンパから助けてくれた謎の美少女が初恋の人のお義父さん(女装のすがた)だったり……。そもそも元々来る筈だったお姉さんは謎の病気になったから来たのが理由らしいし。
「何かしら」
『いや、何でも』
いつもはお洒落な私服(お姉さんの服)でキメていた初恋の先輩がこの暑い中、コートにサングラスと言う典型的不審者スタイルで合流した事。
デートなら、この不審者コーデも誉めなきゃいけないのだろうけど改めて聞こう。これはデートなのかな?僕が知ってるデートってもっと胸がキュンキュンしたり、色々なハプニングが起きてお互いの距離が近いなったりするんじゃないの?
今のところ、胃が痛くてお義父さんとの距離は近くなってるのかもしれないけど。僕はお義父さんを落としたい訳じゃないんだよ。
「君は、本当に時ちゃんの事が好きなのかい?」
まるで花が咲く様な笑顔がでそう尋ねられる。それなのに僕の身体は小さく震えると同時にファイティングポーズを取っていた。きっと身体が生命的危機を覚えて咄嗟に無意識でやった事なんだと思う。そんなの脳は命令してないし、僕としては今すぐ帰りたいと言うのが本音だ。帰ってお酒呑んで誰かにくだ巻いて、いつの間にか寝落ちしたい。
『はい、そうなんだと思います。って言っても、あまり自信は無いんです。こう言う感情は恥ずかしながら、初めてでして僕自身良く分からないんです』
「初恋って言うのは、動画の通りなのかな?」
『アッ、ゴ、ゴソンジデ!?』
考えてみれば当然だった。先輩から聞いただろうし、ましてや再生数が回ってる動画で単語だけで検索しても簡単に見れる。知らない訳が無かった。最悪だ。
「そりゃあ将来の娘の彼氏君候補だからねぇ。娘に聞いて調べさせて貰ったよ、女装に関しては、私がこうだから何も言える事は無いんだけど。まぁアドバイスとかは先輩として出来るぐらいかな?で、初恋なのかな」
『はい。へ、変ですよね?大学生になってから初めての恋なんて。色々あって……』
「いいや、そこに関しては詮索するつもりも無いし。私は別にとやかく言うつもりも無いよ」
『本当ですか』
「トイレ行ってくる」
『行ってらっしゃい』
「大事なのは、娘を任せられるかどうかって事だけ。だから、そうだね。今の内に……君にこれを託そう」
お父さんが、ポケットから何かを取り出すとそのまま僕の手をギュッと握る。
「ウチの娘は面倒臭くて高飛車で傲慢で口煩くてね、きっと普通の子じゃ参っちゃうと思うんだ。君みたいに少しネジが外れてた方が仲良くやっていけるんじゃないかと思うよ」
手の中の紙を、音が立たない様にそーっと開く。すると、それは子供が描いた落書きの様だった。お世辞にも上手いとは言えない様な……。
「それはね、時ちゃんが小学生の頃に描いたオリジナル魔法少女だよ。きっといつか自分がそうなるのを夢見て、描いたんだろうねぇ」
そう聞くと、なんだか大切な絵に見えてくるから不思議だ。と言うか先輩にもそんな時代が……いや、今もそうか。魔法少女が好きのは。でも、それより。
『あの、先程から呼ばれている時ちゃんと言うのはもしかして……』
「?……ああ!あの子の名前だけど、もしかして知らない?」
『何とか苗字は聞き出したんですけど、名前はまだ。あ、言わないでください』
何かを言おうとしたお義父さんの口を必死に抑える。しれっと呼ぶのも良いけど、多分今の関係で呼んでも怒られそうだ。もっと仲良くなってから。
『ところで、昔の先輩。娘さんってどんな人だったんですか?』
「待って?名前も知らないのに、その親に会って色々話聞き出すとか普通におかしい気がしない?おかしくない?」
『だって本人が教えてくれないなら、他の人から聞くしかないでしょ?』
「だからっていきなり父親に聞くかね」
正気かこいつみたいな顔でお義父さんに対して、本気と書いてマジですよと頷いて見つめ返していると。その後戻って来た先輩に人の父親と恋愛をするなと怒られて、結局悔しい話は出来なかった。でも戦利品や色々な情報は得れたし良しとする。
高評価有難うございます!!!!頑張ってエタらない様に努力します。今週の更新予定は、月水金土日です。……多分無理なので、いけたらいく感じで。