死霊騎士として蘇生したけどいつの間にか後輩の目が死んでた   作:塩焼きそば啜郎

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遅くないっすか??(更なる疑問)
相変わらず手探りで書いてます。


二人の旅路

山腹にある小さな洞穴の中。俺とナーシャは、焚火の前で夜を過ごしていた。

 

「……」

「……」

 

二人の間には沈黙。火がパチパチと燃える音だけが響いた。

 

「あの、えっとその……団長」

「どうした?」

 

ナーシャが気不味そうに話し出す。良かった、ようやくこの空気から解放される。

 

「これからどうします?私達、国に帰れる訳でも無いし……」

「俺もそこは考え中でな。少なくとも人間の住む国はアウトだろ、お前もエルグストア周辺では顔が知れてるから、大陸の東はなるべく避けたい。国に見つかってみろ、黒獅子騎士団が全軍で来るぞ」

「うわぁ、想像したく無い……」

 

ナーシャはあからさまに顔をしかめた。俺だって想像したく無い。なんせ黒獅子騎士団は国王直属の精鋭騎士団だからな。強者が多すぎる。……となれば、大陸の西。それも人間がいない所、か。

 

「あっ……なら、メレ森林なんて良いかもしれませんね」

「メレ森林……」

 

記憶を辿る。確か、そんなに大きくは無いが結構深い森だった筈。人も寄り付かない土地だし、まぁアリだろう。

 

「決まり、だな。ここからは馬車……では無理か。徒歩で行くしか無いな」

「ギルバニアからだとどのくらいかかるんでしょうか……」

「分からん。とにかく今日は寝よう。お互い、明日以降に備えておかなくては」

「はっ、はい!お休みなさい、団長」

 

俺は地べたに寝転がり、ナーシャはその横に布を敷いて寝そべった。最初は少し離れていたが、次第にナーシャは俺へと近付いて行き、その体を俺の腕へと絡めた。……普通に恥ずかしいなコレ。

 

「……お休み、ナーシャ」

「……お休みなさい、団長」

 

その気持ちを誤魔化すように、俺は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

翌日。洞穴にさしこむ日光を浴び、俺達は目を覚ました。

 

「ふわぁ〜……おはようございます、団長」

「おはよう、ナーシャ。……ナーシャ」

 

ナーシャがこちらをじっと見てくる。

 

「……どうした?」

「いや、その……こうして起きたら、隣に団長がいてくれるんだなぁ……って」

 

彼女は照れ臭そうに笑った。改めて、かつてのナーシャが戻って来てくれた事を実感する。しばらくお互い黙った後、俺は地面から立ち上がった。

 

「……出発するか」

「ですね、団長」

 

俺達は軽く朝食を取り、ナーシャは荷物を纏めた。洞穴から出ると、朝日が明るく二人を照らしてくる。……これ、街道とか使えないのでは?商人や旅人に遭遇したらとんでもない事になるぞ。

 

「ナーシャ。地図とかあるか?」

「地図ですか?」

 

彼女は丸まった地図を広げた。ギルバニアからメレ森林までのざっとした街道を確認する。ギルバニアは大陸中央にある大国。ダラスは……ここか。

 

「どれ、ダラスからメレ森林までは……長い街道を通ってザリア王国に、王都ディニアを突っ切って北上……よし、ルートを変えるぞ」

「えっ?……あっ!街道、使えませんね……」

「俺も今気付いた。街道が使えないとなると、最短はこの山を横断するルートだ。というかそれしか無い」

「他は遠すぎますもんね……」

 

険しいが、他は全て南部から遠回りするルートだ。しかも南部からだといずれ街道にぶつかる。それは避けたい所だ。険しい道だが、行くしか無いだろう。

 

 

 

 

 

……それからと言うもの、苦難の連続だった。まずは山に着くまで。所々に木が生えているだけの平原は当然視界が開けている。それだけ行商人や旅人に見つかる可能性も増えてくるのだ。死霊騎士は立派な有害魔族に指定されている。見つかったら即アウトだ。

よって夜を待ち、夜の間は魔族の襲撃をかわしながらひたすら走る。体力は問題無いが、鎧がガシャガシャ鳴ってうるさい事この上ない。おかげで敵から見つかりまくる。……まぁ、ナーシャには言えないが本当に疲れたのは、山に入ってからだった。

その日はもう日も暮れ、辺りは暗闇。ナーシャが火を起こしてくれた。道中の先導も。辺りの警戒も。そう、全部。全部彼女がやってくれるのだ。……なんていうか、その、なんか……歯痒い。すごく申し訳無い。

 

「なぁ、ナーシャ。そんなに気張らなくとも警戒ぐらいは自分d」

「大丈夫ですっ、団長」

「しかしだn」

「大丈夫ですっ、団長」

「ほ「大丈夫ですっ、団長」……」

「もう魔法は使いませんから。私、これでも結構強くなったんですよ?」

「……分かった。頼むよ、ナーシャ」

「勿論です!」

 

こんな感じ。分かってる。お前が強いのはよく分かってるんだ。何回も殺されかけたし。でもそういうものじゃ無いと俺は思うんだ。人間辞めて数年になるけど。諦めて、地面に横になる。抜刀出来るように片手剣は腰から外しているが、使う事は無いだろう。現に今、ナーシャが刺突剣を抜いたから。

 

「やっぱり焚火は格好の的になっちゃいますね〜……あ、でも団長は安心して寝て下さい。私が全部撃退しますから!」

「……助かる。ありがとう、ナーシャ」

 

炎のせいもあるが、彼女が抜刀してから魔族を貫くまでが見えなかった。俺の時って無意識に手加減でもされてたんだろうか?……まぁいい、万が一の時に備えて寝たフリでもしておこう。

 

「……」

「どうしたんです?寝れませんか?」

 

バレてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初、街道を使えない事に気付いた時は焦った。けど、同時に安心感も覚えた。だって、平原は広々しすぎてる。あんなに広かったら、またあの人が何処かに行ってしまいそうで。勿論そんな事は無いと分かってはいる。頭では。心が恐れている。

 

……そうだ、全部私がやってしまおう。

 

この考えが浮かんだ時、思わず自分を褒めてみたくなった。だってそうだ、あの人は昔から一人で突っ走る性格だった。一人でひたすら走って、私がどんなに追いかけても遠い所に行ってしまう。あの時は、『団長になる』っていう目標があったからそうだった。

でも今は何も無い。地位も、率いるべき組織も、誇れる家柄も。ならもう、歩けばいいだけ。私が教えてやればいいのだ。「もう頑張らなくていいんですよ。ゆっくり休んでいいんですよ」って。我ながらナイスアイデア。

どんな事も、団長を想えば軽いものだ。団長を狙う魔族だって、ほら。一瞬で串刺しに出来ちゃう。

 

(見ててくれたかな?鎧だから表情は分かんないけど……)

 

さ、山を越えるまで後少し。……あれ?団長ったら、寝たフリなんかしちゃって、子供みたい。

 

「……」

「どうしたんです?寝れませんか?」

 

沢山寝てていいんですよ、団長。




ナーシャちゃんのキャラの変貌っぷりを自分で書きながら困惑してます。 
これで本当にいいのか……?
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