現政奉還記 武将達との会合編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 中央アジアに修司ランドと言う新たな拠点を創った修司教、その修司教の最高責任者でもある大友宗助と対面を果たした二次元人たち。彼らは宗助より小田原修司の思想を説かれると共に修司教へ勧誘されかけ、また彼の側近である立花宗茂からは厚い忠義心を見出す。そんなところに聖龍隊を離反したスター・コマンドーの総部隊長 村田順一が登場する。彼は修司教に、聖龍隊と対抗できる戦力を保持する為に同盟を勧誘しにきたのであった。そんな順一にスター・ルーキーズは敵意をむき出しにし、戦闘タイプの新世代型も混じって交戦するが、HEADの参上と共に順一は再び姿を消してしまう。――これは順一が去った後の、修司教での修司ランド開園セレモニーの時より始まる物語。



現政奉還記 アジア巡行編 襲来!スコーピオン同盟

[宴の最中に……]

 

 小田原修司を崇拝する修司教が建設した修司ランド。

 その修司ランドでは、日が暮れても未だに宴をしていた。

「修司教、愛の集いへ……ようこそ!」

「レッツ、エンジョイ! 修司、修司……♪」

 最高責任者、大友宗助の音頭に続き信者たちも小田原修司を讃える歌を唱える。

 そんな合唱の中で行われる宴の中、一般の二次元人達は複雑な心持で宴に強制参加させられていた。

「どうしたのです!? あなた達もパーティーに参加しなさい! ほらほらほらっ」

 静かに時を過ごしている二次元人達に、大友宗助は熱烈に讃美歌や宴に積極的に参加するよう勧める。が、二次元人達はそんな宗助の呼びかけに躊躇してしまう。

「……あんな事があった後で、パーティーだなんて気がしれないわ」

「あなたにはどうでも良くっても、私たち二次元人に関しては行く末を大きく左右する一大事なのに……」

 村田順一の聖龍隊からの離別、それに伴う聖龍隊の分裂が決定的になった事態を先ほど目の当たりにし、薙切えりなや薙切アリスら一般二次元人達は宴に参加する余裕が心中に無かった。

 最高戦力の村田順一率いるスター・コマンドーの聖龍隊離別は、今後二次元界に大きな影響を齎すことが懸念されているからだ。

 しかし、そんな二次元人達の心中も察しず、大友宗助は二次元人達を強引に踊りへと引き込もうとする。

「まあまあ、順一氏と聖龍隊の事は今は忘れて、楽しく面白くレッツパーティーしましょう! 今は今、未来は未来、考える暇があるなら修司教の踊りと合唱に参加しなさい!」

 半ば強引に踊りと合唱に参加させようとする大友宗助に困惑する二次元人達。

 するとその時、宗助は二次元人たち同様に宴に参加しないシバ・カァチェンの姿を目視して話の矛先を彼に向ける。

「シバ・カァチェン! 先ほども述べた様に、修司教では不幸を取り除き、幸せを呼ぶ様々なアニメグッズを販売しております! これらの商品がなんと修司教に入ればタダ同然の値段で手に入るというから驚きですよ! 詳しい説明は歌と踊りを交えながらしますので、まずは一緒にワルツなんか踊りませんか……?」

「輪瑠津……童ながらに、難しい言葉を使うのですね」

 ワルツという聞き慣れない単語を聞いて、カァチェンは暗い面立ちで首を傾げてしまう。

 

 すると其処に、修司教の信者の一人である元中国共産党員の黒劉席が多少酔っぱらいながらもやってきた。

「ウィ~~、なんだお前さん達、まだジュンの事を心配してるのか?」

「劉席さん……」

 未だに聖龍隊と離別した村田順一を気に掛ける二次元人達に話し掛けてきた黒劉席に新世代型の琴浦春香が返事する。

 劉席は今後、戦うかもしれない聖龍隊とスター・コマンドーの展開を気にする二次元人達に穏便な口調で話し出す。

「さっきも言ったろう。あのジュンの事だし、聖龍隊と互角に渡り合える戦力を整えてからじゃなきゃ戦は仕掛けねえよ。それにお前さん達、部外者がいくら悩もうが考え抜こうが、聖龍隊とスター・コマンドーの衝突は避けられないのは理解できるだろ? だったら今は今はで悩まずに楽しもうじゃないか! 知性派の小生だって時にはこうして頭を休めている様に、お前さん達も頭と心をリフレッシュさせろ。それもまた、修司教のお導きってもんだ」

 そう語り終わると劉席は再び酒を口に運び、グイッと酒を飲む。

 二次元人達は考えた。確かに黒劉席の言うとおり、自分たちは聖龍隊はもちろんスター・コマンドーにも属していない部外者であり、そんな部外者の自分達がいくら考え悩もうが両軍の衝突を回避させることはもちろん緩和させることも侭ならないのが現実である。二次元人達は今は今はで悩むのはやめようと思い立った。

 

 と、此処でパーティの参列者に混じって踊り耽る大友宗助を遠視していた新世代型の烏丸さくらが思わず言葉を発した。

「そういえば……あの子、なんでブロンドヘアーなのかしら?」

 烏丸さくらの疑問に他の新世代型達も共有感知を通して気付いた。確かに大友宗助は日本生まれなのに対して何故か金髪だ。

 皆の疑問を解決しようと、新世代型の琴浦春香は未だにジャンボしゅうじくんの人形を被らされている立花宗茂に訳を尋ねた。

「あの……なんで、あの宗助って子の髪の毛は金髪なんですか?」

 すると立花宗茂は正直に疑問に答えてくれた。

「ああ、まだ伝わっていませんでしたね。我が主の御祖父様はイギリスの方で、その血を受け継いでいるからこそ我が主も御祖父様同様、金髪なのでございますよ。血は水より濃いと言いますが、まさにその通りです」

 立花宗茂が申すには、大友宗助の祖父は列記としたイギリス人でブロンドの毛色をしているため、孫でクォーターでもある宗助にも毛色が若干ながら遺伝しているとのこと。

 訳を聞いて納得する新世代型達。と、二次元人達が大友宗助の毛色に納得していると、そこに黒劉席が割り込んできた。

「おいおい、お前さん達が相手の毛色を言える柄か?」

「それってどういう事です?」

 黒劉席からの指摘に新世代型の室戸大智が訊き返すと、黒劉席は真顔で答えた。

「え? だってお前さん達こそ、アジア人とは思えない毛色や髪型してるじゃんよ」

(………………そうだった!!)ガァ~~んっっ

 事実を突き付けられ、新世代型たちは一同に愕然とした。

「そ、そうだよな……俺たち二次元人って、確かにそうだよな……っ」

「オレ、なんで髪の毛赤いんだろう……列記とした日本人なのに……!」

 黒劉席より髪色に関する指摘を受けて、新世代型の出雲ハルキや瀬名アラタは落胆する。

「ちょ、ちょっとみんな!」

「そういえば、なんで僕の髪の毛にはピンクなんだ? 美少女キャラならまだしも、ぼく男なのに…………」

「斉木! みんなも落ち込むなよ……っ」

 突然落胆する皆を前に困惑する燃堂力本人は余り自分の髪形や容姿を気にしてないのか、自然と親友である斉木楠雄や他の新世代型たちのフォローに回る。

 そんなところにバーンズが宴の際に出された食べ物を抓みながら悲観する新世代型たちに事実を突き付けた黒劉席に話し掛ける。

「劉席、そんな事を今さら言うなっての。オレたち二次元人の毛色や髪型が、普通より異なっているのは当たり前に近いんだからよ」

「ま、まあ……日本生まれのお前さん達が、金髪だったり水色の毛色してたりと可笑しなのは小生も理解しているが……やっぱ、それって作者の趣味って奴か?」

「まあ、そうなるな。昔から髪型や毛色に特徴を持たせるのが、創作上のキャラの自己主張みたいなもんだし……実際にマーキュリーやネプチューンも列記とした日本生まれなのに対して毛色が特殊だしな」

 セーラーマーキュリーやネプチューンの毛色を例に挙げて、二次元人の髪の色が特殊だという事を黒劉席に伝えるバーンズ。

 すると黒劉席は続けてバーンズに質問をぶつける。

「へぇ、それじゃ普通なら絶対ありえない髪型も二次元人の個性ってやつか?」

 鉄球を尻に敷く黒劉席の質問に対し、バーンズはツマミを抓みながら返答する。

「まっ、それもそうだな。うさぎやアッコの髪形だって普通じゃありえないし、最近のプリキュアにも独特な髪型の連中が目立っているしな」

「私たちの髪型って、そんなに特殊?」

「普通に整えようと思えば、大変な髪型なのは事実だよ」

 バーンズの返答に、近くで食事を済ませていたミラーガールが訊ねるとバーンズは平然と答え返す。

 

 と、皆が宴に参加していたその時だった。

「宗助様、宗助様、大変です!」

 一人の修司教信者が大友宗助の元に駆け込んできた。

「なんです、騒々しい! これからパーティーは更に楽しさと激しさを増していくというのに……」

 いつもの如く我儘な言動で駆け込んできた信者に文句を言おうとする大友宗助。

 だが信者は血相を変えて大友宗助に駆け込んできた事情を話し始めた。

「何者かが、宝物庫に……宝物庫に侵入しました!」

 修司ランドの最深部に位置する宝物庫に進入者ありの報告を聞いた大友宗助はもちろん、宴に参加していた聖龍隊の耳にも入った途端彼らは表情を一変させる。

「何ですって!? 修司教の為の修司ランドの運営資金を狙うとは、なんて罰当たりな!」

 宝物庫に賊が侵入したのを聞いた大友宗助は、慌てながらも瞬時に判断して指示を出した。

「行きなさい! 修司教四獣士!」

 

 

 

[サソリの同盟]

 

「……よ~~し、お宝は頂戴した。テメエら、とっとと此処からおさらばするぜ」「了解!」

 大柄の体格を誇る人影に、大勢の声が一堂に揃えて返答する。

 

 一方で、大友宗助の指示の下、修司教信者たちは宝物庫への侵入者たちを逃がさないよう包囲網を布いていた。

「信者の血と汗と涙の結晶、それは……お金! せっかく愛と引き換えに吸い上げたのに!」

 修司教の財産を強奪して逃げ去ろうとする賊どもに対して大友宗助は怒りを露わにしながら信者たちに命ずる。

「良いですか! 絶対に取り逃がしてはいけませんよ!」「イエッツ、修司!」

 宗助の呼びかけに信者たちは声を揃えて返答した。

 この突然の一大事にバーンズは変身し、メタルバードとなって修司教の運営資金を奪い取った賊への対応を聖龍隊に指揮する。

「これほどの武将を揃えられた修司教は、今後世界情勢に多大な影響を齎す可能性が高い……資金を持ち去られ、弱体化させられるのは厄介だぞ!」

 名立たる武将を信者として揃えている修司教の運営資金強奪は世界情勢に多大な影響を与える事を示唆したメタルバードは、各修司教の信者たちが配置された地点に聖龍隊も配置する事を決定する。

 

 一方、運営資金を強奪した賊たちは閉館した修司ランドを駆け巡り、逃走を試みようとした。

 だが、そんな賊たちの前を修司教のスリ師でもある忍隊が阻む。

「あッ、テメエ! 俺の金スルんじゃねえ!!」

 忍ゆえの素早い動作で賊の手持ちである所持金を掏っていく修司教の忍たち。

 そんな忍隊を賊たちは蹴散らして進攻する。

 其処へ忍隊に続けて修司教の信者たちも駆け付けて、賊を追い詰めようとする。

 しかし賊たちの強力な技や力の前では歯が立たず、賊の進撃は加速の一途だった。

「馬鹿な! ジャンボしゅうじくんに中の人などいません!」

 修司教信者たちが必死に制止しようとするが、賊たちは薄暗い修司ランド内を駆け抜ける。

 と、その時。進攻方向に緊急事態という事でようやくジャンボしゅうじくんの着ぐるみから解放された立花宗茂が、自身では余り好ましく思っていない洗礼名ギャロップ立花として警護に当たっていた。

 

ギャロップ立花 警護中

 

 そんなギャロップ立花は、雷切を握り締めて賊たちが来るのを身構えていた。その立花の付近には、メタルバードの指示より配置された【AW】の面々も警護の補佐に就かされていた。

「貴方たちは大切な物を奪っていきました……我らのお金です(つまりは、穏便に返してくれたら良いなぁと……)」

 シルバー・クロウやブラック・ロータス達と共に賊を前にしたギャロップ立花は、雷切を作動させて挑みかかる。

「あ、あいつらは一体……!」

 一方で、闇夜から現れた賊たちの実体を見てブラック・ロータスは激しく動揺した。

 賊たちの先頭に立っているのは、まるでサソリをそのまま人型にしたかのような体躯の良い体格をした獣人、それも骨格が瓜二つで容姿は丸っきり違うのが三体も確認できたのだ。

 サソリの獣人を前に驚いているAW組を認識したのか、誰よりも先頭に出ている赤いサソリの獣人がブラック・ロータスたちに話し掛けて来た。

「おめえら、見ない顔だけど……聖龍隊の新入りか?」

「わッ! 喋った!」

 意外にも人語を喋るサソリの獣人にスカーレット・レインが思わず驚いてしまう。

 自分が喋るのを驚くAW組を前に、赤いサソリの獣人は呆れながらも言う。

「おいおい、オレ様が喋ったからって、そんなに驚く事はないだろ」

 すると互いに初対面であると言う事で、赤いサソリの獣人はシルバー・クロウやブラック・ロータスたちに意気揚々と名乗り始めた。

「お初にお目にかかりやす! オレ様は『仁義ある悪党道』を貫くと、誓ったしがないサソリでござい……」

 次第に歌舞伎口調で語り出す赤いサソリの獣人の名乗りにシルバー・クロウたちは耳を傾けてしまう。

「そんな仁義を貫くオレ達は………………今や、泣く子も黙る悪役の集い! 『スコーピオン同盟』でございやす! そんでもってオレ様は、皆の引き立て役である首領ガイア・スコーピオンと申し候!!」

「ガイア、スコーピオン……!?」

「聞いた事がある! 排除法で行き場の無くなった悪役達を傘下に加えて、巨大な勢力に成長している同盟があると……!」

 赤いサソリの獣人ガイア・スコーピオンの名を聞いて呆気に取られるシルバー・クロウに、シアン・パイルが耳にした事がある情報を皆に伝える。

 するとガイア・スコーピオンの名乗りに続いて、その左右に居するもう二人のサソリの獣人も名乗り出す。

「私、あまり大きな声で過去を語れませんが……今ではこうして実兄の兄者であるガイア・スコーピオンの片腕を担わせてもらっています。長い名前でありますが、キラー・ウォーター・クリスタル・スコーピオンと申します。呼びにくければクリスタルと手軽に呼んで下さいませ」

「ワタシは偉大な双子の兄弟より造られし獣人型ロボットにて、末弟と認めてもらいましたメガロ・スコーピオンと申します。以後、お見知りおきを」

 半透明な水晶の様な体を持つサソリの獣人、キラー・ウォーター・クリスタル・スコーピオン縮めてクリスタルに続いて名乗る機械仕掛けのサソリ獣人型ロボットメガロ・スコーピオンの紹介が終わるや否や、大友宗助への忠誠心が厚いギャロップ立花がスコーピオン同盟に襲撃する。

「あまり大きな声では言えない手段で得たお金もチラホラあるのですが、もとを辿れば……民が汗水たらして蓄えたもの……」

 小声でガイア・スコーピオンに切りかかるギャロップの言葉に、ガイア本人は両手のハサミで雷切を受け止めながら立花に言った。

「お前さん、相変わらずあのガキに忠誠心を向けているんだな。いや、感心感心」

 心の中では呆れ果てながらも今も昔も変わらず大友宗助に忠誠を誓っている立花宗茂に、ガイアは感服する。

「た、立花様に続くのです! 者共、かかれーーッ」

 ギャロップ立花のガイアへの襲撃に続き、修司教の信者たちも一斉にスコーピオン同盟へと進撃を開始する。

「わ、私たちも行くわよ!」

 総部隊長ミラールよりも任されている現場での戦闘に、ブラック・ロータスたちAW組の面々もスコーピオン同盟へ進撃する。

 

 こうして戦闘は開始されたのだが、混戦の最中、スコーピオン同盟の面子は強力な格闘技や能力を駆使してギャロップ立花率いる信者たちや【アクセル・ワールド】の面々を蹴散らしていく。

「な、なんの……これしきの炎、手前の忠誠心の前では無意味……!」

 ガイア・スコーピオンが放射する高温の炎にも動じる事無く、ギャロップ立花はガイアへと猛進する。

 そんな立花は、人知れず修司教大広間で聖龍HEADと大友宗助と共に待機している一般二次元人たちの冷たい視線に気付いていた。

(みんなの冷たい視線……完全にワシらの方が悪人だと思っているな)

 半ば強引に人を勧誘し、お金を巻き上げる修司教のやり口から自分たちの方を悪人だと認識してしまっている二次元人たちの視線に立花は胸を痛めていた。

 と、ギャロップ立花が雷切を振るうが、ガイアは鋼鉄以上の強度を誇る外殻で雷切での攻撃を受け止めてしまう。

「オレ様には雷も斬撃も効かねえぜ!」

 ガイアはそう言い放つと、立花の雷切を両手のハサミで掴んでしまうと、又下から自身の毒針を持つ尻尾を差し込んでがら空きの立花の懐に強烈な一撃を打ち込む。

「ぐおっ」

 腹部の甲冑に尻尾を突き付けられた立花は後方へと吹き飛ばされてしまうが、何とか踏ん張って態勢を維持する。

 普通の打撃などが全く聞かないサソリの獣人ガイアに苦戦を強いられるギャロップ立花は、ガイアの実力と人望を見計らいふと話し掛ける。

「もしあなた達がそのお金を持ち帰り、民に返すなら、手前はコッソリ見逃してもいいのです……」

 そして立花は義賊としても名を馳せるスコーピオン同盟に力強い面魂で言い切った。

「どうかそのお金、民の為にお使いください……! (そう! これが言いたかったんだよね)」

 この立花の発言と心中に、スコーピオン同盟の一員、兵部京介が呆れた顔で立花に言う。

「君はテレパシーで読み解くよりも、顔に本音が出やすい人間なんだね」

 兵部は立花に、テレパシーで直接心中を読むよりも彼の顔に真意が現れやすいのだねと皮肉る。

 そんな兵部京介の言葉に動揺しつつも、立花は雷切を振るい、せめてガイアなどの外殻の固いサソリ兄弟以外のスコーピオン同盟の傘下を倒そうと他の面々に攻撃を仕掛ける。

 しかしギャロップ立花が攻撃を仕掛けたのは、運悪くスコーピオン同盟でも最も武に秀でたシルクファッド・ジュナザードであった為、簡単に雷切での攻撃をかわされただけでなく反撃を受けてしまう。

「ふごっ」

 左頬に強烈なハイキックを喰らうギャロップ立花はよろめいてしまう。そんな立花宗茂に大友宗助は厳しく言い付ける。

「お前にはいいクスリです宗茂! 猛省なさい!」

 戦前に立つ猛将でもあるギャロップ立花に厳しく言い付ける宗助の冷たい一言にも、立花は動じず雷切を振るい続ける。

 ここでギャロップ立花は両手の雷切を地面に突き刺し、周囲に強力な電撃を張り巡らせて周辺の敵を電撃で痺れさせる。

「うぎゃあッ」

 このギャロップ立花の電撃攻撃に、立花の周囲を囲んでいたスコーピオン同盟でも最も新しい加入者たちである怪盗帝国の面々が電撃で一掃されてしまう。

 攻守一転した戦況に立ち回れた立花宗茂に、大友宗助がまたしても冷たい一言をぶつける。

「しくじったら、ジャンボしゅうじくんから降ろしますよ」

「ご心配なく……手前にお任せください! (むしろ降りたい筈なのに、負けん気が燃えちゃうのは何故かなぁ)」

 ギャロップ立花は何ゆえ複雑な業務であるジャンボしゅうじくんから降格したくないのか、不思議でしょうがなかった。

 しかし多勢に劣勢の戦況で、有望な人材を傘下に加えているスコーピオン同盟としばし対峙した立花は、雷切を停止させてガイアたちに言った。

「一時休戦といたしましょうか、互いの為に」

 立花はスコーピオン同盟の人柄を認識したうえで、ガイアたちを先に行かせる事を決断する。これにガイアは無言の礼を返し、仲間達と共に先へと向かう。

「取り逃がしてどうするのですか! 島流しにしますよ!」

「申し訳ございません……! (この程度の理不尽は朝飯前……)」

 その反面、立花の心境を理解していない大友宗助に立花本人は毎度の如くと頭を下げるのみ。

 

 こうしてスコーピオン同盟は立花宗茂を始め、シルバー・ロウやブラック・ロータスなどのAW組も撃破して先へと進撃を続けるのだった。

 

 

[快進撃]

 

 猛将ギャロップ立花と聖龍隊が新鋭AWの手勢を討ち破り、スコーピオン同盟は奪い取った修司教の運営資金を防衛しながら進撃を続けた。

「かかれーーっ!」時には大勢で一斉に飛びかかってくる修司教の信者たちの攻撃を回避し、素早く反撃に転じながらもスコーピオン同盟の進撃は止まらない。

 そして最深部より下り坂を下りて、橋を渡って第二の陣へと踏み込んだ時、そこに配置されていたキリトやアスナといったSAO組の手勢がガイアたちの行く手を遮る。

「おっ、またも見新しいカワイ子ちゃんがいるじゃないか!」

 初見のアスナやリーファたち女子を前にしたガイアは、目をハートマークにして惚気てしまう。そんな兄のガイアに弟のクリスタルがツッコむ。

「兄者! 見惚れてる場合じゃないでしょ! 早くお宝を持って逃げましょう」

 そんなスコーピオン同盟の進撃を止めようと、キリトやクラインたちがガイアたちサソリ兄弟に斬りかかる。

 が、超硬度の外殻を持つサソリ兄弟に並の斬撃は効かず、ガイアにクリスタルも両者の刃をハサミで掴むと軽々と投げ飛ばしてしまう。

「そんな柔な攻撃じゃ、オレ様たちには効かねえぜ」

 自分たちに斬りかかってきたキリトたちを投げ飛ばし、ガイアは誇らしげに腕を組んで述べる。

 だが最深部より続く第二の陣を任された手前もあって、ソードアート・オンライン組もスコーピオン同盟に果敢に挑もうとする。

 するとガイアたちの後方より、ガイアたちを跳び越えてバイクに跨る集団が戦前に飛び出してきた。

「イヤッホーーッ! 俺たちの速度に追いつけるか!」

 黒い革ジャンに白髪の頭髪を月夜の明光で煌めかせるその怪しげな集団を目の当たりにした、SAO組の配下に配属された聖龍隊士がぼそりと口に出した。

「地獄の白髪団…………ホワイト・ヘアーズ!」

 第二陣でもある修司ランドの園内を縦横無尽にバイクで駆け巡る白髪団に取り囲まれ、動きを制限されてしまうキリトたち。

 だが、そんな切羽詰まった戦況の中で突如として身に纏っていた修司教の黒装束を自ら脱ぎ捨てた屈強な老体が白髪団に巨大な一刀を振り翳した。

「ちぇすとーー!」「うおっ!?」

 巨大な太刀を振り付けられ、爆走していた白髪団は驚き焦ってしまう。

 そして一同が太刀を振り付けてきた者に目を向けてみると、それはなんと剣豪シマ・ギンテルその人だった。

 

チェストギンテル 警護中

 

「し、シマ・ギンテル!? なんでここに?」

 強さを追い求める故に自ら修羅の道へと突き進む覚悟を決めたシマ・ギンテルの姿を目視して、キリトたち聖龍隊の新人達は激しく動揺した。

 そんな新人達を前に、ギンテルは太刀を振り翳しながらスコーピオン同盟に向かっていく。

「修司教の愛で強くなれると聞いて入ったね。じゃっどん、やはり剣の腕は与えられるもんじゃなか……」

 大友宗助から勧誘を受け、強さを求めるが故に二年前同様に修司教の傘下に加入したギンテルは、再び修司教に入った理由を目を丸くして佇むキリトたちに語った。

「オイは死合った剣豪を弔う方法が欲しかった……それがなんと、ここにあったとね!」

 ギンテルは戦いで仕合して亡くなった剣豪を弔う方法を探した末に、修司教にその弔いの方法があったと語る。

 そんな修司教の傘下に二年前同様加わったシマ・ギンテルが振るう大剣を右へ左へと回避しながらガイアが話し掛けてくる。

「ギンテルの爺さん久しぶりだな! 相変わらず強さってのを求めて突っ走っちゃっているね」

 陽気にギンテルに話し掛けるガイアを前に、実はガイアとは酒飲み友達でもあるギンテルは彼らスコーピオン同盟に威勢よく言い放つ。

「おまはんらにも修司教直伝、修司乱踊を聴かせてやっど」

「レッツ、修司!」

 修司ラップとは何なのか? ギンテルや信者たちがノリノリの中、ガイアたちスコーピオン同盟はもちろんSAO組も困惑してしまう。

 するとギンテルは猛烈に大剣を振るいながら陽気に歌い出した。

「古の一刀! 骨董! 両断! メンゴ連呼! ビンゴ浄土! 遺影!!」

「チェストの修司乱踊は、信者の間でも密かに評判ですイエーー♪」

 陽気に歌い出すギンテルのラップを聞いて、周辺の信者たちもノリノリで踊り出す始末。

 そんな戦意の欠片も無い信者たちに、スコーピオン同盟が攻撃を仕掛けた。

「うわあっ!」

 黒く太い鞭状の腕で信者たちを一斉に薙ぎ払ったスコーピオン同盟のザ・インキは片言で話し出す。

「ぼすノメイダ、オマエタチヲハイジョスル」

 インクの怪人ザ・インキは事もあろうに地面に倒れる信者たちにトドメを刺そうと、腕を刃の形状に変形させて迫る。それを前に信者たちは震え上がる。

 と、そこにガイア・スコーピオンが言い付けた。

「殺すんじゃねえ! 無意味な殺生な仁義に反する」

 このガイアからの言葉を受けて、ザ・インキは不満げに刃に変形させた腕を収め、地面に倒れた信者たちを代わりに殴り付けて気絶させる。

 その頃、ギンテルはランダージョとグラスホップのコンビに強烈な斬撃を振るうが、猫のランダージョとバッタのグラスホップは余裕で斬撃を回避しながら距離を置く。

「これでおまはんらも、へぶんちゅう極楽浄土にひとっ跳びね。安心してオイに斬られんしゃい!」

 巨大な剣を振るい続けるギンテルにガイアたちも反撃する。

 炎の鞭でギンテルを牽制し、ギンテルが炎の鞭で怯んだ所に氷の棘を無数に発射して攻撃し、最後にメガロの電撃砲をお見舞いする。

「お年寄りには、勝ちを譲れと習わなかったのですか?」

 そんな炎/氷/電撃の三パターンの攻撃を仕掛けていくスコーピオン兄弟に、大友宗助は年配者への気遣いを警鐘する。

 しかし大友宗助の気遣いも何のその、ギンテルは三つの攻撃を受けても立ち上がり続け、前方へと大剣を振り回して反撃に転ずる。

 ギンテルの前方への薙ぎ攻撃をウサミミ仮面や潤の柊兄弟が後ろへと退いている所へ、仲間の雄大寺挑がギンテルに攻撃する。

「ぐおッ」

 雄大寺挑の攻撃を受けて動きを止めるギンテルだが、スグに態勢を戻して攻撃を続ける。

「気を引き締めて行きなさい! チェストの伝説が、剣豪顧客層の信者を集めます」

 多勢に無勢の中で猛攻を続けるギンテルを観戦して、大友宗助は今後の布教拡大を夢見る。

 すると此処でギンテルは跳び上がってからの上段からの斬撃を目前のグラスホップ目掛けて振り下ろす。

「ひぃ~~! お、おっかないっぺ……」

 辛うじて頭上からの斬撃を回避したグラスホップは心の底から安堵する。

 と、ここでガイア・スコーピオンが陣地に居る全ての敵を標的に攻撃態勢に入った。

「ネズミ花火!」

 なんとガイアは体勢を低くし、地べたに胴体をくっ付ける姿勢で尻尾から炎を連射して地面を高速回転、そのまま地上を縦横無尽に不規則に移動する。

「わっ、わっ! 危ない!」

 足元からの攻撃に、キリトたちは激しく戸惑いながらも必死に逃げ惑う。直撃を喰らえば忽ち転倒してガイアの回転攻撃に巻き込まれてしまうからだ。

 しかしガイア本人にも制御できないネズミ花火での回転攻撃は標的を完全に捉える事はできず、思ったところに進めない欠点があったため皆はガイアの回転攻撃から難を逃れられた。

 しかもそれだけでなく、回転攻撃であるネズミ花火を仕掛けていたガイアはふと立ち止まると「うおおお……ッ」と思わず吐き戻しそうになってしまい動きを止めてしまう。ネズミ花火での攻撃は、ガイア自身も悪酔いしてしまうらしい。

 すると動きを止めて隙を見せたガイアに、アスナたち女性たちが攻撃を浴びせる。

「うおっと……やるなあ、お嬢ちゃんたち」

 強固な外殻に守られ、致命傷を負わないガイアはアスナたちの攻撃を受けるや否や、彼女たちを称賛する。

 そしてガイアはお返しとばかしにアスナたちに灼熱の炎を纏わせたアメフトボール程の大きさのハサミで殴り掛かる。

 アスナたちはガイアの攻撃を辛うじて回避。ガイアの一撃は地面に直撃して、地面を陥没さらに黒焦げにしてしまう。

 人間では無いからこその強烈な攻撃を仕掛けてくるガイアに、アスナは果敢に斬りかかる。ガイアはこれを後ろに下がりながらかわしていき、一瞬の隙を衝いて尻尾でアスナの足元を振り払って彼女を転倒させる。

「!」転倒されるアスナ。だが、そんな彼女をガイアは両腕でしっかりと受け止め、彼女に囁き掛ける。

「麗しいお嬢ちゃん。今宵はもう遅い、夜更かしは美肌の大敵だぜ」

 そう言うとガイアは何処からとも無く一輪のバラを取り出し、アスナに手渡す。

 その情景を見たキリトたちアスナ以外のSAO組は挙ってガイアにツッコむ。

「って! キザか!!」

 さらに其処へシマ・ギンテルが大剣を振り翳して迫ってきた。

「勝負中に余所見は禁物しゃい! とわーーッ」

 ギンテルがガイアに斬りかかろうと飛び掛った瞬間、ガイアは受け止めていたアスナを放り投げ、咄嗟にギンテルの強烈な一撃を回避して見せる。

 そして地面に大剣を振り下ろしたギンテルの隙を衝いて、ガイアはがら空きのギンテルの懐に炎を纏った拳いやハサミを打ち付ける。

「焼き鏝ナックル!」

 焼き鏝の様に高温に熱せられたハサミを腹部に打ち付けられたギンテルは、修司教祝いの踊りや自ら歌ったラップでの疲労も相まって此処で打ち負かされてしまう。

「見えん……! 現が見えん……!」

「ああっ! 伝説のソードマスター・チェストギンテルが破られるなんて!?」

 疲労していたとはいえ負かされてしまったギンテルを目視し、大友宗助は大剣豪の敗れた姿に愕然としてしてしまう。

 ガイアがギンテルを打ち負かしたちょうどその時、他のスコーピオン同盟の面々も修司教信者やSAO組の撃破に至り、陣地の突破に成功する。

 陣地に配置された武人を全て打ち負かしたスコーピオン同盟は、再び進撃を開始する。

「強さの格というものが、我らとは違いすぎる……」

 布陣を突破したスコーピオン同盟との格の違いを目の当たりにした信者達は、ただただ茫然と立ち尽くすばかり。

 

 そしてスコーピオン同盟の快進撃は終わらない。

 

 

[どっちが不運!?]

 

 修司教の運営資金を盗み取り、出口まで快進撃を続けるスコーピオン同盟。

 出口までもう少しのところであった彼らだが、そんな彼らの前にスター・ルーキーズ総部隊長ミラールが、突然の略奪者の襲来に一大事と加勢に加わってくれた戦闘タイプの新世代型達と共にスコーピオン同盟を待ち受けていた。

 さらに彼女たちと同様、スコーピオン同盟を待ち受けていたのは、出口に通じる大広間に通じる門の番人を任された黒劉席ことジョシーだった。

 

ジョシー劉席 警護中

 

「おお、修司様……小生にこいつらをぶちのめす力を……!」

 ジョシー劉席は今や何処にいるかも分からない小田原修司に、スコーピオン同盟を倒せる力を与えよと祈りながら武器である巨大鉄球を振り回してきた。

 劉席の鉄球攻撃を避けたガイアたちに、戦闘タイプの新世代型達が取り囲む。

「おお、おお……! こりゃまた豪く派手な格好をしたお嬢ちゃんたちでなか! こんな夜更けに、そんな肌を晒してたら風邪ひくぞ」

「余計なお世話だ!」「略奪者め……返り討ちにしてくれる!」

「おお、おお。こりゃあ、何とも気の強い女の子だこと」

 ガイアは自身の目の前で取り囲む纏流子と鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)を前に戦闘体勢に入る。

 まずは片太刀バサミと縛斬で斬りかかってくる流子と皐月の一撃を、ガイアは両手のハサミでしっかりと受け止めては挟み込んで得物を抜けなくさせてしまう。

「こ、この……ッ!」「なんて怪力だ……!」

 片太刀バサミに縛斬をハサミで掴んで抜けなくさせるほどの怪力に、流子も皐月も必死に武器を抜こうとする。

 そんな二人にガイアはほくそ笑んだその時、背後から栗山未来が自身の血を結晶化させて形成した刃でガイアに斬りかかろうと迫った。

 だがガイアは背後からの殺気に気づいて、未来が振り翳してきた刃を尻尾の小さなハサミで受け止めて、そのまま未来を尻尾で宙に持ち上げてしまう。

「あ、あわわわ……っ」

 武器ごと尻尾のハサミで持ち上げられてしまう未来は、両腕だけでなく尻尾までも強力があるガイアの実力に驚かされてしまう。

 三人の武器をそれぞれ両手/尻尾のハサミで受け止め防いだガイアは、そのまま三人の少女たちを振り回し、地面に叩き付けた。

「お前さん達が例の新世代型って奴か? 豪く変わった格好に能力だこと」

 ガイアから露出度の高い戦闘服に、血を結晶化させる異端の能力を指摘され、流子は頬を赤く染めながら「う、ウルサイ!」と怒鳴り、未来は黙然と立ち上がり、三人は再度ガイアへと攻撃を仕掛けようとした。

 すると其処に「みんな! 危ないから離れていて!」と上方から声が。見上げてみると上空から極制服で戦闘形態に変わった蛇崩乃音が音符ミサイルを発射してガイアに爆撃を仕掛けてきた。

 ミサイルでの爆撃を受けて硝煙に包まれるガイア。だがガイアの屈強な外殻にはヒビ一つ入る事はなかった。

「へぇ~~、面白い装備じゃないか、その服! まるでダ・カーポの衣装にそっくりだぜ」

 蛇崩の極制服に目を丸くして驚くガイアは、後方に待機していたメガロ・スコーピオンに声をかける。

「おい、メガロ。面白いからお前が相手してやれよ」「畏まりました、アニジャ」

 ガイアからの指示を受け入れたメガロは、戦前に出て狙いを上空で滞空している蛇崩に定める。

「ターゲット確認……!」

 そして次の瞬間、メガロは目からレーザーを直射して蛇崩を狙撃し出した。

「わッ! レーザーだなんて反則だよ!」

 メガロからのいきなりのレーザー攻撃に焦燥する蛇崩は、必死にレーザーを掻い潜る。

「蛇崩!」

 蛇崩の危機に纏流子たちが助けに向かおうとするが、彼女たちの前にガイアとクリスタルの兄弟が立ちはだかる。

「おっと、オレ達はオレ達で楽しもうじゃないか」

「遠慮は要りませんよ。私たちの方が戦いの実績は上なんですからね……思う存分、ぶつかってきてくださいな」

 怪しげな雰囲気で迫るガイアとクリスタルの迫力に押され、圧倒されかけてしまう流子たち。

 と、此処で上空で滑空する蛇崩乃音にレーザー攻撃を続けていたメガロの攻撃が止まった。

 突然動きを停止したメガロに蛇崩が凝視していると、その状景を目視していたミラールが慌てて蛇崩に叫んだ。

「早く離れて! ミサイルが来るわよ!」「え?」

 最初はミラールの言葉に理解できなかった蛇崩。だがメガロの両手のハサミから、続々と細長いロケットミサイルが発射されて、それらが全て蛇崩目掛けて飛来してきたのだ。

「う、ウソ! アタシ同様、ミサイル持ち!?」

 レーザーだけでなく小型とはいえミサイルを搭載していたメガロの攻撃に激しく焦る蛇崩は急いでその場から離れようと加速するが、追尾式の為にミサイルは蛇崩を追い続ける。

 そして小型ミサイルは蛇崩に次々と直撃して彼女を撃墜させてしまう。

「じゃ、蛇崩!」

 配下であり幼馴染でもある蛇崩乃音の撃墜に顔を焦燥に満ちた表情に一変する鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)

 しかし蛇崩の元に駆け寄ろうとする彼女たちにガイアたちが迫る。

「大丈夫さ。一応は死なない程度に火力を弱めているからな。お前さん達はオレ様と仲良く楽しもうぜ!」

「フッ、面白いじゃないか!」

 まるで子供の喧嘩みたいな感じで戦いを仕掛けてくるガイアに対し、似たような闘争心で纏流子もガイアたちに迫り続ける。

 だがガイアの鋼鉄並みの外殻には傷一つ負わせる事ができず、戦いは難局を示していた。

 

 そんな最中、ジョシー劉席と対峙するのはスコーピオン同盟では最も年齢が行っている兵部京介とジュナザードの二名だった。

 劉席は京介とジュナザードに鉄球を豪快に振り回しながら何故自分が修司教に在席しているのか理由を語り始めた。

「洗脳されたと思っているのか? 違うね! 小生にはここしか残って無かった! それだけだぁっ!」

「な、なるほど~……」

 中国政権崩壊後、行き場のなくなった自分の居場所は最早修司教しかないと判断した劉席の決断に、他の信者達は唖然としながら聞き入れる。

 すると鉄球を豪快に振り回して周囲と牽制を図っていた劉席に変化が。なんと重量級の鉄球がふわりと宙に高々と吊り上げられて、劉席も宙吊りにされてしまった。

「な、なんじゃ~~!?」

 突然の事態に困惑する劉席が見上げてみると、なんと己の頭上に浮かび上がる鉄球の更に上では、同じく宙に浮遊している兵部京介の姿が。鉄球を念動力で浮かび上がらせていたのは京介だったのだ。

「おやおや、やけに土臭い男……いやモグラが釣れちゃったね」

 劉席を軽く嘲る京介の物言いに、劉席は堪らず言い返す。

「おいコラ! いい加減、小生を下ろしやがれ~~!」

「ああ、君がそれを望んでいるのなら叶えてあげよう」

 京介は劉席の言葉を聞き受けて、鉄球を持ち上げているのに使った念動力を解除して劉席を解放した。

「どわあああッ!!」

 鉄球ごと地面に落下された劉席は目を回しながらも、京介に続いて自身に攻撃を仕掛けてきたジュナザードの強烈な格闘技を素早く鉄球で防ぐ。

 ジュナザードの攻撃を防いだ劉席は、鉄球を叩きつけて周囲に衝撃波を発生させる「星当たり」でジュナザードと牽制を図る。

 しかし星辺りが終了した直後、ジュナザードは強烈な跳び蹴りを劉席にお見舞いする。

 そんな痛められっ放しの劉席は京介とジュナザードの二人を前に名指しした。

「お前さんたち、そんな容姿でも小生は知っているんだぞ…………お前さんたちが実は、見た目とは裏腹に歳食っちまっているって事はな!!」

 劉席は容姿とは反比例して、実際は90代をとうに超えている兵部京介とジュナザードに事実を突き付ける。

 これに二人は全く動じなかったが、劉席は二人に向かって鉄球を真上から叩き落して脳天を狙う。しかし京介とジュナザードは軽々と攻撃を避けてしまう。

「見た目とは違って歳いってんだ。大人しく宝物庫から奪った資金を返しやがれ! このショタジジイども!」

 この半ば感情的に攻撃を仕掛けてきた劉席を前に、京介もジュナザードもおちょくりや守備から攻めへと転じた。

 強烈なジュナザードの格闘技に加わり、京介の強感度の超能力が相まって確実に劉席を追い詰めていく。

 そんあ劉席は、修司教に入って得た幸運を自慢げに語り出した。

「小生、穴ぐらで金脈を掘り当てたからな。みんな尊敬の眼差しで見つめてくるのさ!」

「これそ修司教の愛のイッツ・タマモノ!」

「ジョシー、お前が掘り当てた金脈のおかげで修司教はゴールドラッシュです」

 穴倉を掘り続けていた劉席はなんと金脈を掘り当てた現状に信者たちも大友宗助も歓喜に沸く。

 鉄球を振り回し当てようとする劉席を前に、京介とジュナザードは息ピッタリに攻撃をかわしていく。

「しかし宝物庫が狙われるなんて……小生が入信したせいで、修司教に不運がうつったのか?」

「まさに、鬼をもおそれぬ愚行……!」

 自分が修司教に入信した為に己の不運がうつってしまった所為なのかと疑問視する劉席に続き、加勢に加わる信者はスコーピオン同盟の行為を非難する。

 そんな自分を慕ってくれる信者達に応えるべく、劉席は更に力を入れてスコーピオン同盟の討伐に乗り出す。

「小生を慕ってくれる信者の為にも、必ず取り戻してやる!」

 奪われた運営資金を取り返そうと躍起になる劉席だが、兵部京介の超能力にジュナザードの格闘技の前に悪戦苦闘する。

「倒れてはいけません、ジョシー! その前に採掘権譲渡の書類に署名を」

 危うく倒れそうになる劉席を、観戦していた大友宗助がどさくさに紛れて金鉱の採掘権譲渡の書類にサインを求める始末。

 しかし劉席の耳には、既に宗助の言葉は耳に入っておらず、劉席は我武者羅に鉄球を振り回して応戦し続ける。

 そんな劉席を見た信者の一人が、劉席が何故ジョシーなのか呟いた。

「女子っぽい一面があるのでジョシーと名付けました……うそです」嘘であった。

 その一方、劉席の相手を兵部京介とジュナザードに任せていたスコーピオン兄弟はミラールと戦闘タイプの新世代型を相手に奮闘していた。

「あらよっと。そんなひょろひょろ弾じゃオレ様には当てられないぜ」

「くっ、相変わらずサル並みに身軽なんだから……!」

 大柄な体躯とは反し猿の様に身軽な動きで銃撃を回避していくガイアに苦戦を強いられるミラール。

 同じ頃、実弟のクリスタルは氷の遠投武器で流子や皐月そして未来たちを追い詰めていく。

「はっ、はっ!」大人の手ほどもある氷の針が流子たちに向けられ放たれる。

「ッ!」それを流子たち少女たちは素早く回避し、クリスタル・スコーピオンに一矢報いようと反撃に応じる。

 しかしクリスタルの外殻もまたガイア同様に鋼鉄並みに硬度が有り、簡単に刃で傷付けられる程度の相手ではなかった。

「タッく、なんであんなに硬いんだ!」

「水晶は実際、ダイヤモンドよりも硬いから、それでだろう」

 クリスタルの硬さに心底参ってしまう流子と皐月。

 すると其処に名瀬兄妹が参戦する。「私たちに任せて!」美月の言葉と同時に、兄の博臣共々クリスタルに術「檻」を仕掛けようと動く名瀬兄妹。

 しかしクリスタルの方が一歩早かった。

「させません!」

 小さな声を発したクリスタルは、瞬時に美月と博臣を凍て付かせ身動きを封じてみせる。

「え……!」「そ、そんな……動けない……!」

 一瞬の内に身体を凍て付かせられ、身動きを封じられてしまった美月と博臣が驚愕しているとクリスタルがそんな二人に説く。

「ふふ、私は自在に冷気を操れるのです。空気中の冷気と湿度を操作する事であなた達を触れずに凍て付かせるのは造作も無い事」

 空気中の冷気を操り、触れずに相手を凍て付かせる能力を有すると得意気に語るクリスタルに名瀬兄妹は表情を強張らせる。

 そこに名瀬兄妹を助太刀せんと栗山未来に纏流子、そして鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)ら本能字学園生徒会四天王がクリスタルに迫る。

 しかしクリスタルは既に彼らの動きを察知しており、既に冷気を張り巡らせて自分に近付こうとした敵が瞬く間に凍て付く仕掛けを拵えていた。

「さ、寒っ!」

 纏流子が極寒を感じ取った瞬間、彼女たちの身体は瞬く間に凍て付いて動作が思う様にならなくなってしまう。

 そして間接部分を中心に凍て付いた流子たちを視認し、クリスタルは冷然とした眼光で呟いた。

「……流石に時間をかけすぎましたね」

 修司教の運営資金強奪から今に至るまでかなりの時間を浪費してしまったと認識したクリスタルは、スコーピオン同盟の仲間達に呼びかける。

「皆さん! 早く此処から立ち去りましょう!」

「了解した……!」「コッチはもうすぐで仕上がりそうだ」

 クリスタルの呼びかけに、劉席と相手をしていた京介とジュナザードが反応する。

 そして鉄球の猛威を振るい続ける黒劉席を突破した。

「な、何故じゃ~~!!」

 辛くも負けてしまった劉席は、毎度の如く自らの敗北に納得がいかなかった。

「な、なに~~っ!? 冗談だろう!?」

 敗北してしまった劉席に、大友宗助が強く呼びかける。

「立つのです、ジョシー! あなたはまだまだ、金鉱と愛を掘り続けるのです!」

 未だに金銭欲を抑えない宗助の発言に、彼と共に大広間に待機している聖龍HEADも一般の二次元人たちも呆れ果ててしまう。

 

 

[草食系男子]

 

「よっしゃッ! クリスタル、後はどう進む?」

 黒劉席にミラール、そして戦闘タイプの新世代型を突破したスコーピオン同盟。ここでガイアはこの先の進路をクリスタルに確認させた。

「はい、道のりに進んでいけば修司教徒が宴会をしていた大広間に出てしまいますが……如何なさいます?」

「なに? それじゃ折角だし、HEADの連中に挨拶していこうじゃないか! ちせちゃんにも久々に会えるし♪」

「はいはい、そうしますか……やれやれ」

 兄ガイアの決定に、弟のクリスタルは呆れ果ててしまうもののスコーピオン同盟のメンバーに反対の意見は無かった。

 

「きぃーー! もう許せません! お金もろとも木っ端微塵です!」

 門を潜ったところで、大友宗助は怒りの御出迎えと称してスリ忍たちを増援させる。

 さらに大砲を担いだ信者たちも配列させて、スコーピオン同盟を跡形も無く吹き飛ばそうと目論む。

「奴らを囲むのです。そして徹底的にボコるんです」「ジャスティス!」

 大友宗助の指示に信者たちも同意と称して「ジャスティス」と叫び返し、一斉にスコーピオン同盟へと砲撃を開始する。

 だがガイアたちも負けじと、強力な能力で砲弾を撥ね返し、砲撃から身を守る。

「ぐわあっ!」

 砲弾を撥ね返され、修司教の信者たちは逆に吹き飛ばされてしまう。

「乙女座の私には、センチメンタリーな運命を感じられずにはいられない」

 修司教徒の砲撃を掻い潜り、スコーピオン同盟は修司教大広間の手前、小田原修司の巨大な黄金色の胸像が設置された陣地へと踏み入った。

 そこには聖龍隊からの命として、スコーピオン同盟の進攻を阻もうとする鹿目まどかたちマギカ組の面々が待ち受けていた。

 だがスコーピオン同盟を待ち受けていたのは、まどか達だけではなかった。

「ここが……愛とお金の無限郷だ!」

 黄金色に輝く巨大な胸像の光明の元、その人物は「とうッ」という掛け声のもと跳躍して格好よくポーズをとる。

 その少年こそ誰であろう、あの山中鹿之助。洗礼名をバンビと申す少年であった。

 

バンビ鹿之助 潜入信

 

 格好よく掛け声とポーズをとる鹿之助に反し、お目付け役のおやっさんにまどか達は茫然と呆れてしまう。

「ちょ……ッ、おやっさんもノってくださいよ。これも捜査の一環なんすから」

 あまり乗り気ではないおやっさんに、鹿之助は捜査の一環ゆえに乗じるよう申すが、おやっさんのご機嫌は斜めだった。

 鹿之助は気を取り直して、マギカ組の少女たちと共にスコーピオン同盟に挑みかかる。

「バンビ鹿之助だ……! 教団強盗の罪で縛に就け!」

「バンビは草食なので、体力にやや難ありですね」

 スコーピオン同盟をお縄にしようと意気込む鹿之助を観戦して、大友宗助は鹿之助の体力に難癖をつける。

「おいおい、こんな子供も修司教なんかに入れやがったのか? ……まあ、子供同士なかよくしてるのも良いか」

「子ども扱いするな! この凶悪残忍極まりない悪党の集まりが!!」

 大友宗助と同様に子供同士だなと微笑むガイアに、子ども扱いされた鹿之助は立腹してしまう。

 修司教の様な変てこな宗教に入信した始末に呆れてしまうスコーピオン同盟にマギカ組の面子。だが鹿之助本人も修司教に捜査のためとはいえ入信したことを悔やんでいた。

「ハルノフ様探しの潜入捜査とは言え、悪の手先になるなんて……」

 鹿之助本人は潜入捜査の一環として修司教に入信したつもりでいるが、外から見れば他の信者と同じに見えてしまう。

 そんな鹿之助の連結棍棒の打撃を回避しながら、ガイアは鹿之助に話し掛ける。

「おい、小僧! あのハルノフを探しているのか? 確かポエムばっかり口ずさむ野郎だったけ……」

「そ、そうです! やはりハルノフ様失踪にはスコーピオン同盟、お前達が絡んでいたのか!?」

 ガイアの言葉を聞いて、鹿之助は主君ハルノフ失踪にはスコーピオン同盟が絡んでいるのかと疑いにかかるが、すぐにガイアたちがそれを否定する。

「ち、違う違う! ただ、オレ様たちにもできる事があるなら協力してやっても良いかなって……」

「そうだよ。よってかかって相手を疑い過ぎるのは悪い癖だよアンタ」

 協力を申し出るガイアに続いてクロミには悪癖だと指摘されてしまう鹿之助は、ガイアの意外な申し出とクロミの指摘に戸惑うもののすぐに反論する。

「っ……う、うるさい! お前たち凶悪犯に言われたくない! 知っているんだぞ、お前達がかつて一度だけとはいえ小田原修司を卑劣な手段で負かした卑怯者だって事ぐらい」

「あれは仲間も人質にされていたし、オレ達の方が被害者なんだけど……ま、これも悪役ゆえの運命(さだめ)って奴かな」

 卑劣な手段を講じたのは小田原修司率いる当時の聖龍隊だと述べ返すガイアだが、これも憎まれ役である悪役ゆえの宿命かなと開き直る。

 そんなガイア率いるスコーピオン同盟と混戦に突入した魔法少女まどか☆マギカの六人と山中鹿之助の計七人は、若輩ながらもスコーピオン同盟に果敢に攻めていく。

「うわっと、こいつらも魔法使いって奴か。おいワルド、ピエール、こいつらはお前達の専門だろ?」

「まあ、少し原理とか色々と違いますが……何とかしてみせましょう」

「ふふ、任せてください」

 魔法の矢や術に驚き慄くガイアは、仲間のワルドやピエールに同じ魔術使いとして対応するようお願い。これに二人は微笑を浮かべて対処に取り掛かる。

 同じとき、スコーピオン兄弟の末弟メガロは巴マミと激しい銃撃戦を展開していた。メガロが放つレーザーの閃光やミサイルを、マミは周囲に展開するクリケット銃から魔法の銃撃を放ち、互いの銃撃が衝突し合い接戦が繰り広げられた。

「ピッピ、エネルギー充填。砲撃開始まで5秒……」

 何やらエネルギーを充填し始めたメガロは、エネルギーを充填し終わると両腕を頭よりも高い位置に持ち上げ、頭上に巨大な電撃の球体を作り出す。

「……!」

 メガロが作り出した巨大な電撃の球体を目の当たりにし、マミは愕然としてしまう。

 そしてメガロは次の瞬間、その頭上に作り出した電撃の球体をマミ目掛けて投げ飛ばした。だが球体の大きさに加え、球体に蓄えられたエネルギーの量を考えればその場にいるマギカ組に鹿之助にも多大な損傷が与えられるのは明白。

 誰もが絶句してしまう、その時。一体の巨大な影が巨大な電撃の球体の前に飛び出してきては、その球体を丸呑みにしてしまう。

「な……ッ!」「あ、あの生き物は一体……!」

 その生物を見たガイアにクリスタルたちスコーピオン同盟は絶句。さらに戦闘していた鹿之助も愕然と言葉を失くしてしまう。

 巨大な電気の球体を呑み込んだその生物、それはシャルロッテに変身した百恵なぎさであった。

 一方で初めてシャルロッテを目撃したガイアたちスコーピオン同盟は目を丸くして驚くばかり。

「な、なんだ? あの派手なでっかいの……」

「ほほう、これは面白い。あの生物はほとんどのエネルギーを呑み込んで、体内で無力化させられるみたいですよ」

 驚くガイアに側にいた兵部京介がシャルロッテを念視して解析結果を伝える。

 シャルロッテに変身できる百恵なぎさは、制限はあるがある程度のエネルギーを呑み込んで体内でシャボン玉に変化させる能力を有していた。

 そんなシャルロッテの行動に驚き立ち尽くすガイアに、不意をついて佐倉杏子が仕掛け槍で斬りかかってきた。

「おりゃッ」「うわっ」

 男勝りの槍捌きを見せ付けて攻撃してくる杏子にガイアは慌てながらも応戦する。

 杏子が自在に振り回す槍での斬撃に追撃を、ガイアは全て両手のハサミで受け止めて攻撃を無力化させてしまう。

「くそッ、生意気なサソリだよ!」

「こら! 女の子がクソだなんて言っちゃいけません!」

 全ての攻撃を防ぎ止められてしまう杏子が発した言葉に、ガイアは思わず注意してしまう。

 ここで杏子は自分の攻撃を全て読み切られてしまう現状を打開しようと、槍に炎を纏わせてガイアに槍を振るった。

 だがガイアは炎を纏った槍を口で容易く受け止めてしまう。

「ッ!?」

 灼熱の炎を纏った槍を口で受け止めたガイアの行動に俄然がいかない杏子に、ガイアは焔を纏う槍を口で受け止めたまま杏子に言った。

「へへ、オレ様、炎はもちろん熱が大好物でね。美味い炎をありがとよ、お嬢ちゃん」「なっ!」

 なんとガイアは炎など高熱を体内に取り込む事が可能であると語り、これを聞いた杏子は愕然とした。

 そして杏子が振るう槍が纏う焔を全て体内に吸収したガイアは更に火力を上げて力を増した。

「おりゃあ!」

 パワーアップしたガイアは増した腕力で杏子を軽々と投げ飛ばして、彼女を地面に転倒させる。

 

 スコーピオン兄弟が仲間と共にマギカ組と応戦していた頃、鹿之助はマミーモンが連射する銃撃を華麗な動きで回避しながら何故か歌い出していた。

「しゅーじしゅーじ修司♪しゅーじしゅーじ修司~~♪ ……はっ! あれ? おやっさん、僕今、何か呟いてました?」

 この鹿之助の歌い出すという行動を目撃して、二次元人達一同は声を揃えて絶叫した。

「洗脳されかけてる!!」

 これには鹿之助本人にも自覚反応が。

「まずいっす! 気付かない内に僕自身が洗脳されてくぅ!」

 知らず知らずのうちに自らも修司教の怪しげな洗脳に魅入られてしまう現況に鹿之助も絶叫する。

 そんな鹿之助にもスコーピオン同盟は攻撃の手を緩めず、確実に倒せるよう、そして殺さないように攻めていく。

「僕がもしもの時は……あなた達が代わりに、この事件(ヤマ)の真相を……!」

「って、私たちに言われても……主君探しは自分自身でやりなさい」

 自分が倒れた時は主君ハルノフ探しを託そうとする鹿之助に、暁美ほむらはキッパリと言い返す。

「バンビ程信用できる、熱心な若手信者はいません!」

 奮闘する鹿之助を観戦して大友宗助は称賛するが、鹿之助お目付け役のおやっさんは宗助の発言に怒ってしまう。

 

 そんな中、スコーピオン同盟は山中鹿之助を撃破。小田原修司の胸像前の戦況を突破した。

 敗北した山中鹿之助は、目を回しながら片言の様に唸っていた。

「一欠片でいい……何か、手掛かりを……!」

 ハルノフ探しの手掛かりを一つでも求めようとする意志の強さが垣間見える鹿之助であったが、鹿之助の敗北と同時に修司教大広間の門扉が開放されてしまう。

「有望な若手信者をよくもっ! バンビ! ナイス信仰心でしたよ」

 鹿之助を倒したスコーピオン同盟に怒り心頭と共に、そんな若手信者の鹿之助に激励の言葉を掛ける宗助。

 

 だが修司教の抵抗は収まる事を知らず、教徒たちが武器を持ってスコーピオン同盟に攻め入る。

「あなた達……! 修司様に恨みがあるのですか!? 奇遇ですねぇ、私もです」

 混戦に乗じて衝撃的な発言を口に出す信者。

 

 スコーピオン同盟はこうして、草食系と言われたバンビ鹿之助はもちろんマギカ組の少女たちも撃破してHEADと大友宗助が君臨する大広間へと雪崩れ込む。

 

 

[久々の会合]

 

 だが大広間への進攻を許してしまった修司教も、最後まで足掻こうと教徒たちを仕掛けていく。

「汚いことしても勝ちなさい! 愛なんて後です!」

「本音、出たよ。この子……」

 どうしてもスコーピオン同盟を負かしたい大友宗助が発した台詞に、キング・エンディミオンたちHEADは唖然としてしまう。

 

 そしてとうとう大広間に辿り着いたスコーピオン同盟は、久々の会合とばかしにHEADに話し掛けようとする。

 すると華麗な音楽の中、催眠効果があるのか思わず優雅に踊りながら戦前に出ていくHEADに交じり、大友宗助も優雅に舞う。

「聖龍隊! それが愛の……合言葉!」「って! 勝手に決めるなッ」

 聖龍隊という単語を勝手に合言葉にされかけそうになり、メタルバードが咄嗟に大友宗助にツッコむ。

 そんな和気藹々とする聖龍HEADと対峙して、ガイア・スコーピオンは久々のHEADとの対面に目を輝かせて語り出す。

「わおっ、久しぶりだね、ちせちゃん! こんな変なところで出会えるなんて、やっぱオレ様たちって結ばれる運命なんだね!」

「変なところとは何ですか! ちゃんと「最終兵器グッズ」も実写版やアニメ版と、全て揃えていますのに!」

 久々に最終兵器のちせと対面が叶った現状に目を輝かせるガイアに、修司ランドを変なところと言われた大友宗助が立腹した様子で反論する。

 

 しかし聖龍HEADは何もガイアたちスコーピオン同盟に言葉を返さず、代わりに問答無用で攻撃してきた。

「わっ、わッ! いきなりかよ……修司がいなくなっても、相変わらず容赦のないこと」

「仕方がないだろ。所詮、オレ達は水と油……交わる事のない間柄だ」

 小田原修司が抜けても未だに容赦のない行動にガイアが愛想を尽かすと、メタルバードは自分たち聖龍隊と悪役同盟であるスコーピオン同盟は水と油の如く混じり合う事のない関係だとつき返す。

 

 求めてはいないものの聖龍HEADと戦闘が開始されてしまった戦況にスコーピオン同盟は渋々戦い始める。

「懲りずによくもまあ、毎度毎度私たちの様な悪役を排除できますね……」

「それも仕事の内よ……」

 互いに牽制しながら距離を置きつつ攻撃し合うクリスタルとウォーター・フェアリーの両名は、排除法案について語り合う。

 

 別の所ではメガロ・スコーピオンの電撃砲を回避しながらキューティーハニーや電気に強いセーラージュピターが応戦する。

「以前にも増して武装を強化したみたいね!」

「ええ、砲撃の速度が格段に上がっています……!」

「ピ、ガチャ…………変わり続けるのはアナタ達だけではありません」

 キューティーハニーとジュピターの言葉にメガロ・スコーピオンが応答する。

 

「君たち! いい加減、スコーピオン同盟から離れようとは思わないのか? 今だったら義兄さんの時の様に冷徹な処遇はしない、アニメタウンに堂々と帰れる……!」

「へっ! 今でも俺たちゃ堂々とアニメタウンに帰れるさ!」

「……ただ、オレ達はもう後ろを振り向かない。ガイアさんと共に前を向いて生きるつもりだ」

 元の生活に戻れると言い渡すジュピターキッドだが、そんな彼の言葉を微塵も聞き入れずに柊潤とウサミミ仮面の兄弟はガイアへの忠誠心を否定しない。そんな二人の言動を前にして、ジュピターキッドは「ッ、そうかい……!」と口元を歪ませて荊の鞭を二人に振り付ける。

 

「話は聞いているよ……クイーン達が君らから離別したんだってね。彼女たちは元より、まさかジュンからも見放されるとは……」

「っ…………!」

 明石薫ら女王たちだけでなく村田順一からも見放されてしまう現状を兵部京介から突き付けられ、セーラーマーズは言葉を呑み込み表情を歪ませる。

 

「もうっ、すばしっこいニャ!」

「ニャニャ、素早いのが十八番だニャ♪」

「そうでヤンス!」

 ミュウイチゴたち東京ミュウミュウズの攻撃を辛うじて素早い動きでかわしていくランダージョとグラスホップ。

 

「……ピエール、ワルド。昔の事は、もういい。ガイアと手を切らないか?」

「ふふ、それで僕たちを惑わすつもりかい?」

「あいにく、我々はもう過去という柵にも負けない自由を得たのだ」

 ピエールやワルド、フーケたちに過去の罪状は問わない故にスコーピオン同盟とは手を切れと戦闘の最中に告げる堂本海斗に、ピエールとワルドは過去の柵に囚われない今の往生を選んだ決意を示した。

 

「俺たちはもう何者にも囚われない! 自由に生き続ける、それが俺たちスコーピオン同盟だ! ひゃっほう」

 バイクに跨り爆走する白髪団の団長を自然な流れで任されている蛭川光彦は、自在にバイクを操って縦横無尽に駆け巡る。

 

「さすが伝説のファイター! HEADのエスコートのおかげで息ぴったりです」

「……合わせたつもりはないんだけどね……」

 HEADとスコーピオン同盟の戦いを観戦する大友宗助は、先ほどの踊り同様に息ぴったりの戦況に感激するが、そんな彼にミラーガールが呆れた様子で呟く。

 と、ここで勝負を一気に付けようと焦った大友宗助は挙手して信者達に合図を送り、戦場に出兵させる。

「行きなさい、信者達よ! あの逆徒たちを懲らしめてやりなさい!」「イエス! 修司!」

 信者達は大友宗助の指令に勇ましく合唱し、武器を持ってスコーピオン同盟に襲い掛かる。

 だが、そんな信者達をザ・インキとブロッドンのインクコンビが合体し、二体は巨大な大男へと変身して一気に信者達を薙ぎ払ってしまう。

「うおッ」

 薙ぎ払われた信者達は一箇所に払われて混迷するばかり。

「よくも大事な信者たちを! 洗礼名つけるの大変だったのに!」

 一方の大友宗助は、信者よりも彼らにつけている洗礼名の方を気にしていた。

 

 混戦に喘ぐ戦況の中、大友宗助の傍らについていたミラーガールも堪らず戦場に飛び出て、スコーピオン同盟と応戦をしながら彼らに訴え掛ける。

 

「毛利さん、雄大寺くん! 昔は修司の頑固さで元の鞘に戻るのは大変だったけど、今は状況が変わったわ。ちゃんと更生すれば、また学園に戻れるはず……!」

 ミラーガールの必死の説得に、毛利玲生と雄大寺挑は彼女の慈愛に満ちた説得に笑顔で返した。

「ありがとう、ミラーガール。でも、もういいんだ」

「僕たちはガイアさんの生き様に心底惹かれちゃってね。あなた達が小田原修司に着いて行った様に、僕たちもまたガイアさんに着いて生きたいんです」

 毛利も雄大寺も、心の底から決まり事には縛られず自由な生き様を貫くガイアの性分に惹かれてしまい、もう学園には戻る気はないと答え返す。

 

「皆、心の奥底で修司様を求めているのですよ?」

「何が修司様だよ!」

「アイツが制定した排除法で、どれだけの二次元人が殺されているか……!」

「ア~~アァ~~……そんな腐った世の中を、自由な生き様で渡り行く♪ それがアタイらスコーピオン同盟~~♪」

 修司教徒の言葉に、アルケニモンとマミーモンが文句を言う中、エテモンだけは大好きな演歌節の口調で自分らスコーピオン同盟の生き様を唱える。

 

「……兼一と美羽も揃って君ら聖龍隊と縁を切るとはね。ま、それも仕方ないのかもしれないね」

「ジュナザード……!」

 白浜兼一や風林寺美羽らスター・コマンドーに縁を切られる事実を皮肉を込めて口に出すジュナザードの言葉に、蒼の騎士は苦渋の表情を浮かべる。

 

「水銀燈、雪華綺晶……相変わらず楽しそうにやっているわね」

「ふふ、真紅……未だにガイアの真理に追い付けない顔をしているわね。それは私たちも同じことよ」

 激しい攻防を展開する真紅たちに対し、スコーピオン同盟の水銀燈は雪華綺晶と共に対抗しながら答える。

 

 更に、過去に国連軍元帥赤犬によって正体を暴露されたために元の生活には戻れなくなったアルセーヌたちが聖龍隊に異議を唱える。

「確かに私たちは罪を背負った。けれどそれによって今までの全てを奪われてしまった私たちに、どう生きていけと?」

「そ、それは……」

 アルセーヌの言葉にミラーガールは何も返せなかった。さらに

「赤犬によって全てを暴露され、危うく殺されかけたけど……それも元を辿れば全ては小田原修司が元凶ですわ! そんな小田原修司を讃える修司教から財宝を奪うのは、敢えて言わせて貰えばコレは慰謝料よ!」

「きィ~~! 修司様が未来を夢見て創生した法案を侮辱するとは……この汚らわしいメス豚を一刻も早く倒しなさい!」

 アルセーヌの台詞に怒り心頭の大友宗助の呼びかけに応え、多くの信者達がアルセーヌたち怪盗帝国の四人に襲い掛かる。

 しかしトゥエンティ/ストーンリバー/ラットの三人は襲撃してきた修司教の教徒たちを忽ち返り討ちにして薙ぎ倒してみせる。

 そんな彼らの健闘振りを見て、ガイアが声をかける。

「良くやったぞ、新入り!」

 このガイアの言葉を聞いて、ちょうどガイアと戦闘をしていたメタルバードが言葉をかける。

「ほう、お前んところも新入りを拵えていたのか。お互い、新入りの教育は大変だろうよ」

「へへ、でもあいつらは意外と仁義の筋ってもんを心得ているぜ」

 互いに新人教育は大変だろうと声をかけるメタルバードに、ガイアは新入りを自慢するかのように話し返す。

 

 兼ねてより因縁深い聖龍隊とスコーピオン同盟の戦いは、混戦の一途を辿るばかりであった。

 

 

[ガイアと新世代型]

 

 と、ここで先ほどスコーピオン同盟に敗れて一時撤退していた武将や聖龍隊メンバーが大広間に駆けつけて来た。

 彼らは大広間で聖龍HEADと激しく入り乱れる戦いを展開するスコーピオン同盟を成敗しようと加勢しようとしていた。

「おい、ガイア! ワシはまだ戦えるぞ!」

 チェストの洗礼名を持つシマ・ギンテルの一喝に、ガイアが気づいて顔をギンテルたちに向ける。

「おいおい、ギンテルの爺さん。そんなに無理すんなって。年寄りは労わりたいのが本心なんだが……」

 年配者には優しくしたい本心のガイアに反して、ギンテルだけでなく黒劉席も戦いに乗り気であった。

「お前たち! さっきの攻撃はマジで痛かったぞ……! でも、この小生、今度こそは貴様らをぶちのめす!」

 戦意丸出しの劉席に続いて年少者のバンビ鹿之助もガイアに言う。

「お前たち! 聖龍HEADと戦って消耗している今が好機……絶対にお縄にしてやる!」

 HEADと戦って闘志を消耗してしまってると捉えた鹿之助は、必ずスコーピオン同盟をお縄にしてやると意気込む。

 そんな修司教信者の武将達に交じって、スター・ルーキーズの面々もガイアたちスコーピオン同盟との再戦に闘志を燃やす。

 

 だが、そんな戦意をむき出しにして自分達と対峙する面子を前に、ガイアは徐にその場に腰を下ろして言い出した。

「あーー、もうめんどくさくなってきた。やめた、やめた!」

 まるで子供のように面倒くさくなったと駄々を言い出すガイアの言動に、ルーキーズの新人達は唖然としてしまう。

 そんな駄々をこね始めるガイアを前に、メタルバードたち聖龍HEADがしかめっ面で文句を言い出す。

「どうしたガイア! 早くも戦意喪失か!」

 このメタルバードの問いにガイアは地べたに胡坐で座り込んで述べた。

「だってよぉ……オレ様たち、別に喧嘩しにきた訳じゃないんだぜ。ちょっと小遣い稼ぎ程度に忍び込んだだけで……」

「小遣い稼ぎとは何ですか! ミスターバーンズ、こんな奴らさっさと懲らしめて我が修司教の財産を取り返してください」

(このままお金を持ってトンズラしてくれれば、布教活動もしばらくは滞るんだけどな……)

 あくまで小遣い稼ぎと称して修司教に忍び込んだと言い張るガイアに対して怒りを露にする大友宗助。しかしそんな宗助の思想に反して主従関係の立花宗茂が、ガイア達スコーピオン同盟が財産を持って逃げてしまった方が得策と考えている事を隠れている新世代型達は共有感知のテレパシーで自然に頭に入れる。

 

 突然のガイアの戦意喪失に、毎度の気まぐれと慣れた様子のスコーピオン同盟はガイアを立ち上がらせる。

「兄者、確かに戦いを避けるのはいいとして、今はここからどうやって逃げ出すかを考えなければ……」

「ピッ、ガチャ……この展開についていける現状の方々は、ホンの8パーセントしかオリマセン」

 兄のガイアに現状からの打開を促す弟のクリスタルとメガロの二名に対し、ガイアは立ち上がると颯爽と動き出して自分勝手に活動し始める。

「だってよ。オレ様は別にちせちゃんと戦いたいくないし、わざわざ聖龍隊の連中と本気でやり合う気も無ぇし……ちせちゃんも、こうやってお人形のように椅子に座っていてくれればオレ様は写真撮るぐらいしかしないよ」

「私を勝手に着飾らないで……」

 颯爽とした俊敏な動きでちせを椅子に座らせ、さらに可愛い洋服を着飾らせるガイアの行動にちせ本人は呆気に取られてしまう。

 すると其処にちせの恋人であるシュウジが駆けつけ、ガイアに言葉を投げ掛ける。

「おいッ、変態サソリ! それ以上ちせに近付くな!」

「うるさいぞ、まだ聖龍隊にいたのか。この同姓同名」

「いい加減にその俗称で呼ぶな!」

 ガイアはシュウジに、かつての聖龍隊総長小田原修司と同じ呼び名のシュウジに対して未だに「同姓同名」という俗称で呼ぶことをシュウジ本人は心底嫌がる。

 だが「あ、それは僕も同意見」と、修司教が最高幹部、大友宗助もガイアの発言に賛同。シュウジ本人は失意を受ける。

 更に其処へ、今までシバ・カァチェンと共に二次元人たちを護衛していた大将たち赤塚組の連中も前に出てガイアたちスコーピオン同盟に物申す。

「おい、ガイア! てめぇさんら、まだ聖龍隊と敵対してるのか」

 この大将たち赤塚組の登場に、スコーピオン同盟がアルセーヌたちが赤塚組に文句を言い出した。

「あ! あなた達がかの有名な赤塚組ね! この国連に身を売った裏切り者っ!」

 アルセーヌの裏切り者発言に、赤塚組は言われ慣れた様子で静観とした面差しでアルセーヌたちに語った。

「……確かにオレたちは国連に、お偉いさん方に身を売った所謂裏切り者、政府のお犬様ってところだ……だが! それも全てはダチが為、あっ同胞の二次元人の為って奴なのよ」

 最後は歌舞伎口調で話を締め括ろうとする大将に、アルセーヌは再び反論をぶつける。

「何が二次元人の為ですって!? あの赤犬がどれほど多くの二次元人を……日々、どれだけの二次元人が犠牲になっていると思っているの……」と、アルセーヌが大将に現政への反論を吐き散らしていると、彼女の言論をガイア・スコーピオンが静止した。「が、ガイア……?」「……お前さん達がどれほど辛い目に遭ってきたかはオレ様もよくよく理解している。だがな、それを今言ってどうする? 誰も否定し難いのが、世の現実だって前にも話しただろ?」「で、ですけど……!」ガイアはそれ以上語ろうとするアルセーヌに首を振って言論を制止させる。アルセーヌは悔しさに満ちた表情で言論をやめた。

 

 仲間の現政への反論を静止させたガイア・スコーピオン。

 スコーピオン同盟の首領ガイアは、ここで新しく入手した情報を聖龍HEADに突きつけた。

「体も温まったし、場も静まったところで一つ聞きたい……今、お前さん達はあの新世代型を連れてアジアを旅してると聞いたんだが」

「早耳だな……いや、あの新世代型なんだし、早々に伝わっちまうのも仕方ないか」

 世の中、悪い噂ほど早く伝わる事はない。メタルバードはガイアの質問に対して、そう思った。

 そしてメタルバードは徐に顔を横へと振り向かせると、それを合図に物陰に身を潜めていたシバ・カァチェンが頷き前線へと出て行き、カァチェンの後から黒鳥千代子たちプロト世代に続いて琴浦春香ら新世代型達も姿を現した。

「おうおう、結構な数の新世代型を引き連れているな。全員、新世代型か?」

「いいや、アタイらはプロト世代だよ」

 二次元人たちを凝視して疑問に思うガイアに、プロト世代のギュービッドが言い返す。

 

 そんな三人のプロト世代を含む二次元人たちを凝視するガイアは、ある一人の少女の顔に注目してみせる。

「君、いい顔してるね! ひょっとして、恋してるんじゃないのか?」

「え、え!?」

 ガイアから恋に関して指摘を受けた新世代型のアイラ・ユルキアイネンは思わず顔を真っ赤にしてしまう。

 そんなアイラにガイアは笑顔で話し続ける。

「恋ってのは良いよな! 人を幸せにしてくれる! 他のカワイ子ちゃん達も恋してるかい?」

 ガイアはアイラ以外の女子達に恋話を持ちかける。誰もが騒然と答えるのを躊躇ってしまっていると、ガイアは再び話し掛ける。

「少年、少女らよ! 恋心を抱け!」

 このガイアの格言を聞いて、後ろにいた兵部京介が軽く手でガイアの後頭部をパシッとはたいてツッコんだ。

「少年よ、大志を抱けのパクリでしょ」

 兵部のツッコミにガイアは爆笑しながら姿を見せてくれた二次元人たちに笑顔で言い放つ。

「はははは! まあ、君らはまだ若い! いくらでも恋をしたまえ! 運命とか夢とか、とにかく難しい事は後回しにしてもいい……今を楽しく満喫しろや!」

 何だか上から目線で物申すガイアの発言に、プロト世代のギュービッドが言った。

「何が恋しろだよ、だ! 自分はストーカーの癖に……知ってるんだぞ、アンタがちせさんにストーカー紛いの事してんのは」

「ストーカーと呼ぶな! 愛の申し子と呼べ!」

「どんな言い訳だ!!」

 ギュービッドからの指摘に自らを愛の申し子と自称するガイアの発言に真鍋義久が激しくツッコむ。

「まあまあ、難しい事は後回し♪ 今は現を楽しみましょう♪ あ~~ら、へっさ、ほいさっ……」

 まるでストーカーと呼ばれた事を紛らわすかの様に楽しげに踊り出すガイアにまたしても二次元人たちは気が抜けてしまう。

 そんな二次元人たちに、ガイアは己の自生を語り出した。

「こんなフザけた世の中だから! みんな揃って踊ればホイホイ♪ 自由気ままに生きなきゃ損そん♪」

 様々な物語が一体化した混沌の世の中だからこそ、身も心も躍り出すほどの陽気な生き方を推奨するガイア・スコーピオンは更に新世代型へと歌を綴る。

「確かにこの世は生きにくい♪ それでも自分の夢を、あ、想いを辿れば未来は見えるよきっと、あ、ほいほい♪」

 楽しげに歌い踊りながら現政を皮肉るガイア・スコーピオンに二次元人たちは唖然としてしまう。

 と、その時。スコーピオン同盟が一人、兵部京介が一人の新世代型に気付いて声をかけてきた。

「あ、君は以前にも会った……」「お久しぶり、と言った方が良いですかね」

 兵部に呼び止められたのは、新世代型の超能力者斉木楠雄であった。斉木は無表情で兵部と顔を見合わせた。

「なんだ、斉木? あの銀髪の奴と知り合いか?」「ああ、燃堂。ちょっとね……」

 親友の燃堂力に訊かれ、斉木は兵部を睨み付けるかのように直視しながら答える。

「フッ、君はギャグ漫画の出身みたいで毎日を楽しく過ごせているみたいで何よりだ……」

「………………………………………………………………」

 兵部の言葉に斉木は表情を変えず、直視するばかり。

 実は二人は以前にも顔を合わせた事が有り、兵部が高レベルのエスパーでもある斉木楠雄を自らが指導するP.A.N.D.R.Aに引き入れ様と勧誘しに来た事がある。が、斉木は今の実生活を満喫している理由などから兵部の誘いを断った経緯が二人にはあった。

 斉木と兵部の対面に、現場の空気に緊張が張り詰める。

 しかしそんな空気を切り裂くように、ガイアが突如として直視し合う二人の間に割り込んだ。

「まあまあ、お二人さん! 昔の事は、今は言いっこなし! 色々と大変だろうが、余生を楽しみましょうや」

「そうですねガイアさん♪」

 割り込んできたガイアの言葉に、兵部は昔を忘れた様に満面の笑顔を浮かべて楽しげに返事する。

 更にガイアは笑顔で二次元人たちに申し開いた。

「難しい事はオレ様にもよく解らない! だけどな、オレ様達も含んで世の中の大勢の人間が自由で楽しい人生を謳歌したいって想っているのは確かだ! ストレスや迫害、色んな障がいを抱えながら生きている人間の活力もまたオレ様たち二次元人の原動力だって事よ」

 様々な苦境の中で生きている人間の思想概念もまた、自分たち二次元人の原動力となっていると突然語り出すガイアは、更に語り続けた。

「あの修司だって、まさか愛情を感じられない人間だったとはオレ様達も驚き桃の木山椒の木だよ。……まっ、だからこそ素直でないにしろ思いやりのある人間だったのかもしれねえがな」

 ガイア・スコーピオンたちスコーピオン同盟の面々も驚いていた。小田原修司が他人からの愛情を感じられない発達障害者である事実に。

 

 するとガイアは突拍子もなく、目の前の新世代型たちに歌いながら問い掛けてきた。

「お前さん達が、世界を変えてくれると♪ 願いを叶えてくれるという新世代型なのかなかな?」

「わ、私たちが世界を変える、ですって……?」

 突然、突拍子もない事を訊かれて薙切えりなは激しく戸惑ってしまう。

 そんな新世代型たちが戸惑いを覚えずにはいられない質問をぶつけてきたガイアに、メタルバードが睨みを利かせながら対応する。

「ガイア、お前さん達とあろうものが……根拠のない噂話を信じるなんて、どうかしてるぜ。新世代型には、そんな力も権限も全くない。ただ、普通に人生を謳歌しているだけの二次元人なのよ」

「おうおう、そう言いますがなメタルバード。あの足正義輝は、この世の中の現状を変えようとこんな現政奉還なんて大騒動を起こしたんじゃないか? 誰もが自由な世の中を創れる時代を到来させた足正公の考えにオレ様たちは便乗したのよ」

「そう簡単に世の中を変えられて堪るか……! せっかく修司やオレ達が成した平和な世の中……多くの物語が一つとなれた世界を半端者に変えられて堪るか……!!」

 ガイアと対応するメタルバードはいつの間にか再び殺気立っていた。そんなメタルバードに共感したのか、ミラーガール以外の聖龍HEADもスコーピオン同盟に向けて只ならぬ殺気を向けた。

「お、おいおい……オレ様たちは、さっきも言ったようにお前さんらと戦うつもりはないって言っているだろ? そんな殺気立つなよ、ちせちゃんまで……」

「兄者、もう彼らの感情はピークに立っていますよ」

 殺気立つ聖龍HEADに困惑するガイアに実弟のクリスタルが囁く。

 そんな中、ガイアは再度HEADに申し付けた。

「で、でもよ! 未だに三次元人の二次元人への扱いが改善されないし、時には修司以上に非情なお偉いさんが異常者(ヒール)と認定された二次元人を迫害してる訳だし……ここ等で時代に変革を齎すって意味では、新世代型は適任だと思うんだけど……」

「だからな! 新世代型はそんな大役を一任する為に生み出された訳じゃ無い! どいつもこいつも勝手に国連総長と一緒にしやがって……一般の新世代型がどんだけ苦労してるか知ってるのか!!」

「ッ!」

 次代を担う大役を負わせて変革を狙うガイアの思想に、メタルバードは彼ら新世代型は足正義輝と同様に大役を一任させる理由で生み出された訳ではないと怒鳴り返す。これには流石のガイアも怯んでしまう。

 すると、このガイアとメタルバードの話を目前で聴いた新世代型の琴浦春香が話し出した。

「そ、そうです! 私たちは、別にそんな大役を任せられるほど優秀な逸材じゃありません……」

 だが、この琴浦春香の台詞にガイア・スコーピオンは説明する。

「いやいや、何を言っているんだい、お嬢ちゃん! 誰にでも、時代を……世界を変えられる可能性があるって意味で、オレ様は話してる訳なんだよ。新世代型は、その可能性が高いと言われてるが、実際は誰にでも何かを変えられる可能性があるって事なんだ」

「お前らは、そんな新世代型を利用して世界を……時代を変えちまおうって魂胆なんだろ?」

「うっ! そ、それはまあ、そういうことなんだけどね……」

 メタルバードからの指摘に、ガイアは思わず縮こまってしまう。

「……私たちに世界を変えられる可能性なんて、これっぽっちもないと思うんだけどな……」

 世界を変えられる可能性があるとガイアに説かれ、森谷ヒヨリら新世代型たちは唖然としてしまうばかりだった。

 

 

[ガイアとシバ・カァチェン]

 

 と、何だか会話が弾んできた状況の中、ガイアは二次元人たちの護衛をを任されていたシバ・カァチェンに目が行った。

「おやっ? 見知らぬ顔がまた……」

 ルーキーズの新人と同様に初見のシバ・カァチェンを認識したガイアにメタルバードが気楽そうに話し掛ける。

「ああ、あいつは今うちで預かっている台湾の国将軍シバ・カァチェンだ」

「し、シバ・カァチェンです。お見知りおきを……」

 メタルバードからの紹介にカァチェンは預けられた猫の如く大人しく名乗るが、そんなカァチェンの顔色を拝見してガイアは心配そうに呟く。

「う~~ん……この青年、大丈夫か? 何だか顔色が冴えないぜ」

「さ、蠍の物ノ怪に心配された……」

 サソリの獣人であるガイアに心配されてしまい、愕然と失意に暮れるカァチェン。

 そんな失意のカァチェンに、無自覚のガイアは思わず訊ねてみた。

「お前さん、結構いい歳してるだろ? 恋の一つぐらいしてるか?」

「! ……鯉、ですか……」ガイアに恋について訊かれたカァチェンは思わず魚の鯉の方を連想してしまう。

 ガイアは心配そうにカァチェンに話し掛ける。

「お前さん、少しは元気になりたいって思ってるか? いい歳した男なら、恋の一つや二つしてみたらどうだ?」

「は、はぁ……」

「恋はいいぜ! 心の底から自分が温かく……何よりも元気になれる! どうだ? 恋してみたくなったかい?」

 ガイアに再度訊ねられたカァチェンは哀しげな面差しで言った。

「……こんな出来損ないの私に、人様を愛する資格など…………毛頭ございません……」

「暗い! 暗すぎる!」

 カァチェンの薄暗い雰囲気に圧倒されてしまうガイアに、メタルバードが「いつものカァチェンだ、気にしないでくれ」と声をかける。

 

 と、ここでカァチェンは何かを思い出したかのようにメタルバードに問い掛けた。

「……バーンズ氏……」

「っ、どうしたカァチェン」

「……彼らは、かの新たなる世の者……新世代型を狙う賊徒。倒すべきでは無いのでしょうか……」

「そうだな。だがこいつらはフザケているように見えて意外と実力が高い。あの修司も一度とはいえ負かされた事がある」

「! あの鬼神が……負けた、ですと……!?」

 メタルバードより鬼神と恐れられる小田原修司が過去に一度だけとはいえ敗北した経緯を聞かされて愕然となるカァチェン。

 そんな自我が、己の意志が薄いカァチェンを気にして思わずガイアが訊ねてしまう。

「なあ、カァチェンのにいちゃんよ。何でそこまで落ち込んでいるんだ? 世の中にはもっと楽しい事が、うじゃうじゃあるって言うのによぉ」

「私には人様と同じ幸せを噛み締める道理など……微塵の欠片もありません……」

「暗いなぁ、ほんとに暗い! そんなしょげ返るな、青年よ!」

 ガイアはしょ気るシバ・カァチェンを励まそうと、自然と必死になる。

「お前さんを想ってくれる人はいる……! 気付くんだ……」

「湖底の石は、浮かぶことすら脳裏を過ぎらない……」

 ガイアはカァチェンに自分を想ってくれる人間は他にも沢山いると説くが、カァチェンは湖底の石が浮かぶ事がない様そのような思想にも至らないと説き返すあまり。

 そんな思わずカァチェンを励ましてしまうガイアに、スコーピオン同盟の新入りであるアルセーヌら怪盗帝国の面子が立腹した様子で言った。

「ちょっとガイア! 別に三次元人なんか励まさなくても良いじゃない、こんな薄気味悪いヤツ放っておきましょ!」

「だ、だけどよアルセーヌ。ここまで気分が減り込んでいる奴は、何だか放っておけなくて……」

 ガイアのお節介にアルセーヌたち怪盗帝国の面々が虫の好かない面で呆れてしまう中、カァチェンは小田原修司の発足した排除法案で行き場のなくなったアルセーヌたちを見て問うた。

「あなた達を挫いたものは、本当に鬼神なのか? 立ち直れる程度のものでは無かったのか……?」

 このカァチェンの発言にアルセーヌが再び物申そうと発言しそうになるが、寸でのところでガイアがアルセーヌたちの発言を静止して代わりに語り始めた。

「ああ、まあな。だがオレ様たちのほとんどは、やはり過去の悪行や過ちから今に至っているケースだから余り修司を言えた試しが無いんだけどな」

「全ては……因果応報といった結果なのですか……」

「ああ……大抵はそうだ。だからオレ様たちは修司に対して何も強く言えた義理じゃねぇ……だけどな、それでも自由を謳歌したいって想いは誰にも負けてはいない! カァチェン、それに新世代型の皆さまよ! あんた達も、この手狭になった世の中で自由に思うがままに生きてぇと思った事はないか!? オレ様たちスコーピオン同盟は、世の中の決まりを押し通してでも自由を謳歌したいだけなのよ! 例え、それで世界を敵に回してもだ……!」

 ガイアの熱弁にカァチェンも、そして改めて説かれた新世代型の面々も意表を突かれるかの如く驚かされてしまった。

 しかしガイアの熱弁に驚かされたシバ・カァチェンは、逆刃薙(さかばなぎ)を握り締めてスコーピオン同盟に言い切った。

「……あなた方は、まだ己の身分を弁えてないようだ……!」

「?」ガイアたちその場の一同がカァチェンの発言に注目する。

「所詮は私もあなた達も……一度は今生の世で敗れ去った、哀れで醜いだけの敗北者。誰からも理解されず、昏迷に現実(いま)を迷い続け……未来(さき)へと辿り着く事も赦されない大罪人…………」

 一度でも世情に敗北し、失態を犯した存在は他人から苦しみを理解されず現実を迷い続ける故に未来へと辿り着くことも侭ならない罪人と、スコーピオン同盟と共に自称するカァチェンの発言に誰もが絶句。そしてスコーピオン同盟の多くが不快極まりないカァチェンの発言に怒りを立て、思わず彼に駆け寄ろうとする。

 が、思わずカァチェンに駆け寄って彼と衝突しそうになるスコーピオン同盟の仲間をガイアが制止させる。

「が、ガイアさん……!」「ガイア……!」

 自分達を制止させるガイアを前に、仲間のランダージョとアルケニモンがガイアの顔を見合わせる。

 そして仲間を制止させたガイアは再びカァチェンと面と向き合って彼に話し掛ける。

「……そうだ、オレ様たちは幾度となく罪を犯し、今生の世で敗れ去っちまった敗北者、負け犬同然よ」

「………………………………………………………………」

 ガイアの負け犬宣言にスコーピオン同盟だけでなく、その場の誰もが言葉を失ってしまう。だが、そんな重くなった場の空気に反して、ガイアは爽快な雰囲気でカァチェンに語り明かした。

「……けれど! 間違いを犯すのは人として同然! むしろ、間違っちまった道を歩んじまったからこそ見える景色っていうのも、たくさんあるんだぜ!」

「間違いを犯したからこそ見える、景色……!」ガイアの言葉に衝撃を受けるカァチェン。

「そうともよ! 色んな経験をしたからこそ、見える景色ってのもあるもんよ! 何より、オレ様たちは異常者(ヒール)排除法が無かったら一緒に旅する事も…‥増してや逢う事も無かったんだぜ! こんな確率、そうそうねえよ!」

「罪を犯したからこそ見える景観、そして出逢えた喜び…………あなた達の考えは理解できない……」

「ははっ、まあ今すぐに理解しろとは言わねえよ。少しずつで良いから、焦らず前を進めや青年」

 ガイア・スコーピオンの思考を理解できないカァチェンに、ガイアは焦らず確実に前へと足を踏み出せと提言する。

 

 と、ガイアが自由奔放に話し回っているのを見据えていた大友宗助は遂に堪忍袋の緒が切れた。

「何をしているのです、聖龍隊の方々! そんな逆徒共、さっさと懲らしめて我が修司教の財宝を取り返してくださいって!!」

 顔を真っ赤にして怒る宗助に、全身が既に真っ赤のガイアは慌て始める。

「おっと、こうしちゃおられませんわ。オレ様達も急いでトンズラしないとな! そんじゃ兵部、例の……」

「はい」ガイアから言伝された兵部京介は、徐に何処からか丸い物体を取り出して自分達の足元にその物体を投げ付けた。

 すると球体の物体から大量の煙が噴出し、辺り一帯は煙に覆われてしまう。

「な、なんと……! 煙幕!」辺り一帯に拡散する煙幕に動揺する大友宗助。

 その隙にガイアを筆頭にしたスコーピオン同盟は颯爽と駆け出して、その場から撤退を開始し始める。

「それじゃ! オレ様たちは此処でサヨナラするぜ! あ~~ばよっ」

「あ、待ちなさい! 宗茂、何をしているのです! 追うのです!」

「ぎょ、御意!」

 煙幕に紛れて逃げ去ろうとするガイアを捕縛せよと、大友宗助は側近の立花宗茂に告げる。

 さらにガイア・スコーピオンは逃げ去ろうとする土壇場で、HEADや聖龍隊の新人そして新世代型たちに言伝する。

「じゃあな、聖龍HEAD! また何処かで逢ったらケンカしようぜ! ちせちゃん、また君に逢える日を楽しみにしてるよ!!」

「そんじゃな、聖龍隊の新人共! 今度会う時までウデ磨いてろよ! オレ様も腕っぷし上げて、またケンカしてやるぜ!」

「新世代型の諸君! 君らはまだまだ若い! 今生の世の中を理解し、己の道を探し続けろ……きっと答えが見つかる筈だ!」

 HEADに新人、そして新世代型たちにそう言い残したガイアは次の瞬間、目の前からスコーピオン同盟の面々と共に忽然と姿を消してしまっていた。

「ああ! もう何をしているのです宗茂! 聖龍HEADの方々も! なぜ取り逃がしてしまうのですか!?」

 スコーピオン同盟に逃げられてしまった現状に嘆く大友宗助が何故スコーピオン同盟を逃がしたのかHEADに訊くが、メタルバード達HEADは何も言わず頑なに口を閉ざすままだった。

 

 一方、スコーピオン同盟が首領ガイア・スコーピオンに様々な事を説かれた新世代型そしてシバ・カァチェンは困惑していた。

「自分の道、か……」「過ちを犯してもなお、見える景色があるというのか……」

 二次元人への処遇が厳しい今生の世でも見出せる己の道を考えさせられる二次元人、そして過ちを犯しても眼に見える景色を思い浮かべるシバ・カァチェン。

 

 まだ未来が定まっていない種族の違う者同士は、未来という見えない先の景観を改めて考えさせられるのだった。

 

 

[待ち受ける輝星と謎の美女]

 

 突如として侵入し、宝物庫のお金を持ち逃げしていったスコーピオン同盟の横暴に最高責任者の大友宗助は怒り心頭であった。

「きィ~~~~! あのサソリ共! 排除法に反する輩共が、よくもまあ修司教の財産を奪っていきましたね……!!」

「ま、まあ、我が主。お布施なら、また集まりますって」

「お黙りなさい! そもそもお前が鈍足だから奴らに逃げられてしまうんですよ……!」

 怒り心中の大友宗助に側近の立花宗茂が宥めるが、宗助の怒りは収まるとこを知らなかった。

(……アレ、絶対兵部京介のテレポートで全員が瞬間移動して逃げただろうし、どうせ追い付けなかったと思う……)

 誰もが少年の大友宗助に怒られるいい年した大人の立花宗茂を前に唖然としている中、新世代型の斉木楠雄は同じエスパーの兵部京介が瞬間移動でスコーピオン同盟そのものを瞬間移動させた事から瞬時に逃げ去る事ができたと理解を示していた。

「それにそれに! なんでHEADの皆さまも勢揃いしてるって言うのに、あのサソリの連中を取り逃がしてしまうのですか!? 僕が、僕たちが丹精貯えたお金がほとんど消えちゃいました……っ」

「ああ、それは悪かった。非常に悪かった」

 涙目の涙声でHEADに訴えかける宗助に、メタルバードは多少棒読みな口調で宗助に詫びる。実はこの時、メタルバード達HEADは大友宗助の我満な布教活動を制止させるべく敢えてスコーピオン同盟を真剣に追おうとはしなかったのだ。

 そうとは知らず、本気で立花宗茂に涙目で怒鳴り散らす大友宗助にミラーガールが駆け寄り優しく話し掛けた。

「そ、宗助くん。お金なら近いうちに私たちが取り返しておくから……だから、そんなに立花さんを責めないで」

「! ほ、ホントですか、ミラーガール!」

「加賀美殿! 誠に宜しいのですか?」

(出たよ、アッコのお節介焼きが……)

 責められる宗茂を何とか助けてあげようとお節介を焼いてしまうミラーガールの発言に、宗助と宗茂は返答し、そして彼女のお節介を目の当たりにした大将は心中でミラーガールの昔からのお節介焼きに呆れてしまってた。

「そ、そうよ! だから、もう怒らないで……ねっ?」

「ウッ、そうですね……僕としたことが、少し感情的になってしまいました。グスッ」

 ミラーガールに説き伏せられ、宗助はようやく落ち着きを取り戻す。

 そんな大友宗助は、気を取り直して信者の一人として入信させた同世代の山中鹿之助に言伝をする。

「気を取り直して…………バンビ、バンビ!」

「は、はい! 何でしょう、宗助くん……」

「はい、君には修司教の新人として一仕事してもらいます!」

「えぇ……僕はハルノフ様探しの重要な仕事が……」

「お黙り! それに仕事と言っても、とっても簡単! そして何よりあなたが喜ぶ内容のお仕事ですよ……」

「僕が喜ぶ仕事……?」

「はい! それは、かの麗しきレディー・マリア様に献上品を運ぶこと! あなたもマリア様とまた一見したいでしょ?」

「ま、マリア様と!? あ、あのマリア様と……」

 大友宗助から言伝を聞いた鹿之助はデレッとした表情で頬を赤らませる。

「マリア? 誰だ、そいつは?」

 メタルバードが名の出た人物について訊ねると、デレデレとした鹿之助が情けない表情で答えた。

「はあ、マリアさんはアジアでも絶世の美女と呼ばれるほどの女性で、そりゃあもう綺麗で……」

「そ、そんなに綺麗な人なのか!?」

 鹿之助の言葉に新世代型の真鍋義久は目の色を変える。

 だが一方のメタルバードは毅然とした態度で鹿之助と対話する。

「ふうん……オレも昔は美女に目が無かったが、今じゃ性格の良しあしでも見定めているからパッと聞いても分からねえなあ……」

「バーンズもすっかり、義兄さんに感化されて女性には手厳しくなったもんだ」

 メタルバードの台詞を聞いておちょくるジュピターキッド、彼のおちょくりにメタルバードは一言「ほっとけ」と言う。

 しかし山中鹿之助からマリアなる人物の事を聞いたメタルバードは何かしらの考えを思い付いたのか、鹿之助に問う。

「……なあ、鹿之助。良かったら、そのお使いオレ達も同行して良いか?」

「えっ? そ、それは別に構いませんが……」

 修司教のお使いとしてマリアの元に向かう鹿之助に同行したいと願い出るメタルバードに、鹿之助本人は同意する。するとこれを聞いた大友宗助も嬉々とした様子で鹿之助に言った。

「それはグッドな事ですよ、バンビ! 聖龍隊の方々が付き添ってくれれば百人力です! 実はマリア様が居住しているのはアラブの砂漠地帯で、現在そこら辺には盗賊がウヨウヨしていると耳にしていますので聖龍隊の方々がバンビと一緒に行ってくれれば大助かりです」

「それは結構なことよ。ちょっと、そのマリアって女にも謁見していしな」

「それはそれは、よい機会だと僕も思いますよ! マリア様の美しさは、確かに聖龍HEADの女性達には遠く及びませんが、近いものを感じられます……」

 マリアの美しさを称賛する宗助の話を聞いて、ウォーター・フェアリーは「まあ、それは楽しみだこと」と微笑む。

 この時、メタルバードは心の内で人知れず思ってた。

(……マリア、か。修司教とも関係を持ち、更にはアジア随一の美貌を持つ女……確かにオレは昔から女には目が無い方だが、この際どんな女なのか確かめるのも悪くない。それに上手くいけば聖龍隊に何らかの形で支援してくれるかもしれん……)

 メタルバードは、事が上手くいけばマリアなる女性をも聖龍隊側の協力者に取り込める可能性を見出していた。

 同じくマリアなる女性の名を聞いた総部隊長ミラールは、メタルバードに提示した。

「バーンズ! そのマリアって人、私たちルーキーズの隊士に任せてもらえない? ちょうど自分達の世界の暴動を鎮圧化していたメンバーから、それぞれ手が空いたから聖龍隊本隊と合流できるって連絡が来てるから、各自そのマリアって女性の元に先陣として送り込もうと思うんだけど……」

「うむ、それも悪くない! 分かった、今この場にいないルーキーズの各隊士に連絡! 中東アジアのアラブ地区に拠点を置いているという、マリアという女の元で合流せよと!!」

「了解! 早速、指示を出しておくわ」

 メタルバードからの了解を得て、ミラールはスター・ルーキーズ総部隊長として現状に不在のルーキーズ隊士にマリアなる女性の拠点にて合流するよう指令を此方から出しておくと言伝する。

 ミラールにルーキーズ隊士への指令を促したメタルバードは、腕を組みながら思い耽る。

「アジア一の美貌を持つマリア、か……どんな喰わせモンか、この目で拝んでやろうじゃないか」

 メタルバードは謎の美女マリアとの対面を密かに警戒しながらも待望していたのだった。

 

 ――――ところ変わって、此処は修司ランドからかなり離れた地点。

 何とか煙幕を用いた集団でのテレポーテーションに成功したスコーピオン同盟は、修司ランドに貯えられていた修司教の財産を持ち逃げして逃げている道中の事。

「……まったく、考えなしに行動するんだからガイアさんは」

「全くだぜ。苦労が絶えねえよ……」

「文句ばっか言ってないで、手を動かそうぜ。かなりの大金だぜ、うひょ」

 毎回毎回考え足らずの策で行動するガイアの無鉄砲な趣向に手を焼かされる兵部京介と柊潤だが、そんな二人の愚痴を聞きながらもガイアは仲間と共に略奪した修司教の財産を運んでいく。

「ガイア、どうせなら聖龍隊の連中に少しは痛い目みてもらえば良かったじゃない。私たち毎度毎度、異常者(ヒール)として辛い想いしてるんだしさぁ」

「そう言わないの雪華綺晶。ガイアにはガイアなりの考えがあってこそ、聖龍隊とはあまりもめ事を起こさないのよ」

「水銀燈の言うとおりです、雪華綺晶。兄者は、小田原修司によって導かれた彼ら聖龍隊を思ってこそ此方からは手を出さないのです」

 日夜異常者(ヒール)として追われる日々を過ごしている自分達の苦労を聖龍隊にも思い知らせようと思う雪華綺晶に、水銀燈とクリスタル・スコーピオンがガイアなりの考えがあると雪華綺晶に告げる。

 スコーピオン同盟傘下の者たちは今や、首領ガイアに厚い忠誠を示し、ガイアの破天荒で風来坊的な気質に愛想が尽く思いを度々させられながらも彼の義理堅い人情に惹かれていた。

 と、そんなスコーピオン同盟の面々が奪った財産を持ってひたすら荒野を進んでいた、その時。彼らの目の前に一筋の黄金色に輝く光が。

「!」

 ガイアたちスコーピオン同盟が黄金色の閃光の元に導かれるように進んでいくと、光を発していたのはある人物が手に嵌めている手甲だった。

「お前は……!」

 その黄金色の輝く手甲を両手に嵌めている人物を目の当たりにし、ガイアたちスコーピオン同盟は愕然とした。

 その人物とは他でもない、小田原修司の一番弟子にして元聖龍隊の最強精鋭でもある日本の皇軍スター・コマンドーが総部隊長、村田順一であったのだ。

 突然の順一の登場に一驚するスコーピオン同盟だが、光り輝く手甲を嵌めている順一の周りを見てみれば他のスター・コマンドーの面子も勢揃いしていた。

「じゅ、順一! なんでお前らが此処にいるんだ……!?」

 驚くガイアが問い詰めると、順一は笑顔でガイアに言った。

「ガイア、またお前達は泥棒なんかしたのか。しかも修司教からとは……ハハハ! ……実に面白い!」

 寛大な心でスコーピオン同盟の罪科を笑い飛ばす順一に、ガイアたちスコーピオン同盟は険しい面差しで順一たちスター・コマンドーを睨み付ける。いくら今は聖龍隊と離別しているとはいえ、彼らとも敵対している間柄だからだ。

 しかし敵対する視線を送るスコーピオン同盟に、村田順一は笑顔のまま歩み寄る。その順一の行動にスコーピオン同盟は全員、戦闘態勢に入ろうとする。が、順一たちスター・コマンドーは何の動きも示さず、順一のみがガイアの前まで歩み寄る。

 そしてガイアの前まで歩み寄った村田順一は、唐突ながらガイアたちスコーピオン同盟に話し掛けた。

「ガイア、そしてスコーピオン同盟の者! 僕らは争うために此処にいる訳ではない」

「っ!?」

「……君たちと話し合うために、僕らは君たちスコーピオン同盟を探していたんだ!」

「オレ様たちと話……?」

 村田順一の唐突な話し合いの場に目付きを険しくさせるガイアに、戸惑い始めるスコーピオン同盟。

 そして順一はフゥッと大きく息を吸い込むと、思い切って己が胸の内をガイアたちに打ち明けた。

「スコーピオン同盟! 僕たちスター・コマンドーと共に、この乱世を渡ってくれないだろうか!」

 突然の順一の申し出に、ガイアたちスコーピオン同盟は衝撃を受け、さらに動揺してしまう。今まで敵同士であった者同士ながらも、同盟を申し出た順一と彼の意志に付き従うスター・コマンドーの面々にスコーピオン同盟は驚かされてしまったのだ。

 この村田順一の申し出に困惑するガイアが一言「……何故だ」と、強い口調で訊くと、順一はその深い事情を淡々と述べ始めた。

「僕たちは、今の世を変えたい。その為には多くの絆と、何よりも協力が必要だ……! 異常者(ヒール)として処罰の対象にされた多くの人の命と運命を……誰もが幸せに生きていける世の中の為にも、君たちにも力を貸してほしい!」

「………………………………………………………………」

「……もちろん、今まで君らを処罰の対象として捉え、命を狙い続けていた僕たちの事などスグには信用してくれないだろう。だが、それでも僕らの決意は本物なんだ! 二次元人だけではない、どんな人にも世界を……現実を変えられる可能性が秘められている事を世の中に示したい! ガイア、過去の事をスグに水に流せとは言わない。僕らの事を許さなくても良い……共に同じ時代を、乱世を渡り行くためにホンの少しだけ契りを結んでくれないだろうか!?」

 村田順一からの嘆願を聞き、スコーピオン同盟は言葉を失い黙然としてしまう。

 今まで敵として多くの戦いをしてきたスター・コマンドーからの申し出に困惑し、各々で顔を見合わせるスコーピオン同盟。

 そんな混迷するスコーピオン同盟で、ガイアのみが順一達の申し出に第一声を返した。

「昔のことだって、オレ様たちは別にな~~んにも気にしてないぜ」

 過去の罪状から命を何度も狙われてきた事を、自分達は何にも気に留めていない事を伝えるガイアは、更に語った。

「別にオレ様たちは、どう足掻こうと世情からはみ出た異常者(ヒール)。運命は自分の手で切り拓くし、命を狙われうようと構うもんか」

「………………………………………………………………」

「……だから、オレ様たちは今のまま、嫌われ者のままでも結構よ。自由に生きていられりゃ、それで儲けもんさ」

 自分たちスコーピオン同盟は世間から嫌われ続けても、なお自由に生きて行ければそれで構わない故に、自分達を追い回す存在を毛嫌いしていないとハッキリとした口調で語るガイアの話に順一達は黙って耳を貸す。

 しかし同盟の件だけは、ガイアは力強い面魂で申し付けた。

「……だがな。ジュン、お前さん達は過去の……今までの自分達の繋がりである聖龍隊との縁を切ってまでも、自分達の想いを叶えたいと、そう本気で思っているのか?」

 ガイアからの質問に、順一は意志の定まった強い面立ちで答え返した。

「……そうだ! それが僕たちスター・コマンドーの新たなる決意だ! 誰もが前を向いて歩める未来を創生する、それが僕たちの新たなる理想だ!」

「その理想の為に、今まで自分達を育み、前へと歩ませてくれた聖龍隊と敵対しても、か……」

 己が理想の為に、今まで導となってくれてた聖龍隊と敵対する未来になってでもと問い返すガイアの言葉に順一は力強い表情で重い口を開いた。

「……それが、それが……! それが、どんな結果になろうとも……僕たちはもう前へと一歩踏み出してしまった。もう後戻りはできない。……だが、後悔はない」

 どんな結果に結びつこうと、後悔の念はないと説く順一の信念が浮き彫りになる台詞を聞いて、ガイアたちスコーピオン同盟は表情を固める。

 そして順一の、そして彼らスター・コマンドーの決意と信念を聞き入れてガイア・スコーピオンは腕を組み、順一たちスター・コマンドーに一言突き返した。

「……ふぅ、悪いが今のお前さん達と共闘する気は無いよ」「!」

 ガイアの一言に反応し顔を彼へと一斉に向けるスター・コマンドー。

 するとガイアは居た堪れない心境で語り始めた。

「そもそも、どんな結果になるか分からない喧嘩にオレ様たちが手を貸すと思っているのか? なんにしろ、聖龍隊とスター・コマンドー、どっちが勝つにしろオレ様たちが嫌われ者の異常者(ヒール)だって事には変わらねえし。参戦するのもバカバカしいってもんよ」

「………………………………………………………………」

「……それによ、何だか虚しくねえか? 今まで味方同士だった連中が互いの思想の食い違いで敵対しちまうって……オレ様はァ、そんな塩辛い争い事に首突っ込むほど道楽者じゃねえよ」

 どちらが天下を制しようとも、自分達は異常者(ヒール)のままであり、更に無毛な争いごとに関わるほど道楽者ではないとキッパリ同盟の件を断るガイアの話にスター・コマンドーの面々も表情を重くする。

「何にしろ、オレ様たちは高みの見物してるよ。お前さんらと聖龍隊の連中が今後どうなるのか……あの足正義輝が起こした現政奉還を、どう乗り切るのか。この両目で捉えてやるよ」

 ガイアは最後に聖龍隊とスター・コマンドーの動向を見守る形式で話を終えると、スコーピオン同盟の面々と共に宝を持って立ち去ろうとする。

 そんなガイアの話を聞いて村田順一は力強い面立ちで言い放った。

「ああ、分かった! どうか見守ってほしい、僕たちスター・コマンドーと聖龍隊の行く末を……! そしてこの時代の行く末を! 同じ時代を生きる友として見届けてほしい!」

 そう言い終わると順一は仲間のスター・コマンドーを引き連れて、その場から撤退を始める。

 背中越しに順一達が去っていくのを感じ取るガイアは、スター・コマンドーに背を向けたまま哀愁漂う背中で思わず言葉を零した。

「……なんでこうなっちまったんだろうな……」

 何ゆえに一枚岩で、固い結束であった聖龍隊が分裂し、スター・コマンドーが離別してしまったのか。ガイアは心中でそう思いながら哀愁を漂わせる。

 そしてスコーピオン同盟は荒野の中に。スター・コマンドーは大型零戦に搭乗して夜空へと姿を消した。

 

 

 

 その頃、中東のアラブ。

 とある砂漠の中の宮殿で貢物の光物を手に取り、見詰める一人の女性が妖艶な笑みを浮かべて口を零していた。

「ふふっ、妾に見合った部品(もの)が今生に在るかしら……♪」

 その妖艶な美貌を持つ女性は、自分に見合った存在の到着をただただ待つばかりであったのだ。

 

 

[スコーピオン同盟紹介]

 

スコーピオン同盟

 ガイア・クリスタル・メガロの三人のサソリの獣人兄弟を筆頭とした悪役組織であり、以外にも巨大な規模の組織らしい。排除法で行き場の無くなった悪役や敵役が流れ込んでは傘下に加わり、総大将のガイアに厚い忠誠を誓っている。ポジション的にはルパン三世の様な怪盗や、ルフィの様に自由を好む傾向。さらにBASARAの前田慶次のポジションでもある。

 

 

ガイア・スコーピオン

 所属:スコーピオン同盟 総大将

 出身:二次元界

 能力:炎&高熱

一人称:オレ様

 属性:火

 二次元界、フランスの片田舎でとあるマフィアによって育てられたサソリの獣人であるスコーピオン同盟の首領。容姿はダイオウサソリをまんま人型にしたようなガニ股の骨格。しかし腹部の細い足で這う様に移動する事で機敏な動きができる。温情溢れるマフィアから「仁義ある悪党道」ものを叩き込まれ、義賊としても名を馳せており、汚い手段は余り好まない傾向。かつては一時、その悪党道を志すのを半ば諦めていたが、聖龍HEADの最終兵器ちせとの出会いで再び仁義ある悪党道を歩もうと決心、同時にちせに惚れ込み、今でも魅了されてしまっている。能力は口や両手のハサミから高温の炎を放射させたり、炎を使用した技を多用する。この炎はガイアスコーピオンの体を流れる血が燃料となっており、炎を使用し続けると貧血に陥る弱点がある。しかし炎技を多用しなくてもガイアの甲殻は鋼鉄よりも硬く、並大抵の物理技ではビクともしない。また、その体は高温にも強く、溶岩の熱にも余裕で耐えれる耐熱効果がある。実際、暇があるときガイアは溶岩風呂で一汗かくのが道楽だと言う。更に高温を体内に吸収する事で自分の力として発揮する事が可能であり、ガイアに炎系や高熱を発する技を使用するのは火に油を注ぐ様な行為である。それ故に灼熱の環境化には非常に強く、逆に嬉々としてしまう程。また体内に熱を蓄積できる身体能力が有り、これによって極限の低温環境でも活動できる。尻尾の毒針は実際のサソリの猛毒の倍以上の強力なもので、過去に早見青児を瀕死に追い込んだ実績がある。(この時はキューティーハニーの必死の嘆願を聞き入れ、血清を作るのに必要だった自分の毒針を自ら差し出している)性格は温情かつ気まぐれで、滅多に戦いや略奪行為をしないが、道楽半分で泥棒行為をする。また自分の仲間を侮辱されたり、傷付けられた場合は感情的になる一面があるため、スコーピオン同盟では人望が厚い。ちせだけでなく、女性には比較的優しいと言うか、目が無い性分。小田原修司とは宿敵関係にあるが、彼が闇堕ちした時には仲間を救い出す為にも修司を助けた経緯がある。おっさんぽい言動が目立つが、2013年の時間軸では29歳と意外に若い。誕生日は11月22日。

 

キラー・ウォーター・クリスタル・スコーピオン

 所属:スコーピオン同盟 副長

 出身:二次元界

 能力:氷・低温

一人称:私(わたし)

 属性:氷

 ガイアの双子の弟。外見はガイアと外殻は瓜二つだが、クリスタルの方はその名が示すように透明な水晶の様な体をしている。ガイアとは違い、出生が謎に包まれているスコーピオン兄弟の弟クリスタルは二次元界の裏社会でとある暗殺組織に育てられ、暗殺術のノウハウを叩き込まれて冷酷非情な生物兵器へと育成されてしまう。当初、聖龍隊との初接触も、その組織が依頼を受けて聖龍隊を暗殺する為にクリスタルを送り込んでいる事が切っ掛け。しかし後に双子の兄であるガイアとの接触で、その人生は大きく変わり、ガイア自身の手でクリスタルを暗殺の道具として育成した組織を叩き潰した事でようやく兄弟揃って生きていけるまでに至った。組織では暗殺術のほかに徹底した上流マナーも教え込まれたのか、兄のガイアと比べると上品な性格である。常に冷静沈着で物事を捉えられる視点を持ち合わせ、スコーピオン同盟の頭脳として兄ガイアの右腕を担っている。また、根深い裏社会に属した組織で育てられたのか、裏社会の情報にも通知している。能力は兄のガイア同様、超硬度の外殻を持つ点以外は全て真逆であり、クリスタルの方は氷や低温の能力者であり、周囲の冷気を吸収する事で自在に氷の武器を作り出せてしまう。それも相手に致命傷を負わせられるほどの強力かつ暗殺に秀でた武器をだ。水晶の体は透明化させて周りの景観に溶け込めることも容易であり、暗殺や偵察に秀でた身体能力も有する。極地などの極寒の環境には非常に強いが、ガイアと違い高温の環境には弱い。いつも自由奔放で、紐の付いていない犬のように動き回る兄ガイアに度々困らせられている。

 

メガロ・スコーピオン

 所属:スコーピオン同盟 参謀

 出身:二次元界

 武器:レーザー砲撃などの様々な電子武器

一人称:ワタシ

 属性:雷

 ガイアとクリスタルによって造り出されたロボットのサソリの獣人で、ガイアとクリスタルの義兄弟で末弟。体格は上の兄弟と全く同じだが、容姿は半透明のボディに無数の電子回路が内部で光っている。「これからの時代、情報収集は欠かせない」と言い出したガイアの発言を受けて、サソリの兄弟は盗み出した電子部品などを組み合わせて義理の弟であるメガロ・スコーピオンを製作した。だが製作したのは実質そういった知識が豊富であったクリスタルであり、性格なども専らクリスタルよりである。しかし兄弟や仲間を思いやる想いは人間以上であり、スコーピオン同盟でも信頼されている。ネットにハッキングしての情報収集以外にも、目からレーザービーム、両手のハサミからはロケットミサイルを発射できるなど、強力な武器を搭載している。よくクリスタルや他のスコーピオン同盟メンバーと共に、暴走しがちなガイアのお目付役を担っている。

 

 スコーピオン同盟傘下メンバー

 

柊恵一(ウサミミ仮面)/柊潤/クロミ/バク

 スコーピオン同盟の傘下に加わっている異常者(ヒール)と認定されてしまった【おねがいマイメロディ】のキャラクターたち。

 

水銀燈/雪華綺晶

 聖龍隊の登場に伴い、世界線変更や時間軸の乱れから当時に登場している二体のローゼン。行き場のない二体に手を差し伸べたスコーピオン同盟と共に活動している。

 

兵部京介

 スコーピオン同盟でも秀でた能力を有するエスパー。かつてはエスパー同士でしか分かり合えないという思想を抱いていたが、ガイアの自由奔放な生き様に何かしらの共感を抱き、スコーピオン同盟の傘下に降る。(この時、同時に兵部が結成したP.A.N.D.R.Aのメンバーもスコーピオン同盟に降る形であったため、兵部がスコーピオン同盟に降ったと知ったエスパーの中にはP.A.N.D.R.Aを離別する者も現れたなど、状勢が非常に混乱したという)ガイア同様、自由気ままな性格の為に意気投合して色々と問題を起こすトラブルメーカー。

 

ランダージョ

【おとぎ銃士赤ずきん】のキャラであり、ガイアの人柄に惹かれて傘下に降る。

 

グラスホップ

【スパイダーライダーズ】のキャラで、よくランダージョとコンビを組んでガイアに付き従っている。

 

ピエール【シュガシュガルーン】

ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド【ゼロの使い魔】

フーケ【ゼロの使い魔】

 異常者(ヒール)排除法で危うく処刑されかけた三人は、処刑前より行き場の無い現状でガイアから誘われて同盟に降るも、ワルドやピエールが隠し持っていた魔法兵器の作図を小田原修司に狙われたため連行される。スコーピオン同盟の仲間たちが死地に赴こうが自分達を助けてくれる覚悟を示してくれた事で、ようやく重荷でもあった魔法兵器の作図を魔力で燃やして自ら灰に返す。処刑を免れた後は、改めてスコーピオン同盟に加わり、共に旅路へと着く。

 

ホワイト・ヘアーズ(地獄の白髪団)

 2007年3月に当時の聖龍隊政権によって処刑されかけていた【桜蘭高校ホスト部】の須王静江とエクレール・トネール、【焼きたてジャパン】の梓川水乃と梓川雪乃、【きらりん☆レボリューション】の東山薫子と北川、【天国の階段】のハン・ユリ、【ウルトラマンメビウス】の蛭川光彦。三次元人では医療ミスを犯した斉藤石雄に練磨琢也元医師、痴漢冤罪人の鈴木マリナ/山田ミホ/伊藤サオリ、重犯罪に加わったイジメを行った田中クミ/大橋マヤ達によって構成されているチーム。処刑されかけている所をスコーピオン同盟に流れ的に助けられ、後に正式なメンバーとして完全にガイアの傘下に入る。彼らの姿は原作や処刑前とは違い、全員が白髪という悍ましい姿をしており、体温も死人と同様という、まさに生きた死人の様な身体的特徴を有している。その白髪の悍ましさや過去の悪行で周囲からは懸念されがちだが、昔と違い今ではガイアの影響か温情溢れる性分になっており、権力者によって虐げられている弱者の側に立って彼らを守るアンチ・ヒーロー『ホワイト・ヘアーズ(地獄の白髪団)』と名乗り始める。その際の姿は、全員がバイクに跨り燃え盛るバイクヘルメットを被る、さしづめアメリカのゴーストライダーそのものであり、後に本家とご対面して共闘した事もある。

 

【アリス学園】の毛利玲生と【CLAMP学園】の雄大寺挑

 2007年3月25日に起こったアニメタウン郊外の学園地区でのバイオテロで生き残った二人は、ガイア・スコーピオンの生き様に熱烈な感銘を受けて堪らずスコーピオン同盟の傘下に加わる。両名ともガイアに厚い忠誠を誓っている。

 

アルケニモン/マミーモン/エテモン

 【デジモンアドベンチャー】シリーズの敵役。かつて異世界の果てで国連軍に追撃されていたところをガイアたちに助けてもらった事から傘下に降る。マミーモン→アルケニモンへの気持ちの一方通行に加わり、エテモンは演歌を歌いながら戦うと言った自由な生き様を持つ。

 

ザ・インキ

 インクの怪人。三次元人の思想概念で肉体が溶けてしまったフランツ・ノルシュタイン/江頭哲文/ジョー・ギブソンの三名が液状化した肉体を一体化させることで、どうにか人型を保つ事ができている。フランツやギブソンの罪悪感、江頭の悪意が三次元人の思想概念に影響されて人体が崩壊したのが元の根源。人であった頃の記憶は曖昧であり、最初は自分たちの運命を狂わした小田原修司を始めとする三次元人に激しい憎悪を抱いていたが、記憶が徐々に消滅していく事で憎悪も薄まっているが、心の何処かでは未だに三次元人を許せない心境がある。インクの体を持つ事で、自由に形状を変化させる事ができ、下記のブロッドンと合体する事で真っ黒にしか変形できない肉体を多種多彩な姿に変幻自在できる様になる。しかしインク、すなわち重油の肉体ゆえに炎に非常に弱く、簡単に燃え上がってしまう弱点がある。スコーピオン兄弟とは最初、二次元人と三次元人の敵対思想の喰い違いで衝突した事もあるが、記憶が無くなっていく傾向から今では相方のブロッドンと共にスコーピオン同盟の傘下に加わっている。

 

ブロッドン

 インクの怪物。容姿は目のない四足歩行の怪物で、汚いまだら模様に変色している。此方は刑務所に収容されてた【世界名作劇場】の悪役・敵役たちが変異したものが一体化した存在であり、ザ・インキと同じく単体でも自在に姿を変形できる。ザ・インキと合体する事で様々な物体・人物に変身する事が可能。さらに無機質のものに纏わり付く形で憑依することで、それを自在に操作できる(例えば燃料の無い車に憑依すれば、その車が走行不可能なまでに大破しない限り走り続けられる)現在ではザ・インキと同じく人だった頃の記憶は曖昧であり、口調も人語ではなく「ウガ、ウゴ」などの鳴き声に近くなっている。

 

シルクァッド・ジュナザード

【史上最強の弟子ケンイチ】の敵役。本編では死亡しているが、今編では瀕死の所をスコーピオン同盟に救出され、処置を行われたために延命している。

 

アルセーヌ(アンリエット・ミステール)/トゥエンティ(二十里海)/ストーンリバー(石流漱石)/ラット(根津次郎)

 スコーピオン同盟では最も最近になって加わった【ミルキィホームズ】のキャラ四人。国連軍の謀略により正体を暴かれたアルセーヌたちは、元帥赤犬に襲撃されそうになった所をスコーピオン同盟に救われた事で傘下に加わる。自由気ままに活動するスコーピオン同盟に未だ馴染めないところがあるが、激動の時代を生き抜く為にも結束を深めようと思い立っている。

 

 

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