現政奉還記 武将達との会合編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 アジア全土に地下道を掘り進めてた黒劉席の案内の元、彼らが脱した地上は戦場の真っただ中であった。
 致し方なく戦場で無意味な戦いに乗じるテロリストを殲滅していく聖龍隊。だが彼らを遠目から眺めている男の存在があった。
 男の名はゴ・マータン。元は黒劉席の配下であった彼だが、2年前の乱世での失敗を機に性格がガラリと豹変。現在はマータン閻魔帳なるものを自作して名前が記されている相手を片っ端から切り刻んで殺していくという残忍な性分へと変わってしまった。しかも損の閻魔帳のトップは聖龍HEADのメンバーだったのである。
 マータンは自らの歪んだ性格が表れたような武器:奇刃を用いて巧みに攻め続けて聖龍隊を追い詰めていくが、最後に赤塚組頭領 大将がメタルバードと共にマータンを撃退。
 しかし敢えてマータンの息の根を止めず逃がしてやったバーンズ。誰かに認められたいがために凶行に走る想いは、かつての相棒からも理解があったのである。

 そして今回、一行は新たな出会いと別れを目の当たりにするのであった。

 人とは、決断と別れを繰り返し生きる難儀な生き物である。



現政奉還記 アジア紀行編 決断と離別

[希望無き青年]

 

 執行人ゴ・マータンとの死闘を乗り越えて、聖龍隊を始めとする一同は命辛々生き延び、傷の手当てに至っていた。

 マータンから繰り出された奇刃の威力は凄まじく、人間の生肌など絹ごし豆腐の様にスッパリと切り裂かれ多くの血が傷口から流れ出ていた。

「うう…………お前達、大丈夫か」「は、はい……どうにか生き延びられました」

 全身を切り傷だらけにされて苦痛に表情を歪ませるキング・エンディミオンは、同じくマータンに体中を切り刻まれて痛々しい姿へと変貌していた聖龍隊の新人であるキリト達に話し掛けていた。

 一方で深々と切り傷を負わされた痛々しい現状を急きょ打破しようと、セーラームーンとナースエンジェルは互いの治癒能力でお互いの傷を治療してまず自分達が完治すると、それぞれで他の重傷者の傷を治療して回った。

「大変だな、ほんと……」

「乱世では、あんな気が狂った様な武人までも蔓延り始めている。速急に対処しないと被害は増すばかりだ」

 重傷を負わせられ、深手を負ったばかりの大将はメタルバードと共に被害拡大が懸念される現政奉還の煽りを止めなければと使命感に燃える。

 

 そして露出の激しい肉体にも幾つもの切り傷を負わされた鬼龍院皐月率いる本能字学園の者たちも治療してもらい、全員が傷跡を綺麗さっぱり消してもらって移動できるまでに回復した。

「そんじゃバーンズ、これからどこに行く?」

 全員の傷も完治し、行く手を改める大将にメタルバードは真顔で答え返した。

「有無、まずはモンゴルに向かう!」

「モンゴル?」

「そうだ。兼ねてよりモンゴルの若大将になったシン・ユキジが総大将であるモウ・コダイの病床から新たに任命されたばかりだ。そのユキジから今後、聖龍隊とはどの様な関係を築いていくかを改めて確かめに行かなきゃならないんだ。少し韓国からは遠回りになっちまうが、モンゴルで休息も取れるし問題なかろう」

「ま、まあ……お前がそういうなら別に反対はしねえが……」

 こうして一行は一先ず聖龍隊と同盟関係を結ぶか否か決定を迫られるモンゴルへと足を進ませる事と相成った。

 

 モンゴルまでの道中、大将はメタルバードに一つの疑問をぶつけてきた。

「なあ、バーンズ」

「ん? なんだ」

「この現政奉還の煽りを受けて、各地から大規模な略奪や紛争が目立ってきている。その上、刑務所の様な施設にだって内戦が起こって凶暴な囚人が脱獄しているって話がチラホラ耳に入ってきている。その点は大丈夫か?」

「ああ、その点なら確か既に国連軍が動いている筈だし、問題はないだろう。俺たちは保護した新世代型たちの護送にだけ集中していればいいんだ」

「けっ、国連軍か。何だかやな気分だな。お前さん達は未だに国連と連携だけは取っているのか?」

「ま、まあな……立場上、国連軍との仲を疎かにする訳にはいかないからな」

 するとまさにその時であった。国連軍の紋章を施した護送車が一行のすぐ横を通過しようとしていた。

「んっ、あれは国連軍の護送車……囚人、いやテロリストでも乗せているのかね」

 すぐ横を通過する、車内をカーテンで閉ざし切っている護送車とその護送車に付き添う幾つもの二人乗りバイクなどの乗用車に皆が目を奪われていた、その時だった。

 護送車が激しく転倒し、乾いた大地に護送車が横転してしまった。

「あ!」「事故りやがった!」

 横転して動かなくなってしまった護送車を見て、メタルバードと大将たちは一声を上げる。

 すると横転した護送車の中から、舞い上がる砂煙の中から護送されるだろう囚人が続々と這いずる様に出てきて、逃亡を図ろうとしていた。

「いかん! 囚人を逃がすんじゃない、取り押さえろ!」

 メタルバードの鶴の一声で身近にいた聖龍隊士は続々と車内から出てくる囚人達を強引に取り押さえて逃げ道を塞いでしまった。

 すると運転席から国連軍の兵士らしき軍人が出てきて、たまたまとはいえ囚人の逃亡を阻止してくれた聖龍隊に礼を述べた。

「いやぁ、いやいや。本当にすいませんでしたね。何せこいつら、車内でも暴れ回って非常に危険極まりない異端者でありまして、いつ人命を殺傷するか分からない危険人物なんですよ」

「そうでしたか。いや、此方こそ。当たり前のことをしたまでですよ」

 礼を述べる上官らしき軍人に此方も丁寧に挨拶を返すメタルバード。

 そして護送車に一緒に搭乗していた兵士も含み、護送車の周囲を展開していた車からも続々と兵士が降りて逃亡を図ろうとしていた囚人を力尽くで取り押さえ始めた。

「な、なんだか……」「ああ、少し荒っぽいな」

 電撃バトンで殴るだけに飽き足らず、棍棒で頭を強く叩いたり蹴り飛ばしたりと暴力に近い形で囚人を取り押さえていく国連軍のやり口に疑問が生じる

 すると人ごみの中で国連軍兵士に暴力紛いの弾圧を受けている囚人の顔を砂煙の中で見た少女が一人声を荒げて叫んだ。

「お、お父さん!?」

 叫んだのは新世代型二次元人のテレパスである琴浦春香。彼女が父と呼ぶのは、彼女の元父である小野崎功であった。彼は家庭に愛情を持たない冷徹な人間で、育児は全て妻に押し付けるなど父親としては最低であった。それどころか琴浦のテレパスを利用して自身のプロジェクトを成功させようとするなど陰険な策謀を張り巡らしていた。その後、義父であり筆頭株主である経営者から別企業に拾われ再起一転頑張ろうとしたところを異常者(ヒール)排除法に引っかかってしまい、人権及び所有財産も全て差し押さえられてしまい一般の凶悪なテロリストと変わりなく扱われてしまう始末。

 皆が琴浦が自分の実父に気付いたのを皮切りに、他にも見覚えのある面構えが囚人の中に混じっているのに気付いた。

【リトルバスターズ!】の高宮/勝沢/山崎の三人の女子だが、彼女らも異常なまでの悪人ぶりから排除法に乗っ取って人権を全てはく奪されて囚人扱い。

 更には三枝葉留佳(さいぐさはるか)二木佳奈多(ふたきかなた)にとって因縁深い三枝一族の主だった人間達までも、その凶悪性から異常者(ヒール)と分類され、全てを剥奪されてしまったのである。

 そして国連軍兵士に電気スタンでボコボコに何度も殴打されているのが、かつてイオリ・セイ達を何度も窮地に追い込んだケチな人間マシタ元会長とその元秘書ベイカー、更にアイラの元マネージャー兼元主治医のナイン・ベルトの三人までも投獄されていたのだ。

「こ、ここまで知り合いが捕まっていたなんて……」

 余りにも見知った顔ばかりが揃っている囚人の集いに驚くばかりの直枝理樹。

 すると此処で、体中を痣だらけにされて容姿すら判別しにくい醜態にまで晒されている一人の男に神浜コウジが気付いた。

「っ! お前は…………仁か!?」

 コウジの一声に、声をかけられたボロボロの少年は顔を向けた。確かに顔中痣だらけで一見すると誰だか判別は難しいが、よくよく見てみれば間違いなくかつてエーデールローズに主催職を任されながらも全ての悪事が露見した事で永久追放される事となった法月仁に間違いなかった。

「た、助けてくれっ。殺される……!」

 すると此処でいきなりマシタが顔馴染みの面々に向かって嘆願する。すると側にいた兵士がマシタを所持していた棍棒で思いっきり殴り付けた。

「勝手な事はするな!」「ぎゃああっ」

 頭を強く殴り付けられたマシタは絶叫し、他の面々も今までの悪事を働いていた面影は一切消え去り、必死になって助けを求め始める。

「た、助けてくれ春香! もうお父さんは改心した、これからは家族仲良く一緒に暮らそう」

「お、お父さん……」

 琴浦春香は父親が本心から家族団欒を望んでおらず、今は速急に苦しい現状から脱したい思いで一杯だという事を察する。

「い、嫌だ……嫌だ! このままじゃ刑務所に戻されて暴漢される!」

「お願い、見捨てないで……」

「頼む。もう我々には頼れる力は何も残されちゃいないんだ」

 マシタ/ベイカー/ナイン・バルトから嘆願されようとも、セイ達には何もできないのは変わらなかった。

「あ、あなた達に助けてもらわなくても別に構わないわ! どうせ誰も私達の味方にはなってくれないんだもの」

 高宮の方は既に多少ながら自暴自棄に囚われていた。

 

 するとその時、一瞬の隙をついて小野崎功が駆け出し、逃亡を図る。それに続け様に他の囚人達も続々と走り出した。

「あ、逃げたぞ! 撃て! 生かしておけば危険な奴らだ、殺しても構わん!」

 なんと運転手であった上官は銃殺も構わないと判断し、兵士達に武器の使用を許可させたのだ。

「イケねぇ、あのままじゃアイツら殺されちまうぞ……」と、大将が前に飛び出して何とか銃殺だけは制止しようとするが、それをメタルバードが逆に制止する。

(やめろ。下手に邪魔建てすれば、こっちが逆に異常者(ヒール)と見なされて処分されちまうぞ)

 目で語るメタルバードの本音に、何も言い返せないでただ傍観するしかできない大将。

 すると逃げ出す囚人の一人が、兵士が落としてしまった銃器を手に取ってしまった事で事態は悪化してしまった。

「撃ち返せ!」

 まだ発砲もしてないのに、銃器を持った囚人の肩に実弾が着弾して苦痛でその場に倒れ込んでしまう。

 すると此処で上官兵が二人乗り用のバイクで単身乗ってきた兵士に声をかけ、招集させた。

「カァチェン! カァチェン! ここはお前の出番だ、手向かう奴は容赦なく切り刻んでやれッ」

「…………御仰せのままに……」

 頭は黒髪のおかっぱ頭に玉虫色の兜を被っており、身体は玉虫色の鎧を身につけているその青年は、目には生気がなく、伏し目がちになっている青年は、まるで死人の様に返事すると背中に背負っている特殊な形状の槍を自身が搭乗する軍用バイクのサイドカーから取り出すと静かに降り立った。

 無気力な人形の様な眼に生気のない表情、全てに絶望視しているかのような青年は両端に刃が付いた槍を右掌で回転させながら目前の逃亡を企てようとする囚人達に迫る。

「く、来るな! 来るんじゃない……!」

 小銃を震える両手で構えながら近づくなと訴えるマシタ。だがカァチェンは彼らの言葉に耳を傾ける事もなく、細身ながらの俊敏な動きで一気に距離を縮め彼らが緊急で所持した銃器を逆刃薙で一刀両断して使えなくしてしまった。

「う、うわっ!」

 一瞬で全ての銃器を切断して戦闘不能に陥れたカァチェンの腕前に、ただ傍観するしかない一行は驚倒してしまう。

 しかし小銃全てを叩き切ったカァチェンの行為に、軍の上官は腹を立てた。

「カァチェン! 小銃は全て軍が配給してくれた代物だぞ! 銃じゃなく、価値のない囚人どもを斬りつけろっ!」

 この上官の言葉に聞いた一行は誰もが愕然とした。人名よりも配給された銃器の方を優先させたのだから。

 一方、カァチェンの一太刀で咄嗟に手にした銃器が全て破壊されたのを目前とした小野崎達は尻餅をついてすっかり脅え切って動けなくなってしまった。

 それでもまだ一部の囚人達は反逆の意思を見せており、集団で一気に背後からカァチェンなる若者に襲い掛かろうとした。

 だがその瞬間、一筋の閃光が囚人達の未来を断った。僅か一瞬の出来事で痛みすら感じなかった囚人達の首が次々に切断され、血を噴き出しながら生首が地面に椿の花の如く落ちていった。

「き、きゃああああっ!!」

 ホンの一瞬で多勢の囚人達の首を断頭してしまったカァチェンなる若者の業に血塗られた光景を見慣れてない新世代型の女子達は悲鳴を上げる。

 だがそれよりも異常に感じられたのは、生者の生首を一瞬で多く断頭してみせたシバ・カァチェンなる青年の表情が曇ることも無く、微かな変化も見せずただただ頬を血に染めて無表情で立ち尽くしている事であった。

 そしてカァチェンが反逆の意思を見せた異常者(ヒール)を悉く断罪したのを見据えた上官は、カァチェンの冷酷ともとれる仕打ちに尻込みして動けなくなっている新世代型の異常者(ヒール)に向かって淡々と言い聞かせ始めた。

「良いか、お前たち異常者(ヒール)は生きていること自体、大罪なのだ! それを態々、生かして施設で世話してやっているんだから「ありがとうございます」の一言ぐらい言ったらどうなんだ!?」

「………………!」

「ッ……何なんだ、その目は! 生かしてくれてありがとうございますぐらい言えないのか!」

 異常者(ヒール)と見做された者は、存在そのものが大罪であり、それを生かしてやっているだけでも感謝するべきだと意見する上官の一言に小野崎功ら取り押さえられ一箇所に纏められた囚人達は碇に満ちた表情で上官を無言で睨み返す。だがそれが上官の気に障ったのか、上官は所持していた暴挙に走る囚人を宥める為に与えられている棘付きの鞭で目いっぱい囚人達を殴り始めた。

「うわあっ」「きゃあっ!」

 悲痛な叫び声が響く中、聖龍隊を始めとする一行はただ傍観するしか手立てが無かった。下手に国連軍の異常者(ヒール)への処罰を妨害すれば、同様に異常者(ヒール)と見做されてしまう傾向があったからだ。

 無情な惨状が目の前で繰り広げられている中でも、カァチェンは表情一つ変える事無く静観するばかりであった。

 

 するとその時「も……もう嫌!」見知らぬ一人の、女子学生らしき囚人がその場からの恐怖と苦痛に耐えられず逃げ出してしまったのだ。

「あ!」それを見たメタルバードたち一行は、このままでは彼女が銃撃で始末されてしまう未来が垣間見えてしまった。

 しかし上官は慌てる焦燥の様子も無く、即刻傍らにいたカァチェンに逃亡する彼女の拘束を命じた。

「カァチェン! お前が取り押さえろっ」

「……承知仕りました」「っ!」

 このカァチェンの独特の生気のない返答に、上官すら薄気味悪がっていた。

 そしてカァチェンは何と、装備している逆刃薙(さかばなぎ)を前方でクルクルと高速回転させると、風車の要領で地面から浮き上がり高速で移動し始めたのだ。

「う、浮いた!」「しかも速い!」

 地面から浮いただけにあらず同時に高速で空中を移動できるカァチェンの技に驚嘆する男子一同。

 そして空中浮遊して高速で移動するカァチェンは逃亡を企てる少女の背後へと迫ってきた。

「い、いや、助け……」少女が嘆願する暇も無く、カァチェンは少女を追い越して少し手前で停止。すると彼が高速で回転させていた逆刃薙(さかばなぎ)によって少女の肉体が菱形の幾何学模様の如く肉塊へと変貌してしまわれたのだ。

「!」「きゃあっ!」

 いくら異常者(ヒール)と見做されていようと、菱形の肉塊へと切り刻まれた少女の悲痛な最後に誰もが絶叫し、思わず目を伏せてしまう。

 だが、これを見た上官は怒り狂った様子でカァチェンに歩み寄り、彼を怒鳴り散らした。

「こらッ、カァチェン! わざわざ死体を運びにくい様に切り刻む必要はないだろ! もっと、こうスパッと首だけでも斬っていれば良いんだ!」

 死体運搬に手間がかかる殺法を取るカァチェンに文句を言う上官。だが、これにもカァチェンは無気力な声質で返答する。

「申し訳ありません……全ては私の不徳の致すところ故……」

「っ……(本当に薄気味悪い奴だな)ま、まあ自分でやった死体の処理を自分で行うというのなら別に構わん! では我々は生存してしまった異常者(ヒール)の移送に再び取り掛かる。お前はこの肉の塊になった馬鹿者を袋に詰めて後から運んで来い、良いな!」

「………………」

 カァチェンの命令だけを無気力に実行する不気味なまでの思考を停止した物言いに薄気味悪さを感じる上官は、彼が切り刻んでしまった女子の死体をカァチェン本人にやらせ、自分達は先ほどカァチェンが断頭した囚人の遺体を各自に支給されている遺体収納袋に収納すると同時に生存しているその他の異常者(ヒール)の集送に取り掛かる。

「や、やめろっ。また収容所で暴力を受けるのだけは……」

「暴力じゃなく制裁だって言ってんだろ! このクズ!」

 収容所での暴力を制裁だと言い切る兵士に頭を強く殴り倒されるナイン・バルト。

「何をする! こんな事してタダで済むと思っているのか?」

「はぁ? タダで済むと思ってるかって? 何言ってんだ、この婆さん。そもそもお前達の出生記録は既に抹消されているんだ。そんなお前らに人権のじの字も無いんだよッ」

 兵士は罵声を吐き続ける三枝一族の老婆に蹴りを入れて、強引に護送車の中へと押し込んでいく。

「痛い痛い! 髪の毛引っ張らないで!」

「ハッ? 獣以下の異常者(ヒール)が人間様と同じに扱ってもらえるなんて、馬鹿な幻想は見ない事だな」

 高宮/勝沢/山崎の三名の髪の毛を強引に手綱の様に引っ張って車内に移送させていく兵士は、三人に幻想だと言って強引に搭乗させる。

「もう嫌だ……助けてくれよ……っ」「ウっ、グス……」

 涙ながらに慈悲を求めるマシタとベイカー。だが彼らの意見に耳を貸す兵士は居らず、二人も同様強引に同乗させられる。

「や、やめてくれっ。もう何もしないから……ぐぎゃああああ」

 抵抗しない意思を示すものの、兵士は法月仁に拳銃型のスタンガンを発射して彼に高圧電流を浴びせて気絶。

「ん? 何だコイツ、気絶しちまいやがったぜ。まったく」

 発射式スタンガンのテーザー銃で高電圧を浴びて口から泡を吹き、白目をむく仁を見た兵士は徐にズボンのチャックを下ろしてあろう事か気付け代わりに気絶した仁の顔に小便をかけて彼の意識を復活させる。

 そして最後に琴浦春香の父である小野崎功(おのざきいさお)が背中に小銃を突き付けられて護送車の中へと押し込まれようとする。

 この時、功は娘である春香に救いの眼差しを向けたものの、同然の事ながら異常者(ヒール)に同乗するだけで同罪にされ兼ねない現状で彼女達がしてやれる事は全く以てなかった。

 

 そして最後まで抵抗していたと認識され、暴力の限りを尽くされた囚人達を護送車に搭乗させると上官はメタルバートに話し掛ける。

「いやぁ、お手を煩わせてしまって申し訳ありませんでした。でも、これでこのクズ共も無事に収容所に連行できる事ができますわ。インペルダウンに投獄されれば、コイツ等も少しは改心できる事でしょう」

「い、インペルダウンですって!?」

 上官が発した言葉に新世代型の星原ヒカルは愕然とした。そして彼の意図する考えも、共有感知を通して新世代型全員が知る事となった。海底監獄インペルダウンは如何なる人間の侵入や脱獄も許されず、国際連合が世界中の凶悪な異常者(ヒール)を収監する目的とした監獄である。基本的に超凶悪犯が収容されるため、囚人が服役中に獄卒や牢番の機嫌を損ねて私闘を働いたりしてそのまま死亡してしまう事も珍しくないという。

「い、いや……だからといって、インペルダウンに投獄する事はないと思うが」

 メタルバードは如何に小野崎達が凶悪な人間であろうと、インペルダウンに投獄するのはやり過ぎだと反論すると上官は最もな発言で言い返した。

「何を仰る! 現に、今は現政奉還の煽りを受けて世界中の治安が乱れに乱れている始末! 何より、こんなカス共以外にも未だ逃亡している悪漢がゴロゴロ自由になってしまっているんですよ。悠長な事は言っていられません!」

 最後に上官はそういうと、皆に別れの挨拶を述べた上に未だ自らの手で切り刻んだ少女の死体を処理しているカァチェンに台詞を吐き捨てて撤退した。

「では私達はこれで。このゴミ共をトッとと監獄にぶち込まなければ、また多くの罪なき命が奪われてしまいますからな。こらカァチェン! お前もノタノタしてないでさっさと死体を片付けて追い付いてこい!」

「………‥……」

 上官からの指令にカァチェンは無言で頷いて、黙々と肉塊となった死体の後片付けに専念し続けていた。

 そしてようやく、国連軍は囚人達を連れてそそくさと去って行ってしまった。

「な、何なんだ、あの振る舞い……!」

「いくら悪事を重ねた連中とは言え、完全に人権を無視されているわ」

 猿田学と日暮真尋は異常者(ヒール)の人権を丸っきり無視された処遇に違和感を覚えていたが、そんな彼らにメタルバードが託を付け足して話した。

「お前たち覚えとけ。アレが異常者(ヒール)と認定されて人権を失った連中の末路だ」

 悪質な人間と判断され、出生記録すら抹消された事でこの世に生存していない人間に成り下がった異常者(ヒール)の末路を目撃して絶句してしまう新世代型二次元人達。

「おいバーンズ! なんで止めなかった……子供達だって見ていたんだぞ」

 耳打ちでメタルバードに国連軍の異常者(ヒール)への対応を制止しなかった理由を問い詰める大将。するとメタルバードは大将の顔を見据えて訳を話した。

「何を言ってやがる! 今は新世代型たちをアニメタウンまで護送するのが最優先事項だ。ここで国連軍と一悶着起こすのは利口じゃない」

 異常者(ヒール)と認定された人々への冷遇を制止するものなら国連軍との衝突は避けられない。ここは衝突を避け、保護した新世代型二次元人たちの護送を優先させなければならないとメタルバードは厳しい現状を伝え返す。

 

 全員が身内が、知人だった者らが今では異常者(ヒール)として厳しい処遇を施されているのを目の当たりにして愕然と蒼褪めている最中、皆の視線が一点に集まった。それは未だ、先ほどの『彷徨の定義』という高速移動技でぶつ切りにした女子のバラバラ死体を黙々と片付けているシバ・カァチェンなる青年にだった。

 その情景は実に異様なもので、カァチェンは黙々と支給されている遺体収納袋に自らの得物で肉の塊と化した少女の惨殺死体を一つずつ両手で掴み取り、袋に詰め込んでいく。

「…………………………………………」

 生気のない目で地面に落ちている肉塊を見つめ、一つ一つ拾い集めていくカァチェンの異様な光景に誰もが言葉を吞み込んでしまう。

 するとカァチェンを見ていた集団の一人で、前々回聖龍隊と同盟を結んだ黒劉席が彼を見ていて何者か気付いた。

「アイツは確か……台湾の新将軍に就任した若造じゃないか」

「台湾の新将軍!?」

 現在は中国とも独立して完全な国家となった台湾。その台湾の新将軍に就任したシバ・カァチェンが何ゆえ国連軍に滞在しているのか疑問に思う新世代型たち。するとその訳も黒劉席が続けて語り明かした。

「そうだ。だが、あの若造は見ての通り生気というか活気がなく周囲から信頼されてねえんだ。そう、まるで死人か人形の様にただ他人の命令にしか従えない奴でな。今では前将軍の謀反も相まって、国連軍に在席の形でいい様に使われちまってるって言われているぜ」

 周囲から信頼されず、皆から慕われない現況から国連軍により在席の理由でいい様に扱われている現状を劉席から聞かされる新世代型たち。

 そして新世代型たち同様に、今のシバ・カァチェンの状況を耳にした聖龍隊と赤塚組は尋常でない現状にただただ一驚するばかりであった。だが生きる活力のないカァチェンの現状を知って、古参のHEADメンバーと赤塚大作は何かを思い詰めていた。

 すると此処で、新世代型の真鍋義久が勇気を出して肉塊と化した死体を一つずつ収納袋に拾い集めているシバ・カァチェンに話し掛けてみた。

「お、おい! あんた…………」「………………」「っ!」

 勇気を出して声をかけてみた真鍋だったが、生気のない目を向けられた途端、思わずその不気味さに怯んでしまった。

 だが気を取り直して真鍋はカァチェンに思い切って話しかける。

「あんた、よくもそんな残酷な事ができるな!」

 囚人達を断頭しただけに非ず、か弱い少女をも高速回転させた得物で幾何学模様に切り刻んだ残忍な行為ができるなと問い掛ける真鍋の訴えに、カァチェンは驚きの言葉を返した。

「…………それが、どうかしましたか?」「!!」

 残酷に人命を殺めた行為を微塵も感じない言動を示すカァチェンの言葉に真鍋たち新世代型達は愕然としてしまう。

「ど、どうかしたのかって…………あの子はまだ俺や琴浦と同じぐらいの女の子だったんだぞ! それをバラバラに、ぶつ切りにしちまうなんて……!」

「…………逃げなければ、死ぬ事なぞ無かったのです。全ては己が犯した過ちから生じた結果……」

「な……ッ」

 自分達と同級の歳だった女子を惨殺したカァチェンは、逃げ出した彼女の過ちから発生した結果だと論じ、これに真鍋ら新世代型たちは絶句してしまった。

 更にカァチェンは質問してきた真鍋義久に、逆に聞き返してきた。

「何より……私はただ命令に従ったまで。罪を犯したもの、逃げ出したもの、全てを断罪するのが今の私に課せられた責務。そんな私に、命令に逆らう力などあると思いですか?」

「っ………………」

 全ては命令による責務だと主張するカァチェンの一言一句により絶句してしまう真鍋たち。

 更にカァチェンは真鍋たち新世代型たちに衝撃の台詞を告げた。

「……そもそも、立場が上の者の命令を聞くのが社会という世に出た者の宿命。命令通りに実行する事を過ちと感じている時点で、異常だと思わないのですか……」

 このカァチェンの言葉に新世代型二次元人達は衝撃を受け、言葉すら失ってしまった。人間社会として、上の人間の命令を聞く事が正常であり、それを異常と思う自身が異常だと言い切ったのだ。

 そして自らが切り刻んだ死体の肉塊を全て拾い集めたシバ・カァチェンは、肉塊を収納した袋を片手にぶら下げて持つと単身、サイドカー付きのバイクに歩み寄りながら言葉を零す。

「如何なる言葉も……もう遅い、この心には届かない。何故なら……当の昔に、私は止まっているのだから」

 何処か悲しげな真情が感じられる言葉を零し、カァチェンはサイドカーに肉塊を収納した袋を投げ入れ、自身はバイク本体に搭乗してその場から無言で去っていった。

 

「……………………………………………………」

 シバ・カァチェンの衝撃の言動と思想に驚きを隠せない新世代型二次元人達は、バイクで地平線の彼方に去りゆくシバ・カァチェンを無言で傍観し続けていた。

 一方で聖龍隊と赤塚組の多くが新世代型二次元人達と同様の心境で去りゆくシバ・カァチェンを見届ける中、古参のHEADメンバーと赤塚大作だけはシバ・カァチェンに対して何か特別な思いやりがあった。

 

 この一連の情景を遠目から眺め続けていた者たちがいた事に誰も気づいていなかった。

 一人はモンゴル軍の忍頭、猿飛佐助。そしてその佐助が横目で自分同様、シバ・カァチェンや国連軍との一端を見届けていた集団を見据えていた。

 彼女達は颯爽と姿を晦まし、消えてしまった。佐助は彼女達の動向を気につつも、自らも姿を消した。

 

 

 

[離別する流星]

 

 知人であった小野崎功(おのざきいさお)、高宮/勝沢/山崎、三枝一族、、マシタ、ベイカー、ナイン・バルト、法月仁らが異常者(ヒール)として弾圧される非情な光景を目の当たりにした一同は、更に無気力ゆえに国連軍に身を置かされてしまうシバ・カァチェンの異常と捉えられる思想にも驚かされてしまう。

 そんな中、再び一同は広大なゴビ砂漠を通過して目的のモンゴルにまで足を運び続けるのであった。

 

「……まさか、異常者(ヒール)って認定されるだけであそこまで酷く扱われるなんて……」

「うん……」

 初めて異常者(ヒール)認定を受けた者の扱いを目の当たりにした新世代型達は、その壮絶なまでの弾圧に蒼然と化していた。中でも実父だった小野崎功が痛め付けられるのを目前にした琴浦春香は余りの衝撃的な光景の数々に表情を蒼褪めさせていた。

「……こ、琴浦。大丈夫か?」

「真鍋くん……うん、ありがとう」

 蒼褪める琴浦を見て気遣う真鍋義久に彼女は礼を返す。

 全員が全員、先ほどの衝撃的な光景に言葉を失くし、ただただ静かに歩いていた。

 するとその時、遠方より煙が上がっているのを先頭を進んでいたメタルバードと大将が気付く。

「! おい、あの煙……」「まだ戦闘みたいだな。しかも俺たちが進む先みたいだぜ」

 空に上がる煙の発端が自分達の進行する通過地点の最中だと気付いた二人は、急いで足を進ませた。

「急ぐぞ! また戦闘で無意味な犠牲者が出る前に」

 メタルバードは無意味に紛争での犠牲者が出るのを防ぐ為にも、急いで煙が上がる地点にまで急進するよう仲間達に告げる。

 聖龍隊はやむを得ず新世代型二次元人たちを急がせて煙が上がる地点にまで急行した。

 急いで駆けつけた地点では、既に戦闘は終結しており、辺りには戦闘で焼け焦げた草木や戦闘用の機関銃が破壊され硝煙を上げていた。

「既に戦いは終わっていたか」

「うん、でもこの状況……僕らと同じ能力者がいた痕跡が見られる。一体、何処の誰が……」

 終結した戦いを見て、痕跡から炎や氷などの能力者が現場にいた事が伺えるメタルバードやジュピターキッドたち聖龍隊。

 すると其処にはある集団の姿が見受けられた。

「っ! アレは……!」

 その集団に気付いたメタルバードは急いで駆け寄り、他の皆々も其処へと駆け付けて行った。

 其処にいた集団、それは聖龍隊でも随一の清栄と呼び声高し、現在は日本天皇家にも仕える皇軍にまで抜擢されているスター・コマンドーであった。

 集団の先頭にはスター・コマンドー総部隊長、村田順一が。その傍らには彼の側近にして婚約者、そしてグールと呼ばれる異世界の怪物と胎児の頃に融合してしまった境遇を持つ深澤マイの姿が捉えられた。

 

 二人の周辺には以下のスター・コマンドーの隊士の姿も確認された。

 元殺し屋の【イフリート~断罪の炎人~】の氷炎ユウとニナミ

【おとぎ銃士赤ずきん】の赤ずきん、その相棒で銀狼のヴァル/白雪姫/いばら姫

 ニュー・スターズのアンリエッタやエレオノール、カトレアの身内である【ゼロの使い魔】のルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール/平賀才人/タバサ/キュルケ

【デジモンセイバーズ】の大門大とアグモン/トーマ・H・ノルシュタインとガブモン/藤枝淑乃とララモン/野口郁人とファルコモン

【ワンワンセレブー それゆけ!徹之進】の徹之進ことセレブナイト、

【絶対可憐チルドレン】の明石薫/野上葵/三宮紫穂、【結界師】の墨村良守と雪村時音

【史上最強の弟子ケンイチ】の白浜兼一と風林寺美羽、

【出ましたっ!パワパフガールズZ】の赤堤ももこことハイパー・ブロッサム、豪徳寺みやこことローリング・バブルス、松原かおることパワード・バターカップ

【BLOOD+】の音無小夜

【スパイダーライダーズ 〜オラクルの勇者たち〜】のハンター・スティールと彼のパートナースパイダーのシャドウ、コロナとビーナス、ルメン王子とエボニー、スパークル姫とホターラ、イグナスとフレイム、マグマとブルータス、アクーネとブルータスの妹ポーシャ

【ひまわりっ!】の日向ひまわり、あざみ、ヒメジ、ゆすら、万里小路ハヤト。先ほどモンゴル軍の猿飛佐助と共に偵察していたのは、ひまわり達であったのだ。

 カーボンナノチューブを基に開発された、日本の純国産兵器であった優秀な人工知能C.A.T.(Carbon Algorithm Tube)【ハルノクニ】の黒猫ハル。

 

 主に彼らは北の国の解放から戦前で一躍名を轟かせ、その後の功績から日本政府より皇軍の地位を与えられ、小田原修司の信頼も厚かったと言われる村田順一に絶対的な忠義を持った精鋭達である。

 

 そんな屈強な精鋭の中で、通称ジュンの愛称で親しまれている村田順一は何処か居た堪れない面差しで一点を見詰めていた。

「ジュン!」

「なんだ君達だったのか! いや、戦闘で煙が上がったから何だったのかって気にしたけど……」

 順一達の姿を確認して安堵したメタルバードやジュピターキッドら聖龍隊の各隊士達が彼らの所に駆け付けようとした矢先、先に駆け出したメタルバードとジュピターキッドが何かの違和感を感じ取り徐に足を止める。

「ジュン……」「どうしたんだい? みんな」

 順一達の様子がいつもと違うのを感じ取ったメタルバードとジュピターキッドが彼らに声をかけてみると、一同は揃ってメタルバード達に顔を向けた。全員が順一同様に居た堪れない悲痛な強面で、まるで睨み付けるかのように振り返ったのだ。

 一方で順一が目を向けていたのを気になった新世代型たちが、其方へ目を向けてみると思わず声を上げてしまった。

「うわっ!」「ひ、酷い……!」

 思わず目を背けたくなる残虐な光景が辺り一面に広がっていた。それは無数の銃弾を浴びせられ、身体中が穴だらけの悲惨な死体の山が脈々と築かれていたのだった。

「……ジュン、これは……」「……国連軍が既にやって来ていたのか」

 メタルバードとジュピターキッドは、能力などを一切使わず銃火器だけで惨殺された死体の山から、スター・コマンドーよりも先に国連軍が現場にやって来て暴動を起こしていた異常者(ヒール)を全て片付けていた現状を察した。

 順一は、その惨状を目の当たりにして非常に居た堪れない心境に至っていたのだ。

 そうジュン達は、スター・コマンドーが惨殺の限りを尽くして行った異常者(ヒール)排除の残忍性に感極まっていた。

「……ジュン君、それにみんなも。大丈夫……?」

 居た堪れない心境に浸るジュン達を前にし、ミラーガールが彼らに声をかけようとする。

 すると声をかけられそうになった瞬間、順一はミラーガールたちHEADの方に顔を一斉に振り返り強い面魂を向けた。

 突然の面差しに戸惑うミラーガールたちHEAD。そんな彼らに順一は辺り一帯に広がる惨状を腕一杯に示して熱く語り出した。

「HEAD、あなた方はこれを見て何とも思わないんですか? いいえ! 既に気付いている筈です……かつての僕らの師匠、小田原修司が二次元人を護る為に制定した排除法案。それは今では暴力に暴力が生まれ、完全に暴走している事態に!!」

「……………………………………」

「……確かにあの人のやり方には昔から抵抗がなかったと言えば噓になる。悪と決めつけた者、裏切った者は容赦なく斬り捨て、平然と惨殺に明け暮れる日々……そんな日々もまた、僕ら二次元人を護る為に致し方ない事だったと今でも思い知らされています」

「……………………ジュン……」

「ですが! 今の国連、いやあなた方がやっている排除法はどうなんですか!? 異常者(ヒール)に認定されただけで出生も国籍も全て白紙に戻され、存在そのものを抹消される人々。そんな人々に降りかかるは、存在そのものを失ったが故に徹底的に痛め付けられ、拷問の限りを尽くして生きるという行為そのものを恥に感じ入らされる屈辱の毎日! これが僕たち聖龍隊の…………小田原修司が望んでいた未来なんですか」

 敵対し、裏切った者をも平然と斬り捨てる無情な小田原修司。彼が二次元人の未来のために発案した排除法も、今ではただイタズラに人命を弄んでいる悪法に成り下がり始めている事実を、同じ小田原修司の思想の下で戦い抜いてきた聖龍HEADにぶつける村田順一。彼の一言一句にHEADはただ何も言い返さず、黙々と彼の熱弁を聞き入れていた。

 そしてここで順一が己の心の片隅にずっと置いてあったある真情を目前のHEADや赤塚組の面々、更には仲間であった聖龍隊士に吐きぶつけた。

「もう僕たちは今の現政が行う排除法案には真っ向から反対なんです! 昔の様に弱者を護る筈だった法案が、今では弱者を生み出し、その弱者を嬲り続けるだけの悪法に成り下がってきている! 僕たちは、その歪を……過ちを正します!」

 村田順一の突然の告白にHEADもその他の聖龍隊士も赤塚組も新世代型二次元人達も衝撃を受ける中、そんな熱く語るジュンに忠誠を従うスター・コマンドーの面々もそれぞれの思いを洗い浚い吐き出してジュンへの正当な忠誠を言葉に表す。

「俺達は元は始末屋、殺し屋だ。だけどジュンの真っ当な生き方に心底評価は下しているつもりだ。そんなジュンが決めた事なら、俺達も黙ってジュンに付いていこうと思ってる。

「……私もユウと同意見。ジュンは本当に、私の様な異端者であろうと真っ向から手を差し伸べて互いに結びつきを与えてくれる、そんな人……こんな人、早々いない。私は、例えみんなと敵対する事になったとしても、ジュンの決意には賛同する意気込みです!」

 元殺し屋のユウとニナミ、現在は聖龍隊の世職の傍ら探偵業も熟している二人は元殺し屋という清廉潔白な経歴でない自分達すらも受け入れてくれる順一に硬い信頼を預けていた。

「私達だって本当は凄く嫌なんです! 中には年端もいかない子供だって排除法案で消されて行って……確かに、私は余り法律というものに詳しくはないけど、このままにしておくのはイケないってのはハッキリ判る!」

「赤ずきんの言っている通りだ。毎日毎日、飽きる事無く続けられてる排除法案でどれだけの死体が焼かれて無縁仏として処理されていくのか……俺の鼻にもいっつもツーーンとしていやがるんだよ! 死体の焼ける臭いってのは……!」

「この世界を清く正しくするために、清廉潔白な世の中を創り、そして保持する為に制定された法案。ですが、それも時と共に風化し、人々はただ権力の思うがままに弱者を痛め付けるだけの日常へと変って行ってしまいました」

「私たち二次元人には己を、世界を変える力が備わっていると日々小田原修司から聞かされていました。今度は、この排除法案で血塗れに変わってしまった世界を何処まで変えられるか、自分を試したいんです!」

 法律をよく理解していなくともこのままではイケない事だけは理解できると豪語する赤ずきんに、日々死体の焼ける臭いで嗅覚を塞がれてしまうヴァルの言い分。そしてこの変わり果てた世界で何処まで自分達の力量が変えられるか試したいと述べる白雪姫といばら姫。

「この世には、既に原作者が死んで物語の筋書きが曖昧な為に権力者によって都合のいい筋書きにへと変更されてしまっている物語も数多い。リン、それは貴女も同じ筈でしょ。私は……いいえ、私達は原作者の先生ではない、自分自身の力で自分の未来を築いていきたいんです! これは、その決断でもあるんです!」

「俺もルイズに全く同じだ! 原作者が死んだのは、それはそれで悲しい結末だが、だからといって俺達の物語が終わったわけじゃない! 今こうして二次元界と三次元界が融合している今だからこそ、自分の未来は自分で……白紙のページは自分で書き潰さなきゃ生まれてきた意味がないんだよ!」

「……私も、ルイズや才人についていく。この憎悪と混沌に満ちた世界で私達がやれる事は極端に少ないでしょうけど……それでも少しでも私達の力を必要としている人がいる限り、私達は立ち止まる事は許されないのよっ」

「アタイも同じ。そもそも最近の排除法案って血生臭すぎるって薄々HEADのお偉い方も気づいているでしょう? いっくら昔馴染の愛情を感じられない鬼が発案した法律だろうと、それを緩和させる事ぐらいはできるんじゃないのかね?」

 ルイズに指摘を受けた同じく原作者を失った【傀儡師リン】の主人公リンも、才人にも指摘を受けて未来無き二次元人は自らの手で未来を創造しなければならないと言われて愕然とする。そしてルイズや才人同様に、順一に付き従う意思を見せたタバサとキュルケの二名も聖龍隊に残留する意思は見せてくれなかった。

「デジモンと人間、二つの種族がバラバラだったのをジュンが北の国開放でようやく一つに纏まり掛けた! だけどな! 血に染まった未来では何も成し得ないってのも俺には理解できる。だから今の時代は,未来にとっは無意味なんだよ!」

「アニキの言う通りだ! 人間もデジモンも……妖魔や魔物、アクマとか色んな生き物と出会えてオイラ凄く楽しかった! だけどその裏で異常なキャラって判断されて殺されていく二次元人を見るのは、もうゴメンなんだ!!」

「確かに小田原修司の理想はボク達だけでも十分に理解できます。理想と現実、相容れぬ二つの思想を一体化させる事で叶えられなかった人の夢を叶えさせられる……これが小田原修司の理想だった。だが同時に! 現実の世界で蔓延る傲慢な人間を異常者(ヒール)と位置付けて全てを武力で解決していく彼の姿勢には、前々から懸念していました」

「武力でしか成し得ない理想よりも……武力を捨てて自らの拳のみで闘い続けるジュンに私達は全ての希望を託します!」

 啖呵を切って熱く語り出す大門大は、熱血漢でありながらも血に染まった未来では潔白な未来は築けない事を悟り、それには相棒のアグモンも同じであった。更に付け足してトーマと藤枝淑乃(ふじえだよしの)も武力行使を続ける今の国連や聖龍隊と違い、武力を捨てて戦いに身を投じる村田順一を推し進めた。

「私も順一さんに従います! 今では犬魔法も向上し、犬と人間の橋渡しになる夢もそう遠くない現実になってきました。ですが同じ人同時で殺傷し合い血を流す光景はもう見たくありません! HEAD! それに聖龍隊の仲間も赤塚組の皆さんも、お金で命は買えないんですよ!!」

 愛と勇気(正義)とお金儲けの使者、セレブナイトの台詞で登場する徹之進ことセレブナイトは、金銭では決して取り戻せない人命を優先した言動を思いっきり目の前の皆に叫び散らす。

「アタシ達も、もううんざりなんだ。昔みたいにエスパーだとノーマルだと争いは減少した。だけど未だに世界中で国連や聖龍隊に反するテロが勃発しているのが頻発している! 私達はあくまでエスパーとノーマルが平等に平和に生きていける世の中を創るのが目的。だけど今の聖龍隊には…………そんな力は、もう残ってないみたいだ」

「!!」

 明石薫の最後の一言に愕然となる聖龍HEADに追い打ちをかけるかの如く野上葵と三宮紫穂も自身の真情を語り明かす。

「そうや、いつまでたっても戦い戦い……もう休む暇もない程や。私達だってエスパー以外は普通の人間やで! 毎日毎日、戦争で多くの仲間が死んで、多くの敵の死体を踏み越える日々にはもうウンザリなんや」

「薫ちゃんと葵ちゃんの心労は痛いほど解る。どんなに戦いを続けても休まる事のない争いの日々、それを止めるべくして結成された聖龍隊という組織。異常者(ヒール)を倒して捕まえて端正し直して、再び異常者(ヒール)を投獄する日々……まるで輪廻の様に埒が明かないわ」

 日々終わる事のない戦いの連鎖、それによって流れる多くの血を浴びて、亡骸を踏み越えて戦場を各個進む聖龍隊士の日常を述べた紫穂の言葉には、それそうとうの重みが感じられた。

「俺は……俺は最初、時音やみんなを護る為に結界師になった! 今では結界師としての務めも終えて、次の夢に向かって日々頑張っている! だけど、そんな平和になった日々でもジュンは排除法案で苦しむ人々の事ばかりを考えて自分で自分を責めてしまっている。ジュンが背負おうとしているものの大きさは十分に理解しているけど……少しは肩を貸してあげたいんだ」

「ジュンはいつも周りの人たちの事ばかり考えて、自分の事になるとテンで頭が回らない困った大将! だからこそ、ジュンの夢を実現させる為にも私達が協力し合ってスター・コマンドーを支えていかなきゃならないんです」

 力強い墨村良守と笑顔の雪村時音の言葉に、彼ら二人の言葉を聞いた面々は静かに驚いてしまう。

「武力はあくまで人を! 弱者を護る為のモノです! 僕たちも順一さんの力になる所存!!」

「ケンイチさんの言う通りですわ。力はあくまで弱者を甚振るものではなく、護る為に必要なもの。順一さんは其処をよく理解してくださっています。何より今後とも、私達は順一さんの苦悩を一緒に背負ってあげたいんです」

 拳を前に突き上げて力強く唱える兼一の傍らで、美羽は笑顔で丁寧に低い物腰で頭を下げる。

「そりゃ…………先輩達と別れるのは心苦しいですよ。今まで色んな技を、作品の枠を超えて教えてくれた聖龍HEADの方々には、お礼の言葉も申し切れないほど特訓させてもらいました!」

「今では、その思い出一つ一つが私達の大切な力の糧です。でも、思い出というのはあくまで未来を……明日を導いてくれる大切な光。私達はその光を他の方々にも分けてあげたいんです」

「黙って今の政権に下って言うとおりに働くなんぞ、かつての聖龍隊じゃなくなっちまてるぜ! オレらはこの現状を自分達の力だけで切り抜けていくつもりだ!」

 ブロッサム/バブルス/バターカップの力強い言動に思わず圧倒されかける一同。

「争い無き平和な世、それが私達の師匠にしてジュンが師と仰ぐ小田原修司が掲げた理想! その理想が今、単なる幻に変わろうとしてしまってます。それはHEADであるあなた方も既に気付いている筈! 人種はもちろん、国境も種族も分け隔てなく平等に生きていられる世界を修司さんが最後まで望んだ様に、私達も最後まで諦めたくないんです」

 力強くも、所々に悲痛で弱々しい言動も混ざっている小夜の言い分に誰もが心を突き動かされる。

「オレ達も同じだ! 争いや戦いの日々に身を投じる訳じゃない……みんなが一緒になって生きていける世の中を築いた上でそれを維持する為に自分と闘い続けているだけなんだ!」

「彼の小田原修司は申した……本当に手強いのは目の前の敵に非ず、己の中に潜む弱気己自身と。我々は各々、確かに考え方や思想は違えど修司殿やあなた方から受け継いだ教えだけは心中に留めてゆく一心のみ!」

 スパイダーライダーズのハンター・スティールとパートナーのシャドウの力強い一言一句に、他のスパイダーライダーズもスパイダー達も賛同の意を表示する。

「この世に完璧な平和は訪れない……その悲しい実情を私達は小田原修司から学びました。それでもホンの少しでも人々と平和な時間を共有できる日々を思い描き、それを現実にしていく事の素晴らしさや尊さも知りました! ……私達、ひまわり組のスター・コマンドー専属の諜報機関もジュン達に賛同します!!」

 自分達も順一達同様に、完璧な平和は築けないがホンの僅かな平和な一時を築きあげ、それを多くの人々と共有できる日々を思い描いていた思い出を振り返りながら順一達の力強い決意に賛同する事を日向ひまわり達は表明する。

 最後に日本政府の純国産兵器であった人工知能の黒猫ハルは、聖龍HEADはもちろん他の面々にも猫の如き瞳を向けて皆々に語り出した。

「もちろん、ジュン達の決意全てが必ず実現できるとはボクも思ってはいないよ。だけど今や、テロや犯罪を減少させる為に一部の異常者(ヒール)を弾圧するやり口にまでは賛同し切れない。危険な賭けでもあるが、ボクはジュンを………………スター・コマンドーを信じてみたい。兵器であったC.A.T.の一体としてではなく、ジュンたち人間の仲間であるハルとしてね」

 現情勢のやり口に賛同し切れず、危険は重々承知の上で順一達スター・コマンドーを信じて彼らに賛同したいと丁寧な口調で述べるハルの言葉にHEADも何も言い返せなかった。

 ここでミラーガールは、同じ様に大勢の人々の想いを背負って戦い続ける男を愛してやまない女性同士である愛澤マイに顔を向け、彼女に問うた。

「マイちゃん、あなたはこれでいいの?」

 聖龍隊と決別し、下手をすれば元味方同士で刃を交じ合わせなければならなくなる順一達の決意にマイ自身はどう思っているのかミラーガールが訊ねると、マイは最初疑心暗鬼な表情から一転、力強い表情でミラーガールたちに己の真情を語り明かした。

「あたし………………あたしも! あたしもジュン君に付いていきます!」

「!」「マイちゃん!」

 自らも順一達に付き従う決意を表明する愛澤マイの発言に、ミラーガールを始めとする多くのHEADが驚愕する。すると、そんな彼女に慕い合う順一が声をかけてきた。

「マイちゃん、良いのかい? 僕たちに付いていくって事は、つまり……」

 心配そうに見詰める順一の表情を見ずとも、マイは自分の出した決断が何を意味しているのか理解していた。

「うん、解ってる。あくまで聖龍隊は私たち二次元人の故郷アニメタウンの絶対防壁としての意味合いもある独裁民主主義国家の頂点。一人の人物を中心にピラミッド組織構成の上位の人々が話し合う事で物事を決めていく特殊な国家を形成している軍事力、それが聖龍隊。その聖龍隊と武力で決別するという意味は、すなわち母国への反逆行為に当たる!」

「…………………………」

「修司さんが言っていた。理想の町作りから理想の国家へと。そして世の中にまで発展させて、多くの人々が分け隔てなく種族関係なく暮らせる国家としてアニメタウンを増大していった末に、北朝鮮の解放での功績から日本とは完全に独立した国家だと証明した上で成長させられた。元からあった現実世界の国家と対等に接する事ができなければ理想の世界を創造するなんて夢のまた夢。だからこそ独立国家として体制を築き上げた上で国際社会にも通じる国造りを修司さんは……いいえ、HEADの皆さんは怠らず日々頑張ってきた!」

「マイちゃん……」

 不条理な世の中を少しでも変える為に、元から健在であった国や政府とも対等に通じ合える国家の体制造りに奔走し続けてきた小田原修司を筆頭とした聖龍HEADの奮起をマイは熱く語る。

「……だけどそれが全てじゃないわ! 敵であった人も、今は亡くなってしまった人も含めて、そんな人達がいたからこそ今のアニメタウンは存在しているんです! 国は一人だけじゃ築く事すらできやしない、だけどみんなが協力し合ってその上に基盤を積み上げていく事でようやく皆が笑顔で生きていける国が築けるんです! ジュン君達は、そんな過去に置いてけぼりにされた人達の分まで戦おうとしているんです……っ!」

 敵対してた存在も、また今は死んでしまった人々の想いもあってこその現在の国家があると主張するマイは、そんな過去に忘れ去られた人々の為にも恩情厚い聖龍隊と敢えて決別して戦い合おうと決意しているのだと、遂には涙を流し始めてしまった。

 そんなマイに順一は優しく抱き寄せ、自分達の決意と真情を代わって語ってくれたマイに感謝する様に優しくも強く抱擁してあげるのだった。

 マイの涙ながらの弁明に他のスター・コマンドーも騒ぎ始めた。

「マイの言う通りだ!」

「彼女の言う通り、修司さんが築いたサムライ法は今では余りにも多くの無意味な血を流し始めてしまってます! 今ここで止めなければ、時代は最悪の顛末に至ってしまいます」

 銀狼のヴァルにセレブナイトが強く申し開くサムライ法とは、異常者(ヒール)排除法案の別称であり、前々より侍に通じていた小田原修司が発案した法案という事で呼ばれている。

 ヴァルにセレブナイトを始めとするスター・コマンドーの面々は強く主張した。

 理想の国家や世界観に達する為に、小田原修司が強引に世界各国に可決させた排除法案は、本来ならば可能な筈の仮釈放を免除したり、囚人を男女共同で刑務所に収容させたりなど犯罪者の人権をほぼ無視した形の今までの憲法を違反するギリギリの法律であったのだ。

 同時に少年/少女犯罪者も通常の成人犯罪者と同等に罰せられ、少年保護法なんて法律は過去の話なのである。更に、これらに異を唱える者も同等の異常者(ヒール)と見做され罰せられてしまう点が問題なのだ。これは犯罪者や異常者(ヒール)と認定された親族も反論すれば同罪に課せられてしまう。

 この様な理想の世界を創造する小田原修司が発案したサムライ法が齎した影響は世界に凄まじく、修司を英雄視する民衆も居れば同時に憎悪を向ける群衆も存在しているのが常識である。しかし国連の巧みな情報操作で小田原修司は完全な英雄視だと世間が決め付けてしまっているのも事実である。彼が自らが発達障害者である事を自白する自伝本を出版するまで。

 

 この様な経緯から、聖龍隊内部でも異常者(ヒール)排除法案またはサムライ法が大きく賛否が分かれてしまっているのだ。

 順一達は、この様なサムライ法を国際法にまで発展させてしまい、紛争地域やテロ支援国家以外の国々では既に可決されてしまっているサムライ法をどうにか変えようと決意した上での聖龍隊離別だった。

 サムライ法を避けて国外に逃亡しても、サムライ法を受理していない国はその殆どが紛争地域やテロ支援国家という別の意味で危ない国しか残っていないのだ。これには国連がサムライ法を可決した時点で既に大勢の犯罪者が国外逃亡しようと図ったが、行く先々で同じ様な犯罪者で溢れ返って溜まり場になってしまう難点からサムライ法は立派な国際法に可決され、可決されても受理しない国そのものが治安の悪い国なので犯罪者の溜まり場になる事はないのであった。

 

 武力が武力を生み、その武力がまた弱き者を虐げる世の中に戻ってしまう事を恐れた村田順一は、かつての師匠小田原修司が残した法案を少しでも緩和させる為に離別という動きを示したのである。

「ジュン、本当に行っちまうのか。ここで袂を分かち合えば、次に俺達が出会った時はそれこそ……!」

 今ここで離別すれば次に出会った時には敵同士になる事実を順一達に告げるキング・エンディミオン。すると順一は振り返る事なく、ただ真っ直ぐに前を向いて己が信念を吐き出した。

「前総長、小田原修司の思い描いた理想は実に素晴らしかった! そして何よりも美しかった、それは認められます。……だが、今の血で血を洗う政権のやり口ではその理想はそれこそ夢のまた夢どころか淡い雫となって消え果ててしまいます! バーンズさん達が、修司さんがいなくなった事で国連の強い命令には従うしかない事実もまた理解しています。だからこそ! 僕らがその暴走を喰い止めなければならないんです! 例え……死力を尽くして共に戦い抜いた戦友や家族と離反する事になっても、誰かがやらなければならないんです!!」

「ジュン君……!!」

 前総長であった小田原修司が思い描いた理想を心より理解していた村田順一の凄まじい気迫と意志の強さにミラーガールの目からは自然と涙が零れ落ちた。

 

 そして順一は強い面魂で俯いていた顔を前へと向けると、聖龍HEADの面々に顔を振り返さず言葉のみで言い放った。

「今まで、お世話になりました…………去らばです、皆さん!」

 そういうと駆け出すジュン達。ジュンに続いて他のスター・コマンドーも駆け出し、全員が平賀才人が運転するスター・コマンドー専用機スター・ウィングに搭乗して行く。

 平賀才人が操縦するスター・ウィングは、彼がルイズの世界で搭乗してた旧日本軍の零戦を聖龍隊屈指の技術力で改良を加え、重装備にしただけでなく大幅に機体を大型化してスター・コマンドーの面々全員が搭乗できるまでに改良した戦闘機である。更に異次元移動装置も完備されており、いつでも好きな異世界に飛行する事が可能なのである。

 そんな中、続々とスター・コマンドーの面々がスター・ウィングに搭乗していく最中、同じ死地を切り抜けてきた仲間であり身内であり弟子であるスター・コマンドーを思わず呼び止めようと師弟関係であるHEADや後方支援部隊にして身内でもあるニュー・スターズが駆け寄ろうと走り出したその時「やめろっ!」と、メタルバードが彼らを一括し制止する。そして強い面魂で聖龍隊の皆々に言った。

「みんな放っておけ!! ……ジュン達は自分達で決断したんだ」

 自らの決断の下、自分の意思で聖龍隊を去って決別の道を選んだジュンたちスター・コマンドーを止める資格は誰にもない事をメタルバードは皆に強く推奨する。

 そして全員が決別したスター・コマンドーを見守るしか出来ない中、彼らが搭乗したスター・ウィングはエンジンを起動させ、プロペラを回転させて発進してしまった。そしてそのまま空の彼方へと消えてしまったのであった。

 

 

 

 この一編の様子を先ほどと同じく遠目で観察していたモンゴル軍の猿飛佐助は、自身が上がってる木の根元でひっそりと佐助同様に聖龍隊とスター・コマンドーの離別の瞬間を目撃してた人物に目を向けていた。

 佐助の考えるところ、この男の目的も自分同様……今の聖龍隊との接触なのであろうかと。

 

 

 

[冷血の出現]

 

 長きに渡り、共に苦楽を感じてきた小田原修司の弟子にして聖龍HEADの教え子の集いであった聖龍隊最強の精鋭にして日本天皇家直属軍として皇軍としても名高いスター・コマンドーの突然の離反に、誰もが衝撃を隠せなかった。

 時に技を伝授し、時に戦略を叩き込み、時に美味たるものを共に食べ合い、苦楽を共にしてきたスター・コマンドーの苦渋の決断に聖龍隊とくにHEADは複雑な心境を抱いていた。

「………………」「……ジュン君……」

 気落ちするキング・エンディミオンにセーラームーンといった聖龍HEADにメタルバードが渇を入れる。

「しみったれるな! ジュン達は自分自身の意思で決めたんだ、それを俺達がどうのこうのと言う筋合いはない!」

「…………………………………………」

「……ジュンはな、あいつ等はあいつ等なりに責任を感じているのかもしれねぇ」

「責任……?」

 気落ちする聖龍隊に怒号を放ちながらも最後にはしんみりとした心持ちで零したメタルバードの言葉に、その言葉を聞いた新世代型の真鍋義久が問い詰めるとメタルバードは彼らに明かしてくれた。

「ジュン達もな、修司があそこまで暴走しちまったのを未だに後悔していやがるんだ。オレたち二次元人と三次元人の共存の為に掲げた理想、その理想を叶えるが為に行ってきた数々の所業……綺麗事だけでは決して築く事のできない未来、でもその未来に夢見てきたアイツの信念。オレらもそうだが、ジュン達もそんな修司の世に掲げた思念に想いを馳せていたんだよ」

 皆が思い描く理想を一人で背負い続けてた小田原修司。彼が皆の理想を達成する為に数多くの所業に手を染めてしまった事実を述べたメタルバードの横顔は、どこか寂しげでもあり悲しそうにも見受けられた。

 

 と、皆がスター・コマンドーの聖龍隊からの離反で気落ちしている、まさにその時だった。

 激しい地鳴りが大地を轟かせ、遠くから怒号の様な唸り声が幾つも聞こえて来たのだ。

「な、何事だ!?」

 突然の地響きにメタルバードもその他全員も動揺してしまう。すると遠方から土煙と共に大勢のゴロツキやテロリスト達が武器を装備して迫ってきているのが飛び込んできた。

「な、何よアイツら!」

 突然の訪問者であるゴロツキやテロリストの大軍に新世代型の薙切えりなが絶叫すると同時に他の皆々も同じく何事かと土煙を上げる軍勢の方へと顔を振り向かせる。

 多くの者が混乱する中、冷静な判断で自分達に迫ってくる大軍勢が何なのかを察したジュピターキッドが皆に呼びかける。

「全員、構えていろ! あいつらは現政奉還の騒ぎで収容所から脱獄した凶悪犯ばかりの連中だ!」

 すると同時にジュピターキッドは指示も繰り出していく。

「ルーキーズ! 君たちは最優先に一般市民である新世代型の警護に当たれ! 誰一人、傷付けさせてはならないぞ」

「ニュー・スターズ! スター・コマンドーが居なくなった矢先に指示を出すのは気まずいが、今は暴徒と化した囚人達を制圧するのが第一だ! 君等には僕らHEADのサポートに回ってもらいたいたいが、異存はないかい?」

 スター・ルーキーズに続き、身内や直属の補助に回っていたスター・コマンドーの紛失で気落ちしていたニュー・スターズの承諾も得られたジュピターキッドは同じHEADと共に戦前に飛び出て向かってくる暴徒達の前に阻む。

 暴徒達は速度を緩めず、勝気な姿勢と態度で一気に武力で目前の聖龍隊や赤塚組を叩きのめしてやろうと走り続けた。

 が、その時だった。暴徒達が駆ける地面が瞬く間に氷で凍て付き、暴徒達は氷漬けにされて全員ピクリとも動かなくなってしまった。

「! ……っ」

 突然の事態に誰もが困惑する中、そんな困惑する皆の目の前に一人の男が現れた。

「まァ、少し落ち着きなさいや」

 凍て付いた地面から氷の塊を発生させたかと思いきや、その塊から己の姿を露にした謎の男は全身を草臥れたコートにズボン、上半身には薄い白の短袖シャツ、そして背中には左肩にかけてボロボロのリュックサックを背負い、右手にのみ手袋。青いバンダナを頭に被せた黒い丸渕眼鏡をかけた、如何にも旅人風の男性がその全貌を氷塊から現した。

「お前……! なぜ……!?」

 氷塊から現れた男を見てメタルバードや多くの聖龍隊が愕然とする中、出没した男は眼前の新人組である【SAO】と【AW】と【マギカ】組に全身から凍て付く冷気を発しながら話し掛けてきた。

「お前ら、アレだよ……ホラ……何だっけ? 忘れた、もういいや」

 飄々とした掴み処のない人格にパンチパーマにもとれる髪型、そして氷系の能力者という事で現場の多くがその男性の正体を察した。

 かつては中国将軍にしてそのまま国連軍大将にまで出世していたが、今は軍を抜けて一人放浪の旅を続けている元国連軍大将冷苦(レイク)、通称青雉であった。

 別称、氷の能力から冷血冷酷とも言われる冷苦(レイク)は全ての暴徒達を氷漬けにすると此方の方へ歩み寄りながら声をかけてきた。

「えれェ事になってんじゃねェの」

 聖龍隊と赤塚組更には黒劉席軍との同盟、そして彼らが引き連れる新世代型二次元人達を見た冷苦(レイク)は事態の深刻さを実感していた。

「よぉ、你好(ニーハオ)。まさかお前さん達とこんなところで会っちまうとは……奇遇だねェ」

 中国語の挨拶を述べた後に会話に入り出す冷苦(レイク)は、全身から闘気に代わって冷気を上げながら話し始める。

「しかしなァ……これで終わったんじゃ……アレだろ?」

 冷苦(レイク)は新世代型二次元人達を警護している聖龍隊を見て何かを思ったのか、次の瞬間トンデモない事を言い始めた。

「お前ら、おれと戦っとくか」

 凍て付いた縮れ毛と面差しで自分と一戦交えろと言い出してきた冷苦(レイク)に衝撃を受ける一同。

 メタルバードは凍て付いた冷苦(レイク)の冷たい眼差しを見詰めて、彼が自分達の力量を図ろうとしているのだとスグに察した。

「なるほど、一戦交えて互いの力量を見る、って訳か。そうだな……」

 しばし考え込むメタルバードは、如何にすれば早々にそして確実に互いの実力を見合えるか考えた結果。

「そんじゃ………………陣取り合戦で競い合うってのはどうだ?」

「陣取り合戦!?」

「そうだ、オレたち聖龍隊でもよく鍛錬で行っているんだが……二つか三つのグループに分かれて、それぞれ相手のグループを攻めて陣を奪取するって合戦方法だ。下手に攻めてばかりじゃ、今度は逆手に取られて自分達の陣を取られちまうから意外と気が抜けねェ合戦練習なんだよ」

 陣取り合戦で互いの力量を見合おうと言うメタルバードの提案に、陣取り合戦を初耳にした新世代型たちが思わず返答するとメタルバードが詳細に説明した。

 

 メタルバードとジュピターキッドは互いに議論を交えた結果、聖龍隊の新人達と冷苦(レイク)一人との合戦に決定した。

 合戦場はちょうどアメフトのコートと同等の広場で見立ててソードアート・オンライン組、アクセルワールド組、そしてマギカ組の三組で元国連軍大将の冷苦(レイク)との一戦を開始した。

 冷苦(レイク)はこの合戦で、初代総長が抜けて新しく構成された聖龍隊という組織力の新戦力を見図ろうと魂胆を立てていた。

 そして合戦は、聖龍隊側の三組が冷苦(レイク)一人を取り囲む陣形で合戦は開始された。

「そんじゃ、ちィとメンドくさいがやらせてもらいますか」

 次の瞬間、冷苦(レイク)は右手を前に突き出すと掌から大量の氷柱を発射して攻撃してきた。

 発射された大量の氷柱に聖龍隊の新人達は冷静に攻撃を回避し、態勢を立て直して反撃を試みようとした。だが態勢を立て直そうとしたSAO組の方へ、冷苦(レイク)が右手から冷気を蓄積させた。

「アイス(ブロック)…………暴雉嘴(フェザントベック)!」

 右手に蓄積した冷気を氷の塊に形成して直後、氷塊は両翼にして5mほどの巨大な雉が一直線に放たれたのだ。

「うわあ!」

 キリト/クライン/エギルは巨大な氷の雉に吹き飛ばされ、吹き飛ばされた三人は同時に全身に凍て付く寒さが襲ってきているのを実感した。

 更に冷苦(レイク)は得意の技であるアイス(ブロック)を冷気で上空に発生させて作り出し、その他の新人達の頭上から巨大な氷塊が降り注いできた。

 頭上から連続で落下してくるアイス(ブロック)を必死に回避しながら冷苦(レイク)に接近し、白兵戦で近接戦闘に入ろうとアスナと美樹さやかが剣で冷苦(レイク)に斬りかかろうと迫った。だが冷苦(レイク)は足元に生えていた草を千切るとそれを氷の吐息で凍り付かせ、並々ならぬ氷の剣を形成させて応戦する。

「アイスサーベル!」

 白兵戦用の技に用いられる長さ100cmは有ろうかというアイスサーベルで互いに剣を重ねるアスナ/さやか/冷苦(レイク)が激しく剣を衝突させる最中、冷苦(レイク)の背後から別の新人が冷苦(レイク)に槍で一突きにしようと猛進してきた佐倉杏子が。

「このっ」

 杏子は冷苦(レイク)に炎を纏った関節槍を一突きにしようとするが、冷苦(レイク)は一突き目を容易にかわしてみせ、二発目三発目もかわしてみせる。

 杏子は戦法を変えて、足技をベースに槍を使いこなす遠近両刀型で冷苦(レイク)を攻撃していくと、たまたま炎を纏った刃が冷苦(レイク)の左足に直撃。左足は粉々に砕け散ってしまった。これを見た佐倉杏子に観戦してた者たちは一驚してしまう。

「あ、アンタ……まさか左の足……」

 粉々になった左足を目の当たりにして困惑する杏子に問い詰められ、冷苦(レイク)は渋々答えた。

「あ~らら、容赦なく攻撃してくるね、お嬢ちゃん。まあ、こんぐらいの足ぐらいスグに元に戻せるけど」

 そういった冷苦(レイク)は紛失した左足を氷結させて、即座に氷の塊で義足を形成し左足を元通りにしてみせた。

(あの足! 元から義足だったのね!? しかも自分の能力で成形した氷の義足だなんて……レベルが高すぎる)

 義足であった左足を元通りに氷の能力で復元した冷苦(レイク)を目視して、暁美ほむらは冷苦(レイク)の特殊能力者としてのレベルが異常なまでに高い事実に直感する。

 その間、冷苦(レイク)はアイスサーベルでアスナやブラック・ロータス達と激しい剣戟を開始していたが、スグに手の平から冷気を発射して彼女達を牽制する。

「あらら……ここまで強く鍛えられちまっていんのか」

 彼女達の奮闘を目前に、冷苦(レイク)は新人達も大いに鍛え上げられているのだと感心し直した。

「アイスBALL(ボール)

 すると此処で突然放たれたアイスBALL(ボール) にアスナやブラック・ロータスは回避できたが、回避が遅れたリーファやライム・ベルは球状の氷塊に閉じ込められてしまった。

「リーファ!」「今助けるぞ!」

 仲間を助けんとキリトやシアン・パイルが氷塊を壊そうと取り掛かろうとした矢先、二人の背後に長身の冷苦(レイク)が立ちはだかった。

「!!」

 異様なまでに長身の影に覆われたキリトとパイルが愕然としていると、冷苦(レイク)は二人の肩に手を乗せて技を発動させた。

「アイスタイム」

 すると冷苦(レイク)が手を置いた部分の肩から冷気が直接送り込まれ、キリトとパイルの身体が徐々に氷で覆われていった。

「っ!?」「こ、氷が……!」

 徐々に氷で覆われていく現状に、キリトもパイルも愕然として成す術が無かった。

 そして遂にはキリトとシアン・パイルの両名は完全に氷漬けされてしまい、身動きすら取れなくなってしまった。

「今……余所見したろ? そんな隙があっちゃ勝てねェよ」

 氷漬けにした二人を直視し、冷苦(レイク)は如何なる戦況に置いても余所見は命取りであると警鐘を鳴らす。

 だがキリトとシアン・パイルを氷漬けにした冷苦(レイク)に今度は美樹さやかと巴マミが無数の銃と剣を派生させて一気に射出してきた。

「あらよっと。お前さん達、魔女って奴かい? だけど魔法ぐらいじゃオレ様は倒せねぇぜ」

 魔法では自分は倒せないと豪語する冷苦(レイク)は軽々と射出された銃弾や刃を回避していくと、同時にさやかとマミの二人も位置を変えて移動する。

 そして先ずは美樹さやかが大量の剣で冷苦(レイク)を串刺しにしてやろうかと自身の周囲に無数の剣を発生させて一気に剣を射出、大量の剣が冷苦(レイク)目掛けて発射されるが「両棘矛(パルチザン)」氷であるが為に変形自在のアイス塊を矛の形状に変化させて相手目掛けて射出する両棘矛(パルチザン)で美樹さやかが射出する剣を相打ちにする冷苦(レイク)

 冷苦(レイク)両棘矛(パルチザン)と美樹さやかの剣は空中で衝突し、互いに威力が打ち消されて双方の技が消滅してしまった。が、その瞬間を狙って巴マミが周囲から発生させた無数の魔法陣から幾つものクリケット銃を展開して、強力な魔力の弾丸を冷苦(レイク)に撃ち込んだ。マミが撃ち込んだ弾丸は冷苦(レイク)の上半身に大きな風穴を開け、無数の弾痕で一気に亀裂が生じて冷苦(レイク)はバラバラに砕けてしまった。

 大打撃を期待していただけで、まさか砕け散るまでに冷苦(レイク)が至るとは思いも寄らなかった面々は粉砕した冷苦(レイク)に愕然としてしまった。

 しかし上半身を完全に喪失した冷苦(レイク)の下半身から氷塊が音を鳴らしながら発生し、瞬く間に巨大な氷塊ができるとそれが一気に砕け散って元の姿のままの冷苦(レイク)へと戻った。

「ふぅ、やれやれ……お前さん、意外と容赦ないねェ」

「!」上半身が砕け散るほど銃弾を魔法の銃弾を浴びせたにも関わらず、紛失した個所から氷を発生させて元通りに形成して再生できてしまう冷苦(レイク)に銃弾を撃ち込んだマミも他の面子も慄いてしまう。

 するとこの戦況を目前にした聖龍隊の新人達は前々から聞いていたある能力の特性について苦い表情で思い返していた。

「やっぱり……流動体質系か!」「打撃や斬撃は一切効果がない……不死身に近い能力系統!」

 彼らが思い返していた流動体質系とは、体内の能力が常に内部を流動している為にあらゆる打撃攻撃をも受け流してしまい本人には全く効果が表れないという驚異の能力系統であった。冷苦(レイク)自身もまた氷の流動体質系で、如何に身体を粉々に粉砕されても即座に損失した個所を凍て付かせ、氷の塊を形成させる事で損失した個所を復元してしまう再生能力を保持しているのであった。

「まだまだ行くぜ……そりゃっ」

 冷苦(レイク)は御次にと今度は氷の竜巻を発生させてその中に多くの新人隊士達を巻き込ませて氷漬け&吹き飛ばしていった。この惨状を目の当たりにした大将は気になってメタルバードに耳打ちで問い掛けた。

「お、おいバーンズ。いくらなんでも冷苦(レイク)とはレベルが違いすぎるんじゃないか。このままじゃアイツら全員死んじまうぞ」

 すると耳打ちされたメタルバードは余裕綽々の微笑で大将に答え返した。

「大丈夫だって。アイツらの、あのコスチュームというかスーツは並大抵の攻撃じゃビクともしない設計にしてあるんだから死にゃあしないって。高温や低温にも耐久性があるんだからな……まあ、体力は普通に消耗するからボロボロになるかもしれないがな」

 新人達が着込んでいるスーツは聖龍隊の屈指の技術力で作られた代物で、並大抵の攻撃には耐えうるが体力だけは消耗すると言われて唖然とする大将。

 すると地獄耳の如く、このメタルバードと大将の話を耳に入れていた完璧な実力で抗戦しても大丈夫であろうと高を括り、聖龍隊の新人達に必殺技をお見舞いした。

氷河時代(アイス・エイジ)

 地面に手を着けた瞬間、手から送り込まれた強力な冷気で大地が一辺に凍り付き、発動した途端に周辺で応戦してた聖龍隊の新人達は全員同じく氷漬けにされてしまった。

「うわッち! ブルブル……さ、寒すぎる……!」

 大よそ一週間は解けないと言われる冷苦(レイク)氷河時代(アイス・エイジ)にも耐久性があるスーツのお陰で即効で解氷されながらも、あまりの寒さに肩を抱き寄せ合う聖龍隊のエギル。

 しかし氷河時代(アイス・エイジ)で凍り付かされて凍て付く思いをされた新人達に冷苦(レイク)は攻撃の手を緩める事はせず、彼らの頭上からアイス塊を続々と落下させて応戦。

「うわっ」「また降ってきたですぅ!」

 頭上からのアイス塊に戸惑うばかりのシルバー・クロウに百恵なぎさ。

 だが頭上からのアイス塊を回避した面々に冷苦(レイク)は躊躇う事無く矛の形にして相手へと飛ばす両棘矛(パルチザン)で追撃。更に逆方向の面々には巨大な雉を象り、その嘴で相手を穿(うが)暴雉嘴(フェザントベック)をお見舞いして逃げ場を完全に奪ってしまう。

 そして足場を凍て付かせて移動の自由すら奪っただけでなく、アイス塊からの派生技そして地面から幾つもの発生させた巨大な氷柱針などで逃げ場を完全に奪取した冷苦(レイク)は反撃の意思すら失いかけている聖龍隊の新人達に冷酷にも言葉を発した。

「悪く思うなよ。お前達にはこの時代…………背負いきれない」

「!!」

 今の時代を背負い切れないとはっきり言われた新人達は一瞬で表情が固まった。が、そんな衝撃を受ける新人達に冷苦(レイク)は冷血にも大技を叩き込んだ。

氷星(アークティカ)!!」

 猛烈な吹雪が新人達に直撃し、凍て付けた直後に上空から巨大な両棘矛(パルチザン)が無数に降り注ぎアッと言う間もなく殲滅させられてしまう大必殺技を最後に勝負は決まった。

「そこまでっ!」

 メタルバードの一声が辺りに響いた。

 戦場として使用された大地に佇んでいたのは、冷苦(レイク)だけでその他の新人達は全員先ほどの氷星(アークティカ)で全滅させられ、身動きできずにいた。

 すると冷苦(レイク)は自身の目の前で跪いた状態でコチコチに凍り付いたキリトの目前まで歩み寄ると、いきなり右足を上げてまるでキリトを踏み砕こうとする態勢に入った。これには流石の聖龍隊や赤塚組、そして新世代型達も驚愕。そして次の瞬間、冷苦(レイク)は振り上げた足を一気に下ろして氷を木っ端微塵に踏み砕いた。

 誰もが一驚する中、冷苦(レイク)が踏み砕いたのは凍て付いたキリトの真横にあった氷の塊であった。

 そして冷苦(レイク)は自分と死闘を繰り広げた新人達に向かって一言警鐘を告げた。

「まぁこれに懲りたらあんまり無茶しなさんな。じゃあな」

 そういうと冷苦(レイク)は凍り付いた新人達を尻目にその場から立ち去ってしまった。

 

 

 と、思いきや。冷苦(レイク)はまだその場から立ち去っておらず、戦況を黙って傍観してくれていた聖龍隊総長メタルバードと話し込んでいた。

「やるじゃないの……期待通りの成長だよ、聖龍隊は。ただな、お前さん達が背負い込んでる新世代型ってのだが……ありゃあ、相当にヤバいモンとして見られてきちまってるぜ」

「そうか、新世代型はやはり其処まで危険視されちまってるのか……」

 聖龍隊の新人隊士の実力を期待通りと称賛する一方、保護している新世代型二次元人達が世間から危惧されている現状も聞かされ、メタルバードは表情を曇らせる。

 その反面で、先ほど冷苦(レイク)との一戦で徹底的に凍て付かされた聖龍隊の新人達は、凍傷に成りかけている損傷をセーラームーンやナースエンジェルの治癒能力で回復してもらっていた。

 すると此処で、新世代型たちが自分達が世間から危惧されていると口に出した冷苦(レイク)に何ゆえ自分達がそう危険視されているのかを問い詰めた。

「な、なあ! なんで俺達が其処まで危険視されなきゃならない訳!? ただ、前の新世代型たちが反旗を起こしただけだって言うのに…………。アンタに会う前に偶然出会った同じ新世代型の異常者(ヒール)共だって、半ば新世代型だけって理由で痛め付けられているようにしか見えなかったんだぜ!!」

 冷苦(レイク)に遭遇する以前に出会った知人や身内を含んだ囚人に混ざっていた新世代型二次元人達は、忌み嫌われる危険極まりない異常者(ヒール)と判別されてるというよりも明らかに新世代型として偏見で責められている様に感じ入る実情を冷苦(レイク)に告白する真鍋義久。

 すると冷苦(レイク)本人は頭を悩ませながら真鍋たち新世代型二次元人達の問いに受け答えた。

「悪ィが、おれも国連軍を辞めちまった身の上だ。詳しい事は何も知らねェ。ただ、政府や国連軍の対応が普通じゃなくなっちまっているのは確かな事だ。まァ、足正義輝が現政奉還なんて物騒な真似をしちゃあ、対応が普通で無くなるのも無理はないがね。どっちにしろ、おれから言える事は一つだけ……アンタら、この先、気を付けた方がいい」

 明確な答えも出せない冷苦(レイク)だが、新世代型二次元人達に警鐘を告げた。

「政府は今回の一件であんたら新世代型をどうにかしようって考えている節が見える。下手すりゃあんたら………………消されるよ」

 この冷苦(レイク)の警鐘に新世代型二次元人達は一同に衝撃を受けた。更に「政府は呪われた遺伝子を複製したあんた達を邪険に扱う輩もいるって事だけは知っておいた方が良いぜ」と冷苦(レイク)は謎めいた言葉を新世代型たちに言い残す。

 そして話の矛先は再びメタルバードに戻された。

「バーンズ、せっかく聖龍隊の新総長になってウハウハできるところだったのに新世代型の現政奉還で多忙になっちまって哀れだねぇ。それにも関わらず、三次元政府の命令もまだ出てないのに新世代型二次元人達を救い出しちまうとは、その……いや、理由なんて野暮な事までは聞かねェでおくよ」

 すると冷苦(レイク)は今度、先ほど自分との一戦で痛め付けられた聖龍隊の新人達の前まで歩み寄ると、彼らに後学のためとはいえ気難しい話を語り始めた。

「聖龍隊、後学の為に話しておきてェんだが……正義なんてモンは、立場によって姿を変える。お前さん達が自分自身の姿を変える事で正義を成し得ようとしているのと同じでな。そんなお前さん達が自分の正義に従ってんなら、それを通せばいい…………おれが言いたいのは、それだけさ」

 そして聖龍隊と赤塚組、新世代型二次元人達と黒劉席軍の連合軍と別れを告げようとする元国連軍大将冷苦(レイク)は、最後に衝撃の事実を皆に告げた。

「なあ、お前達。既に解っている奴もいるとは思うが……この現政奉還の乱世を生き抜いた奴だけが、足正義輝が望む新たなる世を創造する権利を得られる。無論、それは武に秀でたお前さん方も同じだ」

「!!」

「己が野心一つで容易く世界を塗り替えちまう輩がわんさか出没して暴れ回っている現状で……その発端を生み出した新世代型二次元人達を護り抜くのがどう難しいか、お前さん達なら解ってる筈だが」

 全ての乱世、混沌の根源が新世代型二次元人達だと残酷な事実を述べる冷苦(レイク)の発言に、皆一同が揃って黙然と化してしまった。そんな中、冷苦(レイク)

聖龍HEADに歩み寄り、彼らに話し掛ける。

「HEAD、お前さん達がやろうとしているのは……後々トンデモない悲劇を招く事になるかもしれないぜ。お前さん達も知っての通り、アイツらにはあの男の遺伝子が深く根付いちまってる。そんな連中を匿っていたら、お前さん達は……」

 すると、この冷苦(レイク)の一言にミラーガールが笑顔で返答した。

「……確かに彼らを護るのは大変な事になるのは分かってる。だけど、そこで諦めて逃げ出したら何の解決にもならないでしょ! 私は彼らと……いいえ、全ての心ある者が平等な世界で幸せに生きていける。そんな未来を望んでいるのは、未来永劫変らないわ」

 このミラーガールのハキハキと凛とした発言に流石の冷苦(レイク)も何も言い返せなかった。

「なるほどね。流石は聖女、鬼と婚約しただけの器量はあるわ。おれ様が今、言えるのはそんだけだ……じゃ、またな」

 そう言い残して、冷苦(レイク)は正真正銘立ち去って行ってしまった。

「………………」

 冷苦(レイク)が残していった数々の発言に戸惑いの感情を隠し切れない新世代型たち。

 

 

 すると冷苦(レイク)がいなくなった途端、何処からともなく人型の影が颯爽と現れては皆の目の前に出現した。

「ヨッ、お久しぶりだね諸君」「佐助!」

 目の前に姿を現した人影は、モンゴル軍忍頭の猿飛佐助であった。先に聖龍隊と離反したスター・コマンドー、その諜報部門の「ひまわりっ!」組と共に異常者(ヒール)認定された新世代型たちの末路を傍観していた忍である。

「あらよっと。今の一戦も陰ながら御拝観させてもらいましたよっ。まさか、あの冷血冷酷の冷苦(レイク)を相手に徹底的に歯向かっちゃうとは……君たちねぇ、自分らの力量解ってんの?」

 冷苦(レイク)との戦いも一部始終拝見させてもらった猿飛佐助は、冷血冷酷と名高かった冷苦(レイク)とまともに戦い合った聖龍隊の新人達に自分らの実力の足りなさを痛感させた。

 そして冷苦(レイク)との戦を見終えた佐助は、今度はアジア全土に穴蔵を掘り進めているという情報を掴んでいる黒劉席軍の主将と対談した。

「ふ~~ん、地下道とは考えたね、おたく!」

「まあね! ……ま、考える前に手足が動いたんだがな」

 地下道を掘り進めて利用する策を素直に称賛する佐助に対し、黒劉席は知性よりも先に手足が活動していたと意気込んだ。

 そんな他愛もない話を進めている佐助にメタルバードが駆け寄り、事の真意を佐助に改めさせた。

「そんで……オレ達に何の用だ?」

 すると佐助は緩めていた笑顔の表情を険しくさせ、メタルバードに事の真相を伝えた。

「っ、ああ、実はな…………俺様達もアジア各地の戦況をこの耳と目でハッキリ見てきた。その真情をウチの大将に伝えようとモンゴルまで帰ろうとしていた矢先にアンタらに遭遇したって訳。どう? ウチと組む気にはなったか?」

「そうだな…………それはオレも薄々考えていた。だがまずはモンゴル軍の主将代理シン・ユキジの意見を聞かないとな」

 メタルバードより思考を伝え聞いた佐助は飛び上がるほど喜々とし、跳ね上がった。

「やっりィ! それじゃ、さっさとモンゴルに行くとしますか!」

 佐助が喜々とモンゴルへの帰還を喜んでいると、そこに劉席軍の主将黒劉席が話に割って入ってきた。

「おおっと、済まねぇがお前さん達、ここいらでちょいとばかしお別れだ」

「何っ?」「なんか魂胆でもあるんじゃないだろうな」

 ここらで離別しようと言い出す劉席に、毎度の事ながら何かを懸念してしまう聖龍隊の李・小狼と木之元桃矢。だがそれに劉席は素直に白状した。

「い、いや違うんだよ! 小生達は小生達で色々と穴蔵の整備をしなきゃならないから、いつまでも地上に出ている訳にはいかないだけなんだ」

「はっは、なるほど。モグラはいつまでも地上にはいられないって訳かい」

 いつまでも地上にいられない黒劉席の事をモグラと小馬鹿にするメタルバード。

 

 こうして一行は黒劉席の軍隊と離別して、猿飛佐助率いるモンゴルの忍び部隊と共にモンゴルへと参る事と相成った。

 その道中、佐助は聖龍HEADに先ほどのスター・コマンドーの離反に対して問い詰めてきた。

「それにしてもおたくら、今後どうする訳なのさっ。精鋭中の精鋭だっていうスター・コマンドーが今の君らを嫌って決別しちゃった訳だし、余計に戦力に影響が出るんじゃないのかな? ここはやっぱ、猪突猛進でちぃっとばかし知恵が回らないとはいえ人望厚いウチの大将と同盟を組んだ方が得策じゃないのかな?」

「見ていたのか……」「君等には関係のない事さ」

 スター・コマンドーと離反した所を見られたのを知って険しい表情で目線を向けずに答え返すキング・エンディミオンとセーラーウラヌス。だが佐助はウラヌスの発言に対してこう指摘を述べた。

「何を言っちゃってんだがね、カリスマのお姉さまがよっ。いいか、聖龍隊ではもちろん日本政府の皇軍としてでも世間一般から受け入れられてるスター・コマンドーを誰もが同盟相手に欲してるのは目に見えてるじゃん。誰だって、彼らの戦力を手中にしたいと思うのが当然。ここはさ、縁を切られた者同士、仲良くやっていかない?」

「……まずはそっちの主将の判断を伺ってからな」

「それは分かってらっしゃいますって。俺様も旦那の判断抜きでの決定は嫌だからな」

 聖龍隊最強の精鋭と言われたスター・コマンドーを戦力として欲し、同盟を求めている国が多数存在している中、自分達の様に世間から白眼視されている者同士、仲良く同盟しようではないかと微笑みながら言う佐助に対し、メタルバードはまずモンゴル軍の主将シン・ユキジの意見を聞かなければならないと説く。これには佐助も同意見。彼にとってもシン・ユキジは昔ながらの友でもある頭なのだ。

 

 

 しばらく一行がモンゴルまで続くゴビ砂漠を通過していると、前方からモンゴル軍の忍が駆け付けてきた。

「どうしたんだ?」

 慌てた様子の忍びに誰もが騒然となる中、忍頭の猿飛佐助とHEADが馳せ参じた忍者の言伝を聞いて愕然となった。

「そんな、馬鹿な……!!」

 言伝を聞いて佐助は酷く落胆した様子で地に手を着いていた。

 一方のHEADに他の聖龍隊士が問うと、想定外の答えが返ってきた。

「それが…………どうもモンゴル軍の前線基地、しかも主力基地が暴徒と化した異常者(ヒール)に乗っ取られちまったらしい」

「何だって…………!!?」

 

 

 

 次回、モンゴル軍基地内で(ましら)の忍が血の海を作り出す!

 

 

 

[アレンジ武将&キャラ]

 

名前:シバ・カァチェン

所属:台湾軍将軍兼国連軍雑兵

属性:風

武器:逆刃薙(さかばなぎ)

肩書:破願一望(はがんいちぼう)

登場時の書き文字「絶念」

一人称:(わたし)

現時点での年齢:21

CV岡本信彦

性格・嗜好

 現・台湾の将軍だが、前将軍の謀反失敗や彼の様に皆に慕われない人柄から「挫折した男」であり、現在は全てを諦めているようにただ無気力に命令に従い続けるのみで思考を放棄して生きている。

 しかし、本心では「現在や未来(さき)をつかみたい」と願っており誰よりも未来を欲している。

 妖怪や怪奇譚が好きで、例えに妖怪を使ったりする。かつては訪れた地方に伝わる怪奇譚を探すのが趣味であり、いつか日本にも足を運びたいと願っている。

 また若い見た目に反して若者言葉や外国語には疎く、聞いた時には漢字表記として捉えており、意味を理解しようと考え出す。

 具体的には「ライバル(Rival)」と言った時には『雷張る』、「カマす」と言った時には『梭子魚』と思っていた。

容姿

 頭は黒髪のおかっぱ頭に玉虫色の兜を被っており、身体は玉虫色の鎧を身につけている。

 また、目には生気がなく、伏し目がちになっている。

バトルスタイル

 ゲルググのビームナギナタのように両端に刃のついた武器「逆刃薙」を用いて戦うスタイル。

 逆刃薙を回転させて攻撃することが出来、一定時間回転させると自身のスピードや攻撃性能を段階的に強化することが出来るという特性がある。

 

 

 

名前:村田順一(むらたじゅんいち)

 所属:聖龍隊 総合部隊 スターコマンドーの元総部隊長 現在、独立軍の総大将

 属性:光

 武器:なし 装具:星手甲

 肩書:心照輝星(しんしょうきせい)

 一人称:僕、ボク、ぼく

 現時点での年齢:23

 誕生日:10月1日(10ジュン、1イチ)

 理想CV:大川透(おおかわとおる)

「人は、この世を変えられる……僕がこの手で証明する!」

 聖龍隊総部隊長にて日本将軍、そしてかつての聖龍隊総長小田原修司の一番弟子。

 同じ小田原修司から直接鍛えられたメンバーを従えた純粋な心の持ち主で、周囲からは親しみを込めて「ジュン」と呼ばれている。

 2年前の乱世においては北の残党軍総大将ヤン・ミイチェンを撃破したなど数多くの功績を残した実力者。

 非能力者にして多くの能力を持つ多種多様な仲間達を従える程の人望が有り、かつての乱世では魔法界で造られたと云う想いを力にする装具を仲間達から渡され、己を強くさせてくれた人との繋がりつまり「絆」の力で戦おうと奮い立ち、人の痛みを常に忘れない様に武器無しで戦場に立つ。

 しかし未だ異常者(ヒール)と認定された人々への弾圧が続く現状の中、人の痛みを知るべく武器を持たずに拳ひとつで戦場に立つ事もまた力を振るう事に変わりはないのではないかと自問自答を重ねる。その内、遂に聖龍隊から離別し、現政奉還を逆手にとって全ての人々が弾圧されない理想郷を創り上げる為に奔走する。

スター・コマンドーメンバー

 氷炎ユウ・ニナミ

 ユウの本名は石刀だが、ニナミと唯の三人で暮らす為に修司より氷炎の性を与えられる。

 

 赤ずきん、白雪、いばら

 

 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、平賀才人、タバサ、キュルケ

 

 大門大、アグモン、トーマ・H・ノルシュタイン、ガブモン、藤枝淑乃、野口郁人(通称イクト)、ファルコモン

 原作と違い、イクトはスター・コマンドーに属したままなのでファルコモンとは離別していない

 

 セレブナイト(徹之進)

 聖龍隊に所属した時点から、今に至るまで資金調達を主に活動している

 

 明石薫、野上葵、三宮紫穂

 

 墨村良守、雪村時音

 良守は現在、パティシエになる修行中でもあるが、緊急事態に応じてジュンの呼びかけに応えている

 

 白浜兼一、風林寺美羽

 

 ハイパー・ブロッサム(赤堤ももこ)、ローリング・バブルス(豪徳寺みやこ)、パワード・バターカップ(松原かおる)

 アニメと違い、パワーは失っていない

 

 音無小夜

 原作と違い、存命しているが戦いに明け暮れている日々

 

 ハンター・スティールと彼のパートナースパイダーのシャドウ、コロナとビーナス、ルメン王子とエボニー、スパークル姫とホターラ、イグナスとフレイム、マグマとブルータス、アクーネとブルータスの妹ポーシャ

 

 日向ひまわり、あざみ、ヒメジ、ゆすら、万里小路ハヤト

 くノ一ら彼女達はスター・コマンドーでも重要な諜報活動員である。

 

 ハル

 主に各隊士への戦況通達など、電気系統を担当している。例の総理のクーデターは当時の村田順一たちによって防がれた事で、ハルも存命している。

 

 愛澤マイ

 通称グールと呼ばれる異世界の怪物と胎児の頃に融合してしまい、人間を生体エネルギーとして吸収しなければ生きていけない体になった女性。吸収した人間が何らかの能力者であれば、その能力をも吸収して自分のものにする事が可能。現在は、これらの事を全てジュンに受け入れられた上で婚約しラブラブ。だが自問自答するジュンの苦悩に彼女自身も悩まされている。一人称は『あたし』

 

 

 

 

名前:冷苦(レイク)

通り名。通称:冷血冷酷 国連軍内:青雉もしくは青キジ(共に大将時代)

標語:燃え上がる正義→だらけきった正義(共に国連軍在籍時代)

能力:流動体質系 氷

誕生日:9月21日

年齢:49歳

CV子安武人

概要

 世界の均衡を司るという三大勢力の一つ、国連軍本部。その軍の中でも最高戦力である「大将」に属していた。

 大将時代は“青雉”と呼ばれ、同僚の黄猿、赤犬と共に三大将と呼ばれていた。

 国連軍本部中将ガッツは恩人。

 全身から凄まじい冷気を放ち、自らの体を氷に変化させる事ができる「氷結人間」。

 自分の体は勿論、他者や周辺の有形物を一瞬で凍らせることができる。その気になれば、凍らせた相手を砕けば済むので殺傷力も高い。

 海水もたやすく凍らせるため、海面を凍らせてその上を進むこともでき、船に頼らず海上を移動可能である。

 戦法は直接相手を凍らせる他にも、氷で武器を作りだし、それによる白兵戦から飛び道具としての遠距離攻撃など幅が広い。

 氷の特性だけでなく、流動体質系という特殊能力系統に属しており、これにより攻撃の受け流しは出来ないが、砕けた身体の破片を結合することで再生が可能。

 そのため武装色の覇気による攻撃以外、物理的なダメージは一切通らない。それどころか、直接攻撃してきた相手に逆に冷気を送り込み、そのまま凍結させて仕留めてしまうこともできる。

 1年ほど前、当時の元帥ゼンギからの要望で国連軍新元帥に抜擢されかけたが、軍上層部は命令に忠実な赤犬を抜擢。これらの衝突によって冷苦と赤犬は敵対し、長い激闘の末、冷苦は敗北。赤犬との戦闘で右半身に大火傷を負い、左足を欠損している(失った左足は能力で義足を作り、補っている)

 

氷河時代(アイス・エイジ)

海などに手を浸け、冷気を送り込んで一瞬で凍り付かせる。

これが発動した後は、水平線の彼方にまで氷の大地が続く、まさしく氷河時代を思わせる光景が広がる。無論、その範囲内に居れば諸共に氷漬けである。なお、この氷はおよそ一週間は解ける事が無いという。

 

アイスサーベル

千切った草などを氷の吐息で凍り付かせ、氷の剣を作り出す。

白兵戦用の技だが、後述の”アイス塊”の方が応用が利く。

 

アイスタイム

触れた部分から直接冷気を送り込み、相手の全身を瞬く間に氷漬けにする。

氷河時代を単独の相手に対して発動させるような技で、巨人族でさえ全身が凍り付くまでに要する時間は僅か数秒。無論、氷漬けにされてしまえば動くことすらできず、そのまま割り砕かれれば即死である。

 

アイス(ブロック)

冷気によって氷の塊を作り出す。

氷であるがために形状は自由自在であり、矛の形にして相手へと飛ばす”両棘矛(パルチザン)”や、巨大な雉を象り、その嘴で相手を穿つ”暴雉嘴(フェザントベック)”などのバリエーションがある。

 

アイスタイムカプセル

掌から冷気の弾丸を放ち、直撃した相手を一瞬で凍結させる。

 

アイスBALL(ボール)

冷気で相手を包み込み、球状の氷塊を作り出して閉じ込める。

アイスタイムと違って距離を置いた相手にも有効だが、内側から割られると脱出を許してしまう。

 

氷星(アークティカ)

猛烈な吹雪を相手に直撃させ、凍て付けた直後に上空から無数の両棘矛(パルチザン)を降り注ぐ大必殺技

 

 

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