配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった 作:誘惑弱者
『いった……』
目が覚めると同時に襲ってくるのは激しい頭痛。その理不尽さに世界を破壊したくなる衝動から逃げる為、僕は急いで
……寝ぼけてるね、間違い無く。取り敢えず正気に戻らなきゃ。
えーっと。と言っても頭は変わらずズキズキと痛むし、記憶はなんだかハッキリしないし体は怠い。僕はこの状況を知っている。これはズバリ二日酔いだ。
『きらーん!なんちゃって』
駄目だ、本当に駄目だ。少し落ち着こう。どうせ、後で思い出して恥ずかしくて死にたくなるんだから辞めておこう。いやぁ、配信してなくて良かったよ。こんな所配信されていたら一生ネタにされるところだっ……。
《コメント》
・あ
・バレたか
・何時間だ?
・丁度眠気と戦ってたから助かったわ
・お前ら馬鹿だな。俺は彼女の寝息を聞きながら寝てたから快眠よ。実質横で寝てたも同然だから籍入れたわ。後で結婚届、そっちの方にサイン宜しくね。後で着払いで送っとくからさ
・↑何もかも間違ってて草
・大丈夫?現実見えてる?
・朝っぱらからキモコメを見せるな。目が腐る
『え、っと。え?ちょっと待って?え、え?』
理解が追いつかない、訳が分からない。只々配信のコメントは流れて行くだけ。そこに僕の知りたい情報は無い。インターネットらしく、右耳で入れて左耳から流す様な知識しか無かった。
『あの、ごめんなさい。えーっと、あHello everyone?』
《コメント》
・キモコメニキのせいで日本人扱いされてなくて泣いた
・無駄に発音良いの何なんだよ
・英語の先生以外で言うんだね
・えーっと?おふこーす
・I'm Fine.( ◠‿◠ )
『おーせんきゅー。じゃないんですよ、そんな茶番やってる場合じゃなくて!!』
《コメント》
・sorry.( ; ; )
・あーあ泣かした
・いーけないんだいけないんだ
『あの、何で配信してるんですか?全く記憶に無いんですけど、誰かがやったんですか?』
《コメント》
・んな訳
・お前が始めたんだろwwww
・切り抜き師が早速アップしてるのは笑った
・早すぎて草
・それはそれでホラーだけどさ
『駄目だ。この人達、話にならない』
何があったか全然教えてくれないし、困ったなぁ。まぁ多分だけど、お酒を飲む時にただ呑むより配信すればお金が入るかもって思ったんだろうね。きっと。
《コメント》
・過去の自分に聞いてみろ
・つ【アーカイブ】
・あれ、どこかで見た様な
・天丼ですね、分かります
『確かにアーカイブ見れば、分かりますし。何でか分からないですけど、過去の切り抜き見た配信が元の配信と肩並べるぐらい伸びてますけど見ませんから』
口座のお金がインフレしてたよ。やばいね、語彙力が。
《コメント》
・はいはい
・でも、分からないのって逆に怖く無い?
『いや、確かに……』
《コメント》
・何をしたかも分からないんだよ?
・クソ煽ってて草
『でも……見たく無い様な。なんか嫌な予感が』
《コメント》
・初恋先輩とデートしたんだろ?
『あれはどちらかと言うと、先輩のお義父さんとデートしてたのかな?もう、良く分からないし。なんかムズムズしますね。怖いけど分からないのがもっと怖いし、見ますか』
一回配信を切って、そのまま永久に失踪しようかなと思いながらも。そんな事しても追いかけてきそう、なんて思って考え直して別の枠を立てた。