現政奉還記 武将達との会合編   作:セイントドラゴン・レジェンド

6 / 22
 モンゴルを発ち、無事に独裁国家であった北朝鮮も通過した一行は韓国に入国する事ができた。
 韓国では小田原修司の義弟にあたる国将軍サイ・チョウセイが彼らを出迎え、屋敷にて丁重におもてなしされた。しかし新世代型達は同時にそこで小田原修司の実妹でありチョウセイの妻である有沙の苦悩も目の当たりにするのだった。
 そして一晩過ごさせてもらった一行は、軍事物資を運搬する必要性もかねて聖龍隊と新世代型二次元人は別々の大型船でアニメタウンに帰る事となった。
 事件は、新世代型二次元人たちが出港する港で起こった。



現政奉還記 アジア紀行編 迷探偵? 登場!

[少年、現る]

 

「ふぅ、これでようやく懐かしのアニメタウンに帰れるって訳か」

「長かったよぉ、ホント……」

 聖龍隊と別れて行動してから落ち着きが無かった真鍋義久や琴浦春香ら新世代型二次元人たちも、自分達を移送してくれる大型船が停泊している港に着いた途端、安心の余りドッと疲れが身体に出て何とか落ち着こうとしていた。

「あ~~あ、それにしても長かったぜホント。まあ、ちょっとした冒険みたいで楽しくもあったけどな。色んな武将にも会えたしよ」

「燃堂、それを言ったらみんなの反感を買うだけだぞ」

 長旅に対してちょっとした冒険の様だったと感想を零す燃堂力に親友の斉木楠雄が皆の反感を買うと言葉をかける。

 が、新世代型二次元人同士の共有感知の影響で、燃堂が思った事が他の新世代型二次元人にも悟られてしまっていた。

「ちょっと伝わってますわよ! 今まで、色んな危ない思いをして来たって言うのに……楽しかったなんて良く言えますわね」

「本当にその通りですわ」

 薙切えりなと新戸緋沙子(あらとひさこ)の両名が、今までの体験を楽しいと感じ入った燃堂に強く反発する。

 二人の美少女に強く反発されて非常に戸惑う燃堂力たちの傍ら、他の新世代型達が燃堂の発想を大元に語り合い始めた。

「そういえば……この共有感知だっけ? 一体いつまで俺たちこのままなんだ?」

「それもそうだよね……他人の考えが分かっちゃうだけでも困惑しちゃうのに、それだけでじゃなく自分が何を思っているのかさえ晒されちゃっているんだもんね」

 自分たち新世代型二次元人に現れた互いの思考を共有してしまう【共有感知】の能力が未だ消えない点に嵐山ブンタと笹川ノゾミが今後の事で色々と悩み始めた。

「そういえば私たちも何ですよね。ほんとにこのまま帰っても、症状が治まらなかったら……」

「うむ、問題ですな」

「相手にも自分にも思考が伝わってしまう………………まるでテレパシー能力者とサトラレを足したみたいでやんなっちゃうわ」

「この先、この共有感知がどうなってしまうか経過を観察する必要がありますね」

「そうですわね」

 イオリ・リン子から始まり、猿田学、大門ジョセフィーヌ、イオリ・タケシそして美都玲奈たち大人組は、今後自分たちの共有感知がどの様な経緯を辿るのか経過を観察する必要性を唱える。

 しかし一方でこんな話も。

「でも、みんなが何を考えているのか。何を思ってくれているのか分かるのも、あんまり嫌じゃなかったね」

「そうだねっ。私もみんなが何を考えているのかスグに分かるから話が通じやすいし、悩みとかも理解し合えて良いなって思った」

 誰が何を思っているのかスグに理解できるので、話が通じやすいと楽観的な物言いになってしまう大宮忍と月影ちあり。

 そんな少女達に対して蓮城寺べるを始めとする思春期の少女達は「やれやれ、子供は楽観的で良いよね」と思った。

 しかし新世代型達が各々と自分達に目覚めた共有感知の能力での苦楽を語り合っている最中、その話の輪に入れない三人がいた。

「……な、何だかアタイたち完全に蚊帳の外だな、オイ」

「そうですよね。私達には共有感知なんて目覚めていない以前に備わっていませんし、みんなの考えが全然わかんない」

「だけど少しは分かるよ。みんながみんな、出会う前から色んな体験をしてきて苦しい事も辛い事もたくさん今まで感じ合えて……それに共有感知の事も、本当にこれからどうなるのか心配なのは私も感じているし」

 自分達プロト世代だけが蚊帳の外に放り出されたみたいに話しに追い付けないでいるギュービッドと桃花・ブロッサムが困惑する傍ら、友達である新世代型二次元人の今までの体験や苦悩だけでなく今後の事についても深く思い入る黒鳥千代子。

「だ、だけど……ゾンビにクローンの生体兵器、モンゴルに韓国の国将軍! 色んなのを見てこられましたよね」

「そうよね。だけど一番、心に残ったのが世情の異常者(ヒール)に対する嫌悪感。まさかあそこまで徹底的に虐げるなんて思いも寄らなかった……お陰で順一さんも聖龍隊を去っちゃったし、これから聖龍隊はどうなっちゃうんだろう」

「ま、私達がいくら考えても何も始まらない。取り合えず、帰ったらゆっくり家で寛いで様子を見ていこうじゃないか」

 新世代型達が語り合う傍ら、チョコは最初は親友である琴浦春香たちを助けに向かった旅の中で遭遇した異形の敵に味方となってくれた心強い国将軍もとい武将に偉観の意を示していた。そんなチョコに桃花・ブロッサムは返答しながらも、世間が如何に異常者(ヒール)を拒絶し、駆逐しているのか、その現状を目の当たりにして蒼然となり、更にその世情から村田順一が聖龍隊を去ってしまった経緯に一抹の不安を覚える。が、そんな不安に陥る二人に対してギュービッドは自分達がいくら考えても問題が解決する訳ではないと楽観的な主張を残した。

 

 出会いがあれば別れも有り、そんな今までの境地をしみじみと振り返っていた。その時。

「おいっ、そこのお前達!」「?」

 突然、談話している一同に問い詰めてくる声が。

 皆が一斉に目を向けてみると、其処には青色と白色を基調とした上着とズボンを身につけた、 若干ツリ目の水色の瞳、そして癖っ毛気味の茶髪という初めて見知る少年の姿があった。

「どうしたのボク? もしかして……迷子?」

 新世代型で高校の英語教師でもある烏丸さくらが少年を迷子だと思い返事するが、これに少年は一瞬烏丸さくらの反応に戸惑いながらも強く言い張ってきた。

「ち……違う! お前達、見たところ普通の二次元人っぽくないな。さては……」

 疑心に満ちた物言いで問い詰めてくる少年に、彼の言葉を聞いて一同はある疑問に駆られた。

「! 俺たちが二次元人って、何で分かるんだ!?」

 真鍋義久が一驚して声を上げると、少年はその疑問に答えた。

「何を言っている! 三次元人であるならば、二次元人と同じ三次元人の区別ぐらい簡単に見抜けるぞっ!」

「へっ? 俺たち二次元人を、三次元人は見分けがつけるのか?」

 少年の返答に燃堂力を始めとする全員は此処で始めて、三次元人の視点からでは三次元人/二次元人と見分けられる事実を知る。

「さあ、ボケッとしてないで白状しろ! 見た所によると、お前達はおそらく新世代型だな! かつて二次元界だけでなく、三次元界をも支配しようとしていたお前達が何ゆえこの場にいる!? なにか企んでいるんだな」

 三次元人が二次元人と自分らを区別できる事実を知って呆然となる一同に、少年は強気な態度で一同に問い詰め続ける。

 そんな少年の態度を生意気に感じた新世代型二次元人の鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)/蛇崩乃音(じゃくずれののん)/蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の五人が少年に迫る。

「おい少年、いくら我らが過去に大罪を犯した新世代型の後継機であろうとその偏見と侮辱は余りにも見過ごせない……!」

「言ってくれるじゃないボウヤ。私達が如何に三次元人に友好的か、みっちり解らせてあげようか?」

「我々を勝手に反逆者呼ばわりするとは言語道断……実に由々しき態度だ」

「その減らず口、断罪してやろうかな」

「みんな、余り少年を脅かさない程度に……再教育してあげようじゃないか」

「!!」

 目をギラ付かせ、強面で言い寄る五人の言動に、少年はすっかり脅え切ってしまう。

「おいおい……あれじゃ、まるで不良学生の恐喝じゃないか」

 少年に言い寄る光景が、まさしく恐喝の現場に総じて視えてしまう事実を述べる井ノ原真人(いのはらまさと)

 一方の少年は皐月たち五人の殺気混じりの迫力に押され、激しく動揺してしまってた。

「くぅ……こ、この禍々しい殺気。間違いない……下手人はコイツらだ! で、でも僕だけの力じゃどうしようも……こうなったら……」

 五人から発せられる気迫からすっかり怖気づいてしまう少年は何かをしようと数歩下がった。すると「おやっさーーん! おやっさーーーーん……!」と誰かを呼び始めた。

「ん? 一人じゃ勝てないからって大人を呼び始めたぞ! 可愛いもんだなあ」

 言い迫られて勝ち目がないと判断した少年が大人の知人を呼んでいると思い込んだ蟇郡苛(がまごおりいら)が高笑いしていると、遠くの方から何かの動物の鳴き声みたいなのが聞こえて来た。

「? なんだ、この鳴き声……」

 犬牟田宝火が突然の動物の鳴き声にぽかんとしていると、遠方から砂煙を上げながら此方に向かってくる四足歩行の動物らしき影が確認できた。

 鳴き声を発しながら迫ってくる、その動物に目を凝らしてみると、それは身体や頭部に牡鹿の角を模した武具を装備している鹿であった。

「し、鹿!?」

 少年の呼び掛けに駆けつけて来たのが人間ではなく、武具を装備した鹿であった。

 そして現場に駆けつけた鹿が装備していた武具が突如として激しく輝き出し、それが光の帯となって鹿の身体から外れていくと、光となった武具は少年の胴体や肩、そして頭にも角を拵えた兜が一瞬で装着され、少年の姿を一変させた。

「へ、変身したーーーーっ!?」

 まるで変身したかのように、鹿が装備していた武具を一瞬で身に着けた少年の容姿に一同驚愕してしまう。

 そして鹿が装備していた武具を一瞬で装着した少年は、凛々しい顔で新世代型たちに名乗り挙げた。

「……おやっさん、お角拝着! 山中鹿之助! 捜査、開始!」

 その場に馳せ参じた鹿の名は「おやっさん」。そしておやっさんなる鹿を呼んだ少年の名は、山中鹿之助である事が今ここに判明した。

 

 

[山中鹿之助 尋問]

 

 おやっさんなる鹿から装備を拝着して完全武装した少年 山中鹿之助は問答無用で新世代型二次元人たちに襲い掛かる。

「お前たちの目的はなんだ! 世界征服か、それとも人類滅亡か!?」

「ち、違います! ワタシ達は別に……」

 自分達に悪意は無いと必死に訴え掛けようとする新世代型のアリス・カータレットであるが、鹿之助は彼女たち二次元人たちの言い分に耳を貸す気配は無かった。

「騙されないぞ、お前たち新世代型は人を欺くことにも長けていると聴く! ハルノフ様を拐かした下手人もお前らだろ! 僕は騙されないからな」

「そんな……私達って、そんな風に思われていたなんて……」

 改めて、自分たち新世代型二次元人の初期型が起こした大罪によって信頼も普通より欠けている事を痛感させられる琴浦春香。しかし同時にある疑問も瞬時に脳裏に浮かんだ。

「って言うか! ハルノフって誰だよ!?」

 そう、ハルノフとは如何なる人物か。新世代型の真鍋義久は鹿之助にツッコムが、当の鹿之助は傍らにおやっさんを引き連れて一心不乱に新世代型達にヌンチャクの様な形状の武器、連結棍棒を振り回して猛威を振るう。

 これを見兼ねて鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)は暴走気味の鹿之助を制止するべく立ちはだかる。

「もはや言っても聞く耳無しと見た……仕方が無い、我らであの小僧の暴走を止めるぞッ!」

「はッ!」

 鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)の一声に配下の蛇崩乃音(じゃくずれののん)/蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の四名が威勢よく返答する。

(纏、アイツらばっかに活躍させちゃ勿体無いぜ! オレ等も久々に戦おうじゃないか)

「ッ! そうだな! アタシ達も参戦するとしますかっ」

 自らが着衣している鮮血に指摘され、纏流子も鹿之助との戦いに参戦する意志を固めた。

 そして纏流子と鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)はそれぞれの神衣を人衣一体で装着して、極制服を着た蛇崩乃音(じゃくずれののん)/蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の四名も各々の戦闘スタイルへと変貌を遂げる。

 だが、神衣をその身に着衣した纏流子と鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)の人衣一体の姿を目の当たりにした鹿之助は、その肌が大いに露出している二人の姿に仰天してしまう。

「な、ななな、何ですか、貴女達のその淫らな格好は!? 公然わいせつの現行犯で御用っす!」

「好きでこんな格好やってんじゃないよ!」

 淫らな格好と言われ激しく動揺してしまう纏流子とは反対に、純潔を着こなす鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)は堂々たる姿勢で猛威を振るう山中鹿之助に挑んでいく。

 そんな中、山中鹿之助は一方的に危険視している新世代型二次元人には容赦なく攻撃を仕掛けていっていたため、なんと彼の猛攻から逃げ惑う小路綾/越谷卓/櫟井唯の三人にも連結棍棒で殴り掛かろうと迫ってきた。

「うわあっ!」

 鹿之助のハチャメチャな猛攻に戸惑ってしまう三人は思わず立ち止まってしまった。

 が、三人に攻撃が直撃する寸前、鹿之助の連結棍棒を栗山未来が自身の血を結晶化させた刃で防いで見せた。すると未来の血の刃と鹿之助の棍棒が直撃した瞬間、鹿之助の連結棍棒から光の衝撃波が発生し、攻撃を防いだ栗山未来も彼女に庇ってもらった三人も思わず吹き飛ばされそうになり、足に力を込めて踏ん張った。

 攻撃を防がれ、数歩退いて距離を置く山中鹿之助に対し、未来は三人を逃がすと戦いの場に出た以上、収拾が付かなくなった勢いもあり自らも鹿之助と対峙する決意をする。

 そんな未来を見て、鮮血を着衣した纏流子が彼女に近づき、声をかける。

「へへ、またアンタと一緒に戦う事ができるとはな」

「は、はい……宜しくお願いします」

 同じ鮮血の如き刃の武器で戦える者同士として何かしらの親近感が湧いていた纏流子の呼び掛けに、栗山未来は少し緊張した様子で返事した。

 

 潮風漂い、空にはカメモが飛び交う穏やかな港。

 そんな穏やかな情景の中で、似つかわしくない戦闘が今ここに勃発してしまった。

「おやっさん! 大好物っす!」

 戦前から少し距離を置いた鹿之助は何処からとも無く巨大な鹿煎餅を取り出して、傍らの鹿おやっさんに見せびらかす。

 すると取り出した鹿煎餅を前方三方向に向けて投げ飛ばした。

「あっち! こっち! そっち!」

 大好物の鹿煎餅を見せ付けられたおやっさんは嬉しそうに煎餅が投げられた方角へと突進する。

「危ないッ」

 流子が叫ぶ中、彼女の傍らの栗山未来はもちろん、別所で煎餅を投げ飛ばされてきた鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)たちも煎餅での攻撃を回避する。一方で投げられた鹿煎餅に向かって突進してくるおやっさんにも直撃しないよう身をかわす。

 無事に鹿煎餅とおやっさんの突撃を回避した六人を尻目に、おやっさんの方は投げられた鹿煎餅を上手く銜えてそのまま平らげてしまう。

「へへ、おやっさんの腹ごしらえも終わった事だし……下手人、新世代型! 御用となれッ!」

 相方のおやっさんの腹を満たし終わった鹿之助は毅然とした態度で新世代型達に観念するよう言い渡す。

 戦前から退く戦闘に参加していない二次元人たちが見守る中、戦前の新世代型二次元人たちは鹿之助に攻撃を仕掛けようと一気に距離を縮めた。すると鹿之助の足を傍らのおやっさんが咥えた。

「おやっさん、お願いしまっす!」

 鹿之助の声に可愛らしい鳴き声で返事するおやっさんは、そのまま鹿之助の足を咥えて回転し出した。

「ウッ、こ、これは……近付くな! 離れろッ」

 鹿之助が仕掛けてきた行動に、それが如何なる攻撃が瞬時に察した鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)が声を発する。彼女の声に気付き、咄嗟に進攻するのを止める蛇崩乃音に纏流子と栗山未来。だが少し反応が遅かった蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の三人だけは鹿之助と距離を詰めたその瞬間、回転する鹿之助に巻き込まれ連続で打撃を受けてしまった。

「うわっ!」

 三人を巻き込んだ鹿之助は、更に回転を続け、周囲の流子や皐月たちを巻き込もうと仕掛ける。その反面、既に巻き込まれている三人は何度も鹿之助が所持している連結棍棒に直撃し、連続攻撃に巻き込まれていた。

 ここで鹿之助とおやっさんの連携攻撃に巻き込まれる男子三人を助けようと、上空から蛇崩乃音(じゃくずれののん)が飛来し、鹿之助に攻撃を仕掛けようとする。

 すると蛇崩の来襲に気付いた鹿之助は回転攻撃を一旦やめ、その途端おやっさんが地面に寝そべった瞬間、鹿之助はおやっさんの足裏に飛び乗り、そのまま鹿之助へと跳躍した。

「下手人、覚悟!」

 上空へ跳んだ鹿之助は耐空している蛇崩乃音に連結棍棒で殴り掛かろうと迫る。だが「隙ありッ」と蛇崩は容易く鹿之助の攻撃を避けて、逆に音符ミサイルで鹿之助を迎撃。

「うおおおっ!」

 迎撃を受けた鹿之助はそのまま撃墜され、地面に落下してしまう。が、落下する鹿之助を地上でおやっさんが受け止め、大事を防いだ。

「お、おやっさん……申し訳ないっす」

 おやっさんに述べる鹿之助に対し、雌鹿のおやっさんは優しい慈愛の瞳で鹿之助を見詰める。

 蛇崩乃音(じゃくずれののん)の音符ミサイルによる攻撃が鹿之助に襲い掛かるが、鹿之助は連結棍棒から生じる衝撃波でミサイルを空中で破壊して事無きを得る。

 一方、先ほど鹿之助とおやっさんの連携攻撃に巻き込まれた蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の三名が朦朧と立ち上がろうとしていると、鹿之助は容赦なく三人に追撃を噛ます。

「喰らえっ」

 鹿之助は一時的に棍棒を巨大化させて繰り出す衝撃波攻撃で三人を同時に怯ませ、吹き飛ばす。

「おやっさんの探偵心得、其之二拾! 怯んだ相手に情けは無用!」

 そういうと鹿之助は衝撃波を受けて怯んだ蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の三人を、おやっさんと一緒にテニスのサーブの様に吹き飛ばし、そのまま何度も吹き飛ばし合いおやっさんとラリー状態にまで至ってしまう。

「だっ、ガッ、ぐッ!」

 その反面、ラリーで手玉にされている三人は空を飛び交いながら悶絶していた。

「猿投山! 犬牟田! 蟇郡!」

 鹿之助とおやっさんに何度も吹き飛ばされていく三人を見て鬼龍院皐月が呼び掛ける。

 ようやく此処でラリーが終了し、三人はおやっさんの元へ。するとおやっさんが三人に強烈な後ろ蹴りを喰らわせ、三人は諸共、港を飛び出し海の方へ吹き飛ばされてしまった。

「ぷはっ」

 強烈な鹿の蹴りに加わり、海に放り出された三人は水浸しになりながらも溺れずに必死に抗う。この時点で鹿之助の三人への取り調べ、すなわち勝負はついた。

「下手人、討ち取ったり!」

 その反面、三人を手玉にできた鹿之助は得意気にポーズを構える。

 そんな鹿之助の快進撃を止めるべく、残った栗山未来/纏流子/鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)/蛇崩乃音(じゃくずれののん)の四人が鹿之助に攻撃を仕掛け続ける。

「おおっと、そりゃっ」

 地上からの未来/流子/皐月の刃を鹿之助は連結棍棒で防ぎ止め、更に続けて空中から放たれる乃音の音符ミサイルをおやっさんとの連携で防ぎながら反撃を仕掛け続ける鹿之助。

 時に体を回転させながら地上の三人を巻き込みつつ上昇するといった攻撃で猛攻を凌ぐ鹿之助。更に上空の蛇崩に対しては先ほどとは逆に、おやっさんを自らの足の上に乗せて跳躍させて、上空の蛇崩を蹴り付けてもらい反撃したりと攻防一転の連続が続いた。

 

 

[警部と国連軍]

 

「おやっさんと一緒なら怖いものなんてないっす!」

 お目付役の鹿、おやっさんと一緒ならと怖気付かず躊躇わずに攻めの一手を緩めない山中鹿之助の快進撃。その快進撃を何とか堪える四人。

 ここで再び鹿之助がおやっさんの足を借りて上空へと跳躍し、滞空している蛇崩乃音(じゃくずれののん)に跳びかかる。

「えいっ!」「ぐはっ」

 それは一瞬の隙だった。蛇崩は鹿之助の連結棍棒による打撃を頭に受けて、意識が朦朧となり撃墜されてしまった。

「蛇崩!」「蛇崩! ……くそっ、味な真似ばかりする小僧だ」

「それにしても、あの鹿との連携攻撃は厄介ですね」

 鹿之助の攻撃を受けて撃墜されてしまう蛇崩乃音(じゃくずれののん)を目の当たりにして、纏流子と鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)それに栗山未来たちは愕然としながらも同時に鹿之助とおやっさんなる鹿との連携攻撃に対して苦戦の言葉を零す。

 迫真の攻撃を続ける鹿之助は、またしても得意気に語り出す。

「ハルノフ様を探し出せれば、僕は一人前だ……逆に言うと、それまではずっと半人前……がくっ」

 でも結局はまた自分は半人前だとしょげてしまう鹿之助。

 それでも鹿之助は毅然とした姿勢で地上戦を戦い続ける。片太刀バサミに縛斬の斬撃をどうにか受け止め、栗山未来の血の刃を衝撃波で彼女諸共吹き飛ばしていく。

 だが、そんな混戦状態の中、鹿之助はある視線を感じ続けていた。

「まただ……また、誰かに見られている……? 下手人・何某……お前なのか……!?」

 時おり感じる何者かの視線。その視線の主を考えようとするも、結局答えを見出せない鹿之助は悶々としながらも今の戦いに集中しようとする。

 するとここで「ッ、お前達! 少しばかり距離を置いて一斉に小僧に向かって攻撃するぞッ!」と鬼龍院皐月(きりゅういんさつき)が他の三人に呼び掛けた。これに出会ってまだ間もない栗山未来も少なからず皐月の意見に同意し、幼馴染の蛇崩乃音(じゃくずれののん)は素直に頷く。そして何時もは喧嘩相手として仲の悪い纏流子も渋々ながら皐月の意見に賛同し、鹿之助と距離を置く。

 しかし四人が一斉に鹿之助に攻撃しようと距離を置いたその時、自分に一斉攻撃が向けられると把握した鹿之助が先に行動を起こした。

「背中拝借!」

 最後の悪あがきと鹿之助はおやっさんと決めポーズをとった後、おやっさんに鹿之助が拝借してた装備が戻り、完全装備のおやっさんに鹿之助が跨って物凄い勢いで四人に向かって突進。光のオーラを纏った鹿之助とおやっさんに吹き飛ばされ、四人は散り散りに弾かれて大打撃を受けてしまった。

「うわあッ!」

 吹き飛ばされた皐月たちに鹿之助は連結棍棒を向けて言い放った。

「さあ、下手人! 大人しく観念しろっ」

 降伏を迫る鹿之助に急所を打ち込まれた四人は如何に反撃を行えるか。

 

 

 

 そんな追い詰められた四人が、反撃を考えていたその時。

「こらこら~~ッ! 鹿之助、それまでだ!」

「げっ! こ、この声は警部……!?」

「警部……?」

 戦いの最中に遠方から聞こえて来た声に反応する鹿之助を前に、対峙していた皐月たちも動きを止める。

 目を向けてみると、遠くから砂煙を上げながら此方に向かってくる人物が。ヨレヨレのトレンチコートに同色の草臥れた防止を被った中年の男性だ。

 男性は鹿之助に駆け寄ると、声を荒げて鹿之助に言い付けた。

「こら鹿之助! いっつもいっつも勝手な行動はするなと言っているだろうがッ!」

「ご、ごめんなさい、警部」

 男性が鹿之助を叱り付ける傍らでは、おやっさんが「やれやれ、やっぱり」と言った様な表情で呆れ果てていた。

 そして叱り付けられた鹿之助は即座に新世代型達に謝罪した。

「ひ………………人違いでしたっ、ごめんなさいっ!!」

 平謝りする鹿之助に皆は彼も悪気があった訳ではないと理解を示すが、突然現れた男性に現場が騒然となっていた。すると思い切ってイオリ・リン子が男性に声をかけてみた。

「あ、あの……」

「むっ? こ、こりゃ失礼……うちの見習いが迷惑をかけてしまいまして。こやつはまだまだ修行中の身でしてな」

 リン子の声に反応する男性に、続けて人衣一体していた神衣を解除して普段通りの極制服姿に戻った鬼龍院皐月が男性に話し掛けた。

「失礼だが、あの子は? そして貴殿は何者だ?」

 丁寧な口調で問い掛けられた男性は改まって自己紹介を含め、鹿之助の事を語り明かした。

「これはこれは、まだお若いのにご丁寧な。これは失礼、私はインターポールの銭形と申します! 鹿之助はうちで見習いとして、しばらくわしの許で捜査の基礎知識を叩き込んでいるところなんですわい」

「い、インターポール!」「ホントだったんだ!」「それに銭形って……!」

 鹿之助が戦闘中に発していたインターポールという自白が真実であったと知って驚愕する鳴子章吉に小野田坂道。それに男性が名乗った【銭形】の名前と容姿に、真鍋義久は【聖龍伝説】に記されている、ある人物を直感した。

 

 するとその時、周辺からサイレンの音が無数に接近してくるのが耳に解った。

「! なんだ、このサイレン……?」

 サイレンの音に真鍋たち新世代型達は一抹の不安を覚える。

「な、なんだなんだ? 誰か通報でもしたのか?」

 突然のサイレン音に銭形警部も訳が分からず戸惑っていると、隣で山中鹿之助が衝撃的な発言を口にした。

「んっ? ああ、これはですね警部。僕が応援として国連軍に通報しておいたんっすよ」

「こ、国連軍!?」

 国連軍に通報したと伝える鹿之助の発言に新世代型達も銭形警部も衝撃を受ける。

「こ、国連軍じゃと!? 鹿之助! それはマズイぞ……」

「え? 何がマズイんすか?」

 だが鹿之助本人は銭形警部に問い詰められても、なぜ国連軍に通報した事が間違いだったのか理解できなかった。

 すると陸上からはもちろん、海上からも国連軍の兵士が続々と集結し、新世代型二次元人の周囲を完全に包囲してしまう。

「国連軍だ! 全員、手を上げろッ」

「うわあっ」「きゃあ!」

 銃を突きつけて手を上げるよう指示する兵士に驚き悲鳴を上げる新世代型の男女たち。

 一方、先ほどの鹿之助の必殺技を受けて海上に放り出された蟇郡苛(がまごおりいら)/猿投山渦(さなげやまうず)/犬牟田宝火(いぬむたほうか)の三名は水浸しとなりながらも国連軍の船に上げられ、目を回した昏迷状態で拘束されてしまった。

「正義の名の下に……新世代型二次元人! 貴様らを拘束する!」

「な、何だよ! 俺たちは別に何もしてないぞ……!」

 武器を突きつけて強制的に指示してくる背中に正義の二文字を背負う国連軍上官に新世代型の井ノ原真人(いのはらまさと)が抵抗の意を示した途端、それを見た国連軍の上官が声を発した。

「正義は我ら国連軍にあり! 抵抗するようなら射殺しても構わん!!」

 何と抵抗の様子が見られるのなら殺害しても構わないと言い出す国連軍に愕然とする新世代型たち。

「きゃあっ」「ま、待って! チョコちゃん達は新世代型じゃないの、何もしないで……!」

 国連軍がプロト世代のチョコたち三人までも強引に拘束していく様子に、堪らず拘束されかける琴浦春香がプロト世代だからと訴える。が、そんな彼女の悲願など聞き入れては貰えなかった。

 

 こうして何もできずに傍らで荒々しく新世代型二次元人たちを摘発していく国連軍を眺めるしかない山中鹿之助と銭形警部。

 そして強引に拘束された新世代型を含む二次元人たちは、そのまま連行されてしまうのであった。

 

 

 

 そして連行されていく新世代型二次元人たちを、遠くから鹿之助が気配を察していた者が見据え続けていた。

 漆黒の和製鎧に兜、そして黒無垢の仮面を顔につけた無心無情 黒武士が。

 

 

[アレンジ武将]

 

名前:山中鹿之助

属性:光

武器:連結棍棒

肩書『明察麒麟』(めいさつきりん)

登場時の書き文字

出撃、尋問

出身世界:三次元界 日本

一人称「僕」

声優:入野自由

 

 姿を消した主君ハルノフを探すためにお目付け役の鹿「おやっさん」と共に旅に出た。現在は修行の為にもICPOに一時的に所属している。

 探偵能力が未熟なため、迷推理を連発する半人前。

 アラブ連邦軍の精鋭、アラブ十勇士の見習い。

 しかし本人自身の実力はまだ低くおやっさんの装備を借り(通称:お角拝借)ないと弱い。

 おやっさんの装備を借りる時はどこぞの聖闘士の如く装着する。

 おやっさんは名前が男のようだがれっきとした牝鹿。しかし、鹿之介はこのことを知らない。

 

容姿

 鎧をまとっており、頭には鹿の角が付いた兜を被っている。

 なお、ステージによっては鎧をまとっていない姿が拝める。

 ちなみに鎧を取るとその下には青色と白色を基調とした上着とズボンを身につけている。

 目は若干ツリ目で水色をしており、髪の毛は癖っ毛気味の茶髪。

 

バトルスタイル

 連結棍棒を用いて戦う。

 前述のとおり半人前なので、今のところ武器や鎧はおやっさんからの借り物。

 技は全ておやっさんとの連携技であり、前述の棍棒技と組み合わせるとスタンダード且つ大胆な攻撃が出来る。

 更に、ある技を使うとおやっさんが操作キャラとして入れ替わってしまう。

 必殺技を使うと技の終了後に装備がしばらく外れるため、その後の立ち回りは注意が必要。武器もアメリカンクラッカーになってしまう。

 

概要

 なぜ日本人の鹿之助がアラビアという異国で暮らしているのか。

 それは彼自身が生まれ付き持ったアニマル・コミュニケーション能力(動物と意思疎通できる能力)を持っている事から始まる。

 幼い頃から動物と会話ができる鹿之助を実の両親も周囲の人間も気味悪がり、蔑ろにしていた。そんな苦境に耐え切れず、5歳半ばで家を飛び出した鹿之助は奈良でおやっさんと出会い、以後ともに行動を一緒にするようになった。

 そのまま二人(一人と一匹)で船に乗り込み、流れ流れてアラブ連邦まで辿り着き、そこで今の主である石油王の一人ハルノフに仕える事となった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。